【下田・呑三】女将さんの人柄が光る!温泉・夕食・眺めが素晴らしい居心地良し民宿

静岡

以前鬼熊(私の友人。過去記事にも登場)と話していた時、久々に皆で旅行に行きたいという話になり、9月の終わり頃、一人新メンバーを加えて、私・鬼熊・ツゲ+新メンバーの足軽の4人で一泊二日の伊豆旅行に行ってきました。

合流の地、小田原へ

新メンバーと言ってもこのブログではという話で、足軽とは鬼熊たちと同じくらい長い付き合いだ。
彼はこのメンツの中で最年少。一見先輩に愛される後輩キャラのようではあるけど、なかなかに食えない男だと個人的には面白がりながらも怪しんでいる。

そんな足軽+ツゲと待ち合わせをしたのは朝7時10分の渋谷ハチ公前。9時には小田原について鬼熊と合流という流れなので、こんな朝早くから渋谷に集合することになった。

遅刻の常習犯であるツゲからは予想通り「サキニイッテテ(要約)」という旨のメッセージが入っていたので、酔っ払いが寝転がっているハチ公前のベンチで少しばかり足軽を待っていると、意外とすぐに姿を現した。

足軽「ネギくん、お久しぶりッス^^」
私「おお、足軽久しぶり〜。ちゃんと間に合うように来たね」
足軽「もちろんス。すごい楽しみにしてたんですから^^ ネギ君元気そうですねぇ」

久々に会った足軽は、まるでタイかベトナムにでもいそうなTシャツ+短パン+サンダル姿という超軽装ファッション。いかにも彼らしい格好だけど、残念ながら渋谷にはまったく合っていない。でもこれから海に向かうことを考えると、彼の夏全開な格好は好印象な私だった。

そんなこんなで久々の挨拶を交わしながらも、そこまで時間に余裕が無いからすぐに移動して電車に乗り込む私達。余裕で座れたので、あとは小田原までひとっとびだ。
いよいよ旅行が始まったとじわじわテンションが上っている私の横で、彼もまたウキウキしているのか、酒好きの足軽は「ビール飲みたいっす^^」と早くもアルコールを欲し始めていた。

改札を出て早々、「ちょっとトイレ行ってきやす^^」と足軽は急ぎ気味に去っていったので、その間フラフラしてようかなとちょっと歩いたら、「よっ」とばかりに片手を挙げてにこやかに近づいてくる見慣れた男が。

ツゲだ。
まだ言葉は発していないものの、なんだか機嫌がよさそう(ニコニコしてるし)なのがわかる。私達の待ち合わせには遅れたけど、ちゃんと小田原に時間通りに着いているのは偉い。あとは鬼熊と合流したら、いよいよ本格的に伊豆旅行が始まる!

「おっ、ツゲくんじゃないすか、久しぶりっすね^^」とトイレから戻ってきた足軽と合流し、珍しい三人組でわいわい話しながらロータリーがある側の出口へ向かう。

ツゲ「ジツハ、サイキンイシモダニイッタンダヨネ..」
私「えっ!?いつ?」
ツゲ「ナツニ…」
足軽「まじっすか?僕も春頃に仲間と行ってきたんスよ、下田^^」
私「なんでよりにもよって二人とも下田なのよ」

いくら伊豆が東京から近いステキな観光地だからって、二人共今年すでに下田に行ってるってどうなってんの。しかもツゲにいたっては今日泊まる宿のすぐ近くで泊まったらしいし。最初に言ってくれていたら違う場所にしたものを(今回宿を決めたのは私なんで)。
まぁ2人共それはそれとして楽しみにしてるみたいだからいいけどね。

と、そんな感じでわいわい歩きがてら足軽が鬼熊に連絡してみたところ、鬼熊はすでに到着して車の中で待っているらしかった。
さすが鬼熊。まぁ鬼熊が時間に遅れることはあまりないから、きっともうちょい前から待っていたんだろう。まっすぐ彼の元へ急がねば。

車から降りてきた鬼熊は「お〜、いらっしゃ〜い!」と嬉しそうに私達を出迎えてくれた。今回は私達をピックアップするために東京まで来る必要もないからよく眠れたことだろう。そういう意味でも彼は調子が良さそうだ。

足軽「鬼熊さん久しぶりっす^^」
ツゲ「( ^_^)」
鬼熊「おう久しぶり〜。ちょっと車通りあるから荷物入れたい人は後ろに入れちゃって」

まずは熱海でお昼ごはん

というわけで珍しい四人組が揃ったところで早速車に乗り込み、いよいよ本格的に旅が始まった。
私は一人旅が好きだけど、こうして友達同士で(しかも運転しないで)旅行に行けるとなるとやはりこれもまた楽しい。これから一晩このメンツで遊べると思うとワクワクしてくるけど、できれば足軽には泥酔しないでもらいたいものだ。
助手席から見える鬼熊の横顔も、久しぶりの旅行で楽しさが滲んでいるように見えた。

足軽「そういえば鬼熊さん、ツゲくん、靴持ってきましたか?^^」
ツゲ「モッテキタ」
鬼熊「おう持ってきたよ〜。でもなに、急にどうしたの?」
私「よくやるよ皆」

実は足軽はここ数年ランニングに目覚めているらしく、家の近所はもちろん旅行先でも朝に走ったりしているようで、旅の前のグループチャットで「よかったら皆で走りませんか?」と皆を早朝ランニングに誘っていたのだ。
今回の宿は私が温泉宿を予約したからもちろん朝にすべきことは温泉に入ること。なので丁重にお断りしたわけだけど、二人はランニングする気満々なようで、実際こうして皆靴を持ってきたようだ。

足軽「ネギくんは持ってきたすか?^^」
私「俺は走らないって。温泉宿の朝は温泉に入ってまったりするものなのだ」
足軽「その靴でも全然走れますよ?走ってから入ったほうが気持ちいと思うし^^」
私「俺は温泉に入ってゆっくり朝の散歩をするんだッ」
足軽「わかりました。じゃ、一旦この話は預かっときます^^」

諦めの悪い男だ。

今回の宿は私に選択権があったから(というかいつもそうだけど)山の中の宿も色々探したけど、いつも一人で山ばかり行ってるから、さすがに海辺の宿に泊まりたいというわけで伊豆に行くことになったというのが今回の宿選びの経緯。
そんなわけだからこうして左一面に広大な海が広がっているのを見ると、いつもと違うテンションの上がり方をしてくるのを感じる。幸いにもまだ少し夏の暑さが残ってるし、もしクラゲとかいなかったら少しくらい海で泳いでもいいかもな〜なんて考えるとどんどん楽しくなってくるじゃないッ。
今回は前から行きたかったスポットも予定に組み込んであるし、楽しみがいっぱいだぜ。

熱海は数年前から人気が再燃してると聞いていたけど、中心部はもちろんいたるところに人が歩いている(この写真では少なそうに見えるけど)。駅前の商店街なんかは本当に人が多く、熱海の復活を肌で感じられる。
レトロさを全面に出すような戦略らしいけど、昨今のレトロブームも相まって、ということだろうか。

そんな熱海の地に降り立った理由はまず「昼飯を食べること」と「私の行きたい店に行くこと」だけど、まだ目的のお店はやってないので皆でぶらぶら熱海観光へと歩き出した。

酒屋
「酒飲みたいっす^^」という足軽のために酒屋へ。ランチまで待てないらしい

足軽はじっくり店内を物色して、富士なんちゃらという地ビールを買ってホクホク顔。ようやく酒が飲めてかなり嬉しいようだ。一方運転のため酒が飲めない鬼熊だけど、優しい彼は周りの人の幸せを喜ぶ男なのでこっちはニコニコ顔。おだやかな旅だ。

ランチに決めていたのは商店街にある磯丸という寿司屋。せっかくだから新鮮な魚を食べたいということで、電車内で足軽と決めた店だ。開店まであと数分なので店の前で待つ男たち。
そんな中、空腹を我慢できなかったのか、鬼熊は近くの店で買ったフルーツサンドを知らぬ間になぜか物陰で食べていた。

その後中から店員さんがやってきて、名前を呼ばれた人から次々と店内へ。
私達も最初の方に書いていたので、すんなり店にはいることができたのだった。

皆お腹が空いていたのか、席につくなりすぐにメニューを広げて何を食べるか吟味し始める男たち。
皆はなんちゃらセットみたいなのを選んでいたけど、私は好きなものを食べたかったので一つ一つ選ぶことにした。
海沿いの街だからきっとあまり馴染みのない魚もあることだろうと楽しみにしていたけど別にそういうこともなかったので、結果的に馴染みのある好きなものばかりをいろいろ注文。まだ席も埋まってないので、すぐに注文の品がやってきた。

普段そんなに寿司を食べないから、寿司下駄に並べられた美味しそうなにぎりが神々しく感じるっ。
先に食べていたツゲも「ウマイ…」と満足げだったので私も期待してアジから食べてみると、さすがに海から近いこともあって脂の乗った新鮮さを感じる。一貫一貫はそんなに大きくないけどこれはウマイぞッ。
足軽もさっき酒を飲んだばかりなのに「いや〜いいっすね、旅^^」とか言いながらぐいぐいビールをあおっていた。

土産物を買い、ふらふらと南下

正直腹六分目くらいで満腹にはならなかったけど、それでも美味しかったから良しということで、腹ごなしもかねて私が行きたい店へ皆で向かうことに。
その店は商店街からはちょっと離れているけど、久しぶりの熱海を観察して回るにはちょうどいい距離だ。
さすがに盛り返しているだけあって道々にはお洒落なお店も多く、スタンディングで気軽に飲食できるようなところもあったり。さっきも言ったけど、ここらへんに泊まったら夜は楽しそうだな〜って雰囲気が漂ってて面白い。なんか良さげなレトロ宿もあるし、そのうち一回泊まりに来たいな。

ここは以前Xでたまたま知ったお店なんだけど、オンラインショップがある割に全部売り切れで何も買えない状態になってるから、必ず現地にいかなければと思っていたお店だ。
レトロを売りにしてる熱海らしく、今っぽいおしゃれさも感じられるレトログッズを売っているお店ということで凄く気になっていた。でもまさか、こんなに小さいお店だったとは。

ここでお土産を買うのは私だけみたいだけど、皆結構このお店を気に入ってくれたみたいだ。ツゲなんかは私と好みが近いから「ウン…ウン…」と言いながら真剣に雑貨を見ているようだ。
足軽は既婚者だから「奥さんに買ってったら?可愛いし喜ぶかも」と提案したが「いいすよね〜、でも、うん、いや〜、でも大丈夫っす^^」となぜか微妙に渋って結局買わないのは足軽らしい。

私があまりに迷ってるから途中で皆はどこかへ消えちゃったけど、結局悩みに悩んで小物入れ用に首からぶら下げるタイプのタバコケースと温泉ポーチを購入。
店員のおじさんも良い感じの人だったし、他のものを買うためにいずれまた来なくちゃならないな、ここは!

その後鬼熊たちと合流して、改めて南下を続けるため車へと乗り込んだ。

個人的に伊豆の東側方面から熱海より南に行くルートは本当に久しぶりで、これからどんな街々が見られるのかほんとど記憶にない。名前だけは知ってる網代や伊東など、かなり小さい頃に行ったっきりだから全く覚えてないから、鬼熊に「時間あるから途中にある街をブラブラ流しながら向かおう」と注文して、私達はまた海沿いの道を走り出した。

のんびり雑談していると、ご覧の通りの曇り空なのでしとしとと雨が降ってきてしまった。
天気予報によると雨はすぐに去っていくようだけど、山も近いしそんな予報通りにはいかないかもしれない。
できることなら夜までには止んでくれたらいいけど。

そうこうしているうちに、私達一行はかの有名な伊東までもうすぐというところまで来ていた。
伊藤といったらハトヤが有名だけど、もうあの「伊東に行くならハ・ト・ヤ〜」のCMを見なくなってだいぶ経つ。でも伊東には今でもハトヤホテルとサンハトヤが営業していて、しっかり人気の宿らしい・・・というのは自称伊東に詳しいという足軽談である。

伊東に到着したら足軽は急にさっきよりも饒舌になり始めた。どうやら伊東には何回か来ていて、今年も一泊二日で泊まりに来たらしい。

足軽「伊東この前も来たんすよ。ほらあそこ、パウエル!パウエル!^^/」
私「なに、パウエルってなによ」
足軽「ほら見えてきましたよ。あそこのパウエルってとこ泊まったんすよ。ネギくんああいうとこ好きじゃないっすか?^^」
私「んん?」

なるほど、見てみると確かに昭和っぽいレトロさのある建物だ。きっと内観もバブル期っぽい内装で私も結構気にいるかも知れない。足軽いわく安くて良い宿らしいので、もしもの時のために一応チェックしておこう。

その後「伊東は何度か走ってるんでまかせてください^^」という足軽の案内で伊東の路地をひとしきり走って袋小路にハマったあと、再び国道に戻って南下を再開。雨はまだ降り続いている。

今回は国道沿いをメインに走ってるからあれだけど、この伊東も他の場所も、細かいところを走れば色んな面白い場所が見つかりそうな気配をビンビン感じてる。
この川奈というところも鬼熊が不意に寄ってくれなかったらきっと知らないままだったろうし、これは改めて原付きで来る必要があるかもしれないな。
今回は行けないけど寂れた観光地として有名な熱川とか小さな温泉地とか、きっと良い出会いがあるはずだ。
あと今回は寄らないけど、怪しい少年少女博物館というところにも行ってみたいし。

もうちょっとで道の駅があるようだけど、足軽も我慢の限界だったようで伊豆高原駅に寄ることになった。
というか建物に近づくまで、ここらへんの建物は道の駅的な施設だと思い込んでいたんだけど、近づいてみたら駅だったというよくわからない状態のまま駅へ向かっている私達。
ちなみに駐車場は20分まで無料ということなので制限時間は20分だ。

あんまり繁盛してないようだけど、このショッピングモール(エリア?)にはカフェやらお茶屋さんとか色々あるみたい。時間があったらここでゆっくりするのもいいけど、今はただ歩きながら見学するのみだ。
ちなみにお茶屋さんでは「ぐり茶」なるものを推していたけど、それがなんなのかはわからない。

その後残り一分というところで無事車に戻りいざ出発。
ここからは私がチェックしていた観光ポイントが2連続で待ち構えている。少しばかり時間も押してきているから、なるべくなら早めに第一スポットに到着したいところだ。
なぜならそこは私が昔から行きたいと思っていたところだからッ。

トンネルを通る露天風呂、磯の湯へ

そんな中、皆にはこれからどんな場所に行くかの概要だけを教えて、私はスマホでマップを見ながら鬼熊に指示を出す。と言っても国道沿いだから難しくはなさそうだけど、もし通り過ぎたら戻るのも面倒そうなんでしっかりナビをしていく。

すると左面に広がる大海原のの波打ち際に目的の施設を発見。そこは直ぐ目の前に海が広がるなんとも開放的な露天風呂。その名も大川露天風呂磯の湯だ。

特に大きい立派な施設でもないので「どこに駐めたらいいんだ?」と皆で目を凝らしていたら、道路右の山側に駐車場が合ったので、する〜っと入っていった。

駐車場は露天風呂利用者ならタダらしく、先客も一台だけっぽいのですんなり駐めることができた。
前々から来たかった私としてはもうテンション上がりっぱなしなんだけど、正直に言うとワクワクしてるポイントは、露天風呂そのものよりも露天風呂へのアクセスの方法だ。
この道路向かいの崖下にある露天風呂に一体どうやって行くのか、皆もさぞ驚くことだろう!

足軽「ここ行くんすか?すごいっすね^^」
鬼熊「すごいなここ〜」
ツゲ「オ~」

と、この怪しげな下り階段を見て、皆面白さと意外さに驚いているようだ。
露天風呂に行くための入口がこんな面白そうなところはそうそう無いだろう。私も「いいじゃ〜ん」とつい笑顔になってしまう・

そう、ここに来たかった。ここを通りたかったのです!
初めて目の当たりにしたこの通路、もうなんと言ったらいいのかわからないけど冒険心をくすぐられまくってめっちゃ面白いっ。
というかここって完全に水路だよね。ここを通路にしようと思ったアイデアが素晴らしい。

受付まで行くと凄くフレンドリーなおばちゃんが「いらっしゃいませ〜」と迎えてくれた。
一人500円。ソープ類は一切ない共同浴場形式みたいだから高いか安いかは人次第だけど、私としては完全にありがたいお値段だ。こんな楽しい思いをして温泉にまで入れるんだから、その価値は十二分にあるでしょ!

というわけで男四人でぞろぞろと脱衣所に向かう。
建物自体がコンパクトだから脱衣所ももちろん狭く、ちょうど男四人でいっぱいという広さだ。それでもちゃんと扇風機が設置してあるのはありがたい。
さらに脱衣所に入る時に先客のおじいさんと入れ違いになったから、今は私達だけの貸切状態。そんな中「お〜いいじゃんここ〜」と浴場を見ている鬼熊につられて私も覗いてみると、そこには思った以上に開放的な露天風呂が待っていたッ。

思ってたよりは目の前に柵があって見晴らしが広いわけじゃないけど、それでも水平線と広い空を眺めることができる絶好のシチュエーション。浴槽も渋い岩風呂で周りの景色と合ってるし、凄く私の好きな感じだ。
泉質はナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉とのことで、きっと肌にも良いことだろう。足軽がさっさと温泉に向かったので、私も遅れを取らないようさっさと服を脱いだ。

「あちっす!^^;」と先にかけ湯をした足軽が叫んだ。
どうやらこの温泉は集めの湯らしい・・・けど、さすがに叫ぶほどではないだろう、おじいさんも入ってたし・・・と熱がる足軽を笑いながら私も一杯浴びてみると、やっぱり叫びはしないものの、確かに「あちっ」って声が出ちゃうくらいには熱い温泉だ。
そんな中ツゲは「フー」と言いながら普通にかけ湯してチャポンと自然に湯に浸かっていった。彼には全く問題ない温度らしい。

私も肩まで浸かってみるとやっぱり熱い。でも吹き抜ける風が涼しいから、意外と入っていられる。
体が慣れてくると景色を眺める余裕も出てきて、こうなるともう気分は極楽だ。まったりしたさざなみの音に、しっかり気合が入った集めの湯、そして広がる地平線。前々から入ってみたかった温泉がここまで最高だとは・・・皆で来ることができて良かったぜ。
温泉も海みたいなしょっぱい味がするし、これはもう温かい海水に浸かっているといても過言ではない!

足軽「めっちゃいいとこっすね^^」
鬼熊「染みるぜ」
ツゲ「コレハ、ネギトイッショジャナキャコレナカッタナ…」

と皆満足そう。旅のプランを立てた側からすると、これだけ嬉しいことはないぜ。。

露天風呂前
そしてあがった後はしばらく休憩へ。鬼熊は野球だかサッカーだかの試合を見ている

風呂からあがったらコーヒー牛乳の一杯でも一気飲みしたいところだけど(ちなみにそういったものは売ってない)、ここからちょっと行ったところにある次なる立ち寄りスポットでは美味しいジュースが待っているので、申し訳ないけど皆には水分補給を我慢してもらっている。
皆も早く何かを飲みたいようなんで、休憩もそこそこに受付のおばちゃんに挨拶して車に戻ったのだった。

本格的なオレンジジュース、そして酒屋

もう既に予定していたチェックイン時間を過ぎてしまっているので、一旦宿に電話を入れておくことに。

私「もしもし、◯◯ですけどちょっと到着が遅れてて、18時前には着くと思います」

女将「ああ大丈夫大丈夫、今どこらへんなの?急がなくていいからね〜」

とフランクな女将さんは思った以上にあっさりしていた。
というのも、宿の予約で電話した時に当日の天気の話をした時も「もしその日雨が凄かったら無理して来なくて大丈夫だからね〜。そうなってもキャンセル料いらないから」ときっぷの良い返事をくれた女将さんで好印象だったんだけど、改めて話してみたらやっぱりそんな感じでちょっと安心した。

次のスポットに行った後はほぼ宿に向かうだけだけど、どうやら足軽が良い酒を買える宿から近めの酒屋をみつくろっていたみたいで、そこにも行く必要がある流れだ。
「時間厳しそうだったら僕走っていってきますよ^^」という足軽だったが、「宿から近いんだったら車でいこう」という鬼熊の優しさにより、酒屋の後に宿というコースに決まった。まぁ大丈夫でしょう。

ここは旅の計画を立てるためマップを見ている時にたまたま発見したところなんだけど、搾りたての新鮮オレンジジュースがやたら美味しいと評判だったので絶対に行こうと決めていた。
私がオレンジジュース大好きというのもあるけど、温泉から近いというのも大きなポイントだ。さて、一体どんなお店なんでしょか。

個人的にここで酒を買うのもいいんじゃないかと思って鬼熊と足軽に勧めてみたけど、「おいしそうね〜」とは言いつつもあまり彼らの琴線には触れなかったらしい。代わりに夜食用の妙な漬物を物色していた。

ジュース売り場では派手にデカデカとオレンヂジュースを推していて良い感じ。よほど味に自信があるんだろう。
メニューを見てみるとブルーベリージュースもあるようだけど、ここはやっぱりオレンジジュースが一番だ。サイズは「レギュラー」「グランデ」「ウルトラ」と三段階あって本来ならウルトラサイズを飲みたいところだけど、もう夕食も近いことだしレギュラーにしておくか。

泡立ってるのがいかにも搾りたてって感じがしてイイ!
先に飲んでいたツゲの「ウマイッ」の一言に期待しながら一口飲んでみると、さらっとしていながらも濃厚なオレンジ(みかん)味が口いっぱいに広がってめちゃくちゃウマイ!風味もイイ!
さすがあれだけ自信ありげに色々飾ってるだけのことはある。これは本気で毎日でも飲みたい味だわ。。

鬼熊はよほど喉が乾いていたのかオレンジジュースに加えてブルーベリージュースも買ってきて一口飲ませてくれたけど、鬼熊が「うん、めっちゃうまい」と言う通りブルーベリージュースも文句なしにウマイ。ブルーベリーはよくわかんないけど、オレンジ(みかん)に関してはさすが産地というべきナイスなお味でした。
足軽も「これウマ^^」と満足そうで良かったぜ。

オレンヂセンターから一気に南下していくと、道の脇にヤシの木が見え始めてビーチ感が出始めた。ここが私達が目指していた下田。懐かしの下田の街だ。

二十歳前後くらいのころに下田に旅行に行って、この街道沿いの安いホテルに泊まったっけ。朝に冷めたチキンがでてきたのをよく覚えてるけど、あのホテルはまだ営業してるんだろか。懐かしいな〜、久しぶりの下田だ。

ツゲはこの前来たばかりというからそんな感慨もないだろうけど、私は一人しみじみした気持ちになりながら、ひとまず宿を通り過ぎて足軽オススメの酒屋へと向かう。その店は下田の市街地にあるらしいから、車ならほんの数分だ。

なんかお洒落な竹のオブジェでライトアップされてたりして、歴史がありながらもお洒落な雰囲気を醸し出している土藤商店。
「良さそうなところでしょ?^^」と得意そうにしている足軽だが、確かにここは良さそうなお店だ。

ツゲもレトロ好きなのでやや興奮気味。鬼熊もこういうのは好きだから、私と同じく黄桜の袋とその他雑貨を買うようだ。でも足軽はそうでもないらしく、一人酒を物色しに行った。

鬼熊たちは店員さんにおすすめのお酒を聞きながら、日本酒の瓶を三本にその他ビールやらを色々買い漁ったようだ。
あまり酒を飲まない私に酒飲みの友人たちでこの構図は昔からだから、彼らは彼らで会計を済ませて満足そうに大きな袋を抱えて車に向かった。
さて、それじゃあいよいよ宿に向かうとしようか!!

呑三到着!そして温泉へ

そうして宿前に到着したものの駐車場がよくわからず、一旦隣の空き地に駐車して足軽が女将さんに電話をすることに。するとすぐに女将さんが出てきてくれたけど、ここは隣の家の敷地らしいので本当の駐車場に案内してくれるようだ。

そういうわけなので鬼熊以外は荷物を持ってそのまま宿へ。
「2階の右側の戸が開いてる部屋だから」という女将さんに返事をして、私と足軽は意気揚々と玄関へと入っていく。ツゲはよくわからないけど鬼熊の車について行った。

そうこうしていると鬼熊とツゲも合流。
「どんな感じ〜?」と興味津々の鬼熊たちと共にいざ部屋へ!

アメニティはフェイスタオルに歯磨きに浴衣と必要なものは一通り揃っていてありがたい。
いやしかし部屋も広いし綺麗だし、かなり良い部屋を用意してくれたな!こんな奥に長い部屋に泊まるのも個人的になかなか無い経験だ。

鬼熊「めっちゃ広いじゃん〜」
足軽「ネギくん景色めっちゃいいっすよ!^^/」
ツゲ「イイ…」

と、皆もこの素朴で広い部屋を喜んでいるようだ。鬼熊に至っては既に寝っ転がってるし。

そうしてワイワイしていると女将さんが「どうも〜いらっしゃいませ〜」と登場。
さらに「この部屋で大丈夫?今日泊まる予定だったお客さんがキャンセルになっちゃったから他の部屋でもいいよ。今日はお兄さんたちの貸し切りね」とありがたいご提案。でもこの部屋じゃ駄目な理由なんてどこにもない。皆の顔を見てみても「そんな必要はない」と顔に書いてある。そんなわけで「いや、ここで全然大丈夫っす!」と返事をさせてもらった。

いやこの窓からの景色素晴らしいな!
この港も、多分地理的な関係で荒れたりしない海なんだろうな。この平和な雰囲気を見ているとそこはかとなくそんな気がする。雨降ってたからなのかこの場所の関係なのか人も全然いないし、とにかく穏やかでどこかノスタルジックな感じのする風景が広がっている。
もう夏じゃないし雨模様だけど、暑い真夏にこの広い畳の部屋に泊まれたらめちゃくちゃ楽しいだろうなぁ。それこそスイカでも食べながら外をのんびり眺めたり、あの穏やかな海で遊んだり・・・。そんなことを色々と考えちゃうくらい、もうすっかりこの景色が気に入ってしまった。

ただ冷蔵庫は部屋にも廊下にも無いらしい。それに気づいた足軽が「すいません、これお酒なんですけど、冷やしてもらったりできますか?^^」と早速女将さんに交渉している。
「あ〜はいはい、じゃあ預かっておくから。食事の時に持ってきたらいい?」と言いながら酒が入っている袋を持って足軽と一緒に出ていった。
なんか全てにおいてフランクで凄く落ち着く女将さんだ。初めて会ったのに既に親戚のような扱いが凄く居心地が良い。好きだわこの宿。

その後すぐに女将さんが戻ってきて、ある程度落ち着いた私達に宿の説明をしてくれた。
風呂はやっぱり温泉で、場所は部屋を出て左の階段を降りたら浴室らしく、ありがたいことに24時間入れるようだ。でも窓を開けたら目の前が遊歩道だから、見られないように注意が必要らしい。

女将「それじゃあ夕食は何時にする?先にお風呂入っちゃいたいでしょ。今日は貸し切りだから何時でもいいよ。女風呂も使っていいから」
私「じゃあ18時半くらい・・・でいいか?」
鬼熊「いいよ〜」
ツゲ「コクン(頷く)」
足軽「^^v」

ということで夕食は18時半に決定。それまでまだ一時間以上あるから、ゆっくり風呂に入って、部屋でも十分まったりできる時間だ。いよいよこれから素敵な海辺の民宿ライフが始まる!

そんなわけで「じゃ、ゆっくりお風呂入ってきてね」という女将さnに挨拶をして、私達はそれぞれ自由時間に突入した。
足軽は風呂あがりに夕日を見ながら酒を飲みたいと車中で連呼してただけあって、「じゃあ風呂いってきます〜」といち早く温泉へ。
鬼熊はまだ寝転がっている中、私とツゲは互いに茶を酌み交わしあってから風呂へと向かった。

足軽はどうやら男風呂に入っているらしい。
なぜドアが空いているかと言うと「ドア開けといたほうが湯気がこもらなくていいよ」という女将さんのアドバイスによるものだ。これも貸し切り故のやり方なんだろう。ありがたや。

壁はかわいいタイル張りの、せいぜい大人二人が限界のこじんまりした浴室だ。
そして目の前の大きな窓の向こうには、女将さんが言っていた通りの遊歩道が。これは少しでも開けてたら完全に覗かれるポジションだ。しかしせっかくだから少しだけ窓を開けさせてもらう!見てしまった人は嫌だろうけどねっ

温泉
というわけでさっさと体を洗ってすぐさま温泉へ!楽しみすぎるぜ

下田の温泉は単純泉で温度高めの江戸っ子好みの湯らしいので、この汚れを落とした体にはさぞピシッと効く湯であることだろう。
というわけで早速足先からポチョンを入ってみると、たしかに温度高めで長湯はしてられそうにない感じがする。でも入れないほど熱いわけじゃない。このまま肩までGOだ!

肩まで浸かると熱が全身をビリビリと刺激する。と同時に「ふ〜」と息を吐くと、いつものように全身から疲れと力が抜けていくような感覚が。
こりゃはちゃめちゃに気持ち良いぞ。外からは「ざ〜ん…」と波の音が聞こえてくるし、窓からは涼しい風が常に吹き込んできて心も体もめっちゃリラックスできる。ここを貸し切りで24時間入れるとは・・・幸せだ。

そうこうしているとツゲもこっちの浴室にやってきて二人仲良く入浴することに。ツゲも「フー」と言いながら温泉を満喫してるご様子だ。つげ義春好きなだけあって、レトロなものや温泉が大好きなツゲである。この浴室と温泉はツゲも気に入っているようだ。

そうしてツゲと話しながら温泉に浸かっている時ふと窓の方を見ると、ホラー映画のように顔を少しだけ覗かせてこっちを見つめている足軽の顔がそこにあった。

「どうっすか、気持ちいいっすか?^^」と、その変態そのものの姿にそぐわない明るい声で問いかけてくる足軽。
「びっくりした〜、何してんだお前は」と私も窓の方にいってみると、身を乗り出せばすぐに隣の浴室を覗けるような造りになっていて、誰もいないのをいいことに、足軽はニュルンと身を乗り出してこっちを覗いていたらしい。全く子どもみたいなことをしやがって。

「こっちは広いっすよ^^」という通り、見てみると確かに男風呂の方が倍くらい大きい浴槽だ。そこにいつ入りにきたのか、鬼熊が気持ちよさそうに浸かっている。似合うぞ鬼熊。
しかし向こうは広くてこっちとは違う楽しみ方ができそうだ。食後は男風呂でのんびりさせてもらおうかな!
そう決めて私はツゲより先に風呂からあがったのだった。

皆結構お腹が空いているらしいけど、夕食がくるまであれやこれや話している中で、なんとなく食後はそこらへんを散歩することに決定した。
宿についてからろくに外に出ることもなくここまで来たから、夜は腹ごなしも兼ねて目の前の遊歩道や堤防を散策しようという私の要望が通ったかたちだ。皆もわりと乗り気みたいだから楽しい散歩になりそうだ。

お待ちかねの夕食

そうしていると部屋の外からゴソゴソ音がし始め、「夕食お持ちしましたよ〜」と軽いトーンの女将さんの声とともに、いよいよ念願の夕食が運ばれてきた。

期待していた通り、種類も量も豊富な刺し身や、ひとつひとつ丁寧に作られたことがうかがえる小鉢たち、そして何よりも伊豆といえば定番かつ目玉の金目鯛の煮付けが机に並べられていく。

鬼熊「お〜うまそ〜(ニコニコ」
足軽「めっちゃうまそうっすね!てかめっちゃありますね^^」
ツゲ「オオ~」

と驚く一行は手に手にスマホで撮影を初めている。そりゃそうだ、こんな豪華で美味そうな夕食なら撮りたくもなる!

しかしこんな美味しそうな品の数々が出てくるとはさすが呑三。「夕食の量が多くて嬉しい」というグーグルマップのレビューは本当だったようだ。予約時にいくらかプラスして夕食を豪華にしようかと考えた末やめといたけど、その選択は正解だった。これだけあれば十分すぎるぜ!

ツゲにご飯をよそってもらいながら、私達は先に夕食をいただいていく!
まず刺し身から食べた足軽いわく「なんでこんなうまいんすか!^^;」というほどの良いお味らしい。しかもワサビは伊豆らしく本当のわさびのようで、風味が全然違うらしい。

そこまで言うならと私も真ん中にこんもりと盛られている謎の魚の刺し身をワサビとともに食べてみると、刺し身はふんわり脂が乗っていて優しい甘みがあり、ワサビも普段食べているチューブのものとは全く違う、独特な風味があった。正直チューブワサビを食べてる期間のほうが圧倒的に長いから本物ののワサビの風味は最初ちょっと違和感を覚えたが、噛んでいるとその味わいがよくわかってきてめちゃくちゃ美味しい!これが本物のワサビというものなのか。最初この謎の刺し身の風味かと思ってしまった。

途中ご飯と味噌汁を持ってきてくれた女将さんに「この魚なんていうやつですか?めっちゃ美味しいんすけど」と真ん中のこんもり持ってある刺し身について聞いてみると、「あ〜それ、、なんだったかしらね〜。市場でオススメされてたから買ってきたんだけど・・・確かなんとか鯛っていう。これ美味しかった?」と女将さん。
自分で買ってきておいて名前を忘れてしまったらしいけど、それよりも自分で食べたこともないっぽい魚を客に出す豪快さに笑ってしまった。これで美味しくなかったらどうするつもりなんだろう。でも面白いし美味しいから良し!

「梨に生ハムとは珍しい組み合わせだ。しかし果たしてこれは美味いのか?」と若干怪しみながら食べてみると、これが意外に相性バッチリでめちゃくちゃ上手くて驚いてしまった。横にいる鬼熊にこの喜びを伝えねば!

私「生ハムと梨一緒に食べるとうまいぞ!」
鬼熊「ああ、生ハムと梨は合うよな〜。俺も大好きだけど、梨なんてあった?」
私「いやそのハムの下にあるけど、、、え?生ハムと梨の組み合わせって普通?」
鬼熊「うん、よくある組み合わせ」

と、私が知らないだけで、世間では常識といわんばかりのありふれた組み合わせらしく、意気揚々と教えた自分が恥ずかしくなってしおしおになってしまった。あの足軽ですら知っていたのが更に悔しい。。

これは身がふわっとしてて脂もガッツリ乗ってて死ぬほどうまい!
居酒屋とかだとたまに塩がきついのが出てくることがあるけど、これは本当にちょうどいい塩梅でご飯がとんでもなく進むッ。カマの身って本当にふわトロでおいしくていくらでも食べられるわ。
足軽の目の前にあってとりにくいから「足軽、身をほぐしてちょうだい」「あ、いっすよ〜^^」と食べやすいようにしてもらってパクパク食べるこの幸せ、素晴らしい夕食。

先に食べていたツゲが「ウマッ…ww」と言って笑っている。こりゃ相当な品に違いない。
「俺にもちょうだい」という鬼熊にも取ってあげてから私もいよいよいただくと、まぁかなり久々に食べるということもあってかかなりの美味しさに思わず「ウマッ!」とツゲと全く同じ感想が口から飛び出した。
とにかくこの煮汁が半端じゃなく美味い。私も煮付けはよく作るが、こんな味になったことなんて一度もない。ダシが効いてるとは美味しさを表すためによく使われるフレーズだけど、この煮汁はそれ以上の何かが感じられる。その煮汁をたっぷり吸った金目鯛の脂ノリノリの身もまた、元料理人の鬼熊すら「すっげーうまい!」と唸らせるほどの味わいだ。
海辺の宿って久しぶりに泊まったけど、こんなに美味しい料理が出てくるものなんだな。しかも24時間の温泉付きで女将さんも親切で宿泊料も安い。最高すぎるぜ。。

ちなみに写真を撮ってなかったが、味噌汁も何か知らないけどめちゃくちゃ美味かった。冗談抜きで今まで飲んだ味噌汁の中で一番うまかった。これは後で女将さんに色々聞いてみないと。

皆でガチャガチャ食器を運んでいると女将さんがやってきたので、ここぞとばかりに味噌について聞いてみた。

私「ごちそうさまでした〜。どれも凄く美味しかったです」

女将「あらそう、それは良かった〜。綺麗に食べてくれてるしね」

私「特に味噌汁が美味かったんですけど、あれってなんていう味噌使ってるんですか?」

女将「あれはね、うちが昔から使ってるやつでね、浅草から毎回取り寄せてるのよ。万久さんってお味噌屋さんで」

私「浅草から取り寄せてるんですか?本格的っすね。僕東京に住んでるから買いに行きますわ」

女将「いっつも取り寄せてて向こうもウチのこと知ってるから、呑三で使ってるやつくださいって言えば通じるよ〜」

浅草の味噌屋・・・、もうそれだけで良い味噌じゃないか。
女将さんがどうやってその味噌にたどり着いたのかはわからないけど、親切に教えてくれたしこれはぜひ買いに行かねば。でも本当に「呑三で使ってるやつ」で通じるのかしら。通じなかったらちょっと恥ずかしいぞ・・・。

予定外の冒険へ

その後しばらく酒をのみながら雑談した後、「そろそろ行くかい?」という鬼熊の声をきっかけに、皆で夜の散歩に出かけることに。誰もいない目の前の港を目指してぞろぞろと宿を出た。

自分一人だとこういうとこに旅行しに来ないから、夜の港の雰囲気が凄く新鮮で楽しいな。穏やかで落ち着いてるんだけどちょっと怖さがある感じ。
というかこんなすぐ近くに堤防とか港があるんだったら、ちょっとした釣り道具くらい持ってくればよかったな。餌はめんどくさいけど、ルアーだったら手軽でもしかしたらなにか釣れたかも。ちょっと残念だ。

この公園が誰もいなくて薄暗いもんだから、怖がりな鬼熊をビビらせるため、足軽が「やばいっす。ここやばいっす^^;」と急にホラーな空気に持っていこうとしはじめた。

鬼熊「え?なになに?やめてよなにがあんのよ(汗」
足軽「いや、ホントやばいっす。やばいっす^^;」
鬼熊「だからなにがよ。なんかいるの?(汗」
足軽「いやいるっていうか、ホントヤバイっすよこれ^^;

完全に嘘をついている足軽だけど、怖がりな鬼熊は一発で信じてしまったらしい。
ただ足軽はその先をなんも考えてなかったのか、やばいを連呼するだけで何も具体的なことを言わないから、鬼熊からしたら本当なのか嘘なのかよくわからない変な空気を感じてるようで逆に効果的だったらしい。
せっかくだから真実は告げずにこのままにしようとアイコンタクトをして、震える鬼熊とともに散歩続行だ。

そんな感じでひとしきり歩いたあと宿に戻ろうとしていると、ツゲが「コッチノミチイクト、ハンタイガワノウミニイケル…」と、なにか提案したげにささやきはじめた。

ツゲが見ているマップを見せてもらうと、一本道ではないものの、確かにこの右側に伸びてる暗い路地を進んでいくと反対側の海に出られるっぽい。私達が宿泊してる宿のちょうど反対側、まさに半島の首部分の右側に外浦という海岸があり、「セッカクダカラ…」ツゲはそこまで歩いていきたいらしい。

私「なんか遠そうだけどいいじゃん、冒険っぽくて(ちょっとウキウキしてる」
足軽「いいっすね、僕は大丈夫っすよ^^」
私「鬼熊はどう?」
鬼熊「そんなとこまで行くの?皆行きたいならいいけど、それならちょっとトイレ行かして」

ぶっちゃけ鬼熊は微妙に行きたくなさそうだけど、自分よりも皆を大切にする鬼熊の優しによって散歩続行が決定。この暗い中、どのくらいで着くのかもわからない外浦海岸まで歩いていくことになった。こりゃ楽しくなってきたぜ。

というわけで一旦宿に戻って鬼熊のトイレ待ちをしつつ装備を整えていると、ちょうどいいところで廊下にいた女将さんに遭遇。外浦海岸までの往復でどのくらい時間がかかるのかわからないから、門限が気になっていたのだ。

私「あ、女将さん。ちょっとこれから外浦海岸まで歩いて行ってきます〜」
女将「外浦まで?この暗い中?元気だね〜(笑」
私「それでどのくらいで帰ってくれるかわかんないんだけど、門限ってあったりします?」
女将「い〜よい〜よ、ちゃんと開けとくから大丈夫。楽しんできて〜」

と、全然問題ないから勝手に行ってきてちょうだいって感じであっさり外出OKだった。
それじゃあもはや何も気がねする必要はない。鬼熊もトイレから出てきたし、いざ外浦海岸まで出発だッ。

ツゲによると意外に外浦海岸までは1kmちょっとくらいで着くらしく、住宅街の路地を縫うように進んでいくと到着するらしい。
鬼熊は宿の雪駄を履いてきていてカンカン音を立てながら歩いているけど、そんな音でもそこら中に響き渡るぐらい静かで、きっとここらへんの住民も怪しんでることだろう。そんな中、多少声を抑えつつもワイワイ楽しく進んでいく。
若干ひいひい言いながら坂を登りきると「おっ、なんか波の音しない?」という鬼熊の言う通り、遠くからかすかに波音が聞こえてきている。なんだか大きな建物も増えてきたし、外浦海岸に近づいてきているらしい。

鬼熊「なんか雰囲気あっていいね〜」
足軽「味があるっすね。これって宿なんすかね^^」
私「そうっぽいな〜。こんなとこに宿があるのか(要チェック」

よく見えないけど狭い谷間に拓かれた集落(町?)のようで、左に山林、右に住居が立ち並んでいる。車1台分くらいの道の横に家屋が密集していて、歩くには凄く面白いところだ。民宿もいくつか点在していて、ここらへんで泊まるのも結構面白そうな気がする。
しかしやはり宿が増えてきたということは海に近づいてきてるということだろうな!進め進め〜。

狭い路地を抜け、万宝商店というひもの屋さんの前の道を進むと外浦海岸はもうすぐそこらしい。
ここまで歩いたのはせいぜい30分くらいだけど、アップダウンもそれなりにあったから「やっと到着っすね^^」という足軽の言葉どおり、ようやく到着した感じは確かにある。それでも体力的には全く疲れてないし、それは皆も同じらしい。

そうして歩いていくと、道の左側には小さめな神社と外浦の案内マップが。波の音ももう目と鼻の先レベルで聞こえてきていて、右の道を進むともうすぐそこに外浦海岸が広がっているようだ。
「ついた〜」「フフ…」と皆嬉しそうにちょっとした達成感を味わいながら、目的地の砂を踏むため、皆で外浦海岸の砂浜へと進んでいく。

↑ちなみに海岸入口はこんなところ

足軽「めっちゃ暗いけど良い感じっすね^^」
鬼熊「さすがにちょっと足がつかれたけどな〜」
ツゲ「・・・」

ここまで散歩したいと提案したツゲもどことなく満足げだ。この前下田に来たときは色々都合があってこういう散歩ができなかったみたいだから、こうして皆で来ることができて嬉しそう顔をしている。
私もここでピーチネクターでも飲みながらゆっくりしたいところだけど、周りに自販機なんて無いからとりあえず砂浜に降りてみよう。

暗〜い海がちょっと怖いけど、その向こうの街明かりと波音がとっても素敵。それに宿前の海は波も穏やかな静かな港だけど、こっちはいかにも海水浴場って感じで、違った海の表情が見られるのも楽しいな。海は山とは違う心の落ち着きがもらえるわ。おっさん四人でなんの色気もないけど、なんか青春っぽくて楽しいぜ。

そんなこんなでゆっくり話したり海に入ったりしてひとしきり遊んだところで、「じゃあ戻って風呂に入るか(鬼熊)」ということで宿に戻ることに。こんだけ歩いたあとの温泉、めっちゃ楽しみだわ。

帰りは同じ道を帰るのは辛いということで、すぐそこにあるらしい国道を通って帰ることに。
海に入っちゃったせいで砂がサンダルの底に残っちゃって、洗い流すこともできないからチクチクした痛みに耐えながら変える羽目になってしまった。早く帰って温泉に入りたい。。

温泉に入って就寝

足軽「意外と近かったっすね〜。酒飲みたい^^」
鬼熊「その前に温泉入ろ温泉。足疲れたわ」
ツゲ「フ~」

やっぱり宿に戻った開放感たるや素晴らしい。だって寝るも温泉入るも横になるも自由なんだもの。こっからはもう完全に寝るまで自由時間だから、窓辺で海でも見ながらゆっくりしたいぜ。
しかし皆、明日の朝のランニングにちゃんと起きれるんだろうか。足軽はまだまだ元気っぽいけど、こんな散歩をしたもんだから運動不足のツゲあたりは起きれないんじゃないか。

こっちもこっちで昭和感あふれる良い浴室じゃない。食事前に足軽たちが入ってた割に湯もなみなみだし椅子や桶もキレイに揃えられてる。きっと女将さんの心遣いだろう。ありがたや。

ふ〜、私はあんまり疲れてないけど、それでもこの熱々の湯に浸かると一気にリラックスできるな〜。
それにしてもツゲのせっかくだから精神のおかげであの海岸まで歩けたのは、なんかスタンド・バイ・ミー感があって凄く楽しかった。住民の皆様は妙な集団が徘徊してて警戒されたかもしれないけど、こっちも犬に大声で吠えられて心臓が止まる思いをしたから許していただきたい。
しかしあの細い家が密集してるとこにあった民宿は面白そうだったな〜。あそこも温泉だったりするんだろうか。次に下田に行くときはぜひ泊まってみたいわ。いや、とにかく面白い散歩でした。

朝のひととき

私はゆっくり寝ていたのだけど、なにやら足軽達がランニングに行く話し声が聞こえてきて目が覚めた(といっても目はつぶったまま布団に潜ってたけど)。
結構疲れていたであろう鬼熊もちゃんと起きたらしく、皆いそいそと元気そうにランニングに出発していった。これだけ晴れているんだからさぞ気持ち良く走れることだろうが、私はまだ引き続き寝ていられる幸せを噛み締めながらもう一眠りようかな。。

いや〜よく寝た。実はなぜか布団に入ったあともしばらく寝付けなかったけど、それはそれとしてぐっすり眠れたわ。外も良い天気だし、気持ちの良い朝でございます。
朝食は7時半でまだ時間もあることだし、早速朝風呂に入って、湯冷ましでそこら辺を散歩でもしてきましょうかね。

まだ散歩に出て全然経ってないけど、絶え間なく海風が吹いてるからすっかり汗もひいちゃった。
しかし散歩にばっちりな遊歩道や港もあって、それに加えて美味い飯に良い温泉。あと2・3泊くらいできたらすっかり心が浄化されそうだ。チェックアウト時間が迫るのがとっても残念でならないわ。

その後海を見ながらコーヒーをちびちびやった後、朝食の時間になってたらまずいので部屋に戻ることに。
その時ちょうど道の向こうからランニングから返ってくる鬼熊たちが見えたので、一緒に戻ることにした。

足軽「いや〜やっぱ朝のランニングいいっすね。ネギくんも来ればよかったのに^^」
ツゲ「ウン、ヨカッタ」
鬼熊「いや確かに気持ちよかったんだけどさ、坂ばっかだったじゃんか(笑」

と感想は色々だけど総合的にはやっぱり走って良かったらしい。
ちなみに昨日の夕食中に女将さんと話したときにランニングの話をしたら、「だったら宿を出て右の方に走っていくと平坦で走りやすい」という話だったんでその通りのコースで行ったらしいんだけど、実は坂だったということで鬼熊は「坂ばっかだった」と言っているわけなのであった。

というわけで無事鬼熊たちも戻ってきたところで時計を見てみると、まだ朝食まで10分くらいあったので、彼らは揃って温泉に入りに行った。
その間私は机の上のゴミたちなんとかして、朝食を乗せられるようにしとかなければ。

ツゲとちょっとダラッとした後机の上を片付けてると、高速で風呂から上がった鬼熊と足軽も手伝ってくれて無事清掃完了。それと同時に女将さんが朝食を運んできてくれて、流れるように食事の時間が始まった。

朝食、散歩、そして出発

女将さんとランニング話で盛り上がりながら一つ一つ美味しい朝食を食べていく。
干物はアジで、見た目通り脂が乗っててご飯にめっちゃ合う。ちなみに私はほぐした干物の身をご飯に混ぜて干物ご飯にするのが好きなんだけど、これがめちゃくちゃ美味いっす。さすが港町の干物は違う!
さらに昨日と同じく味噌汁がまたうまい。朝にこの異様にうまい出汁の味噌汁を飲むと、本当に体に染みてくるぜ。

私「やっぱ味噌汁うまいっすね。干物もめっちゃうまいっす。女将さんが作ってるんですか?」
女将「私は作らないわよ、そこらじゅうで売ってるんだから。うちはいつも小木曽商店さんってとこで買ってるよ。ここらへんの人はあそこでしか買わないね〜」
私「小木曽商店っすね、帰りに寄ってみます」

確かに下田の中心地あたりは干物屋が多いみたいだけど、地元の人は小木曽商店というところで買うのが一般的なようだ。店によってどれくらい違いがあるのかわからないけど、海育ちの地元民が選ぶんだから間違いないだろう。これはぜひ寄らねば。

食後はあの港にある神社に行くと話をしていたら以外にも「イッショニイコウ」と乗ってきたので、彼が温泉に入って戻ってくるのを待つことに。
足軽は普段走ってるからなのか「街の方まで走ってこようかな^^」と少年のような元気さを見せているけど、鬼熊はこれからの運転に備える意味もあるのか、早々に横になってだらだらし始めた。朝の日差しだけの薄暗い畳部屋ってめちゃくちゃ居心地が良いんだよね。ここで二度寝して、昼頃になったら「じゃあ昼飯食べに行くか」みたいな二泊の旅行だったらどんなに良いことか。そんなことを何度も考えちゃうくらい気に入ってるよ、この部屋が。

右手はコンクリ壁がそびえ立ってるけど、親切にも簡単に上り下りできるようになっているので壁の向こうに行ってみる。すると右手に手掘りの隧道のようなものがあり、その向こうに神社があるらしい。かなり変わった構造だけど、楽しそうだから行ってみるべし!

さすがに風が強いけど見晴らしも良いし気持ち良いし最高ですわこの堤防。というかこんなアクセスしやすい感じなのに、釣り人は一人もいないんだな。そもそも釣り禁止なのか、それともここらへんは魚が釣れないのか。一人ルアーを投げてる人がいるけどなんの反応もなさそうだし、ここらへんは釣れない場所なのかもしれないな。

さすがに下田の市街地の方まで歩くほどの時間はないので、ここらへんでチェックアウト前の散歩は終了。
あとは宿に戻って、適当に過ごしながらその時を待つだけだ。私は最後にもう一回風呂に入っておこうかな。

みんな粘りに粘ってギリギリまでだらだらしてるもんだから、もう既にチェックアウト時間になってしまった。というわけなんで、みんなが部屋の片付け等をしている間に私は宿代の精算へ。

女将「どう?ゆっくりできた?」
私「めちゃくちゃゆっくりできましたよ。広い部屋に泊めてもらえて、ご飯も美味しかったし」
女将「それなら良かった良かった。あ、あと干物の小木曽商店さんの電話番号書いといたから、よくわからなかったら電話してみるといいよ。」

と、女将さんが小木曽商店の連絡先が書かれた紙をわざわざ用意して渡してくれた。
やっぱりこの女将さん、親切で親しみやすくてすごく良い人だ。昨日も色々お世話になったし、本当に感謝しかございません。こういうやり取りができるから、民宿って素敵なのよね。

その後部屋を完全に綺麗にして、女将さんにひと声かけて宿を出ると、女将さんも外に出てきて私達の出発を見送ってくれた。最後足軽が「女将さん一緒に写真撮りましょうよ^^」と記念撮影をお願いしてたけど、「恥ずかしいからいいわ」と笑いながら断られたのも含めて、めちゃくちゃ良い思い出になったな。

私達「じゃあ運転よろしくおねがいします〜」
鬼熊「うい〜」

と車を出し、女将さんに手を振りながら宿を出発。
その後、例の小木曽商店はもちろん、河津でかの有名なわさび丼を食べたりして、みんな無事に帰宅したのだった。


久々の友人たちとの旅行で泊まった呑三(のみさん)ですが、写真にあった通り部屋がとても広くて温泉は24時間、そして湯色の量も味も大満足という、とても良い宿でした。
なにより女将さんの人柄がとても良く、客が私達だけだったということもあるかもしれませんが、色々とこちらのリクエストに応えてくれたり、親切にしてもらえたのはとてもありがたかったです。
ただ宿の周りで気軽に歩いていける距離にコンビニなどのお店はないので、道中どこかで必要なものを買っていくことをオススメします。
景色も良くてとてもリラックスできる宿なので、ぜひ皆さんも行ってみてください。

※ちなみに後日万久さんに味噌を買いに行ったところ、正直「本当に通じるのか?」と心配しつつも「下田の呑三で使ってるやつ」と聞いてみると一発で通じて、無事に購入することができました。甘めで美味しい白味噌でございました)

呑三:一泊二日 8,800円くらい(領収書なくしてしまいました。。もうちょい安いかもしれません)




  1. まいらー より:

    ネギさん、あけましておめでとうございます。
    更新楽しみにしてました!
    鬼熊さん達との旅行だったんですねー。ツゲさんは相変わらずの半角カナで懐かしかったです。

    いつも通り楽しそうな旅ですね。私もネギさんの原付一人旅も好きですが、鬼熊さん達とのワイワイ旅も好きです。
    熱海のニューアタミは行ってみたいな。熱海はホントに復活しましたよね。私の熱海の推し宿は芳泉閣です。街中からはちょっと離れてますけど、温泉もいいですよ。ネギさんも気に入ってくれそうな気がします。

    下田のお宿も良さそうですねー!やっぱり民宿っていいですよね。行ってみたいです。
    この旅のつづきはあるのかしら?道の駅とか、2日目も伊豆を楽しむのかな?