8月の中旬ごろから9日間程夏休み旅行に行ってきました。 [2日目]
夏休みになる前からなんとなく「毎日温泉に入りたい」と思っていたので、今回は「毎日違う温泉で湯治旅」をテーマに行ってまいりました。しかし相棒の原付は旅の一ヶ月前にバイク屋に点検してもらった際「いつ止まってもおかしくない」という最悪の宣告をされてしまいました。そんな状況の中強行した今回の旅の様子を、まず初日からどうぞ。
※今回から本文の文体を変えていきたいと思います。なんか過去の記事を読みなおしていたら(今更ですが)ですます調はあまり紀行文にあってないような気がして。。以前から読んでくださっている方は違和感を覚えるかもしれませんがご容赦くださいませ。
夏休みの初日は睡眠1時間での夜中3時出発。前日の仕事が終わってから寝ようとするも、旅への興奮で中々寝付けず結局1時間しか寝られなかった。まぁこんなことは釣りに行く前日とか毎度のことなので気にしない。とにかく輝かしい2017年の夏休みを楽しむために出発した。
大体私が長期旅行に行く時は初日と最終日は割と長い距離を走って、その他の日は7、80㎞くらいにしとくというのが決まっている。初日は大体宿まで200㎞ほど。なのでなるべく早く着けるように夜中3時に出発した。
小雨が降ったりやんだりする中順調に走り、朝の9時前にはもう栃木県は矢板市についていた。道中少し眠くなってきたし、このままだとチェックイン時間より早く到着しそうだったので、休憩で立ち寄ったコンビニで矢板温泉なる日帰り入浴施設でヒトップロ浴びて休憩室で1〜2時間くらい寝ようというということを思いつき、休憩室でダラっとする幸せに向かってワクワクしながら原付を走らせた。
9時開店で開店10分後くらいに行ったのに既にお客さんの姿があり(しかも観光客らしいカップル)、駐車場には車も何台か。結構人気なトコなんだろかと思いながら入店し券売機で500円で券を購入して受付の人に「時間制限はありますか?」と聞いたら「いえ、いつまで入ってらしても結構です。休憩室のみのご利用でもかまいませんよ」とのこと。普通は2時間とかは3時間くらいの制限があるのにありがたいことだ。スタッフの接客も感じが良くてイイ感じ。
で、そのまま綺麗な館内を歩いて脱衣所に向かうとここもまた綺麗だった。新しい施設なのだろうか。
広々として綺麗な脱衣所に着くと誰もいないが、ロッカーを使っている形跡がちらほらあったので既に入っている人はいる模様。早速服を脱いで温泉へ突撃した。
内湯には源泉掛け流しそのままの浴槽と井戸水が溜まっている冷鉱泉があり、露天は景色は悪いものの結構な人数が入れそうな規模だ。露天の中央にはなにかギリシャ風のツボから源泉がドバドバ出ている。
まずは内湯に入りその後露天に入ったが、どちらもちょっと熱めながらも適温で、HPには無味無臭とあったが温泉らしい匂いは若干感じた。泉質は塩化物・硫酸塩泉ということでどこか肌がサラッとするような感じで湯に柔らかさがあって気持ちが良い。これで時間無制限と言うんだから近くに住んでたら絶対通いつめてしまう魅力がある。「ここを選んで良かった」と一人まったりとしていた。
風呂をあがったらすぐさま休憩室に直行した。既に地元のおっさん集団や老夫婦、カップルなんかがいたがまだ人がいない窓側で座布団を枕にして一時間半ほど気持ち良く眠る。この時間が素晴らしいのだ。
休憩室ではハーブティーが飲み放題だった。今回は食べなかったが食事もいろいろあって美味しそう。
スマホのアラームで目がさめると休憩室にいるメンバーは全く同じだった。ただ温泉に入りに行く人は結構見たのでこれから人が増えていくのだろう(昼前だし)。人が増える前にハーブティーをごくごくと2杯ほど飲み干して昼飯のことを考えた。
時刻は昼前でお腹は結構すいていて、というか温泉に入っている時からお腹がすいていてしかもここは休憩室。ご飯を食べるのにうってつけなのだが私はこの近くに道の駅があることを知っていた。この休憩室のメニューもなかなか魅力的なのだが、道の駅好きの私としてはその誘惑に勝てず道の駅で昼飯をとることにして出発した。
小雨の降る中少しばかり走ったらすぐに到着。
実はここ、以前3月に来た赤滝鉱泉への道中に寄った道の駅なのだ。だからなんとなく場所は覚えていたのだが、まさか今年中にまた来ることになるとは。「もうしばらく来ることはないだろう」とか「2度と来ることはないだろう」とか思ってると案外すぐに同じ場所に来たりすることがあるのは何か不思議なものを感じる。
ともかくこの道の駅のことはまだ結構覚えていたので内部散策もほどほどに昼飯を食べることに。雨が降っているとはいえ夏休みなので中々の人混みだが、一人なので待つこともなくすぐに席につくことができた。
ここは先に会計をして、その時に渡されたアラームが鳴ったら飯を取りに行くというシステムなので、アラームが鳴った瞬間にすぐに取りにいく。
値段は800円くらいだったような。値段の割には量もあって美味しく、ここまでの疲れを癒すがごとく無心になって食べた。途中他に席がいくらでも空いてるのになぜか私の横に座って食べ始めたおじさんを訝しみながらもすぐに完食。ここで食べたのは正解だった。
外に出ると雨もやんでいて、運が良ければ晴れてすらきそうな天気だった。このままちょっと寄り道しながら行けばチェックインの時間にちょうど着くくらいな感じだったので颯爽と原付にまたがり出発。ちなみにここまでの道中、瀕死の診断を受けた原付はすこぶる快調でいい感じだ。
これからどんどん山道を登ることになっていくから原付が少し心配だったが、ゑびすやへ続く道も3月の旅行で途中まで来ていたので道の感じもなんとなくわかるしまぁ大丈夫だろう。後は雨が降らないことを祈るばかりだ。
しかし変わりやすい山の天気に弄ばれるように、出発してしばらくしたら雨が降り始め、しかも山を登っていくに従ってどんどんと雨脚が強くなってきた。一人旅の山道での大雨というのは2年前の長野の旅でもそうだったが、ホントに泣きたくなるぐらいに不安になってくる。「もしここで原付が止まってしまったら・・・」とか「本当に宿にたどり着けるのか?」とか色んなことを考えてしまい気持ちがドンドン落ちてくるのだ。私はそんな不安で冷え込んでいく心を励ますために、ガーネットクロウの往年の名曲「夏の幻」を歌いながら原付を走らせた。
その後これでもかというほど雨脚が強くなり、これ以上走ることに身の危険を感じ始めたので以前の3月の旅行で一度訪れていた屋根付きの足湯ポイントまで必死で走りそこで雨宿りをすることに。到着してみたら私と同じく雨宿りの先客(皆車で来ていたが)が既に足湯に浸かっていたが私もその仲間に入れてもらうことにした。
当然といえば当然だが、足湯に浸かっている人たちは皆夫婦か家族連れで、一人旅の私はなんとなく居心地が悪いがどうしようもない。とりあえずここで雨が止むか弱まるまで待つことにした。天気はもはや大荒れで、デカイ音で雷が鳴り響く大雨となっていた。
足湯に浸かっていたのは30分くらいだったろうか。その間足湯に入りに来る人も入れ替わり立ち替わりで家族連ればかりがやってきて多少雑談もしたが「皆車なのにどうしてわざわざここの足湯に入りにくるんだろう」などと思っていた。この時足湯に浸かりながら雨宿りをするという状況を少し気に入っていたので「一人にしてくれ・・」という気持ちになっていた。だってバシャバシャとはしゃぐ子供をしかる母親の叱り方が凄く嫌な感じだったんだもの。
とまぁそんなことで時間が過ぎていくと雨も次第に弱くなり始め、さっきの大雨はなんだったんだというくらいに弱くなったのですぐに出発することにした。しかしそれでもまだチェックインまでは少し早かったので、少し行ったところにある湯っ歩の里なる足湯専門の施設に行くことに決める。
道中なぜか2・3メートルくらいありそうなスーパーサイヤ人孫悟空の像があったが雨のためスルーして湯っ歩の里へ。結構最近できた施設なのか、見た目相当に新しくオシャレな外観だ。しかも屋根つきの足湯施設ということで時間つぶしには最適な環境で言うことなし。早速館内へ向かった。
横から。湯っ歩の里は入り口の左右に屋根つきの回廊があり、入り口に対して左側に行くとトイレ、右に行くと飲泉所があった。これはトイレ側からの写真
真新しい建物に入るとまず靴を入れるロッカーがあった。
この反対側にもロッカーが並んでいた。一度に結構な数の客が入れそうだ
靴を脱いで下の階に降りるとそこがようやく足湯の受付。そこには意外にも地元の人らしきおっちゃん3人が仲よさそうに雑談していたが、私を見るとにこやかに接客してくれた。
とりあえず代金の200円(安い!)を支払って足湯に向かおうとすると
おっちゃん「リュックはロッカーに入れてったほうが良いよ!」
おっちゃん2「身軽で入ったほうが良いよ、お金もちゃんと返ってくるから」
おっちゃん3「うちは盗難が起こったことないから大丈夫だよ!」
と台詞が決まっているRPGのキャラの様に息ぴったりにロッカーを勧めてくれた。ここまで陽気に勧められては断る理由もないので「じゃあそうします。やっぱ身軽がいいですよね(笑)」と受付奥のロッカーにリュックを入れに行こうとすると
おっちゃん2「でもリュック入るか?(おっちゃん3を見る)」
おっちゃん3「入ると思うけど、入んなかったらこっちで預かるから!」
ととっても親切なおっちゃん達だった。
リュックは無事ロッカーに収まったので早速足湯へ行くと、さっきのおっちゃんが「先にぬるい方から行くといいよ」とその他いろいろ説明してくれたのでぬるい方から攻めることに。ここの足湯は円形に伸びた足湯の道があって、その足湯の右半分がぬるいエリアで左半分が熱いエリアなのだ。
足湯は大体スネよりちょっと上くらいの水位で、ツルッとした石が敷き詰められた道をジャブジャブ歩きながら健康になっていくというのがここのコンセプトのようだ。底の石は始めは大きめ石がしきつめられているが進むに従って小さくなっていくという仕様だった。他の客は「イタタ〜」とか言いながら歩いていく人もいたが、かつて足裏のつぼマッサージに凝ってつぼを毎日押し続けた結果、足裏がとても柔らかくなった私は1ダメージもくらうことはなかった。そしてそのまま熱いエリアへと向かう。
たしかに熱いが大したことはなかった。とても気持ち良い。ちなみに左の半円形の場所からはたまに間欠泉がぶしゅっと吹き上がっていた
カップルや家族連れが楽しそうに話したりしている前を黙々と歩きながら一人足湯を楽しみ、人が少なくなったぬるいエリアでしばらく休んだ後出発することに。
ぬるいエリアでのんびりするのもまた良い。ここは中々使い勝手がよさそうな施設だ
熱とぬるのエリアの間には足つぼ機や体重計やうちわが置かれた休憩所もあってそこからの風景。ここから間欠泉が吹き上がる
湯っ歩の里を出る前に、少しガソリンの残量が気になっていたので受付のおっちゃんにスタンドの場所を聞くと
「上の道をこっちにいくとあるよ、1キロくらいかな」ということだったので、来た道を戻ることになるけどガス欠になったらたまらないのでまずはスタンドに向かうことに。でもその前にまだ行ってなかった飲泉所へ行く事にした。
飲泉所は屋根付きで良いが、どうせなら館内に設置すればよかったのにと思わなくもない
飲んでみると温泉らしい味がして結構飲みやすい。これで冷たかったらガブガブ飲みたいところだが源泉そのままで熱いので一杯で終わりにしておいた。
その後周囲を少し散策した後スタンドへ向かう。もう雨もほとんど降っていないような状態だったのでこのままの状態が続けば安心して宿へ向かえそうだ。
そういったわけでスタンドへもすぐにたどり着き無事ガソリンを給油してもらっていると、給油してくれているおばちゃんの「東京から来られたんですか?」の一言からしばらく雑談が始まった。
私「頑張ってここまできました。昼頃の雷雨でちょっと命の危険を感じましたけど」
おばちゃん「最近はこんな天気ばっかなんですよ。さっきの雷も多分近くに落ちたと思いますよ」
私「すんごい音しましたからね〜。ただ山だから天気が変わりやすいことに助けられましたけど」
おばちゃん「本当最近は降ったりやんだりばっかりですよここらへんは」
という感じで色々と話して、塩原の観光パンフ一式(結構たくさん)を「荷物にならないかしら」と言いながら渡してくれて、最後にはお釣りをもらう時にアメなんかも貰ったりして凄く親切で優しいおばちゃんだった。一人旅ではこういう触れ合いが凄く嬉しいひと時だ。
出発する時には「気をつけてくださいね、行ってらっしゃい〜」と笑顔で見送ってくれて、道路に出る直前にまた何か言ってくれていたのにバイクの音で聞こえなかったのが残念だったが、私は気持ち良く出発した。
ここから宿への道は山道なのだが、多少ガタガタはあるものの特に急な坂などもなく案外簡単に行くことができた。ただ真新しい熊出没注意の看板は怖かったけど。
この看板からちょっと行くと建物が見え始め、しかもうっすらと硫黄の香りがし始めてきた。やっとこさ宿へとついたようだが、大きな温泉街でもないのにもう硫黄の香りが漂っているとは驚きだ。その香りに胸躍らせながら進むとすぐにゑびすやに到着した。
ゑびすや横。真横に宿が建っているとは色々と想像とは違ったが全くマイナスではない。
それではいざ館内へ
玄関を入るとフロントには誰もおらず、「すいませーん」と声をかけると腰の曲がったおばあさんが出てきた。「秘湯の宿に腰の曲がったばあちゃん。これはイイね」などと思いながらフロントで色々とやるべきことをやって部屋へ案内してもらう。「お盆はお客さんがたくさんいましたが、今日はそんなにいませんから」ということでゆっくりできそうだ。
館内はちょっとクネクネした感じで、階段は結構急だった。浴室は地下(?)で私の部屋は2回だったが階段が急なためおばあちゃんの案内は階段手前までで終わった。確かにこの階段は老人には(しかも腰の曲がった老人には)キツそうだ。私は促されるまま階段をあがって部屋へ入った。ちなみにフロントからここまで硫黄臭がうっすら立ち込めている。
部屋は二人なら狭いだろうが私は一人なのでこれで十分。布団も既に敷かれていたのでこれはありがたい(いきなり横になれるので)。正直もっと寂れた、年季の入った感じを想像していたのだが部屋は十分に綺麗で清潔だった。エアコンはないが扇風機があるので問題ないし、テレビもコイン式ではないので快適そうだ。しかしなぜか照明がつかなかったので写真はちょっと暗くなってしまった(実際はもうちょっと明るかった)。
とりあえずひと休憩してからアメニティチェックをしたりしつつ、誰も来ないうちに秘湯を味わおうと温泉へと向かう。
バスタオル・フェイスタオル・歯ブラシ・浴衣に加え、うちわにファブリーズまで揃っていた
反対側から。壁のひょうたんで去年行ったようだや旅館を思い出した
トイレ。大と小が一緒
階段を下りて右へ行くと早速のれんがかかっていた。
ちょっと洒落た感じの飲泉所だが、この雰囲気と硫黄の香りが物凄く温泉への期待度をあげてくる。温泉は今なら間違い無く私だけの貸切状態。初日からこんな贅沢でいいんだろか。飲泉も気になるが私は真っ先に脱衣所へ向かった。
脱衣所にある洗面所。上方には神棚が置かれ、温泉を大事にしている姿勢がうかがえる
正直写真撮影なんて後回しにしたいくらいの気持ちだったがこの後入浴客がいたりして撮影ができなかったら困るのではやる気持ちを抑えて撮影していた。いやしかしここは素晴らしい。
まぁとりあえずすぐに服を脱いで素っ裸でカメラ片手にいざ期待の浴室へ!
浴室のドアを開けるとムアっと鼻に付く濃厚な硫黄臭と、素朴でありながらも豪快な造りの浴室と浴槽。誰もいないのにかつての湯治客の姿がポアっと瞼に浮かんできそうな光景だ。硫黄臭を逃がすために窓は開かれ換気扇はガンガン回っている。その下のパイプからは豊富な源泉がドンドコ流れ出てきている。これは貸切状態で味わえるなんて幸せという以外に何があろうか。「スゲぇなぁ・・・」とただただ思った。そう思いながら体を洗ったのだった。
体を洗ったら早速入湯。ここは右の浴槽と左の浴槽では源泉が違い、右は弘法の湯、左は梶原の湯と言ってそれぞれ空海と梶原景時に由来しているそうな。
弘法の湯は間欠泉だそうだが、私が泊まって温泉に入っている間に間欠泉が噴き出すことはなかった
まぁ詳細は公式HPなどを参考にしてもらうとして、まずは右側の浴槽から。湯が白濁していて深さもわからないのでゆっくり入ってみたがこれが結構熱い。かつて入った湯宿温泉だとかほどではないにしろ、とうてい長湯はできないであろう温度。全身使ってみると足の先からビリビリと痺れのようなものが頭へとあがってくるのを感じた。しかしそれが非常に気持ちが良い!ここまで雨の中大変な思いをして来た甲斐があったというものだ・・・・などとのんびり1日を思い返している暇などなく、熱さに負けてすぐに左の梶原の湯へ移った。
こちらは弘法の湯に対してぬるく、長湯ができそうな温度だ。入ってみるとなにか肌にピリピリとくるものがあり、それがなんとも気持ちが良い。梶原の湯はどうやら炭酸泉で「ラムネの湯」と呼ばれているらしいが、それも納得の浴感だ。湯の成分で変色した木やパイプとその周囲の析出物を見ながら、改めてこの源泉の成分の豊富さを実感した。何度もしつこいようだが、これを貸切で味わえるのは本当に素晴らしい。ここで湯治したならばたちどころに悪いところが治りそうな気がする。そんな風に思えるほど源泉のパワーを感じた。
最高の湯を堪能した後は気になっていた飲泉所へ。塩原最古の湯は一体どんな味がするのだろう。
源泉の横には薄めるための水が流れ出ているのだが、とりあえず最初は源泉そのままで飲んでみた。
その瞬間淡い炭酸の口当たりと同時に渋いような苦いような表現しづらい、かつて味わったことのない味が口いっぱいに広がって「ぐえっ」と一声あげてしまった。
「なんだこれは・・・(呆然)」
困惑する私。私の文章力ではどうも表現できない味だ。まぁ率直に言って決して美味しいとは言えないがなんだか効きそうな気はする。便秘やら胃腸病やら色々と効能があるらしいが、確かに効きそうな気はするのだ(適当)。
幸いなことに私はそこらへんの病気にはまだ縁がないが、とりあえず汲んだ残りを捨てるのも気がとがめるので一気に飲み干して1200年の歴史を持つという名湯を腹中に収めたのだった。皆さんも是非この味を体験してみてほしい。
廊下に飾ってあった地図など。昔は梶原の湯を煮詰めて薬を作っていたのだそうな
風呂上がりに部屋の照明が点かないことを知らせにフロントへ行き、女将(というより大女将か)に「部屋の照明がつかないんですが」と告げると「ああ、あれは入ってすぐ横のスイッチを入れないと点かないんですよ」と言われ、それも押したが点かなかったと言うと「じゃあちょっと見てみますので」と横であくせく働いていた息子さん(多分)にその任を頼んでいた。
「では少々お待ちください」と言われたので大女将と少々雑談。
やはりここは硫黄の成分が濃すぎて電化製品なんかはすぐにダメになってしまい大変らしい。「すぐにこんななってしまいます」と見せてくれた10円玉は真っ黒で「1円だけはニッケルだから黒くならないんですよ」と笑っていた。やはり硫黄泉の湧くところはどこも同じ悩みを抱えているようだ。
さらに「ここはまだマシで、一番上の大出館さんはここらへんの硫黄が全部いくから一番大変なんですよ」とのことで、一体どれほどのことになっているのか他人事ながら心配してしまった。「だから屋根もトタンではすぐにダメになるからステンレスなんです」と言っていた。素晴らしい湯が湧く反面、経営者にとってはそれが頭痛の種になっているのかもしれない。
他にも
・飲泉は慣れた人はガブガブ飲む
・アトピーにもよく、コットンにつけてアトピーにつけたら治ったという報告あり
だそうだ。
そんなことを色々話していると息子さんが「では行きましょう」と小さな脚立を肩に部屋に向かったのでついていき部屋を開けると、なんと部屋を出るまで枕だった部屋の中がピッカリと明るくなっていた。どうやら温泉につかったりしている間に点いたようで「あれ、ついてる」とアホみたいな声をあげる私。「さっきは何をしてもつかなかったのに」と言うと「じゃあどこか故障しかけてるのかもしれませんね。また点かなくなったら言ってください」と言って去っていった。
とりあえず照明がついて一安心し休憩しようと思ってふと外を見たらなんだか晴れ間が見えてきていた。どうやら雲はどこかに流れていったようで外はもう晴れているらしい。そうとなったらやるべきことは外の散策以外ありえないので散歩に向かった。全く山の天気というのは本当にやっかいなものだが、晴れてくれることに関しては神様ありがとうといった感じだ。
外に行くついでに洗面所のチェック。男性にも女性にも十分なものがそろっているのではないだろうか
この酒しずくという化粧水を使ってみたら凄くしっとりしたので「一体どこの商品だ!」と検索したらダイソーの商品だった。どうやら大変人気のある化粧水らしいが、ここでダイソーとは一体どこまで買いに行ってるのだろうか。というか秘湯宿でダイソーという品の選択がなんとなくらしくて良いと思う
フロントに行くとまだ息子さんがあくせくしていたので「ちょっと出てきます」と一声かけて外へ。
外は曇り空など全くない晴天。やっぱり夏は青空がよく似合う。特に旅の空には!
空が白飛びしてしまっているけど実際は結構晴れてます。我が愛車も雨に濡れずにゆっくり休めそう
横の元泉館との方に歩いて行くと川に降りる階段があるのでそこを降りてみると
川は薄濁り。湯量が豊富な温泉地の川なんかは温泉が川に流れ込んでいることがよくあるがここはそれ故に少し濁っているのかそれとも雨のためか。いずれにしろ魚がいるのか気になるところ
私は旅のどこかで釣りをしようと釣り道具一式を持ってきていたので、もし明日うまいこと起きられたら釣りをしようとなんとなく思った。まぁ釣ったところでどうすることもできないんだけど、やっぱり川を見るととりあえず釣りをしてみたくなってしまうのが釣り人の性なのだ。まぁ矢板温泉での休憩を考えても昨日から2時間ちょっとしか寝てないから朝早くに起きられる自信は全くないんだけども。
元泉館からゑびすや方面。奥から歩いてきた赤い服の人(明らかに日本人ではなかった)になぜかめっちゃ見られた
バイクできた方に少し戻ると民家がある。ここの人はどんな暮らしをしてるのか。旅をするとそんなことをいつも考えてしまう
下流の橋より。写真にはうつっていないが川の端に温泉が湧いているところがあって川に流れ込んでいた。というかそれよりもこの手前にいた鎖につながれた暴れ犬にいきなり吠えられて死ぬほどビックリした
そんなこんなで散歩を終えて次の日の宿に予約の電話。
私「明日で一人なんですけど空いてますか?」
おばちゃん「大丈夫だと思いますよ、ちょっとお待ちくださいね。」「大丈夫、大空きです(笑)」
とのことで無事予約完了。その後風呂に入ったりして眠気と戦いながらゆっくりと過ごす。
夕食は18時40分からなのでその時間に事前に言われていた食堂へ。宿泊客は私の他に2組で、老夫婦と若い夫婦プラス友人(?)と言った感じ。「これはちょっと居心地悪い感じか?」と思ったが席は互いにうまいこと衝立で隠れてちょっとしたプライベート空間が保たれていたので不安は杞憂に終わった。まぁこの時には他の宿泊客と少し話したりして多少打ち解けていたけども。
席には豪華な夕食がセットされ、まずは女将の夕食の説明が始まった。ここでは夕食の説明を色々してくれるようで、私はただなんとなく「親切なんだなぁ」と思いながら黙って聞いていた。どれもこれも非常にうまそうな夕食に期待度はマックスであるっ。
夕食。魚はイワナで、女将曰く「骨まで柔らかいので頭からどうぞ」だそうだ。
夕食は見ての通り。予想以上にうまそうで、小鍋の横の丸まったやつと右下の灰色の豆腐のようなものが入っているのはどちらも湯葉料理で女将一押しっぽい感じだった。まぁいつものように詳しい食レポなんかはしないけど、とにかくどれもこれもうまかった!天ぷらもサクサクで、イワナも言っていた通り骨まで柔らかくてイワナらしいちょっと野性味のある味がご飯によく合った。唯一漬物皿にのっていたらっきょうだけはちょっとキツかったが(私はらっきょうが嫌いなのです)、宿の飯は残さないがモットーの私なのでなんとか食べて完食に成功した。疲れていたのもあるが、これだけの料理を出してもらえたらもう大満足だ。
ちなみに刺身には栃木が誇るプレミアムヤシオマスなるブランドマスの刺身が入っていたがこれも凄くおいしかった。
非常に美味しい夕食を食べて部屋に戻ると新しいお茶と冷たい水が用意してあり、そのサービス精神に感謝しながら冷たい水を一気飲み(民宿ではこういうことは滅多にない)。美味しい食事も終えて十分腹一杯になるととうとう眠気に耐えられず9時まで眠った。その後再び温泉に入ったり、なんとなく外を散歩しようと思ったら完全に暗黒の世界だったので恐れをなして逃げ帰ってそのまま就寝した。
朝は4時ごろに目が覚めたので朝一の貸切状態の温泉を思いっきり堪能して外へ。一応早くに目が覚めたがもう釣りをする気は全く残っていなかった。
夜の間雨は降らなかったようだ。朝の山の霧がかった感じが遠いとこに来た感を加速させる
川に行ったらすっかり水は澄んでいた。どうやら昨日の濁りはやはり雨のせいだったらしい。川には釣り人が一人いたが釣れてる様子はなかった
私は朝早くに宿の周りを散歩するのが好きなんだけど、やっぱり朝の山の空気っていうのは清々しくて気持ちが良い。晴れていれば更なりだ。「今日も良い日になりそうだ」と自然にそう思えてくる。
朝のゑびすや。周りにはモミジが茂っているので紅葉の時期はとても綺麗になるんだろう
部屋に戻ると朝食の時間(8時)までにはまだあるので7時45分まで二度寝。起きてから朝食に向かった。
朝食も夕食時と同様女将の説明があった。なんでもここは梶原の湯で炊いたおかゆが一つの名物なようで、その効能なんかも色々と話してくれた。そしてその話の最後に「私は温泉入浴指導員の資格を持っておりますので、何かご質問がございましたら云々」と言っていたが、「それ昨日の夜に言ってくれよ..」と思わなくもない私だった。
おかゆは梶原の湯の塩分があるので塩を入れたりはしておらず、単刀直入に言うと温泉で炊いただけのおかゆだ。ただ普段濃いめの食事をしている私の舌にはおかゆの塩分はほとんど感じられず、ただ無味のおかゆにかんじられたがそれでもなんだか妙に美味しかった。写真では分かりづらいがおかゆは少し黄色味がかっていて、それも温泉のおかげのようだ。ただその後生卵に醤油をたらしておかゆに混ぜて食べたら更に美味しかったので、この食べ方はおすすめである。ちなみにおかゆは食べ放題。卵も1人2〜3個は食べられそうなくらい置いてあった。
とまぁおかゆのことばかり書いてしまったが朝食も全部とっても美味しかった。夕食も朝食も大満足の内容だったし、温泉もよくて食事も美味しければ言うことなしの満点だろう。私はシメに飲み放題の牛乳(これが最高)をグイっと飲み干して食堂を後にした。おかゆは結局2杯いただいた。
その後また温泉に入ったり撮影をしたりして10時には出発。晴天の中次の目的地へと出発した。
お世話になりました!(ちなみに左にあるボトルは楽天のプランとしてもらった梶原の湯が汲めるボトル。重いと荷物になるので少しだけ汲んだ)
※初日に泊まったゑびすや、さすがに有名どころなだけあり温泉は確かなものがありました。その上食事も美味しく部屋には川の音が優しく響く、私の大好きなものが揃った素晴らしい宿でした。今度はちゃんと釣りをすることも目的にして、絶対また訪れたいと思います。
これまでの肌スベスベ度(通常時★1つ)
★★★☆☆
塩原元湯温泉 ゑびすや : 一泊二食付き 10800円
公式サイト
旅館の飯、美味しそうですね。カツ丼も。
>ジャック一浪さん
コメントありがとうございますっ。
ここの飯は本当にどれもこれもおいしかったですよ。湯葉なんかは別に好きじゃないから普段食べないんですけどここのは凄くおいしいと思いました。温泉宿で飯が良ければ言うことなしです。