2023年夏休みの旅2日目です。 1日目
出発
今にも雨が降りそうな曇り空の中、ここらへんの変わりやすい天気が良い方向に転ぶように祈りながら水清館を出発。
外は天気のせいか平日のせいか人通りもなく、板室温泉を出る前に、川音がうっすら聞こえる温泉街を少し散策してから出発しようと道を右に曲がる。
なるほど、温泉街の一番奥はこんな感じになってたのか。
ここからさらに奥へ続いてる道の先が続いているけど、これは次来たときの楽しみにしとこう。
江戸やという宿があったというのが知れたのも良かったけど、ここも泊まってみたかったぜ。
旅の途中に雨っていうのはバイク乗りにとっては結構テンションが下がるんだけど、ここらへんはとんでもない雨が降ったりするから尚更だ。
以前わたらせ渓谷を走ったときもとんでもない雨に見舞われて「下手したら死ぬ」って思ったけど、今回はそこまで振らないことを祈る。。
山を下りたらさっきの雨がまるで嘘のように、澄んだ青空が顔をのぞかせてくれた!
これはまさしく吉兆!これからまた山道を上っていくことになるから、このままいってくれたら最高のツーリングになる。早くこのかさばるカッパを脱がせておくれ。
ウキウキ気分で昨日の十字路を右折し、天気よなんとかもってくれと願いながら走っていたらあっという間に超がつくほどの大雨。願いは一瞬で打ち砕かれた。。
普通の雨だったらこんな雨宿りなんてしないけど、これはちょっと身の危険を感じるぐらいの勢いだ。走ってたら空からエアガンの連射をくらってるぐらいカッパがバチバチ鳴るしトラックも頻繁に通るしでかなり危ない。
天気が変わりやすいならまたすぐ止むかもしれないし、少し待つか。。
しかし10分ほど待ってもまったく雨の勢いは弱まらないので、せめてトラックが来てないタイミングを見計らって出発。
前方から打ち付ける雨から身を守るように体を丸めながら、急ぎつつ、しかし慎重に走っていると、昨日寄った湯の香しおばらという道の駅あたり来るころには幸運にも雨脚はちょっと弱くなってきた。
ここから那須塩原温泉街に向かって山道を走ることになるから、とりあえず温泉街に着くまではこのままであってほしい。
でもまずはその前に近くにあるガソリンスタンド給油だ。
ガソリンスタンドに入って「雨すごいっすね」とお姉さんに話しかけると「ね〜、最近こんなのばっかで」とのこと。こんなのがよくあるんじゃ気軽に外にも出られないと思うが、、ここらへんに澄んでる人は大変だ。
その後どこかオススメの日帰り温泉を聞いたりした後出発。給油の間に雨はもう止んでいた。
塩原温泉街へ
ガソリンスタンドを出発して塩原温泉街への道を登っていると空に青空が広がり始め、そば八という店に着く頃には夏らしい青空が。
以前来たときにはとんでもない雷雨で涙が出そうになりながら途中の足湯に避難したけど、今回はそんなことにならなそうだと一安心してここで安堵の休憩タイム。
日が出るだけで一気に暑くなってきて、今はそれがなによりも嬉しい。冷たいアイスコーヒーが体に染みる。。
しかしそうしていると後方から「ゴロゴロゴロ・・・」と不穏な音が響く。
振り返ると晴れてるのはここらへんだけで、すぐ後ろには暗雲が迫っていたようだ。
本当になんちゅう天気だ。これに巻き込まれるのは簡便だから、さっさとアイスコーヒーを飲んですぐさま出発。まったく落ち着く暇もないぜッ。
実はこの旅初日は塩原温泉に泊まろうとしてたんだけど、目当ての宿が廃業してたり断られたりして板室温泉となったという経緯がある。
というわけでせめて廃業となってしまっていた宿を一目見たいと畑下温泉にやってきたんだけど、ここは他にも風情あるひなびた旅館があってとても気になってる一角なのだ。このぬりやという宿もその一つ。
この橋の向こうに今はもう使われていない楓の湯という露天風呂があるというのでちょっと見に行くところ。
そこは湧花庵という宿の貸し切り露天風呂として使われていたらしいけど、今はもう管理する人もおらず放置状態らしい。
この露天風呂の前にちょっとした階段があるけど、そこがもう苔でヌルヌルしていていかに人が訪れてないかがわかる。
建物内の浴槽にも落ち葉が入り込んでるし、使われなくなってどれくらい経つんだろう。ここでひとっ風呂できたら最高なんだけどね。
塩原温泉にいくつかある(あった)露天風呂は盗撮や盗難などなどの被害によって閉鎖されたというのは聞いたことがあるけども、ここもそういう事件があったりしたことがあるのかな。
変態のせいで良い温泉に入れなくなるっていうのは本当に嫌なもんです。
というわけで見たいものの一つは見れたので再び畑下温泉街へ。
温泉街はぐるっと半島っぽくなていて、私が一番に泊まりたかった宿がさっきの旅館街の反対側にある。
ここも川沿いで凄く良いんだけど、割と最近閉業されたそう。
見つけた当初に行ってれば泊まれたんだけど、ここもまた時の流れによって泊まれなくなってしまった。
でもこうして見れてよかった。いつか再開されることを祈ってます。
その後畑下温泉を一周した後出発。
まだ空の機嫌は良いようだけど、これからまた山道に入っていくからあんまりゆっくりはしてられない。
本当なら須巻温泉露天風呂というワイルドな野湯で温泉を楽しみたかったけど、また雷雨に襲われたらたまらないからね。今回は涙をのんでやめておきます。
川沿いの食事処、不動滝で昼食!
そうして塩原温泉街を抜けると長い尾頭トンネルに入る。
幸い後続車もいないんで「今だ!」とトンネルに突入。
トンネル内はうすら涼しく、まだカッパを着続けている体にはちょうどいい扇風機がわりだ。
ただトンネルは原付き乗りには結構怖いとこだから早く抜けてしまいたい。後ろにトラックがついた時なんかはそりゃ怖いんだから。
しかし結局クルマに追いつかれて「遅くてごめんね、、」と思いながらトンネルを抜けると、そこはさっきまでの青い空はどこへやら、灰色に濁った雲が広がっていて、濁り雲からはあっという間に雨が降り出してきた。
ここからの道でこそ降ってほしくなかったけど、ここと温泉街あたりの天気とではもう別物なんだろうな。
湧き水汲んだり写真撮ったりしたかったけど、そんなこともできないのでそのまままっすぐ次なるポイントへと向かう。
次は昼食ポイントだから、そこで雨宿りがてら美味しい食事をいただくぞ!
雨が降ってるけど駐車場をみるにまぁまぁお客さんがいるっぽい。
駐車場には屋根があるところはないからなるべく雨を避けられそうな木の下に原付を止めて、すぐさま店内へGOだ!
店に入ると元気な女将さんが「お好きなところへどうぞ〜」と言うのでゆっくりできそうな奥の座敷へ。
店内では工事関係者っぽい人たちや観光で来たっぽい老夫婦などが既に食事をされているけど、静かで落ち着いた雰囲気の店内は雨宿りするにも最高だ。
外を見ると、この数分で雨脚は大分強くなっていた。
さっそくメニューを見てみるとそば・うどんの他に定食もあるみたいだけど、ここまで来たらやっぱり食べるべきはそばでしょ!
メニューには舞茸のそばがあるけどその横には乳茸そばというのもある。これはあんまり見ないから、ここは一つ、乳茸そばにしよう。
というわけでご主人を呼んで早速注文。
私「乳茸(ちちたけではなくちたけ、らしい)そばお願いします」
主人「ごめんね、それもう終わっちゃったんだ〜」
私「(え、ショック!)じゃあ天ぷらそばで」
主人「ごめんね、そば自体なくなっちゃってんだ。明日休みだから」
と乳茸を賞味したかった私には非常に残念なお知らせだけど、ご主人も申し訳なそうに謝ってくれてる。
かといってうどんとか定食を食べたい感じでもない私は「う〜ん」と考えていると、ご主人が「ちょっと待ってて」といって厨房に引っ込んでいった。
しばらく待っているとご主人が戻ってきて「大盛りじゃなかったら一人分あるよ!」と笑顔でありがたい報告をしてくれた。
一瞬「いや、でもこれって後でお店の人が食べたりする分なんじゃ・・」と思ったりもしたけど、ここで断るのも粋じゃないのでありがたく乳茸そば(つけそば)をお願いすることにした。
めちゃくちゃ良いお店じゃないですか、ここは。。
なるほど、これがつけ麺ならぬつけそば。
丼にはナルトをはじめ色んな野菜が入っていてかなり具だくさん。乳茸もたくさん入ってるっぽい。
つけ汁と具を食べてみるとこれが乳茸の出汁なのか上品な中にしっかり旨味があるスープで、野菜もその旨味を吸って美味しいッ。
蕎麦につけるとちょっと薄味に感じるけど、これくらいの塩梅がちょうどいいんだろうなと思う。乳茸もチュルンとしててかなり良い感じだぜ。
他にも小鉢で赤と青のコロンとした何かもある。
見たところ食用ホオズキかなんかでデザート的な扱いかな?って感じがするけど、食べてみるとこれは多分ミニトマトだ。
なにやら甘いシロップのようなものに漬けているようで、ほんのり甘くて結構美味しい。
これはかなり気になるからお会計のときに聞いてみよう。
そうしてすっかり完食して少し休んだ後外を見ると、さっきより雨脚は弱まってるっぽい。
行くなら今しかない、ということですぐに準備を整えてお会計へと向かう。
女将さんが対応してくれたのでさっきのミニトマトについて聞いてみようとしたら、ふいに後ろから「釣りしながら旅行ですか?」と声をかけられた。
振り返るとどうやらお店の息子さんらしい若い方で、私の釣り竿を見て声をかけてくれたらしい。
私「そうですね、今日で二日目なんですけど、釣りができそうならするって感じで」
兄「そうですか〜。ここらへんも大きいのが釣れるんですよ。そこにあるのとか」
と指さした先には40cm以上ありそうな大きいイワナの剥製が。
私「こんな大きいのが釣れるんですね〜」
兄「去年は不動滝で54cmのイワナが釣れましたよ。大きすぎて怖かったっす」
ここらへんでよく釣りをするらしいお兄さんでも珍しい超大型イワナ。
というか54cmなんてサイズがこんな山奥の川で釣れるなんてとんでもないな!同じ釣り人としてちょっと興奮してしまう。
どんなところで釣ったんだろうと思って「不動滝ってどこにあるんですか?」と聞いてみたら、さっき私が座っていた左の窓まで連れて行ってくれて、「ほら、あれが不動滝ですよ」と親切に教えてくれた。
なるほど、真横に不動滝があるからお店の名前も不動滝か。って今はそんなことはどうでもいい。窓の下には立派な滝がごうごうと流れ落ちていて、お兄さんはまさにここで大イワナを釣ったのだ。
「ここは魚も昇れなくて魚止めになってるから、大きいやつが住み着いてるんですよ」
そういうわけで結構人気なスポットらしいけど、こんな大物が釣れるなんてことは滅多にないことらしく、釣った本人のお兄さんも嬉しそうだ。
そうと知ったら私もいつか竿を出してみたいので「ここって簡単に降りられるんですか?」と聞いてみたら入渓場所を親切に教えてくれた。よし、ここらへんに泊まることがあったらぜひ釣りをしてみよう。
その後少しばかり雑談した後再びお会計へ。
あらてめてお会計をしている時、女将さんにさっきの小鉢のことを聞いてみた。
私「あれほんのり甘くてすごい美味しかったです」
女将「あらそうですか、ありがとうございます〜。甘いから女の人に人気なんですよ」
私「そうですよね〜。あれってどうやって作るんですか?」
女将「簡単なんですよ。水に砂糖を入れて沸騰させて、冷めたら湯剥きしたトマトとレモンを入れるんです」
私「へぇ〜、そんな簡単なんですね。僕も作ってみます!」
と作り方も教えてくれた優しい女将さん。
お店でレシピを教えてもらうなんて初めてだと思うけど、こういうのを聞くとすぐ作りたくなってテンションがあがる。
そんなこんなで優しい女将さんとお兄さんに挨拶して店を出た。
(このレシピはミニトマトのシロップ漬けで調べると出てきました。美味しいのでぜひやってみてください)
店を出ると外で何か作業をしていたらしいご主人がちょうど帰ってきたので、売り切れたはずのそばをいただいた恩もあるので「おそばありがとうございました」と声をかけた。
主人「おいしかった?」
私「めっちゃおいしかったです」
主人「じゃあよかったね。雨も止んでよかった」
空を見ると晴れてはいないが確かに雨は止んでいる。
私「さっき凄い降ってましたね」
主人「異常気象かな。最近こんなのばっかだよ、居所的でさ。真ん中の部落は降ってるのに、他のところは降ってないとかさ」
やっぱりというか、ここらへんも天気の移り変わりが早いらしい。
日光とか塩原は天気が変わりやすいと昔から有名だというけど、ここでお店をやってるご主人が異常気象というくらいだから、最近はよりひどくなってるんだろう。
これからの道、私もまだまだ油断できないな。
そうして少しばかり雑談した後、雨が止んでいるうちに出発。
これからまだまだ山道が続くけど、福島に入ったら多少は大丈夫だったりするんだろか。
大雨の南会津
ここは一度目と二度目に茹でとうもろこしをおいしくいただいたのをよく思えてるけど、今回も建物の前に直売所がオープンしてて、例によってとうもろこしが売っている。
でも昼食を食べたばかりだから今回はいいかな。
今日は素泊まりだから夜食用と朝食用になにか良い食べ物はないかと探してみたけど、あんまりイイ感じのがなかったんで店内を一周して退店。
まだ三回しか来てないけど、もう何度も来たことがあるような気持ちになる道の駅だ。
外に出て原付きまで行くと、シートに不穏な水滴が数粒。
うわ〜と思って空を見上げると、晴れた空からポツポツとほんの少し雨が振りはじめている。
どうやらまた後ろから雨雲が迫ってきているようで、ここにいる間に追いつかれてしまったらしい。
まったく厄介な天気。また降られる前にさっさと進むぞ!
この先にある丁字路、右に行けば会津若松方面だけど、今回は湯ノ花温泉を目指しているので左へと曲がる。
ここを通るのもまた久しぶりで、周囲の景色が素朴だから結構好きな道なんだけど、どうやら今回もまた前回と同じように雨に振られてしまう運命のようだ。
だって空は灰色に濁って、既に強めに雨が降り出してしまっているのだから。。
まるであの時をなぞるがごとき。
前に来た時もここで雨に濡れないようにバイクを駐めたけど、前回と違うところがあるとすればバス停にバスが停まっていることくらいか。バスに乗ってる人がチラチラ見てくるのでちょっと恥ずかしい。。
雨の降り方を見てももうしばらくは止みそうにないし、ここで少し休んでいくことにしよう。その間、明日の宿の予約でもしようかな。
まずお土産屋さんに入って店内を一周してみたけど、特に欲しい物もなかったのでその後トイレで用を足す。
その間に停車中のバスのお客さんや運転手さんが館内を行き来していた。
外を見てみるとやはりこんな短時間では天気も変わる気がないらしく、相変わらず激しい雨が地面をバチバチと叩きつけている。
今日は移動距離も少ないし湯ノ花温泉ももうすぐだから時間的な心配はないんだけど、せっかくの再訪を雨に邪魔されるのは嫌だな。
まぁ私にできることはないので今はただここで雨宿りをするのみだけど、ただ待つのもアレなんで明日の宿の予約でもしようか。
というわけで第一候補に電話してみると「今はちょっと宿泊はお断りしています」と一瞬で撃沈。
つづいて第二候補に電話してみると、こちらは「明日はお休みで・・・」と言われてしまいまたまた撃沈。。
この2つは前回も断られて残念な思いをしたけど、またもや宿泊できないとは。。
というか宿の予約のときの「明日はお休み」っていうのは、一人客とか泊めたくないときに使う断り方なんじゃないかと勝手に思ってるんだけど実際どうなんだろ。知ったところで何も変わらないんだけどさ。
そんなわけで二連続で断られてしまったので、もういいやと館内のベンチで座って雨があがるのを待つことにした。
いつの間にかバスは出発していたようだけど、雨雲も一緒にどっかに行こうとしているらしい。
もう雨もほとんど降っていないし、むしろ山の向こうは若干晴れ間が見えている!
行くなら今しかない!即出発!
湯ノ花温泉へ
しかししばらく走ったところでまたポツポツと降り出す始末。
せっかく雨上がりの情緒的な田舎道を楽しんでいたのに・・・。でもまたしても避難場所に近いところで良かった。
というわけでやってきたのは道の駅番屋。
さっきの会津高原の駅では人がぜんぜんいなかったけど、ここはさすがに道の駅だけあって少しは人がりようだ。
前に来た時はここでドライサンショウウオを買った記憶があるけど、あれはまだ売ってるのかしら。ちょっと見てみよう。
残念ながらサンショウウオはなかったけど、少し気になるのはあるなぁ。
青きな粉は青大豆を職人が丁寧に炒って粉砕したものらしく、気にはなるんだけど日常で使う機会がなさそうなんだよなぁ。きな粉は好きなんだけど、お餅くらいでしか使わないし。
味噌も美味しそうだけど、これからもっと美味しそうな味噌に出会いそうな気がするし、、、ここは買うのをやめとくか。原付きはキャパが少ないのが弱点だ。
まぁ雨は困るんだけど、こうして旅先でゆっくり雨宿りっていうのも悪くないよね。
田舎は時間の流れがゆっくりに感じられるから、やっぱりせかせかしないほうが土地に合ってるというか。
ただこれでもし今日は宿無しだったらって考えると・・・ヒヤリとするものがあるけれど。
しばらく待ってから建物反対側のゴミ箱に缶を捨てに行くと、駐車場で空を見上げているおじさんが気になったので軒下から外に出てみる。
するともう一粒も雨は降っておらず、向こう側の空は少し晴れ間が見えていた。
もう今日だけでこのパターンを何度経験したことか。まぁ晴れるのはいいことだと早速原付きに向かうと、なんと原付きを駐めてあるあたりでは雨が降っている。
どうやら今この道の駅が雨の境になっているらく、なんだかちょっとラッキーな気がして気持ちよく出発した。
もう住所的にはすっかり南会津に入り、以前見かけて気になった赤色の屋根の民家もちらほらと見え始めている。
ここらへんあたりからの南会津の風景が個人的にすごく好きで、このタイミングで晴れてくれたのは凄くありがたい。山と民家の比率とか田んぼのある風景とか、なんだかそこはかとなくここらへんの風景はバランスが良いように感じられて、理想的な田舎の風景って感じがするんだよね。
こういうところでは貴重なコンビニ、その名はハローショップみどりや。
そろそろここいらで夜食やら朝食やらを買いたいけど、どうでしょうか。
こういうローカル色あふれるお店は大好きだけど、やっぱりというかあんまり品が充実してるわけではないので欲しいものは見当たらなかった。でも地酒はとても充実しているので、お酒好きなら寄って損はないはず。
店内に入ってみると意外なことに店員さんは若い女の子で、お客さんも女の子グループだった。
こういうところではちょっと珍しい光景なので「キャンプ場でもあるのか?」なんて思いながら物色していると、ちょうど期限が今日までのメンチパンが安く売っていたので2つ購入。
あまりに華のない食事だけど、素泊まりの朝食なんてこのくらいでいいんだ。もう一つは必要なら夜食にしよう。これで飯の心配はなくなった!
もう空を見る限り雨の心配はなさそうだ。さっきのヤマザキでカッパは脱ぎ去って、久しぶりに風を楽しんで走る南会津の田舎道は最高というほかない。
静かな山間の集落を、ブゥーンとエンジン音を響かせながらゆっくり走っていく。
数年ぶりだけどかなりはっきり覚えてるもんだ。特に標識を見なくても、周りの風景ですぐに道がわかった。
ここを左に曲がるとおしゃれな学校があって、さらに奥へ進んでいくと温泉街があるんだよな。
今日は部活やらの帰りなのか、前回見かけなかった小学生がちらほら見える。
というかもしかしたら学校始まってるのか?よくわかんないけど田舎に子供がいるのはいいことだ。
素晴らしい眺めの宿、到着!
おお〜ようやく着いた!何度も雨にやられながらも、結果的には晴れの中目的の湯ノ花温泉に着くことができた!
風景を見回しても前来た時と全然変わってない、のんびりした集落で相変わらずイイ感じだな〜。
じゃ、まずは宿へと向かおうかッ。
こんなのどかな風景に抱かれた和風建築の宿、最高じゃない。
山あり川あり田んぼありののどかな集落でいくつもの共同浴場を楽しめる。これが湯ノ花温泉のイイところ。
じゃ、さっそくチェックインしようか。
外と同じくし〜んと静まり返った宿の中は、よく掃除されているようでものすごくキレイな印象。
障子紙も床もまるで新品のよう。これは期待大!
もしかして誰もいないのかなと思いつつ、とりあえず「すいませ〜ん」と声をかけると、奥から「は〜い」と女将さんがやってきた。
女将「いらっしゃいませ〜。どうもありがとうございます」
私「こんにちは〜。今日ここで泊まらせてもらえなかったら宿なしでした」
女将「あぁ〜、まぁお一人だとねぇ」
とちょっとモヤっとすることを言われてしまったけど、それでも受け入れてくれた女将さんには本当に感謝。
しかし、ということはやっぱりあのお断りラッシュは私が一人だったからか。
集落内を走ってても誰もいなかったし、やっぱり観光客であふれて宿がいっぱいってことではなかったわけだ。
スリッパを履くと「お部屋にご案内しますね」と二階の客室へ。
二階もやっぱりピカピカでしかも広々としている。見たところ、今のことろ泊まり客は私だけっぽいな。
今日の部屋はこの洗面所脇のの部屋のようだ。
ドアを開けてくれた女将さんに続いていざ客室へ。
この宿は建物内すべてがキレイだ。
客室もすっかり整頓されて、網戸もよくあるような破れや歪みもないし、こりゃ素晴らしいです。
あまりに理想的な部屋に「やった!」と思いながら荷物をおろしていると、その間に女将さんが入浴券について尋ねてきた。
女将「入浴券は二日分のがいいですか?」
私「はい、それでお願いします」
女将「じゃあ、これで明日の9時半まで入れるので無くさないようにしてくださいね。なくしちゃったら何もなくなっちゃいますから」
というと二日分の入浴券を渡してくれた。
湯ノ花温泉では基本的に宿での入浴はなく、それぞれが集落内に点在する共同浴場を利用するというスタイルなので、入浴券が必須アイテムとなる。
他のところでは共同浴場の鍵とかもあるけど、ここでは入浴券が必要なスタイルだ。
今日は素泊まりで宿での食事はないので、宿の説明はすぐに終わって女将さんは一階へ戻っていった。
さぁ、ここから素晴らしいリラックスタイムが始まるぞ!
いやぁここに泊まることができて本当に良かった。
こんな静かでのんびりとした景色に加えて温泉も楽しめるんだからなぁ。
部屋も掃除が行き届いていて、エアコンはないけど扇風機があれば十分なくらいの気候だからなんの問題もないし、今日は雨に散々やられたから、これからはしっかり羽根を伸ばして思いっきり楽しむぞ!
でもその前にやるべきことはやっておきたいのでまずは宿の予約をとスマホに手を伸ばす。
もう第一第二候補は断られてしまったけど、まだ第四候補まであるのでさっそく次なる宿へ電話すると、なんと「お一人様ですね、はい、空いております〜」ということであっさり予約完了。そしてやるべきことも終了!
よし、じゃあ温泉にでも入りに行くか!
湯ノ花温泉の熱い湯 〜天神湯〜
ここから一番近いのはすぐそこの橋の袂にある天神湯で、湯ノ花温泉で二番目に好きな共同浴場。
なので歩いて行くこともできるんだけど、その前にちょっと集落内を回りたいから原付きで出発。
なんか気分が一気に開放的になってめっちゃワクワクしてきたッ!
こう走ってると涼しい風に乗って稲の少し青っぽい、畳に似たような香りがノスタルジックな気分をさらに色付けしてくれるようだ。
狭い道をゆっくりと走っているとそれだけで楽しい気分になってくる。やっぱり田舎って素敵。特にこの南会津は素晴らしいよ、本当に。
ここも前来た時と全然変わってない感じでちょっと嬉しい。
特に駐車場はないんで、日がカンカンに照っている道の端に駐めてすぐさま中へと潜入だ。
懐かしいな〜、このコンクリと木の重厚な感じ!この雰囲気が凄く好きなのよね。
しかも今は誰もいないから温泉を独り占めできてラッキー・・・と普通なら思うけど、湯ノ花温泉の源泉の温度はどこも50〜60℃あるから、誰もいないということはめちゃくちゃ熱いままの可能性が高いのよね。
右には小さめの浴槽があって、前はそこにぬるいお湯が張られていたけど今日はどうでしょうか。
まぁとにかく行ってみよう!
やっぱりしばらく誰も入ってないのかとんでもなく熱い。。
右の浴槽に溜まったお湯もほとんど同じ温度だったから、ここはしばらく水を入れるしかなさそうだ。
幸い水が出る蛇口は勢いが凄いのでそんなに時間はかからないだろう。小さい浴槽の方なら。
いやぁこっちは足も伸ばせないようなサイズの浴槽だけど、このあっさりした浴感が体の疲れと汚れを一気に取り去ってくれるようでとんでもなく気持ち良いわ。
なんか遠くまで来て入る温泉って、どうしてこうも特別な感じがするんだろ。
あったかい温泉に浸かって体も心もヤワヤワになってくると、なんとなく少しその土地の空気に溶け込んだような感じがしてくるから不思議。そこからどんどん気持ちがリラックスしてくるのよね。
こうしてチョロチョロ響く温泉の音と、サ〜っと谷を吹き抜ける風を感じてるともう色々どうでもよくなってくるな。なんか眠たくなってきてしまった。。
そんな感じで一人まったりしてると、段々と湯が熱くなってきた(向こうの浴槽とパイプで繋がってるため)ので、「まだゆっくりしてたいよ!」という体を無理やり引っ張り起こして湯から上がることにした。
また水を入れるのも面倒だし、これからまた違う共同浴場を回るつもりだしね。
湯ノ花温泉の熱い湯 〜湯端の湯〜
星商店は天神湯からほど近いところ、集落の真ん中にあるおばちゃんが切り盛りするお店だ。
前回行った時は確かアイスを食べながらおばちゃんと雑談して、二日目の帰り際にはトマトをもらったというちょっと思い出のあるお店。あのおばちゃんは元気だろうか。
ということで原付きに乗ったまま少しお店まで行ってみると、お店は空いているもののおばちゃんの姿はなく、代わりに少し若めなお兄ちゃんがなんだか怪しい人を見るようにジロッとこっちを見つめている。。
なんだか凄く入りにくい・・・というかもう一気に入る気はなくなってしまったんだけど、あの優しいおばちゃんはもうお店をやめちゃったんだろうか。
またお店の中でアイスでも食べながら「ここに来るのは二度目なんです〜」なんて話をしたかったんだけど、ちょっと今回はやめておこう。多分お兄さんも悪気はないと思うけど、ちょっと入りにくいしね。
そこらへんを走っていたら道の上でモソモソ動く何かが目に入ったのでよくよく見てみると、それはなんとカブトムシのメスだった。
夏は田舎の宿を泊まり歩くけど、案外カブトムシとかクワガタに遭遇することがないからちょっと嬉しい私。
このままにしとくと車に惹かれそうだから、少し遊んだあと脇の木に逃がしておいた。
久しぶりに触れ合ったけどやっぱカワイイな〜。
湯端の湯に到着したと同時に親子連れが出てきて、すぐ横にある宿に帰っていった。
「一応宿泊客いるんだな〜」と思いながらも「もしかしたらまた貸し切りかも」と少し期待しながら入ると、やっぱり棚には誰の靴もないのでここでも一人を楽しめるようだ。
しかも先客がいたから多分お湯も少しはうめてくれてることだろう。よし、いい時に来た!
やっぱり前と変わらない共同浴場をちょっと嬉しく思いつつ、すぐさま服を脱いでいざ浴場へ。
原付きで少し走ったおかげでほてりもやや冷めてるから、ここでもじっくり湯を味わおう。
床ががっつり濡れてるからさっきまであの親子がここで温泉を楽しんでいたことは間違いない。
ということはやっぱり温泉はぬるいはず!
と思いつつももしものことを考えてちょろりと足からかけ湯してみたら、不安的中でとんでもない熱さに一人「アツッ!」と叫んでしまった。。
おいおい、めちゃくちゃ熱いじゃんか。。こんだけ熱いってことはあの親子はどうやって湯に入った?まさか熱い湯に遭遇した時に私がやるように、温泉を水で割ってパシャパシャ体にかけていたんだろうか。
こりゃ今回もその方法でいくしかなさそうだ。
浴槽はそれほど広くないけど、熱い温泉をうめるのって結構時間がかかるんだもの。
というわけで桶の半分まで温泉を汲んで、水でうすめてから体を流すだけの時間が過ぎていった。
あとの共同浴場は食後にでも行くことにして、とりあえず今はまた少し散歩でもして宿に戻ろうかな。
もう17時をまわってるし、宿でちょっとのんびりしてから夕食としよう。
夕食は離れた店で
宿に戻ると女将さんの姿はなかったんで、玄関にソープセットを戻して部屋へ向かう。
買える時に買ってきたアイスコーヒーを飲みながら外を眺めると、下の砂利道を畑作業中の女将さんが通っていく。そっか、だから留守だったのね。
しかし温泉を楽しんだ後に和室で扇風機の風を浴びながらのアイスコーヒー、なんて素晴らしい時間ッ。
日が少しずつ落ちていって、部屋もゆ〜っくりじわじわ暗くなっていく。これがなんとも叙情的で、徐々に寂しい雰囲気に包まれていく田舎の空気感が凄く居心地よく感じる。
女将さんに感謝だな〜。一人なのに泊めてくれて本当にありがとう。今すんごく幸せです。。
宿の近くにも飲食店があるにはあるんだけど、多分やってなさそうな感じなので少し離れた定食屋へと向かう。
空はまだ明るいけど時間はもう6時すぎ。ちょうどいい時間だし、あんま混んでないといいけどな〜。
googleマップによるともうちょいで閉店の時間になるみたいだから営業中に来れて良かった。
中を見るとお客さんはあんまいないっぽいかな。では早速入店!
店内に入るとテレビの音くらしか聞こえなかったけど、すぐにお店のおばあちゃんが出てきてくれて席へ促してくれた。ここも変わらない店内。なんだか思い出をたどる旅みたいになってるな。
前に来た時はモツ焼き定食みたいなやつを食べて結構美味しかったんだよね。
でも前と同じじゃ芸がないんで、今回は焼肉定食にしようかな。
他にも美味しそうなのはいっぱいあるけどやっぱり肉だ!
昨日予約する時の第一候補だった宿って実は木賊温泉の宿だったのよね。
湯ノ花温泉も凄くいいけど、今回はかの有名な川沿いの共同浴場に入りたいと思って木賊温泉の宿に電話したんだけどダメだった。。
木賊温泉は湯ノ花温泉のすぐ横だから入りに行こうと思えば行けるんだけど、そうしちゃうとなんだか泊まりに行くときの楽しみが減っちゃってもう旅の目的地にすることがなくなっちゃうんじゃないかとちょっと心配だから、今回も木賊温泉の共同浴場に行くつもりはなし。そのぶん久々の湯ノ花温泉を楽しもうじゃないの。
でもあの木賊温泉タオル欲しいから早めに行きたいけどね。
思った以上に肉がしっかりある定食だ。これはありがたい!
もし足りなそうだったら何か追加で頼もうと思ったけど、これならまぁそれなりに満腹になりそうだし、量としてもいい感じだ。
さっそくメインの焼肉を食べてみると、私の好きな少し甘めのこってりしたタレがよく絡んでいてすごくご飯に合う。
タレがからんだ野菜たちもシャキシャキしてて美味しいし、これは食べごたえがありますな!
そうしてハフハフ言いながら食べてると、数人の地元の人らしきおじさん達が入ってきて奥の座敷へと案内されていく。
その後次々に友達のおじさんやらおばさんやらがやってきて、その様子を見るにどうやらこれから宴会かなんかがあるみたいだ。なんだか脇和気あいあいとしてて楽しそう。今日は平日だというのに、これが田舎の夜か!
そんな中私は一人ガツガツと定食を食べ、あまりのガッツキにすぐに完食してしまったんで入店後数十分でスピード退店。まるで仕事終わりに吉野家で食べる夕食のようだけど、すぐ食べてすぐに出る、部外者はこのくらいのほうがいい。
湯ノ花温泉の熱い湯 〜夕方の石湯〜
茜色に染まる夕日を見ながら飲むアイスコーヒー、すごく美味しいです。
というかこの集落内、星商店以外にもお店があったのか(画像右)。
なんかまだギリギリやってるみたいだけど、あそこで釣り券とか餌とか売ってないかな。もし売ってたら明日の朝ちょっと渓流釣りをしたいけども、、、まぁこれからまた温泉入りに行くから、風呂上がりにまだやってたら行ってみるとしようか。
石湯の建物は以前水害で流されてしまったけれど、2020年に新しく建て替えられたらしい。
このニュースを聞いた時は一度入ったことがある温泉なだけに結構心配したけど、無事再開されて本当によかった。地元の皆さんに感謝。
さて、新しい建物はどんな感じになったんだろか。
ここまで瓜二つに建て直してくれてなんとありがたいこと。
せっかくだから現代的におしゃれな建物にしようとかならなくて良かった。この素朴さが大事なのだから。
じゃあ中はどうなってるか、早速入ってみることにしよう。
これはありがたく入らせてもらわないとな。
ちょうどご飯時だからかまたしても誰もいないし、食後のひとっ風呂はここでゆっくりするぜ!
案の定かけ湯をすると恐ろしく熱かったので、ホースに手を伸ばす。
ただしこの手前の浴槽をうめるには結構な時間がかかるから、横の衝立の向こうにある小さな浴槽のほうに水を投入することに。衝立の向こうには、ちょうどひとり寝そべることができるくらいの浴槽があるのだ。
奥の浴槽の湯も熱かったけど、ホースで水を投入しながらゆっくり入る。
多少我慢しながら寝湯のように寝そべるとそこはもう天国。寝湯自体あまりできるところがないから、こうして横になってすぐ横の川音と窓からそよそよ流れ込む風を感じることができるのは本当に贅沢なひとときだ。
自然と心がうつろになっていくのを感じながら、ただ何も考えずにこの時を過ごそう。
そうして30分くらい入っていると外から足音が聞こえてきた。
地元住民か宿泊客かが来たようでカラカラっと引き戸を動かす音が聞こえてきたけど、そこから中に入ってくる気配も音もない。
「どうしたんだろ」と思っていると「お客さん、今入られたんですか?」とおばあちゃんの声。そうか、誰かがいるのは私の靴でわかったけど姿がないから少し探していたのか。なんせ私は衝立の向こうなのだから。
なんとなく反射で「あ、もう出ますんで〜」と答えると「じゃあ待ってます」と戸を閉める音が建物内に響いた。外には椅子があるからそこで待ってるということだろう。
正直もうちょっと入っていたかったけど、もう出ますと言ってしまった以上は出るしかない。というかこの選択肢しかないかっただろう。おばあちゃんも混浴は嫌だろうし、引き返させるわけにもいかないしね。
ささっと着替えて外に出ると、スポットライトのように街灯が椅子に座るおばあちゃんを照らしている。待たせて申し訳ないと思いながら「すいません、あがりました〜」と声をかけた。
するとおばあちゃんはちょっと笑いながら「おにいちゃんよく入ったね、熱いからうちらはかけるだけなのに」と言いながら石湯へと入っていった。
地元民でもかけるだけか、でもそりゃそうだよね。我慢しても入れるような温度じゃない。
だからこそのホースなんだけど、さすがに水を入れ続けてぬるくなったら入るなんて面倒なことはしないんだろうな。
そういう意味では天神湯は一番入りやすいから好き。あそこの水が一番勢いよく出るから。
この後しばらくしたら天神湯に行って締めにしようかな。とりあえず今はかなり満足したから、またアイスコーヒーでも買ってこのまま宿に戻りましょうか。
美しい星空と就寝までのあれこれ
外の風を浴びながらゆっくり飲もうと椅子に座ったところで初めて気がついた。
なんの気なしに夜空を見てみると、なんと星の数の多いこと。
今は雲ひとつないみたいで、そこかしこで無数の星がキラキラ輝いている。これは素晴らしい光景だ。
こうしてまじまじと見ていると空にも奥行きがあるんだとはっきり分かる。近い星と遠い星がわかるなんて、私が住んでるところではありえないな。まぁ夜空を見ようと思うことがまずないんだけども。
今日はいろいろ大変だった分、素敵なことがたくさん返ってきて嬉しいぜ。。
こうして帰ってきてわかったけど今日の宿泊客はやっぱり私だけみたいだ。
だからどうだってこともないんだけど、こんな静かなとこにある宿だから他の客室から音が聞こえてこないっていうのはイイもんだ。
そんなわけでテレビを見るって気分にもならないから、窓を全開にして寝そべりながら星見でもしようかな。
宿に戻ってから長いことダラダラしてたけど、本日最後の温泉を味わうために再び天神湯へと訪れた。
橋のたもとでぼんやり灯りを放っている扉を開けると先客はだれもいない模様。今日はどこに行っても先客がいないな。さすがにこの時間は地元の人は入りに来ないか。
ならばここはひとつ私の好みの温泉にしてやろうと、小さい浴槽にはさっきよりもぬるい湯をためつつ、メインの浴槽の湯はギリギリ入れるくらいまで水でうめるという作業を行うことに。
そうして5分くらい2つある桶で交互に水ため→投入を繰り返し、やっと入れるくらいの温度になったところで作業終了。これで大好きな温冷浴ができるぞ!
ということでまず最初は大きい浴槽。
水でうめたとはいえ体にビリビリくるような温度に「ゔ〜」と唸りながら肩まで浸かる。
うん、熱いけどこれはこれでやっぱり芯に効くような感じがあってイイ気持ちだ。体に思いっきり力を入れて脱力したほうがより体の力が抜けるように、体をこわばらせながら熱い湯に全身入ったあとの開放感が半端じゃないぜ!
とはいってもそう長くは入っていられないから、少しでも風呂からあがりたくなったら即小さい浴槽へダイブ。
するとそこはうってかわってぬる湯のパラダイス。体温よりちょっとぬるいくらいのお湯が、体のほてりを一気に持っていってくれる。
この風情ある天神湯で温冷浴が楽しめる、最高ですねこれは。。
そんなことを繰り返して営業時間の21時半まで入っていたが入浴客は誰も来ることがなく、最後まで温冷浴を楽しめたのであった。
その後星見がてら集落の中心に伸びる道路を走って体を冷ましたあと宿へ戻ったら夜食タイムに突入。
大して虫もいないから窓を全開にして、扇風機を浴びながら夜食をいただく!
まぁコンビニで売ってるパンだから特に言うこともないんだけどとりあえず美味しい。
これに加えて昨日の残りのブルーベリーもあるからなかなかに腹にたまる夜食だ。
しかしここの食事を食べられなかったのは残念だったけど、素泊まりは素泊まりでやっぱり自由に使える時間が多いところがいいところだよね。かといって積極的に素泊まりをしていくつもりはないけど、たまにはこういうのもいい。特にここみたいな、入るべき共同浴場がいくつかあるような場所は。
まぁでも温泉をはしごして居酒屋に行くっていうのもかなり惹かれるけど・・・やっぱ宿の食事のほうが楽しみかな〜と個人的には思うかな。
そうしてゆっくり夜食を食べたあとは、しばらくお茶をすすりながら星見をして就寝へ。
温泉によく入ったこともあってかまったりするとすぐに眠くなってくる。ここは無理せず寝てしまおう。明日もあるのだから。
朝はまず水くみから!
朝、なにやら村内の放送でラジオ体操が流れ始め、その音で目が覚めた。
前泊まったときもこんなの流れてたっけ?7時にアラームをセットしてたけど、でもこれはこれでなんだか牧歌的で良い目覚めだなぁ。
こんな穏やかな朝が待っていたとはなんと素晴らしいプレゼント。
なんてことはない昨日と同じメンチカツパンだけどやたらとうまく感じる。そして、ここで連泊しなかったことを死ぬほど後悔している。
さて、そんな素敵な朝食の後はさっそく温泉へGOだ。
まだ早い時間だから地元の人もそんなにいないだろうし、時間も余裕ありありだからガッツリ楽しませてもらうことにしよう。
でもその前にやることがひとつあるからまずはそちらへ向かおうか。
朝はやっぱり農作業や散歩をする人でちらほら人影がある。
しかし道路を走る車やバイクは皆無なので、集落内を原付き一台、意気揚々に颯爽と走りながらさらに山の奥へと走っていく。最高の朝。最高の夏!
さわってみると結構冷たく、そのまま一口飲んでみるとするりと喉を流れ、まるで体が浄化されるような気持ち。
味ももちろん美味しく、このために朝のお茶を少なめにしておいたから満足するまでガブガブ飲んだ。これでもう健康間違いなしでしょ。めちゃくちゃ贅沢な朝です。
その後水筒いっぱいに水を汲み、すぐそばを流れている川をしばらく観察してから温泉へ向かう。
これで汗をいっぱい流しても湧き水があるから大丈夫。むしろどんどんこの水を飲んで、体のすみずみまでいきわたらせたいくらいだ。
朝の温泉はしご。そして出発へ
石湯への橋を渡っていると川で釣りをしているおじいさんがいたので「釣れますか?」と聞いてみると、首を振って「さっき始めたから、釣れてないよ」とのこと。
前回は釣り人を見なかったと思うけど、やっぱりここらへんは入渓しやすいし釣ってる人はいるんだなぁ。
釣れてたらどれくらいのが釣れるのか見せてもらいたかったけど、始めたばっかということなので「がんばってください〜」と声をかけて石湯へと向かった。
朝早いからまだ温泉は3分の2くらいしかたまっておらず、衝立向こうの浴槽はからっぽ。
そして湯に触れてみると当然激熱。これは水をじゃぶじゃぶ投入するしかないけど、まだお湯がたまりきってないのが逆に好都合だ。
しかししばらく水を入れてみたけどやっぱり全然ぬるくならないね。
アツアツの湯を水でうめるのって、想像以上に時間がかかるのよね。これくらいの量ならしばらくしたらギリギリ入れるくらいになるかなと思ったけど全然入れないぜ。。
というわけでホースの水がでているあたりの湯を桶ですくってかけ湯する方法でいくことにする。
ちまちまかけるのもあれなんで、いきなり全身にかけても大丈夫なくらいの温度に調節してからバシャッと頭から一気にかぶる。
案外熱かったけど、一気に肌がキュッとなった後にゆるんでいく感じ、やっぱり気持ちいいすね。一気に体が目覚めた感じ。なんだか心もシャッキっとしてくるぜッ。
かけ湯しながら体もしっかり洗う。
けど前も思ったけど、体を洗った後のボディソープやらシャンプーやらが混じったお湯って、そのまま川に流れていってる感じなのが個人的に気になってるところなんだよね。
ここで排水設備をしっかりというのも難しいのかもしれないけど、川に垂れ流しというのは抵抗があるからどうにかならないもんかと思ってしまう。
なので一応ソープ類は持ってきてるけど、このことを思い出したんで手のひらで体をこすりながら洗った。
というわけで適当なところで石湯を出たわけだけど、やっぱりお湯に浸かりたいから比較的お湯をうめやすい天神湯に行こうかな。
さすがにこの後出発だというのにかけ湯だけというのは悲しいから。
朝イチに来るとこんな感じになってるのか。なんかちょっと得した気分。
こうしてみると夜遅くか朝早くかわからないけど、掃除をしてくれている地元の人に感謝だなぁ。
そんな感謝をしつつスノコを定位置に配置してすぐに温泉へ。
こちらもまだ湯が3分の2くらいだけど、湯が熱いことはわかりきってるから最初から水をバシャバシャ投入して温度を調節。
水の出がいいから5分くらいで作業は終了し、ゆっくりと湯に入っていく。
これが今回の湯ノ花温泉での最後の一湯だから思う存分味わおう。
しかしまだ旅三日目だけど既に肌の調子がいいな。板室温泉も湯ノ花温泉も肌に優しい泉質だし、今日で旅の肌(?)の土台ができあがった感じがするぞっ。
この土台をさらに仕上げるために、ここでしばらくゆっくりすることにしよう。相変わらず風の入りがいいから、出たり入ったりを繰り返せば長いこと楽しめるでしょう。
そんな感じで最後の入浴を楽しんだのだった。
さすがに大声で声をかけるのは憚られるので、冷たいアイスコーヒーを飲みながら見学させてもらうとしよう。
しかし前回来た時は釣り人は見かけなかったけど今日は既にもう2人めか。やっぱりここらへんは良いのが釣れるんだろうか。
というかこの人はどっから川に降りたんだろう。次来たときのために私も降りられそうなポイントを把握しておきたいけど、一見したところわかりやすい入渓ポイントはないんだよな。
一休憩したら降りられそうなところを探しつつ原付きで散歩してみようか。
こりゃ普通に走ってたらわからないわけだ。でも川への入渓ポイントしてはスタンダードな感じだから注意しながら走るとすぐにわかった。
次来る時はここからだな。収穫アリ!
今日はまだ早い時間だけど、日が昇るにつれてジワジワ暑くなってきた。今日は完全に晴れ予報だし、一日中汗かきっぱなしになりそう。でもそれを待ち望んでいた自分からしたらドンとこいという感じだ。
今日もこういうエモい風景にたくさん出会えるんだろうなと思うとワクワクしかないぜ!
気づいたけどここらへんは草木が多いのに全然虫がいなくて快適だなぁ。
石湯も大きな岩をくり抜いて浴槽にしてるから壁と床の間に隙間があったりするところもあるけど、建物内には全然虫がいないんだよね。
足を冷やしてる今も羽虫とか全然いないし、ここでハンモックでも吊るして一日中寝てたいわ。
原付を止めて宿に戻るとちょうど女将さんと出くわした。
すると「これから畑に出るんで先に精算させてもらていいですか?後はいつ出られてもいいんで」ということなのでその場で精算すると、女将さんはそのまま畑に出ていった。
そういえば朝も外で何かしらしてたしその続きがあるんだろう。もし私を待ってたなら申し訳なかったな。
しかしいつ出ていってもいいっていうのはいかにも田舎の宿っぽくていい。
田舎の宿だとたまに言われることがあるけど、なんかゆるい感じがたまらなく好き。
残り少ない時間をより穏やかに過ごそうと布団に寝っ転がって出発の時を待つ。
この二度寝のような時間がたまらなく好きだけど、リラックスしすぎたら起き上がるのに気合がいるのがキツイところだ。
でもこの静かで優しい陽気は何物にも代えがたい。だからギリギリまでのんびりした。寝転んで扇風機を浴びながら。
一階に降りて一応「お世話になりました〜」と声をかけたけど、やっぱり誰もいないようでそのまま宿を後にすることにした。
し〜んと静まり返った宿は少し寂しい感じがしたけど、これくらいさっぱりしてるのもたまにはいい。
ガラガラッと戸を開けて外に出るとさっきよりも日差しが強くなっていて、立っているだけでじんわり汗をかきそうな午前10時。女将さんはいないかとあたりを見回してみたけど女将さんはおろか誰の姿もなく、やっぱり最後の一言も言えないままの出発になりそうだ。
正直この景色とさよならするのはかなり後ろ髪をひかれるけど、今日泊まる宿も良い宿だと思うしそれまでの道のりも楽しみだから今からちょっとワクワク気分。
今日は思いっきり福島の自然と田舎を楽しむぞと、すっかり熱くなった原付きのシートに座って宿を後にしたのだった。
※ 今回泊まった民宿かじやさん、建物内は廊下から客室、トイレにいたるまですべてがとても綺麗で、どこもホコリ1つ落ちていない清潔さが印象的。客室からの景色も素晴らしく、田んぼ側の部屋に泊まることができたのでかなり心穏やかに、懐かしいあの日の夏を味わうことができました。虫も全然いないしWifiもあるしでほとんどの人にとって過ごしやすい素晴らしい宿だと思います。
少し気をつけるべきところはバスタオルがないところくらいなので(フェイスタオルはあります)、必要な人は持参しましょう。そうすれば素晴らしい1日が待っています。
湯ノ花温泉に行かれる方はこの民宿かじやさん、ぜひ候補に入れてみてくださいね。
民宿かじや : 一泊素泊まり 5,250円(税込)
ネギさん、こんにちは。
栃木界隈のゲリラ豪雨、容赦ないですよね。私も今市の友人宅から帰る時、あまりに雨が酷くて前が見えず、スーパーの駐車場で待機したことがあります。内陸特有なんでしょうか?
福島は湯の花温泉だったんですねー。前に山楽さんのレポ見ました。私も湯の花温泉は大好きで、亀屋さんに泊まりました。離れた場所に自家源泉をお持ちの湯の花温泉では珍しい宿なんですが、一人泊不可なんですよねー(´;ω;`)
この後、木賊温泉に行くのかな?
まいらーさんこんにちは( ^ω^)お返事が遅くなってしまってすいません。
あそこらへんの天気は本当に読めなくて厳しいですね。
原付きだと本当に命の危険を感じますけど、車でも危ないことには変わりないですよね(‘ ‘ 😉
あの天気は日光あたり特有のものみたいです。
まいらーさんも湯ノ花ファンでしたかッ。あそこは観光地化されてないのどかな田舎の温泉地って感じで癒やされますよね( ^ω^)
亀屋さんはたしかそうなんですよね。私も初めて湯ノ花温泉に行く時に調べたら一人泊不可で結構がっかりした記憶があります。
場所が場所だけに残念ながら私には泊まる機会はなさそうですが、、まいらーさん羨ましい限りです。
木賊温泉の共同浴場は前々から行きたいと思ってるんですが、ここで行ってしまうと木賊温泉に泊まる理由が半分くらいなくなってしまいそうだったので行きませんでした。
その代わりこの後も色々良い温泉に入ったんで楽しみにしててくださいね。
それでは、なるべく早く記事をUPできたらと思ってるんでもうしばらくお待ち下さい( ^ω^)