佐渡の旅の更新が終わってませんが、気分転換に違う旅行の更新です。 [2日目]
11月26日から二泊三日でいつもの友人と温泉旅行に行ってきました。
当日は夜中の2時30分にうちの近くのコンビニで待ち合わせだったのですが、友人の寝坊により1時間遅れての出発です。友人に朝食を奢ってもらうことで寝坊の罪は問わないこととしました。
夜中なので道もスイスイ。この日の目的地である梅ヶ島温泉は静岡なので、丹沢を超えて御殿場に出て、そこから富士山の麓を走って静岡市に入るルートだったのですが、もうめちゃくちゃに寒い。途中まではよかったのですが丹沢あたりから道路や山の斜面に雪が見え始め、電光掲示板や看板には「チェーン装備必要」「路面凍結注意」の文字が頻繁に見え始めました。途中で寄ったコンビニでホッカイロを購入し、一番冷えていた足の裏に貼って走っていたのですがなんの効果もありません。仕方ないので必死に寒さに耐えながら走り続けました。
丹沢あたり。とんでもない寒さですが富士山がはっきり見えてそれだけは良かった
「路面凍結してたらヤバイな・・」「でもとりあえず行けるとこまで行こう」などと話し合いながら、対向車でチェーンをしている車がないから大丈夫だろうと自分を納得させてそのまま走り続けました。途中友人が路肩で滑って原付共々転倒したり(原付はレンタル)、休憩のために寄ったコンビニでなぜか友人が押していた原付のアクセルを入れてしまい店に突っ込みそうになったりしましたが、(私は)無事に静岡の市街地まで出ることができました。
市街地から1号線に入り、晴れている海沿いを気持ち良く走行し、瀬名I.Cを曲がって201号に入り、この日の最初の目的地である平山温泉を目指します。この時には私も友人も体の冷えは多少はマシになっていましたが、それでも温泉に入るのを熱望していました。しかも中々の泉質らしいということで期待も高まっていました。
途中までは道沿いに民家が立ち並んでいますが、それも少しまばらになってちょっと山に入ってきたところで平山温泉を発見しました。
温泉宿や日帰り温泉施設はその立地も重要であると常々思っていますが、この龍泉荘は道からちょっと奥まった所にあり、しかも細い階段を下っていくので雰囲気も中々良い感じ。友人も「良いね良いね」とワクワクしてる感じでした。
期待に胸を膨らませつつ、玄関を開けました。
靴を脱いでいると奥からおばさんが出てきてお金を支払いました。1時間500円。あとで思いましたが、ここのお湯を楽しむには一時間は少し短かった。でもこの日のプランを考えると丁度良し。
帳場の奥は横に廊下が伸びていて、それぞれ男湯女湯がありました
外観は民家っぽいですが中はしっかり温泉施設らしい作りで、こういうのは大好きです。撮影もほどほど、早速脱衣所へ。
脱衣所に入ると何やら話し声が。風呂場におじいちゃん二名が先客でおり、楽しそうにおしゃべりしていました。私と友人も「う〜寒い寒い」とせかせかと服を脱いで風呂場へ向かい、おじいちゃん二人に挨拶して入湯しました。
待望の温泉に入ってみると、湯温は非常に適度で気持ち良い。道中あまりの寒さと路面凍結の不安から「果たして本当にたどり着けるのだろうか・・・」「自分はここで死ぬのだろうか」と本気で思いましたが、この温泉に入って一気に幸福度が上昇しました。冷えていた足先も瞬く間に回復し、友人と言葉にならない唸り声をあげていました。そんな中おじいちゃんの一人が「にいちゃん等はどっから来た?」と話しかけてきてくれたことから雑談が始まりました。
おじいちゃんによるとこの平山温泉は、最近東京の医者が療養におすすめの温泉だと紹介したということでした。このおじいちゃん自身も腰とかが悪かったりして結構ここを訪れているとのこと。そういう療養目的の人が結構いるそうです。確かになんだか効能がありそうな感じがする温泉で、友人も「(コケた時に負った)傷が塞がってる!」と効能を速攻で実感していたようですが、適当に相槌を打っておきました。
その後私たちがこの後梅ヶ島温泉に行くことを伝えると「もう紅葉は終わってきているが、あそこ等へんならまだ大丈夫かもしれない」「夕食にはきっといのしし鍋が出るぞ、有名だから」と嬉しい情報をもらい、またしばらく雑談した後おじいちゃんは風呂場を後にしました。
残された私たちは貸切状態になった温泉を独り占め。外も晴れていたので最高に気持ち良く、喉が渇けば岩から流れ出ている温泉を飲んでゆっくりしました。ちなみに浴槽は三つに分割されていて、奥側はぬる湯になっているので交互に入るのが最高でした。
私は40分くらい浸かったところで友人を残してあがり、休憩所の広間でのんびりと友人を待つことにしました。
休憩所にはさっき風呂に入っていた先客のおじいちゃんがのんびりしていました。私も窓側の席について友人を待つことにしました。
しかしここに来るまでの極寒地獄を考えると天国と地獄程の違いがあります。こんな晴れた日の冬に温泉につかって、あがればテレビの音だけが聞こえているような広間で休憩。一日中だっていられそうなほど穏やかでゆったりとした時間が流れていました。いつかこういうところに一日中居座って、温泉に入る→休憩所でのんびり本を読む、の繰り返しの時間を味わいたいものです。
そんな感じでのんびりしていると、風呂場では見かけなかった老人が私の席の横に座って、長野のお土産だという棒にささった餅のようなお菓子をくれました。お礼を言って食べていると友人が風呂からあがってきて、彼もそのお菓子をもらっていました。なんだか凄く美味しく、少しの雑談の後お礼を言って広間を出ようとすると、おじいちゃん達が「気をつけてな」と言って送り出してくれたので、更に気持ち良く龍泉荘を後にすることができました。
宿泊もできるのなら今度来る時は是非泊まりたいところなのですが、残念ながら宿泊はできなさそうです。
温泉に入った完全復活を果たした私たちは意気揚々と原付にまたがり梅ヶ島温泉へと向かいました。道を戻って再び1号に入り、千代田上土I.Cを曲がって梅ヶ島温泉へ続く道をひた走りました。時刻は13時を過ぎていましたが、昼飯ポイントまではもう少し。颯爽と走ります。
途中にあった道の駅的な建物。期待しましたがあまり売っている品は多くなかったのですぐに店をでました。
道は安倍川沿いを走りますが、上流に行くまでは石ばかりの河原が続き、しかも河川工事も行っているので渓相はよくありません。道も二車線になったり一車線になったりを繰り返すので、車の場合少し面倒そうな場所も多々ありますが、基本的には結構楽しい道でした。
途中よった真富士の里は少し残念でしたが、ここから少し走ったら昼飯ポイントの見月茶屋に到着しました。
旅行に行く前に目をつけていたお店です。新鮮なヤマメ料理に歴史がありそうな建物、行ってみない手はありません。友人も相当腹をすかせていたのですぐに入店しました。
そこから折り返してまたのぼると座敷があります。写っているのは友人
今まで見たことのない造りの建物。初めからこういう商売をするために造られた建物なのでしょうか、なんだかワクワクしてきます。こういう家に住んでみたい。他のお客さんの子供達もおおはしゃぎで店内をうろうろしていました。
座敷に入ったら適当に空いてる席に着席。時間が時間なのですいていました。
席につくとわりとすぐに店員さんがきたので、ちょっと考えてから二人とも1700円の見月定食を注文。「唐揚げはつきませんがよろしいですか?」と何度も聞いてきましたが「それでいいです」と意思の強さを見せました。しかしそんなにヤマメの唐揚げはおすすめなのでしょうか。
友人と「いいとこだなぁ〜」とのんびりしていると、やにわに部屋が煙で満たされていくのがわかりました。「めちゃめちゃ煙たくなってる(笑)」と笑っている友人ですが、どうやら一階でヤマメを焼き始めると、その煙で店内がモクモク状態になるようです。子供達も「けむたい〜」と行って座敷を飛び出していくほどの煙たさ。天井も霧がかったような状態になっていましたが、次第にそれも晴れて定食が運ばれてきました。
上の写真の他に、更に温そばがでてきます。あとはヤマメの塩焼きを待つだけですが、とりあえず食べ始めました。私は好きなものは最後に食べる派の人間なので、まずは中央にある山菜を平らげたあと全体的に食べ始めました。左上の刺身こんにゃくは、今まで食べてきたものとは大分違って、かなり粘りというか弾力というか、ちょっと丈夫なゼリーのような感触で、食べるともちっとしているこんにゃくでした。これが個人的にはかなり気に入ったので、最後の一切れは最後にとっておきました。その他のものも美味しく食べていると、ヤマメの塩焼きが運ばれてきました。
なんだか荒々しい竹串にささったヤマメの塩焼きは、まさに目玉といった風格。写真では小さく見えますが、実際は20センチ前後くらいでしょうか。パリッと焼けているので頭まで全て食べられます。早速一口食べてみると、川魚の風味がふわっと広がって、塩加減も丁度よく非常に美味しかったです。やはり私が自宅で焼くものとは全く違くて、なんだか嬉しいような悲しいような気持ちになりました。しかしやぱり美味いので私も友人もすぐに平らげてしまいました。
そして残るはヤマメの刺身。切り身は小さいですが、一口食べてみると予想外の甘みに驚きました。ヤマメの刺身というのは(多分)食べたことがなかったので、刺身だと甘みがあるとは知りませんでした。養殖くらいでしか安全に川魚の刺身は食べられないので、結構貴重な経験にりました。
腹も減っていたのですぐに平らげてしまった私たち。ヤマメ料理を堪能した私たちは少しの間休憩した後、梅ヶ島温泉に向かうため出発しました。
しかし友人とも同じ感想でしたが、ヤマメ料理はとても美味しかったのですがどうも値段に見合った満足感は得られなかったように思います。建物もよく、料理の味も良いのですが、量が少々少なめな印象。ヤマメの刺身にいたっては単品だと900円もするのに、皿に載っているのはせいぜい半身分くらいでかなり少なかったです。
ただ気になる料理が多いのも事実。ヤマメの生肝なるものや、他にジビエ料理もあったりしたので、次に来る時があればそれらを食べてみたいと思います。
店の外には野菜なども販売してました。後で思いましたが、ここで鬼柚子を買っておけばよかった。。
見月茶屋を出発し、しばらくは青空の下を走っていたのですが、梅ヶ島温泉に近づくにつれ段々と空が曇ってきてしまいました。なにせこの翌日の天気は雨だったので、山の向こうから雲がどんどん広がってきているようでした。しかし雨は降っていないのでまだ大丈夫。曇り空を少々残念に思いながらも、しばらく走った先にあった日帰り温泉施設、黄金の湯に寄ってお土産を物色しにいきました。
店内の奥には軽食が食べられるテーブル席スペースがあり、その手前にストーブがあったため友人は真っ先にそこに向かって暖をとっていました。私はお土産探し。こういうところで地のものを買うのが好きなのですが、なんの関係もなさそうな九州やら東北やらの温泉の素だとか化粧水だとかを売っているのは感心しません。結構そういうところがあるんですが不思議です。しかし良さそうなものもいくつかあり、大人のタマゴボーロなるものに非常に惹かれたのですが、持ち帰るまでに粉々になりそうだったので諦めました。
一通り見終わった後、私も少し暖をとった後に出発。今回友人は諸事情によりお土産を買えない宿命を背負っているので、お土産探しはしないのです。
黄金の湯を出発したら梅ヶ島温泉はすぐそこ。とある理由により4時前には到着したかったので少し急いだ結果、本当にすぐ到着しました。思った通り、雰囲気の良い温泉街です。
やっと到着梅ヶ島温泉。極寒の中を耐えてはるばるやってきたので達成感もひとしおです。温泉街の周りは紅葉のピークではないにせよ、それなりに紅葉らしさが残っていて良い感じでした。
しかし道路を挟んで片側が川で、もう片側に温泉宿が立ち並ぶという環境は情緒があって素晴らしい立地だと思います。しかも思ったより観光客もいなかったのでそれもまたありがたい。静かな温泉地といった感じです。
とりあえず私たちはこの日の宿である力休の駐車場に原付を止めて、まずはあたりを観光することにしました。
温泉街を流れる安倍川。川底は人工的な感じで、さすがに渓流魚はいないか?
建物が並ぶ坂の上には、梅ヶ島温泉にただ一軒の飲食&土産屋の湯元屋があります
4時前に梅ヶ島温泉に着きたいと上で書きましたが、その理由はこの湯元屋が4時に閉まってしまうからなのでした。ここはこの梅ヶ島温泉で唯一のお店であると同時に、美味しいおでんを川を見ながら食べられる飲食店ということで、どうしても行きたかったのです。写真の左側が土産屋で、右側が飲食スペースです。
店内ではご主人が飲食店側と土産屋側を行ったり来たりして一人で会計をしていました。私たちはすぐに飲食店スペースに向かい、席を確保しました。
この日はもう原付に乗ることはないので「焼酎のお湯割りでも飲もうかな」といきなりリラックスしだす友人は素敵でした。私はカジカの骨酒を飲みたかったのですが値段を見て諦め、とりあえずおでんを注文。おでんはおでんを茹でているところまで行ってそこで注文します。私はこんにゃくとガツとはんぺん、ゆうじんはたまごとこんにゃくを頼み、品を受け取って席で食べ始めました。
昼飯の時間も遅く、更におでんも食べたら夕飯が少し心配でしたが、そんなことより今はこの環境を楽しまなくてはと食べ始めました。おでんはじっくり煮込まれていて、特にこんにゃくはよく味が染みていて美味しかった。頼んだはんぺんは明らかにつみれと間違われていましたが、美味しかったのでなんの問題もありません。友人も美味しいおでんをつまみながら酒を飲めて満足顔。更に落ちたたまごの黄身の残りカスまでをも最後までチビチビ食べていました。そこまで執着させる湯元屋のおでんは100点満点です。安いのもよかった。
愛想の良いおじさんにお金を払って、次はこの湯元屋からちょうど川向こうにある湯之神社へ向かいました。神社には朱色の橋がかかっていて、湯元屋のほぼ目の前にあるのですぐに着きました。
その広場から少しだけ階段を上ると社殿があるので、とりあえず挨拶をしておきました。
この神社の反対側には、この梅ヶ島温泉の源泉が湧く洞窟風呂(入湯不可)があります。参拝も終わったのでそこへ向かいました。
後々宿の女将から聞いたのですが、ここは昔普通に入浴ができたそうですが、ここから各旅館に源泉が運ばれているため、衛生的な問題から入れなくなったそうです。今では年に数回の洞窟内の掃除の時だけ、掃除当番の人が内部に入ることができるそうな。羨ましい限りです。
神社参拝も終わったのでお次は坂を更にのぼったところにある三段の滝を目指します。滝までの距離は大してないのですが、酒を飲んでいた友人はすぐに息があがっていました。
少々小ぶりの可愛らしい滝でしたが、二段目のあたりの岩場が滝行にちょうどよさそうな窪みでもし行けたならちょっと面白そう。ここまでくると渓流魚もいそうな感じです。非常に釣りがしたくなりましたが気持ちを抑えて、次は温泉街の坂を下って安倍大滝に行くことにしました。
が、安倍大滝は私が行った時点で滝に通じる三番目あたりの橋が崩落していて滝まで行くことができない状態であることは知っていたので、せめて崩落した橋でも見ようと思い行ってみることに。友人が湯元屋の土産コーナーで買ったピーナッツのお菓子を二人で食べながら向かいました。
温泉街をすぎてしばらく下ると民宿が2件ほど立ち並ぶエリアがあり、そこにかかっている橋が安倍大滝に通じる最初の橋です。吊り橋好きの私としてはウキウキ気分でした。
吊り橋らしく多少の揺れもあり、景色も良いので始まりの橋としては中々です。友人を怖がらせるために少し揺らしたりしましたがあまり怖がってくれませんでした。
そのまま無事渡りきり、ちょっとした登山道を進むと2番目の橋がありました。しかし一目見てヤバイとわかる作りに少々たじろいでしまう私と友人。
今まで渡ってきた吊り橋の中でもトップクラスで心許ない吊り橋でした。ワイヤーはまだ新しそうなので落ちることはないと分かりながらも、実際に歩かなければならない板があまりに心細すぎる。歩いてみると板が少したわんでいるのがわかるし、どこか腐ってそうな感じもたまらなく怖い。そして何より半端じゃなく揺れる。最初に渡ったのは私だったのですが、川の上あたりまで来た時にあまりの怖さに「こりゃヤベぇよ・・・」と一旦引き返してしまうという恥を友人に見せることになってしまいました。しかし情けない姿をこれ以上見せられないので意を決して渡りきりました。
後から続く友人も「怖ええぇ〜」と中腰になってワイヤーを掴みながらゆっくり渡ってきました。情けない姿ですが、それ以上に情けなかった私には彼を笑う資格はありません。無事渡りきった友人と恐怖を共有しつつ、更に先へと進みました。
途中から木道となり、道の両端が崖になっているところを抜けると、そこはもう手すりすらもなく人一人がとても慎重に歩いてやっと通れるような道になってしまったので「こりゃあ無理だよ」「もう道ではない」と友人と意見が一致したところで引き返すことに。辺りもすでに暗くなってきていたのでちょっと急ぎめで恐怖の橋を渡り、チェックインするために宿へ向かいました。
宿へ向かう途中、チェックインの時間が遅れているのを心配して宿の女将さんから電話があったので、さらに急いで宿へ。暗がりの温泉街も中々味がありました。
力休は温泉街の一番手前に建っているのですぐに到着しました。玄関を入り女将さんに遅れたお詫びをしたところ、快活な女将さんは大して気にした様子もなく、優しそうな旦那さんも「いらっしゃい」と笑っていました。少し雑談して部屋に案内してもらいましたが、女将さんはやっぱり明るい人で温泉や夕食の説明なんかをしながら色々と話しかけてくれる楽しい人で非常に好印象。やっぱり民宿はこうでなくちゃいけません。
部屋にはコタツがあり「寒くなってきたから今日から出したんよ」と女将さん。運がよかった。温泉街でコタツ、良い組み合わせではないですか。
こじんまりした宿なので部屋も大して広くありませんが、大人二人でも十分な広さです。早速コタツに入った私たちにお茶を注いでくれながら雑談に花が咲きました。「何時に着いたん?」という女将さんに、4時前について色々と観光した後安倍大滝方面に行ったと話すと「あそこは橋が崩落してるから看板が出てていけなかったろ?」と言われ、一つ目の橋の手前に看板はあったが道を封鎖はしてなかったので渡って行ったと返すと笑っていました。どうやら今は一つ目の橋から既に渡ってはいけなかったようです。
「二つ目の橋は本当に怖かった」と告げたら「あたしもあそこは怖いから行かないね」と言っていましが、昔は二つ目の橋まで自転車で行けるようになっていたらしく、女将さんの娘さんは小学生のころ自転車であの恐怖の橋を普通に渡っていたとか。とんでもない肝っ玉の持ち主です。
そんな風な雑談をしばらくした後、温泉街をしばらく下ったところにある赤水の滝のライトアップの話になりました。実はこの梅ヶ島にある赤水の滝という大きな滝で今年からライトアップイベントを始めたようで、折角なので私たちも行こうと思っていたのです。その滝までは温泉街から無料の送迎バスがでていて、私たちが一番丁度よく乗れそうな時間が18時45分発のバスだったので「じゃあ6時ちょうどに食べられるようにするから、夕食前に風呂に入っといで」ということで友人と風呂に向かうことにしました。ちなみにライトアップイベントはこの女将さんも含め、ここら辺の人たちはあまり興味がないようです。はっきりしていて面白い女将さんです。
アメニティもしっかりチェック。浴衣、羽織、フェイスタオル、歯ブラシがありました。
階段をあがって正面。まっすぐ行くと私たちが泊まった部屋があり、左にはトイレ、右は
小さい宿なので他のお客さんと入浴時間がかぶることはあまりないそうな。そんなわけで貸切にできるのは嬉しいのですが、さて風呂場は一体どういう感じなのか。いざ脱衣所へ。
脱衣所は二人でいっぱいな程度の広さ。以前泊まった七滝荘の脱衣所を少し広くしたくらいの広さです。「これは浴槽も小さいな」と思いつつ風呂場へ向かうと思った通りの広さでした。
浴槽は大人二人でいっぱいくらいの広さ。そしてシャワーは1つなので、脱衣所のことも考えると完全に二人用として作られているようです。先に入って体を洗っていた友人の後ろで掛け湯をしていざ入浴してみると、少しヌルっとした浴感で肌に染み込むような感覚が非常に具合が良い。脱衣所の壁に「硫黄泉のため浴槽内は滑りやすいよ」という旨が書いてあったのですが、その通りに浴槽内もヌルッとしていました。浴槽は確かに小さい
けれども気持ちの良いお湯なので浴槽の大きさなどは大した問題ではありません。足も普通に伸ばるし。友人共々大満足でした。
風呂に入るまえの色々なチェックでドライヤーがないことが判明していたので、それを友人に伝えたところ「女将さんに聞いて見る」と言って風呂からあがっていきました。私もしばらく温泉を堪能した後上がると既に女将さんが夕食を用意してくれているところでした。ドライヤーも借りられたようです。
どれも美味しそうな料理たち。しかも今回は一人につきビール一本がつくプランで泊まっていたのでビールつきです。私は普段ビールは好んで飲みませんが、風呂上りのキンキンに冷えたビールだけは本当に美味いですね。友人は酒を飲んだら飯を全部食えないということで後で飲むことにしたようです。何せ私たちのモットーは、出された飯は食べきる、なのですから。
さて、食べてみるとどれも美味しい料理なのですが、平山温泉でおじいちゃんに言われた通り鍋はイノシシ鍋が出てきました。大体イノシシ鍋とかは夕食にプラスする特別料理的な形で提供する宿が多い印象だったので、こうして普通に出てくるとは思ってなかったのでとても嬉しかったです。当然イノシシ鍋は美味しく、臭みも全くないので普通の豚のように食べられましたが、やはり脂身は豚とは違う感じでした。もちろん良い意味で。
天ぷらなんかも暖かい状態で出てきたし、里芋も皮ごと食べるという初体験を経て夕食は終了。とても美味しくいただきましたが、遅い昼飯+おでん、そして夕食という畳み掛けるような食事ラッシュに胃袋は悲鳴をあげていました。しかしそれでも完食したという達成感の中、もう少しで出発するバスに間に合わせる為急いで着替えをして女将さんに見送られながら宿を出ました。
バスの出発時間は18時45分、そしてこの時の時間は18時42分ほど。まだほんのちょっと余裕があったのですが、宿を出ると今まさに私たちの目の前を通り過ぎようとするバスの姿が。「おいおい行っちゃうぞ!」と笑っている私を尻目に、友人がタクシーでも止めるかのような感覚でバスを止めてくれたので無事乗車することができました。
急に止めたにもかかわらずニコニコして丁寧に乗車させてくれた運転手さんと添乗員さんに感謝しつつ席に座ったのですが、なんと乗車している客は私たちだけという状況でした。他の梅ヶ島温泉に宿泊しているお客さんたちは違う時間帯に行く予定なのかはわかりませんが、このバスも乗客がゼロだったので多少早めに出発したのでしょう。これはこれで貴重な体験でした。
バスに揺られる事10分ほどでライトアップ会場に到着。正直乗客ゼロだったので会場も閑散としてるかと思いきやそれなりに人がいました。梅ヶ島温泉以外からもちょこちょこ人が来ているようで、案外若者もいたりしていたので一安心。閑散としているイベント会場ほど悲しい光景はありませんから。
会場ではカレーうどんやおしるこ、鹿串などその他いろいろ販売していましたが、腹が一杯すぎる私たちはそこはスルーしてライトアップ会場に向かいました。
先ほどの飲食ブースでは割と人がいましたが、こちらの滝まで続く道はかなりガラガラでした。紅葉もピークを過ぎたからか、まだ時間が少し早かったのか遅かったのかわかりませんがとにかくスキスキの道を友人と歩きます。こういうところに野郎だけで来るというのももはや慣れっこです。
ライトが示す道のりを歩いて行くとすぐに滝に到着。かなり道から近いところにあるんですね。しかしその水量と迫力は本物でした。
正直こんな立派な滝とは思っていなかったので驚きました。しかも他に見てる人もいないので独占状態でじっくり見物することができました。滝というのはずっと見ていても飽きないのが不思議ですね、友人もずっと見ていました。紅葉ももっとはっきりした色だったら更に綺麗だったことでしょう。ライトアップもかなりしっかりしていたので楽しかったです。
しばらく見ていると人も少しずつ増えてきたので移動すると、奥の方で可愛らしいライトが道を飾っていました。
色とりどりで可愛いライトの出現に「おお、綺麗だな〜」「可愛いライトである」と喜んでいたら、係りの人が色々説明してくれました。このライトはソーラー充電で光っているらしく、数十分前まではもっと数があったが、充電が切れてきたので今は半分くらい回収してしまった、ということでした。このライトは係員さんが所属しているエコ系の団体が企画して設置したみたいで「是非このライトの事を宣伝してください」と言われたのでこの場でもって宣伝したいと思います。
しかしキラキラと様々な色のライトが沿いに置いてあるのは中々幻想的で可愛らしいですね。友人なんかはあまりに気に入ったので「これ売ってるんですか?」と聞いてしまうほどでした。まぁさすがに売ってるわけはないんですが、確かに売っていたら欲しいのはわかりますね。しかし惜しむらくは、ここに一緒に来ているのが野郎というところでしょうか。でも実に綺麗でした。
その後フラフラと散歩した後飲食ブースに戻り、腹が一杯ながらも密かに目をつけていた鹿串(一本百円)を注文したところ「もう終わっちゃったよ」「生(の鹿串)ならあるよ」と言われたので諦めました(あるなら焼いてくれよと思いましたが)。その後無料のお茶をいただいた後、かえりのバスまで少し時間があったのでおしるこを注文してテーブル席で食べながらバスを待つことにしました。
白玉かと思ったらちくわぶみたいな餅だったので腹が死にそうになりました。美味しかったですが。
おしるこを食べ終わったら丁度よくバスがきたのでそのまま帰還。帰りも客は私たちだけでした。
温泉街に到着すると、ライトアップ会場にいる時から「コーラが飲みたい」と訴えていた友人のため自販機を探したのですが見つからず、(友人だけ)肩を落として宿に戻りました。宿に戻って女将さんに「なかなか良かったですよ」と感想を告げると、ライトアップイベントを始めるにあたって開かれた会議や他地区とのやりとりの話などを聞かせてくれて面白かったです。こういう地元の話は私の知らない世界を覗かせてくれるので大好物。しかしそんな中コーラを諦めきれない友人が「ここらへんに自販機ってないんですか?」と聞くと「ああ、上のバイクンロウって宿の前に一つだけあるけど、コーヒーばっかだよ」と教えてくれたので、コーラがあることを祈って再び宿を後にしました。
自販機には無事コーラがあったので友人は二つ購入し、私はファンタを買って宿に戻り、それからはまた温泉に入ったり雑談したりして就寝しました。
翌日は7時くらいに友人が「ねぇねぇ、起きて、ねぇねぇ」としつこく叩いてきたので目が覚めました。窓の外は明るく、雨は降っていない模様(昨晩は雨が降っていました)。とりあえず眠たい目を完全に開かせるために風呂に入り、8時から朝食となりました。
ごはんはひえごはんで、見月茶屋でも食べましたが味があって美味しく、何より私の好きな甘露煮もあるのでどんどん箸が進みました。たまごは温泉卵ではありませんでしたが全て美味しくいただいて完食。
食後は外に散歩に行こうと友人を誘ったのですが「寒いからいいよ〜」と二度寝する気満々だったので、一人で温泉街を散歩してくることにしました。
私は浴衣に羽織姿だったのですが案外寒くなく、しかしピリッとした冷たい外気が気持ちよく感じました。天気も次第に晴れ模様に変わってきて、山側にかかる霧が美しい。山の中の温泉街というのはいろんな意味で空気が違って旅情を感じます。
川の音だけが聞こえる温泉街を、とりあえず湯元屋方面に川沿いを歩きながら向かいました。
湯元屋は9時から営業ということでお店のおじさんも開店準備を進めていました。私はどうせだから湯元屋の日帰り温泉に入ろうと思っていたので、散歩しつつ開店を待ちました。
散歩をしているとまだ9時前だというのに観光バスがきて観光客がゾロゾロ降りてきたり、その他車で来た観光客もちらほら見えだしました。湯元屋もそれに合わせてすぐさまオープンし、街が動き出すのを感じます。時間ももう9時になろうというところだったので、日帰り温泉に行く前に一回友人を誘ってみようと思い宿に戻りました。
宿に戻ると友人はやっぱり寝ていて、とても動けそうになかったので一人で湯元屋へ。湯元屋のおじさんに「日帰り入浴お願いします〜」というと「まだお湯が溜まりきってないからかさが少ないけどいい?でも一番風呂だよ」と返ってきたので迷うことなく首を縦に振り温泉に向かいました。
一番風呂というのはいつでも気持ちが良いものですが、外にも土産スペースにも割と人がいたので人が来ないうちに急いで湯に浸かりにいきました。
その反対側には浴場です。このドアの手前に洗面所があり、ドライヤーもありました
確かにお湯は半分ほどしか溜まっていませんでしたが十分に入れそうです。体は宿の風呂で洗っていたので軽く掛け湯して入りました。
ここのお湯は源泉に一番近いためか宿の湯では感じられなかった硫黄臭がしっかり感じられ、さらに湯の花も大量に舞っていました。当然源泉掛け流しですが、このフレッシュなお湯の、更に最もフレッシュな状態に入れるというのはとても幸せ。しかも貸切状態なので岩から流れてくる源泉を眺めながら静かに温泉に入れるのは至福と言っていいでしょう。素晴らしいね、梅ヶ島温泉。
そんな風に至福のひと時を過ごしていたらおじいさんが一人入ってきました。沼津から来たというこのおじいさんとひとしきり雑談を楽しんだ後風呂から上がり、まだ客のいない飲食スペースを広々使っておでんをいただきました。
浴衣姿で風呂上りにおでんを食べる。しかも外にには流れる川と紅葉が見え、うるさく耳に入ってくる音もない。とても贅沢な時間でした。次にくる時には是非2泊くらいして、朝からここで酒を飲んだり昼は釣りをしたりして過ごしてみたいものです。私はすっかりここが気に入ってしまいました。ただ一つ我儘を言うならば、湯元屋がもっと夜遅くまでやっていたら、梅ヶ島温泉の夜ももっと楽しめただろうにとは思いましたが。
長居したい気持ちを抑えてお会計。店のおじさんも「ありがとうね〜」と笑顔をくれました。少し話をしましたが、どうやらここは15年間この温泉+土産+飲食のスタイルでやっているそうな。じゃあ15年より前は一体どういう感じだったのか、ちょっと気になるところでした。
その後宿に戻って友人をたたき起こし、宿の会計をすませて次の目的地へ向かいました。空は天気予報を無視して晴天。このまま持ってくれることを祈って出発です。
※今回行った梅ヶ島温泉、静かな温泉地という言葉がぴったりな、とてもゆっくりできる場所でした。温泉に川というのは私の大好きなシチュエーションなので、かなりここが気に入ってしまいました。娯楽施設やコンビニなんかはなく、市街地までも4、50キロほどありますが、その分日常を離れた素敵な時間を過ごすことができました。更に今回泊まった力休も、この記事では書ききれていませんが色んな部分で親切にしてもらい、面白い話も沢山聞かせてくれました。梅ヶ島温泉と力休、行ってよかったです。また行きます。
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楽しく読ませていただきました!ちなみに、おでんのはんぺんですが静岡では黒はんぺんをはんぺんと言うので間違いではないです。白いふわふわしたやつはあまりおでんに入っていません。
梅ヶ島温泉、先日堪能してきました。力休さんのお隣の湯の島館にお世話になりました。また静岡の温泉に来て下さいね!
静岡民さん、コメントありがとうございます!
なるほど、私ははんぺんといえば白いふわふわした奴というイメージだったので勉強になりました。明らかにつみれとか書いてて恥ずかしい限りです。。
梅ヶ島温泉良いところですよね、あそこは私もまた行きたいと思っています。静岡民さんも堪能されたようで本当に良かったやら嬉しいやら、というか湯の島館が凄くお洒落な宿みたいで羨ましい限りです。
静岡はまだ行きたい温泉地や温泉宿が結構あるので、いずれまた静岡にお邪魔させていただこうと思います!