今日も朝から蒸し暑く、しかし台風接近中のため気持ち良い風が吹いている。やっぱり日差しはきついけど、せっかく早めに出発したんだから本格的に暑くなる前に少しでも涼しいトコまで行っておきたいもんだ。
大石屋旅館を出発して、ガソリンスタンドで給油したらすぐに山道に入っていくルートに入る。小川アルプスラインという道らしいけど、これから通過予定の鬼無里まで楽しく走れればいいなぁと思いながらずんずん進んでいった。
この道は眺めがよくて舗装もしっかりしてる。夏らしさ全開でイイ!
田舎らしい山里の風景を見ながら走っていると坂は徐々に傾斜を増していく。でも当初思ってたより全然走りやすいし坂も大したことはないので、これなら原付でも余裕そうだ。そして何よりこの道は景色が素晴らしい。まさにふるさとの風景と言った感じの集落と大きく見渡せる山々。そしてこの夏らしい(と言っても少し暑すぎるけど)気温と天気はこれぞ夏休みと実感させてくれる。さすがに小川アルプスラインと名前がつく道なだけあるぜっ。
そうして朝から最高の気分で走ることしばし、何やら標高も高くなってきたところで展望広場という看板が目に入ってきたので行ってみることに。今日は時間に余裕があるから、気になったところはどんどん寄って行こう。
もうすでに素晴らしい眺望だけど、さらに素晴らしいものを見せてくれるんだろか
おお、これは絶景!向こうの雪をかぶった山があるのは白馬の方だろうか
看板から少し階段を上ると小さな広場があって、そこからの景色は展望広場の名にふさわしいものだった。無料で見れる望遠鏡もあるし人もいないからここはなかなか良いな。わざわざここを目当てに来るほどではないけど、ちょっと立ち寄るには良いポイントだ。
しかも
何か凄くそそられる木彫りの像が祀ってあるし・・・。中には何が・・・(ゴクリ)
祠の中に安置されていた像は神様ではなくて仏様だったようだ。その名もずくだせ明王というらしく、解説を見るにやる気だせ明王ということのようだ。もちろん元よりおわします仏様ではないことは明白だけど、この聖と邪が入り混じった造形はかなりインパクトがあるな。。写真には写ってないけど、足元には過疎小僧なる人間の弱い心を具現化したものを踏みつけていて、過疎小僧という名前から「村の過疎化をくいとめるぞ!」という作者の気概も隠れたコンセプトとして感じられるような気もする。
いや、しかし解説というか設定というか、この紙を見ると色々と考えられた上で様々な思いが込められている真面目な創作物な気がしてくるけど、大きく書かれたずくだせ明王という字の周りを「ずくずくずくずく・・・・」と小さな文字で囲ってるのを見るとふざけてるようにも見えてくるし・・・・。色々と計りかねる仏像だぞこれは。聖と邪、そして真剣と遊びという反する概念を融合させたものかもしれない。
ともあれキチンと祠に祀られてるのを見るに地元の人たちから愛されてる仏様なんだろう。私も思わぬところで熱い作品に出会うことができてよかった。とりあえずしっかりと参拝させてもらおう。
というわけで景色よりもずくだせ明王に目を奪われた私は、見知らぬ仏様に丁重に挨拶をしてから出発した。
あいかわらず眺めの良い道を進んでいくわけだけど、結構高いところまで登っても民家が途切れることなく続いているので、この道は安心感も素晴らしい。まぁこのくらいの坂じゃあ原付が駐まることはないだろうし(しかも新車だし)、鬼無里まで難なくたどり着くことができそうだ。
そんな道すがらには
実はこの宿は小川村で泊まるところを探してた時の候補の一つで、ここまでの道がどれほど急で時間がかかるかわからなかったからやめといたんだけど、こんなにあっさり来れるんだったらここに泊まるのもよかったかな。大きな駐車場もあってそこからの景色も良いし、きっと星空も綺麗だっただろう。しかしまぁそれは次回のお楽しみということで、今はただ鬼無里に向かうことにしよう。
その星と緑のロマン館を過ぎたあたりから民家が少なくなってきたものの、どうやら頂上は過ぎたようで道も下り坂になって爽快感もMAXに近くなってきた。平日のためか車もほとんど走ってないので夏を全身に浴びているような状態。こういう時が「ああ、やっぱ夏っていいなぁ」と思えるシーンの一つなので大好きだ。これだから夏休みの原付旅はやめられないッ。
そんな風に希望に溢れながら走っているともう鬼無里についてしまった
結構クネクネはしてたけどちゃんと舗装された道なので思いの外早く鬼無里に着くことができた。もしこれがそこらへんお峠道みたいな感じだったらこうはいかなかっただろうな。ともあれ小川アルプスライン、大変気に入りました。
鬼無里は案外さびれた風はなく、新しそうな施設や綺麗な川も流れていたので昨日はここに泊まるのもよかったかもしれない。小川村よりはヤマメとかが釣れそうな感じはするし、あとでちょっと川の探索でもしてみようかな。
まぁとりあえず鬼無里で寄ろうと思っていた直売所に行ってみて、この先のことはそこで考えよう。予想よりも早く鬼無里に着いたので、何か興味を引くところがあれば行ってみたい。というわけで
ほとんど朝一に近いので客はおらず。店員のおばあちゃんとおばちゃんが楽しそうに話してた
しかし特に目ぼしいものはなかった(野菜は安くてヨシ)ので早々に店を出て、次は横にある食事処兼お土産屋へ。
鬼無里はどうやらえごまが特産品のようで、店内にはえごま関連の商品が沢山おかれていた。その他そばだとか山菜やきのこの加工品なんかもあったけど、こちらでもこれはと思えるものはなかったのでカフェスペースでえごまおやきをいただくことにした。
レジにいたおじさんに注文すると「セットのコーヒーはホットのみなんですがよろしいですか?」と聞かれ「え!?こんな暑いのに?」と思ったけど店内は涼しいからOKにしといた。おやきは何種類かの味から選べるんだけど、私は甘党なのでカスタードに決めて席に着くと、おやきは出来合いのものをチンするだけなのですぐに運ばれてきた。
コーヒーもおやきも熱々だったけど、店のおじさんが扇風機を私の方に向けてくれたのでそれで熱を冷ましてからいただく。
おやきは何かプチプチした食感がするんだけど、多分これが練りこまれたえごまの食感だろう。そのプチプチ感とカスタードが舌に面白く凄くおいしい。生地もフワフワだし、これは結構なあたりじゃないだろか。正直ふつうのおやきは具が野菜ばかりなのであまり好きじゃないんだけど、このお菓子系おやきは甘いのでいくらでも食べられそうだ。コーヒーもセットなんで、ゆっくり味わいながらいただくことにしましょう。
ゆっくりのんびり食べた後、もう一個食べようかと思ったけど昼に少し期待していたのでやめておくことにした。トレーを返した後土産を物色するも特に気になるものもなかったので(正直えごま油は少し欲しかったけど高かった)、そのまま店をでて先ほど考えていた川の探索に出かける。
しかし「ここから川に降りられそうだな」と思っていた場所に行ってみたものの実は降りられなくて、他に近くで降りられそうなところもなかったので川の探索は諦めて、道の駅の目の前にあった鬼無里ふるさと資料館に行くことにした。やはり早めに出発するとこういうところに寄れるのが嬉しい。こういう施設はその土地の民俗だとか歴史を意外な事実をもって知ることができるから結構好きなのだ。特に民俗学の知識が少しでもあれば「ああ、ここはこうだからああなのか」と色々知識とリンクするところがあって勉強になる。
というわけで、まだお客さんがいなさそうな資料館へいざ突撃!
受付でお金(200円)を払うとイケメンなスタッフさんが「では最初に祭り屋台の展示からどうぞ。簡単にご説明させていただきます」ということで、スタッフさんについていく。やはり他にお客さんはいなさそうなので、贅沢な気分で説明を聞かせてもらうことにしよう。
スタッフさん曰く作者は北村喜代松という宮彫師で、屋台自体の建築には関わっていないそうだけどその装飾に弟子と共に携わって圧倒的な存在感を誇る彫刻を加えたそうだ。そして驚くべきはその精緻で多情な技によって彫られた数々の植物や(架空のものも含めた)生物たちは、全て一木彫りという一つの木材から継ぎ目なく連続して彫りあげるという技法によって完成されているという点。こんな山奥の一村にこれほどの技が織り込まれた山車があるとは全く思ってなかったので、説明を聞きながら少々圧倒されてしまった。
これがそれぞれ一つの木材で彫りだされたものだとは、とんでもないセンスと技だ
その中でもこの鶏と籠の彫りものはすさまじい。上の写真でも少し写ってるけど、そこまで大きいものでもないのにとてつもない技によって彫られたもののようだ
神は細部に宿ると言った建築家がいたけど、彼がこの仕事を見たら何を思うんだろうか。私は凡人なので月並みな感想しか出てこないけども、ここまで見事な彫刻を見せられたら神でも魂でも宿ってるような存在感を感じずにはいられなかった。この鬼無里神社の屋台は祭りの日には今も現役で曳き回されてるらしいけど、躍動感を持った彫刻達がその日どのように村に映えるのか凄く見てみたい。それはきっと写真ではわからないものだろうから。でも祭礼日が5月3日だから、何かよほど運に恵まれないと来ることは難しそうだな。。
そんな感じで驚嘆と共に説明を聞き終わった後、これは是非ブログに載せたいと思ったので「写真を撮ってもいいですか?」とスタッフさんに聞いてみたら「宣伝していただけるのであれば是非」と冗談めかした笑顔で快諾してくれたので存分に撮影させてもらった。スタッフさんは見た目も中身もイケメンだった。
屋台の後ろに施された鳳凰と龍。見てるとこっちに飛び出してきそうな迫力がある
翼の生えた龍。このモチーフはかなり珍しいんじゃなかろうか。他では見たことがない
できることならもっとそばに寄って裏側から見たり触ったりしたいもんだけど、それが叶うのは祭りと資料館の関係者くらいのもんなんだろうな。こんな素晴らしい作品をただ見るだけというのはなんとも口惜しいけど、触って壊したりでもしたら大事だからしょうがないか。いやぁしかし心に響く仕事を見せてもらった。これは一見の価値があるので近くに来た時には是非見て欲しいと思います。
屋台を心ゆくまで観賞した後はその他の常設展を見に別の部屋へ。ここは入館料も安いのでそんなに展示物はないかと思ってたけど案外見るべきものが多そうだ。
特別展示で昔のガラス乾板写真も展示されていた。こういう写真は大好きなので一つ一つじっくり見させてもらったけど、その中でもこれは結構目を引いた写真だ
穂高神社のとこでも書いたけど、長野は海(というか湖)に関する地名や史跡が各所にあるという感想はここでも当てはまっていた。伝説によると鬼無里は昔水無瀬という地名だったみたいだけど、その更に以前にはこの山奥の盆地は湖だったらしい。その湖の水がある時流れ出てなくなった時水無瀬という地名になったと。多分昔は長野の各所にももっと湖があって、それを見た海なし県である長野の住人たちはその姿を海に例えて地名に残したりしたんだろう。単純な推測だけど、そうに違いない!だってこんな山奥にも湖があった(らしい)んだから!
穂高神社と同じ波よけのついた鳥居も共通してるし、これは面白くなってきたぜ
と、そんな感じで一人興奮しながら色々と展示物を見させてもらった。私は美術館でもなんでも一つ一つ時間をかけて見るほうで、ここでもそれは例外ではなかったので最後時間を気にして(さすがにちょっと長居しすぎた)さらっと見るに留めざる終えなかったのだけはちょっと残念だった。それに本当はもっと写真を撮ってて載せたいものも沢山あるんだけど、ここであんまり長く書くのもアレなのでこのくらいにしておきます。
出入り口近くに素敵なスタンプ(手作り)があったのでそれを紙に押した後、実はスタッフさんのご好意でリュックを預かってもらっていたのでそれを受け取って資料館を出る。スタッフさんは最後まで頭を下げて見送ってくれたし、そんな数々の親切にこの記事で応えられただろか。いや、しかしそういった意味合い抜きにしても結構楽しませてもらいました。ありがとうございました。
さて、焦るほどではないにせよ少し時間を使ってしまったので、ここらで次の目的地に向かうことにする。次の目的地はまた山を越えたところにある有名観光地戸隠なんだけど、まぁそんなに距離があるわけでもないのは幸いだ。道のキツさはわからないけど、早速出発。
境内には社務所っぽいとこもあったけど閉まってたので参拝だけで終了。ただ小高いところにあるので眺めはよかった。境内も広いので、祭りの時はどんな感じになるのか興味があるけど・・・まぁ出発しよう。
走ってたら見つけた建物。ボロボロだけどこういうのが好きなんです。右側2階の廊下のようなベランダのようなところが大好き
戸隠に続く道は途中まで川沿いを走っていくので釣りをしたい気持ちがどんどん湧き上がってくる。周りは田舎らしい景色で川も綺麗、そして川に降りるのも簡単そうなので、もし昨日鬼無里に泊まっていたら絶対釣りをしていたことだろう。これはまた訪れるしかなさそうだ(祭りも見たいし)。しかしいつも思うけど、こうやってふとした時にちょっと釣りができるようなシステムを導入してくれたらどんなにいいだろか(川で釣りをするには漁協が発行してる遊漁証を買う必要がある)。
そんな感じでグングンと山道を進んでいく私。この道も小川アルプスラインと同じで特に厳しい場所もなく、民家も途切れることはないので景色を楽しみながら行くことができるいい道だ。そんな道中に
ここは高いところにあるので見える景色は山ばかり。しかし先にも書いた通りここらは昔湖だった(という伝説)ので、その際に船を繋ぎとめておくための船繋ぎの樹という大木の跡もある。なんともこの景色を見てるとここらが湖だったっとは信じられないけど、やはり面白い話だ。
ちなみにここでも社務所はあいておらず(というかなかったかな?)、参拝だけして終わりとなった。
そんな感じで寄り道しながら走っていると、思ったよりも早く山道を抜けて戸隠に到着した。いや本当に「あれ、もう着いちゃった」と思ったくらいだったので、坂も厳しくない快適な山道は何も心配することがないので時間の流れも早く感じるらしい。
ここを左に行けば戸隠神社がある方面なんだけど、まずはその逆方向に用があるので一旦右へ曲がることにする。さすがに有名な観光地だけあって、平日とはいえ車の通りは多い。今までの道がなんだったんだってくらいに。これは神社も結構な人混みかもしれないな。
戸隠といえば蕎麦、ということでここに来たからには土産に蕎麦の一つでも買っていかねばならんと思いこの直売店にやってまいりました。敷地内に入ってみると私以外には客がいないようなので適当な場所に駐車し、早速中に入らせてもらった。
中に入って右に行くとすぐに商品が置かれているエリアがあったので色々と物色してみる。さすがにそば工場の直売所だけあって色々な種類の商品があるけど、一体どれを買ったもんか。。
普段好んで蕎麦を食べるわけでもないので何がいいのかよくわからない
商品を眺めていると奥からお姉さんが二人でてきたので、素直に「どれがおすすめですか?」と聞いてみたところ「奥の棚(上の写真手前の棚の奥側)は全国的に売られている商品で、こちら側(手前側)の棚の商品は長野県内でしか流通していないものなので、県外から来られたのであればこちら側の商品がいいかもしれません」とのことだった。更に今は新そばの時期で、新しく新そばの商品がでたばかりということなのでそれを二つと、お姉さんおすすめの品をこれまた二つ購入。
その流れで自分は原付で旅をしていることなんかを話しながら少し雑談させてもらうと、じゃあなるべく麺が折れないようにとプチプチにくるんでくれた。暑い中これから数日も麺を運ぶことになるのでその点も聞いてみたら「リュック等に入れて直射日光を避ければ数日でそんなに風味が落ちることもないはず」とのことだったので安心して買うことができた。
帰り際におすすめの蕎麦屋なんかも聞いてみると色々教えてくれたりしてとても親切な店員さん(?)だったお二人。長野でしか買えない蕎麦も買えたし、目的の一つを果たした私は満足気分で神社へと向かった。
この道をまっすぐ行くと神社があって、その道沿いには蕎麦屋や宿が立ち並んでいる。どこで昼にしようかな
戸隠ではできれば三社の御朱印をいただきたいのでまずここが一番手というわけか。参道からして中々立派そうな雰囲気が漂ってるけど、さて実際はどうだろうか。
古びた木の鳥居、イイっすね。しかし緑は気持ち良いんだけどこの暑さの中階段を登るのはキツイな・・・。
参拝客はやっぱりそれなりにいたけど、皆この階段を必死に登ってるようだった。こんなに暑くなければそんなに大したことのない階段なんだけども、これだけの熱に包まれていては一歩ごとに汗が滲み出てくる。案の定上に到着したら息もあがっていたけど、それは他の参拝客も同じで皆ハァハァ言っていた。しかし
やはり有名な戸隠神社の一つだけあってとても立派な造りだ。かつては彩りよく彩色されていたかもしれないけど、木の色そのままの社殿は重厚な中にも素朴な匂いが感じられる。これが木立に囲まれて鎮座してるんだから、その雰囲気たるや堂々としたものだ。
私は汗だくの中、しばらくそんな社殿を観察してから参拝。今まで通りこれからの旅の安全を祈ってから御朱印をもらいに行った。
私の前に並んでるのは5人くらいだっただろうか。人数こそ少ないものの、影になってる部分が少ないので直射日光を浴びながら待つのは少し辛い。しかし戸隠の御朱印といえばそれはもう有名なので、せっかくだから是非いただきたいと並んでいたんだけども・・・・とにかく待ち時間がめちゃくちゃ長い!
書いてるのがおじいちゃん宮司さんだからなのかわからないけど、一人分書くのに10分くらいかかってるんじゃなかろうか。並んでる人は少ないけどこのまま待ってたら余裕で1時間近くかかるかもしれない。前には一人で二冊とか持ってる人もいるし、これはどうしたもんか。。。
そうして悩みながら待っていたけども、二番目の人の御朱印もまた凄く時間がかかっていたので「こりゃイカンわ」と思って離脱を決意した私。まぁどうしても欲しいというわけでもなかったので気落ちするほどではないけど、残念は残念。週末になったらここは一体どれほど人が並ぶことになるんだろうかと心配しながら宝光社を後にしたのだった。
ここでアイスの一つでも食べたい気分だったけど、昼飯をよりおいしく食べるためにここは我慢。とりあえず先へ進もう。
さすが霊場戸隠だけあって宿坊も沢山ある。私も宿坊に泊まってみたいけど、精進料理だろうからそこが少々ネックかな
アイスは我慢したものの、やはりこの暑さで喉はカラカラなので店先でファンタを飲むことにした(こういう時間が結構好き)。のんびり休憩してると車から神職の方が降りてきたりしていかにも神社を中心とした観光地だといった感じだけど、こう有名なところだとやはり生臭坊主ならぬ生臭宮司なんかも多いんだろうかと色々考えてしまう。野暮なことだけどこれだけ人が来る神社で働いているんだからさぞ儲かってることだろう。いくら神職だからといって、期待するイメージ通り清貧な生活をしている人は少ないだろうし。一度有名神社の宮司さんの1日でも見てみたいもんだ。なんだか面白そう。
とそんな夏の青空に似つかわしくないことを考えながら休憩を終えると、次のポイントである火之御子社に向かった。火之御子社は宮司さんのいない神社なのでそこで御朱印はもらえないけど、その分これから行く中社で御朱印をもらうことができる。しかしだからと言って参拝せずに御朱印をもらうのは礼に反するのでしっかり参拝しに行こう。
ここは規模としては宝光社より小さくてより素朴な感じがするものの、自然により溶け込んで鎮座している風で、土臭い感じがとても良い雰囲気を作っていると感じる。ただ気になるのは宝光社より明らかに参拝客が少ないということだろうか。境内には歩いて神社巡りをしている人くらいしかおらず、何か色々と考えてしまう。
さっきと同じように参拝を済ませ、境内を少し散策したらあと残すは中社のみ。奥社も重要な神社だけど時間的にどうしても行けないので、戸隠神社の参拝は中社で終わりにしようと決めていた。その後はまぁ昼飯を食べてちょっと散歩して・・・と漠然と考えていたけど、まぁとにもかくにも中社へと向かうことに。
戸隠の竹細工といったらこれまた有名なのでそばざるの一つでも買っていこうと店に寄ることにした。
店内は見事な竹細工のカゴやらバッグやら色んな商品があって目移りしたけど、やはり目当てはそばざるなので手にとって眺めてみると編み方が独特でとても綺麗な模様を作り出している。
「よし、これは買うしかない」と思って値札を見ると、ざるのクオリティと同じく値段もまた立派なものだった。一人分のそばをのせられるくらいの大きさのざるでも(確か)2~3000円代くらいするし、一家族分くらいの大きさになるとそれこそ結構な値段だ。戸隠の竹細工職人は後継者不足が深刻だということは知ってたけど、これはそういう事情もあっての値段なんだろか。いくらか安いものもあるんだけど、それは見た感じ戸隠の職人が作ったものではなさそうでそこらへんで売ってそうなやつだ。
正直「旅行ではお金をケチってはいけない」と考えてる私だけどここまで高いと諦めざるおえない。なのでこれからざるを載せて壊さずに持って帰れる保証もないし、別に普段からそばを食べてるわけでもないので買ったところで使うのは最初だけだろうから別にいいかというすっぱい葡萄のごとき考えを巡らして店を後にすることにした。
たった今哀れないいわけを繰り返して諦めたそばざるだったけど「もしかしたらあっちはもう少し安く売ってるかもしれない!」とアホのごとき期待を抱いて寄ってみることにした愚かな私。そうして入ってみると、やはりというかなんというか相変わらずの値段で売られていたので一瞬にして淡い期待は粉砕された。それでも一応店内を見て回っていたら竹細工のコーヒードリッパー(以前テレビで紹介されたらしい)があって、その可愛さにつられて値札を見てみたらこれまた6000円という驚きの値段。最初見たときは600円と見間違えて「お、これいいじゃん!」と思ったけど、戸隠の伝統技法によって作られるとここまで高価なものになるのか。。まぁこれを高いと思うということは私はこれらの品々のターゲット層ではなかったということ。今度こそ本当に諦めるとするか・・・。
気を取り直して出発。店が立ち並ぶ坂を登っていくと、その向こうに中社が見えてきた
微妙に駐車場がわからなかったので、邪魔にならなそうなところに駐車して中社へと向かう。さすがに戸隠の中心地だけあって人もそれなりに多いけど思ってたほどではないかな。でも周りを見ると飲食店に並んでる人も多いし、今が昼時だから人がちょっと少なめなだけかもしれない。でもそれなら御朱印もきっと大して時間もかからずいただけるだろうといざ参道へと向かった。
中社の本殿はもうちょっと華美なものだと思っていたけど雰囲気は宝光社とおなじような感じ。でも静かにどっしりと構えるその姿は精悍そのものだ。こんな山の中に来てこれだけ立派な神社が建っていたら昔の旅人もさぞ安心したことだろうと思う。
本殿横にはさざれ滝という小さな滝が。滝壺にはイワナが一匹泳いでいた。涼しくてイイ
滝でしっかり拝んでから中社に参拝。ここでも他と同じように祈って、残るは御朱印だ。
境内のベンチで休んでる人やそこらへんでなんとなく立ってるような人がいたけど、どうやら御朱印が書き終わるのを待ってる人たちらしい。でも見てみると社務所には神職の人が複数人いて手際よく捌いているので大して時間もかからなそうだ。
ちょうど並んでる人もいないので御朱印をお願いし(一人の若そうな神職の人が結構無愛想だった)、待ってる間に祈祷おみくじなるものを見つけたのでそれもお願いすると、私の生まれ年を聞いて祈祷をした上でおみくじを渡してくれた。まぁこれは今夜宿でじっくり見るとして、そこからちょっと待ったらすぐに御朱印が書きあがったので無事目的は果たすことができた。御朱印の楽しみの一つは筆の見事さを鑑賞することだと思ってるので、これもおみくじと共に楽しませてもらうことにしよう。
そんな訳で中社の参拝を終えたので、次は待望の昼飯だ。中社の横にある店はまだ結構人が並んでいて、昼時はどこも混んでるかもしれない。しかし工場直売店のお姉さんにおすすめの店を聞いていたので、その中のひとつ「しなのや」に行ってみると、ちょっと奥まってイイ感じのところにあったものの休業日だった。ここでもまたあるある休業日にでくわした私だけど、まだ他にもいい店はある。というかお姉さん曰く「有名なお店はあるけどどこも同じくらい美味しい」ということだったので、しなのやのとなりにあった「戸隠堂」に行くことにした。
店内に入るとお客さんはいるものの十分空席があったのですぐに席につくことができた。なんだか店内写真を撮るのがためらわれる感じだったから写真はないけど、内装は外見からわかるように古民家を改装したもので、ノスタルジックな味がある中々雰囲気の良い店だ。窓からは綺麗な花が咲く庭が見えるし、何より店員さんの愛想がとても良いくてここは案外穴場なのかもしれない。
メニューを見ると色々あるけど、とりあえずここはざるそばを注文した。普段旅行でそばを食べるならほぼ天ざるとかの油系のものがプラスされたものを食べるけど、ここは蕎麦どころでも有名な戸隠。ならば最初は蕎麦だけいただかねばならないだろう(といってもそんなに味のわかる人間ではないけど)。
器はやっぱり先ほど私が諦めたそばざるだ。その上に新そばが綺麗に盛られていて、その付け合わせとして漬物とそば団子がついてきた。そば団子は食べるのが初めてなので、楽しみは後にとっておくことにしてまずは蕎麦をいただく。
食べてみると、家でたまに食べる蕎麦とはコシも風味も喉越しも全く違ってちょっと驚くくらい美味しいっ。普段私が蕎麦を食べない理由として「あっさりしすぎている」とか「油気がないので食べた気がしない」というのがあるけど、この蕎麦ならてんぷらなんてなくてもいくらでも食べられそう。やはり本物は違うのだ。しかもそれでいて値段が800円なんだからなんの文句もない。蕎麦湯もしっかり飲んで大満足で完食した。初めて食べたそば団子も大変美味しゅうございました。
店の前に並べられていたそばざる。あの値段を見た後では宝の山に見える
その後路地を少し散策した後、まだまだ見るところはありそうなものの出発することにした。ここから妙高までそんなに遠くもないけど、向こうでやりたいこともあるのでここは程々にしておく。また次の機会に思う存分散策することにしよう。
しかし中社のすぐ目の前にあるこの店の怪しさたるや。凄く気になったけどもう土産の蕎麦は買ったので中には入らなかった
少し進むと奥社入り口の駐車場に着き、そこまで車通りはそこそこあったものの、ここから先はほとんど車が通りがなくなった。皆妙高方面には用がないらしい。おかげで清々しい林道ツーリングを楽しむことができた。影が多いから気温も涼しいし、ちょっとした避暑地に来たくらいの気持ちで走れるのでここも中々良い道だ。
そんな道の途中には事前調査により水汲み場があることがわかっていたので、そこでおいしい戸隠の水を汲むことを戸隠での最後のミッションとしていた。しかしいまいち正確な場所がわからず、しかもグーグルマップのGPSが電波不足によりうまいこと表示されないので、うろ覚えの記憶を頼りに場所を探す。そこは川沿いで今走っている道路から山の方に延びている道の途中にあるようなんだけど・・・。そんな場所をちょこちょこ確認しつつ走っていると、結構わかりやすくそんな感じの場所があったので行ってみることにした。
ふむ、どうやらここのようだ。ちなみにこれは帰る時に撮った写真
道路からほんちょっとだけ歩くとすぐに水汲み場を見つけることができた。一見綺麗な水が流れる水路にしか見えないけど、ここが事前調査で見た写真の場所に間違いない。別に地下から汲み上げてるわけでもなく、流れてくる沢の水を普通に飲む感じの野趣溢れるポイント。水量も豊富で勢いよくドドドドと流れ込んでるし、これは今までにない程の期待がこみ上げてくるぜ!
水筒は空だったので、一応洗ってから水を汲もうと水につけたらその水の冷たさたるや、まさに氷水のよう!こんな酷暑な夏でもここまで冷たいとは驚きだ。私も周りがいくらか涼しいとはいえ少し喉も乾いていたので早速一口飲んでみると、キンキンに冷えていると言っても過言ではないくらい冷えた水が喉をサラリと流れていった。これは・・・・・今まで飲んだ湧き水の中でもトップの美味しさだ。以前飲んだ奥多摩の境の清泉もかなり冷たくて美味しかったけど、これはそれ以上だと思う。いくら標高が高いとはいえこんな真夏にここまで冷たい水が維持されてるとは、自然とはやはり底知れないもんだぜ。。もうタンクに水を汲みまくって持ち帰りたい気持ちだった。
誰もいないので森の空気を楽しみながら存分に水を飲んだ後にしっかり水を満タンに汲んでから場を後にすると、水を汲みに来たと思われる老夫婦とすれ違った。見た感じからして明らかに地元の人だったので、やっぱりここは格好の水汲み場なんだろう。逆に道を走っていく車やバイクは、こんな何もなさそうなところに原付と車が駐まってるのを見て「何かあるのか?」と興味ありげな顔をこちらに向けていた。もしそこで止まっていたならおいしい水が飲めたものを。。ともあれ、この水は戸隠に来たなら絶対飲むべきでございます。
目的の水が想像以上に美味しかったことに気を良くして今まで以上に気分よく走っていくと、程なくして山道は終わり、人家が見え始めた。ここでも寄りたいポイントがあるんだけど、そこは道沿いにあったのですぐに見つけることができた。
原付をとめて向かうと店にはとれたての野菜が安く売られていて、店のおばあちゃん達は楽しそうに話しながら野菜を並べたりお客さんと話したりしていてとても雰囲気がとても良い。店内では旅行中らしきご夫婦がとうもろこしを食べてるけど、私の目的も同じくとうもろこしだ。こののんびりとした優しい雰囲気の中で食べたらさぞおいしいことだろう。というわけで早速やきとうもろこしを注文。確か250円くらいだったと思う。
店は食事スペースも広くあるのでここでいただける。ちなみに延命茶という美味いお茶が飲み放題だ
もろこしには漬物もついてきて、これが少ししょっぱめだけども中々うまい。もろこしの甘さに対して少ししょっぱめに仕上げてるんだろか。しかし私はもろこしを存分に味わいたいので漬物を食べつくしてからもろこしをいただくと、その粒が小さめなもろこしは噛めばサクッとしていながらも中はとてもジューシーで、噛めば噛むほどに甘くて美味しい汁が溢れでてくる。もう一口食べた瞬間から私の中でのもろこしランキング一位はこれに確定した。まさかさっきの湧き水に続いてもろこしまで一位の座に躍りでるとは。しかしそうなるのも納得なほど、このもろこしはうますぎる。
そんな激ウマもろこしを食べていると、車でやってきた地元の人らしき人と店のおばちゃんが「もろこしある?」「今日はもうないのよ〜」なんてやりとりをしているのを何回も見た。やっぱりこんだけ美味ければ地元の人も常連になって買いに来るわけよね。私もここに住んでたなら毎日でも買いに来てるかもしれない。いやぁ、ここに寄って本当によかった。
おばあちゃんと話したかったけど、店内にいるご夫婦と楽しそうに雑談してたのでトレーをそっと返して店の横に行ってみる。さっき店頭の野菜を見ている時に気になってたんだけど、どうやらここは湧き水も汲めるようだ。
飲んでみるとさっきの水ほど冷たくはないものの、それでも十分冷たくておいしい。あそこで水を汲んでなかったら間違いなくここで水筒を満たしたことだろう。逆にさっきの場所がわからなくてもここで汲むことができるので保険としても良い場所だ。おいしいもろこしも食べられるしね。
さて、そんな感じでおばあちゃん達にごちそうさまを言って出発すると、すぐ近くに同じくもろこしを売りにしてる店があってこっちは大層混んでいた。こんなに近くてもこんなに客足に差がつくのかとも思ったけど、個人的に店の雰囲気は長原農園の方が良さそうだ。味はわからないけども、まぁ大差はないだろう。でも、他にも店があったので食べ比べて見るのも面白いかもしれない。
ほいじゃ、妙高目指していざ!
途中道の駅しなのに寄ってみたけど特にめぼしいものはなし
道は特につまらないということもなく、車通りもそこまで多くないので快調に進んでいく。途中野尻湖を横目に進めるかと思ったけどまったく見えなかったのは残念。あと黒姫童話館というのも気になったけど、さすがにそこまでの時間はないので今回はパス。ここらへんはまた来る価値がありそうなので、いつか寄ることもあると思う。
しばらく走っていったら高原のような景色が広がり始め、気づいたらもう宿泊地の近くまで来ていた。ワクワクするぜっ
今日の宿泊地周りには燕温泉、赤倉温泉と泉質の異なる温泉が湧いていて温泉好きにはたまらん観光地。まず最初に到着する赤倉温泉にも入りたい温泉が何箇所かあるので楽しみだけど、まずは宿へと向かうことにしよう。
赤倉温泉に到着。スキーで有名な妙高だけに大きなゲレンデが左手に広がっていた
さすがに三つの温泉地のうち最も規模が大きいだけあって店や宿の数もとても多そうだ。それに街は寂れてるわけでもなく、外国人を含む観光客もちょこちょこ見かける。思ったより活気がありそうで好印象だ。この街を散策するのも楽しそうだけど、それは後で時間があった時のお楽しみかな。
ということで進むとこんな看板が。どうやら今は関温泉経由でしか燕温泉に行けないみたい
看板通りのルートで行こうと思ったら足湯のある公園があったので寄ってみた
公園は散歩中のおじさん一人だけですきすきだったので少しだけ足湯に浸かってみると、これがなかなかに適温で心地が良い。源泉掛け流しでこれだから、ここの源泉はそんなに高温ではないんだろう。これなら関温泉も入りやすいかもしれない。
そうして少しだけ足湯を楽しんだら関温泉向けて出発。すると目の前に止まっていたバスが動き出してその後をついていく形になったんだけど、このバスがまた遅くてノロノロとしか進まない。道はすぐに山道に入って坂を登っていくことになるんだけど、唯一の救いは傾斜があまりキツくないことだろうか。こんなスピードで傾斜がキツかったら原付への負担は結構厳しいものになっていたはず。まぁそれでもなるべく負担は減らしたいので「どこかで先に行かせてくれたらありがたいんだけど・・・」なんて期待を抱きつつ走っていたけどそれが叶うこともなく、予想外に時間をくって関温泉に到着。案外時間をくってしまった。
しかし結構高いところまで来て更にこの天気なので気持ちは晴れやか!関温泉に到着だ!
ここ関温泉は小さな温泉地だとは知ってたけどあまり寂れた雰囲気はなく、一本道の両脇に宿が並んでいて見通しが良いので高所であることを実感することができる。なんだかはるばるやってきた感をひしひしと感じつつ、こじんまりした温泉街を眺めながら坂を登っていくとすぐに今日の宿である中村屋旅館を見つけることができた。
車は駐まってたものの原付を駐めるスペースは余裕であったので日陰で愛車を休ませて中へ。しかしここで「あれ、これはもしや・・・」と少し嫌な予感が。。でも中に入るまではわからないととりあえず宿へ向かおう。
「すいませーん」と声をかけると奥から女将さんがすぐに出てきてくれて「ようこそいらっしゃいました。それではお部屋までご案内します」ということですぐさま部屋へ案内してくれた。野天風呂も是非入ってくださいとのことで、こちらもそれを楽しみにしていたので後で是非入らせてもらおう。
しかし先ほど走った嫌な予感だけど、それは見事に的中してしまった。部屋は二階にあったんだけど、その部屋のある建物は(多分)後になって建てられたコンクリ造りの建物(まぁそれでも古そうだけど)。つまり外から見た古びた木造の建物に泊まれるのではなく、その横の少し新しめな方に泊まる仕様になっていたのだ。私はこの木造の宿に泊まることを楽しみに予約をした部分もあるのでそこはちょっと残念。館内は綺麗でそういう意味では全く文句はないんだけどね。でもそれは私の不手際。もっとよく見ておけばよかった。
部屋は2人くらいならゆったりできそうな広さで一人で使うには十分すぎる広さ。ちゃんと掃除されていて綺麗だし、窓も大きめなので気持ち良く過ごせそうだ。
窓からの眺めも悪くない。でもあの斜め向かいの宿も良さそうだな。。
女将さんは「夕食は6時に隣の部屋で」という旨のことを言って出て行った。女将さんは愛想もよくて優しそうだけど、必要以上に干渉しないスタンスっぽい。チャンスがあったら色々聞いてみたいけど。
しかし関温泉は高所にあるけど特に涼しいというわけでもなく、そのせいか部屋はムシっとして少し暑いくらいだ。扇風機はあるもののエアコンはないので頼りは扇風機のみ。でも、それも夏っぽくていいじゃない。
というわけで扇風機を強にして、次の行動に移る前に少し横になる私。こうして宿についてまず横になる喜びは皆が知るところだと思うけど、原付に長時間乗ってから横になるのはまた格別だ。このまま寝るというのも最高なんだけど、まだ暗くなる前にやっておきたいことがいくつかあるのでしばらく腰が伸びていく感覚を味わってから出かけることにしよう。温泉街の散策もしたいしね。
とりあえず最初は釣りが出来そうなところを探して、良い場所があれば明日の朝にでもやろうという計画のもとポイント探しへ。関温泉に向かう途中の山道でも川はあったので近くに川に降りられそうなところはありそうだ。ということで燕温泉方面に向かって走っていると、何やら川に続いてるっぽい道があったので行ってみることに。
と思ったんだけど、川に近づいていくと強い硫黄に臭いが立ち込めてきて、さらに河原に転がる石は赤茶けた色に変色したものが多く見られた。そうか、迂闊にもその可能性を考慮するのを忘れていたけど、さすが湯量豊富な温泉地だけあって川にも温泉が流れ込んでいるようだ。これだけ硫黄臭がするんだから結構な量が流れ込んでるに違いない。これは竿を出すまでもなく、魚はいないだろうなぁ。。
しかもなんとなく動物の気配も感じられたので早々に川の下見を終了し、他にも少し探したけども良い場所はなかったので明日釣りをすることは諦めた。まぁ明日の朝はやることがあるからそっちに時間をとることにしよう。
じゃあ次は夜食の買い出しだ。関温泉にも一軒お土産屋があるんだけど、少し走ったところに直売所があるのを記憶していたのでそっちへ向かうことにした。直売所には坂をスイーと下っていけば着くので楽チン楽チン。
途中両脇に森が広がってるところで川に続いてそうな道があったけど、もう釣りは諦めていたのでスルーしていく。しかもところどころにクマ出没注意の看板があってなんだか恐いし。それよりもこの道は車通りもないし景色も良いし最高だね。
そうして若干帰りを心配しながらも意気揚々と下っていくと大通りに出て、目的の直売所が間近に現れた。
店内は野菜の他にも加工品やパン、その他惣菜なんかも売っていて夜食に何を買おうか目移りしてしまう。チーズケーキとか菓子パンなんかもいいけどどうしようか・・・・と思って周っていると、かぼちゃドーナツなる品を発見。地元で採れたかぼちゃを使った甘いドーナツらしく、これがいかにも美味しそうだったのでもうこれに決めた!更にはまたまたりんごジュースが売っていたので二日連続でこちらも購入。さて、昨日のものとどう味が違うか。これは夜が楽しみだ。
そうして思いの外良いものが買えたので後はもう宿に戻るだけ。それから野天風呂にも入ったりしたいから、赤倉温泉に行くのは厳しいかもしれないな。夕食後に行くのも楽しそうだけど、あの山道を行くのはちょっと勇気がいりそうだし。。まぁそれは後で考えよう。
ということで関温泉まで戻ってきて土産屋の写真。これは、土産屋よりもむしろ二階の喫茶店が気になるな。夜に行くとしよう
そして宿に戻ったらすぐさま野天風呂へGO!本当なら内湯に入って体を洗ってから行くべきなんだけどこの時は完全に忘れていた。
サンダルをはいてまっすぐ行くと、洗濯物が干してある生活感丸出しの場所があるのでそこを右へ
別にドアがあるわけでもなくよしずが目隠しとして設置されてるだけなのでなかなか開放感がある。混浴なので、女性はちょっと抵抗があるかもしれない。しかし今日は私だけなのでのびのび入ることができそうだ。ちなみに今日泊まってるのは私の他に一人だけで、しかも部屋は隣だ。
では、野天は目の前なのでさっさと服を脱いで行ってみよう!
なるほど、これが中村屋旅館の野天風呂かッ。周りは木に覆われていて景色が良いってわけではないけど、この野性味溢れる浴場はなかなかそそられるものがある。
しかし関温泉は鉄分が多い赤茶色の濁ったお湯だということだったけど、随分澄んだお湯なんだな。
でもまぁ入ってみれば色々わかるだろうということでまずは掛け湯。経験上鉄泉=熱いと刷り込まれているから警戒したんだけど、ここはそれほど熱くはなかった(それでも平均よりは熱いけど)。なので豪快にばしゃばしゃ掛けて慣らしてからいざ入湯!
すると浴槽の底からブワッと茶色いものが舞い上がり、私が体を沈める頃にはさっきまでの湯が嘘のように赤茶けた色に!私が濁ってないと思ったのは、ただ単に成分が底に沈殿していたからだった。しかし一瞬でここまで色が変わるとは、かなりの量の成分が沈んでたようだ。
そんな湯に肩まで浸かってると鉄泉らしくすぐに体がポカポカしてくる。それが凄く気持ち良いんだけど、これはやはり長湯はできそうにないな。あと気になるのは温泉の匂い。最初は鉄泉らしく金気のある匂いだと思ったけど、こうして肩まで浸かってみるとなんだかゴムっぽい匂いが強く感じられる。ネオプレーン系の商品の匂いというか、なんだかとにかくゴムっぽい。新潟はゴムっぽいというか石油のような匂いのする温泉が多いらしいけど、ここもそのうちの一つのようだ。
なんだけど、そんな良い気分も長くは続かなかった。そう、ここは周りに自然が広がってるだけあってアブの攻撃が凄まじかった!せっかく良い気持ちで入っているのにしつこくブンブンと飛び回るアブは本当に厄介者だ(しかも首筋刺されたし)。私も「虫ごときに負けてたまるかッ」と思って不動の心で湯を楽しもうと思ったんだけど、軟弱者なのですぐさま撤退を決意するハメになってしまった。おまけに脱衣所までついてくる始末だし、これは夜に野天を楽しむのも厳しいかもしれない。森林香でも置いておいてくれたらいいんだけど、これはしょうがないとはいえもったいないな。
そんなわけで本格的に温泉を楽しむ前に野天を出ることになってしまったので、このままでは帰れないと続けて内湯へ行くことにした。内湯ならアブなんぞに邪魔されずにゆっくり入ることができるだろう。
脱衣所の様子。扇風機もありがたいけど、昭和なカラーリングの洗面所が愛しい
宣言書。ここは世によくある「偽源泉掛け流し」と区別するためにしっかりチェックしているようだ
脱衣所は古びれた感じはするものの掃除はちゃんとされているので割と綺麗だ。しかしこの年季の入った感じ、これなら浴室もさぞ・・・と思ったら
この年季の入り方、そしてコンクリート全開な感じは個人的に結構好きだ。聞こえは悪いけど、この浴室を見た第一印象は「未だに湯が湧き続けている温泉廃墟」だった(私的には褒めてます)。湯治場といえば木造の印象が強い私だけど、こういうのもまた違った渋さと無骨さがあって素晴らしいね。
ということで思いがけず良い雰囲気の浴室だったので気分良く体を洗っていざ入湯。ここも野天と同じく今は濁ってないけど、入ればすぐに成分が舞い上がって濁ることだろう。そう思ってスーっと温泉に入って少ししたら「だぁっつ!」と一声叫ぶほどの熱が襲いかかってきた。瞬間的にはそこまでではなかったけど、少したつと結構な熱が足に伝わってきて速攻退却してしまった。野天がそこまで熱くなかったから完全に油断していたけど、考えれば野天は外気に晒されてる分少しは冷めてるわけで、内湯が熱いのは少し考えればわかりそうなもの。全く、とんだトラップにひっかかってしまったもんだぜ(完全に自分が悪いです)。。
というわけで少しでも入りやすくするために水を投入し、今度はそろりそろりと入っていく。よし、これなら長湯はできないものの少しは入っていられそうだ。でもまぁ、2~3分が限度だろうけども。
そんな短い中で温泉を味わってみると、欲感としては鉄泉らしいキシキシ感はあるものの、同時にスベスベした感触も感じられる。関温泉は鉄分も豊富ながら、他にも塩分と炭酸成分も含まれてるのでそのせいかもしれない。肌触りが良くて、視覚的にもよく効きそうに思えてくる良線だ。これは気持ち良いな。ただ熱いけど!
その後水を入れ続けたものの、とうとう長湯ができそうになるまでには至らなかったので何度か入る→出るを繰り返して温泉を出た。次に入る時は、もっと入りやすくなってることを祈ろう。
さて、温泉から出た後は翌日の宿予約タイム・・・なんだけど、実はその前に昨日発覚した重大な問題が一つある。それは何かと言うと、私は7泊8日で今回の旅行を組んだと思っていたら実際は6泊7日になっていて、どこかで余分に1泊しないと都合が合わなくなってしまっていたのだ。「じゃあ別に6泊でもいいじゃん」と思う方もいるかもしれないけど、私は旅行の最終日を祭りで締めようと思ってるのでこのまま旅を続けたら祭りが見られなくなってしまうのだ。というわけで急遽どこかで1泊しないといけなくなったわけなんだけど、それがどこか決まっていない。
そうして「一体どこにすべきか・・・」と思っていたら、2年前の佐渡の旅の帰りに行きたかったけども行けなかったところが近くにあることを思い出し「よし、そこだ!」ということでそこで1泊することに決めた。宿もなんとなく知っていたので電話してみると、1軒目は断られたけども2軒目はスムーズに予約完了。こうして無事翌日の余った1日を過ごす場所が決定したのだった。
その後は18時に夕食だと言っていたので部屋で本を読んだりしてまったりしていると、17時40分くらいに声がかかった。「なんだ随分早いな」と思ったけど夜食として買ったかぼちゃドーナツがそれなりの量がありそうだったのでまぁいいか。ということで部屋を出てすぐ隣の部屋へ案内されると
なるほど、こんな感じで食べるのか。席の前にはテレビと扇風機もあった
ふむ、これはなかなか美味そうだ。美味そうなんだが・・・・どうして山の中なのに海鮮メインな感じなんだろうか。まぁたしかに日本海には近いけど、山の中なんだから山のものをだして欲しいという気持ちは正直ある。それを期待してたところもあったし、海鮮にするならもうとことんやってくれた方が逆に清々しい気もする。そんなことを思いながら食べてみると、鯛の塩焼きやてんぷらは熱々でもちろん美味しく、刺身だとか野菜系の小鉢も全て美味しかったので余裕で完食したけども、最後までそのちょっとした残念感は拭えなかった。でも美味しゅうございました。
さて、夕食後はまた予定があり、腹も一杯になったところでこれから燕温泉に行こうと思っている。燕温泉はここ関温泉とは違い硫黄泉が湧き出ていて、温泉街に足湯などがある他に、少し登山道を登ったところに野天風呂が2つあるのでそこで燕温泉の湯を楽しむことができるということで、夕食後に行ってみようと画策していたのだ。しかし野天に入れるのは日の入りから日没までらしいのでこれから両方に入ることは困難。なので温泉街から最も近い黄金の湯にだけ入りに行くことにしよう。
そういうわけで出発したけど、ここから燕温泉はさほど遠くもないので10分くらいで到着。途中の山道も眺め良しで気持ちよかったんだけど、いかにも動物が飛び出してきそうな感じだったんで帰りはちょっと注意して帰った方がいいかも。
こうして来てみると関温泉よりも小規模な温泉街なのでより湯治場っぽい雰囲気だけど、立ち並んでる宿は洋風なものもあったりして実はそれほどでもなかった。しかしここも関温泉も近いのにどうして関温泉の方に泊まったかというと燕温泉には泊まりたい宿がなかったからなんだけど、こうして見てみるとここに泊まるのもよかったかもしれないな。まぁ見ているとこっちの方が宿泊客が多そうだから、そういう意味では関温泉のほうがゆっくりできそうだけど。
朝にここでゆっくりするのも良さそうだ。でも今回はその時間はなさそうかな
歩いて温泉街を抜けるとすぐにこの社があって、その脇の道を登っていくと黄金の湯に着くみたい
歩いていると刻一刻と暗くなっていくのがわかる。でもまだ日没までは時間がありそうだから、そんなに焦らなくても大丈夫そうだ。しかし、食事時ということもあるのか他に歩いてる人は人っ子一人いないな。これなら野天も貸切状態で楽しめそうだ。周りの環境も良いし、これはかなりワクワクするぜッ。
そして温泉街を抜けて5分くらい歩いたところでもう黄金の湯に到着。近いことは知ってたけど確かに近かった。でも汗はかいた
黄金の湯は一応男女別になってるけど、道からでも(特に男湯は)見えやすくなってるから女性は抵抗がある人もいるかもしれない。でもそれだけ開放的でなければ野天とは言えないでしょ!ということで全く気にすることなく脱衣所へ向かう。まぁこんな時間に登山道を歩く人もいないだろうけどね。
既に宿の温泉で体を洗ってるし、少しだけ掛け湯をしていざ入湯・・・・の前に
温泉は乳白色でもちろん硫黄の香りもばっちり。でもそれよりもなによりも月明かりでボ〜っと青白く光る湯面の美しさったらちょっとした異世界のようだ。空も良い感じに開けてるので、のんびりと月見風呂を楽しむことができる。これは東京からここまでやってきたご褒美としてありがたくいただくことにしよう。
ワイルドな岩風呂。そして青く澄んだ温泉。最高だよこれは・・・
そしてもちろん源泉掛け流し。あと、ここもゴムっぽい匂いがする
ということで撮影もほどほどにして野天に入ってみる。温度はとてもちょうどよくて、これなら長湯とは言わないまでもしばらく入っていることができそうだ。そしてまた驚いたのは、ここも宿の温泉と同じく成分が底に沈んでいたようで、足をつけると底から湯の花がブワっと舞い上がってきて更に乳白色が濃くなったこと。湯の花がこんなに大量に舞うのはやはり成分が濃い温泉の表れだろう。これは周りの環境抜きにしても素晴らしい温泉だ。はぁ、極楽。。。
おっさんの足で申し訳ないけど、どうしてもこの構図を撮りたくなった。眺めも良いよ
貸切状態の野天風呂という最高の贅沢を満喫する私。入っていても特に誰が来るでもなく、とても雅な時間を独り占めだ。風も程よく吹き抜けているし、ここには気持ち良さしか存在していないかのよう。いやぁ、この時間に来て本当に良かったス。。
でもそうして温泉を楽しんでいるとどんどん暗くなってきて、そろそろ出ないとマズい感じになりそうだったので泣く泣く温泉を出ざるおえなくなってしまった。好事魔多しというか、これだけ良いところならもっと早めに来れば良かったな。
出るときに気づいたけど、最初に足を下ろした所に足型がついていた。これだけでも湯の花の多さが分かろうというもんだ
温泉で十分に温まってたものの、帰りは坂道だし誰もいない事をいいことにシャツのボタン全開で歩いてたので汗をかくこともなく原付まで戻る事ができた(温泉街ではボタンは閉めました)。明日はもう1つの野天である河原の湯に入るためにまたここに来ることになるけど、それがもう楽しみでしょうがない。どうやら河原の湯は黄金の湯よりも秘湯感溢れる場所らしいけど、それが一体どれほどのもんなのか。しかも朝に行くからまたさっきの月見風呂とは違った楽しみがあるだろうし、全く燕温泉は楽しませてくれるぜ!私が歌人だったら10篇くらい詩を編んでいたことだろう。
そしてまた10分くらいかけて関温泉に帰ってきた。野生動物は出なかったけど、虫にぶつかられながら帰ってきました
そうして部屋に戻ってくると、テーブルの上にはなんと梨が置かれていた。ありがたや・・・
思わぬデザートに舌鼓を打ち(大変おいしかったです)、しばらく外を眺めてぼーっとする。外を見ててもたま〜に地元の人っぽい影が通るくらいで観光客の姿は見えない。まぁこの宿も私を含め2人しか泊まってないし、他の宿の窓も暗いから全体的に少ないんだろう。なので静かな分物思いにふけるには絶好のシチュエーションで、個人的にすごく貴重な時間だ。こんな時間がまってるからこそ一人旅はやめられない。
そんな大事な時間をしばらく堪能したあとはまたもや温泉の時間だ。さっき黄金の湯に入って肌もしっとりスベスベだったけど、この日の最後はやはり関温泉の湯で締めなければならんだろう。ということで(野天はもうアブにこりごりなので)内湯へ向かった。
試しに手を入れてみると全くぬるくなってなかったので最初からホースの水を全開にして入ってみる。ホース近くにいればまだマシなんだけどそれでも熱く、しかもいつまでたっても適温にならないもんだから結局最初と同じく入る→出るを繰り返し、合計10分にも満たない入浴時間であえなく二度目の撤退を余儀なくされてしまった。全く鉄泉というものはなんでどこも熱いのか、いつかは赤茶けた湯で長湯してみたいもんだ。しかしそれでも十分ポカポカになるあたり、関温泉の力を感じる部分ではあるんだけど。
温泉から上がってからは湯冷ましにちょっと夜の散歩。今日は関温泉全体を見ても泊まってる人は少なそうなので静かな夜・・・・と思っていたら下の方から若者達の楽しそうな声が聞こえてくる。昼間は全く見なかったけど、実はいたんだね。若者にしては泊まりに来る場所が渋いなぁと思うけど、こうして賑やかな話し声が響くのは良い事だ。若者達もさぞ楽しいことだろう。私はそんな若者達を横目にウロチョロ行ったり来たりして、最後喫茶店に寄ろうと思って行ってみたらもう閉まってたので宿に戻る事にした。
しかしまだ晩酌するには腹も満たされてるので、ロビーにの本棚から「猫のお寺の知恩さん」なる漫画を借りて読んだ後(割と面白かった)に晩酌開始。でもかぼちゃドーナツは全部は食べられなさそうだな。
まずはりんごジュース。部屋に冷蔵庫があるのでしっかり冷えてるし、栓抜きもあるので昨日のように硬貨で空ける必要もないので楽チン。早速飲んでみると、正直私にはあまり味の違いがわからなかったけど(昨日のよりちょっと酸味が強いか?)やっぱりりんごジュースは美味かった。旅の途中のちょっとした贅沢としてはかなり満足できる味だ。普段なら600円近くするようなジュースなんてよほどの事がない限り買わないしね。そして同じく楽しみにしていたかぼちゃドーナツは、うっすらかぼちゃの風味がするもののほとんど普通のドーナツだけど、程よく油っぽくて甘さもちょうどいいし個人的にはヒットだった。りんごジュースとドーナツで甘い+甘いだけど、旅の途中は肉と甘いものは不足気味になるから体も欲しているのでちょうどいい。ともかく、今宵も良い晩酌でした。
今日の戦利品。資料館のスタンプは出来が良かったからついつい押してしまった。
そして御朱印とおみくじ。この丸みを帯びた字体はかなり好き。おみくじの内容は秘密!でもやってよかった
晩酌後再び知恩さんを読み出したものの、すぐに眠くなったので無理はせず素直に就寝した。明朝は河原の湯に行くために6時に起きる予定なので、しっかり目覚ましをかけておこう。
さて、朝6時、目覚ましはしっかり鳴って目覚めたものの、眠気と布団の気持ち良さには勝てず「もう後でいいや・・・」と情けなく予定を変更してそのまま再び眠りにつくという失態をおかしてしまった。朝食の時間は8時なのでもうその後に行くしか道は残されていないけど、それでもまぁ今日は特に寄りたいポイントもないのでまぁ大丈夫か。ということで次は7時30分くらいに目覚め、そのまま布団の中でグダグダしていたら朝食の時間が訪れた。
なんだか朝食にイクラが出るというのは新鮮だ。しかも山の中の宿で。味はどうかと食べてみると、これがさっぱりしつつもイクラの濃厚さがご飯によく合う。他のおかず達も割とさっぱりめなものが多くて朝にはもってこいだ。なのでご飯は一杯しか食べなかったけども余裕で完食。量もちょうど良かったし、大変美味しゅうございました。
さて、じゃあ朝食も食べ終わったし早速河原の湯へ行きたいとこだけど、宿の朝風呂も味わいたいし体も洗いたいのでまずは宿の温泉へ。朝は朝で日が差し込んでとても気持ちが良い浴室だった。
しかし相変わらず熱かったので水と混ぜながらの掛け湯だけで朝風呂は終了。河原の湯へ行きたいから水で薄めてる時間もないので、とりあえずはこれでOKとしよう。ただそれでも結構気持ち良かった。
雲ひとつない快晴なんで道中の眺めも最高だったけど、まだ朝早いというのに結構暑い。唯一の救いは例によって強めの風が吹いてることだけど、もし野天の場所が風がこないところだったら長湯はできないだろうな。。まぁ、そうでないことを祈って行ってみよう。
黄金の湯は社の左手にある道を行くルートだったけど、河原の湯は右手に延びる道を行くとあるようだ。情報によると15分くらいかかるみたいだけど、まぁ時間はいいとしても私の履いてるサンダルのような靴でも大丈夫な道なんだろか。
うん、暑いっ。暑いけど、それ以上に景色が良いし他に誰もいないのがワクワクを加速させる。道はガードレールのようなものこそないものの思ったより歩きやすいし、これならビーサンでも「ちょっとだけ歩くのに苦労する」ぐらいですみそうだ。登山なんてしないからこれはまだまだレベル1くらいの道だろうけど、こんな気持ち良いなら登山も悪くないと思ってしまった。しかもこの先には温泉が待ってるんだから、木々の緑もより濃く見えようというものだ。
そうして意気揚々と歩いていくと橋があった。河原の湯はこの橋を降りたところにあるらしい
ここまで10分くらいだろうか、事前情報より割と早く着いた。眺めの良い道を歩いてきたけど、この野天のある場所は谷の奥にあって道中よりも秘境感があって素晴らしい!側には川が流れてくるし、心配していた風も山から吹き下ろしてくるので心地イイ。これはかつてない程の温泉経験ができるに違いない!
寄付金なんて全くおしくない。この脱衣所の時点で素晴らしいんだから
昨日の黄金の湯もかなり良かったけど、さすがにこっちは場所が場所だけによりワイルドで秘湯感が濃い。湯は黄金の湯と同じく硫黄泉で青白い色だけど、ここも入ったら湯の花が舞い上がって白濁することだろう。もうこれを見た瞬間にワクワクが最高潮に達していたのでさっさと服を脱いで野天に躍り出た。
湯温もちょうどいい。泉質も申し分ない。そして川のせせらぎが聞こえ、目の前には雄大な自然。これ以上何を望むものがあろうかッ。このとてつもない気持ち良さと開放感、それを温泉街からたかだか10 分くらい歩いただけで味わえるんだから、こんなお手軽で秀逸な野天はそうそうないだろう(多分)。もうとにかく気持ち良い。最高でございます!
温泉は川に流れ込んでいる。こんだけ流れ込んでたら魚もいないはずだ
夏の時点でここまで気持ち良いんだから、紅葉のシーズンになったら周りの景色の綺麗さは例えようもないくらいに美しいんだろうな。その時期になったらここもぎゅうぎゅうに混んだりするんだろうか。でも源泉温度が高いわけでもないから、秋に来たらかなり寒そうかも。でも一度は秋に来てみたいな。
とそんなことを思っていると脱衣所の向こうから足音が聞こえてきて「おや、お客さんだ」なんて思ってると、なんとやってきたのは女の人だった(しかも若い)。まぁ混浴だから女の人が来るのはおかしくないんだけど、私の混浴体験と言ったら去年行った湯ノ花温泉の共同浴場でおばあちゃんと入ったのが初の混浴体験なだけに、ここで
若いオナゴと混浴となっても少し困ってしまう。話しかけたりしても「あたしの体を見たいだけでしょ!」とか思われそうだし・・・・となると、向こうもなるべく気を使わないように私はただそっぽ向くしかなさそうだ。多分私が先に入ってたことで向こうは少し残念がってるだろうし、ここはお互い干渉しないのがベストだと(なんとも情けない)判断を下したのだった。
しかし混浴になったところでこの温泉の気持ち良さは変わらない。次に来るのはいつになるかわからないし、時間も十分にあるので思う存分野天を楽しもう。そんなわけでしばらく首まですっぽり浸かっていると、そんなに熱くないとはいえさすがにのぼせそうになってきたのでそろそろ温泉からあがることに。本当ならそこらへんに座って火照りを鎮めてからまた入るけど、若い女の人の目の前でそれをやるのもちょっと気恥ずかしかったのでここらで退散することにした。でもそれでも十二分に野天を楽しめたので大満足。素晴らしい野天でした。
(ちなみに脱衣所に行く時にチラっと女の人を見たら水着を着ていたので、これなら話しかけとけば良かったと思いました。)
もう完全に温まってたので帰りは割と汗をかいたけど、それが逆に原付に乗った時に気持ちよくてなかなか良い燕温泉の締めとなった。あとはもう戻ったら宿を出るのみ。ちょっとだらだらしたらすぐに出発しよう。
女将さんを呼んで清算をすますと「もしかして私の親戚の方じゃありませんよね?同じ苗字の人がいるんですけど」と珍しい質問をされたけど、もちろん私は女将さんの親戚ではないので「違いますよ」と笑って返しておいた。そのあと少しだけ雑談をさせてもらった後、さっき掲示板にあった湯の花を一袋くれて「また冬の時期にでも来てください」との言葉を受けて宿を出発した。良いお土産ももらったし、今日も良い日になりそうだと感じながら原付を走らせた。
※ 今回泊まった中村屋旅館は浴室も渋くて野天もあるし、成分の濃そうな温泉は一泊でも十分に肌をもちもちにさせてくれました。部屋には冷蔵庫があるのはありがたいし清掃も行き届いているのでなかなかに過ごしやすい宿だと思います。個人的には記事内でも書いたように食事内容が少し気になったのと私の注意不足のために残念なポイントはありましたが、それでもご飯は十分美味しかったし良い一晩を過ごせました。
ただ、個人的に宿とその内容に比べて料金が高いと思ったのが正直なところではありますが。
こちらの旅とお宿も素敵でしたー!
戸隠神社は行った事あります!車椅子のイトコとだったので、本殿だけだったのですが。
戸隠は水が綺麗なので龍祭ってますよね。
お水が美味しいとお蕎麦も美味しい。
そして、是非とも天ぷらも!地物の野菜や山菜を使ってるから面白いですよー!
私は日光の某お寺に勤めてました。御朱印も書いてました。
その時から比べたらすごい御朱印の人気です。
ちなみにほぼ同じ時期に辞めた同期が結婚、出産経て御朱印担当に復活しております。
あと、生臭~は会社に1人くらいいますよね。
そんな感じです。
最後の河原の湯も素敵ですね!川の音と夏なので蝉とかの中あの乳白色のお湯!
入ってみたい!です。女性で混浴行かれるのは私が思うに、だいぶ勇気があると思います。
か、気にしてないか、ネギさんが思うようなことは思っていたら混浴行かないと思う。
私は、こんな粗末なもの人様に見せるわけにはいかねぇぜ、と思っているので、
混浴は遠慮してます。
旅の続き楽しみにしてます。
>十六夜さん
コメントありがとうございます!どうも返事が遅くなってしまって申し訳ありません。
確かに、今になって思うと天ぷらを頼まなかった事は失敗でした。さぞ美味しかったことでしょうに。。次は必ず食べようと心に誓いました。
十六夜さんは元寺務員さん(か住職さん?)だったんですか?それはとても興味深い話です。私のような一般人からしたら神社やお寺での生活や実態はわからない事が多いので興味がつきないところです。
御朱印の人気も大きな寺社だと本当に大変そうですね。戸隠神社に行って改めて思いました。下手したらあれだけで1日が終わってしまいそうな勢いですもんね。マナーが悪い人もそれなりにいるようですし、大変そうです。
河原の湯は本当におすすめです。あんなに簡単に行けてあの湯、あの風情なんですから。でも少し調べてみたら、入りに来る女性目当てのワニなる連中もいるみたいですね。これは女性じゃなくても気分がいいもんじゃありません。私もぬる湯の温泉では長湯するほうなので、もしそこが混浴だったら気をつけたいものです。
しかし十六夜さんの言う「粗末なもの〜」しかり、男女別のほうが気兼ねなく入れる事は確かですね。私もそんなに見られたいわけではないので(笑) でも黄金の湯があるので、燕温泉はその点でも勝手がイイと思います( ^ω^)いつか行ってみてください、素敵な思い出になると思います。
>ネギさん
お返事ありがとうございます。
寺務員、と出るあたりネギさんすごいですね。
前職を説明する時に説明するのが難しいんですけど。
その寺務員でした。
子供の頃から巫女さんになりたくて(巫女さんみたいな格好をしたかった)でもなぜかお寺を選んでしまったんですよね。
普通に地元高校に他企業と同じく募集が来るんです。
なんだかんだと10年程勤めましたが、今思えば特殊かもしれないですね。
ネギさんの神社、お寺おまいりも楽しみに拝見してます。