7月20日から一泊二日で三浦半島に旅行に行ってきました。
かなり長くなってしまったので流し読み推奨です。
宿に着いたところから読みたい方はこちら
今回は友人のツゲと一緖の旅行。三浦半島は前からツゲと行こう行こうと行っていたんだけど、ようやく日程が合ったので行くことができた。
私個人としては三浦半島は子供の頃にキャンプで来て以来(だと思う)、ツゲに至っては人生初の三浦半島だというので結構楽しみにしていた旅行だ。
しかし今回は鬼熊がおらず、さらにツゲは車やバイクは怖いから乗れない(運転したくない)ので電車での旅行となったのだった。
さて、じゃあ三浦半島自体をどう回るかというと、まぐろ切符という電車とバスに乗り放題、そして昼飯も食べられるという凄くお得な切符を京急が販売してるんだけど、バス移動となるとちょっと面倒くさいのでレンタサイクルで移動しようという考えに至った。終点の三崎口駅に電動自転車のレンタルがあるのでとりあえずそこまでは電車移動なので、当日の朝ツゲと7時30分に待ち合わせし、1時間半くらいかけて三崎口駅に到着した。途中からだんだん畑やら山やらが見え始めて夏を感じる私とツゲだったが、今年は猛暑が続いているので一体今日はどうなることやらといった感じで少し不安混じりでもあった。
三崎口駅到着!平日でもちょこちょこ観光客がいるっぽい
青い空に適度な風が最高だけどやっぱ暑いね。。
最初はツゲと「なんか東京とは暑さの感じが違うな。すこ〜しだけ涼しくていいじゃん」なんて言っていたけど、数分したら「やっぱ暑いな!」と早くもじわりと汗がにじんでいるお互いを見ながら苦しみ始めていた。
レンタサイクルは駅改札を出たらすぐにあったので、早速自転車を借りることにした。中に入ると若干暇そうにしてた店員さんが愛想よく対応してくれた。
今日は城ヶ島に泊まる予定なので1日レンタル(1500円)にして、二つほどある乗り捨て場所の一つである城ヶ島のポートまで乗ることを告げる。そして私たちが予定しているルートを言った上で「城ヶ島までどのくらいかかりますか?」と聞いてみると「最短の道で行けば1時間くらいで行けますけど、このルートですともうプラス30分くらいですかね〜」とのことだったら。どうやら三浦半島は思っていたより狭いらしく、私たちのルートでも自転車で全然周りきれそうだった。ちなみに「ここから三崎の方までは坂が多いからまだ楽ですけど、帰りはバスの方がいいですよ。電動でも漕いでることには変わらないし、この暑さですから」とのことだった。まぁ明日のことはなんも考えてないし、今日走ってみてそこらへんは考えてみよう。
で、さっきから書いている予定しているルートというのは、この三崎口駅から半島を反時計回りに半周走って最後は城ヶ島というルートだ。途中いくつか寄りたいスポットがあるけど、それもこれからの暑さと体力でいくらでも変わってくる。
というわけで自転車をレンタルして気楽に出発。自転車での旅行なんて滅多にしないので、結構楽しみにしながらスタートした。
自転車置き場。着くまでは「もうレンタルされきって借りられなかったらどうしよう」と思っていたけどまったくの杞憂だった。平日だしね
自転車とツゲ。自転車は思ったより小さかった。ツゲが「これ充電持つの?」と心配していたけど、多分大丈夫だろう(適当)
出発!周りはいきなり畑が広がっている。さすが三浦野菜で有名な土地だ
暑いけど風が気持ちよくて、しかもそんな中わざわざ自転車に乗っているという状況がなんとなく青春っぽくて中々に爽快だ。これは楽しい1日になりそうだと感じはしたけど、大して進んでいないのに早速汗が噴き出してきている。熱中症に気をつけなければ。。
しかし電動自転車には初めて乗ったといってもいいくらいなんだけど、これって常に軽いってわけじゃないようで少し坂があったりしたらアシストしてくれるという感じでちょっと意外だった。電動自転車ってそういうもんなのかこれがそういうタイプなのかはわからないけど、とにかくめちゃくちゃ楽というものではない。店員さんが言ってた「帰りはバスがいい」という言葉に従おうと早々に心に決めた。
さて、そんな感じで出発したんだけど私は早速寄りたいところがあった。それが
ここ、ミヤサカのタネ
実はしばらく前から園芸にハマっていて今も色々育ててるんだけど、ここで秋用に三浦大根の種を買おうと思って寄らせてもらった。苗は何か面白そうなものがあったら買おうと思ってたんだけど時期的に野菜苗はなかったので、結局黒崎三浦という大根の種(500円)を購入。無事買えてよかったし、品揃えもいいのでこんな店が家の近くにあればと思った次第だった。
ちなみにお土産として三浦の野菜もいくつか買って帰りたいと思っていて直売所を結構調べたんだけど、調べていた以上に直売所ってそこらへんにあるのでありがたい。三崎口駅から大して離れてないところでも既に3箇所くらいあった。しかし今買うわけにもいかないので直売所だけチェックして次の目的地に向かった。
じゃあ次の目的地はというとそれは湧き水ポイント。調べたところ半島の三崎口駅から下は一箇所だけ湧き水が湧いていたので、駅からもそう遠くないこともあって要チェックポイントとしていた(湧き水好きなので)。早速喉も渇いてきていたのでちょうど良いので、マップを見ながら湧き水へと向かう。
道を下って行くと引橋というY字路に着き、そのすぐそばに三浦はまゆうオリーブという店がある。その脇にどう見ても地元民くらいしか通らなそうな脇道があるのでそこを行くと湧き水ポイントに着くんだけど、脇道に入るといきなり急坂なので注意が必要だ。私とツゲも「これ自転車降りなくて大丈夫か?」なんて言いながら効きの悪いブレーキを思いっきり握りながら下っていった。ちょっと怖かった。。
そんな感じで恐々としながら住宅街の坂を下って(日陰で結構気持ちが良い)いくといきなり周りが田んぼになって、そこから少しいくと目的の場所に到着した。この湧き水は水間神社という小さな神社の真下から湧いているとてもとても綺麗な水だった。
到着!社はごくごく小さな造りだ
もうちょっと来るのが早かったら蛍も見られたんだろうか。まぁ夜にここに来ることはないだろうけど
湧き水の近くには柄杓や水汲みのための漏斗がわりに、切られたペットボトルがぶら下がっている
結構汲みに来る人がいるんだろうな
私もツゲももう汗だくだったので一目散に湧き水へと直行した。ここは蛇口やホースから水が出てきているわけではなく、水底から文字どおり水が湧いているのだ。しかもものすごく綺麗な。
めっちゃめちゃ透き通ってる
場所柄というか季節柄というか、周りは何か虫が飛んでるけど水自体は物凄く澄んでいる。ツゲが早速飲んでみると「ウン、ウマイ」と淡白に褒めたので私も飲んでみると、この暑さなのに結構冷たくて喉越しが良くて美味しい!これは来た甲斐があった。帰りが凄くキツそうだけど来てよかった。そう思いながら二杯くらい飲んで、持って来た水筒に湧き水を満タンに入れて汗がひくまでしばらく休憩することにした。
周りの様子。気温はどんどん上昇している
持参したうちわを交代交代で使いながら涼んでいるとツゲが「ヒトが来た。」と立ち上がったので私も道を空けるために立ち上がると、車に灯油タンクを沢山積んだおじさんが水汲みのためにやってきたところだった。
とりあえず「こんにちは〜」と声をかけるとおじさんもにこやかに「ああ、こんにちは」と返事をしてくれて少し雑談が始まった。
おじ「この暑いのに自転車で来たのかい?どっから来た?(こう書いてるけど実はちょっと訛ってた)」
私「東京からですけど三崎口駅で自転車借りてそこから走ってきました。」
おじ「あ〜あそこでね。しかしよくここがわかったね。前も来たの?」
私「いや、初めてです。湧き水好きなんで調べてきました。」
おじ「いやぁよく見つけたもんだ。しかしうまい水飲んでも戻るのが大変だな(笑)」
なんてその後も色々楽しく喋ってから「熱中症ならんように気をつけて楽しんできてな」と笑顔で見送られて出発。とても良いおじさんでした。
じゃあねおじさん!
ということで今度は急坂を登ることに。いかに電動自転車とはいえあの坂は無理だろうとツゲと話し合っていたけど、頑張ればなんとかいける感じだった。それでも結構きつかったけど。
坂とツゲ。写真では大したことないように見えるけど中々キツイ坂だ
大通りに出るにはまだ遠い
せっかく汗もひいたのにまたすぐに汗がでてきてしまった。それでも頑張って登って(でも最後は心折れて押して登ったけど)大通りへ復帰した。
さて、ここからはほど近いところに小網代の森という有名なハイキングコースがあるので一応チェックポイントとしておいたんだけど、この暑さなので正直キツそうだ。でも中々良いところみたいなので行ってみたい気もする。ということでツゲと相談すると「じゃあ入り口まで行ってみて決めよう」ということになったが、ツゲはそこはかとなく(体力的に)行きたくなさそうなのが伺える。なにせ奥まで歩くと2,30分くらいあるというんだから当然だ。でも折角なので入り口まで行ってみた。
案内に従って進む。入り口手前には店があるようだ
この左の道を行くと小網代の森に入るようだ
ここで「どうする?」とツゲに聞いてみると「やめよう。明日にしよう。」と明日来る気もないのに適当なことを言うツゲだったけど、私も「うん、じゃあ戻ろう」とツゲに調子を合わせて賛成した。だってここまで大した距離でもないのにもう汗だくだったんだもの。こんな中歩いたらどうなってしまうのか、悪い未来しか見えない。
というわけで小網代の森はまたの機会にということでツーリングを再開した。予定していたルート通りに行けば次は油壺のほうに行くことになる。けれど道を完璧に記憶しているわけではないので、油壺方面を目指して道は適当に進んでいった。
三浦は小高いところが多くて気持ちいいね
何か気になる石像群があったけど風が気持ちよかったのでそのままスルーした
ここらへんはほとんど坂だったから特に漕ぐこともなく全身に風を浴びて進んで行く。汗も少しづつ引いていって、この夏らしい天気と景色を十分に楽しみながら油壺へと向かっていった。すると
海が見えた!
スイスイ進んで行くと小さな湾が見えてきた。ここが何湾なのかはわからないけどようやく海にたどり着いた!私とツゲも一気にテンションが上がる。暑いから私とツゲは泳げそうならそのまま海に飛び込むつもりだった。
またそれなりに急な坂道を下ると小さめな港町に出た。民宿なんかも数件あるようで、その他飲食店もいくつか。観光客は全然いないけど、今回の旅行で初めての海はやっぱりテンションが上がる!
ここで一休みというのもいいかもしれない
奥のほうに見える森が小網代の森だろうか
海を見つめるツゲ。ここらへんは港なのであまりザブンといく感じではなさそうだ
この港に入るとおじさんが一人いて「こんにちは」と挨拶してきてくれたのでこちらも挨拶すると「ボートに乗りに来たの?」と聞いてきた。
「いや、ただなんとなく寄ってみただけです」と返すと「11時半からボートが出るからどう?無料だよ」となんとも魅力的なお誘いが。ボートに無料で乗れるとあっては乗るしかない。今現在の時刻は11時15分くらい。少しどっかぶらついてればすぐに時間は過ぎるだろう。ということで「じゃあ乗ります!」と前のめりで返事をすると「じゃあ時間まですぐそこの白髭神社にでも行ってくるといいよ。社の手前の石を叩いてきてごらん」不思議なことを言うので、その提案にのって白髭神社に向かうことにした。
しかし予定にない場所にたまたま寄ったらこんな素敵なイベントが待っていたとは。今日は凄くついてる感じがしてきた私だった。ちなみにこの時は知らなかったけど、この場所は小網代湾にある小網代港というところだった。
なんか凄く平和な風景の中進んで行くと
すぐに白髭神社についた。今日は祭礼の日なんだろうか。それなら是非見てみたいけど・・
雰囲気の良い神社です
初めて見る手水舎。海辺らしくて面白いけど、これは本当の貝なんだろうか
参拝するために手水舎で手や口を洗ってから境内に入ると、社殿からおじさん二人が降りてきた。「こんにちは〜」と挨拶すると「こんにちは〜。小網代の森は行った?」と陽気そうなおじさんが返してくれた。「いやぁ暑いからやめちゃいました」というと「折角だから寄って行きなよ、そこ曲がったらすぐだから」と言っていたので話を聞くと、この白髭神社の手前の道を曲がると小網代の森に行けるそうだ。どうやら入り口はいくつかあるらしい。とりあえず「じゃあ後で行ってみます〜」となんとなく返事をして別れて境内の散策を続けようと思ったら、後ろから「今日は富士山が見えるんだよ、気づいた?」とまたさっきのおじさんが声をかけてくれた。こっから富士山が見えるのか?と思いながらおじさんの方まで行くと、確かに富士山が見えた!
かなりわかりづらいけど写真中央にうっすらと見えている
肉眼では結構はっきり見えた富士山。どうやら夏のこの時期に富士山がはっきり見えるのはちょっと珍しいらしい。海から眺める富士山というのもいいもんだ。やっぱり今日はついている。
その後富士山をみた後は再び境内へ。
やっぱり今日は何かあるようだ。じゃあさっきのおじさん二人は祭りの関係者か
そしてこの社殿の横に、ボートのおじさんが「石を叩け」と勧めていた例の石があった。
その名もカンカン石
この上に乗っかってる石で叩いてみると、まるで金属を叩いてるかのような甲高い「カンカン!」という音が名前の通り響いた。これはちょっと面白くて、ツゲも「オオ」と驚いている。こんな石に出会ったのは初めてかもしれない。結構何度も音を鳴らして遊ばせてもらった。
(後でボートのおじさんから聞いた話によると、この石は鉄分を多く含んだ珍しい石らしく、そのむかし船の錨として使っていたようだ)
その横にはなぜかカマドがあった。これも祭りで使うんだろか
社殿内部。絵に描いてあるのは長安寿老人という中国の神だという。初めて聞いた
参拝するツゲ(私も参拝しました)
参拝を終えると時間もそろそろ頃合いになっていたのでさっきのボート乗り場に向かった。
おじさんは私達を待っていてくれたようで、その間にさっきいなかったおじいさんが一人加わっていた。おじさん(この先船頭さんと呼ぶ)によるとどうやら常連のおじいさんで写真家らしい。その他は誰もいないので、私たちは自転車を停めてすぐにボートに乗り込んだ。
ボートと船頭さん
これから航海が始まる!
ボートに乗ってライフジャケットをつけたらいざ出発。の前に、船頭さんが少しだけこのボートについて説明してくれた。
その話によるとこのボートは海洋大学が開発した充電式の非常にエコなボートであり、船底が真っ平らでウォータージェット式というプロペラを使わない推進方法を採用することによって、普通の船では入っていけないような場所にも行くことができるらしい。
それで、今後の研究のために実際に使用する中での様々なデータを取るために、この小網代湾で無料で客を乗せて走っているんだそうな。
このボートは毎週金曜日にだけ運航しているようで、私たちはたまたま立ち寄ったことで運良く乗ることができたようだ。調べてもあんまりこの情報は出てこないので、ちょっとレアなんじゃないだろうか。
とまぁそんな感じで説明を終えたらいざ出発。無料といっても5分10分の船旅というわけではなく30分くらい乗せてくれるらしいので、私もツゲもめちゃめちゃテンションが上がっていた。
海風を感じるツゲ
かなり良い人な船頭さん
まずは湾奥の小網代の森方面に進んでいく。ここから船頭さんと写真家のおじさんが最後まで色んなことを話してくれたんだけど全部書くのは大変なので、気になった方は自分で行ってみてください。ともかく風を切って進むボートの気持ち良いこと!マイボートを持ってる人の気持ちが痛いほどよくわかるなこれは。めちゃくちゃ爽快な気分だ。
真ん中あたりのオレンジ色の花のすぐ横には洞窟があった。じゃあどういう洞窟なのかというと、自分の目と耳で確かめてきてください
こんな顔してるけどかなり楽しんでいたツゲ
港の対岸には写真にもある通りいくつも別荘がたっていた。当然船でしかアクセスできない。こんな別荘を持ってる人はどういう人なのかと船頭さんに聞いてみると、中には芸能人の別荘なんかもあるらしい。それともしこの家が火事にでもなろうものなら土地ごと没収されてしまうのだとか(理由は忘れた)。そんなことがあるんだろうか。
いろいろ大変そうだけど、こんな別荘持ってみたいなぁ
この四角錐の建物は故萬屋錦之介の別荘だったらしいが、今はもう人の手に渡っているという
写真には残してないけど港の方には堺正章のお店のような別荘もあったりした。ここはそういう金持ちが暮らしたり別荘を持ったりする土地のようだ。ヨットハーバーもあるし、ここはそういう世界の住人のための場所なのだ。だからこそちょっとそんな世界を覗き見ている非日常的な感覚を存分に楽しむことができる。おまけに今はボートにまで乗っているのだから尚更だ。
マイボートで楽しむ家族も。楽しそうに手を振ってくれた
名前はわからないけど小規模でよさそうなビーチ。後ろでは船頭さんが加山雄三の光進丸を歌ってくれていた
こういうヨットハーバーがある。船頭さんはこのリヴィエラリゾートの社員だったようで(ちょっと曖昧だけど)、この白壁は昔社員だけで塗ったらしい。とんでもない作業だ
このヨットハーバーにも寄港するので、ここで乗ったり降りたりすることができる。しかし乗客は0だった。ちなみに写っている人は写真家のおじいさん
これはヨットクラブの会員だけが使える海上滑り台らしい。他にも海の上を走れる自転車なんかもあった。金持ちはこんな遊びもできるのか
ということで湾内をぐるりと一周して船旅は終了となり、最後船から降りたら写真家のおじいさんが私たちと船頭さんの写真を撮ってくれた(別に写真を貰ったわけでもないけど)。船頭さんも写真家のおじいさんも凄く良い人で、海風をあびながら沢山面白い話を聞かせてくれて私もツゲももう大満足。これで無料なんだから言うことなしというか、もう感謝しかない。ここが今日のハイライトで決まりだね。いつまでやってるかわからないけどもの凄くオススメなので気になった方は是非どうぞ。
もらったチラシ。こんな感じで運航しております
ここが待合所。下船したらボートに乗ろうと一組だけ待っていた
その後神社であったおじさんの勧めに従って一応小網代の森に行ってみることに。森へと向かう道は白髭神社手前から伸びていて、森の木道まではしばらく砂利道が続いていたけど歩くのも嫌なので自転車で進んだ。
ここから先が小網代の森のようだ
日陰でも暑い
そして木道へ
ここから行くと小網代の森の一番奥にすぐに行けるのでハイキングが嫌な人はここからがいいかもしれないけど、多分その道中に面白みが沢山あるんだろうとは思う。でもこの暑さでは楽しむことは難しそうだし、やはりここからでも暑いものは暑い。というわけなので少しばかり進んだところで私もツゲも音をあげて足は自然と来た道を戻っていくこととなてしまった。いつかここにくる時は春くらいがいいかな。。
良いところではあると思うんだけど・・・
さっきボートに乗っていた時が嘘のように再び汗だくになってしまった私たちは、その後腹も減ったので近くの彦十というラーメン屋に向かうことにした。この小網代港には坂を下ってきたから当然元来た道に出るには坂を登らねばならないので最後の一踏ん張りだった。乗ってるのが電動自転車じゃなかったらきっと命を落としていたことだろう。
というわけで頑張って坂を登ったら彦十はすぐそこだったのでちょっと漕いだらすぐに到着した。時間は12時を過ぎていたけれど客は誰もいなかった。
美味しいといいけど
店内とツゲ
店内の涼しさにホッと胸をなでおろす私たち。店員さんも愛想が良いし、飯を食べ終わってもしばらくここで休むのもいいかもしれない。なんせツゲなんかは普段運動もしてないし自転車に乗ることもないようなので「ケツが痛い」と早くも苦しんでいたくらいなので。
腹ペコな私たちはささっと頼むものを決めて飯が来るのを待つ。こんだけ汗をかいたんだからラーメンの塩気が体に染み渡るはずだ。早く来てくれ昼飯よ、思っていたら
客も私たちだけだったのですぐに運ばれてきた。私は焼肉丼のセットでツゲは生姜焼きのセット
早速餓鬼のごとく目ん玉ひんむいて飯にむしゃぶりつく私たち。ラーメンは昔ながらのあっさりしたラーメンだけど塩気(重要)が丁度よく、焼肉丼も味が濃いめでこれまた運動後の体に非常にマッチした味わいだった。量も結構あるので十分満腹になりそうだ。そんなわけで私もツゲも一言も発することなく、店内に響くテレビのニュースをBGMに飯をたいらげたのだった。
食後しばらくは、すっかり意気も回復した私たちはちょっとのんびりした後に彦十を出発。これからは油壺をまわって三崎に行き、少し観光したあと城ヶ島の宿へ行けばゴールとなる。自転車を返す時間は16時がリミットだったので、まぁそれには間に合うだろう。
彦十へときた道を戻るようにして進んでいくとその奥にはかの有名な油壺マリンパークがある。とりあえずそこまで行くことにしたんだけど、ここらへんは特に観光するようなところはなさそうな感じ。宿とかはあるけど、多分道を外れるとボートに乗った時に見たような小規模なビーチがあったりするんだろう。油壺に来る人の目的はマリンパークかそういうビーチにこそありそうだ。
大きめのホテル
油壺マリンパーク。平日でもそこそこ人がいそうだ
この油壺マリンパークに男二人で行く気もないのでスルーし、代わりに左に道が続いていたので行ってみると駐車場があって行き止まり。しかしその先へは歩きで海に出られそうだった。
「ちょっと行ってみる?」と聞くと「行ってみようか」と返すツゲ。既に足がヤバかったみたいだけど誘えば基本的に断らない男(小網代の森は例外)なのでこういう時こそありがたい。
先は海なのでこの道を行けばビーチに出るはず
やっぱりあった!
この細い道から広い海に出る眺めは凄く好きだ。まぁ道自体は特にどうというほどのものでもないんだけど。
おお、結構開けたビーチだ
ツゲは足にきてるので歩みが遅くなっている
ビーチの向こうの方にはレストランというか海の家みたいなものもあるけどほとんど人がいない。明日には混雑するんだろうか。でも周りの磯には日焼けしたりのんびりしたりしてる人もちらほらいて思い思いに過ごしている。しかし私たちは城ヶ島の浜辺(?)で優雅に一泳ぎしようと彦十できめていたのでここはささっと見る程度にとどめておいた。
ここらへんでも結構綺麗なんだね
というわけで少しあたりを散策したら早くも出発。あんまり予定外のところで時間を使うと自転車を返す時間に間に合わなくなりそうだし。
なので来た道を戻り、南へ向かう道に入って南下していった。
さっきのホテルの手前にあった民宿。ここも悪くはなさそうだけど
こっちの宿も捨て難いよさがある。でも営業してなさそうだけど
途中こんな奥へ続く道も。ここもきっとビーチかなんかに続いているんだろう。かなり気になったけど暑すぎるためまたの機会に。。
南へ進むと坂だったのでツゲが気持ちよさそうに私を追い抜いていった。確かにここは最高だ
名前はわからないけどまた小規模な湾があった。景色の良さと風に今まさに夏を感じている
その後少し上り坂になったものの今まで降ってきた勢いもあるしあまり問題にはならなかった。汗もすっかりひいている。この気持ち良さが自転車のよさなのかもしれない。ただこれまでに絶対一キロは減ってるんじゃないかってくらい汗を流したけど。
小金持ちが住みそうな住宅が。なんだか新しく造られた住宅地(別荘地?)といった感じ
途中かき氷でも食べようとチェックしておいたOMOYAというお店だけど、なんだか車が沢山とまっていたのでやめといた
いきなりあった鳥居と石祠のようなもの。看板を見るに北原白秋に所縁のあるものだろうか
そんな感じでこの後再び湾を抜けるともう三崎についてしまった。やっぱり三浦半島はそれほど広くないようだ。三崎にこんなに早く到着するとは、途中に気になる脇道がいくつかあったので入ってみれば良かった。
三崎に入るとまず倉庫が立ち並んでいる場所に来たけど、そこから少し進むとすぐに観光地に出た。ここもやはり人は少ないけど、この暑いのに人が多くてはかなわないのでそこらへんは助かった。多分店もすいていることだろう。
ということでまず大きく目に付いたうらりなる建物に入ってみることにした。
道の駅的な場所のようだ。こういうところはわくわくする!
少し遅れてツゲも到着
その目の前にある素晴らしい建物の三崎館本店。ここは宿泊もできるのでいつか泊まってみたい。ちなみに昔トロと休日というゲームがあって、ゲーム内で主人公の猫(トロ)がここに泊まっていたのをよく覚えている。三崎が舞台のゲームだった
うらり内部に入ると一階はゲームコーナーがあって、その奥に魚を売っているフロア、二階に野菜を売っているフロアがあった。魚フロアはあまりに人がまばらで写真を撮るのも憚られてしまったので写真はありません
二階には野菜がたくさん!
二階は野菜売り場のほかに休憩スペースやカフェ(テイクアウトオンリー)、パン屋なんかもあったりしたけどやっぱり野菜売り場に直行してしまう私。普段好んで野菜を食べたりしない私だけどこういう地元で採れた系のものには滅法弱いのでかなりワクワクする。良いのがあったら買って帰ろうと思ったけど、買うことが自体が目的なのでどう食べようかなどは全く考えないのが我ながら浅はかなところだ。
三浦はスイカも有名なので沢山売っている。欲しいけど重い!
売り場には一般的なナスやらししとうやら大根なんかのほかにも、地元で採れた美味しそうなメロンやスイカが沢山売っていて、それぞれ食べごろや生産者の名前、場所なんかが書かれたシールが貼ってあった。
実は私は必ずスイカを買って帰ると心に決めていたので売り場の様子をみて一喜したけども、さすがに今スイカを買うわけにもいかない。かといって明日ここに立ち寄った時に買いしめられて売り切れていたなんていうのも悲しい。じゃあ駅近くにあった直売所で・・・といってもそこで売れ残っている保証もない。悩ましいところだけど、今買って暑さでダメにしてもしょうがないので、明日寄った時に残ってることを祈って今買うのはやめておいた。
ツゲはもともと何かを買うつもりはなかったようだけど、ツゲの奥さん(実は既婚者なツゲ)はこういうの買ってくと喜ぶよと適当なことを囁いたら野菜を買って帰ることにしたようだ(実際喜ぶらしい。そして一応私は奥さんとも友達)。でも同じく今買うのは危険なので明日またここに寄って買おうと提案しておいた。
でもここで休憩するのでとりあえずこれを買った
外の休憩所で一服。このサイダーが結構美味しくて、海風をあびながら飲むのはなかなか爽快だった
休憩中ツゲとこれからのルートを話し合ったけど、私が行きたかった場所のいくつかは時間的な都合で厳しいだろうということで、結局三崎の街を軽く観光して城ヶ島に向かうことにした。三浦はまだまだ楽しく周れそうなところが沢山ありそうだったので、行けなかった場所は次の楽しみにとっておくことにしよう。ということでサイダーを飲んで汗もひいたので出発することにした。
うらり一階にあった顔ハメ。どことなく不気味な感じがする
まぁまずは有名な海南神社にでも行こうかな
うらりの目の前にあった喫茶店。ここもかなり気になったけどサイダーで腹が一杯だったのでまたの機会に
古いのか新しいのかよくわからない不動産屋の建物。港町は舟板を使った黒板の壁の家屋が多いけど、これもそうだろうか
ロータリー前にある酒屋。ここは1日1組限定の宿も経営していて宿の候補にあがりかけたんだけど、ハイシーズンは3000円もプラスされるのでやめておいた。泊まるならハイシーズン以外かな
この山田屋酒店の脇の道を少し奥に行くと海南神社がある。街は路地が多くて店も建物も中々趣のあるものが点在しているので今度はゆっくり散策しに来てみたい。自転車を返す時間が16時というのは、いかに三浦半島が小さいといっても散策するには足りなかった。
この奥に海南神社がある
道すがら見つけた電光看板。どうやらスナックらしいけど、なぜイタコなのか
この看板に心惹かれて急停車してしまった。フォントも古びた質感も素晴らしい。カフェっぽかったけど休業日のようだった
そして海南神社到着
やっぱり夏といえば神社ということで、この有名な海南神社には寄らなければだめだろう。境内には散歩中のおじいさんが一人いるのみで、あたりは蝉の声がひびくばかりの涼しげな空間だった。海からも神社まで一直線に道が伸びているので気持ち良い風もふいている。ここでまたちょっと休憩するのもいいかもしれない。
濃い影と光のコントラストが夏らしくて好き
橋からは小さな池が望めるけど結構濁った池だった。もっと綺麗だったら更に良い感じなんだけど
海辺の神社のということで当然龍神様も祀られている
手水舎の後ろには御神木。イチョウの木らしいけど、その姿がすさまじい。いかにも神霊が宿っていそうな雰囲気がある
境内。なんだか色々ありますね
こんなものも販売、というか授与品として置かれていた。翌日にもらいに来ようと思っていたら忘れてしまって今後悔しています
境内にある稲荷社のど真ん中に猫がいて、何か神聖さを感じたので撮影。堂々とした猫だった
と、こんな感じで私とツゲはそれぞれに動いて境内を散策し、参拝した。ここは私たちが行った時の一週間前に例大祭が行われていたようで、それを見ることができなかったのは残念だけど、この静かで清々しい空気を感じられたのはそれはそれで良いものだった。私はある程度見終わった神楽殿(だったと思う)の脇に座ってツゲの散策が終わるのを待っていたんだけど、この待ち時間があまりに気持ちよかったのでちょっと眠たくなってしまった。
その後ぼーっとしているとツゲが戻ってきたので、次は目的もなく街中を探検すべく出発した。
路地。手前にはじいさまがぼんやり座っていて絵になっていた
暇そうな主人がいた駄菓子屋。こういう店が残ってるのは凄く良いな。
ハワイアン(?)なお店も。二階の休憩所が気になる
古民家改装系のカフェだろうか。この二階部分に住んでみたい
三崎に来るまでにも寄りたい路地はあったけど、三崎の街自体にも魅力的な路地が一杯あって目うつりしてしまう。惜しむらくはもうあまり時間がないということだけど、こういう町並みを友人と自転車で走れるというのも楽しいひと時だし、ツゲもこういう街の雰囲気は好きなので楽しんでくれているようだ。
週末はどのくらい人が来るのかわからないけど、この鄙びているようで鄙び過ぎていない微妙にバランスのとれた街の空気は、すぐに汗だくになる暑さとは裏腹に体を軽くしてくれるようだった。こういう街は結構好きだな。
そんな感じで走っていると三崎昭和館という資料館に行き着いた
ここは事前に行こうと思ってた場所だったんだけど場所もよく覚えなくて時間もそんなになかったから行くのを諦めていたんだけど、たまたま目の前に現れてしまったからには行くしかない。
ここにはこの地域の昭和頃の暮らしが展示されている他にチャッキラコという冬に行われる伝統行事の資料も展示されていて、私は特に後者の資料が見たくてチェックしていた。チャッキラコは私が何年も前から見たいと思っている神事なんだけど、中々都合がつかなくて(しかも時期的に寒いので)未だにお目にかかれていないのでせめて資料だけでもというわけだ。ちなみにチャッキラコは小学六年生くらいまでの女の子が晴れ着姿で舞を舞う行事なので、噂によるとよからぬ目的のために撮影しにくるおっさんも多数いるのだとか。
まぁなにはともあれ中に入ってみると、入ってすぐ横のテーブルでのんびり談笑中のおばあさんとおばさんが愛想よく挨拶してくれて、そのおばあさんがススっと慣れた挙動で私たちの前に歩み出ると、これまた慣れた感じで色々と説明してくれた。
おばあさんはどうやらこの三崎昭和館のボランティアスタッフのようで、こうして駐在してお客さんに昭和館について説明する役割の人のようだった。その説明によると、この地域は家と家が隣接しているので火災が発生した場合に延焼しやすく、そうなった時に被害拡大を防ぐために漆塗りの戸や漆喰の壁で造られたこの昭和館のような建物がいくつか建っている(いた?)んだそうな。確かに港町は強い海風によって延焼の速度も早いだろうし、こういう建物は必要不可欠だったんだろうと思う。江戸時代くらいまでは家屋の火災は消火じゃなくて建物を壊すという方法をとっていたようだから、それにプラスして、ということなんだろうか。
この他にも色々説明してくれたんだけどそれはとりあえず置いといて、話が終わると「どうぞご自由に見学なさってください」と中へ促してくれた。「写真を撮ってもいいですか?」と聞くと「どうぞどうぞ(ニッコリ)」ということだったので、気兼ねなく見学と撮影を楽しめそうだ。
こっから入っていく
ちょっとした説明
昭和の居間の風景。私にとって宝のようなものが一杯ある。こんな家で一夏を過ごしてみたいぜ・・・。
土間の風景。カマドはなんとなく新しそうに見える
古道具も沢山展示されている。古そうなビール瓶もいいけど、後ろのキッコーマン醤油の木箱なんて最高だ
女中さんの1日。畳2枚分の部屋とはなかなか厳しい
廊下からいきなり蔵へ連絡できるようだ。なんだか面白い造り
その蔵の内部から。なんで入り口の真下に格子がはめられた穴が空いているんだろうか。二階は残念ながら行けなかった
この中庭のある造り、素晴らしいス
この廊下の奥にはチャッキラコについての資料が展示してある部屋があった。
チャッキラコについて。部屋には写真が沢山飾ってあったので見応え十分だった
こんな綺麗な晴れ着を着て踊るんだね。冬の寒さによく映えそうだ。というかテレビの脇に「チャッキラコのパンフレットが欲しい人は受付の人に言ってね」という旨の案内が書かれてるのに今気づいた。もらっておきたかった。。
これがチャッキラコの名前の由来になった、その名も「チャッキラコ」という道具らしい。持ってみたら凄く軽かった
と、この部屋の展示物が最後だったので色々とじっくり見た後に昭和館を出発・・・と思ったけど、帰りぎわにさっきのおばあちゃん&おばちゃんと雑談が始まった。そんなに時間がないので長話になったら困るけど、地元の人との話は好きなのでもどかしい。でもまぁ切羽詰まってるわけでもないので話をしていると、私が今回の旅で使わなかったみさきまぐろ切符はおばあちゃん曰く大変お得な切符のようで、私たちは自転車で三浦を周っているわけなんだけど、その切符を使えば自転車も借りられたとのこと。
更におばあちゃんが言うにはここに観光に来る人のほとんどがまぐろ切符を使って来るらしく、加盟店で切符を使って食べられる料理は切符を使ってのみ食べられるものも多くて、それは地元民のこのおばあちゃんですら「私も食べたい」と思えるようなものが出てくるんだとか。おばあちゃんはそんな感じで「次に来るときは切符を使って来るといいですよ。」「京急がバックにいるからすごいお得」と京急に絶大な信頼を置いているようだった。
まぁ私たちはバスに乗ることもない旅行だったし、自転車自体も安かったのでそんなに損した気分にはならなかったけど、確かにまぐろ切符はお得な切符のようだった。次はそれを使って三浦半島を回るのもいいかもしれないな。ただ後でツゲが「でもこれって使えるの1日だけじゃないの?」と言っていたのはちょっと気になったけど。確かに使えるのが1日(日帰り)のみだったら一泊二日の旅ではそんなにお得じゃないのかもしれない。よく考えてないのであんまわからんけど(適当)。
という話をしながらちょうど良いところで話を切り上げて、おばあちゃん達にお礼を言ってから出発。あとはもうどこかに寄ってる時間もそんなにないのでまっすぐ城ヶ島に向かうことにした。ツゲはもうかなり足と尻にきていた上に日焼けで腕や足が赤くなっているという散々な状況だったので、城ヶ島についても海水浴どころではないかもしれない。というか「オレはもう泳げない」と言い切っていたのでもうダメだろう。
というわけでちょっと残念な気持ちを抱きつつ、城ヶ島へ渡るためn城ヶ島大橋へと向かった。
こういう素敵な店が普通にあるのが三崎のいいところ
城ヶ島大橋に行くはずが、また山田屋酒店にやってきた
ツゲが宿で飲むために酒を買いたいということでさきほど通過した酒屋に舞い戻ってきた。クーラーボックスもないから宿に着くまでにぬるくなってしまうと言ったけどツゲは別にかまわないらしい。まぁ城ヶ島はそういうの売ってる店がなさそうな感じだったからここで買うしかないのは確かだけど。
前に書いたけどここは泊まることができる
店内
ツゲは何を飲もうか色々迷っていたけど結局缶ビールを3本買っていた。店のおじいさんはニコニコしていて良い人で、ここでもちょっと雑談が始まった。この店は角打ちのようなスタイルで店内で買ったものを飲むことができて、おじいさん曰く「バス停が目の前だから皆バスが来るまでここで飲んでいく」と楽しそうに笑っていた。なんで本格的な角打ちスタイルにしないかというと、それをやろうと思うとトイレがどうとか衛生面がどうとか保健所が色々ウルサイらしいのでこういう形におさまったんだとか。確かにこんな暑い日は屋内にいたいので、こういうサービスはありがたい。実際テーブルには誰かが飲んで行ったと思われる瓶も置いてあったし。
更に宿の予約の入り具合も結構なもののようで、店内のホワイトボードに予約が入ってる日が書かれているんだけど、ほとんど連日と行っていいくらい予約が埋まっているようで「俺がゆっくりできるのは今日までだね」と微妙な表情をしていた(話を聞いているとこの人はどうも店のオーナーではないっぽかった)。私がここを見つけたのはたまたまだったのでまだあまり有名ではないと思っていたんだけど、やっぱり知ってる人は知ってるんだね。
その他色々面白い話を聞かせてもらった後、もうそろそろ本格的に時間がなくなってきたので適当なところで店を出て、今度こそ城ヶ島へ向けて出発した。
さて行こうか
大橋の前の最後の上り坂。ツゲよ頑張れ
よし、もう少しだ
料金所が見えた。でも徒歩と自転車は無料なので大丈夫
結構眺めがいいね!
高いところなので風が気持ち良い
大橋は車もバイクも全然通ってなかったのでかなり快適に走行できた。こういうところを友人と走るのはなんとなく青春を感じる。
大橋を渡りきって城ヶ島に到着。あとはただ自転車を返しに行くだけだ
城ヶ島、多分初めてきたと思うけど岬より寂れた感じだ。ほとんど人もいないし
と、ここらでデジカメの充電が切れるという凡ミスを犯してしまったのでこれからの写真はスマホで撮影したものになります。結構充電したつもりだったんだけど。。
いや〜人がいない!
この写真の風景のちょうど逆のほうに釣り堀があって、そこが城ヶ島の自転車乗り捨て場になっている。なのでそこまで自転車を持って行き、バイトっぽい愛想の良い兄ちゃんに乗り捨て料(というのがかかる)500円を払って、体力の限界が近づいてきているツゲのためにとりあえず宿へ直行することにした。
客はほとんどいないけど、イカ焼きは食べてみたかった
三崎との活気の差がありありと
でも店はちゃんと開いている。この小さな商店街のような道を抜けると宿があると思う
汗をぬぐいながら歩きつつ、少し遅れてついてきているツゲを見やるといつの間にかさっき買った缶ビールを飲んでいた。もう少し待てば涼しい部屋で飲めるというものを、彼は誘惑に負けてしまった。でも缶ビールを飲みながら歩くという絵は嫌いじゃない。
もう少しで宿なんだけど、良い雰囲気のT字路があったのでコーヒーを買って少し休憩
ツゲは猫とたわむれていた
この商店街に入ると少しは観光客がいて、地元の高校生らしき若者たちもちらほら見え始めた。どれもこの先からやってくるので、皆海辺で何かしら楽しんでから帰っていくのかもしれない。じゃあこの先はどんな風景が広がってるのかと思って行ってみると
こんな感じだった。なかなか良いじゃないの
猫と遊んでいたツゲに缶ビールを渡して海のほうへ行って見る。するとそこには眼前いっぱいに広がる海が待っていた。海の色も綺麗で、泳ぐのにちょうどよさそうなところもあるし、地元の子たちなんかはこういうとこで海水浴したりするんだろうか。辺りを見回してみると案外釣り人もいるようだった。
釣り道具は持ってこなかったけど、こういうとこに来ると釣りをしたくなるのは釣り人の性だよね
ここはさすがに怖くて泳げないけど、まったりするのにはいいかもしれない
海辺のホテル
ここらへんはどうやらこのホテルの裏手にあたるポイントのようだ。ということはこの道を歩いて行ってぐるっと回れば今日の宿に着くはずだ。ツゲは缶ビールを飲みながら海を見つめて結構絵になっていたけど、彼のために宿へと急ぐことにした。
ホテルの方まで行くと何がしかのイベントで来たと思われる集団が、虫かごやら熊手やらを持っていて歩いていた。磯で何か生き物でもとってきたのだろうか、皆楽しそうに笑顔でホテルの方へ向かっていったその横を、疲れたおっさんを連れて宿へと向かって無言で歩いていくのだった。
もうちょっとで到着するはずだ
あれ、宿はどこだ?
この写真に写っている宿は泊まる候補に入っていた港屋という宿なんだけど、ここまで来たということは今日泊まる長津呂荘はすぐ近くのはず。いつの間にか通り過ぎたか?と思っていると
すぐ横にあった。あまりに民家だったので気づかなかったぜ。。
海が本当に目の前なので部屋も期待が持てそうだ
ということで無事宿を発見できたのでまっすぐに宿へ向かって玄関を開ける。いかにも民宿らしい玄関で「すいませ〜ん」と声をかけると「は〜い」と優しそうなおばちゃんが出てきてくれてすぐに二階の部屋へと案内してくれた。この宿はちょっと狭い感じだけど、居心地は悪くなさそうだ。
(たぶん)一ヶ月分以上の汗を流し、ようやく部屋にたどりついた!
「こちらがお部屋です」と促されるままドアを開けると、部屋から涼しい風が漏れてきてまるで私たちを労わるように包み込んでくれた。地獄に仏というか、本当に天国に来たかのような幸福感を一瞬にして感じる。多分この瞬間のツゲの顔はとても見れたものではなかっただろう。ともかく部屋を冷やしておいてくれたおばちゃんに感謝感謝だ。
おばちゃんが「あと10分くらいでお風呂に入れますから、準備ができたらまた声をおかけしますね」と丁寧に言って、その他色々説明してくれた後に部屋を出て行った。するとその瞬間ツゲが「ウァ〜」と一気に横になって伸びてしまった。よく見ると手も足もさっきより赤くなっている。もうツゲは私が思っている以上に満身創痍なのだった。
綺麗で、十分に広い部屋だ
私はツゲほど疲れてないけど、横になったらもうダメかもしれない
窓からの風景。これは夕方と朝が楽しみだ
アメニティ。浴衣の下にあるのはシーツ類だ
いつものアメニティチェックをすると、ここはどうやら浴衣があるのみで、タオル類や歯ブラシなんかは置いてないらしい。私はいつも旅行の時はタオルも歯ブラシも持ってきているのでいいんだけど、ツゲに聞いてみると「ハブラシはない」「テブラシでいいよ」と悲しいことを言っていた。でも私の歯ブラシを貸すわけにもいかない(借りたくもないだろうけど)ので歯磨き粉くらいは貸すことにしょう。
しかし民宿でタオルも歯ブラシもないのは初めてかもしれない。正直この二つがないのは宿としてどうなのかとも思うけど、そう言ってもしょうがない。泊まりに来る人は持参して行きましょう。
部屋を出た正面。左には階段がある
奥へ行くと洗面所、トイレ、風呂がある。屋内は海風が通り抜けてそんなに暑さを感じさせない
少数ながら漫画と将棋セットなんかもあった。ツゲに「後で将棋しようか」と勝負に誘うと「オレはすぐに負けるよ」との返答だった
和式と洋式が合体したトイレ。他に二つトイレがあり、どれも綺麗掃除されていた
戻ってきたところ。部屋の目の前
ちょっとした探検から戻ってくると相変わらず横になっているツゲがいた。私もこれから宿周辺の散策にでかけようと思っていたけど、ツゲの姿を見て「そんなに急いで行く必要もないか」と思い、誘惑に負けて横になった。思えば自転車に乗るのも本当に久しぶなのに、この殺人的な炎天下の中でよくここまでたどり着いたもんだ。当初の予想をはるかに超えて異常に汗をかいたし、尻は原付旅行をしているおかげで全く痛くならなかったものの、足はそれなりに疲れている。二人してよく熱中症にならなかったと思えば、この快適な宿のひと時はまさに私たちへのご褒美のようなもの。存分に満喫しなくては。
というわけで二人で寝そべりながら話しつつ、ツゲに「ビール冷やせないけどどうすんの」と聞いてみると「まぁ外の自販機でジンジャーエールでも買ってシャンディーガフにして飲もうかな」と、それなりに冷たくして飲む方法を考えていたようだ。しかしここで私に妙案が浮かぶ。昔テレビでぬるい缶ビールなんかを短時間で冷たくする方法として、湿らせたタオルで缶をくるんで扇風機の前に置いておくという方法を紹介していたのを思い出した私は、扇風機がない代わりにエアコンの風量を最高にして缶にあてておいたらどうかとツゲに提案してみた。すると「オ、やってみよう」とビニール袋にタオルでくるんだ缶を入れ、ハンガーでエアコンの真下に吊るし、羽を真下に固定して冷たい風を当て続けるという方法でそれをいそいそとセットし始めた。
そんな彼を見ながら「冷えるといいね」と思いながら、十分横になってある程度体力も回復したので「じゃあちょっと散歩に行ってくる」と、一人で周辺の散策に出かけることにした。
玄関からの様子。左には部屋が並んでいるが、一階のは食事のための部屋っぽい
いや〜広い。岩場にはタイドプールがいくつもあって、安全に泳げそうなところも結構ありそう
同じ調子で斜めに削られている岩場。どうしてこうなるんだろう
宿の方を一枚
宿から出てちょっと歩けばすぐ海に入れるこの近さは魅力だ。海もやっぱり綺麗で、岩場の端まで行けば怖いくらい波が寄せているものの、奥まで海水が流れ込んでいるところは当然波もほとんどないので安全に泳ぐことができそうだったし、実際泳いでる人が何人かいた。これが夏のピーク時には大混雑するんだろうな。ただ、フナムシが多いので苦手な人はきつそうだけど。
にしても海はやっぱり広くて雄大で、そして飽きさせない何かがあるなと実感する。岩場の淵に座って波や海の向こうなんかを見ていると、時間を忘れて何時間でも座っていてしまいそうな感覚になった。それと同時に「漁師なんかは海に何ヶ月も仕事に出るけど、俺にはできそうにないな」とも思う。こんな大きな海の上にいるのに、わざわざ小さな空間に何人も詰め込んで数ヶ月過ごすなんて息が詰まって最終的には海に飛び込んでしまいそうだ。海は山とはまた違う魅力や魔があるように思えた。
そうしてしばらく座って肌もベタついてきたころ、そろそろ違うところも散策してみようと立ち上がり、今度は商店街のほうを探検しにいった。
今日は泳ぐのはやめて、明日の朝にでもここで泳ごうかな
足もつきそうだし
店は空いているけど客はゼロだった。まぁ時間も時間だしね
ちょっとしたゲームコーナーもあった。夜に寂しくここで遊ぶのも妙に風情がありそうで良いかも
宿の港屋は、かつてはここで食事処として営業してたんだろか
旧港屋の脇道。鎖がかかっていていけなかったけど階段の先が凄く気になる。おまけに狛犬のようなものも気になる
途中城ヶ島灯台に続く階段があったので登ってみると、そこにはローマ風の庭園があった
庭園からの眺めは最高だけど、なぜこういう様式にしたんだろう
目の前に長津呂荘も見える。きっと今頃ツゲは風呂に入ってることだろう
この先には灯台があったんだけど思ったより小さな灯台だった。なぜか写真は撮ってなかったけど、もうここらで汗もダラダラで疲れてきたのでもう宿へ戻ることに。もう戻ったら散策のために外に出ることはないだろう。
長津呂荘横の宿。ちょっと泊まってみたい気もする
部屋に戻ったらやっぱりツゲは風呂に入ってさっぱりしていた。そしてやっぱり横になっていた。さっき私が出かける前に話してた時にツゲが「風呂に入るとあまり飯が食べられなくなる」と言ってたけど大丈夫だろうか。実は新鮮な海の幸を存分に味わおうと、基本的な宿泊料にそれぞれ2000円をプラスして飯を豪華にしてもらっているので、これをもし完食できなかったらもったいないことこの上ない。しかしツゲは「まぁダイジョブでしょ」と言っていたけど。
そんなさっぱりしたツゲを見て、じゃあ俺もということで風呂場に向かう。ここまで汗をかきっぱなしだったから風呂に入ればめちゃくちゃ気持ち良いに違いない。
また玄関の様子
風呂場前の洗面所にはドライヤーがちゃんとある
では行きましょう
かつて止まった七滝荘を彷彿とさせる狭さ。ちょっと蒸れている
そして風呂場!
風呂場は見ての通りの広さ。浴槽は大人一人でいっぱいという広さだ。
ソープ類もちゃんと揃っているので体をよく洗ったんだけど、もうシャワーを浴びてる段階で気持ちが良い。こんなに汗をかいてから風呂に入ったのは久々なのでちょっと懐かしい感じがする。これは風呂に入ればもっと気持ち良いはずだと早速入ってみると、お湯は適温で「ブアァ〜!」と声が出てしまう気持ち良さだった。なんか浴槽の狭さも民宿らしいというかなんというか、それがかえって人ん家っぽくて悪くない。残念ながら風呂場は海の反対側の位置にあるのでほとんど風が入ってこなくて蒸れ気味だったけど、なんだか妙にゆったりできた。1日運動した甲斐があった。
風呂からあがって部屋に戻ると案の定ツゲは横になっていたけど、意外と眠らずに起きている。来る戦(飯)に向けて気を高めているのかもしれない。もし予想以上の量の飯が出てくると私もまずいので、水分摂取を控えめにして、ツゲとダラダラしながらその時を待った。
とにかく涼しい部屋でダラダラするのは最高だ
そんな感じで時刻も18時となった頃、おばちゃんが「夕食の用意ができたので一階にお越しください〜」と声をかけに来てくれたので一階の食堂へ向かう。一体どんな料理が出てくるのか楽しみだ。
部屋のテーブルには夕食が用意されていたけどまだ数は少ない。これから色々やってくるようだ。
今日の夕食(の一部)!これだけでも既にうまそうだ
イカゲソも!
とりあえず全ての料理が出揃うまで二人でイカゲソをつまみつつ、ツゲはしっかりビールの大瓶を注文していた。
イカゲソは今まで食べてきたゲソの中でもトップレベルで柔らかく、そしてうまい!なんの味付けもせずにただ焼いているだけのようだけど、旨味と柔らかさが口を喜ばせる。ツゲも「これはウマイね」と既に満足そう。酒好きにはたまらないだろうな。
と、そうこうしているとメインが続々と運ばれてきた。料金をプラスしてよかったとツゲも思ったに違いない。なんせ
こんな豪華な盛りがででんと出てきたのだから!
アワビにも驚いたけど、初体験となるアワビの肝なんかもあった
さらにまぐろユッケと
茶碗蒸しも登場。今日の夕食は豪華だぜ!
「食えるかな」と心配そうにするツゲ。では、いただきます
まさかアワビまで出てくるとは思っていなかったけど、さらに法螺貝の刺身という(たぶん)珍しいものまであったし、その他アジやマグロ、甘エビなんかの基本的な刺身ネタも鮮度抜群といった感じで凄くおいしそうだ。量も十分すぎるほどにある。今日は夜食なんていらないな(買ってないけど)。
というわけで早速目の前の宝石たちをいただいてみると、アワビはちょっとトロっとしつつ噛めばコリコリで、味はもちろん言うことなしに美味い!法螺貝も初めて食べたけど同じ貝らしい食感で、でもアワビよりもややさっぱりとした味で違いを楽しませてくれる。アワビの肝はというと、噛むと磯の香りが鼻を抜けるけど嫌な感じではなく、味も苦味がなくて子供でも美味しく食べられそうだ。
とこんな風に全部書いていくと長くなるので書かないけど、ともかくこんな美味しい海鮮づくしの料理を食べたのは本当に久々かもしれない。私は普段山の方ばっかり旅行に行くので尚更「海辺の宿の料理はここまでうまいのかッ」と思わされた。二年前に佐渡に行った時もここまで沢山刺身を食べていなかったので、今日のこの夕食の満足度は計り知れない。
まずいもの、微妙なものなんて一つもない。というかテレビに映っている火のようなものは一体・・・。
最高にウマイ夕食だったけど後半になると結構腹がきつくなってきた。ツゲにいたっては私の半分くらいしか飯が減っていない(もともとゆっくり食べる人だけど)。
私もツゲも宿の飯は残さないという信条を共有してる仲なので、いくら腹が一杯といえど残すという選択肢など最初から存在しない。なので後半はちょっと頑張って私の方が先に完食。しかし腹が一杯でもうまいというのは、この夕食の底力を感じさせた。
そしてツゲはというと私に遅れること20分ほどで完食することができた。二人とも何度も「ウマイウマイ」と言いながら、満腹満足の夕食となった。料金をプラスしない場合の夕食がどんなものかも気になるけど、でもやっぱりプラスして正解だった。本当にうまい海鮮の数々、ごちそうさまでした。
部屋に戻ると満腹のツゲはすぐに横になって消化の体勢に入った。私は沈む夕日を見たいのでちょっと外に出てくることにして、浴衣から服を着替えてちょっとした散歩に出かけた。
夕日をしっかり見るにはちょっと建物が邪魔だった
商店街の様子
岩場のほうまで行けば綺麗な夕日が望めそうだったけど、さすがにもう体力的にも面倒くさくなっていたので、ちょろっとあたりを散策してから自販機でブルーハワイサイダーなる飲み物を買って部屋に戻った。それでも夕日が沈む海はとても綺麗だったけど。
部屋に戻るとツゲは薄情にも自分だけ布団を敷いて寝る準備に入っていた。まだ20時にもなってないのに、こんなに早くに寝たら絶対夜に起きてしまうではないか。でもしょうがないか、今日は結構運動したしね。
そう思いながらまだ起きてるツゲと神奈川TVを見ていると、ツゲはいつの間にか意識を失っていたので私は再び風呂に入ったりテレビを見たりして22時くらいに就寝した。
戦士の休息
翌朝5時くらいに目が覚めて、なんとなく外を見てみると既に若そうな釣り人や海水浴に訪れた家族の姿があちこちに見られた。この日は子供達の夏休み初日ということもあってか、小さい子を連れた家族の姿も目立つ。しかしこんな早い時間に来るとは、ちょっと驚き。
ちなみに深夜にも一回起きたので外を眺めてみたら、灯台の光が弧を描くように岩場を照らしていたのが面白くてしばらく見ていたんだけど、何かその岩場でライトを持ってウロウロしている人が目に入ってちょっと驚いた。こっちのほうに向かってきていたので街灯があるあたりまで来るのをじっと待っていると、どうやら釣り人でもないようでちょっと謎だった。釣り人と思われる複数のライトも奥のほうにチラチラ見えたけど、それもそれでこんな暗い中よくやるよと思ったのだった。
朝早いっすね
その後再び寝て目覚めるとツゲは先に起きていて朝っぱらからビールを飲んでいた。昨日エアコンで冷やしていたビールは飲まなかったので朝一のビールを楽しむことができたようだ。
朝食は8時からなので朝風呂に入ってから外を眺めると5時に見た時より人が増えていた。早速泳いでる人なんかもいてちょっと羨ましい。私は朝に泳ごうと思っていたんだけど、実は海パンを持ってきていなかったためにパンツ一丁で泳ぐつもりだったので、既に泳いでる人がいることを知って泳ぐのは諦めた。さすがに人が多いところでパンツ一丁で泳ぐのはまずい。
そんなちょっと残念な気持ちで外を眺めていると朝食のお声がかかったので一階の食堂へと向かう。昨日の夕食で死ぬほど食べたのにもう腹はペコペコだったので楽しみだ。しかしツゲはまだ昨日の夕食が残っているらしかった。
朝食の時間だ!
これにもちろんご飯と味噌汁もついて、なかなかに食べ応えのある朝食となった。普段ひじきなんかは食べないけども、いざこういうところで食べてみるとおいしいものだ。味噌汁もアサリの味噌汁で、その一つ一つの身が大きく、味もとてもおいしかった。全体的にとても満足できる内容で完食し、ツゲもなんの問題もなくあっさり完食していた。
朝食を終えるとチェックアウトまで時間もあるのでツゲを誘って散歩に行くことにした。ツゲに「泳がないの?」と聞くと「足がつかないと怖いからやめとこうかな。ウキワがあればいいけど」とおっさんのくせにウキワをあてにしてるあたり怖がりのツゲっぽい。どうやら今回は二人とも泳がずに終わりそうだ。
宿前から
本当はここで泳ぎたかったけど、次は海パンを持参していこう
先端のほうまで行くと波が荒いので少し怖いけど、やっぱり気持ち良い
なんかいい魚が釣れそう
先端のほうで座って辺りを見回すとカニが沢山歩き回ってて、ところどころにカメの手が沢山はりついている。ちょっと取って食べてみるかと思ってグリグリしてみたけど素手では取れそうになかったので諦めたけど、こういうのを取りに来るのも楽しそうだ。
これが結構美味しいんだよね
しばらく岩場を散歩した後、朝とはいえさすがに暑くて汗をかいてきたので早々に散歩を切り上げて宿へ戻ることにした。今日はどうやってうらりまで行って駅まで行くか決めてなかったけど、色々調べて話し合った結果、城ヶ島と三崎を行き来している渡船があるのでそれに乗って三崎に行ってうらりに立ち寄り、後はバスに乗って駅まで戻ることにした。ツゲも私の口車にのって野菜を買うつもりだったので、チェックアウトの時間に出てうらりに行けば野菜はまだ沢山残っているだろう。
ツゲはもうばっちり体力回復できたようだ。ただまだ尻は痛いらしい
見ていると次から次に人が来る。長津呂荘の駐車場は1日千円で駐車できるみたいだったけど、私たちが出る頃には既に満車になっていた
10時になっておばちゃんに「お世話になりました〜」と声をかけ料金を支払う。その間渡船について聞いてみると「前はボタンを押すと船が来てくれたんですけど、今はどうなってるかわかりません」とのことだった。船がいなければボタンを押せば対岸から来てくれてるということは特にダイヤが組まれているわけではないのでありがたいけど、もしそういうシステムでなくなっていたら少し待つことになるかもしれない。
まぁその時は朝の城ヶ島を散策すればいいだけの話だ。
料金を支払って「シーズンを過ぎたら人も全然いなくなっちゃうけど、過ごしやすいところだからまた来てくださいね」と優しい笑顔で見送られて気持ち良く宿をでた。確かに夏以外は人はあんまり来ないだろうけど、季節の魚を食べに来るのもいいかもしれない。そうなるとしたら、次は釣竿を持ってこよう。
商店街は水着の人たちなんかが歩いていて昨日とはちょっと様子が違っていた。昨日から夏を感じていたけど、こうして週末になって人が増えているのを目の当たりにすると更に実感がこもってくる。人混みは好きではないけど、こうやってガヤガヤしてなくちゃ夏らしくないとも思うので居心地は不思議と悪くなかった。
そんな商店街を抜けてまっすぐ行くと昨日自転車を返した釣り堀に出る。どうやら渡船はここから発着してるようで、私たちが着いた時には丁度よく船が来ていたので、運賃の500円を払って船に乗り込んだ。
それなりに観光客がいた方が面白いよね
お客さんも既に何人か乗り込んでいる
釣り堀の様子。結構お客さんがいるね
じゃあ、乗り込みましょう
船に乗り込むと船頭さんは出発の時間までお客さんを飽きさせないように色々と話をしてくれていた。私たちが乗ってもまだ出発にはならなかったので話に耳を傾けていると、どうやら北原白秋の名前の由来についての話をしているらしい。船頭さん曰く「北原白秋の名前の由来はご存知ですか?実は白秋というのは人生を四つに分けたうちの一つの時期のことで、若い頃は青春、青年になると朱夏、壮年に入ると白秋となって、老年に至ると玄冬というふうになり、その一つの白秋から名前を取ったんです」と言っていた。まさかこんなところで白秋の名前についての知識を得られるとは、嬉しい偶然もあるもんだ。ちなみに船頭さんは今まで何度もこの話をしてきたらしいけど、このことを知っていたのは歴史の先生と俳句を嗜む老人グループくらいだったらしい。
そんな話を聞いてるうちに船は出航することになり、三崎へ向けて走り出した。三崎は目の前に見えているのですぐに着いてしまうだろうと思っていると、本当に五分とかからず到着してしまった。船は気持ち良いんだけど、昨日無料で30分くらいボートに乗ったことを思うと、5分もかからないのに500円という運賃はかなり割高に感じてしまう。せっかくだからもうちょっと迂回するなりしてくれればいいのにとツゲと漏らしあったけど、観光船ではないのでしょうがないのかもしれない。そうならもうちょっと値下げしてほしいとなんとなく思った。
まぁそれでもやっぱり船は面白いけどね
三崎へ着くとすぐ横にうらりがあるので野菜を買うためにうらり二階へ直行すると、野菜も果物も昨日となんら変わらない量が並んでいたので一安心。私は早速スイカを品定めしたんだけど、同じような大きさでも値段が違ったりしてその差がよくわからない。「どれにしようかね〜」なんてツゲと見て回っていると、普通のスイカとは違う楕円形のアジアン小町なるスイカが少数売られていて、説明書きには「とっても甘い黄色いスイカ」と書かれていた。値段は1200円。他のスイカと比べるとその大きさに比べて安く、ポップでもオススメされていたので私はこれを買うことに決めた。ツゲは「スイカは重いからメロンにする」と言ってメロンを選んでいたけど「メロンてどういうのがいいの?」と聞いてきたので「外側の血管みたいなのがしっかり浮き出てるのがいいよ」と何も知らないくせに適当なことを言って、その条件に合うメロンを選んであげた。その他妙に柔らかくて長いナスがあったので「これすごくおいしいよ」と私も食べたこともないのにオススメしたらそれも買うことにしたようだ。あと大きなオクラは自分で選んで買っていた。
私は最終的に野菜を買うことはなく、スイカの他に売り場の端っこに売っていたオカワカメの苗を購入。結構満足のいく買い物になった
アジアン小町、家に帰って食べてみたらかなり甘くておいしかったです。これはオススメ
買い物を楽しんだあと、うらりの休憩所で座りながら昼飯をどこで食べるかという話になり、色々あってこの近くにあるまるいち食堂という店に決めた。ここは私も事前の調査で知っていたけど、あまりに有名店らしかったので行くのはやめようと思っていた店だった。でもこの時間なら混んでなさそうだし、他に店を選んでる時間ももったいないのでまるいち食堂に決めて早速徒歩で向かうことにした。
あそこがまるいち食堂だったのか。昨日自転車で通った場所だ
店は既に満席だったけど、待ってる人はいなかったので次に入ることができそうだ
いい雰囲気だ
というわけで店前の受付に名前を書いて座っていると、次から次にどんどんお客さんが増えてきた。どうやら私たちはそれなりに良いタイミングで店に来ることができたようだ。それでもなかなか呼ばれなかったけど、私たちが呼ばれた頃にはもう立って並んでいる人までいる始末で、やっぱりここは人気店みたいだった。
日陰だからまだいいけど、それでも今日も相変わらず暑い
店内に入ると中は予想外に狭くて、これじゃあなかなか呼ばれないはずだと納得した。全部の席が埋まっても多分10人前後くらいしか入らないんじゃと思うような規模だから、ちょっと早めに来て正解だった。
メニューを選ぶツゲ。ビールも当然飲んでいる
メニューは定番の定食の他にも、その日おすすめの魚料理(焼きや煮付けなど)にご飯と汁物をセットでつけることもできる。つまみなんかも色々あってどれにしようかと悩んでいると、クロビシカマスの料理があることに気づいた。クロビシカマスという魚は食べたことがないものの、やたら美味い魚だということは知っているので店員のおばちゃんに聞いてみると「クロビシカマスは時価で、そこに調理代が上乗せされた値段になる」という。私はなんだか(値段的に)危険を感じたのでクロビシカマスは諦めて、この日おすすめのワカシの煮付けにご飯セットをつけて注文。ツゲはマグロ三点盛りセットを注文していた。
水やお茶はセルフ
そして注文の品が運ばれてきた
私は煮付けが大好きなんだけど、ここの煮付けの汁はまるですき焼きのタレのようで結構甘めな味付けだった。それがまた美味しくてご飯にもよく合うので、そんなに腹は減っていなかったものの余裕で完食できた。
ツゲの定食は正直そんなに期待してなくて「どうせ小さな刺身がちょこんとのってるくらいだろう」と思っていたら、予想外に太くて大きい刺身が、それぞれ大トロ・中とろ・赤みと三切れずつのっていて食べ応えがありそうだった。実際ツゲの勧めで食べてみたけど、これがまた美味しいのでまるいち食堂の人気の理由がわかった気がする。思った以上に良心的な店だった。
私もツゲも食べ終わると、外で待ってる人が沢山いるためゆっくりすることもできないのですぐに店を出た。
後はもう特に寄るところもないので、後は帰るだけ。帰りも自転車だったら、今日は半島の残り半分を回って帰るということもできたけど、ツゲの尻が限界なのでそれはまたの機会にしよう。ここからはバスに乗って駅へ行き帰るのみ。
ということでバスの時間まで山田屋酒店の店の前の椅子で待たせてもらい、そこからは何事もなくバスと電車に乗って帰宅し、今回の旅行は終わったのだった。
またいつか来たいと思います。
※今回泊まった長津呂荘さんは部屋からの眺めがよく、何より食事が凄く美味しかったので結構満足できる宿でした。宿の人も温かく迎えてくれて居心地もとても良かったので、今度は釣りをするためにでも是非また利用してみたいと思います。ただ一つ難を言えば、タオルと歯ブラシがなかったことでしょうか。本文中でも書きましたが、行かれる方はこの二つは持っていくようにしましょう。やはり宿としては、この二つは用意してもらいたいとは思います。
長津呂荘 : 一泊二食付き 7850円+2000円(追加分)