[岳温泉・岳の湯] 快適な自炊宿のアツアツ酸性泉で心と体を整える!

福島

2023年夏休みの旅5日目です。 1日目 2日目 3日目 4日目

チェックアウト後の温泉

さすが避暑地の裏磐梯。下界と比べると幾分暑さも穏やかで、澄んだ青空はより近く感じる。
合宿中の学生の姿はすでに無く、地元の人達は畑仕事あたりに出かけているようで、相変わらず静かな町を抜けて早朝に行ってきた釣り場に再びやってきた。

大分明るくなっているのでクマに対する警戒心は少し薄れ気味だけど、さっきを同じく歌いながら釣りを開始する。
他の釣り人の影もなく快適な釣り・・・なんだけどやっぱりウンともスンとも言わないな。。いくら餌を流したところでなんの反応もない。さっきアタリがあったところに希望をかけてやってきたはいいものの、そこですら仕掛けはピクリとも動かない。

そんな感じで全く釣れないうちに釣りは終了。
ご主人が言っていたように、やっぱり魚はかなり少なくなってるのかもしれないな。
ただじんわりを汗をかいただけで、二度目の釣行は終わってしまったのであった。

その後女将さんの親切に甘えて温泉に入ろうと宿に戻る。
中に入ると廊下には「カチャカチャ」という食器を洗う音が聞こえているので、開いてる厨房のドアをノックしてから「温泉入りにきました〜」と挨拶する。

女将「あ〜どうぞどうぞ、魚は釣れた?」

私「いやぁダメでした。もう全然釣れない」

女将「そう〜、じゃあゆっくり入っていって」

ということですぐに温泉へ。
普通ならこの時間は今日来る宿泊客のためにいろいろ準備したりする時間だろうに、この時間に温泉に入らせてもらえる幸せを噛み締めながら入らせてもらおう。貴重な経験に感謝。

でも今後のことを考えるとそう長居もしてられないので、15分ぐらい楽しんだところで温泉からあがる。完全にさっぱりしてかなり爽快な気分だ!

脱衣所を出ると女将さんはおらず、代わりに玄関にご主人がいたので「温泉入らせてもらいました〜」と挨拶。ご主人はやっぱりほがらかで、昨日と同じようにラフな格好だ。

主人「おお、釣れたかい?」

私「いや、全然ダメだったす」

主人「やっぱ水少ないとな〜、カラスが食べちゃうしな〜。まぁ残念だったけど、気をつけていってらっしゃい」

最後にご主人に会えてよかった。やっぱり私のじいちゃんに似てて温かい人だ。
ちょっと別れが悲しかったけど、「また来ます!」と言うと笑顔で見送ってくれたのだった。

桧原湖とその周辺を散策

湖沿いを走ると風がより涼しくていいな〜。景色も綺麗だし、避暑地というのはいいものだッ。

裏磐梯は真ん中から下あたりに観光地が集中してる感じなので、今はひとまず南へと向かっている。
観光スポットとしては各地に点在してる「〜沼」とか「〜湖」の散策がメインになるんだろうけど、今回はそこまでじっくり見ていくこともできないんで、一番有名そうなところだけちょっと見ていく予定だ。
ただその前に、さっき温泉に入ったばかりだけど香の湯という日帰り温泉にちょっと入ってみたいんで、まずはそこに向かおう。
ポツポツ民家やお店が見えてきたところで、細い道に入って香の湯へと向かう。

ちょっと眺めてたら奥から風呂装備を持ったおじいちゃんがやってきた。もしかしたら地元の人は入れたりするのかもしれない。
まぁそれはそれとして、場所はわかったんで次のスポットへ向かおうかな。

目の前にあるのはゴールドハウス目黒という名前の観光施設らしく、ここから遊覧船に乗れるし食事もできて、なおかつ宿泊までできるというバブリーな建物のようだ。建物の外観がレトロで良いからちょっと泊まってみたいけどちゃんと宿泊業は続いてるんだろか。

まぁそれはいいとして、どうやらここがこのあたりの観光の中心地っぽい。今回は別に遊覧船に乗るつもりはないけど後でちょっと寄ってみるとして、とりあえず向かうべきは近くにある物産館だ。

駐車場にはまぁまぁ車が駐まっているものの、そこまで沢山人がいるわけでもなさそうだ。
広々とした駐車場だけどバイクを駐車できそうなところがわからないので、屋根で日陰になってるところにひっそり駐めてすぐ館内に入ろう。

さすが物産館だけあって館内には直売所やら工芸品、お土産に加えて食事処も揃っている。
お昼は違うところでとろうと思ってるけど、あの山塩なるものが売ってたら買っていきたいな。

残念ながら山塩は売り切れということで意気消沈してしまったけど、その売場の奥に何やら快適そうな休憩所があってちょっと気分が盛り返した。
大きな窓をスクリーンに見立てて、座り心地の良さそうな椅子が映画館のように並んでる。ここは体を冷ましつつこれからのルートを確認するのに良さそうだ。

目の前にあるのは柳沼という大きめの沼らしい。
本当ならこういう沼の遊歩道を歩いたりしたいんだけどな〜。尾瀬もそうだけど、一度は高地の湿地帯をのんびり歩いてみたい。でも少しは涼しいとはいえ、この気候の中歩くのはキツイか。

その後十分ゆっくりした後は桧原湖を見に行ってみることに。
芦ノ湖とかでは遊覧船に乗ったことがあるけど、ここはどんな船があるんだろ。

なんかここらへんは一昔前の風景って感じで和むな〜。建物の一階が軽食を注文できるような作りになってたりして、その目の前が視界いっぱいに広がる桧原湖なもんだからちょっとしたバカンス感があってイイ雰囲気。

人もあんまいないから蝉の声が木陰から気持ちよく響いて、彼方に見える入道雲もいかにも夏らしくて絶好のロケーションだ。撮る人が撮ったら物凄くイイ写真が撮れそうな風景なのに、そんな腕がない自分が悲しいぜ。。
しかしなんだかこの景色って、子供の頃に似たような風景の中に自分がいた記憶があるな。大人たちがテラスで雑談しながら酒を飲み交わしてるみたいな。そういうことを思い出すから、尚更懐かしい気持ちになるのかも。

フロアの面積に比べて棚が少なめだからすこ〜しだけ寂しい感じもあるけど、店内の感じも含めそれがなんとなく今っぽくない雰囲気で結構好きかも。でもお土産はあんまり欲しいものは無い感じだったかな。お土産だったらさっきの物産館で買うのが良さそう。それでも休日には結構混むんだろうな〜と思うと、そういう時にもう一回来てみたいな。

そんなこんなしていたらもう時刻は12時を回ってしまっていたので、そろそろ昼食を食べに行くことに。
途中寄りたいポイントがあるけど、そこに行ってたらランチタイムを逃しちゃいそうだし、一旦スルーしてまずは腹ごしらえだ!

昼食は山塩ラーメン

県道2号を進んで、もう建物もポツポツとしかなくなってきたところに山の駅食堂はあった。もう完全に裏磐梯から帰るルート上にあるから、私が寄ろうとしているスポットから結構離れてしまった。

駐車場には車がそれなりに駐まっていてなかなか人気の食事処らしい。ガンガンに日差しが直撃してかなり暑いから、待たずに入れればいいんだけど。。

ちなみにすぐ近くには裏磐梯川上温泉という温泉があるみたいだけど、googlemapで見てみると温泉の名前があるだけで温泉施設は見当たらない。かつては宿があったけど廃業しちゃって、温泉を提供しているところは無くなってしまったのかもしれない。

中に入ると左手には厨房、右手にはお土産売り場がありつつ、店内のほとんどは席スペースという感じ。
店員さんは仲良さそうに若い人からおばあちゃんまで働いていて、活気があって楽しい雰囲気のするお店だ。
中に入るとすぐに席に案内してもらえて助かった。

ここのラーメンはもう明らかにうまい雰囲気がぷんぷん漂っている。やはり汗をかく夏のカンカン照りの日は塩ラーメンに限るぜ!
ちょっと変化系でトマトラーメンも気になるけど今回が初来店だからスタンダードに山塩ラーメン、しかも肉を沢山食べたいんで山塩チャーシュー麺をいただくことにしよう。

注文後はお土産を見たりこれからのルートを調べていたりしたら、思っていたよりも早く注文の品がやってきた。絶えずお客さんが入ってくるけど、店員さんもそれなりに多いから提供スピードは早いっぽい。

このチャーシューの量はマジで嬉しい!たまごもドカンと丸々一個入ってて食べごたえがありありだ。
早速ひとくち食べてみると、塩ラーメンといえどさっぱりしすぎずしっかり旨味のあるスープでかなり美味しいッ。スープにはアブラのようなものが入っているけど、口に入れてみたらこれは玉ねぎのみじん切りだったようで、シャキシャキした食感も楽しめるようになっている。なんか珍しいな玉ねぎみじんが入ってるって。

目玉のチャーシューはといえば、ほろりと柔らかいジューシーな仕上がりでこれも期待以上にウマい!観光地の適当なラーメンではない、ここは本格的なウマラーメン屋だ!

ただこの席は冷房の風がほとんど届かないようで、熱々のラーメンを食べてると体温が上がりに上がってどんどん汗がでてくる。隣の席の人も「暑いね〜」なんて言ってるけど、向こうはわりと涼しいからここだけ暑いエリアらしい。
そんなわけだから持参しているうちわを取り出し、食べる→あおぐ→食べるを繰り返していると、若い店員さんが「すいません、クーラー動かなくって。暑いですよね」と言って私と隣の席に風があたるようにサーキュレーターをつけてくれた。
めちゃくちゃありがたい心遣い。でもなんか暑いアピールしてるみたいで申し訳なかった。。

その後冷水を飲んで汗が完全に引いてから出発。
これから向かうのは少しばかり逆戻りして、小野川湖を更に奥に行ったところにある小野川不動滝だ。
ここは結構迫力がある有名な滝らしく、もちろんそれを見てみたいというのもあるんだけど、今後のために釣りができそうな川も発見できたらいいな〜ということで立ち寄りポイントとして選んだのだった。

山の駅から再び町中に戻り、特になんでもなさそうな丁字路を右に曲がって進んでいけばたどり着くっぽい。
というわけでいざその道に入り、風通しの良い感じで民家や宿が立ち並ぶ平和な風景の中を走っていくと、次第にあたりは鬱蒼とした木々に囲まれた道となっていった。

小野川不動滝へ

小野川湖を横目に走りたかったけど木が邪魔してあんま見えないのは残念。湖のはしっこにキャンプ場があるけど、そこもあまり見えなかったな。まぁこのまま滝まで一直線で行っちゃおう。

ここの駐車場は山の中だけあって日陰が多いのがありがたい。車は数台停まっていて、それなりに見に行ってる人はいるみたいだ。
ここから滝までは歩きということなんで、軽装の私は少し気合を入れていかねば!

昔のまんまなのかわからないけど、道にごろごろした大きめの石が敷き詰められててめちゃくちゃ歩きにくいぞこの道。。しかも坂だから膝への負担がデカい。。

ほとんど木陰で涼しめとはいえ今は夏真っ盛り。しかも不安定な道をバランスをとりながら歩いてきたもんだから、もう体中汗ダラダラだ。持参していたうちわが無かったら死んでたかもしれない。滝を見るのも楽じゃないね。

途中お姉さんに「もう少しで滝ですから頑張ってください(ニコッ」って励まされつつ頑張って石段を上がると、滝はもうすぐそこまで迫っていた。
目の前では私の先を歩いていた家族が滝を見て驚いているのが見える。滝の近くは涼しいだろうから、私も早く辿り着きたいッ。

不動滝は橋の上からでも拝めるけど、袂からもっと近くまで近づけるみたい。
先に見ていた家族が戻るのを待って私も近づいてみると、「グォぉぉ」というぶっとい音とともにしぶきが全身に飛んできて、ちょっと圧倒されそうなくらいに滝の力強さが感じられる。おまけに滝の勢いが凄いもんだから、涼しい風がビュンビュン吹いてきてとんでもなく涼しい!ここまで汗だくで登ってきたからとんでもない爽快感!これは見に来た甲斐があったぜ。

私も渓流釣りをするから滝にはよく出合うけど、こんなに涼しいのも珍しい・・・と思ったけど汗をかいてるから汗が冷えてより涼しいだけか。しかしこれから駐車場まで戻ることを考えると、もうここでキャンプを張りたいくらいの気分だよ。

しかしそうも言ってられないので汗が完全に引いたところで帰路につき、また汗をたっぷりかいた状態で駐車場を後にする。
もう後は特に寄るスポットもないので、ここからはようやく宿に向かって歩を進めることになる。でもその途中に一箇所どうしても行っておきたいところがあるから、少し急ぎ気味で行こうかな。もうなんだかんだで15時まわっちゃってるし。

ちょっと寄り道しながらいざ岳温泉へ

この道は以前横向温泉の中の湯旅館に泊まった時に走った道。この道をただひたすら走っていくと今日の宿泊地である岳温泉に到着する。
なんとなく覚えてる景色も多く、特に中ノ沢温泉なんかはあの時夕食を食べに行ったこともあってちょっと寄ってみたかったけど、さすがにちょっと時間を使いすぎて寄ることはできない。本当に寄りたいのは中ノ沢温泉を更に登ったところにある、中の湯旅館だ。

しかしさっきまで空一面青空だったにも関わらず、山道を登っていくにつれ天気は次第に雨模様になってきた。しかも雲をみるとかなりキツイのがきそうな感じがする。さらに道の先を見ると工事してて渋滞してるっぽいし、これは覚悟を決めなきゃいけないようだ。。

その後猛烈な雨にさらされたと思ったらすぐに雨は止み、ヤッタと思ったらまた降ってくるという超不安定気候に翻弄されながらも、なんとか無事にあの場所までやってくることができた。

中の湯温泉といえばあの鄙びまくった建物で味わえる、過ぎ去りし時代の寮生活にも似た宿泊体験が懐かしい。温泉が良いのは言うまでもないけど、宿の中に容赦なく入ってくる虫や意外な暑さに上半身裸で過ごしたあの一晩が思い出深い。私の中の泊まってよかった宿ランキング堂々第一位の宿。

そんな中の湯旅館は残念ながら2021年から休業中になっているらしく、現在ももちろん日帰り入浴の営業すらされていない。あの時女将さんと話をした時、今の雰囲気を保ったまま建物を直していくのが難しいっていうようなことを言ってたけど、とうとう休業に至ってしまったというのはとても残念なことだ。。

とりあえずまた雨が降ってきてしまう前に、今どんな感じになっているのか早速見に行ってみよう。

もう建物の前に行くことすらできず、ロープには「暫くの間休業します」という旨が書いてある。以前訪れた時の雰囲気とは一変、なんとも物悲しい風景に変わってしまっている。
建物は大丈夫なんだろうかとなんとか頑張って覗いてみると、玄関ドアあたりもロープが張られていて、一部ドアガラスが割れているように見える。
女将さんも常連さんのために頑張って宿の経営をされていたみたいだけど、この状態を見るともう営業再開はないかもしれないなぁ。あの時の楽しかった記憶が思い出されて、ちょっと悲しい気持ちになってしまった。
願わくば、また女将さんの顔を見られる機会がありますように。

横向温泉を出発して長〜いトンネルを抜け坂道になると、まだ曇りではあるものの雨は降らなさそうな雰囲気。対向車を見ても濡れた車は無いから、適当なところでカッパを脱いでノンストップで岳温泉へと向かう。ここらへんは標高が高いから周りの風景が絶景でとにかく楽しい。

この道は以前も通ったことがあるけど全然記憶にないな。でも段々民家が増えてくる感じが町に近づいてるのを知らせてくれているようで次第にテンションがあがってきた。もうそれなりにいい時間だし早く宿に着きたいところ。

岳温泉と岳の湯

いや〜ようやく着いた!今日は移動距離は対したことないけど、山登りやら釣りやら色々したからちょっと疲れてしまった。
でも今日の本番はここから。今もうっすら楽しげなBGMが聞こえている。現場はすぐそこだ!

そう、何を隠そう今日はこの岳温泉で仮装盆踊りなる夏祭りが催されるのだ!このお祭りではその名の通り仮装をして皆で楽しく踊りましょうというちょっと珍しい温泉街の夏祭りらしい。といっても私はなんの仮装もできないんだけど、コロナ期間中ずっと我慢していたお祭り欲を今日発散できるかと思うと楽しみで仕方ないぜ!
お祭りは19時からなので、今のうちにチェックイン&入浴をすませてお祭りに備えよう。

ここは以前日帰り入浴で利用したことがあるけど、実は自炊で宿泊できる湯治宿だったりする。
あの時「いつかここに泊まるぞ・・・」と密かに思ったのを覚えてるけど、こうして実現できたことをとても嬉しく思います!
じゃ、いざ中へGO!

祭りだから結構混んでるかもと思ってたけどそんなにお客さんはいない感じかな。
早速受付で名前を言うと、事務的な感じで少し説明してくれてすぐに部屋に向かうことに。こういう感じも逆に湯治宿っぽい感じがして悪くない。しかしそれよりもどんな部屋なのか楽しみすぎる。

ドアを見ると鄙びた感じはするけど廊下は結構綺麗だ。
私の部屋は廊下の一番手前にある部屋で、古びてちょっとガタガタしてるドアノブに鍵を突っ込んでいざ入室!

客室は6畳のいかにも湯治宿っぽい雰囲気!かといって室内はとても綺麗で、余計なものが一切ないシンプル感が凄くいいぞッ。

ふむふむ、チェックアウトは10時だけど300円で一時間延長できるのか。これはちょっと嬉しいサービスな気がする。ただ20時から23時半まで温泉入れないっていうのは、温泉メインの宿としてちょっとどうなのって気がしないでもない。今回私はお祭り目的で来てるからいいけど、温泉目当てで来る人には結構残念感があるのでは。

意外と扇風機とかエアコンなんかもあるし、部屋に冷蔵庫があるのもありがたい。部屋もきれいだし、ここは結構居心地が良さそうだ。昔ながらの風情というか、昭和っぽいものがちょくちょくあったりして良い空気感のお部屋。気に入ったぜ!

このあと早速温泉に・・・というつもりだったけど、なんとなく始まる前の祭りの雰囲気を味わいたくなったから先に散歩にでも行こうかな。久々の夏祭りでかなりテンション上がり気味だから、始まる前の温泉街の様子を見に行って本番に備えよう!

街には祭ばやしのBGMが流れていて、いかにもこれから祭りが始まるぞって感じが最高。でもまだ外を出歩いてる人は少ない感じかな。
あと成駒の建物の前には湧き水を汲めるところがあったはずだけどなぜか無くなっている。水筒いっぱいに汲みたかったからちょっと残念す。

なんか建物を見るに新しい感じがするから、前に私が来た時以降に作られた広場なんだろうな。椅子やテーブルの他にも屋台が出てたりして、ここがある意味祭りの中心地なのかも。子供が楽しそうに走り回ってて良い広場だ。

岳の湯名物酸性泉と仮装盆踊りを味わう

本番が始まる前にさっぱりして、元気な状態で祭りに参加しよう。
ということで温泉に向かうと、街と宿内の人の少なさとは対照的に結構入浴客がいる模様。多分ほとんど日帰りの人だろうけど、皆も私と同じ考えなのかもしれない。
(なので以下は夜中に撮った写真です)

岳温泉の泉質はph2.5の全国でも珍しい酸性泉で、硫黄臭もばっちりな温泉らしい温泉だ。
ただ他の温泉宿はわからないけど、ここは源泉をそのまま使っているのかやたらと熱いから注意して入らないといけない。
前もあまりの熱さにほとんど入っていられなかっただけに、今日はできるだけ長めに入って、体をピシッと整えたいところだ!

先にあったまってしまわないように、温めのお湯でさっさと体を洗う。
これだけでも気分的にはかなりさっぱりだけど、本番はこれからだ!入浴前に冷たい水を浴びていざ温泉へと歩みを進める。

恐る恐る足を入れると、私の願いは叶わなかったようであまりの熱さに「ウウッ!」と顔が歪む。肩まで入ろうとするだけでも結構気合がいるくらいで、肌へのビリビリした感じは喝を入れられているようで最高なんだけど、なかなか体の力を抜くことができないぜ。。これだから皆すぐ脱出できるように手前にかたまってるんだな。せめて風が室内に吹き込んでくれてたらまだマシなんだけど・・・。

そんなわけで最初の一湯は2分もかからずに逃げ出す体たらくで、その後入浴→水浴びを繰り返して、もう限界となったところで温泉を後にしたのだった。
でもちょっとは熱さに慣れた感じはあるから、後でもう一回入るときはもう少しマシになるでしょう。というか次は誰もいない時に入って水で埋めながら入りたい。まぁほとんど意味ないだろうけどっ。

その後部屋でゆっくりした後、いよいよお祭りが始まる19時直前に宿を出発。さて、今宵は楽しませてもらうぞッ。

そろそろ19時ちょうどということもあって、やぐらの方では挨拶が終わり、これからいよいよ祭り囃子が演奏されるところみたい。
通りにはちらほら浴衣姿の人たちもいて、皆がこのお祭りを楽しみにしていたのが伺える。私のように一人で来てる人はそんなにいないだろうけど、参加できそうだったら私も踊りの輪に加わりたいな〜。

ここまで見た限りだとあんまり仮装してる人はいない感じかなぁ。でもやぐらの前では和装をした子供とかマリオの格好をしてゴミ箱を押してる人なんかもいて、祭りに彩りを添えている!楽しそうでいいじゃない。

もう少しでお囃子が始まる感じかな。水色の法被を着てるおっちゃんたちが赤いやぐらと提灯とは対照的でめっちゃカッコいい!
とりあえず始まる前に一周りして全体の雰囲気を見ておこうかな。

お祭りでこういう広場があるとゆったりできていいね。皆が楽しそうで私も楽しくなってくる。
しかしここが地元で祭りに合わせて帰省してる人もいるんだろうけど、なんだか思った以上に子供が多いのは意外だった。そういえば町の中には小学校もあるんだっけ。賑やかでいいじゃないすか!

と、そうこうしてるうちに囃子方の準備は整ったようで、ようやく祭り囃子がスタートした!
するとさっきまではやぐらの周りは空いてたものの、待ってましたとばかりに周りから人が集まってきて、あっという間に盆踊りの形ができあがった。
やっぱり提灯が並ぶ風景にお囃子の調子が乗ると、雰囲気がぐっと盛り上がって「これぞお祭り!」って感じがする。めっちゃ楽しくなって参りました!

私はというと適当な空きスペースに腰掛けてうちわをパタパタ仰ぎながら祭りを見学中。
さすがに踊ってる人たちは慣れているようで、皆動きがしなやかですごく美しい。子供までもが流れるような踊りを見せているのはさすがだ。
というかこのお囃子が凄く格好いいんだよな。おばちゃんの威勢のいいよく通る声が、皆の気分を煽るようなお囃子に乗って温泉街中に響いてる。「あ〜ヨイヨイヨ〜イショナ〜」からの流れが特に最高でめっちゃカッコいいス!

おばちゃん良い声すぎるぜ

これはなんていう曲名のお囃子なんだろう。民俗学は好きだけどそこらへんの知識はさっぱりだから全然わからないけど、地域によって違う曲調ていうのも面白いな。記憶に残ってるお囃子といえば郡上おどりの春駒だけど、なんとなくその時のことを思い出して懐かしくなってしまった。

いや〜特に何するでもなく、のんびりふらふらしてるだけでも楽しいな。
でも実際のところ祭りの本番は明日で、夜にはコスプレコンテストやら浴衣コンテストなんかがあるみたいだから、明日の夜は今以上の熱気で盛り上がるんだろな。今日はちょっと控えめな前夜祭といったところだろうけど、それでもこの楽しげでどこかノスタルジックな空気感は夏祭りならではでめっちゃ楽しい。
じゃ、せっかくの祭りなわけだしどこかで食べ物でもいただこうかしらね。

色んなところで食べ物が売ってるけど、できるならどこか席があるところで食べたいなと思ってよろずやへ向かう私。
着いてみると店内は混み混みだけど外の席には誰も座ってないので、店先で売ってる焼き鳥を買いがてら「あそこの席座っても大丈夫ですか?」と聞いてみると「ああ、いいよいいよ〜。じゃあ焼けたら席に持ってってあげるから」と言ってくれたので席について出来上がりを待つことに。
すると焼鳥とは反対側で梅ジュースやら飲み物を売っているお姉さんがいたので、「これは!」と思い梅ジュースも買ってみた。どうやら自家製らしいんだけど、梅ジュース好きとしてはかなり嬉しいメニューだ。

焼き鳥も冷凍ものを焼いてるのを見ちゃったけど雰囲気が良いから普通にウマいな!しかしなんと言っても梅ジュースが最高にイイ!甘すぎずさっぱりした梅の風味が後を引く美味しさ。これは後でもう一回買うことになるでしょう。

そんな風にして幸せ気分でのんびりしていたら、梅ジュースを売ってるお姉さんが「お一人で来られたんですか?」と話しかけてきてくれた。
「はい、色んなところを原付きで回ってて、今日はお祭りのためにここに来たんです」というと「ええ!?原付きで!?」と驚いているお姉さんは凄くほがらかで話しやすい素敵なお人。きっと一人で来ている私に気を使って話しかけてくれたんだろう。

お姉さんのもとには続々と注文が入るけど、途切れ途切れになりながらも楽しそうに雑談を続けてくれて凄くありがたい。途中「梅ジュースめっちゃ美味しいっすね」と伝えると、これはお姉さんが仕込んだものらしく、丁寧にレシピまで教えてくれた(梅1kgに氷砂糖700gを炊飯器に入れて12時間保温)。その後の梅は乾燥させて食べると美味しいなど、思わぬところで良いレシピを教えてもらって「ありがたいなぁ」としみじみしてしまった。

その後も色んなことを話して楽しい時間を過ごさせてもらった後、いよいよ祭りも終わりの時間が近づいてきたからやぐらの方に向かうことに。梅ジュースにハマっちゃったもんだから「また後で来ます〜」と言ってよろずやを後にした。

しばらく佇んでいるとこれまでのリズムとは一転、「ドコドコドコ」という太鼓の音と「ヤ〜レヤ〜レ」というおばちゃんの囃し立てる声と共に、子供たちが一箇所に走り集まってきて最後の盛り上がりを見せ始めた。
皆阿波おどりみたいに両手をあげてお囃子に合わせて体を踊らせながら、「ドコドン!りがとうございました〜」というおばちゃんの声でお祭りは締めとなり、最後のあいさつが終わったところで仮装盆踊り初日は幕を閉じたのだった。

いや〜なんか混みすぎず空きすぎず、皆それぞれ思い思いにのんびり楽しんでる感じが凄く居心地よかったな。よろずやのお姉さんと喋れたのも思わぬ縁で楽しかったし、やっぱり田舎の夏祭りって最高だ。
お囃子のカッコよさにも痺れたし、今回この仮装盆踊りを選んで良かったぜ。他にも候補はいくつかあったんだけど、ここを選んで大正解でした。
明日はどうなるのかだけ気になるから、また機会があれば本祭りの日に来てみたいッ!

夜の宿と夜中の散歩

祭りが終わって喧騒から離れるとなんだかちょっとさみしい気持ち。でもこの感覚も久しぶりで、結構充実感があって悪くないな。今日はこの気持ちを胸に眠るとしよう。
っていうかこの弁当に張り付いてたタレ、お兄さんがあっためる時に外してたけど袋に入れ忘れたなッ。でも気分が良いから気にしない!

食後は疲れと満腹感で一瞬で眠くなってしまったので、布団を敷いてちょっと仮眠をとることに。
さすがに温泉宿に泊まって一回しか風呂に入らないというのも寂しいから、後で目が覚めたらもう一回入りに行こう。どうせ数時間で目覚めるだろうし。

というわけで就寝後、予想通り12時すぎに目が覚めたのでそのまま温泉に向かうことに。
ちょっとしか寝てないけど、私はわりと短時間睡眠でも大丈夫な方だから結構疲れが取れたな。こっからは温泉でゆっくりさせてもらおう。

心の中で「ヨシッ」とガッツポーズして、がっつり蛇口をひねってドバドバ水を出してから体を洗う。まぁこれをやっても短時間では大して意味がないのは分かってるんだけど、やっぱりやらないよりはやる方が良い。さっきよりはもう少し長湯をしたいし。

ジャバジャバと水が勢いよく流れ落ちる音を聞きながらささっと体を洗った後はいざ入浴。
ちゃぷんとつま先を入れてみたところやっぱりほぼ変化なしだけど、せめて少しでもということで水のそばでゆっくり肩まで浸かっていく。さっきは熱さに気を取られてあまり感じられてなかったけど、硫黄の匂いもしっかり香ってくるしこれぞ温泉って感じでいい気分だ。ここまでわりと肌に優しい温泉に連日浸かってたから、ここで一回ピシッと刺激のある温泉に浸かるのもまた良さそうだ。
でもやっぱり長いことは入ってられないな。冷水シャワーと交互に楽しむのが一番だということがよくわかりました。

観光協会
灯りはついてるけど誰もいない。看板にあるニコニコ共和国ってなんだろ

祭りのときとは一転、静まり返ったメインストリートも味わい深くてイイな。皆楽しい思い出と共に今頃よく寝てることだろう。そんな中でも未だに営業してるよろずやはさすが居酒屋だ。賑やかなのもいいけど、私は一人この静けさと余韻を楽しませてもらおう。今回の旅のメインはこのお祭りだったんだから。

その後ぼ〜っとベンチで寝っ転がった後部屋に戻って夜食タイムへ。今日は特にこれといって夜食を買ったわけではないけど、残りの桃が3つあるからそれを食べることにしよう。実は冷蔵庫で冷やしてあるからまだ少しほてった体にはちょうどいいはず!

あれ、この桃はちょっと硬めでシャリシャリ感が残ってるな。まだ熟れていなかったか。でも意外と甘いし、シャリシャリの桃を食べるっていう経験もあんまりしたことないからこれはこれでいいかも。熟れてなくてもこれだけ甘けりゃ満足よ。ごちそうさまでした!

朝の岳温泉と温泉、そして出発へ

朝は特に目覚ましをセットしていたわけではないので、8時頃に自然に起床。宿は食事付きが一番良いけど、早起きしなくて良い素泊まりもなかなか悪くない。たっぷり寝て完全に元気100倍状態の朝でございます。

起きて早々お茶をぐいっと一気飲みして、早速温泉に向かうとさすがに先客がちらほら(なので写真は無し)。
昨日は全然宿泊客に会わなかっただけに、「やっぱ泊まってる人いたんだな〜」なんて思いながらもささっと体を洗って湯に浸かると、やっぱりとんでもなく暑いけど逆にそれが目覚まし代わりになって目がぱっちり冴えてきた。
まぁ昨日と同じく長湯はまったくできそうにないけど、目の前で目をつぶってる微動だにしないおじいさんはよくこんな激熱湯に入っていられるもんだ。私もその精神力を見習いたい。

そうしてまた冷水シャワー→入浴を繰り返して、もうアカンとなったところで温泉からあがり、外に涼みにいたのだった。

朝は外の風が爽やかでイイ!向こうに見える少し坂になったメインストリートの提灯も、景色に彩りを与えて良い眺めだこれは。
今日は後1時間くらいしたらこの景色ともおさらばして、いつもよりちょっと眺めのツーリングに出発しなきゃならないから、今のうちにこの岳温泉の空気感を楽しんでおかねば。もう二度目だから、次来るとしたら結構先のことになりそうだし。
どんな宿でもそうだけど、この朝の時間が個人的に大事な時間だったりするのだ。

そんな感じでちょっとフラっとしたり軽く体操したりした後は、部屋に戻って荷物の整理をはじめる。
昨日はよく寝たし、今日は少し長距離だしで、ダラダラせずいつもより早く出発しないとな。朝ごはんは山を降りたあたりに道の駅があるから、そこで調達することにしよう。こういうのもなんだか旅感があっていいじゃない。

その後荷物の整理も終わったんで洗面所に歯磨きしに行くと、珍しいことに中学生くらいの男の子が一人で歯を磨いているところに遭遇した。
今までにないシーンだったもんだからなんとなく気になって「君、一人で来てるの?」と聞いてみると、「本宮って知ってますか?そこから泊まりに来ました」とのことで、夏になるといつも一人で泊まりに来てるらしい。その理由まではわからなかったけど、このくらいの歳で一人で自炊宿に泊まりに来るとは素晴らしいセンスだ。私も中学生の頃にこんなところに一人で泊まりに来てたら楽しくてしょうがなかっただろうな。なんだか良いものを見せてもらった気がした。

実はチェックインの時に宿泊代は払っているので、受付のおじさんに部屋の鍵だけ渡してそのままスーっと宿を出た。
天気は少しだけ曇っているけど、暑くない分それはそれでありがたい。きっと山を降りたら晴れてるだろうし、今は朝くらいは快適に進ませてもらおう。
ここからはもう帰るルートだから南へ向かってまっしぐら。旅の終わりが近づいてきて少しさみしいけど、今日も楽しんでいきたいと思います!


今回泊った岳の湯さんは自炊宿ということで多少古びた感じはあるものの、施設全体が綺麗で、部屋には冷蔵庫やエアコン、扇風機もしっかり備えられているとても過ごしやすい宿でした。
バスタオルやソープ類などが必要な人は準備をしていくべきですが、個人的に自炊宿で浴衣がついてくるのは結構ありがたかったです。
温泉に関しては記事で散々書いていたようにとても熱いので、のぼせやすい人や熱いお湯が苦手な人はかなり苦戦を強いられると思いますが、泉質が良いので肌と心に喝を入れるつもりで入ってもらえれば岳温泉の魅力を味わえるかもしれません。
レトロな空気を味わいつつ、比較的快適に自炊で泊まる経験ができるのでオススメです。

岳の湯 : 1泊素泊まり 4,000円(税込)

  1. まいらー より:

    ネギさん、こんにちは。
    次は岳温泉でしたね!私も共同湯は日帰りでしか行ったことがなかったです。泊まれるの知らなかった。私も成駒でソースカツ丼食べました。
    白濁の硫黄泉は温泉に来たー!って気になりますよね。
    久しぶりにお祭りを堪能されてよかったです。

    途中の山塩ラーメン気になります。美味しそう^_^私は温泉に行くと何故かお蕎麦よりラーメンを欲します。塩分と油分を求めてしまうのかな?

    学生時代の友人が栃木の実家に帰っていて、年一回くらい旅行に行くんです。なので福島に行きがちなんですよね。今回のネギさんの宿情報参考になりました。

    先のレポート、岩瀬湯本温泉の宿、コメント返信しました。
    追記です。その後に湯小屋温泉も行きました。湯口屋も湯小屋温泉もつげ義春が泊まったようで、湯小屋温泉のご主人につげファンと勘違いされました。笑
    ツゲさんと鬼熊さんと行かれたらどうですか?

    • ネギ ネギ より:

      まいらーさんこちらでもこんにちは( ^ω^)

      よろずやさんで梅ジュース売ってたお姉さんも「あそこって泊まれるんですか?」って言ってました(笑)実はあんまり知られてないのかもしれませんね。
      硫黄泉こそ「ザ・温泉」って感じがしてテンションあがりますよね〜。硫黄泉入った後にバイクに乗るとヘルメットの内側に硫黄の匂いがついて、かぶったりする度にフワっと香っていい感じだったりします。

      山塩ラーメン、観光地にありがちな適当な感じが全然しなくて凄く美味しかったですよ!やっぱり夏とか温泉とか汗かくような時は私も断然ラーメン派です( •̀ᴗ•́ )
      もし行かれた時はチャーシュー麺を食べてみてください。大満足間違いなしですっ。

      湯小屋温泉ってわりと最近新しくなったとこですよね?あそこもかなり泊まりたいですが、宿泊料が高くて「ちょっとキツイな〜」って思った記憶があります。
      しかし連続で良い宿に泊まられて最高ですね!山の中の露天は最高ですし、二岐温泉に泊まることがあったらぜひ連泊したいと前々から思ってます。
      つげ義春ゆかりの宿となればツゲは絶対喜びますし、行かないかと聞いてみます(笑

      実は9月の終わり頃に鬼熊とツゲ+1名とで久々に旅行に行く予定を立ててます。
      その宿のことも記事にするんで、久々の彼らの登場を楽しみにしててくださいm(_ _)m