[福島県] 溢れ出るぬる湯と秘境に佇む激渋宿 微温湯温泉二階堂 [福島市]

福島

夏休み「毎日違う温泉で湯治旅」7日目です。 [6日目] [8日目]

宿に着いたところから読みたい方はこちら

鎌倉温泉から眩しい日差しと共に出発したものの、次第に空は曇り始めて大通りにでるまでの細い道であえなく雨の餌食になってしまった。本当にこの夏の天気はひどいもんだけど、しょうがないのでレインスーツを着て原付を走らせた。

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グーグルマップを頼りに細い道を行く

そこから無事大通りに出て走っていると道の駅があったので寄ってみる。この段階で空は相変わらずの曇り空だけど雨雲は追い越したようなので、休憩がてらお土産散策へと向かった。

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名前は忘れたけど割と大きな道の駅だ

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人も結構多い

横に長い道の駅には結構な人数のお客さん。まぁ大通り沿いだから人が多いのもうなずけるけど、どうやらそれ以外にこの道の駅で行われているっぽい催しにも関係があるらしい。人だかりができていたのでそう判断したわけだけど、館内に入ってみるとどうやら桃の販売会(?)のようなものをやっていて、安いものから高いものまで色んな種類の桃が売られていた。それを選んでいる人の目もまさに真剣そのもので、皆良い桃をゲットしようと右往左往していたのだった。
私も車なんかで来ていたら高い箱売りの桃なんかを試しに一箱くらい買っただろうけど、そうもいかないので今夜の夜食用に二個入りの桃を買って購買欲を満たし、その後館内を散策して出発。外に出るとまた雨が降り出した。

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小さな金魚やメダカなんかも売っていた。凄く可愛い

道の駅を出発してから向かうは今日唯一の観光スポットである飯坂温泉だ。なぜかさっきの道の駅から飯坂温泉までの道のりのことはほとんど覚えていないので色々省略するけど、雨が降る中昼頃に飯坂温泉駅に到着。駅前だから人はまぁいるものの、街は閑散としている様子だった。

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控えめに風情を出す飯坂温泉駅

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こういう祭りにも是非行きたいけどなかなか予定が合わない

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駅からすぐの温泉街

まずはあらかじめ目星をつけていた駅近くの定食屋に行ってみたものの、どうやら休みだったようなのでそこらへんを適当に散歩しながら気になる店があったら入ろうと思い歩き出す。

温泉街は店や宿がそこかしこにあるものの廃業しているところが多い印象で、どうやら飯坂温泉は結構寂れた温泉街のようだった。道を歩いていてもたまに通るのは地元民ばかりで、観光客はあまり見ない。休日になれば観光客も多少は来るだろうけど、街を見た感じでは栄えてるようには見えなかった。

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危険な香りのする駐車場

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共同浴場波来湯(はこゆ)

飯坂温泉は9つの共同浴場があるらしく、それぞれ質の違った湯なのが特徴らしいけど、共通してるのはどれも激アツであるらしいこと。私は温泉好きであるにもかかわらず熱いとすぐにのぼせてしまう体質であることと、ここは寂れてはいるもののいつかは泊まりに来て共同浴場巡りをしたいと思っているので今回温泉には入らないと決めていたので、新しめな波来湯の建物を横目に見ながら散歩を続けた。

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立派な宿だけど廃業しているようだ

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向かいの川沿いの建物も多分宿だろうけど、廃業してるっぽい

そんな川沿いの道を歩いてみると神社があったので寄ってみると、どうやらちょっとした公園になっているようだった。さらに足湯のある波来湯分湯櫓なるものもあったので、お参りがてら少し休憩(するほど疲れてないけど)することにした。

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温泉にはつきものの薬師神社と分湯櫓。どうやらここが波来湯の源泉ぽい

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しばし休憩

飯坂温泉の湯だから足湯もさぞ熱いことだろうと思ったけど案外入りやすい温度だったので、周りの風景を見ながらしばらくのんびりさせてもらった。そうしてる間も特に誰が来ることもなく、それが飯坂温泉の現在を物語っているようだった。でも湯は凄く気持ちが良い。ということで足だけ飯坂の湯を堪能して再度散策へ向かった。

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ここは大人のゾーンのようだ。レトロな店が多く惹かれるものがある

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温泉街の観光スポットである旧堀切邸に続く道。ここだけ提灯が吊るしてあって良い雰囲気

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その奥から

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そこをすぎてうろうろしていると素晴らしい造りの宿を発見した。というか道も良い
特に何にも考えずうろうろした結果、素晴らしい宿に遭遇した。まぁ実は夏休みの予定をたてていた時にこの宿に泊まろうか凄く迷ったから知ってたんだけど、それでも実物を見るとちょっと感動してしまった。一目でわかる良い宿の雰囲気だ。

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ほりえや旅館。道より少し下がったところに経っているところや、目の前に小さな神社と可愛い参道があるところも凄く私の心をくすぐる

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木造三階建ての存在感は半端じゃない

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通学路のレトロ看板も味わい深い

ほりえや旅館、聞きしにまさる良宿のようだった。個人的に建物の存在感も周りの風景も文句のつけようがなく、いつかなにがしかのアニメの舞台に使われそうな気がする。なにせすぐ横には

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飯坂温泉で一番有名であろう、共同浴場の鯖湖湯もあるのだから

この鯖湖湯の存在感もまたパワフルで素晴らしい。この一画にこの地域の歴史が凝縮されたような感覚さえ覚える(なんの知識もないけど)。さすがにここは何人か観光客もいてそれも十分納得できるものだけど、私はこの鯖湖湯に入りたい気持ちを必死に抑え、いつか来る時のための楽しみにとっておくため鯖湖湯に入る観光客をただ見つめるのみで、次に来た暁には絶対ほりえや旅館に泊まって共同浴場巡りをするぞと密かに決意を新たにしたのだった。

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ほりえや旅館のななめ向かい。こういう立派な蔵もちょこちょこあって良いけど、何よりその奥の大きな南部屋と書かれた看板が凄く気になる

鯖湖湯前あたりに甘いものをテイクアウトできる店もあって食べようかちょっと迷ったけど、やっぱりちゃんと食べようと思って鯖湖湯を後に。またふらふらと散策してみるもののよさそうな飲食店はなく、でも良い感じにレトロな物件や古い建物もたくさんあって個人的には中々見ごたえのある街だということに気づいた。次に飯坂温泉に来た時の楽しみが増えたけど、それもそういった建物が取り壊されていなければの話だ。

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夜な夜な文豪が飲みに来ているであろう店も(適当)

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立派な蔵や建物もよく目につくけど、住んでいるのかわからないところも多い

と、周りをキョロキョロしながら歩いているといつの間にか駅近くまで戻ってきてしまったので、ここらで食事処を探していると営業中のラーメン屋を発見。もうここでいいかと入ったけど、正直我ながら昼にラーメンを食いすぎだと思いながらの入店だった。

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万来さん

中は狭めだけど客の入りはそこそこ。何のラーメンを頼んだのかも忘れたし写真も撮ってないけど、感想としてはうまくもないしまずくもないといった感じの普通のラーメンだった。それでも特観光地価格ではなにところと、なにはともあれ腹一杯にもなれたのは良かった。店の人の感じもよかったです。

腹一杯になったところで今日の宿へ向かうため飯坂温泉を後にして、山と田んぼしか見えない気持ちの良い道を進む。晴れていればもっと気持ちよく走れるだけにそこは残念だし、これから恐らく山に入っていくことになるから残念な上に心配である。

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まぁ小降りなんだけど

こんなような道を山に向かってどんどん突き進んでいくと十字路にでて、どうやらそこを右に曲がってまっすぐ行けば宿に着くらしい。雨は山に近付くにつれて少しずつ強くなってきていて、これから本格的に山に入っていくのに最悪なコンディションだ。山の坂道を雨に濡れながら原付で走るのは物凄く嫌なものなのだ。

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ここを右折。特に宿への目印のようなものはない

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そして山道へ

道は舗装されているものの場所によっては一車線分くらいしかないようなところもあって中々に心細い。雨は更に強さを増しているし、地面には雨の影響で細い川のような流れができている。幸いなことはそこまで傾斜がきつくないところだけど、私の愛車の状態を考えるとなるべく安全運転で行くしかなく、宿までの道は実際よりも長く感じた。

途中工事関係者がいたことで少しホッとしながらズイズイ進んでいくと、段々とちょっとした広場やら人の香りのする何がしかがあったりして、そこを抜けるととうとう宿に到着した。そこはまさしく道の終わりで、左右に奥までずぅっと並んでいる木立の奥に、その木造の宿は噂にたがわぬ秘境感を醸し出していたのだった。

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森を抜けるとそこは宿だった

なんとも言えぬこのワクワク感。千と千尋でトンネルを抜けたら異世界だったシーンのような感覚を覚えるくらいの素晴らしいシチュエーションで、雨も今この瞬間だけは良いアクセントになっている。そんな感慨にひたりつつ、ともかく私は原付を駐めて宿へ向かったのだった。

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到着!微温湯温泉二階堂!

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山奥にこれほど渋い旅館が一軒だけというのが最高すぎる!

良い建物なんだけど雨が降っていたのでさっさと荷物をもって宿へ。手前の長屋風の部分はどうやら宿の人の住居スペース兼調理場のようだったのでその奥の玄関から入ると、すぐに女将さんが出迎えてくれた。

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玄関前には猫がいた。かなり人に慣れている様子

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玄関前。少しのお菓子も売っている

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日本秘湯を守る会会員の宿なのでいたるところに看板が

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雑多な感じが良い味だしてる。今になって右の立て札の内容が気になった

女将さんは笑顔で愛想よく出迎えてくれたんだけど、想像してたよりも若い女将さんだったのでちょっと驚いてしまった。更に話してみると少し天然ぽいところもあってなんだか愛嬌のある女将さんだ。適当な会話もそこそこに、部屋まで案内してくれた。

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玄関を左に行くとここに出る。立派な提灯の雰囲気が良い

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その反対側。向こうは温泉のようだ

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提灯横の階段を上ったところ。置かれたまんまの掃除機もポイント高し。こういうところはこういったユルさが似合うのだ

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貼り紙。湯治場らしく、ちゃんと昼食も食べられる

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外観通り、内観もまた素晴らしい

私の部屋はこの廊下の一番手前の部屋だった。部屋は当然鍵付きのドアがついているわけものく障子のみ。早速居心地良さそうな空気に私は既に大満足だった。

部屋に通されると女将さんが温泉や夕食の説明をしてくれてすぐに退散。必要以上に干渉してこないスタイルのようで、案内されてすぐに私の自由時間が始まった。とりあえず休憩しながらあたりを観察してみる。

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部屋の様子。十分に広い

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ちょっとぶれてるけど反対側

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ちゃんとテレビがある

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蚊取り線香も完備。やはり虫が多いんだろうか

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木造なのでこれは致命的な原因になりかねない

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机の上

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アメニティも浴衣・歯ブラシ・タオルセットと必要十分揃えている

宿自体は古めかしいものの、内部はしっかり掃除がされているようで綺麗だった。障子は破れていたり黄ばんでいたりがこういう宿の常だけど、ここはしばしば張り替えているようで綺麗な障子紙が貼られている。低いところにところどころ補修跡があるけど、それは恐らくあの猫の仕業だろう。補修も大変そうだ。
それにしても二日連続でこういった昔ながらの湯治宿にとまれるというのは、自分の選択ながら凄くありがたいし楽しいことだ。今の所宿の造りとしては前日の鎌倉温泉の方が好きだけど、ここもかなり良い空気感を漂わせる宿には間違いなし、湯治場感で行ったら鎌倉温泉よりもこちらの方が上だろう。ここで今まで宿泊してきたお客さんたちによってこの雰囲気が作られている部分も大きいと思うし、そんなことに思いをはせるのもこういう古い宿での楽しみ方の一つなので今日は色々と楽しませてもらおう。

休憩しながらとりあえず早めに明日の宿をとっておこうと思いスマホを取り出すも、電波が非常に不安定だった。電波がないことはないんだけどもはや使用不可能なレベルなで、窓付近に行ってもそれは変わらない。
「これじゃあ宿の予約ができないじゃないか!」と思いつつ何度も電波がくるように工夫していると、一瞬だけ電波がよくなったのでその隙をついて宿に電話してみると「今ボイラーが壊れていてお休みさせてもらってるんです」と言われ撃沈し、その後再び電波がよくなることもなかった。なのでとりあえず宿の探検でもしながら噂の温泉に入ることにしたのだった。

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私の部屋のある側の反対にも客室があった。ここは窓の上部に奥まで針金が渡してあってそこでタオルを干すんだけど、それがまた情緒的で良い

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トイレも結構綺麗にしてあった

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一階の客室廊下。少しだけ宿泊客がいる?

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この宿の歴史を偲ばせる一品。鳥山明の顔みたい

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階段を降りてまっすぐ行くと浴場。そこまで一本の廊下が伸びている

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その途中にある洗面所。ドライヤーありは嬉しい

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その横にあるロッカー。宿泊客のためなのか、日帰り客のためなのか、微妙な場所にある

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その途中には自炊スペースが。洗濯機もあるので後で使わせてもらおう

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廊下より宿泊棟側。普通に干してあるタオルも良い感じ

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最初ぶつけました

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その先にはトイレや洗面所があった

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どうせならこっちにドライヤーが欲しい気もする

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そしてその先がシンプルな脱衣所なのでした

たまたまなのか宿泊客が私一人だけなのか、とにかく嬉しいことに貸切状態で温泉に浸かれそうだ。まぁこんな天気の日、しかも平日に日帰り入浴でここまで来る人もいないだろう。ということでさっさと服を脱いで浴場へと躍り出た。

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おお!これが噂に名高いぬる湯!

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源泉の出方がすごい!

浴場はほとんどが木造で雰囲気よし。ドアを開けていきなり階段なんだけど左側にはお手製の手すりがあるので老人でも安心だ。床には滑り止めのマットなんかも敷いてあるし、事故防止に積極的に取り組んでいる様子。
しかしそんなことよりも何よりも、浴場に入った瞬間から聞こえる「ドドドド」という源泉が勢い良くパイプから放出される音には驚いた。浴槽も結構深くて広いのに、そこから常にザバザバと温泉がオーバーフローしていて、床は乾く暇もなく湯が流れ続けている。こんなに豪快かつ贅沢な、悪く言えばもったいないと言えるような温泉は初めてかもしれない。こんな豊富に湧出している温泉が、他に使い道もなく男湯と女湯にだけで使われているんだから。

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ブレてるけどソープ類は揃ってる

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掛け湯禁止です

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分析表。俗伝効能という表示は初めてみた

掛け湯は禁止ということですぐにシャワーで体を洗って、まずは奥にあるポリ浴槽から入湯。手前の浴槽は源泉そのままなので宿の名前にある通り微温湯なんだけど、ポリ浴槽には加温された湯が入っている。これがまたちょうど良い温度で気持ち良く、そこでしっかり温まった後に本命のぬる湯へと移動した。

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このオーバーフローが凄い

ぬる湯とは言っても結構冷たいところもあるのでちょっと気をつけつつ足を入れてみる。
「お、割と冷たいか?」「いや、そうでもないか・・・」とちょっと判断に迷う温度だったけど入れない温度ではなさそうなのでスルーっと全身入ってみると、完全に温まった後なのでやっぱりちょっと冷たい。けど少ししたらすぐに慣れて、体感としては微妙に入りやすい温度のプールくらい(わかりにくいですが)だった。
そしてそれがなんとも絶妙な温度で、別に冷えるでもなく温まるわけでもなくて、それが凄く気持ち良すぎるためにこのぬる湯から出られなくなるという魔性を孕んでいる湯だった。しかも浴槽が少し深めで首まですっぽり埋まるので、誰もいないのをいいことに「でぁ〜〜〜」と唸りながら誰はばかることなく満喫できるのがまた素晴らしい。この湯は酸性泉なので肌に心地よい程度のピリピリ感も加わり、温かい方の湯と交互に入りながら結局一時間以上楽しんだのだった。

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これは非常に良い湯であった

その後は部屋に戻り休憩は続く。というか休むことしか許されていないような場所なので当たり前なんだけど。

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帰り際自炊部屋へ寄ってみた

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近くに渓流魚が釣れる川なんかがあったらここで自炊するのも良い

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部屋前の窓からの風景

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雲の流れが早いのでたまに晴れ間も見えるけど、それも一瞬で終わる

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でも雨音は好きなのでこれも十分楽しめる

部屋に戻っても電波は相変わらずなので調べ物だとか宿の予約はできない。宿の予約だけは少し問題だけど、でももともとスマホで動画を見たりする方でもないので特に問題無し。むしろこれでこの環境を存分に味わえるというものだ。

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とりあえずタオルを干しておく。滞在中、このタオルを干している風景が凄くお気に入りになった

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なんとなく廊下の奥へ。ここは探検しがいのある宿で良い

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一階の廊下(?)。完全に物置っぽくなってるので行くのはやめておいた

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でも二階も物置っぽくなってる

廊下を奥に行くに従って段々古さが増しているようで、物置っぽさも比例して増している。まぁ物置っぽいのは別として、どうやらこの宿は三棟の建物がつながった造りで、それも奥の茅葺きの建物が明治初期、私が泊まっている中央の建物が明治30年、そして宿のご夫婦が住んでいるであろう手前の建物が大正に建築されたということで、時代の事なる建物が繋がっている構造らしいのでそれも納得だ。建物と建物の境界を跨げば歴史の濃さが変わるという非常に探検欲がわく構造だけど、この先は後々の楽しみにとっておくことにしてさらにちょっとブラブラした後部屋に戻る事にした。

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一階の廊下

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公衆電話があったので後で宿の予約に使ってみよう

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空は少しの晴れ間

夕飯は18時で、その時間になると女将さんがわざわざ知らせに来てくれた。どうやら飯は部屋食ではないらい。ついていく途中「中々起きてこないお客さんもいるから大変」と笑っていたので、もう連泊するお客さん達とは顔なじみな関係なんだろう。なんとなく温かみを感じた。
部屋食ではないということは夕食は一階の食堂かと思ったけどそうではなくて、ちゃんと個室が用意されていた。それがなんとも時代を感じさせる風景だったのですっかり気に入ってしまった。

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目の前は食堂だけど、この横にある部屋が食事処だった

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そしてここがそのお部屋!

そんなに広くない一室の畳の上に置かれた膳、なんとも昔っぽい感じで新鮮だ。どうやら隣の部屋にも食事をしているお客さんがいるようで、泊り客は私一人ではないらしい。静かな中でカチャカチャと隣の人の食器の音がする中、私も早速食事にありついた。

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ううむ、なんか渋くて良い

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これが夕食。魚は確か焼いたイワナに味噌をのっけたもの

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こっちは鴨肉の陶板焼きと桃

写真で見るとなぜか量が少なく見えてしまうのは毎回不思議だけど、これでも十分に量があった。ちょっと甘めの味噌が乗ったイワナもうまいし、鴨肉もうまい。湯治場らしく野菜が多めみたいだけど、それらもまた良い味だった。桃は夜食用に買っていたので夕食に出るとは全く想定外だったけど、柔らかくて甘くて私の買った固い桃よりも食べ頃だったのでとても満足したのだった。

食後夜風に当たるために外に出てみた。フロントの奥では女将さんと、今初めてみた旦那さんが食事をしていたので「ごちそうさまでした〜」と一声かけてから外へ。この夜の静けさと空がまた良かった。

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私のバイクも女将さんのご好意でギリギリ軒下に駐めさせてもらっている

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ぼーっと座ってると飼い猫がやってきて

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私と一緒に外を眺めてくれた

ここの猫達(計3匹いた)は本当に人懐っこくて癒される。なんか目の病気っぽい猫もいたけど、こんな環境なら猫も結構幸せなのかもしれない。私は一緒にのんびりしてくれた猫が去った後、とりあえず温泉に向かうことにした。

温泉には一人おじいさんが入っていて、その人が「夏は目の〜〜(よく聞き取れなかった)で地元の小学生が沢山くるよ」と言っていた。ここの温泉は眼病に効くと言われてるそうなので、地元の小学生も遠足がてらその効能にあやかりに来たりするんだろうか。学校行事だったらあの道をバスが通れるとは思わないけど、とにかく楽しそうで良い。とまぁ他に色々話をして部屋に戻った。

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二階にあがったらこの黒猫と白猫が飛んでる蛾を捕まえようと奮闘していた。ちなみに廊下には数は多くないものの普通にカマドウマとかがいます

その猫達の奮闘をみながら一緒に遊んだりした後部屋に戻ってのんびりしていると、部屋の前から「にゃ〜」という鳴き声が聞こえ、いつまでも鳴いているので障子を開けてみると、さっきの白猫がするりと煙のように部屋に入ってきた。どうやら部屋に入れて欲しくて鳴いていたようだ。

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嬉しいお客さんがやってきた

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私が座ると一目散に膝に乗ってきた

うちでは猫を飼っていないのでなんだか新鮮で可愛くて嬉しかった。ときたま部屋をうろつき回ったりしてもその後決まって膝に乗ってくるので私もあまり動くことができず、猫がリラックスしている中私も読書をしたりして過ごした。足に猫の暖かさを感じながらの読書はそれはもう素敵な時間だった。

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おとなしくて可愛い子だ

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そしてその後布団で寝始めた

しばらくするとまた歩き回り、今度は布団の上で寝始めたので私はその隙にまた温泉に浸かりに行き、その帰りに公衆電話で宿の予約を試みたんだけど、これがどういうわけか電話が通じなかった(なんの音もしなかった)ので壊れているんだろうと少し落胆して部屋に戻った。
すると猫は相変わらず布団の上で寝ていたので、起こすのも可哀想だと思って私もその横で寝ることにした。幸い夏だったため掛け布団はいらないくらいだったのでちょうど良い。この宿に泊まって、期せずしてこれが生まれて初めての猫との就寝となったのだった。(凄く可愛かったです)

朝目を覚ますと相変わらず横では猫が熟睡中。なのでまたその隙に温泉へと向かう。書き忘れてたけど温泉は夜22時までで朝は何時からでもということで、私が起きたのは大体6時くらい。まぁ大丈夫だろうと浴場へと向かい、無事入浴できてそのまま1時間くらい入っていた。いやぁやっぱりここの温泉は気持ち良い。朝から最高の気分だ。でも外は大雨。今日はどうなることやら。。

朝食は7:30からで、やっぱり女将さんが呼びに来てくれたのでまだ寝ている猫を置いて食堂へ。食堂には昨日浴場で会ったおじいさんが先に食べていたので軽く挨拶したけどすぐに食べ終わっていなくなったので、撮影しつつ食事にありついた。朝もまた静かな食事だった。

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食堂。この大きな地理が描かれている紙の下に朝食が隠されていた。紙は記念に持ち帰りました

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部屋用ポットだろうか
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反対側

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亀?のオブジェ

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こういうのが置かれているのは初めてだ。なんとなく嬉しい

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そして朝食

温泉卵がついているのでその時点で既に満点なんだけど、その他おかずももちろん美味しかった。基本的に私はご飯は一杯しか食べないんだけどしっかりお腹一杯になることができて大満足。別に急いでもいないので、とてもゆっくりとした朝食となった。

食後部屋に戻ってみるとある事に気付いた。閉めた障子の下の方が数枚破れている!
「まさか、知らぬ間に俺が蹴破ったりでもしたのか・・・」と一瞬思ったけど、障子を開けて入ってみると猫の姿がない。「あいつ!」と全てを悟った私だったけど時既に遅しで、部屋の奥の小さな引き戸の紙までも破って姿をくらましてしまっていた。「猫を招き入れたのは自分だから、もしかしたらお金を請求されるかもしれないぞ・・・」「いや、黙っていれば発見は遅れるから大丈夫かも・・・」とか色々よくない事も考えたけど、もうどうしようもないのでとりあえず考えるのはやめて再び温泉に入りに行って、それから昨日行かなかった一番奥の建物の探検をしに行った。

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一番奥の建物もやっぱり一部物置き感がある

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更に上に行く階段があったので登ってみると

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そこは天井低めのくつろぎスペースのような部屋だった

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あまり使われてる感じはしないけど、ちゃんと掃除はされているようだ。ここはどういう時に使うんだろう。というか来て良いんだろうか

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奥には神棚と古めかしいポスターが。こういうポスター好きなのでちょっと欲しかった。フォントと褪せた色がすごくそそる

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窓からは藁葺き屋根が景色にかぶさるようにせり出している。この窓辺に座ってのんびりしようかと思ったら

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端っこの方にスズメバチの巣が。。しかも現役のやつ

これにはちょっとびっくりした。他にもその横には二つほど壊れて使われていない巣があるので、代々ここに作っている一族のスズメバチなんだろう。窓越しとはいえかなり近いとこにあったのでさすがちょっと怖かった。机の上には殺虫剤が置かれてたんだけど、もしやこれは入ってきた蜂を退治するためのものなんだろうか。ここでちょっと長居したかったけど、もしものことがあったら嫌なので早めに退散したのだった。

その後、昨日と同じく夏休み子ども科学電話相談を聞きたかったけど電波もないので諦め、十分にダラダラしてから9:40分ごろ出発することに。雨はまだ降っていたので少々テンション下がり気味だけどこれも諦めるしかないので、荷物をまとめてフロントへ向かった。

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良い部屋、良い宿だったのでとても名残惜しいけど行かなければならない。しかしそれにしても障子が痛々しい

フロントに行き、さっきは障子のことは黙っていようかしらなんて考えていたものの、やはりそれも気がとがめるし宿の人にも申し訳ないので「猫が障子紙を破ってしまったのですが・・・」と恐る恐る切りだすと「ああ大丈夫ですよ、毎日のことですから」と予想外に笑っている女将さんの姿がそこにあった。私は心底ホっとしつつ「いやぁ良かった良かった、しかし毎日障子紙を破られちゃたまらないよな」とか思いながら、さっきの不安はどこ吹く風でそのまましばらく雑談させてもらった。
最後に「下に降りたら雨は止んでますかね?」と聞いてみたら「たぶん降ってないと思いますよ。いつもそんな感じですから」と行っていたので、それを信じて女将さんに充分に挨拶してから出発。女将さんが笑顔で送ってくれている中、荷物を原付に積んでいたら早くも雨がやんだので、これはチャンスとばかりに宿を後にしたのだった。

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最後に撮らせてもらったフロント。今度来るのはいつになるかわからないけど、また絶対に来たい宿だった


※今回の宿は想像以上に秘境で、HPで見るよりもよっぽど古めかしい歴史を感じる宿だった。温泉はもちろんのこと、更に猫も宿のご夫婦の愛想もとても良くて心底リラックスできる宿だった。普段こういうところでは一人でのんびりしたいと思うんだけど、なぜか次来るときはそれなりに人がいるときに来て色んな人と話をしてみたいと思った宿だった。そのときは、是非一泊以上はしたい。

これまでの肌スベスベ度(通常時★1つ)
★★★★★ ←全身スベスベ!しかし入りすぎたのか指の先が少しカサついた。さすが酸性泉だ。

ぬる湯温泉二階堂 : 一泊二食付き 10950円

  1. とむこ より:

    はじめまして、いつも楽しく拝見してます。微温湯温泉までスクーターで登りきったんですね、凄い!素泊まりで利用したので1回でしたが、次回は食事付きで2階に泊まってみたいです。

  2. ネギ より:

    >とむこさん
    はじめまして、楽しく見ていただけてるようで嬉しい限りです!
    あそこは本当に良い宿ですよね。雨の中スクーターで頑張った甲斐がありました(雨の中の山道は本当に不安になるので)。食事もとてもおいしかったので、次回行くときは二階に泊まって前回以上に満喫できたらいいですね( ^ω^)私は次行くときはとむこさんのように素泊まりで、食事は自炊してみたいと思ってますっ。

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