夏休み旅行の記事の途中ですが、久々に友人と旅行に行ってきたので息抜きUPです。
[2日目]
今回の旅行はいつものメンバーである鬼熊・ツゲとの2泊3日の3人旅。本来ならもう一人、去年の四万温泉旅行に新しく同行した香港人のツル天も誘っていたんだけど、ツル天は物忘れが激しく旅行のことをすっかり忘れて香港の友達を迎える予定を立てていたため、彼の「fuck…」という嘆きを背に私たちは予定通り旅行を決行したのだった。
当日はいつもなら鬼熊が私たちの家まで車でピックアップしに来てくれているんだけど、今回は「いつもそれじゃあ鬼熊がかわいそうじゃないか」と思った私とツゲの善意により、こちらから鬼熊の住む小田原まで電車で向かうという運びとなった。鬼熊は基本的に夜勤が多くて旅行の時は睡眠時間が2時間くらいで旅行に参加しているので、さすがに私たちも心が傷んだというわけだ。
というわけで朝7時にツゲと閑散とした渋谷で集合し電車に乗ること約1時間半、途中から雨が降り始めてそのまま止むことなく9時ごろに小田原駅に到着し、その後すぐにやってきた鬼熊と無事合流してようやく旅行が始まったのだった。
今日の宿は山梨の早川町にあるので、ルートを簡単に言えば沼津あたりまで行ってそこから上にあがっていく感じになる。なのでとりあえずはここら辺の道に詳しい鬼熊に「まずは沼津へ行くぞ!」とだけ告げて運転はおまかせだ。しかし朝早くから電車に乗っていた私とツゲは既にお腹がすいていたのと、「スシタベタイ」と急くツゲの圧力によって、やや急ぎ気味で沼津へと向かう。そこで「いいね!まかせろ!」と言う鬼熊もやはり頼りになるやつなのだった。
そんな頼りになる鬼熊に運転をまかせ、熱海で道を間違えて少し時間をロスしつつも、順調に山川を超えてちょうど12時ごろには沼津に到着。私の予定よりは少し進みが遅いけど、まぁ大丈夫だろう。そんなことよりも、まずは沼津の美味しい魚たちで腹を満たすのが最優先だ。
そうしてやってきたのがこのすしの助。ツゲが「ココハイイ!」と食べログの評価を見て選んだ店だ
事前に鬼熊が「深海魚水族館の近くにおいしい回転寿司があるゾ」と言っていたものの、空腹には勝てず通り沿いにあったこの店に決定した。でも沼津の回転寿司ならきっとどこでも美味しいはず。その店はまた別の機会に行こうぜ鬼熊。
時間も時間なので店内も混雑してるのかと思いきや、さすが今日は平日ということですんなりと席に着くことができた。回転寿司なんて久しぶりだからどれにしようかかなり迷ったけど、私は看板にある地魚三種盛りをまず頼んで、他二人もそれぞれ好きなものを注文した。
客も少ないから品もすぐ出てくる。たしかアジ・タカベ・ホウボウの三種盛りだ
うん、これは美味い。身も厚く切ってくれてるから食べ応えもあるし、やはりさすが沼津の回転寿司だ。ツゲも「ウマイ!」と歓喜を含んだ小声を漏らしながら寿司を貪っているし、鬼熊もなかなかに満足げの表情だ。ここ選んだのはどうやら正解だったようだ。
鬼熊が「これも撮りなさい」というので一応撮っておいたマグロ五種盛り。これも美味しかったらしい
その後メジナ・あん肝の軍艦・黒ムツ・タコなどなどを無心で食べ、なぜか「フシュー、フシュー」と言い出したツゲを気にしながらも皆大体12皿前後で終了。私は最後にアナゴを頼んだことを後悔しつつ(味が濃いのでしめようと思ったけどそれは間違っていた)、しかしそれでも大満足で店を出たのだった。
雨は相変わらず降り続いている中、ツゲの会社に入ってきた何かやるごとに「よし・・・よし・・・」という人の話で盛り上がりながら車を走らせる。時間も私が考えていた予定よりも決行遅れていていたけど、他の二人はそんなことはつゆ知らずでのんびりしたものだ。私の予定としては早めに宿にチェックインして普段お疲れの鬼熊を労うという個人的な裏テーマがあっただけに、とにかく安全運転な鬼熊をせっつきたくもなったけども、まぁ彼らが楽しければいいかと気持ちを切り替え始めていた。
そうこうしているうちに道は山の中へと続いていく。やはり旅行は山へ行かないと始まらないっ
今回の旅では個人的にみかんを買って帰ろうと思ってたので道の端の直売所で売ってるみかんに気を取られたけども、これから道の駅に寄るつもりなのでここはひとまず我慢して旅路を急ぐ。お土産以外にもとりあえずみかんがあればおやつや夜食にと色々役立つので買っておきたい。
そしてやってきた道の駅なんぶ。わりと新しくできた道の駅らしい
雨の日の平日なので客は少ないけど、外に売られているりんごやみかんの量は素晴らしい。ここなら何かいいのがあるはず!
いいねぇ。みかんなんかは家の近くのスーパーとかで買うよりも量も多くて安い
ゆずも傷ありとはいえ安い。しかし今んところゆずを使う予定はないのでパスかな
ツゲとみかんをみながら「これ買うと奥さん喜ぶよ」と適当なことを言って買わせようと思ったけど失敗したのでそのまま店内へ。鬼熊からは「道の駅好きなクセにいつも何も買わない」と悪口を言われている私だけど、ここではみかんの他に何か酒の1つでも買って汚名返上したいところだ。
やきとり缶の巨大バージョンがなぜか売っていたけど、こんなの初めて見たので鬼熊とちょっと興奮した
鬼熊たちは夜のために酒を買っていきたいみたいだけどなんだか好みのものがないらしい。その代わりに何か出汁のようなお茶とかステーキ用椎茸なんかを試食しながらホクホクとしていた。一方私は色々見た結果、外にあったみかんともものワインを購入し、ツゲは腹が減ってきたのかおこわを買ったようだった。どうやら去年の四万温泉の旅以来道の駅のごはんに一目置いているところがあるらしい。
この道を出てからはもう一箇所寄りたいところがるので、さすがにちょっと鬼熊を急がせながら(この時時間は3時過ぎくらい)目的地へと向かう。
宿へ向かう途中にはあと身延山という観光スポットがあってそこに寄る予定なんだけど、当初予定では山の上の方に行けるというロープウェイにでも乗ろうかと思っていたんだけど、そんなことをしている時間もなくなってきていたのでそれは諦めた。しかしここら辺は実はゆるキャンというアニメの聖地の1つらしく、そのグッズを売っているお店があるということなのでそこだけは行くことにした。まぁ私はこのアニメを良く知っているわけではないんだけど、こういう地域限定グッズのようなものにはちょっと弱いところがあるので密かに楽しみにしているのだ。
時間もサラサラと過ぎ行く中、鬼熊のナビをしていると急に道に大きな門が現れるというあまりない光景に「このまま行っていいの?」と少し困惑している鬼熊だったが、「GO!」とだけ一括して進むことしばし、たどり着いたのが
このお店は基本的に干し椎茸と湯葉を売りにしてるらしいんだけど、なぜか一緒にゆるキャングッズも売っているようだ。最初はなぜ干し椎茸?と思ったんだけど、お寺が多い地域だけに精進料理とかで使うんだろう。
店内に入ると既に(多分)ゆるキャングッズを求めに来たであろうお客さんが一人いるだけだった。売っているものはさすがに干し椎茸を売りにしているだけに沢山の干し椎茸関連の商品が多かったけど、他にも酒やお菓子などもあって、その中に一際異彩を放つグッズエリアがしっかりと設けられていたのだった。
なかなかの充実ぶり。アニメの聖地効果というのはやはりあなどれないのだろう
私は自分の用事はさておいて、またしてもツゲに「これ買っていったら奥さん喜ぶよ」と興味もないアニメグッズを買わせようとしていると、奥から店のおばあちゃんが「ようこそいらっしゃいました。これどうぞあがってください」とお盆にお茶と食べ物を用意してやってきた。
それがこれ。突然の接待にちょっと驚いたけど、嬉しいサービス精神だ
おばあちゃんに促されるまま着席した私たちは突然の小休止をありがたがりながらまず茶をすすると、これがまるで出汁のようで美味しく、「ナンカウマイ!」とツゲも大喜びだった。おばあちゃんに聞いてみるとこれはしいたけ茶というものらしいけど、なるほど、確かにしいたけの出汁が効いていて、お茶どころか料理にも使えそうな味わいがある。鬼熊も「これは無限に飲める」と絶賛していた。
続いて信玄餅も歯ごたえがしっかりしていて、甘いものに若干飢えていた私たちには最高のおやつだった。ただアニメグッズを見に来ただけなのにこんな美味しいものを振舞ってもらえるとは、門前町故のご好意だろうか。ツゲと鬼熊はしいたけ茶の味に魅了され、早々に購入を決めたようだった。
おばあちゃんはこんなものも見せてくれた。こういうイベントも行ってみると楽しいんだろうな
もてなしの品々を平らげた後、しいたけ茶を購入した鬼熊とツゲの後で、私も同じくしいたけ茶とゆるキャンの交通安全ステッカーを購入。ステッカーは700円と思ったより高額だったけど、どうやら身延山にある久遠寺という日蓮宗の総本山で祈祷を受けてから販売されているようで、そのその分が上乗せされての値段らしかった。なので一枚だけ購入して、あととりあえずゆるキャン関連のパンフレットを一枚だけもらって店を出たのだった。
ということであとはもう鬼熊たちがどこで酒を買うかだけなので、これからは特に寄り道もなしで宿へと向かう。宿にはチェックインは3時ごろと言ってあったけど、このままだと到着は4時30か5時くらいになりそうだ。それ以上遅くなりそうなら電話をしようと思うけど、とりあえずまずは少し急ぎ気味で宿へ向かうことにした。
宿がある早川町に入ると、道の横には大きな川が流れてあたり一帯は完全に山という私の好きな景観が続く感じになったけど、先の台風の影響か工事しているところが多く、河原も石河原で少々趣に欠けるところはあるものの、これから泊まる宿のことを思うと自然にテンションがあがってくる。今日の宿はその昔、かの有名な「日本ボロ宿紀行」で知って以来気になっていた宿だけに、やっと行けるということで結構楽しみにしていたのだ。そしてそういういわゆるボロ宿と言われる宿にも文句をいわず、毎回楽しんでくれる鬼熊たちもありがたい存在だ。今日も楽しい一晩になればいいんだけど。
もう雨は止みそうにない。でも紅葉が案外残ってるみたいでそこは嬉しい
そして酒を買うため、南アルプスプラザというところに立ち寄った
店内のお客さんはゼロ。しかし店構えも店内もおしゃれな感じで、観光スポットとして力を入れているのはわかる。ただ土産の品が少なめでちょっと残念感がある。
これはちょっと欲しかったけど結局買わなかった。ちなみにこの奈良田というのは今日私たちが泊まる宿より更に奥にあって、そこに行く道は今は台風の影響で通行止めになっているらしい
ということでここでは酒を買うことはなく、結局この店より先にあった麓の直売所というところでツゲと鬼熊が普通の缶ビールを、私が夜食用にメロンパンを買って宿に向かうこととなった。その道すがら台風の爪痕を目の当たりにしつつ、どんどん濃くなってくる紅葉に目を奪われながらしばらく走り、あたりがまるで夜のように暗くなった頃、ようやく宿に到着したのだった。
駐車場から宿の側面を見ると、それはそれは怪しげで魅力的な様相を呈している蓬莱館。空が曇っている夕暮れというのもあるけど、これで明かりがついていなかったら廃墟と言って誰が疑うだろうか。鬼熊も「凄いなこりゃ」と息を飲んでいるが、今からここに泊まるわけだからお楽しみはこれからだ。
しかし宿を仰ぎ見て胸を踊らせつつも、あまりにも寒いのでさっさと荷物を持って玄関へと向かう。この時期に旅行に行くことなんて滅多に無いけど、この時期の山奥というのはこうも寒いもんなのか。更にここの湯はぬる湯らしいからちょぴり不安がよぎる気温だった。
幽霊のごとく写っているツゲ。装備が貧弱すぎて震える彼の後ろには、かの有名な高級旅館である慶雲館が座している
しかし旧館・新館とあってこのコンクリの棟は新館だろうけど、それでも古いな
なんだかまとまりがあるようでないようなロビーだ。気になるものもいくつかある
しかしその前にまずはチェックインせねば。でも帳場には誰もいない
「すいませ〜ん」と声をかけてみても誰も出てこなかったけど、ふと電話のあたりを見ると「ご用の方は〜番を押してね」という旨が書かれていたのでそのようにすると、女将さんが電話に出てくれてこれからこっちに来てくれるとのことだった。
そして少しすると「お待たせいたしました〜」と赤ん坊を抱いた女将さんが私服姿で登場。その出で立ちも雰囲気もなんともラフな感じはいかにも民宿なノリだけど、この気軽な感じが個人的には嬉しいところ。しかもこの宿を将来継ぐかもしれない赤ん坊がいるという希望が微笑ましい。
とまぁそんなことはさておいて、女将さんに促されるままに宿帳をささっと書いたらすぐに「じゃあお部屋にご案内しますね」と私たちを気になるお部屋へと導いてくれた。
階段を登ってすぐ左の部屋が今日私たちが泊まる部屋だ(このうっすら空いてる部屋)。ちなみにこれは翌日撮った写真です
女将さんが説明してくれた内容によると、温泉へはこの連絡通路を通って旧館にアクセスしなければならないらしく、その温泉は22時から24時の間は清掃の時間で入れないという。まぁそのくらいの時間には入らないだろうから、特に問題はなさそうだ。
鬼熊が「ほら、写真撮るんだろ」と言わんばかりに私を先に行かせて無事写真を撮った後皆で入室。何かこう、思っていたよりも普通というか別にボロくない部屋で少し残念な気持ちはあったけど、とりあえず部屋に着いた安心感は甚だ大きい。それにこれから温泉やら食事やらと楽しみは色々あるから、それを思えば今はとにかく一息つくのが最善だ。
というわけで女将さんの説明を聞いて、食事の時間を18時半にしてもらって私たちの安らぎタイムは始まった。
部屋の様子2。ポットはあるけど、自分で水を入れて沸かさなければならない
アメニティはバスタオル・歯ブラシ・フェイスタオル・浴衣と全部ある
で、奥の障子を開けるとそこにはちゃんと広縁が。冷蔵庫があるのは大変嬉しいけど、カーテンの向こうの窓からは景色を拝むことはできない
冷蔵庫の上にはコップと栓抜きも。でも今日は栓抜きが必要な飲み物は買ってこなかったな
中にはビールと地酒が入っている。鬼熊たちはこれを飲むだろうか
そして最後に鬼熊とツゲ。鬼熊はなぜかすぐにテニスのゲームを一人でプレイしていた
こうして部屋中を撮影してる間に、ツゲは「サムイサムイ…」と言いながらすぐに暖房とストーブをつけ、さらに鬼熊は携帯の電話があることに喜んでいた。しかし私はというと、部屋を撮り終わって座椅子に腰掛けて一息つきながらもまだ少し残念な気持ちが心に残っていた。それはなぜかというと、さっき女将さんの案内で旧館を少しだけ仰ぎ見たんだけども、その佇まいこそまさにボロというかとんでもなく年季が入った建物だったもんだから、そっちに泊まれないのがなんとも残念に思えてしょうがないからだった。あそここそまさに私好みの建物なだけに、私の気持ちとしてはまさに蛇の生殺し、目の前に人参をぶらさげられた馬のような気持ちなのだった。
ただまぁ皆のことを考えれば小綺麗で設備も充実しているこちらの方がいいだろうし、私もそうは言ってもこちらの部屋と建物は嫌いじゃ無いので、今回の旅行ではこれでよかったのかもしれない。とりあえず今回は、その温泉と旧館の表層の味わいだけを楽しんで行くことにしよう。
そんな時鬼熊は「10時から12時まで温泉に入れないのは清掃ってより宿の人が温泉に入る時間だからだろうな」なんて宿事情の分析をしながら、相変わらずテニスゲームをプレイしていた。
ということで鬼熊とツゲはとりあえずもうちょっとゆっくりするようだったので、私は一足先に温泉へと向かうことにした。食事は18時半からだから、ゆっくりと堪能しようじゃないか。
連絡通路を渡って旧館へ。旧館の外観は今日は暗くてうまく撮れないので明日にしよう
右側の売店と描かれたところには本棚とモノが置かれているだけの空間だ
二階へ続く階段。この上に客室があるようだけど、なんだか勝手に行くのも気がひけるので我慢。でもすごい気になる
ベコっとへこむ床を通り過ぎて奥に進むと大浴場だ。ちなみに女将さんたちはこっちの棟にいるようだ
ここまでの道のり、誰と会うこともなくとても静かで、鄙びた宿にぴったりな寂しさが感じられるのがイイ。この感じなら先客もいなさそうだし、さらに言えばここの温泉は混浴なんだけど、女性と一緒になることなんて今日は絶対にないだろう。全く楽しみだゼ!
ということでいざ脱衣所へ。右側には脱衣カゴがある。浴室は自分で明かりをつけるタイプのようだ
温泉情報コーナーという掲示板。こういうのを読むのが結構好きな私
温泉分析書。ここの湯は含塩化土類芒硝泉らしく、傷とか肌にいい系のようだ
さてここからが本番。温泉はもちろん楽しみだけど、その前にこの寒い中服を脱いで裸にならなければならない。こういう宿だからもちろん脱衣所が暖かいなんて言うこともなく、温泉に入るまでの少しの間とはいえ寒さを我慢しなければならない。しかも上がった後はさらに寒いだろうから、寒いの苦手な私にとってはちょっとした覚悟が必要だ。
なのでできるだけ寒さに晒される時間を減らすため光速で服を脱ぎ、一刻も早くエデンへと向かうべく浴室へ躍り出た。
そしてこれが楽しみにしていた温泉とその浴室!広々としていて開放感がある!
浴室に入ると気温が低いから湯気がすごい!(写真はレンズが曇る一瞬の間を狙ってようやく撮影したもの)でもそれがなんとも温泉っぽくていい感じ。しかも浴室は多少暖かいから少し助かった。
いやしかしこの開放感たっぷりの窓は今は時間が時間だけに真っ暗だけど、明日晴れていたりしたらなかなか素晴らしい景色が拝めそうじゃないか。とりあえず今日は湯を堪能して明日は景色も一緒に。贅沢です。
なんてこの時は思う余裕もなく、私は体を洗うため真っ先にシャワーに向かったんだけど、あったかくなるのが結構遅い。その間ちょっと苦しんだけど、水がお湯になった瞬間に速攻で体を洗ってすぐさま温泉へと飛び込んだ。
浴槽は真ん中で2つに区切られ、さらに左側は2つに区切られている。とりあえずまずは右側に入ろう!
温泉に入ると、外が寒かっただけにその気持ち良さは尋常じゃないものがある。温度は正直一般的に言われる適温よりも低めだけど、その分長湯できて体の芯からポカポカになれそうだ。浴槽も歴史のありそうな木造りで深さもあるし、これはとても気持ちが良いですぞ。浴感もさらっとしていて肌にやさしそうだし、多くはないとはいえ湯の花が舞っているのも嬉しい。これはイイぞ!
そうして誰もいない温泉を独占して十分に温まった後、今度は左のエリアに入ってみることにした。
さっき少し手で触れてみたところ、ここはぬる湯であるという評判通りこちらはかなりぬるい。冷たい、とまでは言わないけどギリギリ一歩手前な感じの温度だった。
なので体が温まっているとはいえ慎重に足を入れ、「う〜〜」と言いながらゆっくり首まで浸かる。いやぁこれは結構ぬるくて辛いけど・・・・少し入ると体が慣れて、今度は逆にこっちの湯が凄く気持ちよく感じるところはやはりぬる湯のいいところ。この西山温泉の湯もやはり素晴らしい。
しかしよくよく湯を見てみるとこっちは湯の花の色が黄色だけど、温かいほうは湯の花が白かったな。源泉は同じだと思うんだけどなんで違いが出るんだろうか。後で某有名温泉宿に勤めている鬼熊に意見を聞いてみることにしよう。
とまぁそんな感じでぬる湯と熱湯(でもないけど)に交互に入ること40分、十分堪能したので意を決して温泉からあがり、めちゃくちゃ寒い脱衣所をこれまた光速で抜け出して部屋へと舞い戻ったのだった。
しかし部屋に戻ってもまだ18時にもなってないから夕食までの間に微妙な待ち時間ができてしまった。なので「腹減ったなぁ〜」なんて言ってたら鬼熊に「なんで18時半にしたんだっ」って怒られたけど、とりあえず鬼熊はヒトップロ浴びに行って私とツゲは机に用意されていた栗羊羹を食べて(これがかなりうまかった)夕食まで過ごすことに。
普段は吸わないけど旅行の時だけタバコを吸うツゲは、連絡通路で寒々と煙を吐いていた。むちゃくちゃ寒いです
そしてやってきた18時半、結局ツゲも温泉に入って全員浴衣姿で夕食会場へ向かう。ここは部屋や食堂じゃなくて、私たちの部屋の斜め向かいの部屋で食事をとる、いわゆる別部屋スタイルだったのですぐに到着した。
そして始まる夕食の時間。並べられた品々はどれもおいしそうだ!
やはり山なので川魚はかかせない。ローストビーフがあるのは意外だった
鬼熊は早速女将さんにビール2本を注文。まだ何品かは後から出てくるようなので、とりあえずビールが来た段階でいただきますをする。
私たち全員かなりお腹が空いていたのでとにかくムシャムシャと食べていったのだけど、一品一品がなかなか美味しいもの揃いで食べ応えが十分だ。鮎もアツアツで非常によろしいし、いちじくはデザートではないけど普通の料理のように調理されていて、でも甘いのでなんだか不思議な感じ。
そして実は横にきのこ鍋がグツグツと煮えてるんだけど(なぜか撮ってなかった)、これも薄味な割に具沢山で美味しいっ
そんな中あの(見た目が)ラフな女将さんは細かくいろんな事に気を使ってくれてありがたかった。布団も食事中に敷いてくれるみたいだし、他の品を運んでくるタイミングもいい感じ。快適な夕食だ。
女将さんによると天ぷらは大きなしめじにおかひじきに食用菊等々らしいけど、この食用菊が結構大きくてびっくり。しかも食用菊を天ぷらで食べるのは(多分)初めてなので結構楽しみだ。
この天ぷらは塩をミルで引いて食べるとのことだったので、まずはツゲが引いて食べると「ウン…ウン…..ウマイ!!」と大変美味しかった模様。次に鬼熊が塩をかけようとしたら「ギャア!」と叫んだのでパッと鮎を食べていた顔をあげると、悲しいかな鬼熊の食用菊に塩がたんまりとかかっていた。「塩が飛び出て来た!」と半分笑いながら悲しむ鬼熊によると、どうやらツゲはミルの蓋をつけたままでミルを引いて、それで塩がかかったと思い込んで天ぷらをウマイウマイと食べていたようで、次の鬼熊は蓋をとった瞬間にたまっていた塩をぶちまけてしまったようだった(ちなみに鬼熊も最初は蓋がついたままで引いていたようなので、量もその分多くなっている)。ツゲは酒が入るとあらゆる感覚が鈍くなるけど、まさか塩がかかってるかどうかもわかっていなかったとは。その後ツゲは「ゴメンネ」と謝って、鬼熊は「しょっぺぇ!けどうまい!」と、ツゲをフォローしながら食べていたのだった。
で、私はその教訓を生かしてちゃんと塩を引いて食べて見たんだけど、食用菊のそのクセのない美味しさに結構驚いた。大きくて食べでがあるし、妙な味もしないから結構いい天ぷらネタなんじゃなかろうか。他のきのことかももちろんウマイし、全体的になかなか満足度の高い夕食となった。
ちなみに事前情報で蓬莱館では卓球ができると読んだことがあるので女将さんに聞いてみると、「いえ・・・あそこはもう部屋がカビちゃってるし旧館にあるんで・・・、今は寒いから湯治のお客さんもこっちに泊まってもらってるんですよ」とあんまり要領を得ない感じでちょっと笑って返してくれたけど、あの感じでいうとここで卓球をやりたいって言う人もあんまいないんだろうな。しかも卓球室はカビてて今は遊べない状況らしい。残念。
でも湯治客の件は耳寄り情報だ。ここは多分冬以外なら湯治客は旧館で、普通の宿泊客は新館に泊まるんだろう。そういえば温泉に行く途中旧館に炊事室もあったし、湯治客として行けばそっちに泊まれるということのようだ。確かにこの寒さで旧館に泊まったらかなりヤバそうだし、ならば次来るとしたら夏あたりに湯治客としてかな。うん、これは予定として入れておこう。
そうして夕食が終わると後はもうだらだら過ごすのみ。私は道の駅で買った桃ワインを開封し、部屋で皆と飲みながら鬼熊とツゲにマッサージしてやったり温泉にいったりして、各自思い思いに過ごす時間となった。
今日の戦利品たち。このステッカーは貼るか保存しとくか検討中。桃ワインはまぁ美味しかった
このだらだらタイムが凄くいい。でも私の寝床は広縁側で隙間風がヒョロヒョロ入って来るので少し寒い
そうして大体23時ごろに就寝し、顔だけ寒い風にあたりながらもぐっすりと眠ったのだった。
翌日は7時ごろに私一人だけ目を覚ました。彼らは早起きは得意ではないので大体いつもこうなるんだけど、そこで彼らを起こすのも忍びないので、まずは私一人で温泉へと向かう事にした。
蓬莱館屋上より。今日はこれから晴れてくるようで楽しみだ。周りの景色もやっぱりいい感じ。でもやっぱ寒い!
向こうに見えるアパート的な建物は宿の関係者の人が住んでるんだろうか。あそこも味がある
旧館を抜けて脱衣所へ行くと今回もまた誰もいないようなので、スパッと服を脱いですぐさま浴室へ。
でもなんとか頑張って撮影。期待していた通りの景色が素晴らしいぜ!
誰もいない温泉。一番風呂かはわからないけど、この広い浴槽と風景を独り占めできる贅沢さは計り知れないものがある。冬に温泉っていうのはあんまり経験がないけど、やっぱり寒い時期の温泉って最高です。結構口コミとかで「ここの温泉は冬は結構辛いかも」的なことを書いてる人がそこそこいるけど、これくらいの季節だとまだ大丈夫かな。ゆっくり時間をかけて入れば出てからもまぁまぁ大丈夫。この朝風呂も、時間をかけて存分に楽ませてもらいました。
そして戻る途中売店の奥に部屋があるのを発見したので見てみると
そこが卓球場でした。ちなみに電気は点かず。ここも夏なら明るいうちは使えることだろう
その後さすがにヤバイかな思いつつ外へ出たけど、逆にキリッと冷えた空気が気持ちいので散歩をすることにした
川も真横でいい立地なんだけどな。ここは是非泊まってみたかった
そしてその向かいには慶雲館。蓬莱館や山本屋旅館とは明らかに対照的だ
そこから右に行っても何もなさそうなので、左に行ってみる。段々と寒くなってきたぜ!
で、道をまっすぐ行くと潰れた商店と自動販売機。これは買えるんだろうか
建物の隙間には川に降りられそうな道もある。次ここに来た時のためにこういうところはチェックしとかないとね
そこからさらに行くとなんとも素敵な建物を発見した。なんだこの造りはっ
しかしなんと言ってもこの玄関の造りが最高だ。これは一般住宅なんだろうか。私も家を建てるならこんな感じにしてみたい
いやぁいいなぁこれ。本当いいなぁ。これは今年一番の住みたい物件だ
やはり散歩はするもんだ。思いがけずこんな良い建物を発見できてしまうんだから。でも残念ながらもう体温が急降下してきたのでこれ以上先には進まず、この建物ももうちょっと見物したかったけど逃げるように宿へと戻ったのだった。
まぁまだ朝食までは時間があるので二人は起こさず寝転がってウダウダしていると、ドアの向こうから女将さんの呼ぶ声が。その声で二人も起きたので、フラフラしている彼らを連れて向かいの部屋へと向かった。
そして朝も鍋が。冬の宿ではよくあるのかわからないけど、個人的には新鮮
朝は地方のローカル番組を見ながらもくもくと食べて行く。朝は皆テンションが低いから口数も多くないけど、ちょこちょこしゃべりながらゆっくりととる食事もいいもんだ。
朝食は品数もちょうどイイ具合だし、何より鍋が体が温まって幸せだ。なので私は普段ご飯一杯のところを二杯食べ、結構満腹気味で朝食を終えたのだった。鬼熊もいつものごとくモリモリとご飯を食べて「もう昼はいらない」と言っていたけど、まぁすぐにお腹もすくことだろう。まぁなんにせよ、大変美味しゅうございました。
そうして朝食の後は、10時のチェックアウトまでのんびり過ごすのみ。今日は次の宿まで大した距離もないので、10時にチェックアウトしてもそれなりに余裕はあるはずだ。なのでチェックアウトまではまたしてもそれぞれの自由時間が始まった。
ツゲが「ア….ユキ……」と見つめる先を見てみると、さっきは気づかなかったけど山の上の方に雪がうっすら積もっているのが見えた。これがどんどん下がってくるのか
屋上から見る旧館の様子。ここは本気で泊まりたい。風情がありすぎる
その後私もツゲも体がすっかり冷えてしまったので、最後に皆で温泉に行く事にした。鬼熊もツゲも毎回そんなに何度も温泉に入らないけど、今回は皆計3〜4回ぐらい入っているのでここの温泉がそれなりに気に入ったらしい(もしくは寒いから温泉に入りたいのか)。まぁとにもかくにも友達同士で温泉に入るのは私は結構好きなので、出発前に皆でヒトップロだ!
今更だけどここは飲泉もできます。味はちょっと温泉ぽい味がするくらいで、至って飲みやすい
湯の様子。かなりわかりづらいけどそれなりに湯の花が沈んでいます
もうチェックアウトまでやることもないので、とにかく皆「うい〜」とか言いながら極楽気分で温泉を堪能している。結局温泉では他の客には会わなかったし(新館では一人おじいさんに会った)、こうして最後に皆で温泉に入って、しかも貸切状態を楽しめるのは私含め皆が平日に旅行に行けるように休みを調整してくれてるからなので、私の趣味(の宿)に付き合ってもらってることも含めて感謝あるのみだ。しかも今回は珍しく二泊三日なので、今日の夜もまた違う宿に泊まる。これから行く宿も良い宿だったらいいんだけど、とにかく今日も今日で楽しみな私なのだった。
その後部屋に戻ってギリギリまでダラダラした後、あまりに動かない二人を起こすため窓を開けたところ。そろそろ出発だ
皆が起きたところでなんとなく布団やら脱いだ浴衣やらを整えて部屋を出る。
ロビーに行くと相変わらず誰もいなかったので声をかけると今度は帳場に通じるドアから愛想の良いご主人が出て来たので、生産がてら少〜しだけお話しさせてもらった。
するとやっぱり夏なんかは湯治客がいるようで(どのくらい来るのかは聞かなかったけど)、その中にはあの目の前の川で釣った魚だけを食料にして何泊かしていくなんていう、ちょっとしたサバイバルのような生活をしていく人もいるそうな。しかもそれはおっちゃんや老人ではなく若い人なんだとか。世の中には面白い事をしている人が案外いるもんだけど、そういう湯治を楽しんでる人もいるんだな。しかもそのくらい魚が釣れるってことだろうし。
ちなみにご主人によると、目の前を流れる本流早川は釣りにならないけど、もうちょい上流のダムから上なら結構良い型のが釣れるだとか。ならば次に私が行くときに攻めるべきはそこらへんか。出発前に中々良い情報をもらえたのは収穫だった。
というわけで短い雑談も終了したらいよいよ出発。もう外は完全に晴れていて、気温は相変わらず寒いけど日差しがある分温みが違う。ツゲも装備が薄くて苦しんでることだし、このまま晴れてくれれば今日の行程も楽しいんだけど。
※ 今回泊まった蓬莱館さん、最も私の好奇心に火をつけた旧館には泊まれなかったものの、温泉の泉質や浴室の雰囲気、さらに部屋の設備や料理の内容など、結構満足度の高い宿でありました。ご主人や女将さんの人当たりもいいので過ごしやすいし、何よりあの温泉は何泊もして湯治を楽しむのにももってこいだと思います。周りの環境もいいので、今度は是非夏に行ってみたい宿でした。ボロ宿として有名なところもありますが、新館に泊まった感想としては掃除もちゃんとしているし、女性でも割と気軽に泊まれるのではと思います。
ただ私の友人たちも言っていましたが少々宿泊料が強気かなとは思うので、そこはよくよく考えた上で泊まるかどうかを考えた方がいいかもしれません。
西山温泉 蓬莱館 : 一泊二食付き 約13400円(税込)
ネギさん
こんにちは
更新まってました
今回は夏の旅シリーズの合間の平日旅のレポなんですね
道をはさんだ高級宿で知られる慶雲館さん
その反対側にはボロ宿で知られる蓬莱館さん
わたしも一度通ったことがありますが蓬莱館さんの建物を見ると
営業しているのかわからないような雰囲気だった気がします
ここも泊まってみたいリストに入ってます
温泉気持ちよさそうだし何しろボロ宿好きにはそそられます
平日2食で結構なお値段なので可能であれば素泊まりでいいかなと
冬はさすがに寒そうなのでやはりネギさんが書いてあるように夏に行くのが
いいのかな
次の宿はそんなに遠くないと書いてありましたので
そのままその道をいったぬるぬるで有名な奈良田温泉・白根館さんに宿泊されたのかなと
勝手に予想しています
>ましゅさん
どうもコメントありがとうございます。返信が遅くなってしまってすいません。
そうですね、やっぱり強気な値段に感じます。以前はそんなに高くなかったようなんですが、何か色々と理由があるんでしょうね。素泊まりでも近くに麓の直売所っていうお店があったりするし飲食店もちらほらあるので大丈夫そうです。
でも何より次は是非あの湯治の人用らしい本館に泊まりたいので、私も夏に素泊まりで行きたいと思っています。ただ素泊まりだといくらなんでしょうね。
白根館さんは候補に入ってはいたんですが、台風の影響で通行止になっていたので行けないようでした。ですが2日目に泊まったところもなかなか良いところだったので楽しみにしていてください。もしかしたらもう泊まられたことがあるかもしれませんが( ^ω^)