天気は快晴。気分良く原付を走らせるとすぐに猿ヶ京温泉に到着。実は初日は猿ヶ京の宿に泊まる予定だったのですが、一番泊まりたかった宿に断られてしまったので湯宿温泉に宿泊したのでした。結果正解でしたが。
しかし猿ヶ京温泉に入る前にローソンがあったのですが、ここは京都などと同じように地域の色に合わせて店舗がデザインされているんですね。ちょっと「おっ」と思いました。
用がなかったので店内に入ることはせずそのまま出発。猿ヶ京は通り過ぎただけでしたが温泉地としての雰囲気としては湯宿温泉の方が上な印象でした。しかしそれでもいつかは泊まってみたいですね。
大して車も通らない三国街道を走っていくとそのうち曇ってきましたが順調に苗場に到着。ここも通過しただけですが時期が時期なだけに大変閑散としておりました。やっぱり冬の時期には結構混雑するのでしょうか。フジロック会場なんかもあったりしてなんだか面白い。以前一度だけフジロックに行ったことがありますが周りはこんな風な場所だったんですね(写真はないですが)。そんな風にちょっと懐かしんだりしながらしばらく進んだところにあった道の駅で小休止。
小雨が降ってきたタイミングだったので雨宿りもかねて道の駅へ。なんだかお屋敷風の建物でちょっと期待がもてます。店内は結構若者受けしそうな感じでレイアウトされ、新潟のお土産が豊富に取り揃えられて、おまけにキャンプ用品なんかも売ってました。店内には足湯もあって足拭き用のタオルも貸してくれるらしい。かなり充実した道の駅ですね。車なんかで来ていたらお土産の一つも買って行きたかったところですが、これが原付の悲しいところでしょうか。足湯も入りたかったですがこの日の予定は少し時時間に余裕がなさそうに感じていたのでゆっくりするのはあきらめました。次は晴れている日にでもまたゆっくり立ち寄りたいです。
休憩もすんで小雨の中出発したのですが雨はすぐに晴れて曇り時々晴れと言った感じ。気持ちの良い道を走り続け山を降りて街中に入ったら早速の稲田の風景に新潟に来たことを実感しました。こんなに稲田が広がっているとは、さすが米大国ですね。そんな中田んぼの中に立つ小さな神社を見つけたのでそこで小休止することにしました。
田んぼの中にいきなり神社がある風景は田舎でよく見かけますが心惹かれるものがありますね。ここではどんな祭りが催されてどんな人たちに信仰されているのか。そういう世界と全然関係ない世界にいる自分を少し残念に思ったりもします。
神社で休憩をしながらグーグルマップでこの日の第一目的地を検索して頭にいれてから出発。次の目的地は八海山尊神社という神社です。ここは珍しい猫が描かれたお札を授与しているということで、どうしてもそれを手に入れたく思っていました。その思いを叶えるべくいざ出発。
途中道を間違えつつも予想外の細い道を登って行って到着。思っていた所とは随分違いました。鳥居前の広場(?)が妙に広い。そんな広場の入り口あたりに原付を止めて本殿へ向かいました。
広場も広ければ石段も広い。広い土地面積を有している神社なようです。そんな参道の途中には
奇岩も立派な岩でしたが何より手水舎に湧く水が飲用可能な霊泉でありました。とりあえず参拝前に禊をすませ霊水を一口いただくと、これが結構冷たくて美味しい。看板にあるように、登山者なんかにはまさに神の恵みの一杯になったことでしょう。湧き水好きとしては水筒に汲んで行きたかったのですが、前の道の駅で補充したカルピスが入っていたため断念。飲用可能な湧き水があることを知っていたらカルピスを補充することもなかったものを。ちょっと残念な気持ちになりつつも霊水でリフレッシュしていざ本殿へ。
石段の途中からなにやら声が聞こえていましたが、どうやら只今ご祈祷中の様でした。祝詞の邪魔にならないよう静かに鈴をならして参拝し、少しだけゆっくりして神社を後にしました。
ここでなぜお札をいただかなかったかというと、事前に調べたところこの神社の社務所は別の場所にあるという情報を得ていたので、そこに向かうために神社を後にしたのでした。八海山尊神社へ向かう十字路の反対側に「八海山神社社務所」と大きく看板があったのでそこに向かったわけです。
しかし私はここでミスをおかしていました。私が行ったのは八海山尊神社。しかしその更に上に八海山神社があり、そこの社務所が別の場所にある、つまり山尊神社に行く道の反対方向にある社務所がそれだったわけです。てっきり勘違いしていました。猫のお札は八海山尊神社で直接いただけるのです。そんな勘違いをつゆ知らずその社務所まで行ってしまい、間違いに気づいてまた戻ってくるハメになりました(まぁ大して離れていないのでいいですが)。
本殿まで戻ってくるともうご祈祷は終わっていて、本殿内のボードに「神官は今席を外しているけどすぐに戻ってくるから用がある人は待ってて」という旨の文言が書いてあったので、戻ってくるまで待たせてもらうことに。
少しぶらぶらした後、本殿内に授与品が置かれていたのでそれらを見ながら中で待たせてもらうことに。
しばらくしたら車の音がして、そこから誰かが小走りに外廊下を走ってくる音が聞こえてきたので「お、帰ってきたか」と思っていたら、後ろの戸が開いた瞬間「わあ!!」と叫ぶ声が。誰もいないと思っていたのか、本殿内で仁王立ちして外を眺めていた私を発見して驚いて叫んでしまったようでした。「まずい、驚かせてしまったか」と思い振り向くと、その神職の方(神主さんではありませんでした)は完全な真顔で私を見ていたので今度は私が驚いてしまいました。日頃の修練のたまもの故に一瞬で揺らいだ心を立て直したのか、それとも私に対してある種のユーモアとして「わあ!!」と叫んでみたのか、叫んだことに触れていいのか悪いのかわからないままお札の授与と御朱印をお願いしましたが、終始神職の方は落ち着き払った様子。御朱印を書くために奥に引っ込んでいきましたが「きっと今頃恥ずかしく思っているのだろうなぁ」と思いながらその後無事に御朱印をいただき、真相は謎のまま神社を後にしたのでした。全く変なイベントでした。面白かったですが。
神社出発後、時間も時間だったので昼食をとりたかったのですが目ぼしい店もなかったのでそのまま進むことに。次の目的地は南部神社(猫又権現)という神社。ここは狛犬ならぬ狛猫があることで有名で、旅のプランを練っている時にたまたま見つけたので、面白そうだから行ってみようと思ったのでした。
途中道の駅にも行ったのですが特に気になるものもなかったのでそのまま南部神社に続く山道へ。変わった形式の山村を抜けて寂しい山道を通っていたところにわかに雲行きが怪しくなり始め、結構な雨が降り出してきました。「全くついてねぇぜ」などと思いながらカッパを着て走っていたのですが、雨が結構強く、しかも山道なので心の余裕は全くありませんでした。道中あまりにそれらしき神社や看板などがなかったので少し雨が弱まってきたころにマップを確認したところ見事に南部神社をスルーしていました。しかしもう戻るのもおっくうだったので、そのまま次の目的地の栃尾へ向かいました。
栃尾はあぶらあげが有名ということだったので、一応それを遅い昼飯にすべく道の駅とちおに向かいました。そのころは空も晴れて中々の天気。無事道の駅に到着です。
道の駅内部は狭いながらも売店がちゃんとあり、栃尾名産の鞠も売っていました。この鞠を買うのも一つの目的だったので小さい鞠を購入。色んなデザインのものがあるので迷いました。というか結構高いイメージの鞠でしたが結構安いんですね。ソフトボールくらいの鞠でも2000円しないくらいで売っていました。私が買ったのはピンポン球よりちょっと小さいくらいので400円ちょっとくらいでした。
無事に鞠を購入した後はお目当てのあぶらあげを買いに外の売店へ。売店前の椅子では既に何人かあぶらあげを食べていました。私は早速愛想の良いおばちゃんにキムチ味のあぶらあげを注文し、テーブル席に腰かけていただきました。
このあぶらあげ、かなり大きいです。厚さも十分にあるので子供だったらこれだけで満腹になってしまうでしょう。いざ食べてみると外はサクサクの中はふわふわで、キムチもよく染みて美味しい。少し甘めの味付けのキムチダレも良い感じです。空腹だったので尚更美味しかった。長旅じゃなければ友達とかにお土産で持って帰りたかったですが商品の性質上そういうわけにもいきません。私一人で美味しく食べさせていただきました。これはいいですね。
あぶらあげ完食後に道の駅わきを流れるせせらぎで休憩した後出発。次は栃尾市街地へ向かいます。
栃尾から少し走ったところで市街地に入りました。栃尾の街の特徴は、雁木と呼ばれる道路に面した家々から、歩道に突き出た軒先が連なっている造りのことのようで、中々趣深い風景を作り上げています。
こんなような造りの通りがずっと続きます。事前情報で、栃尾は閑散としている、というような情報が結構あったのですが、中々頑張って盛り上げようとしている一角もあったりして興味をそそられました。その中に福田屋旅館という宿なんかもあったりして、それが商店街の途中にいきなりあるので凄く気になりました。確かに全体的に見れば人通りは少なかったですが、時間があればゆっくりと街を散策してみたかったです。祭りの時に来ても面白そう。その時は福田屋さんに泊まってみたい。走っては止まって写真を撮って、を繰り返しながら栃尾を後にして、もう残るは宿だけなのでそのまま直行です。
しかし栃尾市街地を抜けてしばらくしたところで再び雨に遭遇。これもかなりの雨だったので雨宿りをしつつカッパを着て装備を万端にして出発。雨雲が結構な速さで動いているのですが、その雨雲に突っ込むような形で移動していたので雨に何度も遭遇してしまったのです。なので少し走ればそこは晴れ間。全く厄介な天気の新潟でした。
途中ガソリンを入れたりコンビニに寄ったりした後雄大な信濃川を渡ったらこの日の宿はすぐそこ。しかし案内看板など何もないためナビは必須でした。信濃川の土手沿いを少し走ったら脇道に入り、小さな田園風景が広がる集落の道を奥へ奥へと進むと越乃湯旅館がありました。
なかなかのんびりした集落の最奥部に越乃湯旅館はありました。あたりはとっても静かで虫の声のみが聞こえる。早速原付を駐めて越乃湯旅館にチェックインです。
中へ入ると女将さんが暖かく出迎えてくれました。二言ほど言葉を交わした後早速二階の部屋へ。部屋は十分な広さで綺麗。布団は既に敷いてありました。周囲の環境の割に部屋は少し暑く、「暑いですか?暑いですよね、冷房つけますね」と冷房をつけてくれました。少し疲れていた私はまずお茶を飲んでゆっくりしてからアメニティチェックに移行しました。
窓からの眺め。宿目の前の木が景色を遮っていますがこれはこれで良い感じ
アメニティもしっかり用意されていて安心です。用意されてあった饅頭を食べてから早速お楽しみの風呂へ向かいました。風呂場は一回の奥から行くのですが、どうやら風呂場とそこへ続く道は増築されたもののようで、風呂場に続く道はいきなりコンクリートの打ちっ放しになっていました。少し薄暗い道を下っていきます。
額には古い温泉分析表が。宿のHPによると、明治33年に長岡病院でその効能が証明されている、とあるのでその時代からのものでしょう
一度廃業したが2009年から営業を再開したらしく、宿内は全体的に綺麗ですね。ではそのまま脱衣所へ。
日帰り入浴客もいないようで、いきなりの貸切状態。疲れを癒すにはもってこいです。すぐさま服を脱いで風呂場へ!
ちゃんと勢いのあるシャワー。馬油入りのボディソープが嬉しい。
風呂場のドアを開けるとムアッと心地よい匂いの湯気が体を覆いました。循環で塩素消毒していると聞いていましたがそんな匂いは微塵もせず、温泉らしい良い匂いがただよいます。
浴槽は大人が3~4人くらいで一杯でしょうか。窓は大きいですがそのすぐ下は宿の駐車場+道なので、大きく開けていたら外から丸見えです。しかし風にあたりながら入浴したい私は窓をあけ、体を洗った後早速入湯。
湯は薄い緑茶のような色で、少し湯面が泡立っていました。源泉はかなりの濃度の塩泉だということで少しなめてみましたがやはりしょっぱい。加水しているとのことですが源泉はどのくらい濃いのか気になります。ちなみに越乃湯旅館では、その塩泉から塩を精製して販売もしています。面白いですね。
湯は特にヌルヌルとかツルツルはしませんが、温度が丁度よく非常に入りやすい。旅の途中で負った小さな切り傷なんかもありましたが傷に沁みることもなく快適に入れました。湯宿温泉のお湯とはまた一味違ったお湯で、大して熱いわけでもないのにすぐにポカポカしてきます。これを貸切状態で独占しながら窓からの風にあたって1日の疲れを癒す。この瞬間を楽しみに1日走り回っていたとしても過言ではありません。やはり旅には温泉が欠かせない私なのでした。
一通り満足したら部屋に戻り、それでもまだ夕食まで時間があったので、与板の街(ここの住所は与板なのです)へ散歩に出かけ、コンビニで夜食のチョコを買って宿へ。途中市街地に「十五夜祭り」なる幟が結構たっていたので気になったので後で調べてみることにしました。
夕食は6時から。まだあと少し時間があったので再び温泉に入ったら丁度夕食の時間になっていたのでそのまま食堂へ案内されました。
ここは日帰り入浴や食事も楽しめるということで食堂も広めでした。外観からは全くわかりませんでしたが結構奥行きのある建物のようです。こんな広い食堂で一人だけで食事はさみしさよりもむしろゆったりしていていいですね。この日はもう一組宿泊客がいるみたいですがまだ到着していない感じでした。席について女将さんに冷たい水をお願いしたらバタバタと小走りで持ってきてくれたので早速夕食をいただきました。
中々豪勢な料理に加えて量も結構多い。肉に魚に小鉢も多数で楽しんで食事を楽しめる内容です。煮付けの魚は恐らく鮭でしたが鮭の煮付けは初めて食べました。温かくはなかったのですが、むしろこれは冷めた状態で食べるもののようで、初めての味で美味しい。てんぷらはしっかり温かく、添えてある塩はここで精製した温泉塩でしょう。結晶の大きさが不揃いで、ちょっとつけるだけで十分塩の旨みが味わえ、普段嫌って食べないパプリカのてんぷらなんかも美味しくいただけました。サラダのマッシュポテトも美味しく、というか全部美味しかったです。ただ鍋は、つけ汁が何もなかったのでただただ薄味の鍋で少し残念。本当はポン酢か何かにつけて食べるところを出すのを忘れてしまったのでしょうか。それでも全部いただきましたがそれだけが謎です。しかし内容としては大満足の夕食でした。これだけの内容なら何の文句もあるわけがない。よかったです。
その後は虫の鳴き声しか聞こえない部屋でテレビを見たり明日のルートを確認したりあと色々したりして就寝。静かで布団もふかふかで非常に寝心地がよかったです。
翌日は気持ちの良い晴天。この日は朝早くに宿を出なければならなかったので朝食はなし。朝は確か6時くらいから風呂に入れた(と思う)ので朝一でヒトップロ浴びた後外を少し散歩しました。
しばし宿の前の道に腰を下ろしてぼーっとしていました。非常にゆっくりと流れる時間。旅に出ていなければこんな瞬間は中々味わえません。朝も相変わらず静かでこの宿の立地の良さを実感します。目の前は田んぼなのですが6月くらいにはホタルなんかも見えたりするんでしょうか。もしそうであったらそんな時期にもまた来てみたい。
その後横の建物を少し眺めると、どうやら良寛研究家の方が執筆の場所として使用していた建物を再現したもの(と書いてあります)のようです。良寛は五合庵という庵に住んでいたようなので、それになぞらえて二合庵という名前にしたのでしょうか。建物の中はまさに物置という感じでしたが。その横には製塩所。時間があったら中を見せてもらったりしたかったのですがしょうがありません。内部が気になりますがそれはまた次の機会にということで。
そんなこんなでしばらくのんびりした後は部屋に戻って出発の支度をしてからフロントへ。宿代を支払ってからしばし雑談しました。まず前日に気になった与板の十五夜祭りは、ちょうどこの日の一週間後に行われる祭りのようで、栃尾と同じような雁木の街中を大きな神輿が練り歩く勇壮な祭りのようでした。旅の日程が違えば是非とも見てみたかったのですが残念。ですがその十五夜祭りのパンフレットや、与板出身の有名人である中川清兵衛のコースターなどをもらい「次はゆっくり祭りでも見にいらしてください」と温かいお言葉もいただきました。
次に気になっていた玄関をはいってすぐ横にある絵のことについて。実は越乃湯旅館に入ってすぐ右側に、この越乃や旅館をバックにした鬼太郎の絵が描かれていたのですがこれがとっても気になっていました。私は大の鬼太郎、というか妖怪好きなので「まさかアニメ放送時に関わっていたアニメーターさんがこの宿に泊まり・・・」などと考えていたのですが、この絵は宿の主人が描いたもののようでした。非常に上手です。その絵はこちら
きっとご主人も鬼太郎ファンなのでしょう。宿をバックにしているところが妙に似合っているし、何気ない絵ですがちょっとストーリーを感じてしまう。面白い出会いでした。
その後最後まで愛想の良い女将さんとお別れして次の目的地へ出発。気持ちの良い晴天の中信濃川沿いを走って行きました。
新潟に来ることはあまりないですが、次はもっとのんびりと過ごしてみたいものです。周囲の環境も含め、とても良い宿でした。
越乃湯旅館:一泊夕食付き 7300円+税
越乃湯旅館公式サイト