[山梨] 複合施設の中にあるお手頃な温泉宿 八田温泉 / 樹園 [南アルプス市]

山梨

8泊9日夏休みの旅8・9日目です。 [7日目]

宿に着いたところから読みたい方はこちら

和泉館を出て、今日も今日とてばっちり快晴な夏空の下、原付に跨って昨日の祭り会場へと向かう。
朝とはいえ、やはりここらへんは他の地域と比べて涼しい。こんなに(気温的に)快適に宿を出たのは今回の旅で初めてかもと思うほど。
これなら祭り見学も少しの汗で乗り切れるかもしれない。何を邪魔するものもなくしっかりと祭りの様子を目に焼き付けられそうだ。

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夏と線路はよく似合う

道はまだツーリングのバイクや車も少なく、涼しい風を浴びながら気持ちよく走るとあっという間に松原湖に到着した。周りは昨日と同様祭りの気配などまったく感じられない雰囲気だけど、そんな中行われるのがこの祭りなのだ。
今日は神社からではなくキャンプ場内の仮宿がある秘密の園から始まるので、昨日とはうってかわって一人で現場まで向かった。

キャンプ場内では利用客がとてもまったりと朝食をとったりしながらくつろいでいて、まさにキャンプの朝といった感じ。しかしそんな穏やかな空気の片隅でこれから、朝っぱらから祭りが行われようとしていると知ってる人はどれくらいいるんだろうか。そんな中キャンプ客でもなく祭りの関係者でもない、この場において全くの部外者である私はトコトコと場内を走り、一人秘密の園に向かうのだった。

昨日通った未舗装のガタガタ道に入る手前まで来ると、これから祭りの現場へと向かおうとしている車があったのでその後ろについていく形で私も未舗装路を走る。そして現場へ到着すると、そこには昨日よりちょっと多い車と人だかりがあった。またしてもなんだか異世界に来たっぽい不思議な感じ。面白い。

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時間は9時40分ごろ。地元民からしたら今日が祭りの本番ということなんだろう。なんせこれから山の中をぐるっと走り回るわけだし

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子供達は昨日と同じ出で立ちで既に集合していたけど、その手前のしめ縄前には昨日はなかった供物が置かれていた

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こんな感じなのか、フムフム

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バナナがちょっと他とは浮いてて面白い

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人が続々と集まって来ている

ここからどうやって祭りが始まるのか興味津々な中、供え物の内容やこの場の空気をじっくり堪能していると、昨日色々と話しかけてくれたおじさんが私に挨拶してくれた。しかも「甘酒でもどうですか?」と嬉しいお誘いをいただいたので、甘酒付きの私は一も二もなく「いただきます」と返事をし、ありがたく甘酒を頂戴した。どうやらこれがお神酒らしく、これを飲むことでなんだか少しだけこの祭りの輪に入れた気がして嬉しかった。
その後宮司さんの奥さんとも挨拶をし、皆さんと一緒に並んでいると、10時ちょうどに祭りが始まった。

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始まる直前の様子。子供達は昨日と同じく、至ってリラックスしている。昨晩はどんな楽しいことがあったんだろか

祭りは宮司さんの開会の挨拶といった風な語りから始まった。周りの人たちもさっきまでは楽しげに雑談していたものの、さすがに儀式が始まるとかしこまっている。宮司さんはそんな中一通りの作法を行い、次いで祝詞を奏上する。するとその声が響く、今私が立っているこの秘密の園ことお籠り場の空気がにわかに引き締まりだし、少しばかり冷感すらともなってきたかのような感覚を覚えた。昨日の雰囲気とはまるで違う。やはり今日が祭りの本番であり、どんなに小さくともこれはやはり神事なんだと身にしみて実感した。

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こういう祭りを求めていたんだ、私は

祝詞の後は、子供達と我々にお祓いをする宮司さん。お祓いを受けるなんていつ以来のことだろうか。嬉しいというかなんというか、静まり返って鳥のさえずりくらいしか聴こえるもののないこの厳粛な空気の中、なんとも形容しがたい少し高揚したような気持ちだった。ただ、そこで自分が帽子をかぶったままお祓いを受けてしまっている無礼に気づき、すぐさま脱帽するという失態は犯してしまったけど。

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子供を代表して1名だけ神前で礼をしていた。ちなみにこの子が昨日仲良くなった子だ

その後再び祝詞を奏上し、氏子代表やなにがしかの要人らが玉串を奉納していたけど、さすがにもう撮影もはばかられるような雰囲気だったのでカメラはしまうことにした。
そうして一連の儀式が終わると、宮司さんが終わりの言葉を告げ、子供達はあのガタガタの未舗装の道に集まるために走り出した。これから昨日と同じようにラッパを吹いて走るの繰り返しで山を周っていくんだろう。子供達は吹流しを持って位置についていった。

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儀式も終われば空気も元どおり。和やかムードが戻って来た

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残念ながら祭りが終わるまでは付き合えないけど、お昼くらいまでは見学させてもらおう

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大人たちは周りから写真を撮りまくっていた

私もバシャバシャと写真を撮りたいけども親御さんたちの邪魔になってはならないので空いてる車の隙間に陣取って子供達の出発を待った。
しかしこんな面白い祭りが人知れず行われているとは、これだから地方の祭り巡りはやめられない。しかも二日連続で同じ祭りを朝っぱらから見学するなんてあまりない経験だし、それと同時に肌に感じるこの夏感、素晴らしいです・・・・・なんてことを思いながら私も写真を撮り続けていたのだった。

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そうこうしていると昨日と同じ突撃ラッパの音が鳴り響いた。今から子供達の疾走が始まる!

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よし、いってらっしゃい!

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元気な子供達、いいですね

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そして皆が走り去ると、最後は宮司さんもトラックに乗ってついていった

子供達が全員走り終わると、後はそれを追う人、この場に残る人、通過地点で待つために移動する人などに別れてそれぞれ動き始めた。親御さんたちはお弁当を用意してるらしいけど、それはどこで食べるんだろう。これからどういうルートを通っていくのかは不明だけど、とりあえず自分はどうしようかと思いながら辺りを撮影していたところ、宮司さんの奥さん(おばちゃん)に「一緒に行きませんか?」と誘われて、他の人も向かってる子供達の通過地点である坂の上の祠まで連れていってもらった。今日も変わらず、親切に接してくれるおばちゃんに感謝だ。

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撤収作業が始まり、ブルーシートが敷かれていた。お昼はここでとるんだろか

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最後に仮宮を一枚。やはり不思議な重厚感がある

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では、いきましょう

おばちゃんと私が泊まった宿のことや今日の予定などを話しながら坂を登っていくと、坂の上には小さな平場があって小さな祠が建っていた。そこには既に何人か集まっていて、子供達が来るのを待っている様子だった。
私もその間おばちゃんと話して過ごしてたんだけど、せっかく周りにおじいちゃんやらおじちゃんやらもいることだしその人たちにも話を聞いてみたい。でもそっちはそっちで楽しそうに話してるので機会を伺っていると、おじいちゃんの一人が「山梨がある」と言って木の上を指差した。おばちゃんも「こんなところにあるんだぁ」と言っておじいちゃんの方に歩いていったので私もついていくと、指をさしている先の木の枝に、梅のような実がなっていた。

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皆で山梨を見にいってるところ

恥ずかしながら私はこの時まで山梨なる果実があることを知らなかったので思わぬところで勉強になった。おばちゃんいわく、これを漬けて果実酒にしたりするらしい。梨も夏の終わりごろからとれるはずだから時期として少し早いけどまぁ食べられるんだろうか。木の下には木材がたくさん置いてあったので、おじいちゃんがその木材を投げて山梨を落とそうとしてるのが子供みたいで面白かった。

ちなみにここは祠がある平場の目の前に広がるかなり大きな広場で、向こう側では結構な人数のグループがキャンプをしていた。大きなキャンプファイアーのための組み木もあったりして、どこかの企業か何かの旅行を思わせるような規模。おばちゃん曰く、毎年ここでキャンプをしているなにがしかの集団らしい。まぁどうでもいい余談だけど、このキャンプ場も結構栄えてるんだなと思った次第でした。

その後結局山梨が採れなくて残念がっているおじいちゃんと一緒に祠の場所まで戻って再び雑談タイムが始まった。ありがたいことにおばちゃんがおじいちゃん達に昔のことを聞いてくれたので私も一緒になって聞いてみると、どうやら昔はこの祭りに50人くらいの子供が参加していて、今は二日で行なっているこの行程を一日でやっていたらしい。それでもお泊まりはあって、それはそれは楽しかったそうな。ラッパの音も「軍隊の名残なんでしょうねぇ」とおばちゃんが言っていたけど、これも昔からあったようだ。
しかしまぁ一日目は大した距離は走ってなかったから、これを一日で行なっていたとしてもそんなに大変さは変わらなかっただろうと思う。むしろ一日散々走り回って泊まった方が楽しいかも・・・・なんて祭りに参加したことのない私は勝手に想像していた。こういう話を聞いたら昔の写真なんかも見てみたかったけど、さすがにそれは難しいからこれまた勝手に想像して楽しむことにしよう。

そうして話をしていると、道の向こうから吹流しを持った子供達が走ってやって来た。どこで合流したんだか女の子も一緒に走っていて、女の子は走れないと聞いていたもんだから「これはこれでOKなんだな」なんて思いながら子供達を迎えた。

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女の子が先陣切ってやってきた

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元気に走って来る子供達。時間的にそんな長距離を走ってきたわけでもないので皆まだまだ元気そうだ

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最後に宮司さんが到着すると、祠の前で先ほどと同様祝詞を奏上していた。この祠の謂れが気になる

ここまでくると後はあのお籠り場に戻っていくだけのようで、やはりそこでお昼になるらしかった。そしてお昼休憩後、今度はキャンプ場を出て松原湖をぐるり一周して神社に戻るんだろう。私は最後までは見られないので、そろそろお暇する時間かな。

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私達が登って来た坂を走り降りてお籠り場まで戻る経路だ。子供の疾走を見るのはこれが最後

昨日仲良くなった子が座って休んでいたので、ラッパが鳴るまで話そうとちょっと声をかけてみた。

私「昨日は夜なにやってたの?」
子「昨日は花火やったあとずっとゲームしてたよ。年上の奴らがうるさくて眠れなかった」

と言っていてちょっと寝不足気味らしいけど、それでも楽しい一晩を過ごせたようで何よりだ。この子の話を聞きながら私が昔参加した児童館のキャンプのことなんかを思い出した。その時は一緒のテントにいた年上の仲の良い兄ちゃんが無限に侵入して来る虫にキレて、テント内で虫除けスプレーを噴射してめちゃくちゃ苦しんだ思い出があるけどそれも今思えば楽しい思い出。きっとそんな風にこの子も大人になってこの祭りのことを懐かしがる日がくるんだろうなと思うとなんだかしみじみしてしまった。

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そうして話してる間にラッパが鳴って走り去っていく子供達。しっかり目に焼き付けておこう

子供達の後を追うように私もおばちゃんたちとゆっくりお籠り場まで戻ると、もう子供達は出発する前のように仮宮の前に並んでいて、宮司さんは口紙をして二つの仮宮の周りを歩いている最中だった。多分私たちが戻る前に子供達も同じように周って位置についたんだろう。これも昨日と同じこの祭りの作法だ。

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大人の数は少し減ったかな

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大幣を持って神妙に歩く宮司さん。この一連の流れの意味がすごく気になる

宮司さんが周り終え、しめ縄の位置まで戻って来たら一旦終わってお昼休憩となった。これからまた直会らしく、子供の親御さん達はシートを敷いて我が子と一緒に食事をとって、他の大人は別に集まって食事といった感じになるようだ。

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吹流しを仮宮にたてかけ

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昼食タイムとなった

この時で時間は11時をちょっと過ぎたくらいだからお昼としてはちょっと早い。けど私としても出発する時間にはちょうどいいタイミングだということで、ここでおばちゃんに挨拶をしてこの場を後にすることにした(お腹も減ってたし)。
おばちゃんにはとても親切にしてもらって、直会に招待してくれたにも関わらず断ってしまったことを謝りながらも丁寧にお礼をしてから原付へとむかった。ここまできたら最後まで見ていきたいけども、それはまたいつか訪れて見学させてもらうことにしよう。何はともあれ、記憶に残る素晴らしい祭りだった。

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おし、じゃあ出発!皆さんお邪魔しました!

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あとは宿に向かいがてらちょこちょこっと目当てのところに寄るだけだ

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でもその前にちょっと冷たいコーヒーでも飲んで休憩してから再出発

もうここで今回の旅のハイライトを終えた気分になっていた私。今日も祭りにいく予定だけど、さっきまで見ていた御射山祭りが一番の目当ての旅だったので、割と十分に、しかも宮司さんの奥さんの地元の方の話も聞けて大満足だった。しかし旅も今日が実質最終日のようなものだし、これからの道中は夏の終わりを噛み締めながら行くとしよう。もう来年まではこんな長旅はできないんだから。

というわけで私は大好きな夏の幻を歌いながら南へ走ることしばし、どこか高原っぽい雰囲気になってきたなと思っていたらいつの間にか清里に到着していた。ここまでの道は車通りもほどほどで走りやすく、風も気持ち良いのでいたって爽快。そんな中どことなくオシャレで安穏とした空気ただようこの清里で横文字なメニューをいただくのが成熟した大人というものだが、今の私の胃はそんな洒落た代物よりももっと現実味を帯びて体に効いてくるどっしりとした食べ物がいい。何日も旅行を続ける者にとっては、直接的に元気の源となりうる糧がいい。オシャレさは今の状況では邪道とすら言えるのだ。ということで

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原付旅行の定番、ラーメン屋にやってまいりました

まさか清里にラーメン屋なんてあるわけないと思いながら調べてみたら案外近くにあった。本来この地にラーメンを求める人がいなかったらラーメン屋なんてあるわけもなし。やはり私のように考える人たちがいるおかげで、こういう土地でもラーメン屋が息づくことができるのだ(適当)。しかし包丁研ぎもやってるとは面白い店だなぁなんて思いながら早速入店した。

時間は昼飯にはちょうどいいような時間だったけど案外空いていて、でもなんとなく写真は撮りづらい雰囲気だったので写真はなし。でもうっすらと暗い店内と、清里という土地の雰囲気に感化されていないAMラジオが似合う雰囲気に、私は居心地の良さを覚えた。
頼んだのはチャーシューメンで、これはもうメニューを見るまでもなく決めていた。他にも美味しそうなものはあったけど、とにかく肉を欲しているので問答無用でチャーシューメンだ。そして実際目の前に置かれたチャーシューメンはチャーシューが柔らかく味付けも好みで、全体的に結構美味しかった・・・・・が、少し量は少なめかな。値段は950円。そこそこ満足できました。

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駐車場からの風景。ここまで来たらさすがに時間的にも暑い。川があったら入りたい

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ラーメン屋から少し走ると道の駅があったので寄ってみた

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直売所では野菜や加工品も多く揃っていたけど、まぁ原付なので特に買えそうなものはなし

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なんか山の上までいけるロープウェイみたいなものもあった。これは楽しそう

ということでジュースを飲みながらぐるり一周(結構広めな道の駅だった)してから再び原付にまたがって出発した。明日にはもう家に帰るので、一日二日くらいなら常温でも大丈夫そうなお土産も欲しいところだけどここにはなかった。いつも思うけど、やっぱり土産物を買うという点においては車が便利だよなぁと思う。まぁこれから行くところで何かあるかだろう。

その後宿に着くまでの間に寄ろうと思っていた最後のスポットは、ここからほど近いところにある津金学校という施設だ。ここも昨日寄った中込小学校と同じく廃校となった擬洋風建築の校舎を再活用しているところで、ここでは校舎の中にカフェがあったりするらしい。もちろん資料館としても活用しているらしいけど、とにかく私は廃校を利用した宿やら資料館やらが好きなのでここも前々から行きたいと思っていた施設だった。といってもカフェもやってるくらいしか知らなかったので、いざ現地に到着して見るとちょっと意外だった。

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懐かしい感じの里山が広がる風景の中に佇んでいた。見た目は確かにそれっぽいけど・・・擬洋風ではない!

かなり広い校庭(駐車場)の目の前に鎮座しているこの建物、確かに校舎っぽいけどそんなに古さは感じない。ちょっとイメージと違うなぁ・・・・なんて思いながら入り口に近づいて見ると、看板には「おいしい学校」と書かれている。そこで辺りをキョロキョロと見て見ると、この建物の横に更に建物があり、その奥にまさに擬洋風建築という出で立ちの校舎が建っていた。よくわからんけど、一番奥が私が求めていた津金学校で、その横の二つの校舎は後年になって建てられたものとかなんだろか。まぁどちらにしろ面白そうだから早速入ってみることにした。

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こんな感じらしい。ほう、ここは泊まったり入浴したりもできるのか

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中の様子。これはなかなかイイじゃないですか

中は農産物やその加工品、その他様々な土産物なんかの他にもパン屋や食堂なんかがあったりして、一箇所に色んなものが詰め込まれたサービスパックのような施設になっていた。売ってるものもオシャレだったり美味しそうだったりで土産に買って行きたいものもそれなりにある。ここは中々楽しいぞ。

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津金はりんごが有名らしい。今晩のお供に買おうか悩んだけど、あまり乗っける場所もないのでやめておいた

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土産物たち。ドライフラワーも良い香りがしてちょっと欲しくなった

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奥は学校の給食や和食が食べられるレストランがあった。しかしラーメンを食べたばっかなので遠慮しておく。というかファミリーやカップルなんかが多くてひとり旅の私はちょっと入りづらかった

反対側の奥にはパン屋もあったんだけど、まだ昼だというのにパンが全然なかったので何も買えず。
しかし土産物は沢山あるのでここで何かしら買おうと色々と物色し、いかにも地元の人が作ったっぽいりんごジャムがあったのでそれを買うことにした。レジのおばちゃん曰く「これはここ津金でとれたりんごを使って地元の方が作ったジャムで、すごく美味しいですよ。クセになりますから」と茶目っ気たっぷりに教えてくれた(帰ってから食べて見たら本当においしかった)。なんだか愛想の良いおばちゃんだから少し話てみたところ、隣にあるのは完全予約制の体験型施設で、その隣にあるのがやはり擬洋風の津金学校ということだった。そこのカフェで食べられるかき氷が美味しいので是非とおばちゃんも言っていたので、ジャムを買った後すぐさまそちらに向かうことにした。

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おお、ここも涼しげかつ褪せた色合いで良いな。玄関手前で脱いである靴たちもイイ

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立派なもんだ。こんな家に住みたい
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早速入ってみる。なんで奥にサトちゃんがいるんだ

観覧料を払った時に応対してくれたおじさんが無愛想な感じだったんだけど、リュック預かりましょうかと言ってくれたのでありがたく預かってもらった。いいおじさんだった。

さて、入ってすぐ右には例のかき氷がおいしいというカフェがあったんだけどそこは最後にして、まずは奥の部屋でやってた個展に入ってみた。しかしながら中は作家さんのお友達がほとんどで和気藹々とした空気だったのでさらっと眺めてから部屋を出て、次は階段を昇って上の階に行ってみた。

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窓からの眺めも長閑で落ち着く

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二階より。更に上があるようだ。ワクワクするっ

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味のある赤の自転車。これは欲しい

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教室の様子。結構ぎゅうぎゅうで机が並んでるけど、当時もこんな感じだったのかな

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ベランダより。これぞ和洋折衷という感じの窓

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ベランダの休憩所。ここはいいな〜優雅だな〜〜

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教室の黒板。ここまで乱雑に描かれてる黒板はあまり見ないかも。左端の「オラ」がちょっと異色で気になる

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教室の横の部屋は展示室になっていた。なんだかんだでこういうのはじっくり見てしまう

旧中込学校の校舎内は結構シンプルな造りだったんだけど、こっちは反対に学校らしい造りというか、前者に比べればちょっとだけ複雑な造りだ。でも規模は旧中込学校の方が広いし、ここの教室の様子を見るに、当時もあんな感じなんだったら学校の規模の割にここは生徒が多めだったんだろか。
しかし爽やかな色が使われているというのは共通してる。これは何か理由があるんだろうか。個人的には旧中込学校と同じく少しおもちゃっぽくて好きだけど。

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しばらく展示物を見た後はお楽しみの3階へ。階段がめちゃめちゃ急だ

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そして一番上に到着すると、そこには太鼓が吊るされていた!

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なるほど、ここは鐘楼ならぬ太鼓楼というわけですか。これは面白い

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太鼓楼からの眺めも最高!

周りの風景もいいだけに眺めは最高だ。当時はこの太鼓の音が里山に響いていたんだろうか。私もこんなところで子供時代を過ごしてみたかったぜ・・・(実際通ってた小学校も良いところだったけど)。しかし心が和みますな。
そうしてしばらく風景を堪能した後、これからカフェに乗り込むぞという意志を告げるために太鼓をドンドコと打ってから一階へ向かった。ううん、気持ち良い。

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太鼓楼を下から

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カフェに行く前にトイレに行こうとしたら途中に無料で本がもらえる本棚があった。原付で来てなければ何冊でも持って行きたかったが

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その後いざカフェ明治学校へ。意外としっかりした食事もできそうだ

カフェの中はお客さんが何組かいたので全体像は撮れなかったけど、古い学校の教室の雰囲気を残しながらもオシャレに仕上げている清潔感漂う空間だった。普通なら私は旅行中にこういうところに来ることはないんだけど、ここは結構好きだな。

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子供向けにお絵かき帳も用意されている。微笑ましいです

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うん、ノスタルジックさもあって居心地がいい

とりあえず私は二人がけくらいのソファに座ってシャインマスカットのかき氷を注文したところ、「すいません、シャインマスカットは売り切れで・・・」と言われてしまったので、桃っぽい何かということ以外よくわからなかったけどネクタリンのかき氷を注文した。

ソファの目の前には本棚があっていろんな本が置いてあったので、適当なのを選んで読みながら待つことにした。晴天の真夏なのに陽射しはやわらかで、店内も人がいながら至って静かだったのですぐに眠くなってしまった。注文したかき氷はなかなか来ず、眠気を我慢しながらの読書にも限界が訪れて私はいつの間にか寝てしまったけど、寝ている私を気遣ってか、ずいぶん優しげな「お待たせしました」の声で眠りから覚めた私だった。時計を見ると大体20分くらいたってただろうか。最高の昼寝だった。
(ちなみに、この時店員さんは一人で接客と料理をしてたようなのでこれだけかかってしまったみたいだった)

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やってきたかき氷がこれ!シロップがビーカーに入ってるのがコンセプトに合っててヨロシイ!

起きたてにかき氷、ありそうでなかなかないシチュエーションだ。しかもその氷も山のように盛ってあるし、食べ応えもありそうで寝ぼけた頭にはちょうどいい刺激となるに違いない!ということで早速シロップをかけていただくと、これが予想外に酸っぱめな味でなかなか清涼感のある味だった。ネクタリンというのはあまりよく知らないけど、もっとこってりとした甘いものを想像していただけに若干残念な気もしたけど、食べて見るとこれもこれで結構美味しい。でも氷の質は以前福島の大内宿で食べたかき氷の方が上かな。いやしかし、この夏の終わりにかき氷を擬洋風建築の学校で食べるなんて、もうそれだけで100点な気分だった。

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ではかき氷も堪能したので出発しましょう。いいところでした

津金学校をを出たらはもう寄るところはなく、後はもう宿に向かうだけ。道も単純だし、何より今日の宿である樹園は初日に泊まった、というか、祭りに行った神社にほど近いところにあるのでなんとなく道もわかる。なので特に迷ったりすることもなく

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あっさり宿付近に到着。こういう道もなんだか久しぶりな気がする

ここを右折してちょこちょこっと行くと、どことなく殺風景な住宅街の中に鬱蒼とした場所があって、樹園と書かれた看板を発見したことで宿に到着したことを知った。周りにはいくつか建物があってどこが宿なのかちょっと迷ったけど、ここはどうやら広い敷地の中に入浴施設つきの宿が建っているらしい。ということで案内にしたがって向かってみた。

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なんか色んな施設があるっぽい。こういうところだったのか

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なんかテニスコートもある。ここは地元民の憩いの場なのかもしれぬ

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並木道を少し歩いて行くと到着!カフェもあるけど、ここが宿のようだ!

なるほどなるほど、よく調べていなかっただけにこれは意外な建物だ。敷地内にはテニスコートやバーベキュー場なんかもあるらしく、宿・・・というか宿泊棟には日帰りの入浴施設やカフェもあるらしい。私としてはこういうところに泊まるのはかなり珍しいことだけど、それだけになんだか新鮮な気分で今までと違ったわくわくがある。民宿や旅館のようなところではないということは知ってたのでそれらに見られる暖かさのようなものは期待してなかったけど、ここはどんな雰囲気を味わうことができるんだろうか。

ということで早速受付に行って名前を告げると、どうやらチェックインは16時からだったらしく(この時の時間は15時10分くらい)、でも部屋の準備はできてるからと部屋に通してもらえることができた。どうもすいませんです。。

やっぱりちょっと事務的なおばちゃんについて行くと、土産やゲームコーナーがあるロビーを抜けて浴室に続く道の途中に客室があった。私の部屋はちょうど曲がり角のあたりで、ドアは金属製でしっかりしているが無機質な感じだ。ここは多分、仕事で訪れた人なんかによく利用される宿なんだろうな。そんな気がした。

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そして通された部屋がこちら!あっさりしてるけど広くてイイね

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清潔さもあってそこも問題なし

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ちゃんとテレビもある・・・・けど机の紙が気になる

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なるほどなるほど、了解した

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アメニティはフェイスタオル・バスタオル・歯ブラシ・髭剃りとちゃんと揃っている

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窓からの様子。テニスを頑張ってる人たちが丸見えだけど、逆に言えば向こうからも、さらには通行人からも丸見えな場所だ。まぁ通行人なんてほとんどいなかったけど

いやぁなるほど、確かに部屋も従業員の方も(民宿とかに比べると)ちょっと殺風景で事務的な感じだけど、そのある種無機的な雰囲気は、自分のプライベートな時間をしっかりと確保できているような安心感が感じられるような気がしないでもない。まぁ私は民宿的な空気の方が好きなのはいうまでもないけど、いずれにしてもやっぱり新鮮な経験でちょっと面白い。

さて、いつも通り部屋に着いて一通り見終わったらしばし休憩の時間なんだけど、今日はそんなにゆっくりもしていられない。なにせこの宿に泊まることにしたのはこの(割と)近くの巨摩八幡宮にて行われている祭りに行くためなのだから、ここであまり時間をくうわけにも行かない。数少ない情報によるとその巨摩八幡宮の祭りでは太太神楽が多分明るいうちに行われるので、今から行けば神楽が見られるかもしれない。なので少々横になって伸びた後、祭りに向けて宿をでることにしたのだった。

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ロビーの様子。なんだか地域の公民館っぽい感じ

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反対側にはマッサージチェア。もしかしたら使うかも

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土産とゲームコーナー。地方の土産物屋はなぜか黒にんにくをよく売ってる印象がある

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何かしら格ゲーかなんかがあったらやったかもしれないけど、これなら遊ぶことはないかな

というわけで少し撮影したあと出発。神社までは道も単純なので特に迷うこともなく10分くらいで神社付近に到着したけど・・・・・提灯もなければ祭りの音もなく、更には人出もないときた。背中に何か寒いものを感じる。。これはまさか・・・・・・。そう思いながら神社にやってくると

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なんにもやってないッッ!!

やっぱりやってない!祭りのまの時もない!左には神楽殿があるのに誰も舞ってない・・・・・!!!
わざわざ有名どころの吉田の火祭りを蹴ってこっちに来たっていうのに、まさかやってないなんてね。もうこの状況からして夜から祭りが始まるなんていう救いの道もありえない。もう今日この日祭りが開かれることはない!!はぁ・・・最悪だ・・・・。

そうして私はその現実を直視するのが辛くなり、すぐさま原付を走らせて宿へと帰還したのだった。
しかし私はまだ納得できなかった。だって祭りの日程はあの神社庁のHPに記載されていた日程なんだから。なので巨摩八幡宮の電話番号を調べて電話をしてみることにした。

prrr….. prrr…..
おば「はいもしもし」
私「あ、すいません、こちら巨摩八幡宮さんの番号でよろしいでしょうか?」
おば「はぁ、そうですけども」
私「あの、ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど、今日ってそちらでお祭りが開かれるって・・・・」
おば「お祭りですか?いえ、今日はありませんけど・・・・、先週なら夏祭りやりましたけど」
私「えっっ!?」

なんと・・・先週だった。。祭りは・・・・先週だった・・・。。。つまり私が先週見ていた祭りの裏で、この巨摩八幡宮の祭りが行われていたのだ。じゃあ私が日程を勘違いしていたということか?あれだけ確認したのにそんなことがありえるか?そう思いながら電話の後祭りの日程を確認してみると、そこには間違いなく今日に巨摩八幡宮の祭りが記載されていた。じゃあ間違えたのは神社庁かよ。。もう全身から力が抜けてしまった。こんなことなら吉田の火祭りに行くべきだった。でもまぁ・・・仕方ないか。こうなってしまったんだからしょうがない。。そう思いながら、私は悲しみの眠りにつくのだった・・・。

大体一時間くらいして目覚めたら気分もある程度すっきりしていたのでじゃあ体も・・・ということで浴室へ向かうことに。ここ樹園は日帰り入浴もできるというだけあって風呂も温泉なんだけど、その質たるやいかがなものだろうか。まぁ温泉じゃなくても少し疲れてるから気持ち良いことは間違いないだろうけど。

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と、その前に外を少し散歩してみた。暑いからなのか外にいる人はほとんどいない

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バーベキュー場。イメージと違ったけど、使ってる人がいないから後でここでゆっくりするのもいいかも
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じゃあ浴室に向かおう。ちなみに突き当たりの右の部屋が私が泊まってる部屋で、左に行くと浴室だ

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いやぁ楽しみだ

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おお、ここは含鉄泉なのか

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脱衣所。エアコンもあるし扇風機もある

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ドライヤーもあった

壁にあった分析表によると、この温泉はナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉とのことで、しかし塩素消毒はしている模様。温泉好きの間ではこの塩素消毒というものは結構ながっかりポイントだったりするらしいんだけど(私もできれば消毒されてない方が好きだけど)、しかし重要なのは入って気持ち良いかどうかだと個人的には思うので、いざ入ってみるまではまだがっかりできない。しかもここは塩素消毒ありとは言え源泉掛け流しらしいから、結構期待できるかもしれない。なのでドアの向こうに広がる風景を楽しみにしながらさっさと服を脱ぎ、いざ浴室へと踊り込んだのだった。

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ほう、こんな感じか!(ちなみに写真は夜撮ったものです)

浴室には何人かのお客さんがいたけど全然空いてる。これなら伸び伸びと温泉を堪能できそうだ。だけど・・・あまり換気がされていないのか湿気が多く、まるでサウナの中にいるかのように暑くて息苦しい!だからなのかわからないけどお客さんは奥の浴槽に集中している。向こうはまだ過ごしやすい空気なんだろうか。
そんな中私はサウナ状態の浴室でざざっと体を洗うと、まずは目の前の浴槽に湛えられている温泉に入ってみた。すると思った通り割と熱めな湯で、しかしさっぱりとして泡立ちも良く気持ち良いことは間違いないんだけど、やはり首から上の世界も同じくらい熱いので「これじゃすぐさまノボせちまうぜ!」と危機感を抱いた私は、入って1分もたたないうちに奥の浴槽へと移動したのだった。

奥は手前と同じくらいの浴槽が二つ繋がったような形で並んでいて、説明によるとこっちはぬる湯らしく、この三つの浴槽はそれぞれ温度が違うとのことだった。しかもこっちは手前のサウナ状態が嘘のように涼しく、まるで天国に感じられるほどだ。これはさぞ温泉も気持ち良いことだろう。

なので早速温泉に入って見ると、その絶妙なぬるさはあたかも大汗をかいた後に食べるかき氷のごとき気持ち良さだった。寒くもなく熱くもない、そしてあがるにはちょっとした決意(この気持ち良さから抜け出す決意)が必要な温度。そして泉質も塩素消毒してるとはいえすべすべして肌触り良く泡つきも良いので、体がその成分に喜んでいるようだった(ちょっと大げさに言ってます)。いやぁこういう施設にしては結構良い温泉なんじゃないでしょうか。結局このぬる湯で數十分過ごしてしまったのだった。

その後だらだらと過ごしていると時間はもう夕食の時間。ここは特に呼ばれたりすることはなく、自分で時間を見計らって食堂に行くというシステムなので、18時30分くらいに食堂に行った。

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食堂の様子

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ちなみに二枚とも翌日に撮った写真です

食堂には風呂上がりらしい親子が一組いるのみで、他の宿泊客の姿はなし。というか、昨日の予約の時点で楽天トラベルでは満室になってたけど、これまで宿泊客らしき人に全く会っていないのがちょっと気になった。部屋のドアに団体名が書かれた紙が貼ってある部屋はあったけど・・・・もしかしたら宿泊客は今日私だけなのかもしれない。こういうこともあるのか。

まぁそんなことはさておき、とりあえず食堂のおばちゃんに来たことを伝えるため「〇〇です〜」と言おうと思ったけど、既にテーブルの上に料理と名札が用意してあったのでそのまま着席。するとおばちゃんがやってきて、これからご飯やら味噌汁やらが運ばれてことを告げて去って行った。なかなか愛想の良いおばちゃんだ。そして

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これが今日の夕食(の一部)だ!

この他に上にも書いたご飯と味噌汁、そして天ぷらなんかも運ばれてきてそれで夕食は全て揃ったようだった。
夕食の第一印象としては、「まぁこういう宿ならこんな感じか」というような感想から始まり、いざ食べてみると思った通り可もなく不可もなくといった味だった。旅の最後を飾るにしては正直量、味ともに満足とは言えないけど、でもまずくないだけまだいいか。おばちゃんもいい人だし、とりあえずペロリンと完食して、のんびりとお茶をすすりながらテレビを見て食後のひと時を過ごした。

そうこうしているうちに目の前で団欒の時を過ごしていた親子連れもいなくなったので私も食器を片付けて部屋に戻ろうかと思ったけど、実はまだ祭りを諦めきれていなかった私は食堂のおばちゃんに「ここらへんでどこかお祭りやってたりしませんか?」なんて聞いてみたところ、そこから実に30分以上も続く雑談が始まった。客も私以外いなかったからおばちゃんとしてもちょっと暇だったらしい。

とりあえず自分は原付でここまで来る間に長野を周って来たんだなんて話すと、おばちゃんは「そんな人見たことないです。写真撮らせてください」なんて笑いながら、自分のことを色々と話してくれた。
中でも気になったのは、このおばちゃんは数年前まで旦那さんとそこそこ名の知れた山荘を経営してたということ。結構テレビや雑誌なんかに取り上げられて有名だったらしいけど、旦那さんが二回心筋梗塞を患ってしまって、命には変えられないということで山荘を畳んで山を降りて、今はこうして食堂のおばちゃんとして働いてるんだとか。なのでちょっと気になって山荘の名前を聞いてみたけど、おばちゃんは「もうやめちゃったからいいかな〜」なんて言いながらも結局教えてはもらえなかった。これは気になる・・・・でも言う気がないのを無理に聞くのも失礼なので二回くらい粘ってやめておいた。

その後もおばちゃんの趣味の話とか山梨でおすすめの釣り場(旦那さんが渓流釣りをするらしい)とかを話した後、宿の従業員の男の人が食堂を閉め始めたので私たちも話を終えて部屋へ戻ったのだった。思いがけず楽しい話ができて私の心もほっこりしたんだけど、結局祭りはやってないようだったのでようやく私も完全に諦めたのだった。

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部屋に戻る時にお土産コーナーで見つけた品。なんとなく買おうか迷ったけど、なんとなくやめておいた

その後部屋に戻ってからは布団に横になってダラダラと本を読んだり少し散歩に行ったりすごす。もう明日は家に帰るから宿の予約をする必要もない。さすがに十日間近くそういう生活をしていると、明日家に帰ってそこからまたいつもの日常が始まるというのが逆に非日常のように思えてくる。今思えば短い夏休みだった気がするけど、それが今では自分の日常に感じられてしまうくらい体に馴染んだ旅だったんだろう。それが明日終わってしまうとはなんとも寂しい気持ちだった。でもそんな気持ちも嫌いじゃない。なので夜はバーベキュー場の椅子に座って景色を眺めたりして、たっぷりノスタルジックな気分を味わったのだった。

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その後夜のロビーでもまったりした。やはり夜の静まり返った空気はイイ

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トイレ前の洗面所。さて、もうちょいしたら寝るとしようか

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一応トイレの様子もパシャリ

というわけで本を読むにはちょっと眠たくなってきてしまったので、早いけど就寝することにした。明日は帰るだけとは行っても距離はそこそこある。今日はたっぷりと体を休めるとしよう。

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そしておはようございます。最終日も晴天!

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いい眺め。稲の匂いも心地いい

起きたのは7時すぎごろ。朝食は8時までなので、外に出てちょっと頭を起こしてから食堂に向かった。
朝もやっぱり客は私一人。そして食堂のおばちゃんは昨日と同じおばちゃん。なので挨拶がてら二言三言言葉を交わしてから朝食をいただいた。

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これがこの旅最後の朝食!

この宿は朝食を洋食か和食か選べるんだけど、私は電話予約の際に洋食をお願いしていたのでこのメニューとなっている。これまで朝は和食オンリーだったから朝から洋食というのはなんだかちょっと新鮮で美味しそうだ。

早速食べてみると、パンは温かくはないものの甘さがあって非常によろしく、その他メニューも強い味がするものはないので全て美味しくいただくことができた。うん、朝から洋食も悪くない!たまにはペンションなんかに泊まるのもいいかもな、とちょっと思ったりもした。

食後はコーヒーが飲めるので、今日も食後はテレビを見ながらコーヒーをゆっくり飲んで過ごす。そして時折おばちゃんと話しながら、何かお土産を買うのに良い店はないかとか聞いたりして最後のおばちゃんとの会話も楽しんだ。おばちゃんとは昨日仲良くなったばかりなのに別れを寂しがってくれたりして、私としてもちょっと嬉しくも寂しい気持ちになってしまった。このおばちゃんとはまた会いたいけど、果たしてまたこの宿に泊まることがあるかと思うと・・・どうなんだろう。でも、温泉に入りに来る可能性は十分にありえるからまた会えるかもしれない。なので「また来るよ。それまでここで働いててね(笑)」と言って気持ちよくお別れしたのだった。

そうして部屋に戻ってからはもう帰宅へ向けての支度のみ。ということでささっと誰もいない貸切状態の温泉で30分以上ぬる湯を堪能し、その後帰り仕度を整えて出発の準備は整った。

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一晩お世話になりました!

ということで再び食堂のおばちゃんに手を振って、無事清算を終えたらあとはもうずっと原付に跨るのみ。これまで安全無事に乗ってこられたんだから最後まで油断禁物と気を引き締め、途中うどんやら酒やらを買ったりしながらひた走ると、17時過ぎくらいには無事家に到着した。今回の旅もこの我が愛車はよく頑張ってくれた。そんな相棒に感謝しつつ、2018年の夏休み旅行は幕を閉じたのだった。


※ 今回の夏休みの旅も、なんと約一年もかかってようやく投稿を終えることができました。いつもながら書き終えてから振り返ってみると「このくらいもっと早く終えることができたんじゃないのか」と思わないこともないけど、忙しかったり気分が乗らなかったりと色々ある日々を過ごして来た結果がこれなので、まぁしょうがないんだと思います。が、そんな投稿頻度がバラバラな中最後まで読んでくださった方には感謝しかありません。どうもありがとうございました。


※※ ちなみに今回泊まった樹園という宿、やはり私がいつも泊まっている民宿や旅館などとは違ってちょっと温かみに欠けるところはありましたが、居心地は決して悪くなかったです。温泉の質もいいし、うるさかったり不潔だったりすることもないし、中々過ごしやすいところだと思います。ただやっぱり私は宿の人との距離が近い宿が好きなので、ここにまた泊まるということはないかもしれません。でもこの付近にはお堅い感じのビジネスホテルとかが多いので、こういう宿はある意味貴重なのかも。まぁなんにせよ、色々言ったけど泊まれて良かった宿でした。

樹園 : 一泊二食付き 7150円
詳細

  1. 十六夜 より:

    こんにちは、旅の最終日読ませていただきました。
    2日目のお祭りで、昔を懐かしんでいるネギさんに自分も重ねていろいろ思い出しました。
    簡単に振り返ると、早かったなぁと思うのですが、
    ひとつひとつ、自分には歴史があるのですよね、子供会のキャンプやお囃子とかやったなぁ、準備お手伝いしたり、友達とキャッキャしたり、太鼓たたいたり。
    ネギさんがお会いしたお子さんもそうやって大人になって思い出したりするのでしょうね。
    次のお祭りは残念でしたね、もしかしたら去年の文章をそのまま使ったりしてたのかも、お宿のおばちゃん、きっとネギさんとのお話楽しかったのでしょうねー。
    また会いに行きましょう!
    そいや、私の愛車も11年間、22万キロ走ってくれて先日お役を終えました。
    今年の8月が車検なので、あと2年?イケる?
    もう22万キロだし、今は故障とか無いけど突然くるかも・・・ということで新しいコを迎えました。
    同じ車種の新しいコです。色も一緒。
    ただ、11年の車の進化にはおののいてます。
    先代のコ以上に共に走ってくれるといいなとおもいます。

  2. ネギ より:

    >十六夜さん
    どうも遅くなってしまってすいません。コメントありがとうございます( ^ω^)
    そうですね、祭りとかを見つつそんな自分の歴史を振り返りながら、もし自分がここに生まれていたら、この祭りの氏子だったら、なんて考えるのも楽しいんですが、やはり十六夜さんと同じくこれまでが早かったなぁと一番感じてしまいます。子供と接すると、この子は今自分と同じ時間を過ごしているのに、体感している時間の長さは全然違うんだなぁと不思議な気持ちになります。
    十六夜さんの文を読んでなんだかノスタルジックな気持ちになりました(笑)
    おばちゃんはもっと楽しい話を持ってそうだったので是非また会いたいです。あのおばちゃん以外にも久しぶりに会いたい宿のおばちゃんとかもう一度行きたい宿があるので、たまには再訪するのもいいかもしれません。
    しかし22万キロというのは結構凄いんじゃないですか?車を持ってないのでよくはわからないですけど、それだけ長い間同じ車に乗ってたら新車の性能は大分違ってそうですね。私も10年近く乗った初代の原付から2台目に乗り換えた時は色々と驚いた記憶があります。新車に乗るとそれが面白くて、別に目的もなくついそこらへんに走りに行きたくなるんですよね。
    まぁなんにせよ、新車おめでとうございます。前の車も思い出が一杯あったでしょうけれど、新しい子でもこれから良い思い出が作れたらいいですね( ^ω^)楽しそうです。
    ちなみにどうでもいい話ですけど、もし私が車の免許を手にする日が来たなら、車はワーゲンバスを買いたいです。

  3. 十六夜 より:

    こんにちは!あっついですね!
    こんなときには温泉ですよねぇ、今年ももうすぐお盆休みですね。
    ネギさんはどこに旅に出るのでしょうか。
    レポ楽しみにしております。
    やっとこさ今の車に慣れてきました。今の車はノートのe-powerって車なのですが、最大に元の車と違うのは、アクセルを離すとブレーキがかかること、ブレーキを踏まずとも車が止まるのです。
    すごい進化・・・
    ワーゲンバス可愛いですよね!こちらでもよく見ますよー。
    もし車となったら、ワーゲンバスだと車中泊なんかもできちゃいますねって思ったのですが、本末転倒になってしまう・・・
    やはりネギさんにはいろんな宿行っていただきたい。
    暑い日が続きますが、体調気をつけてくださいね。