[埼玉] 泉質最高のボロ宿 千鹿谷鉱泉旅館 [秩父]

埼玉

この間のGWに秩父へと旅行に行ってきました。

本当はGW中の四連休を利用して山梨→埼玉(二泊)の三泊四日の旅行を計画していたのですが、二日目に泊まろうとしていた秩父の栃本集落にある民宿西川に電話をしてみたところ、ハキハキした愛想の良いおばさんに「事情があって今は営業していないんです」と断られてしまいました。そこで「集落内に今も営業している宿はありますか?」と聞いてみたところ「今はどこもやめてしまいました。」と言われ物凄くショックを受けつつ他の近いエリアの宿を探してみるもあまり気になるところもなく、大滝旅館組合というところに電話して「栃本地区で営業している宿はありますか?」と聞いてみたところ「ふるさとさんという宿は営業していますが電話が繋がるかわかりません。」と意味深なことを言われ早速電話してみると言われた通り通じませんでした。その後再び時間をおいてかけてみると電話は繋がったのですが何度かけても電話に出ないのでもう三泊四日はあきらめて秩父のみの二泊の旅行にしたのでした。栃本集落に行って泊まるのは一つの夢みたいなものだったので物凄く残念です。

さて、秩父旅行の当日は早朝四時に自宅を出発。うちからだと原付でだいたい4時間以内には着くのでいつもよりは多少遅めのスタートです。この日秩父では色々と予定があり午前の早いうちから到着しておきたかったのでこれぐらいで十分でした。
道は非常にすいていてスイスイ進みました。途中休憩をはさみつつ久しぶりの自然を味わいなが7時30すぎくらいには秩父へ到着していました。

まずは武甲温泉脇を流れる川にかかる鯉のぼりを見に行きました。

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風もないので吊られているだけでした。

川にかけられた大量の鯉のぼりは各地で催されていますが一度も見たことがなかったので今回見に行きました。まぁここのは少し小規模かつ河川工事中で鯉のぼりが泳ぐ環境としてはあまりよろしくありませんでしたがまぁまぁ満足。少し早めに秩父着いてしまったこともあってしばらく鯉のぼりを見ながら休憩をした後移動を再開しました。

ここから道なりにしばらく行ったところにある阪本屋さんに到着。ここは前回不動の湯に泊まった時に饅頭を買ったお菓子屋さんなのですが評判通り美味しく家族のウケもよかったのでまた買いにいきました。賞味期限三日ということで翌日に買ったほうがよかったのですが昼前ぐらいになると品切れになっていることが多いらしいので旅行当日に買うことにしました。まだ開店して10分くらいしか経ってない時間に行ったのにもうお客さんがいたのはさすがです。

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「柔らかいうちに食べてくださいね」と言われて買ったのは定峰やき(どら焼き)10個。定峰やきのクリーム味が私は大好物になっていたので定峰やきだけ購入しました。家に帰るまでに固くならないでくれよと祈りつつ出発です。(結局賞味期限の三日後まで柔らかかったです)

さて、この秩父の旅の目的の一つである皆野町は金沢地区で行われる萩神社のつつじ祭りに向けて出発しましたがまだ少し早いので道の駅に寄って色々を物産品を物色しにいきました。

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道の駅みなの

本当に道の駅というのは素晴らしいものです。私は道の駅が大好きで色々買っていきたいのですがいかんせん原付のためお土産の持ち運びにも厳しい縛りがあるため思うようには買えません。野菜の生産者の方たちが次々と美味しそうな野菜を搬入していましたが今後のことも考えて乾燥とうがらし(120円)だけ買うことにして道の駅を後にしました。

道の駅によってもまだ時間は余っていたのですがもう祭り会場に向かうことにしました。夏のように暑い日差しの中久しぶりの自然の中での走行を楽しんでいたらすぐ到着したのですが、まだ準備をしているようだったので一旦走り過ぎて少しその辺を走ることに。するとしばらくするとこんな場所に到着。

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なんともありがたい休憩所です。

時代を感じる雰囲気ですがこういう所が大好きな私はここで祭りの開催までのんびりすることに決めました。通常の自販機の他にコンドームの自販機もあって中々良い感じです。しかしコンドームには目もくれず昔から愛飲している「さらっとしぼったオレンジ」を購入し田んぼに面した日当たりの良い席に座って二足ほど早い夏の感覚を味わっていました。
すると大型のアメリカンに乗ったおじさんライダーもやってきて別の席に着席。しばらくすると立ち上がって私の前を「ちょっとトイレに」などとわざわざ言いながら通り抜けると私から少し離れた場所で田んぼに向かって立ちションし始めました。気持ち良くさらっとしぼったオレンジを飲んでいたのにまさかその横で立ちションをする人間が現れるとは思ってもみませんでした。好事魔多しとはまさにこのこと。私はこの時「絶対にブログに書いてやる」と陰湿に怒っていたのでした。

まぁそんな嫌な時間も過ぎて祭りの開催時間間近になったので萩神社へと向かうことにしました。お祭り用の駐車場は神社の道路向かいにある小学校のグラウンドを使用していました。案内係りに誘導されるままに原付を止めて神社へ向かいます。

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鳥居の横にある大きな幟がいいですね。都内ではこういうものは少ないでしょう。鬱蒼とした木々も太陽の光によく映えて美しいです。
こういう田舎のお祭りといった感じのは田舎のない私にとっては羨ましく思えるものです。なんだか良い気分で石段を登りとりあえず参拝をすませました。社殿の中に人形がありますがこれはこの祭りで行われる演目の一つ、出牛人形浄瑠璃というもので使われるものでしょうか。この人形浄瑠璃は非常に見たかったのですが時間の都合で見ることはできませんでした。次は必ず見に行きたいと思います。

さてまだ開催10分前くらいなので境内を少し見て回ることにしました。私以外に観光客はいない感じだったので正直少し肩身が狭い感じもしましたが邪魔にならない程度に見学です。

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神社向かいにある小学校と駐車場。

境内ではテントが設営されて色々なものが売っていました。おこわ、おにぎり、味噌ポテト、フランクフルト、野菜などが地元の人たちの手によって作られ売られていました。子供達も少しづつ集まってきて私もフラフラしていたら急に空から「ドン!」と大きな花火の音がして祭りが始まりました。どうやら開催の合図だったようです。私はホルモン焼きを買って一般客用の座席に座らせてもらうことにしました。

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ホルモン焼き 一皿200円

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祭り開催を飾るお囃子

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カラオケ大会の様子。

まずはお囃子から始まり次はカラオケ大会という流れでした。基本的にはどちらもおじいちゃんが活躍していましたが皆中々楽しそう。当然カラオケ大会は演歌がほとんどでおじいちゃんおばあちゃんは楽しそうでしたが子供たちは演歌はスルーで何か食べてるかゲームやってるかって感じが対照的でした。私はホルモン焼きを食べつつ(美味しかった)接待役のおじいちゃんから飲み物をついだりしてもらいながらのんびりと楽しませてもらいました。

のんびり一時間くらい座ってたらもう移動しなければならない時間になったので撤退することにしました。昼食用におこわか何か買おうかと思ったのですがやっぱりやめて出発です。

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よくできた人形たち。この子逹が動くところを見たかったです。

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孫を連れるおばあちゃん。良い光景です。

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こういう祭りもいいですね、親切に接待してくれたのも嬉しかったです。結構後ろ髪をひかれる思いでしたが次があるのでしょうがありません。また来ることにします。

つつじ祭りを後にしたら次は小鹿野へ向けて出発。途中道の駅龍勢会館に寄って一休みしたのですがここで自分の体調が少し悪いことに気づきました。お腹が空いていたのですがあまり食欲がなく少し気だるい感じです。気持ちよい旅行に水をさされたようで残念に思いましたがとりあえずポカリを飲んで次に向かいました。

その後道の駅の両神温泉薬師の湯で軽く食事をしてから向かった次の目的地は小鹿野の浦島地区に鎮座する両神御嶽神社。2年ほど前に縁ができてそれから度々遊びに行かせてもらっていました。ここは5月5日に例大祭があるとのことで、前回遊びに行った時に祭りにお呼ばれしたので今回これを旅行のメインとして秩父旅行を計画したのでした。

279号から集落に続く道に入り登っていくと何台か車とすれ違いました。いつもは車とすれ違うことなんてないのでやはり祭りにやってくる信者の方が結構いる様子。どんな感じなのかワクワクしながら進むと程なくして神社に到着しました。

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幟が沢山たっています。

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鳥居付近まで来るとガヤガヤと人の話す声が。私は信者ではないので遠慮がちに社殿に進むといつものように神主のおじさんが暖かく迎えてくれました。「中に入ってご飯でも食べていったらいい」と言われるままに中にあがらせてもらうと奥さんも顔をだして「遠いところからわざわどうも。また原付で来たん?」とこちらも笑顔で迎えてくれました。いつ来ても温かい人たちです。

とりあえずご飯を食べるのに信者さん逹がいる広間で一人でというのもどうかと気を遣ってくれたのか、神主夫婦の(おそらく)ご家族ご親族の方々が集まっている奥の部屋で一緒に食事をさせてもらうことになりました。皆さんこの日のために集まって色々と手伝いをしているようで少しバタバタしていましたが、私にどんどん食べ物をだしてくれて非常にありがたかったです。こういう祭りの裏側というのはあまり見られないので貴重な時間でした。

その間も信者の方はちょくちょく来たり帰ったりで手土産のようなものを渡したり、あるいはお酒をだしていたりで忙しそうでしたが、そんな中一時間半くらいお邪魔させてもらっていたら3時近くになっていてしかも結構眠くなっていたのでそろそろお暇することに。帰る準備をしていたら一人のおばさんから「もう帰るん?」と声をかけられ「これ以上ここにいたら寝ちゃいそうなんで宿に向かいたいと思います」と言ったら「寝ていったらいいじゃない。まだ宿に入れなかったらどうするん」と笑って言ってくれたんですがさすがに寝るわけにはいかないので神主夫婦含めた皆さんに丁寧に挨拶をして神社を後にしました。

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出るときに写した神楽殿

もっと祭りが行われている様子を撮影したかったのですがそんなにパシャパシャするのも失礼かと思って諦めました。しかし知らない世界を垣間見れたのは良かったです。十分休めたので体調も少し回復している感じでした。腹も満たされて調子の良くなっていた私は早速この日の宿に向かいました。
少し走り71号線にぶつかったら左折し合角ダム方面に少し行くと左側に古ぼけた千鹿谷鉱泉の看板が見えます。

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これは翌日撮影したもの

この看板がある道を左折ししばらく道なりに行くと到着しますが途中街灯もなくガードレールもない少し危うい道もあるので注意です。原付を旅館の前にある駐車場にとめて旅館に向かいました。

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布団が干してありました

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知る人ぞ知る置き手紙。私の名前が書いてあるところは消しています。

実は龍勢会館から神社へ向かう前に体調が悪かったので可能であれば少し休ませてもらおうと千鹿谷鉱泉に寄ったのですが、その時は女将さんも置き手紙もなかったので諦めたのでした。一番上の建物写真はその時に撮ったものです。

さて、ここ千鹿谷鉱泉では基本的に人はおらずこのような置き手紙が書いてあるのが常のようで今回も例に漏れずその通りでした。噂通りでなんだか嬉しくなります。女将さんはどうも午前の10時すぎくらいから4時くらいまでは旅館にはいないみたいですが、ただこの時は玄関から入ってみると人の気配と物音がしたので声をかけてみるも返事はなし。なので置き手紙に書いてある通り楓の間にあがらせてもらうことにしました。玄関を入ってまっすぐ行くと男風呂がありその手前にある階段を昇って二階にあがります。

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部屋の前からの廊下

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ちゃんと浴衣もあります。

この千鹿谷鉱泉旅館は全体的に結構鄙びた感じでところどころ蜘蛛の巣があったりもするのですが部屋は意外にも綺麗でよく清掃されているようでした。ただ廊下とのしきりの襖なんかは非常に閉めづらく、細かくみていくと所々建物の傾きからくる隙間などが目立ちます。しかしここに宿泊する人でそんなことを気にする人はおそらくいないでしょう。私もそうですがこういった所はむしろ大好きで、この時は私はすでに「ここに泊まることにしてよかった」と心底喜んでいました。周囲の環境は非常に静かで建物の雰囲気もあってかゆっくりと時間が流れているような感覚でした。

少し休んでアメニティチェックをしていると隣の部屋から人が出てきて色々と動いてる音がし始め、しばらくすると女将さんが現れました。とても作法のしっかりしている方で「ようこそおいでくださいました」と丁寧に挨拶され、そこからしばらく雑談が始まりました。女将さんはもうおばあちゃんなのですがとても可愛らしい感じのおばあちゃんでお話が大好きと言った感じ。会話の途中「こんなボロ宿でごめんなさい」とか「こんなボロ宿に泊まっていただくのは申し訳ない」というようなことを笑顔で何度も言うのでした。しかしそれを承知で好んで来ているので悪いことなどあろうはずもありません。女将さんがだしてくれたお茶とお茶うけをいただきながらこの宿の歴史や秩父事件についてのことなどを楽しく話しました。

しばらく話すと女将さんが「長いことおしゃべりしてしまってすいませんでした」と出て行こうとするのですがまた話が始まったりするのを何度か繰り返した後に本当に出て行きました。面白くて可愛らしい女将さんにとても癒された私は早速名物の鉱泉に入ろうと階段を下ったのですが、何やら男風呂から女性の鼻歌の声が。男風呂のドアの上の方は少し隙間があって階段の途中から中が少しだけ見えるのですがなにやらロングヘアーの女性が髪をファサファサしているのが一瞬見えたのでそのまま引き返して部屋に戻りました。「何故男風呂に女の人が・・・」と考えたんですが「女風呂に既に人が入っていたのだろう」と結論づけました。

その後少しして風呂に入ってみたら誰もいなくなっていたのでそのまま入浴しました。

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手書き。良い感じです。

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こちらは女湯。男湯を右に行って突き当たりにあります

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分析書

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男湯とでかでかと書かれた横にMENとあるので外国の方もそれなりにここの温泉にやってくるのでしょう。こんなところにまで来る外国人と是非友達になってみたいものです。
さて脱衣所に入ってみると思ったよりは綺麗でしたが棚にはゴミと思われる櫛やらタバコの箱やらなんやらがあったりしました。しかしそんなことはどうでもいいことです。私はすぐに服を脱いで噂の名湯に浸かりに浴室に入りました。

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浴室にはシャワーはないものの一通りのシャンプーやリンスがあり石鹸もありますが、しかし何より桶がケロリンであるのが非常にポイントが高かったです。温泉といえばケロリンと言っても過言ではないその伝統を守っている素敵な宿ですね。とりあえず私はそのケロリンにお湯をためて体を流し全身用シャンプーで体を洗ったのですがその全身用シャンプーをいくら流してもぬるぬるのまま。「ここまでぬるぬるなはずはないのだが・・・」などと思いながら何度も流すのですがず〜っとぬるぬるしたままでした。後で女将さんに聞いてみたところそのぬるぬるこそが源泉の特徴で、よく私のように不思議に思う人がいるんだとか。
しかしとにかくこの源泉のぬるぬる感は強く、何かオイルを塗っているかのような感覚です。こんなお湯は初めてだったので驚きながらも風呂に入りました。

お湯は割と熱めでしょうか。しばらく入ったらあがって体を冷ましてからまた入るを繰り返しました。ここは加温循環しているそうですが塩素の臭いもせず気持ち良く温泉につかることができます。ぬるぬる感もしっかりとあり、浴槽脇にとりつけられたカランを押すと硫黄の匂いがする源泉が勢い良く注がれました。ここの近くにあるかおる鉱泉も硫黄の匂いがしますがこちらの方がかなりしっかりと匂いを感じることができます。

いやしかし気持ち良いお湯です。鄙びた宿に最高の湯とはこれ以上ない組み合わせではないでしょうか。さすが秩父七湯の一つに数えられるだけのことはあります。お風呂は内湯しかありませんがこれに加えて露天まで望もうというのは贅沢が過ぎるというものです。千鹿谷鉱泉、あなどれません。
とそんなことを考えていたら体も十分に温まったのでもう風呂から上がることに。まだ5時くらいだったので部屋で少し休むことにしました。

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男湯横の通り

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内側からの玄関

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階段

部屋に戻って襖を開きっぱなしにして一息つくと気分は最高です。この日は私以外に宿泊客はいないので襖をあけていても大した問題はありません。大きな窓からは外が十分見渡せてしかも聞こえてくるのは鳥の鳴き声ばかり。素晴らしい環境です。
ちなみにこの日私は素泊まりでの宿泊でした。電話で予約する時に素泊まりしかできないと言われたのですがそれも当然、おばあちゃん一人でやっているので食事付きは調子が良い時に受け付けているそうです。なので6時すぎに外に食べに行く予定でした。まだ時間はあるので少々宿内を散策することにしました。

部屋の反対側にはもう一つ廊下に続くドアがあるのでそこからでてトイレへ向かってみます。

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手洗い場とその奥にトイレが

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反対側の廊下は薄暗く何か生活用品も置いてあります。部屋を出て左に行くと手洗い場とトイレがあるのですがこのトイレがものすごかった。女将さん自らボロ宿と称する千鹿谷鉱泉ですがトイレこそがその本領だったようです。床はべこべこして踏むと少し沈むようで、なによりトイレの部屋そのものが傾いています。少しジャンプでもしようものならすぐにでも倒壊してしまいそうな危うさ。当然ドアも開け締めしづらいのですがただ個室のトイレそのものは結構綺麗でした。しかしこんなにも不安になりながら用を足すという経験はなかなかできないでしょう。夜中は非常に恐ろしい思いをすることになるはずです。

なんだか凄いものを見た後は部屋に戻って休憩。6時をすぎてから小鹿野の中心街(?)に向かいました。まずはヤオヨシで夜食用の弁当と朝食の駄菓子、そしてポカリを購入。酒類のコーナーを見ると私の秩父旅行のもう一つの目的である、秩父で有名な「甕口酒」というお酒が沢山売られていて「おっ」と思ったのですがここにあるなら秩父市街のヤオヨシにもあるだろうと購入を見送りました。

その後まだ少し体調の悪い私はあまり食欲もなかったのですがそれでも食べなきゃならんと「春雷」という中華料理屋に向かいました。ここはアド街にも登場したことのある店のようでトツゲキラーメンというのが有名らしい。それに加えここで出しているわらじかつはかの有名な安田屋よりも美味いと地元では有名みたいでした。なのでわらじかつを食べたかったのですがカツを食べきれる自信がない。どうしたものか。

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店内に入ると少し早かったのかまだお客さんは少なくすぐに席につけました。メニューを見るとセットメニューも色々あったので私は気分的にホルモン炒めのセットを頼みました。トツゲキラーメンやわらじかつ丼はまたの機会にしたいと思います。

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ホルモン炒めは玉ねぎと一緒に甘辛いタレで炒めてあり一味唐辛子もかけられていて中々おいしい。量も多すぎず少なすぎず、この時の私にはちょうど良かったです。途中頼んでない烏龍茶がでてきたのですがどうやらバイクで来店した人にはサービスしているらしいです。さすがバイクの街小鹿野といったところでしょうか、ありがたいことです。次は体調万全で来たいと思います。

夕食も良い感じに済んだのですがまだ外は少し明るかったので暗くなる前に宿に帰ることに。看板を曲がって宿に続く鬱蒼とした道を走るとライトに向かってバンバン虫が飛んできたのは辛かったです。見たことのないような虫が服にひっついてくるのは非常に勘弁でしたがとにかく口にはいらないように頑張りました。

宿に到着すると二階にある私が泊まっている部屋以外の部屋にも明かりがついていて不思議に思いましたがとにかく楓の間に戻り布団を敷いて横になり休息。外はゆっくりと暮れていきどんどん静けさがましていきました。
テレビも特に見たいものもなかったので再び温泉に入りました。

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夜の廊下

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男湯と女湯の間にある洗面所。ここの蛇口から出てくる水も源泉です。

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上の洗面所の近くに歯ブラシが置いてあります。宿泊客はここからもっていきましょう。

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玄関

玄関には置き手紙とともに日帰り入浴客が氏名を書く紙が置いてあるのですがそれをなんとなく見てたらこの日は外国の女性客が来ていた模様。どうやら私が男湯で見た女性はこの外国人女性だったようです。しかしドアには大きくMENと書いてありましたが・・・。まぁそんなことはどうでも良いのですぐに考えるのをやめました。

少し外に出てみると空は曇りがかっているのか星はあまり見えませんでしたが涼しい風が気持ち良く吹いてきました。次に来るときは最低でも二泊はしてこの静かな環境を存分に楽しみたいです。そのくらい静かな場所にあり素敵な鄙び感を醸し出している千鹿谷鉱泉なのでした。

部屋に戻るととうとうやることもないので本でも読もうかと思ったのですが、テレビの下の棚にあるファイルを何の気なしに手に取ってみるとそこには今まで宿泊したお客さん達の旅館に向けた感謝の言葉や思い出、俳句などが沢山ファイリングされていました。写真は撮りませんでしたが宿泊された方は是非ご覧になることをお勧めします。千鹿谷鉱泉の歴史とともにここを利用してきたお客さんたちの気持ちに凄く心がほっこりしました。

その後ファイルを読んでいたらいい時間になったので再び温泉に入って本を読んでから就寝しました。
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部屋にあった置行灯を薄く灯して就寝

翌朝は朝5時ごろに目覚めとりあえず温泉に。朝一番にアツアツの温泉に浸かるのは気持ち良く、あがったら外に出て涼むのが最高の時間でした。ここは本当に静かで良い。
しばらく涼んだ後はまた部屋に戻り二度寝。その後8時すぎくらいに目覚めて廊下にでてみると新しいお茶と簡単な朝食が置かれていました。

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素泊まりで泊まったのに食べ物を用意してもらって本当にありがたかったです。女将さんの心遣いに感謝しつつタケノコの煮付けと煮卵をほおばりました。(どちらも美味しかったです)

食事をすませてまた温泉へと思って廊下を歩いていたら掃除をしている女将さんに遭遇し昨日以来の雑談に花が咲きました。女将さんは茶道を嗜んでいるらしく先生について東京の方にもよくでてくるらしい。その他女将さんの好きな歴史やお城、茶道の話などをしばらく一緒に楽しんだ後温泉へむかい、あがってから身支度を整え宿を後にすることに。最後の最後まで可愛らしく丁寧な女将さんに気持ち良く送り出してもらい、最後に「秩父困民党ガイドブック」と「タイロス3000EX」なるドリンクをいただきました。どうもありがとうございました。

その後皆野にある天空の学校なる場所とヤオヨシに寄って無事甕口酒を購入し家路につきました。


※ 今回の千鹿谷鉱泉旅館、色んなサイトでボロさを強調した書かれ方をしていたのを見て(たしかにそうなのだが)宿がなくなってしまう前に是非泊まってみたいと思い行ってみたのでした。しかし宿泊してみるととても快適で部屋も綺麗に保たれており大変過ごし易い宿で、何より温泉が素晴らしく本当に泊まってよかった宿でした。正直秩父にはあまり良い温泉はないと思っていたのですが、千鹿谷鉱泉旅館のようにしっかりした名湯も存在するんだと再発見することができました。また必ず行きたいと思います。そのときはできれば食事付きで。

千鹿谷鉱泉旅館  0494-78-0243
二食付き 7560円
一食付き 5400円
素泊まり 4000円