[山形] 長〜い風呂に大量の湯の花が舞う老舗宿 白布温泉 / 中屋別館不動閣 [米沢]

山形

夏休み「毎日違う温泉で湯治旅」4日目です。 [3日目] [5日目]

宿に着いたところから読みたい方はこちら

扇屋を出て、まずはコンビニでお茶を水筒に詰めてから大内宿へと向かう。
この湯野上温泉から大内宿はかなり近いので10時前くらい、ちょうど大内宿の店が大体開いたくらいにに到着するはず。そして今日は平日なので、道も現地も大して混むことはないはずだ。

そういう計算をしながら出発すると予想に反してほんの10分くらいで着いてしまった。車もほとんどおらず、かなりスイスイ進んでいたらすぐに到着してしまった。大内宿ってこんなに近いのね。

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(駐車場に)到着!

そのままスイーっと駐車場に入ろうとするとガラは悪いけど話し方は丁寧な警備員に止められ、バイクは別のところに駐めるのだと言われたので引き返してバイク専用駐車場へ。

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バイクは私だけ。バイク専用駐車場としっかり書いてあった

バイク置き場から大内宿まで少しばかり歩く。駐車場には案外車も止まっていて割と観光客はいるようだった。平日ではあるけど夏休み期間ではあるのでやはり親子連れの姿が目立つ。夏の有名観光地には平日もクソもないようだった。
駐車場から2〜3分歩くと大内宿入り口に到着。ここから入っていくとあの有名な景色が広がっているのだ。

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来るまではもっとだだっぴろい平地に集落が広がっているのかと思ってた

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説明板。福島の重伝建保存地区はここと曲家集落だけらしい

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集落内に到着。店も結構開いていた

大内宿ってかなり広いイメージだったけど思ったほどではなかった。でもそれでもそれなりに広くて、集落内には車も入ってこないのでかなり快適だ。景観も茅葺屋根がずらと並んでいて見事なもんだ。これは気持ちが良い。

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古民家そのものが店になってる

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the・夏といった感じ。水路を流れる水はとても澄んでいて綺麗だ

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どの店の前にも休憩所が設けられている

水路では子供がパシャパシャ水遊びをしていたり、店の前では作りたてのまんじゅうやらせんべいやら団子やらいろいろ売っていた。正直土産物はあまり惹かれるものがなかったものの、さすが有名な観光地だけあって飽きずに散策することができる。曲家集落とは正反対の有り様だ。お盆休みなんかはとんでもない人出なんだろうなと簡単に想像できる。

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こういう安くてその場で食べられるものが多いのも良いところ

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かなりでかい鳥居もあった。しかし参道の先に神社は見えず、山に通じていた

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こういう集落が残ってるってのは良いもんだね

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店を冷やかしながら歩いていたら集落の最奥まで来た

集落の一番奥にはお堂があって、更にその付近からは大内宿を一望できる場所があるというのでお堂まで登ってみることに。と言っても大して登らなけど。
ちなみにこの時気温はさほど高くないものの太陽はカンカン照りなので汗がタラタラ流れてきていた。お堂を見終わったらラムネを飲むなりなんなりしよう・・・。

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お堂手前の店。ねぎそばがたべられるみたいだけどまだ準備中だ

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どちらの道の先にもお堂がある。右の階段は前の親子がゆっくり登っていたので私はまっすぐ進んだ

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中々凝った造りだ。更にここから折り返して更に登ると

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ここに着いた。茅葺屋根に草が茂っているのがすんごくイイ!

このお堂から山に入っていく脇道に展望スポットがあった。すでに何人か景色を見ている人がいるけど皆暑い暑いと言いながら涼みつつ眺めを見ていた。確かにここは暑い。何しろ日陰になるようなものが何もないんだから。まぁそれだけ景色が開けてるってことでもあるけど。

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こう見るとやっぱり壮観。よく頑張って残しているなぁと思う

集落の真ん中を一本走っている大通り沿いに茅葺屋根が並んでいる光景はまさに時代劇かのような印象だった。実はこの大内宿には民宿が2つくらいあって非常に泊まってみたかったんだけど、毎日違う温泉で湯治旅というコンセプトに反するので泣く泣く諦めた。次回ここらへんに来た時は絶対泊まってみたい。まだ観光客のいない早朝や夜中に散歩してみたい!ここにはまた必ず来ようと思ったのだった。

ここまで来るまでは集落の右側を歩いてきたので、今度は左側を散策しながら戻っていくことにした。でも完全に戻る前にどこかで休憩したい。冷たいものが食べられそうな店を探しながら散策を続けた。

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名主の家も店だった

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これは座りづらい!

集落を折り返す頃には観光客も結構増え始めていた。こういうところで一人っていうのも中々悪くない気分だ。
そんな中さっき見た大きな鳥居の奥には果たして本当に神社があるのか確かめに行くために参道を歩くことにした。

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こういう短い呪文を唱えて何かを行う行事は各地にあるけど、これは今でも実際行われているんだろうか。というかこの水は飲めるんだろうか。そこが重要だ

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その湧き水の向かいには広場と体育館?のようなものもあった

鳥居をくぐって湧き水まで来たけど神社の姿は見えなかった。あの大通りから一本入ると周りは普通の田舎と変わらず、生活感丸出しなで観光地の表と裏といった感じが面白い。裏にある家も茅葺ではなく普通の民家なので、大通り沿いの茅葺行列はやはり特別に管理されているのだ。

さて、そんな面白い風景ではあるものの参道はひたすらまっすぐ山へ続くのみ。その先に神社はあるのかもしれないけど、とりあえず汗かいて喉が渇いた状態では少々キツイのでひとまず戻ることにした。

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かき氷でも食うか

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ということでさっき目をつけていた煎餅屋でかき氷を食べる

ここのかき氷は日光から取り寄せた氷を使っているようだ。私は祭りでもない限りかき氷を店で食べたりはしないんだけど、この暑さだしせっかくだしということでここでいただくことにした。店に出ていたおばあちゃんに「かき氷食べたいんですけど」というとすぐに奥の席に案内してくれた。

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日陰だし茶も冷たいし良い休憩所ポイントだ

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外の席は2席

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店内では蕎麦も食べられるみたい。煎餅も焼いていた

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メニュー

かき氷とはいえ中々良い値段がするけど、旅でお金をケチったら絶対損をするので別にそこらへんはかまわない。私はメニューを見る前から大好きなブルーハワイにしようと決めていたのですぐにそれを頼んだけど、今思えばももとか食べてみればよかったと思わなくもない。

客は店内を含めて私一人だったのでかき氷もすぐにきた。しかしその大きいこと。店で食べるかき氷というのはこれくらいがスタンダードなんだろか。

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でかいッ!

「お茶なんて飲むんじゃなかった…」って後悔するほどの大きさのかき氷がやってきた。いわゆる日本昔話盛りのごとくうず高く積まれた氷だけど、でも値段からいったらこのくらい盛ってくれないとってのはあるかもしれない。
それでとりあえず一口目を口に入れてみるとその氷のキメの細かいこと、祭りで食べるようなかき氷のそれとは全く違った食感だった。シャリシャリというよりかはサラサラというかサクサクというか、とにかく歯ごたえが全然違った。どうやらここで食べたのは正解のようだ。味ももちろんウマイ!暑いからなおさらこのかき氷が沁みた。

かき氷をウマウマ言いながら食べてさぁ食べ終わるぞと言うところで私のかき氷を見て羨ましく思ったと見える大人数の家族づれが入ってきたので、席をゆずるために食べ終わったらすぐに離席して煎餅屋前の椅子で休憩することに。体はもう完全に冷えていたので陽があたってもむしろ暖かいくらいで気持ちよかった。

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のんびりしてていいっす

冷たいお茶をちょびちょび飲みながら休憩していると煎餅屋の店先にいる人とは別のおばちゃんがやってきてしばらく雑談することになった。訛りがあるのでそのまんまは書けないけど

・大内宿の観光地化を促した研究者(名前忘れた)をこの店で面倒見た。下着やら着るものやら食事やら何から何まで面倒を見たそうな。
・あの大きな鳥居ば今年建立された。あの奥にはちゃんと神社がある。そしてあの湧き水は飲める美味しいらしい

とかその他もろもろ話しながらお茶を何杯もついでくれたり煎餅までくれたりしながら話し続けた。
おばちゃんが言うには夏はかなりキツイ時期らしく、この時も既に10日以上ぶっ続けで煎餅焼いて炎天下の下立ちっぱなしだったりして相当参っているらしい。「僕らみたいな観光客には凄い良い所ですよ」というと「そりゃあ1日だけひょろっと来たくれぇならそりゃ良いトコかもしんねぇけど、毎日いるあたしらにしたらもう」と愚痴り始め「こんなに毎日働いて馬かっつの。休みもなく煎餅焼いて店前でずっと立ってっからな、バカかっつの」「過労死するっつの」と歯に衣着せぬ愚痴の連発にかなり笑わせてもらった。

と、こんな風に書いてるとかなり嫌なおばちゃんに思われるかもしれないけど全然そんなことはなく、その話し方もユーモアがあって面白いしお茶も煎餅もくれるしで凄く良いおばちゃんだった。それでもあの愚痴は本心だと思うけど。確かにこの日差しの中大勢の客相手に毎日商売するのはキツすぎるだろう。「疲れたら温泉に行ったりしないんですか?」と聞いたら「休みなんかねえんだもん」と返されてしまった。

そんな風に話しつつ大内宿の裏の話なんかも少し聞かせてもらってから私もそろそろ時間がきていたので立ち去ろうとすると「ペットボトル持ってる?」「水筒あります」「そのお茶いれてくか?満杯か?」と最後まで優しいおばちゃんだった。正直もっと話してたかったけどあまり長居もできないのでしょうがない。おばちゃんにお礼を言って励ました後、大内宿を去る前に神社に行くことにした。

さっきのおばちゃんに「本当に神社あるんですか?」と聞いたら「ちゃんとあるよ〜、鳥居から200mくらい歩いたらあるから」と言っていたので大鳥居から真っ直ぐに進む。「本当にあるのか?」と思ってたら

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あった!

神社は参道まっすぐではなく横の森の中にあるから遠くからはよく見えなかっただけだった。多分私と同じく「神社なんてないじゃん」と思った人は少なからずいるだろう。ともかく、おばちゃんを信じて進んだ甲斐があった。

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素朴な鳥居

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いやー良いところだ

さすがに大通りから離れてるだけあって凄く静かな神社で凄く居心地の良さを感じる。あんな大きな鳥居を建てるくらいだからきっと集落の人から大事にされてるんだろうと思う。

さて、こんな良い神社に来たからにはじっかりお参りしなければとまず手水舎を探すと、どうやらここは水路の水でお清めをするらしい光景が目にはいった。

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こんな風な手水舎(?)は初めてだ。面白い

「おお〜」と心の中で感心しつつお清めをすませる。水路の水は言わずもがな凄く綺麗なので口をゆすぐのにもなんの問題もない。むしろ冷たくて気持ち良いくらいだった。これ、下手したら飲めるんじゃなかろうか。

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さぁお参りしよう

こんだけ静かな中に立派な神社が建っているので何か清らかなものすら感じてしまう。さっそくお賽銭を入れて旅と原付の無事をお願いさせてもらった。

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となえ言葉が書かれているのも初めて見たような?

これでこの旅は大丈夫だろうということでそのまま大内宿を後にすることに。時間はまだ11時ちょいすぎくらいだから昼のちょうど良い時間くらいには会津若松に入れるだろう。

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神社からの帰り。こう見ると普通の田舎の集落だ

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そして出発

道も大して混んでいないのでスイスイ進むことができた。この道は10年前も通った記憶があるけど、その時は到着が遅かったからこの辺りでヘッドライトに突っ込んでくる虫にバシバシ当たった事を鮮明に覚えている。
そんなことを思い出しながら走っていると割とすぐに会津若松に到着した。

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市街地に到着!

ここからどんどん発展した市街地に入っていくんだけど、私の頭の中では「あれ?こんなに発展してたか?」と疑問符がつきまくりだった。まぁ10年も経てば色々変わるんだろうけど、私の記憶の中の会津若松とは結構違っていて驚いた。というか多分私の記憶の方が間違ってるというか曖昧になってるんだろうけど。とりあえずここはこれまでの旅の中で最も栄えていた街だった。

さて、前回ここに来た時に馬刺しのうまさに感動したのでまた馬刺しにありつきたいと思っていたんだけど、結局ランチで馬刺しを提供しているよさそうな店が分からなかったので無難にラーメンにすることにした。というか店を調べている時に近くにラーメン屋があったので入ることにしたのだった。

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それがこの店、ラーメンまったりだった

どうやらこの店は中々評判がよさそうだったので期待しながら入店した。店内では待ってる人がいたけど、私は一人だったのですぐに席につくことができた。さっそくチャーシュー麺を注文をし、しばらく待っていると(これが中々の待ち時間だった)ラーメンが運ばれてきた。

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お、うまそう!

見た目中々濃そうなラーメンだけに、脂分を欲していた私は一人嬉しがりつつまず一口。
いざ食べてみると見た目とは裏腹に割とあっさりしたラーメンで、とんこつラーメンの様なギトっとした感じはあまりない。でもこれはこれでうまいことあっさりとこってりのバランスが取れていて非常に美味しかった。どうやらこの店は当たりだったようで、大満足のうちに完食した。

さて、本来ならこの店を出た後に会津若松内を懐かしがりながら一回りしたいんだけど、これから行く大峠道路の道程が未知数なので時間には余裕を持っていきたい。ということで市街地の観光は全く無しでこのまま大峠道路へ突っ込むことになった。

大峠道路へ入る手前でガソリンを給油して峠越えに備え、原付の調子を気遣いながら出発。
扇谷で客のおじさんが言っていた通りトラックの数もそれほどでもなく、これなら安心して進めそうだと思っていた矢先、早速問題が発生した。去年の佐渡旅行でも遭遇した自動車専用道路の出現である。
「マジかよ、大峠道路ってバイクだめなの?」と一人焦りつつグーグルマップで調べてみると、この自動車専用道路手前に横に伸びている道路をしばらく行けばまた大峠道路にぶつかることが分かったのでその道を行くことに。「全くドキドキさせやがって…」と一人安堵する私だったけど、自動車専用道路ってのは本当にバイクには恨めしい存在だ。

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こっちの道は真っ直ぐで車も少なくて走りやすい

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結局こっちを走れてラッキーだったみたいだ

天気はずっと晴れだったのでこんな直線道路を走るのは最高に気持ちよかった。後はこれからの山道で原付が死なないことを祈るばかりだけど、まぁ多分大丈夫だろう。
と、そんなこんなでこれから山道だぞってところで道の駅があったので休憩に立ち寄った。

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割と大きめな道の駅だった

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そこそこ人もいるようだ

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店内

店内にあった甘いもの(牛乳だかチーズだかを使った何か)を食べたかったけど土産用の冷凍品だったので諦めた。それ以外は特に欲しいものもなかったので大して休憩もせず出発。
これからはどんどん山に入っていくわけだけど、道はしっかりしているし道路の端に自転車やらバイクやらが通れる細いレーンがちゃんとあったのでかなり快適に進んで行くことができた。景色は結構いいけど別に見所もなく、でも順調に走れたのでおじさんは助言がホンモノだったことが証明された。坂も大したことないし、これなら早めに目的地に着けそうだ。ありがとうおじさん…。

という感じでなんの問題もなく走り、スルーっと山形に入って大峠道路も終盤というところでまた道の駅が現れた。この道路は始点と終点付近に道の駅があるのだった。

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道の駅田沢

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客はあんまいないな

さっきの道の駅でも大して休憩せずにここまで来ていたので、さすがにちょっと疲れていた私にとっては結構ありがたい道の駅だった。道の車通りの割には大して客もいないので結構ゆっくりできそうだ。

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さっそく中へ

この道の駅は小さめで、土産物も大して惹かれるものがなかったのですぐに店をでて、外のベンチでコーヒーを飲んで腰を伸ばすことにした。人もいないのでベンチ一つを貸し切って少し横になっても問題ないだろうと思い、とりあえず腰を伸ばすことに集中した。

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バイクに長時間乗った後横になると死ぬほど気持ちイイ

しばらく横になってある程度腰が回復したところで出発。もうここらへんからは山道ではなくなっていたためもう原付の心配を余計にする必要もないので、後はのんびり行くだけだ。時間も想像していたよりかからなかったので十分余裕があった。
途中脇道に入り、あとはほとんど道なりに行くだけで目的地である白布温泉に到着するわけだけど、その途中に小野川温泉という温泉街があるので寄り道することにした。実はここにある宿も泊まりたい宿の候補にあがっていたので、それを間近に見たいのもあっての寄り道だ。

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小野川温泉到着!

思っていたよりずっと小さな温泉街の小野川温泉だった。平日なので観光客もちらほらいるくらいだけど、でもしっかりと温泉地やってるなという感じ。決して嫌いな雰囲気じゃなかった。

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温泉街の真ん中に建っている共同浴場。ここの裏に原付を駐めさせてもらって街を散策した

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小さい温泉街ながら宿は結構沢山ある様だった

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ここも候補の一つにあがっていた宿だ。建物の中に観音様が祀られている

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そして小野川温泉に泊まるなら絶対にここに泊まりたいと思っていた二階堂旅館。ここまで興味をそそる宿もなかなか無い

この二階堂旅館といい扇屋旅館といい、こういう小さな温泉街にはやっぱり昔ながらの建物の宿がよく似合う。全部が全部こういう建物では無いけど、この小野川温泉もいつかゆっくりしに来てみたい温泉地の一つになった。やっぱり雑誌やパソコンなんかで調べただけじゃ実際行った時に感じるものの半分も感じられないと今更ながら思う。
と、締めの言葉っぽいことを言ってるけどまだ散策は続く。

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景観を壊さないためにこういう風にしてるとこはよくある

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小野川温泉の土産屋さんはこことその横にある二つくらいだった

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温泉卵が名物らしい。価格も良心的な気がする

どうやら小野川温泉の泉質は硫黄泉のようで、硫黄泉がわくところには大体ある温泉卵が売っていた。今日の宿の夜食用に温泉卵を買おうかとちょっと悩んだけど「白布温泉にも温泉卵があるかもしれないじゃないか」と思って買うのはやめておいた。

土産物屋を見たことで大体メインの通りのものは見終わったので、共同浴場から奥の方へ言ってみることにした。
しかしその前に共同浴場前に飲泉所があるのを発見。さっき見落としていたようだ。さっそくどんなもんか飲んでみると、なんだか最近どっかで飲んだことのあるような味がする。「これは、ゑびすやで飲んだのと同じ味だ!」一人ちょっと驚いた。あの時飲んだ渋いような苦いような、初めて味わった味をまたここで体験することになろうとは思ってもいなかった。ただ一つ違いがあるとすれば、その濃さだろうか。味の濃さは間違いなくゑびすやの方が濃い。こっちのはそれを半分くらい薄くしたような味だった。でもちょっと炭酸ぽさもあるし、これはちょっと驚きだった。

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通り沿いにある飲泉所って素敵

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共同浴場の裏。原付には休んでもらっている

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共同浴場を正面に見た時道は二股に分かれているんだけど、その左側を行ってみることに

と言ってもこの先特に何もなかったのでぐるりと一回りして元の場所に戻ってきただけでした。この中心街からちょっと離れるともう店も無く、宿もちょこっとあるくらいだけなので温泉街としてはやっぱり小さいところだった。まぁかつて言った田沢温泉とは比べられないけど。

では戻ってきたところで、最後にあそこに寄ってから出発しようということで

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共同浴場近くにある湧き水に寄りました

さっき散策している時に見つけた湧き水。まぁ見つけたと言っても普通に目立つ場所にあるから見つけたもなにもないんだけど、とにかく湧き水好きとしてはかなり興味をそそられる雰囲気だった。

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この藻と水草が茂る雰囲気は素晴らしい。というか小野川温泉は小野小町が開湯したのか

写真では分かりづらいけど、この湧き水の透き通りっぷりと言ったらかなりのものだった。綺麗な水+藻=おいしい水と言っても過言ではないのでここの水が美味しい事は明らかなんだけど、とりあえず一口。やっぱり美味しかった。なので水筒にしっかり満杯に詰めてから、白布温泉に向けて出発した。

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車通りもほとんどないからすぐ着きそうだ

「思ってたより案外距離あるんだな〜」とか思いながら走っていると、白布温泉に続く山道に入る前からどんどん雲行きが怪しくなってきてついには雨が降り出してしまった。山の向こうはもうしっかりと曇っているのでここから先もきっと雨だろうと判断してカッパを一瞬で着てから再び出発した。

白布温泉までの道は道路もしっかりしているので走りやすく、雨もそんなに強く降っていたわけではなかったので結構すぐに到着した。

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お、今日の宿発見!

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到着!

とりあえず屋根があって駐められそうなところもなかったので普通に駐車して準備を整えて宿へ。雨はこの時やんでいたんだけど、またすぐにでも降り出してきそうな感じだったのでちょっと心配だったけどそれはもうしょうがない。

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歓迎されております

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バスケゴールがある宿は初めてかも

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とても立派な宿だ。将棋とか好きな人には有名な建物らしい

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お湯汲み場(?)もあった。残念ながら飲むのを忘れてしまったけど

と、こんな感じで撮影していたら若旦那らしき人が出てきて「あ、どうも、予約してました〜〜です」と言うと「ようこそいらっしゃいました。バイクでいらしたんですか?でしたら車庫へ入れましょう」ということで、とてもありがたい気持ちで車庫へ入れさせてもらうことに。
途中私の原付を見て「原付でいらしたんですか?」と結構驚いた様子で、しかも私のナンバープレートを見て更に驚いたらしく、この若旦那は昔私の住んでるところの二つ隣くらいの町で仕事をしていたんだそうな。これには私もびっくりして、山形まできてまさか地元の話ができるとは思っていなかったのですっかり嬉しくなってしまった。更に若旦那は、昔友達に貸してたリトルカブを東京まで取りに行って、そのまま乗ってここまで返ってきたというやっていることまで一緒な有様で、なんだか不思議な縁もあるもんだと凄く嬉しい気分で雑談させてもらった。

そんな感じで話しながら宿へと案内されると、ロビーでは従業員の人たちが揃って出迎えてくれて「これが高い宿のサービスか」と感心してしまった。しかも皆さん笑顔で色々と細かいところにまで気を配ってくれるので、なんだか慣れてない私は「それくらい自分でやるのに」と思うくらい色々やってくれるのだった。

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ここから入ります

さて、とりあえず私は玄関目の前の休憩所で宿帳に色々書いて、その後部屋へ案内してくれることに。その時も仲居さんが荷物を持ってくれようとしたので「大丈夫ですよ、持ちますから」と言ったら「ご遠慮なさらず(実際何て言われたのかは忘れてしまった)」といった感じで部屋まで荷物を持って行ってくれた。いつも私が泊まっているような1万円以下の宿ではこんなことはまず起こらない。そう、ここは今回の旅で最も宿泊費の高かった宿なのである。だからたまには普段味わえないサービスを味わうことにしよう。

部屋までの廊下はそんなに高級感ある感じではなかったけど私が期待しているのは部屋だった。もちろん温泉が最も期待していたポイントだったんだけど、楽天トラベルで見たここの宿の部屋が気に入って泊まることを決めた面も多分にあった。仲居さんに促されて入ると、そこにはまさに期待していた通りの部屋が待っていた。

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部屋!

この大きくとられた窓が凄く気に入ったことが、この宿を予約した理由の一つだった。そして実際部屋に入ってみて、やはりその立派な窓の存在感にすっかり満足してしまった。景色としては下を見れば川が流れているものの、真ん前が山なので木々が見えるばかりで眺望が良いというわけではない。でも山の緑が部屋の中を照らすこの部屋は、実際期待以上のものだった。

仲居さんが色々と説明してくれて、夕食の時間も割と自由に選べるそうなので少し遅めにしてもらった。部屋にある冷蔵庫には清水が入ったボトルが入っているので、無くなったらまた入れてもらえるということでそれもかなり嬉しいところ。そんな感じである程度説明が終わったら仲居さんは去っていった。

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広さは今までの宿と大差ないけどオーラが違う(気がする)

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開放感が凄い

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机の上

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洗面所と冷蔵庫もある

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これが清水の入ったボトル

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ちょこっと川も見える

これだけ大きな窓だから秋の紅葉シーズンにはさぞ綺麗だろうと思う。でも緑深いこの時期も清々しくてとても良い眺めだ。とりあえず部屋の感じも撮り終わったので、ここらでこの景色を楽しみながら清水を飲もうとコップに水を汲んで座椅子に座ったらここでまた驚いた。この座椅子、めちゃくちゃフカフカなのだ。かつてここまでフンワリした座椅子に座ったことがあっただろうか。一万円以下の宿にばかり泊まってる自分には嬉しい驚きの多い宿で、嬉しいやら悲しいやらという感じだった。

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このふっくらさは中々ない!

お尻をこれでもかというほど優しく包んでくれる座椅子に座って清水を飲む。この清水もまたキンキンに冷えていて最高に美味しい。これなら残念ながらこの宿にいる間は小野川温泉で汲んできた湧き水の出番はなさそうだ。だってなくなったらまた入れてくれるって言うんだもの。とにかく水を沢山飲む私としては嬉しい限りだ。

景色と水とフカフカ座椅子を堪能してから、また雨が降り出す前に温泉街を散策しようと出かけることにした。本当の流れならすぐに温泉なんだけど、今日はお客もそんなに多くなさそうだし、何よりここの風呂はかなりでかいとのことなので急いで入らなくても狭苦しい思いをすることはないだろうという判断だった。ということで必要な物だけもって散歩に出かけることにした。

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必要なアメニティは当然全てあったけど、足袋まであったのには驚いた。浴衣は最初に用意していたものより更に大きいのを持ってきてくれた

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廊下

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トイレ

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言うまでもなく綺麗だね

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さっきの廊下を奥に行くとあるフロント。この事務室に若旦那夫婦が住んでる(?)ようだ

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更に進んで玄関辺りまで来ると売店もある。土産はもちろん、お菓子なんかも売っているので夜食に何か欲しくなった時には便利だ。ただし夜10時までの営業

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その裏には喫茶室もあった。コーヒーや酒なんかをいただけるらしい

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こんな眺めの良いスペースもある

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そしてその喫茶室の横、つまり玄関目の前には休憩室がある。私が宿帳に記入した場所だ

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なんか人の家の一室のような雰囲気

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こういうのをしっかり祀っているのは凄く好印象だ

喫茶室もあって、中では将棋や囲碁なんかもできるようだった。風呂上がりにはここで冷たい物でも飲みながら外を眺めるのもよさそうだ。隣の休憩処で本を読むなんてのも悪くない。ここでは色んな楽しみ方ができそうでテンションもあがるあがる。

さらにここまで来る間にすれ違った従業員の人たちも相変わらず凄く愛想がよく、やっぱりそれなりの値段の宿はサービスもしっかりしているもんなんだなぁと実感した。凄く居心地が良いのだ。安い宿も良いところは沢山あるけど、やはり安い宿を語るには高い宿(という程ではないけど)のことも知らなければならないとなんとなく思ったのだった。

それから散歩に出ようと外を見ると時すでに遅く、もう雨が降ってしまっていた。しかしまだ小雨だったので宿の傘を借りて気にせず出掛けることにしたが、ここでも従業員の方が「行ってらっしゃいませ」と丁寧に頭を下げるのだった。

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駐車場がある入り口とは別の入り口

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白布温泉は山腹に開かれた温泉街なのでもちろん坂道。ガソリンスタンドがあるのは嬉しい

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少ないながらも一応バスが運行している

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民宿。実はここに泊まろうか悩んだんだけど、もうやってない感じ?

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やってない感が凄い

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茅葺の重厚そうな宿が見える

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案内図

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西屋旅館

さすがに観光客なんてほとんど歩いていないし地元の人もあんまりいないけど、この山間の静かな温泉街をゆっくり散策できるのは良い気分だ。人も車もいないので、側溝を流れる水のゴウゴウという中々激しい音(雨のせいか?)と何故か草むらから立ち昇ってる湯煙が旅情をかきたてる様だった。
温泉街には土産物屋はおそらくかもしか屋という酒屋くらいしかなく、飲食店っぽい店もどうやら閉店しているような感じ。なのでここは夜に出歩いて食べたり飲んだりとかそういうことを楽しむ所ではなく、宿でしっかり温泉を楽しむような場所のようだ。共同浴場はちょっと欲しかったけど。

そんな恐らく唯一の土産屋であるかもしか屋に入って何か見てみようと思ったけど、店の前で店員の女の人が何故か座り込んでスマホをいじっていて入りづらかったのでやめておいた。夜食用に温泉卵も買いたかったけど、どこにも温泉卵を売りにするような幟もなんにもないから温泉卵はないんだろう。小野川温泉で買っておけばよかったと少し後悔した。

そんなこんなで温泉街の上の方にある西屋旅館(ここもいつか泊まりたい)まで来て引き返した。ここから更に上に行けば滝があるみたいなんだけど、雨も少し強くなってきていたので本降りになる前に帰ろう、ということで坂を下っていく。

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歓迎の幟が沢山。お盆の時とかにはどのくらい人が来るんだろう

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バスがやってきた

誰もいないし雨も降っているからどこか寂しげな雰囲気の温泉街だけどそれがなんか良い感じ。そんな中をこういうバスに乗って移動するのはなんか趣があってよさそうだ。
ちなみに今更なんだけど、この白布温泉には古くから西屋・中屋・東屋という宿があって、そのうちの2つはかつて発生した火災によって焼失してしまったんだそうな。今回私が泊まっている中屋は火事にあって建物が焼失してしまったため今は別館で営業しているそうで、東屋は文化財級の茅葺の建物を焼失してしまったけど、今は新たに建てた宿で営業中。西屋は延焼を免れたので元のまま、だそうだ。焼失してしまう前の東屋は相当な建物だったようなので凄く残念ではあるけど、そこからまた宿の営業をしてるその根性に乾杯ですね、素晴らしい。

さて、そんなこんなで宿に戻ってきた頃にはすっかり雨も強くなっていたので、ある意味丁度良いくらいに帰ってくることができた。
宿に帰ってきたらやることは一つなので、部屋でさっさと支度を整えて待望の温泉へと向かうことに。風呂場は私が泊まっている方の棟ではなく立派な木造の建物の方にあるので、売店なんかがある廊下をそのまま突っ切って風呂場へと向かった。

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木造の建物へ続く廊下

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こっちは赤絨毯が敷いてあった

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休憩所。ブレてるけど

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その目の前は玄関だ

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休憩所の裏には酒等が売ってる自販機スペースも

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その休憩所を奥に行くと二手に分かれている。右が露天風呂で、左が内湯だ

露天風呂も凄く気になるけどまずは内湯。なぜならここはオリンピック風呂と呼ばれる横に長い風呂を売りにしているのだ。横に長いから他のお客さんを余計に気にすることもなく、外の景色も良く見えるようにとのことらしいが、まず最初はここに入らなければこの不動閣の温泉のスタートを切ることはできないのだ(適当)。

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階段をあがってさらに奥に行くと

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堂々とオリンピック風呂と書かれた暖簾が待っていた。これは期待大だ

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脱衣所

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脱衣所は何やら優しい音楽が流れていてどこかのホテルのロビーのようだ。広さも十分にあるし、ドライヤーと扇風機もちゃんとある。しかしそんなことよりもなによりも、どうやら先客がいなさそうであるということが重要だ。今ならオリンピック風呂を独り占めできる!ということで即服を脱いで浴場へ行くと、そこには宿が謳う通りの長い風呂が待ち構えていた。

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とりあえずドアの注意書き

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そしてオリンピック風呂!

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確かに長い!

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眺めも良い!

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右側の板壁の向こうは女風呂だ

かつて見たことがないほど横に長い風呂にすっかり感心してしまった。と同時に無邪気な子供心がムクムクと湧き上がってくる。そう「泳ぎたい!」という子供のように純粋な欲求だ。ここならちょっとどころか大分泳ぐことができるだろう。それほどに長い風呂だった。これが女風呂まで続いているというのだから、その全部が一気に見渡せたらさぞ爽快だろう。まぁここだけでも十分すぎるくらいだけど。

そんなわけで誰もいない間に一泳ぎしてみようとチャチャっと体を洗っていざ風呂へ。と足を入れようとしたところで浴槽の底に何か白いものが沈殿しているのが見えた。

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なんだこの白い物体は…

などと考える前に答えは明白。これはこの温泉成分、つまり湯の花なのだ。こんな塊が長い浴槽の中に沢山たまっている。その溜まっているところをずんずん歩いて行くと沈殿している湯の花が温泉の中に舞い散って一瞬で温泉は湯の花だらけになってしまった。カメラではうまくとれなかったら写真はないけど、とにかく凄い量の湯の花だ。かつてこんなに湯の花が舞っている温泉に入ったことがあったろうか。「なんだか凄いところに来てしまった」と、そう思うのだった。
で、そんな大量の湯の花が舞うオリンピック風呂を誰もいないことをいいことに泳ぐ私。まぁ正直プールのように深くはないのでうまく泳ぐことはできなかったんだけど、端から端までスイーっと行けるのは凄く気持ちよかったし贅沢な気分だった。

ちなみにこの温泉は適温で凄く入りやすく、泉質としては硫黄泉(含石膏硫化水素泉)と表示があったけど、硫黄の匂いは全くしない。しかし硫化水素泉は肌スベスベ系の温泉なので温泉からあがった時が楽しみだ。まぁとにかく、この温泉は入りやすいし最高に気持ちが良い。しかもオリンピック風呂と同じく横に長くとられた窓の開放感が素晴らしい。更に今は貸切状態なのだから、もう何も言うことなしの満点温泉だ。私はこのまま結構長いこと温泉に浸かっていた。

長いこと湯に浸かっていると、ふと「そういえば露天もあったんだった」と急に思い出して、のぼせる前にあがって脱衣所で十分に体を冷やしてから露天に向かった。

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分析書

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露天風呂。人がいるかどうかはドア横のスリッパ置きでわかる

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ドア横には冷水のサービスも。これはかなり嬉しい

とりあえず冷水を飲んでから(キンキンに冷えてて美味い)中へ。ここもまた誰もいなかったので貸切状態だった。

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脱衣所。内湯とは打って変わってかなり簡素

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ほとんど浴場と一体と化している

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そして肝心なところでブレてしまう私。申し訳ないです

露天風呂は内湯よりちょっと温度が低めで更に入りやすく、浴槽は大体大人5〜6人くらいは十分に入れそうな大きさだった。ただ湯の花の量は明らかに内湯の方が多かったけど、この開放感と肌で感じられる雄大な眺めはやっぱり露天風呂が上だ。下には川が流れていて、間近に見える山には下手したら天狗なんかが現れそうな雰囲気すら感じる。しかもこの時は雨が降っていたのでそれが却って風情を増しているようだった。
とまぁとにかくこの露天も内湯とは違った要素で負けず劣らずといった感じで、風通しも良いし温泉の温度もちょっと低めだから長湯したいなら絶対露天が良いだろう。これは凄く贅沢な時間が味わえる。やはりたまにはそれなりの金額の宿に泊まってみるもんだとしみじみと感じたのだt
ちなみに露天にはシャワーはないのでそこは注意だ。まぁ体を洗えるスペースはしっかり確保されてあったけど。

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めちゃくちゃ気持ち良いです

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霧がかってるのも幻想的

露天からあがった後は翌日の宿の予約やその他もろもろのやる事をやり終えて、6時すぎにまた風呂へ。夕食は7時30分からにお願いしていたのでまだまだ余裕はある。こういう食事の時間を決められる所では他の客が食事をしそうな時間を避けると、貸切状態で風呂に入れる可能性が高いのでおすすめだ。

で、私はこの時なんとなく髭剃りをしたい気になっていたので、風呂場に向う途中にすれ違った仲居さんに「」髭剃りってありますか?」と聞いてみると「ありますよ、差し上げますね。お部屋にお持ちしますので」という事であっさりもらう事ができた。ありがたいありがたい。
(風呂からあがったら、部屋の前に髭剃りがちょこんと置いてありました)

その後風呂に長い事浸かってから部屋でのんびりしていると、7時30分丁度に仲居さんが呼びに来たので食堂へ。部屋食ではなかったけど、まぁ私的にはそれが普通なので大したことではない。

食堂は階を下ったフロアに、そこでは仲居さんが他の客のテーブルを片付けていた。元々この日に泊まっていた人数も少ないし、時間もずらしていたしでこれから食べるのは私だけ。食堂には私と仲居さんがいるのみだった。

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食堂。奥に長かった

食事が用意されている席に座ると、他にも色々と仲居さんが持ってきてくれつつ、ちょっとした料理の説明もしてくれた。更に仲居さんは、私が食べ始めてからも私の邪魔にならない程度に色々話をしてくれたりして、ここでも凄く丁寧に接客してくれる姿勢に嬉しくなってしまった。

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夕食!

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米沢牛の陶板焼き!

右側にある刺身は鯉の洗いで、その奥のは鯉の竜田揚げだった。仲居さんによると、米沢ではめでたい日なんかには鯉料理を食べるということで、早速一口食べてみるとこれがクセもなく少しコリっとした感じで凄く美味しい。川魚にはよく言われる川魚特有の匂いなんていうのもないし、普通に美味しい刺身だ。更に竜田揚げはちょっと甘めのタレがかかった柔らかい仕上がりになっていて、これもまた普通に美味しい魚の竜田揚げだ。私も長野で鯉料理は何回か食べたことがあるけど、洗いと竜田揚げは初めてだったのでその美味しさに思わずおかわりをお願いしたいと思ったほどだった。

その他山菜の小鉢たちもそれぞれおいしく、素材の味がはっきりしているので新鮮なんだろうということが伺えた。陶板焼きの肉もすんごく柔らかくてタレの味も美味しいので、野菜とともに一瞬でなくなってしまった。もう全ての料理が完璧に美味しかったのでもうこれ以上ごちゃごちゃ書きません。全部本当においしかった(いつも同じような感想だけど)。

そんな風にウマウマ食べながら仲居さんと話していた。仲居さんは常に笑顔で凄く話しやすく、私が原付で来たことを言うと「6月ごろにバイクでいらしたお客さんが途中田んぼに落ちたらしくて、体中泥だらけで来られた時は本当に驚きました」と面白そうな話をしてくれた。よく聞いてみると、宿に来る途中に道路のど真ん中に猿がいて、それがどんなに近づいても逃げないばかりかこっちに飛びかかってきたんで驚いてハンドルを切ったらそのまま田んぼに突っ込んでしまったんだとか。その後そのまま宿に行って、宿の人と村の人たちでなんとか田んぼからバイクを救出したんだけど、田んぼの持ち主には物凄く怒られたみたい。
「なのでお客さんもお帰りの際には猿には気をつけてくださいね。ここらの猿は人に慣れていて逃げないので」と注意を促してくれた。確かにここらの道は猿が出そうだけど、こっちに向かってこられるのは確かにかなり怖いから私も気をつけますと返事をしておいた。明日は猿に合わないことを祈ろう。

夕食を終えてからは特にやることもないので、テレビを見たり本を読んだりしつつ、その合間に何回も風呂に入りに行った。露天風呂は10時から消灯だけど一応入れるということだったので行ってみたら、マジで真っ暗でなんにも見えなかったので諦めたりもしたけど、結局合計5・6回は入ったと思う。その結果今まで入った温泉の効果もプラスされて体中の肌がめちゃくちゃスベスベになり、大満足のうちに就寝した。

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夜中のオリンピック風呂。夜中入るのも最高

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真っ暗な喫茶室でゆっくりしたりした

朝は6時に起きたのでまず軽く露天へ行き(この時初めて人と一緒になった)、朝食は7時からだったのでその後外へ散策に行った。やはり朝の散歩は欠かせない。

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朝の露天ももちろん最高

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昨日は気づかなかったけど宿の池にはイワナがたんまり泳いでいた

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昨日と打って変わって良い天気

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ここは昨日来た時も閉まっていた。もうやていないんだろう

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かつてアクセサリー作りなんかをしていたらしい建物。凄く惹かれる鄙びっぷりだ

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勢いよく流れる水。いや、本当に勢いが凄い

途中村の人と挨拶なんかをしながら坂を登っていく。朝の散策の目的地は昨日行けなかった滝なので、西屋を超えて更に登った。

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そしたらすぐに到着

看板に「歩きやすい格好と靴で行ってね」と書かれていたけど、まぁ大丈夫だろうと浴衣+サンダル姿で突入した。道は割と狭目だけどしっかり階段が作られているので割と大丈夫だけど、思ったより距離があったのですっかり汗をかいてしまった。確かに浴衣とサンダルで来る場所ではなかった。

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葉っぱについた雨露が浴衣を濡らす

まぁでも特にこけたりすることもなく無事に滝まで到着。これがなかなか立派な滝だった。

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涼しくて気持ち良い!

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滝壺も深そうでいかにも魚がいそうな気配

意外と大きな滝だったのでちょっとびっくり。勢いもあるから涼しい風に乗って霧が当たってくるのが汗をかいた体には気持ち良かった。深そうな滝壺も釣りをする私には魅力的な存在なので是非釣りをしたかったけどまぁそれは諦めた。そんな感じで辺りを見回していると、何か人為的な横穴があいていたのが気になったので観察してみた。

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なんだあの横穴は!?

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でもなんもなかったです

穴はすぐに行き止まりになっていた。なんの穴かわからないけど、ちょっと拍子抜けしてしまったのでそのまま宿へ戻ることに。途中アブにモモを噛まれたりしながら帰路についた。

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やっぱりやってなさそうね

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玄関すぐ横にこんなのもあった

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朝の喫茶室

朝食は7時。昨日みたいにまた仲居さんが呼びにきてくれるんだろうと思っていたら7時をすぎても呼びに来なかった。10分くらい過ぎたころ「もしや、すきな時間に行く感じか?」と思って食堂へ行ってみると仲居さんが礼儀正しく挨拶をしてくれて「もう準備はできておりますので」ということで席に案内してくれた。どうやら7時から食事の用意はできてるから、好きな時に来てくれということだったらしい。

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食堂の手前

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朝食!

朝食ももはや言うまでもなく美味しく、何より温泉卵があったのが最高だった。仲居さんも相変わらずにこやかに話しかけてくれて、のんびりゆっくりと朝食を食べた。
朝食後は散策時の汗を流す意味も込めてオリンピック風呂へ。やはり他に人はいなかった。

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差し込む朝日が爽やかで気持ち良い

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やっぱり晴れた日の眺めも素晴らしい

誰もいないので昨日と同様泳いだりしながら最後の温泉をしっかり味わった。この日も湯の花が大量に舞っていて、最初から最後まで贅沢に温泉に浸かれた幸せを存分に噛み締めながらスイスイしていた。
風呂上がり後は体も火照っていたしちょっと眠くなっていたので、畳敷きの長椅子にバスタオルを敷いて素っ裸で横になった。青空と流れる雲を見ながら横になって扇風機を浴びている時「俺はなんでここに連泊しなかったんだ」と思っちゃったほどのゆったりとした夏の時間を全身に味わった。なんだか懐かしいような感じの、上手く言葉にできない素敵な時間だった。

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写真ではわからないけど外は完璧な青空。この時の気持ちは例えようもなかった

ここでしばらくウトウトしながら幸せな気分に浸った後、それでも出発しなければならないのでしょうがなく部屋へ。
ふと出発前に爪を切っておきたいと思ったので「さすがに無いだろうな〜」と思いながらもフロントへ電話したら「お部屋へお持ちします」とすぐに部屋まで持ってきてくれた。爪切りまで貸してもらえるとは、さすがに一万円を超える宿は違うと貧乏くさいことを思いながら爪を切った後に、身支度を整えて部屋を出た。

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めちゃくちゃ名残惜しいけど、一晩ありがとう!

フロントへ行ってベルを鳴らすと若旦那の奥さんらしき人がにこやかに出てきて精算をしてくれた。その途中「お酒は飲まれますか?」と聞かれ、一瞬なぜか「酒は飲んだのか?」という意味の質問と勘違いしてしまったけど、すぐに勘違いに気づいて「ええ」と答えると「では、こちらをどうぞ」と行って小さな酒瓶をプレゼントしてくれた。ラベルには「おしょうしな」と書かれていて、どうやらこれは米沢あたりの方言で「ありがとう」という意味の言葉らしい。私は「お、今晩は晩酌じゃ!」と嬉しくなって丁寧にお礼を言って、とても気持ち良く宿を出発することができた。

その後若旦那が「じゃあ車庫を開けましょう」と言って一緒に車庫まで行き、ちょっと雑談した後発進。若旦那も最後の最後まで楽しく話をさせてもらって、とても丁寧に送ってくれた。「ここを選んだのは大正解だったな」と思いながら、今日の目的地に向けて原付を走らせた。

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と、その前に土産はないかと寄ってみたけど、特に欲しいものはなかった

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かもしか屋のむかいには

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素敵な小さい分校が。こんなところに泊まりたい

と、少しの散策を終えたところで猿に出会わないように山道を下っていった。


※今回泊まった中屋別館不動閣は、本文にも散々書いてる通り従業員の接客も温泉も食事も、とにかく私には全てが大満足の宿でした。高すぎる宿ではないので仲居さんも親しみやすくよく話してくれるし、大変居心地の良い宿でした。そしてこの温泉のスベスベ効果っぷりも物凄い。正直2泊したいくらいでしたが、それはまたいつかこの地に来た時に楽しむことにしたいと思います。おすすめです。
(ちなみに、若旦那によると湯の花の量は日によって結構違うようで、全くない時なんかもあるようです)

これまでの肌スベスベ度(通常時★1つ)
★★★★★ ←マックス!超スベスベ!

中屋別館不動閣 : 一泊二食付き 13110円
公式サイト