[神奈川] TVロケ多数の鄙びた山奥旅館 / 陣渓園 [藤野]

神奈川

この間友人のツゲと一緒に山梨は上野原の方に釣り旅行に行ってきました。宿は陣馬温泉と名付けられた小さな温泉地の宿、陣渓園です。
(ちなみに今回の旅行はデジカメを忘れてしまったので全てスマホで撮った画像です)

宿に着いたところから読みたい方はこちら

今回は電車での旅行。鬼熊は仕事の都合で不参加だったのでツゲとの二人旅となりました。
当日は渋谷で集合し、そのまままっすぐ上野原へ。途中昼飯を食べたりして到着したのは13時ごろ。最近暑い日が続いていましたがこの日も夏日で、暑がりなツゲは半袖のクセに普段の運動不足が祟ってヒィヒィ言っていました。

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上野原駅。上野原には釣りでよく来ますが、駅を見たのは初めてです

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やはり山のある風景は気持ちが良い

上の画像の交差点左側に、ストリートビューによる事前調査でヤマザキショップがあるのを確認していたのですが見事になくなって更地になっていたので飲み物など買えず。更に道路向かいにある直売所で釣り券を買おうと思っていたのですが営業していなかったので、そのままポイントへ向かうことにしました。

道中顔を歪ませているツゲをはげましつつ歩くこと20分でポイント&釣り券販売所に到着。ポイントに人がいないことを確認して釣り券を買うと、おじさんが「最近はでかいのあがってるよ」と教えてくれたので意気揚々とポイントへ向かいました。

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まるで夏のよう。人が少なくて清々しいです

ツゲは何回か釣りをやっているのですがまだ初心者なので、上州屋で売っていた仕掛けセットで釣りに挑むことに。足元に仕掛けを投入したら即ハヤがかかりましたが、その後元来手先が不器用なサガなので一瞬で(なぜか)仕掛けを絡ませて糸ほどきに精を出していました。
私はそんな彼を尻目にのんびりと糸を垂らし、しばらく待っていると強い引きが。アワセるとぐいと沈み込むように引いたので「ニジマスか?」と思いながら水面まであげるとやっぱりニジマスでした。それなりの型で、ツゲも「でかっ」と言いながら釣り上げるのを見守ってくれている中、無事に釣り上げることができました。

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27センチくらいでしょうか

正直最近ニジマスを食べるのはあまり好きでなくなってきた私ですが、キャッチ&イートを旨としている私なので持って帰らないわけにはいきません。何か新しい食べ方を模索したいと思います。

そんなこんなで無事ニジマスを釣り上げて釣り人としての面目も保てたので、ツゲの新しい仕掛け作りに協力して余裕を見せていましたが、結局この後お互いに何も釣れずに3時20分くらいに納竿しました。いつも小物ばかり釣るツゲに早く20センチ以上の渓流魚を釣らせてあげたいのですが、今回もそれは叶わず終了です。

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真夏のような格好に着替えたツゲの背中が悲しい

その後近くにあったセブンイレブンでツゲは酒を購入して駅まで戻り、まだ電車の到着時間まで時間があったので反対の出口付近を散策すると、中々良さそうな廃旅館(?)がありました。

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こんな素敵な構造の建物、泊まれないのが残念で仕方がありません

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なんか学生が多かったです

その後少しの散策の後電車に乗り、隣の藤野駅へ。この日泊まる陣渓園という旅館は藤野駅から無料で宿までの送迎をしてくれるので、藤野駅に到着する時間を事前にお知らせして送迎をお願いしていたのですが、無事に時間ど通りに到着することができました。駅前のバス停の横に「陣渓園」と大きく書かれた小型バスが停まっていたのですぐにわかりました。さくっと乗り込んで、運転してくれてるおじさんと話しながら宿へ向かいます。

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特になんでもありませんが、駅前の様子

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車内より。どんどん山の中へ向かっていく道中はちょっとワクワクです

既に多少ぐったりしているツゲと共にバスに乗ること15分ほどで宿に到着。道中「陣馬温泉」と書かれた看板は結構年季が入っていましたが、宿も中々の鄙びっぷりでとてもよろしい感じです。

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陣渓園到着!旅館らしく、玄関横の看板にはちゃんと私の名前が書かれていました(消していますが)。

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旧館と新館が繋がってるらしいです。良い雰囲気に気分も上々です

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宿へと入ってきた道。田舎にはよくある看板ですが、宿についているのは初めてみました

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喫煙所もあり

バスから降りると愛想の良い女将さんが出迎えてくれて、中へ案内してくれました。部屋まで行く間雑談をしていましたが、「上野原でニジマス釣ってきました」というと「え?ニジマス?川でニジマス?」と不思議がる女将さん。結局その反応の意味もわからないまま部屋に到着しました。私たちの部屋は3階の陣馬の間という部屋で、中々綺麗です。

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窓の外には大自然が広がる良い部屋です

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奥には冷蔵庫もあり、設備はばっちりです

女将さんが色々と風呂の場所やらなんやらを説明してくれた後「お二人とも背が高いから、大きい浴衣に替えますね」と言って部屋を出て行ったので、私たちはとりあえずコタツへ。部屋には側を流れる栃谷川のせせらぎが聞こえ、窓の外には目前に山が迫り、山間の宿の風情たっぷりでツゲも私も大満足です。
しかしツゲは疲れているせいか、たびたび「フイー」と大きくため息のような息を吐いていました。恐らく宿についた安心感がそうさせているのでしょうが、まぁ私も疲れていたので二人で川の音を聞きながらお茶を飲んで一息つきました。

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まんじゅうが嬉しい。そして美味しかった

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気になるアメニティも浴衣、タオル、歯ブラシ、全て揃っていました。

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窓の外の右側。旧館が見えます

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左側。あたりは本当に山です

お茶を飲んでいると女将さんが浴衣を持ってきてくれて、部屋を出て行くときに「明日は何時頃お出になられますか?実は私と旦那は用事があって早い時間に出てしまうので」と、なにやら申し訳なさそうな女将さん。ただ帰りの送迎もチェックアウトの時間も、女将さんが達が出かけた後は女将さんの姉に宿のことをお願いすると言うことだったのでチェックアウトの時間ギリギリまで大丈夫だそうな。私たちは翌日はゆっくり出発しようと思っていたので少し心配しましたが、大丈夫そうで一安心。それよりも女将さんの丁寧な感じが非常に好印象でした。

そんなやりとりを終えたら後は夕食の時間まで自由時間です。夕食の時間は6時ということだったので、それまで私は釣りに、ツゲは風呂に入ってゆっくりするということでそれぞれ別行動となりました。

釣り支度をして玄関へ向う途中女将さんに会ったので「釣り行ってきますー」と告げると「ここらへんはマムシが出るから気をつけてくださいね。私朝も見ちゃったから・・・」と心配してくれました。実は私のこの日の装備は、いつも履いてるウェーダーではなくただの水場用の靴だけだったのでちょっと不安になりましたが、こんな素敵な川の音を聞かされて釣りをしないわけにはいきません。「気をつけますー」と返事をして釣りに向かいました。

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廊下の様子。廊下の奥にはコンロやら食器やら、いつでも使えるようにおいてありました

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トイレの様子

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2階には甲冑。この宿は廊下に絵なんかも豊富に飾られていました

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上の反対側。ここから旧館につながってます

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玄関ロビー。この階段を登ると甲冑のある廊下へ繋がります。というか左の鹿の剥製がかなりデカくて驚きました

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ロビーの一画。有名人のサインも一杯です

外に出て、「またのお越しを〜」の看板の左から川に降りられる道があるので、そこから入渓。子供でも簡単に降りられる感じではありませんが。

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降りると橋があり、その先には

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生簀がありました。後で聞いた話によると、昔ここに夕食で出す用のイワナとヤマメをいれていたようです

この生簀の先から川に降りられますが、川には流れて、あるいは倒れた木が積み重なったりしていて中々釣り上るのに苦労しそうな川でした。良さそうなポイントは点在しているのですが、木や蜘蛛の巣、更には飛び交う羽虫が大量にいて釣りやすさという点ではあまり良い渓ではない印象。
そんな中最初のポイントでは木を踏み折る音で魚に気付かれてしまい釣れず(逃げ惑うヤマメの姿が見えました)、更に上流のポイントでは強く糸を引っ張られるもバラしてしまい、結局釣れたのはハヤのみ三匹ほどで時間的に釣りは終了となりました。まぁ結論として、大して釣りあがっていませんがこの時の私のような軽装で来るようなところではなかったです。楽しかったですけどね。

時間ももう5時40分くらいだったので急いで片付けて部屋へ戻ると、風呂に入ってリラックスしきっているツゲが出迎えてくれました。
「釣れた?」
「いや、ダメだった。それより羽虫が凄かったからツゲには絶対無理な川だよここは」
「ああ〜」←虫が嫌いだから嫌そうな顔

そんな話をしながら夕食のお呼びがかかるのを待っていると「お夕食の準備ができましたので、隣の部屋までお越しください」と女将さんが呼びに来てくれました。
隣の部屋に行くと結構美味しそうな夕食が並べられていて、テンションがあがる私達。これは食いごたえがありそうです。

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鮎の塩焼きが最高に嬉しい。ツゲの鮎は私より大きくて羨ましかった

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いのしし鍋もあります。山間の宿はこうでなくちゃいけません

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ちょっと遅れてでてきたご飯とけんちん汁

天ぷらは女将さんが一つ一つ説明してくれたのですがもう覚えてません。ウドと言っていたのは覚えているのですが、とりあえず山菜の天ぷらです。さらに藤野はゆずで有名らしく、右側の長方形の皿に三つ並んだ品々は全部ゆず関連の料理で、最初何も知らないまま一番右の真っ黒いものを食べても正体がわからず、ツゲに聞いてみたところ「これはゆずである」と言うので「え〜、ゆずじゃあないだろ」と信じてなかったら本当にゆずだったので驚きました。鮎は蓼酢をかけて食べるという初めての食べ方で、さっぱりとしながらも少しピリッとくる感じが鮎の塩焼きの味によく馴染んでいたのが驚きでした。

いのしし鍋は具材も多く、薄味ながらいい出汁がでていました。やっぱりいのしし肉の脂身は美味しい。と色々書いてきましたがまぁ結果的に言うと全部美味しかったです。ゆずの真っ黒い奴は酒粕っぽい感じがして少々苦手でしたが。

最初夕食を見た時は「ちょっと少ないかな?」なんてツゲと話していましたが、途中から「案外あるねぇ」→「なんか満たされてきた」→「もう食えねぇ・・・」とどんどん満腹に。しかし私たちは2人共出されたものは食べきるという信念を持っているので、ツゲは「もうだめだ、これ以上食べたら後悔する」とか言いながらもちょくちょく食べ続けてしっかり完食し、私もツゲの漬物やタケノコを食べて(好きだから)手助けしながら残さず食べることに成功しました。おいしゅうございました。

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完食

その後、事前に「夕食が終わりましたら電話でフロントまで連絡してください」と言われていたので連絡して部屋に戻ると布団が敷いてありました。

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満腹を超えた満腹状態の私だったのですが、まだ風呂に入っていなかったことと陣馬の湯とはで風呂に向かうことに。玄関へは2階から旧館に渡って行くのですが、風呂場は新館の1階です。

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この日の泊まり客は私たちだけだったので貸切風呂確定です

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脱衣所。扇風機はありませんが、もともと涼しいので必要なさそうです。ちなみにドライヤーは言えば貸してもらえるようです。

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注意書き

脱衣所やには注意書きこそあるものの、温泉分析表がないのでそこが気になりましたが、とにもかくにもさっさと服を脱いで風呂場へ向かいました。

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風呂は岩風呂でした

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そしてジェットバス

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シャンプー・リンス・ボディソープあり。シャワーもすぐお湯になりました

なかなか立派な岩風呂。大きさは大人が3~4人入れるくらいでしょうか。結構汗をかいた1日で風呂恋しかったのでさっさと体を洗っていざ入湯。お湯は事前に調べていた通り無味無臭でほとんど特徴のない浴感。しかし浴槽の前の大きな窓からは外をよく見渡せ、しかも貸切なのでとても気持ちが良い。さらには24時間入れるということでお風呂好きにはかなりありがたいシステムになっています。
しかし温泉分析表がないこととこの特徴のないお湯が気になって、後で女将さんに「ここは鉱泉ですか?」と聞いてみたところ「いえ、ここは沸かし湯で温泉ではないんです」と言っていましたが、事前に色々なブログやらを見たら「冷鉱泉である」とか「単純泉である」とか色々書いてあったのでどうも腑に落ちません。しかしどこも「湯に特徴はない」という意見は一致していたので、ここは昔から温泉ではなかったのか、それともかつては鉱泉か温泉が湧いていたけれどもいつからか枯れてしまったのか、とても気になるところではあります。
でもまぁそんな謎は残りつつも気持ち良く入れたのでお風呂としては◎。岩風呂も立派だし、何より24時間入れるのは嬉しいですからね。

風呂から出て体もあったまって部屋に戻る前に館内散策しようとロビーへ向かうと、意外な人物のサイン(?)が飾ってありました。

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きゃりーぱみゅぱみゅの習字

他にもきゃりーぱみゅぱみゅの習字2点と、志村動物園関連のサインなどもあり結構ロケなどに使われることの多い宿のようです。有名なのはガキ使の笑ってはいけないシリーズでここが使われたということでしょうか。宿ではその回のガキ使のDVDを借りて見ることができるそうです。他に志村動物園とかTVドラマの大貧乏のロケ地にもなったとかで、結構ロケ地として使われる宿のようですね。サインが多いのも頷けるというものです。
さらに写真には取っていませんがロビーには藤野名物のゆずを使ったお土産コーナーもあり、ちょっと気になるラインナップでした。

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やっぱり鹿がでかい

散策を終えて部屋に戻るとツゲは横になっていましたがまだ寝てはいない様子。そんなツゲと話していると、私が風呂に入っている間に女将さんが来て「明日は早くに出て行ってしまうので、今のうちに宿代を」ということらしかったのでフロントに電話をして女将さんを呼んで精算をすませ、ついでに私のライターがなくなったのでライターかマッチがあったら持ってきて欲しいとお願いしたらどっちももってきてくれました。

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「もう作っていないので、点くかわかりませんが」と言いながらくれたマッチ。これは今やレアなんじゃないでしょうか。素晴らしいレトロなマッチを貰えてかなり嬉しかったです。宿名が書いてあるのもポイント高し

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ついでにまたも宿名のついたペンライト付きボールペンをもらいました。ありがたいです

そんな優しい女将さんと少し雑談した後、外も寒くはなさそうなので少しツゲと散歩に行くことに。外に出ると昼間にはいなかった飼い犬が放し飼い状態で庭をうろうろしていて、後から来たツゲはその犬を野犬と勘違いして中々外に出てきませんでした。彼は結構色んなことにビビる性格みたいです

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夜の宿

周りは山なので、夜の涼しい風に乗って木の良い匂いが感じられて気持ちの良い散歩です。そんな中、実は部屋の窓から正面の山に小さな祠が見えていて、ツゲが「あそこもガキ使で使ってたとこかも」と言っていた小祠があったのですが、そこへ至る道を発見したのでツゲの「行こう」という一声で少しだけ山登りをすることになりました。虫やら蛇やらにはビビる彼ですが、心霊系には強いようです。

小祠までの道は階段になっているのですが明かりは何もないので携帯のライトで進むこと数分で到着。結局ガキ使で使われたかは不明でしたが、小祠はお稲荷さんでした。

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一応管理されているようです

一応夜中に写真撮影した無礼をお詫びして帰路へ。マムシが出てくるか怖かったですが、夜の散策の寂しい雰囲気もこういうところならではで楽しいものです。

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夜の山道

部屋に戻るともう特にやることもないので、後は延々と雑談です。窓を開けていたので少しだけ破れた網戸からじわじわと虫が入ってきましたが、酔いが回り始めたツゲにはもう気にするほどの存在でもなくなっていたようです。大きめの虫を退治したりしながら12時くらいまで雑談したり風呂に入ったりして、楽しく夜は更けていきました。

川の音を聞きつつ、ツゲが「なんか布団薄くない?」と漏らしながらもぐっすりと眠り、翌日は7時30ごろ起床。この日は雨だったので朝の釣りは諦め、8時の朝食の時間までグダグダしていました。雨は雨で外の景色も匂いも変わるので、こういうところでの雨は嫌いではありません。

さて、8時に夕食と同様隣の部屋で朝食です。残念ながらぼーっとしていたので朝食の写真を撮り忘れてしまいましたが、内容は焼き鮭、オクラ入りとろろ、大根おろしとシラス、あと何か山菜と油揚げの和え物、そしてご飯と味噌汁その他という感じで朝食も中々美味しかったです。ツゲは昨晩「(満腹すぎて)朝食食えないかも」と言っていましたが、ご飯を三杯も食べて完食。私も無理することなく全部平らげることができました。しかし朝からご飯を三杯も食うクセに運動不足とは、彼のこれからが心配です。

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食べ終えてから写真の撮り忘れに気づき慌てて撮りました。何もないですけど

部屋に戻ってしばらくすると雨が止んでいたので釣りに行こうと決心し、ツゲに見送られて出発。途中女将さんの姉(女将さんは既にでかけていた)に見送られて昨日のように川に向かうと上からヤマメらしき魚影を発見。しかし結局釣れず、その上また雨が降ってきたのですぐに川からあがることに。小さい沢なのでやはり魚の警戒心も強いようでした。
川からあがろうとすると生簀のあたりで(おそらく)女将さんの姉の旦那さんに遭遇。一緒に喋りながら宿まで戻り、しばらく釣りの話やここいらの話を聞かせてもらいました。

「俺も昔はここらじゃ釣りで結構名が知れてたんだよ」と笑って話してくれたおじいちゃんは昔から色んな渓流で釣りをしてきたそうな。「今は体を悪くして釣りができなくなっちまったよ。だから釣竿は孫にやった」と言っていましたが、孫が釣りをしていることを嬉しく思っているようで寂しくはなさそうでした。

話によるとこの栃谷川は、昔は宿の橋から川を覗くと泳いでるヤマメがよく見えて、春あたりはヤマメの稚魚の群れがそこかしこに泳いでいたようです。でも今ではその影も薄くなり、見えてもせいぜい1〜2匹くらいだそうで、時代の移り変わりを感じます。そんな往年の栃谷川でこのおじいちゃんはよく大きなイワナを釣り上げていたらしく「昔ここより上の小さな淵で釣りをしてたあんちゃん達がいたんだけど何も釣れていないと見えて、そこをたまたま釣りで通りかかった俺が「ちょっと俺に代わってみ、イワナ釣ってやるから」って言うと「ここに魚はいないよ、嘘を言っちゃいけない」とか言うもんだから、デカいオモリつけてちょっと投げたら一発でイワナがかかってさ、そいつら「すいませんでした」って謝ってたよ」という達人らしいエピソードを話してくれたのにはシビれました。やはり川をよく知る達人にはよそから来た若者くらいじゃ太刀打ちできないようです。

他にも
・昔はうなぎを放流していて、よくうなぎが泳いでるのが見えた
・渓流魚の美味さはカジカ>ヤマメ>イワナの順で美味い。カジカの骨酒は最高
・昔はここでもカジカがよく釣れたが今はかなり減ってしまった
・割と最近ここまでの道を下って学校の横を流れてる川で、子供が網でサクラマスを獲った
・以前は宿泊客に魚を見せるために他の旅館と協力して禁漁区間を設けていたが、今はもう設けてない

などなどその他色々な話を非常に興味深く聞かせてもらいました。やっぱりどこも昔は渓流魚が沢山いたんだなぁとしみじみしましたが、ともかくこうして土地の老人から昔のことを聞かせてもらうのは貴重なことなので、毎回宿に泊まるときに非常に楽しみにしていることの一つです。できれば達人から釣りの手ほどきを受けたかったですが、もう釣りができなくなってしまったのは私にも残念なことでありました。

そうこうしているうちにチェックアウトの時間が迫ってきてしまったので雑談はそこで切りあげて、すぐに風呂に入ってから支度を整えてロビーへ。この宿は持ち込みは可能ですがゴミは持ち帰るのが鉄則なようなので、ツゲは自分の飲んだ缶を袋に入れて向かいました。

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この通りです

ロビーには女将さんの姉とさっきのおじいちゃんがいて、テレビロケの事を聞いてみたらガキ使や志村動物園以外にも藤岡弘が来て釣りをしたりしたそうです。そんな話をしているとおじいちゃんが「いやー、でも女優はうるさいね。あれやこれや言われたよ」と言っていましたが、よくよく話を聞いてみると別に女優さん本人がうるさいのではなく、周りのスタッフが「写真はダメ」「サインはだめ」などとうるさかったらしく、うかつに近づく事もできなかったようで「特に上戸彩がうるさかった」らしく「男は全然うるさくないね」と言っていました。
更に志村動物園のロケでは3年近くこの宿が使われたようで(今年の3月くらいまで)、その間少し離れたところにロケのために小屋を建てる事になったそうなんですが、色々と「茅葺屋根にしたい」などの注文があったらしく、ここいらの人たちが無償で手伝ったそうな。まぁそれが無理やりなのか土地の人たちの善意なのかはわかりませんが、ロケ地に選ばれるというのもそれはそれで大変な事も多いみたいです。

話がひと段落したら女将さんの姉にお礼を言い、送迎車に乗り込出発。「人の車だから慣れねえな」と漏らすおじいちゃんと旅行の話をしながら駅へ。ツゲは昨日の釣りで右腕が筋肉痛になったようでした。

駅に着くと「じゃ、気をつけて帰ってください」と丁寧に送ってくれたおじいちゃんにお礼をして、駅横のお土産屋で買い物をして帰路につき、電車では爆睡して今回の旅行は無事終わりました。

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お土産屋兼観光案内所

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私とツゲはゆずぽんを買いました。次はゆずワインを買いたい

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駅のホームより。霊開きの祭りが気になったので撮りました


※今回泊まった陣渓園、残念ながら温泉ではありませんでしたが、それでも周りの環境やご飯の美味しさ、部屋の綺麗さ、鄙びっぷり、さらに女将さん達の愛想の良さを考えるととても良い宿でした。正直旅館というより民宿旅館という感じでしたが、そのくらいの気軽さの方が私にとってはありがたい。車で来ないとここいらの散策は難しそうですが、都心から近くてゆっくりできる宿としてとても良いと思います。私もツゲも満足度の高い宿でした

※余談ですが、当初宿を予約する際、陣馬温泉に三つある旅館のうちの一つである姫谷に電話したところ「もううちはやってないんですよ。姉妹館で陣渓園という宿があるので、そちらに電話してみてください」ということで、姫谷はもう廃業されてしまったようです。残念。

陣渓園:一泊二食付き 10500円(税込)