【片品村・藤井荘】リーズナブルで料理が美味しいペンション風民宿に泊まる!

群馬

2024年夏休みの旅6日目、最終日です。 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目

まずはみなかみ温泉へ

宿前の道

今日も今日とて澄み渡った夏空のもと、親切な宮野旅館の女将さんに見送られて宿を後にした午前10時。今日も今まで走ったことのない道を行く予定だからワクワク感はあるものの、これから向かう片品村は激しい雨が降る予報になってるようだから、少し不安というか気が重くはあったりする。だけどそれはそれとして、とりあえずは今の一瞬一瞬を楽しむことが大切ということで、はりきって行ってまいりたいと思います。

このまま道なりに行けば懐かしの湯宿温泉を過ぎることになるけど、今回は270号に入って川古温泉・みなかみ方面に向かっていく。川古温泉には二件の湯宿があって、どちらもいつか泊まってみたい宿としてチェックをしてるから、今回はちょうどいい(道の)下見になりそうだ。

名前は阿能川湧水というらしいけど、情報が少なくてこのまま飲めるのかどうか全くわからない。とは言うものの、これまで数多の湧き水を生で飲んできて一度もお腹を壊したことがないから、これくらいの設備の湧き水なら問題なく飲めるだろう。

ということで一口飲んでみた所、それなりに冷たくさらりとしていて、なかなかに美味しい湧き水だ。まぁ以前に書いた通り水の違いなんてよくわからないから、基本的に冷たい水=美味しいと思っている。それでいくとこの水のオイシイレベルは6くらいで、つまり冷たさレベルが6ということ。これまでに飲んだ湧き水のオイシイレベル断トツトップが戸隠の湧き水だから、それと比べればまぁまぁということになる。それでもやっぱり湧き水というのはただそれだけで好きだから、今回も大切にボトルに詰めさせていただきます。

やっぱりこの道の駅はなかなか面白いものが売ってるな。ボトルが結構気になったけど、保冷できないし旅も終盤だしでさすがに購入は見送ってしまった。しかしあのバッグを見て思い出したけど、やっぱり野沢温泉の道の駅で見た餌袋バッグは買っておけばよかったとちょっと後悔してる。。

水上温泉も相変わらず閑散として落ち着いた雰囲気のある温泉街だけど、近年は廃墟マルシェという廃墟再生イベントを開催してそれがなかなか盛況らしい。忘れられかけていた建物の魅力を掘り起こす、というコンセプトで毎年開催されてるらしいけど、見てみるととても雰囲気が良さそうだからいつか私も行ってみたいところだ。その時はぜひ米屋旅館に泊まりたい。

谷川岳エリアへ寄り道

人のいない温泉街をかつて泊まった林家旅館あたり前まで来てみると、向かいにある(写真右)ホテルが工事中になってることに気がついた。
たしか以前に林家旅館に泊まったときに聞いた話だと、このホテルは閉業してから長い事そのまま放置されてる物件って言ってた記憶があるけど、工事中ってことはこれからまた営業の兆しありってことなのかな。見た目もなんかキレイになってる気がするし、これからどうなるのかちょっと楽しみだ。

ここまで来る途中、淋しげな温泉街とは裏腹に意外と谷川岳方面に走っていく車が多かったから、ここは少し混んでるかと思いきや車の姿がほとんどない谷川岳ドライブイン。でもこのドライブインの、そこはかとなく最果て感のある雰囲気が好きだからこの寂しげな景色もまた非常に味わい深い。
というか、この看板ってこんな文字だけのシンプルなやつだったっけか。私が前に見たときはレトロな感じのする素敵なもっと看板だったと思うけど。この変更はとてつもなくもったいないわ。

誰もいないから当然だけど、めちゃくちゃ静かで雲もゆっくり流れて、休憩にはもってこいのシチュエーションだ。やっぱり一人旅の休憩は、こういう静かなところでしみじみ休むのが最高だ。
しかしこのチーズクリームのどら焼き、濃厚でありながら甘すぎることはなくめちゃくちゃウマいな!200円っていうのはどら焼きにしてはそんなに高くはないと思うけど、値段に見合った味で満足度高しだ。

そうしてのんびり食べていると、合宿なのかなんなのか、学生が乗ったバスが数台入ってきて賑わい初めたので出発することに。近くの土合駅でもチラ見して、先へ進むとしよう。

誰もいない土合駅はポストアポカリプス的な雰囲気があってやっぱりすごくいい。でもこんな寂しい駅でも構内にはモグラっていうオシャレ喫茶があるようだけど、今回もお店はしまっているみたいで見ることが叶わなかったな。前回来たときもやってなかったし、一体いつ営業してるのだろか。

洞元湖でおいしいおにぎりを食す

さっき進んできた、水上温泉から片品村へ抜ける63号、通称「奥利根ゆけむり街道」を進んでいく。これまで湯檜曽温泉まで来たことはあったけど、その奥の片品村へは行ったことがないからここからは初めて通るルートで結構ワクワクしてる。
この道は尾瀬への入口となる鳩待峠にアクセスするためのルートでもあるみたいだから、もしかしたら結構車通りが多かったりするんだろか。よくわからないけど、とりあえず高山植物とか見れたらいいなって思う。

基本的にペンションが多い所はほとんど気になる宿はないことが多いんだけど、このサンバードのレトロ看板を見ると、結構私好みの宿なんじゃないかと思えてくるから後で調べてみよう。他にもただち庵っていう昭和食堂みたいなとこも気になったけど、今日は宮野旅館の女将さん特製弁当があるからおあずけだ。次に来るときはぜひよてみたい。

緑多い快走路を走ってるといきなりズンと現れた洞元湖。もう少し走ると見えてくる湯の小屋温泉という小さな温泉地でこれからひとっ風呂浴びるつもりだけど、その前にいい感じにお腹が空いてきたからここらでお昼にしようかな。そして、こういうとこで食べるならやっぱり川沿いがいい。
ということでマップを調べてみると、幸運にもすぐそこに洞元の滝なるスポットがあるのを発見したから、そこでおにぎりを食べることにしようかな!

洞元の滝は普通の下から見上げる滝じゃなくて、上から楽しむわりと小規模な滝だったみたいだ。でも澄んだ水がゴゴーと勢いよく緑に覆われた滝壺へ流れ込む姿は見ていて気持ちがイイ。ちょうど座りやすそうな岩もあるし、橋の左手にはちゃんと降りられそうな道もあるし、ここで昼食に決定だっ。

じゃあそんな滝の傍らでいただきます!滝の上の昼食、なんて素晴らしいひととき!

うん、あの宿で食べたおいしい沢庵だ。そしておにぎりはすっぱいだけじゃない、出汁の味、酸味、甘みが調和しためちゃウマおにぎり。それを晴れ渡った夏空の下、滝の真横で食べるという贅沢に、今夏気分が最高潮に達している!お店で食べる飯がおいしいのは当然だけど、このシチュエーション+女将さん特製おにぎりセットのコンボに勝るものなしだ。時間をかけてゆっくりと、全てを堪能しながらおいしく完食させていただきました。本当にありがとう女将さん。

じゃあお腹も一杯になったし、次はゆっくり温泉に浸かりにいこうかしら。今日はいつになくラグジュアリーな流れで最高でございます。

照葉荘の美しい温泉

建物が見えてきた時、駐車場に車が一台もないから少し不穏な空気を感じたものの、そもそも車通りがほぼないからそんなものかと思っていたが、近づいてみると予感的中、玄関前に「臨時休業」の看板が寂しくたてかけられていた。暖簾もかけられてるから一瞬「よかった、やってた」と安心したけど、残念ながら今日は何かしらの事情によっておやすみらしい。

「さぁどうしようか」と悩む私。ここには日帰り温泉施設は一つしか無い(と、このときは思っていたけど、実はもうひとつあった模様)。けれど、奥の手はある。すぐ近くにある照葉荘という宿で日帰り入浴するという選択肢だ。
でもこの宿は、私が結構前から泊まりたい宿としてチェックしていたところだ。私はこれまで、泊まろうと思っている宿の日帰り入浴は利用しない、というスタイルでやってきた。なぜなら、泊まった時の楽しみが減ってしまうから。しかし、今日ばかりはそのルールを破らざるおえないかもしれない。だって、理想的な夏日+ほぼ誰もいない静かな山の中+最高の昼食というコンボが揃っているんだから!

目の前の坂を登ると、木漏れ日に照らされた二階建ての立派な古民家が一棟。私が想像していたよりも立派な建物で、かつ綺麗な外観に「やはりここにはいつか泊まりに来なければ」と、早くも私の心を鷲掴みにした照葉荘。そんな想いを胸に、早速玄関の戸を開け、静かな館内に入っていった。

私「すいませ〜ん」

女将「は〜い」

入ってすぐの帳場には誰もいなかったから、とてつもなく静かな館内に向かって一声かけると、すぐに奥から優しそうなおばちゃんが出てきてくれた。
ここの日帰り温泉の受付時間は13時からで、今はほぼちょうど13時ということもあり、ちょっと不安げに「日帰り温泉って入れますか?」と聞いてみると、「はい、大丈夫ですよ〜」と快いお返事が。
「やったぜ!」と思いながら早速入湯料700円を払うと、「今日最初のお客さんですから、どうぞゆっくりしていってください」と風呂場まで案内してくれた。宿の雰囲気はもちろん、女将さんも物腰柔らかですごく印象の良い人だ。

昔ながらの雰囲気は残しつつも、しっかり綺麗に保たれている脱衣所。これは浴室も期待大!すぐに服を脱いで向かうぞっ。

なんちゅう美しい浴室だこれは。浴室そのものが既に綺麗っていうのはあるけど、それ以上にこの大きな窓に映る爽やかな緑と差し込む木漏れ日、そして湯面に反射する空の青!いろいろな素敵温泉に入ってきたけど、こんな美しさもあったのか。この世の喧騒から隔絶された、生きた背景美術のような非日常空間だ。さっきの湯元荘には申し訳ないけど、今日が臨時休業で本当にありがとう。

時折風で木々がざわめく以外はほぼ無音に近い浴室。そんな中早く温泉に入りたい私は、すぐさま光速で体を洗って、波紋ひとつない湯船へザンブと身を投じたのだった。
入ってみると特に温泉自体に特徴は感じられないものの、私的に温度がとてもちょうどよく、疲れも力も良い感じに抜けていくような快適さがある。それに加えてこの静けさと美しい眺め。こりゃとんでもないリラックス効果だぞっ。

さらにこの照葉荘には露天風呂もあるようなので、のぼせないうちにそちらで更なるリラックスを摂取させてもらうことにしよう!

眺めはちょっと控えめで、建物と建物の間にあるちょっと変わった造りの半露天っぽい露天風呂だけど、このこじんまり感は居心地が良さそうで結構好きかもしれない。しかも目の前には、窓越しではなくダイレクトな木々の青がすぐそこに。もはや私の心はワクワクを超えて、この温泉を楽しむことだけに集中している。

露天風呂に入ると、外気に触れている分温度はやっぱり低めで、内湯よりもさらに入りやすい温泉に仕上がっている。
縁に頭を預け、青々とした空に夏らしい太い雲がゆっくりと流る様子をぼ〜っと眺めながら体をだらっと伸ばすと、体中が優しさで包み込まれてるような安堵感がある。これぞ理想的な、おだやかな夏のひと時!他に誰もおらず、この静かでキラキラした時間を独り占めできる贅沢に、ただひたすら感謝するのみでございます。。これは近い内に、必ず泊まりに来なくちゃいけないな。

尾瀬への道

正直もっと温泉を楽しみたかったけど、さすがに時間もあるからここらで出発。女将さんは私が出ていくときもとても丁寧に応対してくれたのだった。
よし、それじゃこのまま片品村にに向けて進むとしようかっ。

この63号、自然が多いし道は綺麗だしで、気持ちよく走れて良いツーリングロードだ。しかもどういうわけか人はもちろん車通りもほとんどなくて、これまですれ違った車も追い越された車も、片手で数えられるくらいしかいなかった。多分生活道路じゃなくて、それこそ尾瀬とか温泉に行くための、観光のために整備された道ってことなのかもしれないけど、それはそれとしてここは本当に走ってて楽しい道だわっ。

看板の一つもないけど、こういうところの湧き水は経験上飲んでも全く問題なし!
実はこの湧き水のために、温泉から上がってから何も飲まずにここまでやってきたので、もう喉はカラカラだ。というわけで早速湧き水を汲んで飲んでみると、これがなかなか冷たい水で、乾いた喉にさらさらと染み込んでいく。これは間違いなく美味しい水だ。思った以上に冷たくて満足度の高い湧き水、ボトルに満タンに詰めさせていただきます。

よくわからないけどここが尾瀬への入口一歩手前ってことでいいのかな。マイカー規制中ってことは、尾瀬に行きたい人は片品村とかからバスで行く感じになるんだろか。いろいろ分からないことだらけだけど、ここまでの道はわかったから、いつか尾瀬を歩いてみたいもんだ。

片品村のめちゃウマとうもろこし

初めてやってきた片品村。戸倉温泉は思ったよりも鄙びた感じの温泉地で、人通りもほとんどない落ち着いた雰囲気の温泉街みたいだ。片品村って、私のイメージでは綺麗な川沿いに里山風景が広がる穏やかな田舎って感じだったんだけど、とりあえずこういう場所もあるのか。ペンションばっかじゃなさそうなのも個人的に好ポイント。

多分ここらへんが片品村の中心地のはず。にしては民家やお店が少なめだけど、地図を見てみると、どうやらこの橋の向こうにいけば道の駅もあったりしてそれなりに栄えてるっぽい。
宿ももう少し走れば着くけど、その前にちょっと寄り道したいところがある。この橋を渡って丁字路を左に行くと日光につながってるらしく、左折してすぐの道沿いにとうもろこし屋が何軒か建ち並んでるみたいだから、宿に向かう前にどっかのもろこし屋で焼きとうもろこしでも食べようという計画だ。昔戸隠を抜けたところにあるもろこし街道で焼きとうもろこしのウマさを知ってから、すっかりお気に入りになってる私です。

というわけで丁字路を左折すると、しばらくして直売所のような建物が何軒か見えてきたけど、平日だからかやってない店が多くて少し心配になる私。それでも奥に走っていくと開いてる店があったので、「よし!」と思いながらとりあえず覗いてみることに。

バイクを止めて見に行くと、直売所らしく野菜は売ってるものの、とうもろこしを焼くためであろう網の上には一本のとうもろこしもなく、作り置きもなさそうな雰囲気。残念だけど、ここは諦めてほかをあたることにしよう。

さらに走ると上州屋という直売所があって、焼き場におばちゃんが立ってて買ってる人もいるみたいだからここなら食べられそうだ!見たところ店内はイートインスペースになってるみたいだから尚更ちょうどよし!ここに決めた!

おばあちゃんに焼きとうもろこし(350円)を注文すると、すでにある程度焼けているものにさらに醤油を塗って焼きはじめてくれた。

私「中で食べてもいいですか?」

おば「いいよ〜。じゃあお皿がいいね」

ということで、お皿にのったほくほくのもろこしを持って席についた。よし、いざ実食の時!

一口かじるとくちの中に広がる自然な濃い甘み!ジューシーで噛めば噛むほど旨味があふれてくるようだ。やっぱり旅の空の下、産地で食べる焼きとうもろこしはとんでもないウマさであるっ。

おば「どう、おいしいか?」

私「めちゃくちゃうまいっす。食べた後もずっと甘さが残ってて」

おば「あ〜よかったよかった」

食べてる途中で帰ってきた娘さん「ははは、ありがとうございます〜」

お店の人たちもめっちゃ雰囲気良いし、焼きとうもろこしは死ぬほど美味いしで最高でございます。店内の飾らない古めかしい雰囲気も素敵。上州屋さん、思いがけず良い直売所に巡り会えて感謝です。

食後はおばあちゃんと娘さんたちにお礼を言って、ホクホク顔で出発。宿からもそんな遠くないから、明日はここでとうもろこしを買っていくのもいいあもしれないな。
しかし食べてる間に空模様は一段と怪しくなてしまった。こりゃどっかで間違いなく雨が降りそうだ。

大雨に降られ

うん、これはもう間違いなく雨が降る。というかもう少しだけ降ってる。でも、そんな中でも道の駅探訪だけはやめられない。ここはやや小さめな道の駅だけど、造りはオシャレだから何かしら良いものが売ってるかもしれないぞ。

うん、なんかトマトジュースはちょっと欲しかったけど、基本的にはそこまで気になるものはなかったかな。もし車だったら欲しいものはあったけど、とりあえずこの初道の駅がどういうところなのかわかって良かった。

店の中なんて10分もいなかったのに、その間にまさかここまで雨が侵攻してきていたとは。しかもこの雨の強さ。もしかして、片品村あたりって日光とかと同じくらい天気が不安定なとこなんだろか。
でもカッパを着て待っていたら雨が小降りになってきたので、チャンスを見計らって出発・・・したのは良いものの、少し走ったら今度はバケツを引っくり返したような雨の嵐が襲ってきた。バチバチと弾丸のような音をたてて爆ぜる雨粒、そして水が滝のように流れるヘルメットのシールド。これはさすがに精神的にも物理的にもキツすぎるから、途中で商店の軒下に避難したりしながらも、それでもゆっくり宿に向けて進んでいく。。。

でも晴れたのは良かった。まぁこんな天気だからカッパは脱がないけど、とにかくさっきまでの地獄が終わってくれて助かった。
さて、というわけで宿はもうすぐそこなんだけど、とりあえず途中にある日帰り温泉の様子でも見てから宿に行くことにしようかな。今日の宿は温泉かどうかわからないから、もし温泉じゃなかったら、夜はその日帰り温泉に行こうと思っております。

こうして日帰り温泉前まで来るとさすがにひとっ風呂浴びて雨に濡れた身も心もすっきりさせたい気持ちになるけど、また雨が降ってきたら嫌だからやっぱりこのまま宿まで向かうことにしよう。なんか良さげな施設みたいだし、宿が温泉であろうとなかろうと、夜はここでゆっくり過ごすっていうのも新鮮でいいかもしれない。
じゃ、もうすぐそこまで迫った宿に向けて出発っ。

地図で見たところ、この集落には民宿が沢山あって、さらに上に行くとグラウンドやペンションが建ち並び、更にその先にはスキー場があったりするらしい。この構成を見るに、多分合宿とかスキー客なんかで利用されることが多いところなんだと思う。すでにここらへんが若干高いところにあるから、以前行った長野の菅平高原みたいな位置づけの場所なのかも。

本日のお宿藤井荘に到着

あれから雨に降られることもなく、無事に宿に到着できたこの喜び!しかも思った以上に広い敷地をお持ちのようで少し驚いてる自分がいる。あんまり下調べをしてなかったからだけど、意外に大きい民宿なのかもしれない。

微妙に駐車していい場所がわからないから、邪魔にならなそうな適当な場所に原付を止めて、荷物を持って藤井荘に乗り込む。昨日は団体客がいるって言ってたけど、もう到着してるんだろか。

ガラガラっと中に入ると、造りはなんとなくペンションっぽい感じ。横に広々としたロビーには、くつろぎスペースのやストーブなんかも設置されている。くつろぎスペースには既におじいちゃん達が何人か雑談をしているところで、女将さんが言っていた団体さんはもう到着しているようだ。
女将さんはロビーにいないようなので声をかけると、すぐに奥から女将さんが出てきてくれた。

私「すいませ〜ん」

女将「あ〜いらっしゃいませ。雨降られました?」

私「さっき凄かったですよ。途中で止んだから良かったですけど、もろに降られました」

女将「あ〜それはそれは、お疲れさまでした。じゃあ申し訳ないですけど、先にこれ書いてもらっていいですか?」

ということで差し出された宿帳を書いたら、女将さんがすぐに部屋へと案内してくれた。

案内がてら説明してくれている女将さんによると、どうやら風呂はもうすぐ沸くようで、雨に降られた私を気遣って一番風呂を勧めてくれた。この宿の女将さんも愛想が良くて親切な人柄の持ち主で、それだけでもほっとするからありがたい。
そしてそうこうする間に部屋に到着。女将さんが丁寧に中へ促してくれた。

通された部屋は、見ての通り本当に必要最低限のものだけが置かれたシンプル部屋。ちゃんとテレビや扇風機はあるけど、お茶セットや浴衣とかのアメニティはないらしい。そう、こういうときのためにいつも歯磨きやバスタオルを持参しているんだ。今回もちゃんと持ってきておいて良かった。

ただ、お茶セットはない代わりに、ロビーではコーヒーや紅茶、お菓子なんかのセットが用意されていて食べ飲み放題となっている(机の上の紙コップがそれ)。今日はお茶がない代わりに、コーヒー代は浮きそうだ。ちなみに、水が飲みたくなったら洗面所の水が飲用可らしい。なんかペンション風なこともあってか、私的には新鮮なサービス内容でちょっと面白いかも。

じゃあ少しだけ休憩して時間になったら、風呂に入りに行こうかな。

かわいいお風呂とおいしい夕食

なんとなく想像してたけど、ドアを開けたら思った以上にこじんまりした脱衣所で少しびっくり。宿の規模と比べてこの脱衣所の狭さ、凄い対比だ。しかも既に脱衣所におじいさんが一名。そして風呂場にはもう一人いるらしい。これだと多分風呂場もかなりコンパクトだろう。そこでおじいさん二人は少し気まずいかもしれない。

しかしここで引き返すのもなんとなく気が引けるので、おじいさんに挨拶して服を脱いだらそのまま風呂場へ突入だっ。

中に入ったら右のシャワーで体を洗ってるおじいさんが一人。「失礼しま〜す」と声を掛けると、「は〜いどうぞ〜」と気さくに返してくれたのが救いだ。

おじいさんが体を洗っているので洗い場は狭くなってる。かけ湯だけで風呂に直行するのも嫌だったので、おじいさんの後ろでなんとか体を洗おうとシャワーを出すと、少し待っても水しか出てこない。これは・・・どうしたもんか。

おじ「そこ水しか出ないでしょ?ちょっと待っててな、すぐあけるから」

と、優しいおじいさんは私を気遣って、すぐに体洗いを終わらせてくれる模様。優しいおじいさんで良かった。その間、風呂の湯をかけながら待つことにしょう。

その後ちょっとして「はいはい、どうぞ〜」とおじいさんは席を開けて風呂場から出ていったので、ここでようやく私も体を洗って、風呂に入ることができたのだった。

一人になった風呂場で昔ながらのステンレス風呂に入ると、お湯は良い感じに適温で、さっき大雨に降られて湿った心と体を柔らかく癒やしてくれるようだ。足も伸ばせないくらいだけど、それでもこのこじんまり感は嫌いじゃない。
しかし温泉かどうか気になってたけど、分析表はないし、このお湯も特に特徴的な感じもないから多分普通のお湯だと思う。でもこれはこれで気持ちいいから問題なし!これで、夜はあの日帰り温泉に行くことが確定しました。

その後は部屋に戻って宿の予約を取ることに。
今日移動しながら、今日で夏休みの旅は終了にするか、明日もう一泊どこかに泊まるか悩んでたんだけど、結局どこかで一泊できそうなら夏休み一日延長ということで考えがまとまっていた。
ここからの帰り道で一泊するなら秩父あたりがちょうどいいかと思ってマップを見てると、昔泊まった不動の湯にまた泊まりたいと思ったのでここに電話することに決定。もし駄目なら明日はそのまま帰ると心に決め、スマホを耳に当てる。

私「すいません、明日一人で宿泊したいんですけど空いてますか?」

女将「あ〜満室ですね〜(ガチャ」

私の願いも虚しく一瞬で断られてしまった。しかもガチャ切りで。私の夏休みは今日までということに決定です。
しかしあそこの女将さん、もっと親切丁寧な人だったと思うけど、虫の居所でも悪かったんだろうか。まぁ、そういうときもあるよね。

その後、ダラダラしながら明日の帰り道はどこに寄ろうかなど調べてたら夕食の時間(18時)になったんで、1回の食堂へ。私の席は、机をくっつけて楽しそうに食事をしてる団体さんの横の机らしい。なんかぽつんとしてるけど、まぁこれはしょうがない。ゆっくり食べさせていただきます。

宿がペンションっぽいからなのか、メニューは和洋中揃った、私にとってはかなり新鮮な献立だ。しかもそれぞれ凄く手が込んで、しっかり料理されてる感じがする。生春巻きなんて宿で食べるのは多分初めてだぞ。めっちゃ楽しみっ。

まずは生春巻き。ザクザクした野菜に、弾力のある海老の食感が楽しく、甘み強めな甘酸っぱソースが非常によく合う。これぞまさに生春巻きの味。
茶碗蒸しはコクのある出汁がよ〜く効いていて文句無しにウマい。固まりすぎずにぷるんとした卵がまたかわいくてするする食べられる。
他にも大きめのあんかけ唐揚げやローストビーフなど、見た目通り手を抜かずに調理されている感じでどれもこれも美味しい。この宿、デキる!

まさかここでもクマ料理が出るとは。しかも鍋や陶板焼きじゃなくて味噌汁。
どんな味なんだろうとまず熊肉から食べてみると、そこまで柔らかくはないものの、なんというかジャーキーみたいな感じで噛めば噛むほど旨味が出てくる。吉田うどんに入ってる馬肉の塊版のような感じで、とっても食べごたえがあってすごく好きな味だ。オシャレな料理たちの中に、こんな猟師料理のようなものが出てくるなんでもあり感、非常に良いと思います。

そんなこんなで夕食は美味しくたいらげて見事に完食。満腹とまではいかないけど、満足度の高い良い夕食だった。
しかし、食べてる時に隣の団体さんから夕食の内容や量にケチをつけるようなことを言ってる声が聞こえてきたけど、帰り際になんとなく見てみると、やっぱり結構残してる人が多いようだった。あんな厨房にも聞こえるような声で言わなくてもいいのに。宿の人が気にして無ければいいけどと思いながら、ちょっと残念な気持ちになってしまった。

綺麗で豪華な花咲の湯

館内に入ると、外観同様にまるで最近作られたかのような綺麗さでちょっとびっくり。小規模な美術館っぽい感じの品のある雰囲気を醸し出している。
そんな館内には大学生っぽい若者たちがちらほら。一緒になるのはかまわないけど、あんまりはしゃがない人たちであることを祈ろう。

ワクワクしながら脱衣所に入ると、ここもまた広々かつ綺麗な脱衣空間が広がっていて気持ち良い。思った通り皆さん温泉に入ってるみたいで、それなりに利用者はいそうな感じがある。

早速服を脱いで脱衣所を出ると、モアっとした湯気とともに、重厚でピカピカした石造りの浴場がお出迎え。内湯は横に長くこちらも広々としていて、老若男女、お行儀よく気持ち良さげに温泉を楽しんでるみたいだ。
早速体を洗おうとシャワーの前に座ると、置いてあるソープ類もなんとなく高級そうなやつでちょっと嬉しい。シャワーの出も申し分ないから、ささっと体を洗ってすぐに温泉へと向かう。

温泉温度は適温で、悠々と足を伸ばせる広さがあって綺麗なピカピカ石造りだから、なんだかいつもと違うラグジュアリー間たっぷりで体を湯に任せられるからとっても新鮮。めちゃくちゃ快適だ。

内湯でのぼせないうちに次は露天風呂へ。露天風呂は一転してワイルドな石造りで、いかにもな風情が漂っている。簡易的な椅子も設置されてるから、のぼせそうになったら椅子に座って風を浴びるのも良さそうだ。

というわけで露天風呂に入ると、こっちもちゃんと適温で十分足を伸ばせる広さがあるから最高だ。場所柄もあって景色は特に見られないけど、そよそよ拭いてくる風と肌に馴染む温度の温泉が夜の露天風呂にマッチだ。
微妙だったら適当に入って帰ろうかとおもってたけど、これなら閉店間際まで居座ってのんびりすることにしよう。宿に帰っても特にやることはないわけだし。
しかし、不安視していた大学生っぽい若者たちも、それなりにおとなしく入ってくれてて良かった。多分、私が泊まってるエリア内のどっかに泊まってる合宿中の子とかなんだろうけど、合宿の後に仲間と温泉に入りにいくなんて最高じゃないか。いいなぁ、合宿。

楽しみにしてたマッサージチェアは、こちらも合宿で来てるっぽい女の子たちが占領してたので残念ながら使えず。でもそうしてる間に閉店アナウンスが流れ始めたから、きっぱり諦めて宿へ戻ることにしたのだった。
でも、800円でここまで快適ならありがたいな。使ってないけどサウナもあったし、露天の横には下から湯気が出る、横になれる木造りの台みたいなのもあったし。機会があればまた利用させてもらおう。

宿の夜、そして朝食へ

団体さんは山登りの人たちだったみたいだから早めに寝たっぽい。宿の人ももうリラックスムードでテレビを見ながらゆっくりしてるみたいだ。
私もこれからはとくにやることもないし、コーヒー紅茶でも飲みながらダラダラしようかな。

あの大雨の中、避難した商店でお菓子を買っておいてよかった。さすがに長時間温泉に入ってたこともあって既にお腹が減り始めていたから、このエントリーの存在が結構でかい。
しかしこの宿、ところどころに殺虫剤やらガムテが置いてあるだけあって、夜になったらちょいちょいカメムシが出てき始めたな。さっきは寝てたら足に上ってきたし、すでに3匹はガムテで捕らえさせてもらった。網戸もちゃんと閉まってるのに、一体どこから入ってくるのやら。

その後、たまにカメムシを捕らえながら過ごしていたら12時になったので就寝。涼しいからよく眠れそうだ。

まじでよく寝た。体の疲れがほとんど無くなってるのがわかるくらいに。
それに目を開けたらこの快晴と緑。起きて初っ端からなんて清々しい光景だろうか。これですぐさま風呂に行けたらもっと最高なんだけど、ここは朝風呂は入れないみたいだからそこだけはしょうがない。
もう時刻は7時15分で朝食は30分だから、適当にコーヒーでも飲みながらその時を待つか!

普段の旅ではあんまり洋食があんまでないから、可愛いサイズのオムレツとソーセージが特に嬉しく感じる私。量も程よく、バランスの良さそうな朝食がありがたい。
はじめの一口にうってつけな漬物はあっさりうまくて、これから食事をはじめるウォームアップとして最適だ。オムレツや鮭をはじめ、それぞれが主張しすぎない優しい味だから、この穏やかな朝の時間をさらに良いものにしてくれる味わいだ。シンプルながら、非常にバランスの良い朝食でウマいす。

帰路と雑談とお土産

今日はそのまま帰るだけだけど、家まではそれなりに距離があるから、いつも通りの10時じゃなくて9時頃にチェックアウトするつもりだ。それまでは部屋でゆっくりして、残りの時間を惜しみながらのんびりしようと思う。
出発したら、どっかで温泉にでも入りたいな。どっかで良さそうなところがあったらいいんだけど。

というわけで、荷物を持って静かな宿の階段をトコトコ降りていく。
皆さんキッチンでなにかしてるみたいだったので、「お世話いなりました〜」と声を掛けると、すぐに女将さんが出てきてくれた。

女将「は〜い、ありがとうございました〜。じゃあこちらでお願いします〜(精算へ)」

私「は〜い」

女将「今日はどこまで行かれるんですか?」

私「今日は本当なら秩父に泊まろうと思ってたんですけど、宿が取れなかったんで帰ることにしました」

女将「それは残念でしたね。今日も暑いですからお気をつけてお帰りくださいね」

と、そんな世間話からちょっとずつ話が膨らみ、自然と雑談がはじまった。結構喋ったのでまとめると

・自分たちで育ててる野菜を守るために柵を作ったけど、上から下から動物が侵入して被害は減らない

・名産だけあってやっぱりトマトやとうもろこしはウマいらしい
「沢山とれるんで」と、珍しい品種が入ったミニトマトの詰め合わせもらった(感謝)

・ここからもう少し上に行くとサッカーコートがあってよく大会が開かれる

・藤井荘では大学生の合宿は受け入れてないらしい

などなど、色んなことを話して1時間近く経ってしまったので、キリの良いところで挨拶をして宿を出ることに。お喋り好きな女将さんみたいだから私も時間があればもうちょっと話したかったけど、それはそれで迷惑かもしれないので出発だ。

さて、昨日の予定では、帰り際に尾瀬市場に寄ってお土産でも買おうと思ってたけど、さっきそれを女将さんに話したら「すぐ下の花咲の湯って行かれました?あそこ直売所もあって、地元の人がおろしてるから安くて美味しいのが一杯ありますよ。温泉は10時からですけど、直売所は9時からだったと思うんで、帰りに寄ってみてください」という耳より情報をもらったので、これからちょっくら言ってみることにしよう!

直売所は小規模だけど、新鮮な野菜が棚いっぱいに並べられて見てるだけで楽しい感じ。建物の中では、レジのおばちゃんと、多分野菜をおろしにきたおばあちゃんが談笑してるので、邪魔にならないように物色しよう。
あんまり見たことのないやつもあるし、ここで何かしら買っていこうかな。

色々あるので興味深く見ながら直売所を回り歩いていく。そうしているうちにレジ前に来たら、急にレジのおばちゃんと談笑してたおばあちゃんに話しかけられた。

ばあ「食うか?」

私「え?」

ばあ「これ、食うか?」

一瞬頭にハテナが浮かんだけど、「これ」といって差し出してきたものを見るに、おばあちゃんが持ってきていたチューペットを私にくれようとしてるみたいだ。こんな嬉しいことはない。もちろんいただくこととする!

私「え、いいんですか?食べたいすっ」

レジのおばちゃん「良いとこにきたね〜」

ばあ「(チューペットを2つに折って)はい、どうぞ」

まさか直売所でチューペットを貰えるとは。今日は朝から楽しいことが多くて最高だ。レジのおばちゃんは優しそうで、おばあちゃんも口調が強めだけど同じく優しいし、嬉しい出会いだ。

レジおば「お兄ちゃんどっかに泊まってたの?」

私「すぐそこの藤井荘さんってとこに泊まってたんですよ。ここは地元の人が卸してるから美味しいって教えてもらったんで寄りました」

レジおば「あ〜藤井荘さんね。あそこの〜さんって頭良くてね〜云々」

レジのおばちゃんもおばあちゃんもやっぱり喋り好きみたいで色々聞いてくれたり話したりしてくれる。やっぱりおばあちゃんは卸しに来た地元の人らしく、話の流れで尾瀬市場にも寄るつもりと伝えたら、「ここのお野菜も美味しいよ〜。尾瀬市場もいいけどさ」と自信ありげだ。たしかにどれを見ても新鮮で美味しそうだし、私も何か買っていきたい。

というわけで雑談を続けながらとうもろこしを買うと、「ちょっとまってな〜」と言いながら、持っていきやすいように頭の葉っぱの部分をカットして、さらに袋に入れて渡してくれた。なんちゅう親切。非常にありがたいです。
ついでに、ちょっと気になっていた、棚に出ていた赤っぽいとうもろこしについて聞いてみると「もっちりした食感でおいしいけど、だめな人はだめ」な、珍しい品種のとうもろこしらしい。わざわざこれを買うために来る人もいるんだとか。
それならぜひ試してみたいので、赤紫とうもろこしも一緒に購入。レジのおばちゃんが良い感じに全てをまとめてくれたので、リュックに入れて直売所を後にすることにした。

私「いろいろありがとうございました〜」

レジおば「は〜い、気をつけて帰ってね。また来てね〜」

ばあ「気を付けてな(手を振りながら)」

店内には野菜を始め、加工品の類やあまり見ないような品物も沢山。品揃え豊富で物色が楽しい市場だ。
その中でも、やっぱりこれだけ売られてるとトマトが欲しい私。あの箱トマトも足元に置いて移動できなくはないけど、振動と気温でめちゃくちゃになりそうだし・・・というわけで、ギリギリ後ろの荷台に入るくらいの中型トマトとミニトマトを購入することにした。

荷台に慎重にトマトを積んだら、いよいよ我が家に向けて出発。
結局途中で温泉に入ることもなく、息がしづらいほどに暑い高崎を抜けて、夜には無事家に帰ることができた。残念ながらミニトマトはちょっと潰れてたけど、ちゃんとお土産を持って帰って、2024年の夏休みはこれにて無事終了となったのだった。


今回はいつも以上に予備知識無く予約をした藤井荘さんでしたが、ペンションっぽい造りが新鮮で、女将さん含め、温かみのある宿で良い一晩が過ごせました。
なにより料理がバリエーション豊富でしかも美味しく、コーヒー・紅茶、お菓子なんかが食べ飲み放題なのが嬉しいところ。冷蔵庫や電子レンジもあるので持ち込みも安心。高台にあるので眺めや空気もよく、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりできる宿でした。
ただ、近くにコンビニやスーパーはないので、必要なものは最初に買っていったほうが後々助かると思います。また、浴衣などのアメニティはないので、宿泊の際はそこらへんをしっかり用意していきましょう。
宿泊料もリーズナブルな良いお宿なので、近くに行かれる際はぜひ泊まってみてください。

藤井荘:一泊2食付 8,000円(税込)

公式サイト

コメント