夏休み「毎日違う温泉で湯治旅」5日目です。 [4日目] [6日目]
白布温泉を出発し、とりあえず昨日来た道を戻って小野川温泉へと向かう。不動閣の仲居さんが言っていた猿に気をつけようと思っていたが何の動物にも遭遇することなく、スイスイと進んですぐに到着した。
昨日も来た小野川温泉に来た目的は一つ、温泉卵を購入することだ。昨日は白布温泉に温泉卵があるかもしれないからと買わないでおいたのものの結局売ってなかったので、もう同じ思いをするのも悲しいのでここで買っておこうという考えだ。蔵王なんて温泉卵くらいありそうだけど、もう油断はしない。売っていたらもう一つ買えばいいだけのことだ。
温泉卵は2軒ある土産物屋のどちらでも売ってるし、値段も同じなので適当に左にある店で購入。買うときに手店員さんに「タレとか塩とかついてますか?」と聞いたら「いえ、ついてません」ということだったので、どこかで塩を買わねばならない。まぁ蔵王はコンビニがあるみたいだからそこに売ってるでしょう。
土産も買って原付の元へ戻ると、ちょうど雨が降り出したので急いでレインスーツを着て出発。ここへ来るまでは雨予報でもなんだかんだで晴れたりしてたけど、それは多分山間部にいたからで、今日は蔵王に入るまでは市街地を通っていくのでちょっと心配だ。
しかしそんな急に降り出した雨も少し走っていくとやんでしまった。しかもさらに走ると晴れ間も見えてきて結構暑くなってきたため、休憩も兼ねて道中見つけた道の駅的な施設へと寄り道。
素晴らしい感性で描かれた脱力系顔ハメ。ずっと見てると少し不安になってくるような感じがする
施設内の写真は特に撮ってないけど、何店舗かの土産物屋と飲食店が入っていてどれもお洒落な店だった。土産もちょっと良さそうなものもあったけど、ちょっと持ち帰るのにはキツイ系だったので泣く泣くご当地ものっぽいサイダーのみ購入。
ぬるいサイダーを飲んで少し汗もひいたので出発する。道は混んでなかったからどんどん進めるけど、こんなにスイスイと目的地まで行ってしまうのも中々困る。というのも実はこの日は寄り道したいところがほとんどなかったので、このまま蔵王まで行ってしまってはちょっと時間が余り気味になってしまうのだ。
まぁそんな時のために赤湯温泉なる場所に軽く目星をつけていたので、そこで昼飯を食べて温泉にでも浸かろうと決めて一旦目的地を赤湯温泉にすることにした。
グーグルマップが教えてくれたわけのわからない道を進んでいき、このまま真っ直ぐ行けば赤湯温泉に着くという道をいく。しかしここらで少し前から向かう側からじわりじわりとにじり寄ってきていた真っ黒な雲がとうとうやってきてしまった。
「これはマジでヤバイかもしれないぞ」などと思っていたらポツリポツリと雨が降り出し、あっという間にとてつもない豪雨に見舞われてしまった。思わず「うおっ!」と声をあげつつも、幸運にもすぐ近くにガレージ的なものがあったので、「すいません、少しの間貸してください!」と心の中で謝りながら緊急避難する羽目になってしまった。
このガレージがなかったらどうなっていたかわからないというくらいのヤバすぎる雨だった。「もしこれがやまなかったら蔵王に着けないぞ・・・」と思いながら、祈る気持ちで雨雲退散を願う私。そんな中10分ほど待っていたら雨も次第に弱くなり、ついに小雨くらいになったのでここぞとばかりに出発し、無事赤湯温泉に到着したのだった。
たった数十分のことだったけど心が疲れてしまったのですぐに飯を食おうと判断して辺りを見回すと、ちょうど原付を止めた目の前にどんぐり屋なる飯屋があったので行ってみることにした。
この店内のゴチャゴチャした感じは結構好きだ。こういう店は案外美味しかったりするし、何よりB級グルメの大会かなんかで賞をとってるらしい(そこらへんに貼ってある)ので期待できそう。
店員さんはおじさん二人のみで、しかもかなり丁寧な人だった。メニューを見ているとピアノ調律師と温泉ソムリエのおじさん二人で頑張ってます的なことがあったのが面白い。どういうなりゆきで二人で店を持つことになったのが気になるところだ。
そんな二人が作る料理はどうやら豚丼が売りらしく、ラーメンとのセットもあったのでそれ(多分Aセットだったような)を注文し、店内をザーっと観察していたらすぐに運ばれてきた。
ここの豚丼には山椒をかけるらしいので、たっぷり一袋かけて食べてみるとこれが濃い味の豚丼にアクセントを加えていて結構おいしい。さすが賞をとるくらいの豚丼だけあって、これは中々の味だ。続いてラーメンを食べてみると、こっちは思ったほど濃い味ではないものの、豚丼のと同じような豚バラ(煮豚ではない)がちょうど良いコッテリさを加えていてこちらもまた良し。駅前にあるような店はあんまり信用していない私だけど、ここは店内も飯もかなり私好みの店だった。
店を出てもまだ雨は降っていた。時間はまだ昼で、でも温泉に入るという気分でもなくなっていたのでとりあえず駅に行ってみることにする。立派な駅だから中には何かあるだろうと思っていたらこれが中々あたりで、中には土産物屋とフリーwifiのある休憩所なんかもあったのでしばらくの間調べ物をしたりしながら過ごさせてもらった。
調べ物をしたりテレビを見たりしていると空が段々と明るくなってきたのがわかったので、ここぞとばかりに駅を出て出発した。ここから蔵王まではもう遠くないけど、到着が少し早くても街をうろうろしたりすればいいのでまっすぐに蔵王まで向かった。
不動閣のご主人いわく「蔵王の坂は中々急ですよ」ということで心配だったけど、躊躇してもしょうがないので蔵王まで通じているいくつか(2本くらい?)の道から一番メジャーっぽい道を選んでいざ山道を行く。
坂はご主人が言うほど急ではなかったけど、それでも我が愛車の危機的状況を考えると油断はできない。途中景色の良い場所で原付を休憩させつつ順調に蔵王に向かっていった。
しかし、蔵王まであと1キロばかりの硫黄の匂いもほのかに香ってきたくらいのところにある信号でついに原付がストップしてしまった。信号が赤だったので止まったところ、それと同時にエンジンが完全にストップしてしまい、再びエンジンをかけようとしてみても一向にかからない。
「ああ、宿は目と鼻の先なのに。。。」「このまま動かなかったら俺はどうすれば・・・」などと考えながらも、とりあえずしばらく時間を置いたらかかるかもと思い休憩してみる。でもその間も写真を撮るような心の余裕もなく、硫黄の香りをかぎながらただひたすらに原付の回復を祈り待ったのだった。
そんな私の祈りが通じたのか、10分ほどしてからエンジンをかけてみたら案外あっさりとかかった。これぞまさに私の祈りが天に通じた結果であるが、しかしこの原付の根性もまた大したものだと私は感心してしまった。
ということでとりあえず原付が動いてくれてるうちに蔵王まで、というか宿まで一気に行ってしまおうと思ったので、なるべく止まらないようにしながら一気に宿まで行ってしまった。
到着の喜びと共に写真もバシャバシャと撮りたいところなんだけどそうもいかない現状なのでとりあえず宿へ。時間はまだ早いけどとりあえず駐車場に原付だけでも駐めさせてもらって温泉街散策でもしようと画策していた。
しかし今日の宿の堀久旅館が、グーグルマップを頼りにしても中々見つからない。目的地の印がなんか微妙な位置にあり、駐車場は見つけたものの肝心の宿が中々見つからなかった。色々と行ったり来たりした挙句、最終的に原付を押しながら小道に入ったらようやく発見。どうやら温泉街のメインの通りである高湯通りから、少しだけ奥まったところにあったからイマイチ気付きにくかったらしい。
外観が地味目だからわかりづらかったけど、ともかく着けてよかった
とりあえず原付を足湯の手前あたりに駐めて荷物を持って館内へ。すると入って左にあるロビーの席で、ビジネスマン風の人と女将さんらしき人が話をしていたので「すいません〜、予約していた〜〜ですけど」と声をかけると、少しばかり早い到着に少し驚いた感じではあったものの丁寧にお出迎えしてくれた。「まだチェックインには早いので駐車場に原付だけでも駐めさせてもらっていいですか?」と聞くと「もうお部屋もできてますので、チェックインしてもらっても大丈夫ですよ」とありがたいお言葉をいただいた。
そんな事を話しているとご主人も奥から現れ、とりあえず駐車場に案内してくれるとのことなので荷物を置いてひとまず駐車場へ。駐車場はさっき迷ってる時に見つけたところ、宿の真裏の道路向かいにある駐車場だった。「雨が降るかもしれないからガレージに入れてください」ということで、ありがたくガレージに駐めさせてもらった。
その後宿へ戻る途中、道脇に温泉が流れる川があるんだけど、そこにドバドバ温泉を流している設備について少し説明してくれた。
その手前のこの木組みの構造物から温泉がガンガン溝に流れ出ている
ご主人いわく「うちの風呂は下湯と同じ源泉を引いている」「もったいないけど温泉の量が多いからここに捨てるしかない。他に使い道がないからね」とのことだった。この豊富な湧出量は素晴らしいけれど、多すぎても困りものなのだろう。凄い贅沢な感じだ。
そんなことを喋りながら宿に戻ると女将さんが待っていてくれて、ここからしばし雑談。やはりこういう濃い硫黄泉がわくところでは、初日のゑびすや同様電化製品のダメージが半端じゃないらしい。女将さんが言うには「電子レンジなんてものによっては半年でダメになっちゃうんですよ」ということらしく、錆びないようにコーティングなどをして加工してもすぐにダメになってしまうらしい。もちろん冷蔵庫や車なんかも同様で「もう本当に困りもの」だそうだ。
そんな話から後は色々と蔵王の街のことなんかも話してくれて、私が道に迷っている時にちらほら見かけた龍岩祭りという幟について聞いてみると、あれは蔵王で行われている音楽フェスで、なんと今年で最後ということらしかった。聞いてみると、以前は夜中中ずっとフェスが行われていたりして騒音問題なんかもあったらしく、そのために会場が蔵王のはじっこの方に追いやられたりもした経緯があるらしい。この祭りも、歓迎する人達と快く思わない人達が両方いたようだ。
その他共同浴場に行く時は無料のチケットがあるので勝手にとっていって下さいとフロントに無造作に置いてあるチケットを教えてくれた後、部屋に案内してもらった。いやぁしかし、この堀九旅館のご夫婦は人柄がよくて沢山お喋りしてくれるので私としては嬉しい限りだ。
左のロビー。宿泊中ここでご主人が新聞読んだりしてるのを何度か見かけた
私の部屋は二階だったので階段をあがる。すると
製氷機があった。「ここで飲み物とかひやさないように」という旨の張り紙も
私の部屋のドアノブが妙に壁に近くてちょっと開けづらかったし鍵もかけづらかったけど気にしない。とにかく中へと入った。
部屋に硫黄の匂いはほとんどしないものの、やはり窓の金属部分は錆びて成分が凝固している
部屋は申し分ない広さで窓からの眺めも通りを行く人達が見られるので中々に楽しい。ハンガーが変わったところにあるおかげで何回も頭をうつことになったけど、でもこの宿の中でも恐らく眺めが良い部屋をあててくれたであろうことに感謝する私だった。
とりあえず私は荷物を置いて布団へダイブし、十分に体を伸ばしてから窓辺の席でひと休憩。通りを見ていると、迷っている時も思ったんだけど平日だというのに若者がそれなりに多い印象だった。おそらくは大学生が夏休みを利用して来ているんだろうけど、今まで泊まってきたところは若者なんていない場所ばっかりだったのでなんだか若干嬉しくなった。なんだかんだ言っても一人旅をしていると、人の活気が、特に若者の活気が恋しくなる時があるのだ。やはり超有名観光地を行程に組み込んでおいてよかったと思った次第だった。
アメニティも、バスタオル・歯ブラシ・フェイスタオル・浴衣と必要なものは全て揃っている
さて、適当に休憩をしたところで温泉、の前に一通り街を散策してみようと思い身軽な格好で蔵王を徘徊しに行った。蔵王は行ったことがないはずなんだけど、なんだか既視感があって不思議な感覚だった。
なぜか誰かのトランクスが落ちていた。何か事件に巻き込まれた可能性が高い
平日なので人も少ない。女将さんによると、震災の影響で客足はまだ完全には戻ってないらしい
三つの共同浴場のうちの一つ、上湯。ここは地元のおっちゃんが上半身裸で椅子に座っていたりして地元民の生活臭がする
上湯の上には立派な宿があったけど私にはあまり縁がなさそうだ。なのでひとまず左の酢川神社へ向かう
酢川神社は、蔵王の源泉が酸性泉ですっぱいことから名付けられたそうな。面白い名前だけど、階段が結構長くて汗をかいてしまった
その先には社殿があった。どうも最近建て替えられたっぽい感じの新しさを感じる。ちょっと思っていたのとは違ったけど、とりあえず無事にここまで来られた事への感謝をさせてもらった
この酢川神社の前の道路は左右どちらともあまり気になるものがなかったので、今来た参道を戻ることにした。この時太陽が覗くことも多くなっていたので結構な汗をかいていた私。温泉は後回しにしておいてよかった。
さっき歩いてきた高湯通りの路地を歩いてみると、これがまた中々良い路地加減だった。観光客は少ないながらもちらほらいて、それでも路地を歩いている人なんて一人もいなかったのでやっぱり物好き以外は路地に入らないらしい。
路地をまっすぐ行くといきなりこんな生活感丸出しの建物(多分宿)に出た。しっかり散策させてもらいます
もうちょっとで自然に還る寸前の廃墟と思われてしまうような寂れた風景。人は住んでいるのだろうか。高湯通りからの落差が凄い
寂れた建物と草木の比率が素晴らしい。蔵王温泉街は路地こそ見所なのかもしれない
坂を登りきったところにあったレンタサービスの店。一見廃業しているように見えるけど、ドアに吊り下げられてる文言をみる限りシーズン中は営業してるんだろう
と、そんな感じで一通り路地を徘徊してからまた高湯通りに戻り、次は反対側の川原湯共同浴場方面に行ってみる。
川原湯共同浴場。この建物も新しそうだけど、こういった施設でこんな四角い形は初めて見たかもしれない
ここは源泉が湧いているまさにその真上に建てられた浴場らしく、足元から源泉が湧く浴槽が目玉らしい。そんな新鮮な源泉が建物の裏手から流れ出ている。
この密集具合がイイ。ここは人が住んでるのだろうか。見たところ働いてる人の寮っぽいけど
蔵王ロープウェイ方面に行く途中に見つけた洒落た建物。元眼鏡屋らしい
土産物屋や飲食店が多く立ち並んでいる。蔵王ではいくつかの土産物屋で温泉の素(団子状に温泉成分を固めたもの)が一袋600円くらいで売っている。私はこれを買うためにここに来たようなところもあるのでかかさず店をチェックしていた
この蔵王の中央エリアも客はまぁまぁいるくらい。やっぱり若者がそれなりにいて、子連れなんかも多かった。今にして思えば、ここらで適当な喫茶店かなんかに入ってコーヒーでも飲めばよかったと思うけど、この時の私はただただ散歩の鬼と化していたのだった。だって知らない街を歩くのは楽しいじゃない。
その後、適当に歩いたところで引き返し、高湯通りの手前にある橋まで帰ってきた。この橋の下深い谷で、硫黄の川が流れている
この突き出かたはちょっと怖いものがある。ちなみにこの突き出た建物の店で温泉の素を購入した
と、ここまで戻ってきたのでひとまず散策は終了して宿へ戻ることにした。良い感じに歩いて汗もかいたので温泉がさぞ気持ち良く沁みてくることだろう。私は部屋で支度を整えて浴場へと向かったのだった。
浴場へのドアを開けるとムアっと硫黄の香りと熱気が体を包んできた。さすが天下の蔵王の湯だけあって熱さも中々のようだ。私はすぐに体を洗って浴槽へ足を運ぶ。天下に響く蔵王の湯のチカラ、存分に味わわせてもらおうじゃないの。
でもそんなはやる気持ちをグッと抑えて、以前栃木の赤滝鉱泉でのヤケドの件の二の舞にならないようにまずちょっとだけ手を入れてみる。するとこれが中々熱い・・・が、入れないほどではない。浴槽の横には埋める用の蛇口があるので、とりあえず埋めるのは後にして温泉に入った。
入ってみると、私が入るまでしばらく入浴客はいなかったらしく、浴槽の底にたまった湯の花がぶわっと舞ってさらに濃いクリーム色になった。不動閣の湯とはまた違う湯の花の舞いかただ。
湯はさっき手で触れた時よりも熱く感じて長居はしていられそうにない。しかし入った瞬間から身体中に感じるピリピリ感は今まで味わったことのない刺激で、温泉の力強さを感じる。やはり噂通り蔵王の酸性泉は伊達ではなく、すこし傷でもあろうものなら結構痛いんじゃないかと思うくらいだった。
ピリピリと熱さで肩までつかるのも少々時間がかかり、とりあえず全身つかって「うぃ〜〜」と一声唸る。そこでいつも通り何の気無しに顔にピシャッと両手で湯をかけたところ、両眼に激痛が走った!「痛ってぇ!」と叫び悶絶し、少しでも目を開けようとすればまた湯が目に入り込んで激痛が両眼を襲うのだった。「これが蔵王の湯のチカラか!」などと感心する余裕もなく、私は目をつむったまま水が出る蛇口のところまで移動して、水で目を洗うことによってなんとか光を取り戻すことに成功したのだった。
そう、これだったのだ。実は温泉に行く前に女将さんから「温泉に入ったら目が赤くなるから気をつけて」と言われていたんだけど、その理由がこれだったのだ。すっかり油断していた。入っただけで肌がピリピリするのに、粘膜むき出しの目玉に湯が入ったらとんでもないことになるくらい想像がつくじゃないか。赤滝鉱泉とはまた違った形の油断によって私は温泉にしてやられてしまったのだった。
その後、それでも懲りずに顔に湯をかけたりしながら(←この時私はおかしくなっていた)湯に浸かっていたけど、そのうち熱さと肌のピリピリに耐えられなくなって温泉からあがることにした。幸い何度か目を激痛が襲ったものの視力が落ちたとかそういうことはなく、ともかく蔵王温泉の濃さを十二分に堪能、というか骨身にしみたのだった。
(温泉からあがって女将さんと話したところ、何度か入ってるうちに目が赤くなることはなくなってくるらしい。ちなみに私も目が赤くなった。でも痛さは何度入っても変わらないみたい。)
その後休憩した後にファミマに塩を買いに行き(小野川温泉で買ったラジウム卵用)、そこにいた地元の小学生に驚きつつもそのまま宿へ戻り、食事の時間まで眠った。
夕食は18時ろいうことで、ちょうどその時間に部屋の電話が鳴って夕食の準備が出来たとのお知らせがあったので、眠気まなこで一階のロビー前にある食堂へ。食堂には私一人分の食事の用意がしてあり、女将さんは私が食堂に入るとにこやかに迎えてくれて色々と説明してくれた。
今日はあと一組だけ宿泊してるようだけど、夕食はここではとらないらしい。説明を終えると女将さんも奥に引っ込んでしまったので、静かな食堂で一人食事をとることとなった。一人旅ではよくある状況だ。
まずグラスに入った食前酒が甘くて美味しかったため一瞬でなくなってしまい、そこから食事が始まった。なぜかゴーヤチャンプルーがあったりしてちょっと肩透かしをくらったような献立だけど、山形牛を使ったというすき焼きは味が濃いめで私好みだったので良かった。でも全体的には可もなく不可もなくといった感じの食事で、別にまずいわけではないけど、個人的にはもう少し地のものを使っていると感じられるメニューだったら嬉しかったかなとは思う。これなら夕食は近くのジンギスカン屋とかで食べる方が旅行気分が味わえて良いかもしれない。でもまぁそんなことを言いながらも結局は全部美味しくいただきました。
食事を終えてからはヒトップロということで女将さんらに声をかけて共同浴場へ向かった。宿目の前の下の湯はこの宿と同じ源泉を引いている+結構人が入ってそうだったので入るのをやめて上の湯に入ることにした。
上の湯の料金箱に宿で頂戴した無料入浴券を入れていざ中へ。浴場には既に数人の客がいたので撮影は断念したけど、外観から想像していたよりかは大きな浴場だった。浴場にはおじいさん一人と浴槽の淵に寝そべってる若そうな兄ちゃん一人。あまり会話は期待できそうにないけど、とりあえず入浴した。
ここの温泉は堀久のものほどピリピリ感はなく、温度もさほどではなかったので入りやすかったけど、それでも長湯はできない温度だった。なので出たり入ったりをしながら30分くらい入っていたけど、顔に湯をかけてもやはり堀久の湯(姫の湯という)ほど目が痛くなることもなく、やっぱり多少入りやすいように思う。なのでここでは温泉の気持ち良さを少しは味わえた。でもやっぱりピリピリ感は強め。
温泉からあがって浴場前の椅子に腰掛けると風が気持ちよくていつまでも座っていたかったけど、湯ざめしない程度のところで宿へ戻った。この後はこの日最後のイベント(?)が待っている。
どうやらこの蔵王温泉では夏の間は毎日蔵王温泉について色々教えてくれるツアーをやっているということで、私もそれに参加しようと思っていたのだ。そのツアーは20時にファミマ前に集合とのことだったので、宿に戻って少し休憩してから10分前くらいに宿を出てファミマへと向かった。
しかしそろそろ20時になろうというのにファミマ前にはそれらしき集団は見当たらず、ちょっと早かったかと思った私はファミマを通り過ぎてちょっとだけ街を見てからまたファミマへと戻った。
このお店は派手なライトアップをしているけども、平日のためか客は入っていなかった
ファミマに戻ってくると、どうやらツアーのために集まったらしい人が数人立っていたので私もそこに混じって待つこと数分、車に乗ってガイドっぽい格好をした普通な感じのおばちゃんが現れた。
お客さんは私を含めて四人。しかも他の三人は家族という微妙にアウェーな状況だったけど良い人たちだったので無問題。ガイドのおばさんの挨拶もそこそこに、早速ツアーが始まったのだった。
このガイドのおばちゃんはあまり喋り慣れていない感じの人で、ちょっとたどたどしい感じ。そんなおばちゃんについて、まずは高湯通りを歩いて共同浴場全てを見てからまたファミマに戻るルートだったんだけど、いきなり結論から書くとこのツアーはかなり基本的な部分だけを解説するような内容だったので、私はガイドさんの話をフムフムと思いながら聞きつつも「これはツアーそのものよりもガイドの人に色々質問する方が面白そうだ」という感想だった。私は蔵王についてはほとんど知らなかったけど、ガイドさんが言ってることはそれぞれのポイントの説明文に書いてあることを喋ってるだけという感じだったからだ。
ということで、ツアーの中で聞いた記憶に残ったことを書いてみると
・高湯通りの下には温泉が流れる配管が通っているので温かく、雪がつもることはない
・もともと蔵王温泉の湯はぬるかったけど、新潟地震以降熱くなった
・(堀久旅館裏の)温泉が流れている川の底が緑色なのは、強い酸性の中でしか発生しない藻である
・川原湯共同浴場の裏手の源泉が流れているところは湯だまりと呼ばれ、昔はそこで馬の足を癒した
ということだった。他にも蔵王の小学校に通っている生徒は何人いるのか、地元民の家にも温泉が通っているのか、とか聞いてみたんだけど残念ながら忘れてしまった。生徒数は一桁だったように思うけど。
けどともかく一緒に参加した家族もガイドさんも良い人だったので、思いの外楽しんで参加することができた。次に参加する時はもっと色々聞いてみたいと思ったけど、次に来るのはいつになるだろう。
そんなこんなでファミマ前で皆さんと別れた後は特にやることもないので、一旦宿に戻ってから川原湯共同浴場へ入りに行った。
途中で見つけた地元の居酒屋。こんなところで一人酒を飲むのもいい。
川原湯では親子連れと一緒になっで、子供は子供らしく色々騒いでいたけど割と気持ちよく入ることができた。ここは源泉が浴槽の下から湧いてるということで常に足元から新鮮なお湯が供給されてるわけだけど、ここは堀久や上の湯と比べて最もピリピリ感が弱くて入りやすい湯だった。なのでここが一番温泉らしくのんびり浸かれたわけだけど、やっぱり源泉によって濃さというか特徴が違うんだなぁという印象だった。
ということで宿に戻って女将さんに「下の湯以外全部入ったけど、ここが一番温泉が濃いような気がします」と言ったら「他のお客さんもそう言ってくださる方が多いんですよ〜」と言っていた。他のお客さんもそう言ってるということはやはりそうなんだろうけど、他の宿のこととかはわからない。でも蔵王の中でも堀久の温泉の濃さは高い位置にくるんだろうと思った次第だった。
その後部屋に戻ってからはお待ちかねのラジウムで晩酌タイムが待っている。窓からは下の湯横にある足湯で騒いでいる若者の集団(男女)を見下ろしながら、一人酒を飲む私だった。
蔵王には温泉卵は売ってなかったので買っておいてよかった。この温泉卵はめちゃくちゃうまい。そして酒も飲みやすくてどちらもすぐになくなってしまった
晩酌後は窓の下見下ろしながら翌日のルートについて考えてから就寝。とてもぐっすりと眠ったのだった。
翌日、朝5時ごろにふと目がさめたので外をみたら雨が降っていた。でもとりあえずそのまま二度寝してまた起きた時には止んでいたので一安心。7:30に朝食のコールがあったので食堂に向かった。
朝食はやっぱり他の宿とそんな変わらない感じだけど、牛乳とコーヒーが飲み放題なのがありがたい。といってもコーヒーメーカーが稼働してなかったのでコーヒーは飲まなかったけど(食後、部屋への電話で女将さんがコーヒーメーカーの準備をし忘れたことを謝ってきた。今は準備ができているのでよかったら飲んでくださいと)。
朝食には他に泊まっていたもう一組の客(おじさん二人)がいて、そのうちの一人がどうやら健康に非常に気を使っている人らしく、いつもMyオリーブオイルを持ち歩いているようでサラダや納豆にかけまくっていた。そんなおじさんを「変わった人だ」と思いながら食事をしていると「お兄ちゃん、梅干し食べない?」とこれまた持参した梅干しを勧めてくれたので一つもらったら「遠慮しないでもう一つ持って来なよ!」ということで二つもらった。陽気なおじさんで少し変わった感じの人だったけど、梅干しは凄く美味しかったです、ありがとう。
と、そんな感じで食事を終えた後、実は朝に蔵王で最も有名だと思われる大露天風呂に行こうと思ってたんだけど、なぜか入りたいという気持ちが薄れてしまっていたので行くのをやめてしまった。
部屋より。今日のルートを考えると是非晴れて欲しいところだけど、そうもいきそうにない
部屋で少しのんびりしてから、旅の朝にはかかせない朝の散歩にでかけた。街はうっすら霧がかっているのがなかなか良い雰囲気だ。
朝は気温も低くめで散歩がとても気持ちが良い。お店も朝早くからやっている
昨日と同様路地に入ってみるとこんなちょっとした広場もあった。一体ここに気がつく観光客がどれほどいるんだろうか
この荒れた感じが素敵。やはりトタンなんかはすぐにダメになるんだろう
朝の蔵王もまた非常によろしく、特に寒いということもないので快適に散歩することができた。昨日見た若者達は一人も見ることなく、すれ違うのは地元のおじさんや宿の人たちばかりだった。昨日行かなかった路地にはまた新しい発見があったりと、やはり朝の散策はするものだ。これから次の目的地までの間には最大級の不安が待っているので、朝はこれくらいのんびりしないとバランスが取れない。
そんなこんなで散歩を終えてから堀久の湯に入り(また目に激痛が走った)、支度を整えてフロントへ。女将さん、ご主人としばらく雑談をしてから「原付でも大丈夫だと思うから頑張って!」と激励を受けて宿を後にした。これから私はエコーラインを通って宮城に出るので、ここから更に山を登らなければならないらしい。しかも天気は曇りなので濃い霧がかかっていることは必至だという(女将さん談)。私はかなり不安に襲われていたものの、それ以外のルートは無いので仕方が無い。私は原付に一声かけてからガレージをでた・・・ところで思わぬ光景が目に飛び込んできた!
さっきここを歩いてきた時には影も形もなかったのに、原付でガレージを出た瞬間いきなりカモシカが目の前に現れて思わず「うおっ!」と叫んで急ブレーキをかけてしまった。しかしカモシカはそんな私など眼中にないようで、そのままゆっくりと向こうへと歩いて行ってしまったのだった。
この出会いが果たして幸運の兆しなのか不幸の前触れなのか、そんなことは知る由もなく私はただちょっとドキドキしながら出発したのだった。
※今回泊まった堀久旅館は、女将さん夫婦の人柄が良く、温泉も濃くてとても気持ちが良い旅館でした。部屋にはトイレや洗面所もついていて、なにより窓からの眺めが良かったのも幸運でした。ただ食事のことを考えるとどこかの店で食べたほうが雰囲気は良いとは思います(決してまずいわけではありません)。しかし濃い温泉に浸かって蔵王温泉を堪能するにはとても良い旅館だと思うので、蔵王に行く際には日帰り入浴だけでもしてみる価値はあると思います。
これまでの肌スベスベ度(通常時★1つ)
★★★★☆ ←湯が強すぎたかのか右頬が少し荒れた。でも他はスベスベ。
堀久旅館:一泊二食付き 9160円