[新潟] 妓楼に泊まろう! 当時の匂いが感じられる歴史宿 金沢屋旅館 [佐渡]

新潟

夏休み佐渡への旅三日目です。 [2日目] [4日目]

宿に着いたところから読みたい方はこちら

この日は7時30くらいに宿を出発。佐渡へ渡るために12時代の船に乗らなければならないので早く出たのですが、それでもこの時間の出発は早い。実は佐渡汽船の近くの建物でジブリのレイアウト展がやっていたのでそれを見るために早めの出発にしたのでした。

宿を出発後、非常に川幅のある信濃川沿いを走る。信濃川っていうのはこんなに広いのかと少々びっくりしながらも太陽が燦々と輝く中気分は爽快。しかし山側はちょっとヤバそうな曇り空で不安がよぎりました。

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市街地へ出たのでとりあえず朝飯にすき家の牛丼を食べたかったのですが、いかんせんすき家がどこにあるのかわからない。というかすき家があるのかもわからない。しかしお腹は空いている。ということでコンビニでチキンんを食べそれを朝食として再び走り出したらすぐにすき家発見。朝からついていません。
しかたがないのですき家をそのままスルーして走っていたら、どんどん曇り空の方に向かっていく。これはマズイな、と思っていたら本当に雨が降ってきたのでカッパに着替えてまた走っていたのですが、大きな十字路に出たところで問題が発生。そのまま真っ直ぐに走っていけたら佐渡汽船のある新潟港まで簡単だったのですが、目の前には自動車道の看板が。おいおいマジかよ、と思いながらも雨は結構激しく降っていたのでとりあえず近くのコンビニに避難し、屋根のあるところでルートを選んで雨雲が去ったのを見計らって再出発しました。この旅の中自動車道に再び苦しめられることになるとは知らずに・・・。

そんなこんなで10時くらいには新潟港に到着。空はすっかり晴れて気持ちが良い。船旅は楽しめそうです。

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カーフェリー車乗り場

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原付は船に乗せていくのでそのままカーフェリー車乗り場へ。船でどこかへ行くというのは本当に久しぶりなのでちょっとどきどきでしたがそんな旅も楽しいものです。ワクワクドキドキな気分のままチケットを購入し(案外あっさりでした)、日差しが強かったので日陰に原付を駐めたあと、すぐ近くなので歩いてレイアウト展をやっている建物まで行きました。

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チケット売り場。この写真の真横に自販機が多数置いてある休憩スペースもありました。

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レイアウト展は大人に混じって子供も結構来ていました。場内は当然撮影禁止なので写真はありませんが、展示物は初期から現在までの様々なレイアウトの実物が飾ってあり、それぞれの映画の有名なシーンから何気ないシーンまで沢山のレイアウトがずらり。ジブリは大好きなので、その製作過程の一部をこうして間近で見られるのは本当に生唾ものでした。中でも魔女の宅急便で、キキが建物の前を箒で飛んでいくシーンのレイアウトの大きさには本当に驚きました。畳数枚分はありそうなほど大きな紙に書いてあるあのレイアウトを見て、「小さい紙に描いてるだけじゃないんだなぁ」とため息まじりに思いました。そんな風にじっくり一枚一枚見ていたのですが、あと数十分で乗り場にいなきゃならない時間に近づいてきたのでなくなく撤退。
当初は「そんなに広い展示会場でもないだろう」とたかをくくっていたのですが思った以上に広く、また展示物も非常に沢山だったので時間配分を間違えてしまいました。私みたいな一枚一枚じっくり見る人間だったら、4~5時間くらいかかってしまうのではないでしょうか。最後の方の千と千尋やらもののけ姫やらは泣く泣く素通りする羽目になってしまいました。それでもお土産はしっかり購入し(レイアウトのレプリカとタイル、そして豆皿)、カーフェリー乗り場へ向かったのでした。

とりあえず言われた通り出港の40分前くらいに戻ってきたのですが、それでも結構待ち時間があり、これならもう少し展示を見られたのに、と思いましたがしょうがないので待機。車は2列くらいに並んでいましたが、バイクは違う列に並ぶようで、そこで待機して乗船の指示があっていざ船内へと向かいました。抽象的ですが、バイクで船内に入る時に物凄く「旅してる感」を感じたのを覚えています。初めての経験という力はとても大きいですね。
船内の駐車場(?)で原付を固定してもらったら階段で客室のある階まで上がりました。

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ここを上って行った

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ドアを開けると雑魚寝スペース

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船のセンター部分

どうやらバイク乗りの人は一番最初に入れるようで、雑魚寝スペースにはもちろん他の部屋にもスタッフ以外はいませんでした。とりあえず歩いてセンター部分まで来たら少し待機です。実はこの佐渡の旅、偶然の一致で友人と三日間ほど一緒に旅をすることになっていました。元は違う話で連絡をとりあっていたのですが、話の流れで夏休みの話になり、休みがお互いかぶっていた事を知った友人が「俺も合流したい」と言ったので三日間ほど共に行動することになったのです。その合流ポイントが佐渡汽船船内。中々気が利いた待ち合わせ場所で、しかも新潟というお互いにとって遠く離れた地で友人と会うなんてもう今後ないだろうと思うと貴重な時間です。

そんなことを思いながら乗船してくる人たちを見ているとなにやら紙を配っている人が。とりあえずもらっておきました。

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船内イベントの案内でした。これは見るしかない

この紙を見たりしていたら例の友人が現れたので「よっ」と笑顔で挨拶を交わして合流。やっぱり旅の途中でこうして友人に会うのは嬉しいものです。とりあえず色々と話しながらも座るスペースは確保したいので雑魚寝スペースに移動して少しの談笑。この日は夏休みシーズンでもなかったので雑魚寝スペースには十分寝られるスペースがあり、特に席を確保などしなくても大丈夫そうだったのでしばらくしたら甲板へ。

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友人と船

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テラス風の席もありました

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甲板

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甲板は風も強かったですが天気が良いので気持ちが良い。私たちは出発の瞬間を見ておくために甲板へあがりました。しばらく色々と作業をしている作業員の人たちを見ていたらいよいよ出発の時間となり、本土へお別れの時がやってきました。出発する時は作業員の人たちなんかが手を振ってくれるのかと少し期待しましたがそんなこともなく、手を振ってくれる人がいないまま出港です。
ほとんど初めてと言っていいくらいの大型船体験に興奮する私。甲板から見える新潟の街並みは次第に遠く離れ、灯台もすぎたあたりから沢山のカモメが船のスピードに合わせて飛んできました。もはやありふれた場面ではありますがいざ自分が体験してみると結構楽しいもので、友人と「何か餌になるようなものはないのかッ!」と探しているうちに小さな饅頭を持っていることを思い出し、カモメをおびき寄せることにしました。

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カモメたち

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カモメに饅頭をやる友人

饅頭を小さくちぎって手を伸ばすとカモメがスーっと結構な勢いで飛んできました。饅頭が小さいので指も噛まれますが大して痛くないので大丈夫。友人はそれを少し怖がっていたものの、やってみたら結構楽しんでました。中にはよだれをたらしながら飛んでくるカモメもいて大笑い。いい歳した男二人が甲板ではしゃいでいました。

その後私は別の場所へ、彼は甲板に残るということでしばし別行動。少し船内散策をしたのですが、個室なんかもあったりしてこちらも楽しそう。しかしたかだか2時間ちょっとの船旅なので私としては雑魚寝スペースで十分。それ以外にも座れたりする場所は一杯ありましたし。
雑魚寝スペースに帰ってくると人数も大して変わっていませんでした。大体は寝たり携帯をいじったり気分悪そうにしてる人たち。私は最初船酔いを少し心配していましたが、どうやら酔いには強い体質らしい。車とかでも酔ったことはありませんし。そんな中私は少しまったりと横になっていたら、船内放送でさきほどの佐渡民謡ステージが始まるよと聞こえたので向かうことに。友人もそこにいるようでした。

ステージは既に始まっており、お客さんも中々入っていました(大体ご老人)。私は先に席についていた友人の横に座りしばし観覧。踊りはおけさ踊りと言い、船が揺れているので踊り手の人たちもちょっとフラフラしているのが面白かったです。
そのうち踊りが終わると、最後は観客が参加してのおけさ踊り体験となりました。なんだか面白そうなので友人と一緒に参加し、踊り手さんを間に挟んで、円形に並んで踊りのレクチャーをしてもらいました。横にいる踊り手のおばちゃんを見本にして踊るのですが、これが中々難しい。基本的な講座はわりかしすぐに終わって早々に曲を流しながらの実地練習なのですが、不格好ながらもまともに踊れるようになったのは後半になってからでした。踊り手のおばちゃん達の上手さには全く届きませんでしたがこういうのには参加してみるものですね、とても面白かったです。
あとこれに参加してた一人旅風の女の子が私たち共通の友人の女の子に非常によく似ていてかなり驚きました。

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おけさ体験

おけさイベントが終わった後は友人がたこ焼きを奢ってくれて食事スペースで食べた後、友人はマッサージに行くと言い(イベントスペースで簡単なマッサージをやっていた)、私は雑魚寝スペースへ。後は佐渡へ着くのを待つばかりです。
なんやかんやで佐渡の近くまできて後30分くらいで到着というところで佐渡が見える外の席まで移動。やっとこの旅の目的地である佐渡の姿を拝むことができました。

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佐渡!

佐渡が見えたことに少しの興奮を覚えていました。海は綺麗で天気は良好。しかし佐渡は雲がかかっている。そして海にはクラゲがいる。時期外れながら佐渡で泳ぎたいと思っていた私に少しの不安がよぎりましたがそれよりもまずは目の前の感動を楽しみました。佐渡への期待で友人も楽しそう。早く上陸したい。
しばらくすると下船の案内放送が流れたので私は原付を駐めている階へ。原付にまたがって下船の時を待ちました。

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この待機時間がなんだかワクワクした

船の先端部分が開いたら発信し、曇り空ではあるものの念願の佐渡に到着。若干の潮の匂いと、初めて原付で島に降り立った高揚感は忘れられません。このままビューンと島巡りにでも行きたいところですがとりあえず友人と合流して宿にチェックインしなければなりません。

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こんな風に開きます。かっこいい

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等身大おけさ人形

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おけさ人形前で友人と合流し早速宿へ。友人は徒歩なので原付を押して向かいます。10分ほど歩くとこの日の宿である金沢屋旅館に到着しました。


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思った以上に雰囲気がある。とても立派

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友人にはどんなところに泊まるか伝えていなかったので、建物を見て良い意味で驚いていました。こういうところをボロいと捉えるか趣があって良いと捉えるかは人ぞれぞれですが、友人は後者だったようです。よかった。
早速引き戸を開けて中へ入りました。

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いきなり立派です。金澤楼と入った屋号看板が一際目につく

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奥への廊下

中へ入って「すいませーん」と声をかけると奥から女将さんがニコニコしながらやってきました。とりあえず宿帳を書いたりするので仕切りの奥の部屋へ。女将さんは色々話しかけてくれて、人柄の良さがとても感じられます。

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そのお部屋

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やはりと言うべきか、調度品など全てに歴史がありそう

私たちは今回素泊まりだったのですが、それだからかどうかはわかりませんが宿泊料は前払いでした。でも後で落ち着いた時で良いですよということでとりあえず宿帳に記入。その間も宿泊客が何組か来ていました。見覚えのある顔。私たちと同じく船でやってきた若者たちでした。意外と若者も多く泊まる宿のようです。

記入が終わると部屋へ案内してくれました。私たちの部屋は二階で、階段を上がって右斜め前の部屋でした。正面の部屋はトイレです

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木製の階段

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トイレ。なんだか現代的なオシャレさがあります

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引き戸を開けると右側に短い廊下がのび

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部屋があります

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引き戸をあけたらいきなり廊下という作りに「おお」と思いながら、突き当たりにある洗面所の周りから浮いた新しさもまた面白かった。部屋は二人で泊まるには広くもなく狭くもなくで十分。奥の襖の向こうにも部屋があったのですが結局使うことはありませんでした。
こういう宿では空調やテレビは古いもの(オンボロなもの)が多いのですがそんなわけでもありませんでした。部屋は清潔で居心地が良いです。内装は違ったでしょうが、この部屋でかつて遊女と客が遊んでいたのでしょうか。感慨深いです。

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机の上お茶

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そして注意書き

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襖のむこう

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アメニティ

アメニティもしっかり用意されてありました(歯ブラシ、バスタオル、フェイスタオル、浴衣、さらにドライヤー)。wifiも使えます。やはり元遊郭だけあってもてなしの心は十分ですね。女将さんも優しかったし。友人も「いいね〜」を連発です。
そんな友人とひとしきりこの宿のことやこれからのことを少し話した後、少し宿内の探検にでかけました。

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部屋の前から

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廊下には冷蔵庫と電子レンジ

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廊下

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二階の廊下には冷蔵庫と電子レンジが。私たちは使うことはありませんでしたが素泊まりの人には特にありがたいですね。その奥に伸びる廊下には様々な調度品の類が飾られていました。実際使われていたものなのでしょうか、ちょっとした美術館のようです。それに加え何気ないところに施された意匠が良い味を出してます。手すりが西洋風なのも、この宿が建てられたのが明治20年ということことからくるものでしょうか。

二階の探索が終わったら一階へ向かいました。

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玄関の奥へ伸びる廊下の左手に

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こんな空間が。左は外、正面のとびらは浴室です。この空間は屋内駐車場として使われているようですが、本来はどういう役割だったのでしょうか。興味がつきません

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めちゃめちゃぶれていますが浴室の横には洗面所と洗濯機が

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落ち着いた意匠

一階には屋内駐車スペースがあり、その反対側には中庭がありました。非常に面白い作りで、非常に探検のしがいがあります。もうちょっと建物の事に詳しければより楽しめたと思うのですが、素人目に見てもやはり普通とは違う構造だと分かり面白いです。浴室脇の洗濯機は、女将さんに聞いてみたところ「ご自由にお使いください」とのことで、これは非常にありがたい。今回の旅のように何日もどこかをめぐる場合、服の洗濯は結構面倒な案件になってくるので、宿で洗濯できるというのは本当に助かります。ちゃんと洗剤もありました。

その後友人と中庭を見ていると宿の旦那さんが現れ「もう裏庭は見られましたか?」と聞かれ、まだですと答えると裏庭に案内してくれました。この旦那さんもニコニコしていて話しやすい。旦那さんについて奥へ伸びる廊下の奥まで案内されると、そこには立派な裏庭がありました。廊下の突き当たりの机の上にかっぱえびせんが置かれていて、これでカモメに餌やりができるそう。裏庭から宿の裏手にある加茂湖に行くことができるのでした。

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廊下の奥から玄関側

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えびせん。宿泊者の人に案内してあげるのが常のようです

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裏庭

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裏庭から加茂湖へ通じる道

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加茂湖側から裏庭方向

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加茂湖!

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まさか湖の畔に出られるとは思ってませんでした。なんという素敵空間でしょうか、開けた湖の風景にテンションもあがり、友人は早速カモメに餌をやっていました。カモメも心得たもので、別に私たちが来る前から近くで群れて餌を待っているようでした。友人も楽しそうに餌をやったりカモメを脅かしたり。私はなんだか二人旅の楽しさを実感していました。宿の旦那さんも近くで見ていたので少し話したところ、加茂湖では汽水湖なので海の魚が釣れたりするそうな。でもここは浅いのでここから釣りをする人はあまりいないようです。確かに水深は50センチくらいで、遠浅な感じでした。不安の種だった天気も、雲の流れから「まあ大丈夫でしょう」とのこと。この時は曇っていましたが、せっかくの佐渡なので雨は避けたいところです。

ひとしきり遊んだり話したりしたところで部屋に戻って休憩。時間もまだ4時すぎくらいなので自由時間となったのですが、友人はまだ原付は借りないそうなので別行動することにして、私は原付で津神島へと向かいました。

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ちょっと波が高かった

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これから向かう津神島のある大川地区には、集落の人々が製作した版画作品が建物の壁などに展示してあり、とても興味深く思っていました。どうやら著名な作家の作品ではなく、集落の人たちが製作したもののようで、その土地の風習や暮らしなどの文化をテーマにしているので、そういうものが好きな私としては是非見てみたいと思っていたのでした。津神島自体ももちろん気になっていたのですが。

金沢屋のある両津から姫崎方面に走ること20分程。道中ほとんど車に出会うこともなく、更に道路もアップダウンがあるものの走りやすいので軽快に走りました。普段旅行に行くときはほとんどが山のあるところで、海側には全くと言っていいほど(泊まりに)行かない私にとっては海沿いを走るのはちょっと新鮮でした。伊豆なんかでは海沿いを走ることもあるけど、佐渡という島の特別さ故か全く気分が違います。更に佐渡は海の反対側は山という風な景色が多く、ちょっと道を逸れるとすぐに山里のような風景が広がるのが面白い。ツーリングするにはもってこいの場所ですね。楽しく走っていると津神島まであっという間に到着していました。

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赤い橋が架かった島が津神島

原付を適当なところにとめてまずは津神島へ行きます。

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波除地蔵

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昔話に出てきそうな朱塗りの橋

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港町ということで橋の手前には波除地蔵が鎮座していました。橋の向こうにある津神神社も航海安全や商売繁盛の神様を祭っています。かつてはかなり栄えた港だったようで、こういった信仰は大変重要な意味を持っていたことでしょう。お地蔵さんに軽くお参りしてから津神島巡りに向かいました。

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境内もそうですが社殿も綺麗にされています。今でも地元の人たちに大事にされているのがわかります。
津神神社で自己紹介をかねたお参りをすませたあと、神社の背後へ続く道へ。この島はぐるりと島を周れる遊歩道がありました。

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善法寺という施設灯台と

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その案内板

神社の裏手には小さめの施設灯台が建っていました。入り口には閂がかけられていましたがなんだか簡単に入れそうな感じ。中はいきなり上階へのハシゴがありました。「中に入ってみたいなぁ」とつくづく思いましたが不法侵入はいけないので外側から見るに止めました(当たり前ですが)。こういう建物の中ってすごく気になっちゃうんですよね。

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お札

このお札を調べてみたところ、山形県にある龍澤山善寳寺というお寺由来のものでした。どうやらこのお寺は龍神様を祭っていて、漁業関係者に非常に厚く信仰されているお寺のようです。海と龍神様なら納得の組み合わせですね。
更にこの私設灯台の裏にも周れたので行ってみました。

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島のさきっちょの磯まで出られました

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遊歩道は島の先の磯まで伸びていました。私が橋を渡っている時に釣り人とすれ違ったので、おそらくここで釣りをしていたのでしょう。なかなか良い釣りスポットのようです。海は少し荒々しかったもの水は非常にクリアーで、磯の嫌な臭いもしませんでした。ただ結構深いから足を滑らせるとシャレにならなそうです。

一通り津神島の散策も終わったので次は集落の散策。この付近は民宿が何軒かあるのですが、そのひとつである姫崎荘という宿をチェックするのもここに来た目的の一つでした。実はこの日の宿を金沢屋にするか姫崎荘にするかで迷った結果、次の日の利便性も考えて金沢屋にしたのですが、この気になっていた姫崎荘も少し見てみたかったのです。

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道路の反対側に

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姫崎荘アリ!

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その横の民家

宿を調べていた段階でこの姫崎荘がまだ営業しているのか不安でしたがやってるっぽいですね。なんとも私の心をくすぐる佇まいなので次は是非泊まってみたい。更にその横にある民家も中々の佇まいで、見ていると周りはこんな風に板張りの日本家屋が多く、昔からの雰囲気が残っている感じです。こういう良い感じの建物を見ると「この家に自分は一生入ることはないんだろうなぁ」と少し哀しみにも似た気持ちを覚えてしまいますが同じような感覚を覚える人はいるでしょうか。

ここらで少し休憩を挟みました。折角の海なので海岸での休憩です。

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紅茶を買い

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ここで休憩

海を見ながら小休止。津神島の磯波は荒かったですがここは穏やか。少し水に触れてみると思った以上に温かく、泳ぐにはちょうど良さそう。クラゲも見たところいません。佐渡にいる間に一度は泳ぎたいものです。

休憩後再び集落の散策を開始。既にいくつか版画作品が見えましたが、少し民家の間の道を歩いてみました。

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版画

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版画見物の人のために順路も書かれていたりして非常に親切。版画は祭りの様子や、漁業に関連した仕事や農業関連の版画も。どうやら漁業を専業でやっていたのではなく、半農半漁といった感じで生計を立てていた様子が版画からわかります。こういうところから昔の様子をうかがい知れるのは面白いし、しかもどれも良い味を出している版画で見ごたえがあります。それぞれの民家の造りも合わせて結構じっくり見てしまいました。
順路に沿って歩いている途中集落のおばちゃんなんかと挨拶しつつ軽い坂をあがっていると、港町にはつきものの彼らと遭遇したので写真を撮らせてもらいました。

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港町と言えば猫

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中々人慣れしているようです

怯えることなく寄ってくるので撮影も簡単でした。飼い猫なのかわかりませんが、とりあえず少しばかり一緒に遊んだ後は、曇り空の隙間から刺す太陽を見ながら道を引き返して宿へ戻ることにしました。

宿へ戻ると友人はおらず、連絡してみると居酒屋の沢山あるあたりを散歩しているようでした。そのまま待つのもなんなので一旦お風呂に入りに行きました。

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浴室!

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脱衣所!

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浴室のドア。何故かポストがついています。かつては玄関ドアとして使われていたのでしょうか
脱衣所には扇風機もあり一安心(風呂上りには風にあたりたいのです)。少し疲れていたのですぐさま服を脱ぎ浴室へ。

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浴槽は小さく、大人一人足をのばしたら一杯。体育すわりして大人二人分といったところでしょうか。風呂には何がしかの入浴剤が入っていて綺麗な青色でした。小さな浴槽ですが何だか妙な魅力があって入り心地はよかったです。(恐らく)一番風呂だったのもよかったのでしょう。ソープ類はボディソープとシャンプーはあるのですが、何故かリンスはありませんでした。まぁとにかくこじんまりとした空間で一人ゆっくりと寛いでから風呂からあがったのでした。

部屋に戻ると友人が帰ってきていたので雑談。彼はまだ原付をこの日に借りるかどうか悩んでいたのですが借りることにしたようでした。この後のことを考えると原付を借りた方が良いという判断のようです。というのも、私が佐渡に来たかった理由、目的として、まずは伝統芸能を見ること、そして団三郎親分(後述)に挨拶することという目的があり、この日は椎崎神社で行われる薪能を見るのが最後のイベントとしてありました。椎崎神社は金沢屋旅館から大して離れてはいませんが徒歩で行くには少しかかりそうなので原付を借りることにしたようです。

ということで、薪能は7時半から始まるので7時に着くように宿を出発。津神島から帰ってきて女将さんと話した時に薪能を見ることを告げると、結構人が集まるから30分前くらいには行った方が良いということだったのでそうすることにしたのでした。友人は原付を借りてそこから向かうので、私は席取りが任務です。

多少道に迷ったもののすぐに到着。神社の周りには結構車が駐車してあり、交通整理のおっちゃんもちらほら。その人に案内されて適当な場所に原付を止めたら観覧料(1000円)を払って席へ。
立派な能舞台の前にはまずブルーシートの席、その後ろに椅子席があり、さらにその後ろにはカメラマンの人達が結構いました。椅子席はほぼ埋まってましたがブルーシートの方はガラガラだったので(それでも一番前は埋まってましたが)真ん前より少しずれた所に着席。案外近くに座れたのでひとまず安心です。

能舞台と提灯の明かりだけの境内で気持ち良く座っていると「お隣よろしいでしょうか?」と聞かれたので「はい、どうぞ」と答えると友人でした。お茶目な友人と共に待つことしばし、能がはじまりました。

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最初に薪の番の人が位置につき、その後に巫女さん方が薪に着火し日が灯りました。薪能というは初めてですが、能舞台以外のメインの明かりが薪というのは情緒的で気持ちが落ち着きます。風の向きによっては火の粉が飛んでくるので少し怖い部分もありますが。

火が起こされてしばらくしたら
演奏が始まり、本格的に能のスタートです。

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演目は巻絹。その内容は省くとして、舞台上では非常にゆっくりとした喋りと動作で物語が進んでいきました。何を言っているのかわかるようなわからないような感じでしたが、なんだか妙に目が釘付けになっていました。能は半分寝たような状態で見るのが良いとかつて聞いたことがありましたが、見ることに夢中になって全く眠くならなかったです。神社の境内で見る能はいかにも神秘的な雰囲気で、夜空に良く合っていてとても情緒があり感動してしまいました。話の流れは演目が始まる前に代表(?)の人があらすじを話してくれるのでなんとなくわかり、友人も特に眠くなることもなかったようでこちらも満足。薪の番の人も火が消えそうになったり芝に燃えかすが落ちるたびにあれやこれややっていて大変そうでしたがこれも面白かったです。

能が終わったのは大体9時ごろ。終わる時間はその日その日でまちまちなようでしたがこの日はわりかし予定通りに終わったようでした。私たちも名残惜しさを感じながらもその場を後にし、夕食を食べに居酒屋へ向かいました。

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夕食は喜林亭という居酒屋でとろうと思っていたのですが、休みだったのでしらつゆという居酒屋へ。この日はまともな食事をとっていなかったのでかなり楽しみにしていきましたが、ここは大当たりでした。お通しの卵豆腐のようなものが既にいきなり美味しかったし、その後食べたカマ焼きやら刺身やらタラ汁やら、全てが美味しかった。佐渡と言ったら海鮮ですが、噂に違わぬ美味しさに驚きです。刺身のタコやイカ、カンパチなんかもまず食感からして違う。しかし何よりタラ汁が涙が出るほど美味しかったです(空腹でもあったので)。数年前まで飲食店の店長をやっていた友人も美味い美味いと餓鬼のごとく汁をすすっていました。夕食も二重丸でした。

その後宿に戻った私たちは、それぞれ洗濯したり風呂に入ったりした後、楽しく雑談しながらいつの間にか就寝していました。

翌朝は8時前に起きて支度開始。この日もやりたいことが色々あるので9時前には出発です。友人は先にどっかに行ってしまったので裏庭に行くとやっぱりここにいました。

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この日も曇りですが、ところどころ晴れ間がみえていました

カモメにえびせんをやりつつ旦那さんと話をしていた友人。少し話を聞いていたら、この宿も古くなってきたので建て替えの要請があったらしいですが、それを断って今現在まで建物を維持しているそうな。色々と問題はあるでしょうが、こういう建物は末長く残っていてほしいので旦那さんの判断には賛成です。そのおかげでこんな良い宿に泊まれるのですからありがたいという他ありません。

その後別グループの人達が来たので少しゆっくりした後部屋に戻って宿を後にしました。

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右端が旦那さん

宿の外まで見送りをしてくれた旦那さんに深々と礼をしてから出発。最初から最後まで居心地の良い宿でした。元遊郭の宿というのは初めて泊まりましたが、やはり歴史ある建物というのは色々と刺激させるものがあってよかったです。佐渡に来た時はまた利用したいと思います。

金沢屋旅館:素泊まり 4500円×2
金沢屋旅館