2024年夏休みの旅2日目です。 1日目
山道を抜けて中込駅へ
今日もまたカンカン照り。9月だけど夏真っ盛りといった具合の夏空と日差しを背に、10時ちょっと過ぎくらいに宿を出発!もし連泊していたならすぐさま川遊びでもしていたであろうアツアツ気候だけど、これから通る峠道はほとんど木陰みたいな道だからきっと気持ちよく走れることだろう。
というわけでこれから私は人生二度目となる下仁田臼田線を通り、佐久にある宿へと向かうというのが超ざっくりとした本日のルートだ。
南牧村から宿までは直で行けば50kmないくらいのかなり近いところにあるんだけど、近い分佐久あたりを色々回れる余裕があるので、今日は狭い範囲で気になる場所を巡っていく日になりそうだ。





ここを抜ければすぐ長野!静寂を切り裂くように原付男が峠を攻める!
と勢いよく突っ込んだはいいものの、地面はガタガタで道には砂利や木の棒が散乱、そして場所によってはなぜかめちゃくちゃ路面が濡れていて勢いよく走り抜けられるような状態では全くない。威勢が良かったのは最初だけで、すぐにトロトロと慎重に走らざる負えないくらいの荒れっぷりだ。
「あれ?ここってこんな荒れてたっけ?」と思うくらいの走りにくさに加え、今日が土曜日ということもあって、前回は遭遇しなかったバイカーとも細い道で何度かすれ違ったりして油断できない状況。さらにトンネルから猛スピードの自転車がいきなり飛び出してきて、心臓がキュってなるくらいの恐怖を味わった。
主に人的な理由で「下手したら死ぬッ」とドキドキしながら、写真を撮る余裕もなくゆっくりゆっくり進んでいくこととなったのだった。




というわけで無事佐久にやってきた私がまず向かうのは中込駅だ。
中込は以前に旧中込学校という擬洋風建築の資料館に立ち寄ったことはあるけれど、駅前に行くのは初めてだ。どうやら駅前に面白そうな建物とレトロな喫茶店があるらしいので、少し早いけどそこでお昼を食べようというプランとなっている。普段の旅であまり駅前をブラブラするということもないので、それも含めて楽しみである!

中込駅周辺はあまり高い建物もなく、背景に山々が映り込んで田舎すぎず都会すぎず、なかなか良い町並みだ。こういうところにこそ昔からやってるレトロな喫茶店があるから、私がこれからいくお店もそういった地元民に愛されている昭和喫茶のようなところなんだろう。
そんなこんなで細い道を抜け、中込駅には案外すんなり到着した。その途中目的である喫茶店と建物も発見したけど、原付を駐められそうな場所を探して少しばかりウロウロした結果、駅前の駐輪場のようなところに駐められそうだったので、迷わず原付きを置いて目的の地(すぐそこ)へと向かう。
駅前のレトロ商店街にある喫茶ぽえむで昼食!


駅前に道路の両脇に立ち並ぶ商店街。なんという名前かはわからないけど、なんだか昭和っぽいオシャレさのある建物に、ずらっとお店が並んでいる。基本的にはテナントが入っているようだけど、こんなマンションならぜひ住みたいと思える個人的大好物物件だ!




こちらの明正堂は、中込小学校みたいな擬洋風っぽい見た目の喫茶店。なんか昭和レトロと異国っぽいメルヘンさが混ざりあった面白い商店街だけど、ここは他よりも頭一つ抜けて目立った建築だ。
ここも入ってみたい気持ちはかなりあるものの、メニューを見たらケーキとかパンみたいな軽食中心の喫茶店っぽかったので今回は見送り。中はどんな雰囲気なのか、いつか行ってみたいな〜。





キィっとドアを開けると、穏やかなジャズの音色と共に「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」と。こちらもまた穏やかそうなマスターが席へ促してくれた。入って右にあるカウンターでは地元の人らしき常連客がそれぞれの時間を過ごしている。
店内の雰囲気や造りがとても落ち着いていて、この渋みすら含んだ空気は、長い年月が過ぎていく中でこのお店に染み込んでいった歴史そのものなんだろう。つまり、この喫茶店は最高なのである!




昼時だからなのか昼時でもなのか、駅周辺には相変わらず人影はまばらだけど、そんな場所にこんな素晴らしい喫茶店が今でも営業してくれているのは本当にありがたい。商店街自体も小規模ながら結構面白いし、好きな人は何度も足を運びたくなるような魅力がある。喧騒とはかけ離れてるし、世界観にどっぷり浸かりたい人にはうってつけのお店な感じがする。

メニューを見てみるとサンドウィッチやトーストなど軽食的なものから、ピザやカレー、ランチセット的なものまで幅広く提供してくれているみたいだ。
もちろん私はがっつり食べたいので、カレーも魅力的だけど迷わずハンバーグランチ(950円)に決定。さらに喫茶店らしくクリームソーダ(550円)も注文して、食後はゆっくり過ごさせてもらうとしよう!

全てがワンプレートに収まった、量も十分なハンバーグランチがやってきた!喫茶店らしいといえばらしいけど、バランスの良いとても美味しそうなプレート。
まずはサラダをいただいてからメインのハンバーグへと移行する流れだが、このサラダにかかったさっぱりドレッシングがめっちゃウマい。少し食べてハンバーグへと思ってたが一気に食べ尽くしてしまった。
それでメインのハンバーグだけど、ナイフを入れるとフニっと軽い感触で難なく切れるくらいの柔らかさ。しかしそれでいてしっかり火は通っている。
ひとくち食べてみるとトマトベースのソースのうまいこと、ハンバーグはもちろんその上に乗ったチーズや目玉焼きにもピッタシ絡んで、それぞれの味わいがよく引き立っている。肝心のお肉もジューシーだし、めちゃくちゃうまいでこれは!
ジャズを聴きながらうまいハンバーグを食う。普段の私の旅からしたらなんちゅう優雅なひとときだろうか。めちゃくちゃ気に入りましたぽえむさん。

まぁこれは間違いのない美味しさだよね。思った通りの味だからこそほっとする。しかしクリームソーダが550円というのは結構良心的な価格な気がするな〜。アイスが乗ってる分食後のデザート感があって最高。
そんなこんなでクリームソーダとお店の雰囲気を存分に味わったところで、今の時刻は大体12時ちょうどくらい。まさに暑い盛りだけど、お腹も一杯になったしこれから頑張って温泉に入りに行こうかっ。




外から見た通り、1階意外はもうほとんどなんのテナントも入ってないみたいだ。2階で営業してるのはぽえむくらいで、3階は見ての通りなんにもない。朽ちゆくマンションって感じだけど、良い雰囲気だからこのまま残っていって欲しいな。
ではマンション散策も済んだので駐車場まで戻っていよいよ出発だ。
カンカン照りの中なんの日除けもないまま放置されていた原付のシートは異常なくらい熱くなっている。この熱で中身までおかしくならなきゃいいけど、、ともかく尻を焼くような熱さに耐えながら温泉へ向けて原付を走らせる!
のどかな公衆浴場、大谷地鉱泉をいただく





温泉まではもうほとんどこの9号線に沿って走っていくだけ。軽井沢方面に向かって走っているような感じで、徐々に周りが開けて山が近くにきた。気温は相変わらず高いものの、市街地から抜けると少しは涼しくなって汗も徐々にひいてきた。
しばらく走ると北国街道と呼ばれる18号線にぶつかるのでここを右折。郊外のような風景の中を走っていくと温泉に着くはず!

予想外というか、こんな牧歌的な風景の中にある温泉なんだな。もうほとんど軽井沢だからなのか、どことなく海外っぽい雰囲気がするのは気のせいだろうか。まぁいずれにせよ、こういう人がほとんどいないようなところにある温泉は期待できる。
さて、そうして期待が高まる中地図を見てみると、一旦もと来た道を戻って、さっき通り過ぎてしまった十字路を右に曲がると温泉があるようだ。
というわけでいざ十字路まで戻ってみると、なんとわかりやすいように大きめの看板がしっかり立っているではないか。私の周辺視野も結構いい加減なもんだと思いながらも、ここを曲がればもう温泉ということでテンションが上がってまいりました。


完全に民家のある風景に溶け込んでいる大谷地鉱泉、まさかこんなところにあったとは。しかしそれだけにどんな湯が待っているのか楽しみだ。
というわけで駐車場の端っこに原付駐めてすぐに温泉へと向かう。時間も完全にお昼真っ只中だからか駐車してある車もほぼおらず、もしかしたら貸切状態を楽しめるかもしれない。



そうしていざ中に入ると、やっぱりキレイで新しい感じの施設内には愛想の良さそうなおばちゃんが一人「いらっしゃいませ〜」と出迎えてくれた。目の前には一応休憩所や自販機なんかもあって少し休んでいくこともできそうだけど、基本的には温泉に入るだけっぽい感じの日帰り入浴施設な感じがする。
おばちゃんは作業中みたいだったので、ささっと入浴料の500円は払って脱衣所へ向かう私。館内は静かで靴もなく、思った通り誰もいないみたいだから今がチャンス!




脱衣所の張り紙には体を石鹸で洗ってから入ってくださいとあったけど、まさかそのための石鹸が置いていないとは。色々リュックの中に持参している私ではあるけど、さすがに石鹸やボディソープの類は持ってきてないから、しっかり入念に体を流してから温泉に入る。
まず湯に手を入れて温度を確認してみるとなかなか熱めの温泉で、一瞬で「あ、これは長湯できないな」と悟った。すぐにのぼせる私ではこの温泉は短期決戦になりそうだ。
というわけで早速肩までトプンと浸かってみると、やはりすぐにのぼせそうではあるものの、この体にピリッとくる熱さがめちゃくちゃ気持ちいい。ここまで結構な熱さの中原付を走らせてきたけど、さらに熱い温泉で体をシャキッとさせるのはとっても爽快。夏にあえてキムチ鍋を食べるような気持ちよさがある。
そんな熱めの湯だけど泉質としてはそんなに特徴はなく、何かしらの成分は含んでるんだろうけど、気持ち的には銭湯のような感じで利用するのが良いのかもしれない。それでもこれだけ気持ち良いんだから寄ってみる価値は十分にあると思うけど。
その後、やっぱり長湯はできなかったので15分くらいで湯からあがることに。
脱衣所で長い事扇風機の風を浴びたにもかかわらず、外の休憩所に座ってジュースを飲んでたらまたすぐに汗が流れてきた。体は芯までポカポカでさらにこの外気温の高さはヤバすぎるのですぐに原付に乗らなければ!
浅間サンライン直売店



今日もまた宿につくまでに何かしら夜食を買っていかなければならない。この時期なのでできれば美味しいフルーツを!
というわけでやってきたのはひだまりという直売所なんだけど、いざお店に入ってみると時間帯のせいか品数はかなり少なく、あるのはちょっとした野菜ばかり。残念がら夜食になりそうなものは何もなかったので、一応さらっと見渡してから早々に店を出て、次の直売所に希望をかけることにした。
こういうこともあろうかと、ここらへんの直売所を事前に調べていた私に抜かりはない。

この道は浅間サンラインというらしいけど、小高いところに伸びるこの道路の周りは一面に畑・森・山といった感じで、左を見れば眼下に佐久と小諸の街が広がっていて、遠くまでのその景色を望むことができる。眺めもよくてほのぼのとしていて、走っていてめっちゃくちゃ気持ちの良い道。ここをしばらく走れば次なる直売所があるはずだ。


ここは小林農園浅間サンライン直売店というところらしい。
さっきの直売所は静かな感じだったけど、こちらは幟もたっていて目立つのでお客さんもそれなりにいるようだ。しかしなによりも店先にまで色んな品物がずらり。これは期待できそうだゾ。




野菜たちが並ぶ店先から分かる通り、店内も所狭しと商品が置かれていて凄く見応えがある。しかもそれぞれが美味しそうなうえにお求めやすい価格だし、ここはアタリ直売所で間違いない!
私が求めていたフルーツ系も品数豊富で、他にも梨や桃まで売っていて目移りしてしまう。でも食べやすさや持ち運びやすさなどもろもろを考えるとやっぱり葡萄がいいかな〜。その葡萄にしても、同じ品種で価格も様々だから結構迷ってしまう。

他のももちろん好きだけど、皮まで食べれて甘いながらも喉越しが良いシャインマスカットが一番夜食に向いてると思ってるから
シャインマスカットにしても500円から2000円ぐらいって感じで幅があるけど、見た目はどれもほとんど変わらないから判断が難しい。多分甘さが違ったりするんだろうけど、そうなると安定して甘そうな高いやつよりも、一番安いやつがどれだけ甘いのかを確かめるために500円のを買ったほうが面白そうだ。
というわけで500円台シャインマスカットの中から550円のものを一房選んで購入へ。
もし車だったら桃を一箱くらい買っちゃうのにと思いつつ、それでも安シャインマスカットに満足して直売所を後にしたのだった。

なつまちの聖地小諸
さて、ここからはふたたび市街地目指して原付を走らせる時間だ。
これから向かうは小諸駅周辺。小諸は通ったことはあるものの、駅周辺はもとよりその他観光地もほとんど行ったことがないと思うから、宿へのルート上でもあることだしちょっと寄ってみようということでプランに組み込んでみた。
小諸駅周辺がどんなところかわからないけど、いくつか寄ってみたい店があるからちょっとワクワクしてる。その後、小諸散策が終わればいよいよ宿へと直行という流れだ!




小諸の中心部は初めてやって来たけど、こうしてみると上田の市街地にそっくりだ。そういう都市計画なんだろうか、しかし人の少なさは上田以上な気がする。でも見回してみるとレトロな店が多そうで、散策が楽しそうな街だ。

ということでマップで色々見てみたら、近くに長野の有名スーパーがツルヤがあることを確認。ちょっとツルヤで買いたいものがあるし、少しばかり駐車させてもらおう。

歩いていると気になるお店がいくつかあったけど、それは後にしてまずは目的のお店へ。
そのお店とは駅前すぐにあるみやさかというお土産屋で、この小諸を舞台にしたあの夏で待ってるというアニメのグッズを販売している有名なお店らしい。
私はこのアニメは見たことはあるものの特に熱心なファンというわけではないんだけど、アニメの聖地見学は好きなので、どうせなら寄ってみようということでやってきた。というわけでいざ店内へ!

というか「なつまち」って略すのか
お店に入ると奥のカウンターにいるおばちゃんが「いらっしゃいませ〜」と優しく迎えてくれた。レジ前にはちょっとした談話コーナーみたいな一角があって、そこには一人のお客さん。雰囲気的に、多分あの夏で待ってるのファンの方で、おばちゃんと親しげに話している。
店内は左から奥がなつまちグッズコーナーで、真ん中から右側は普通のお土産屋さんという感じ。店内の3分の1がなつまち関連コーナーで、見てみるとグッズはもちろんファンの方が持ち寄ったであろう品々を飾ってあるコーナーがあったりして、中途半端にやってない愛のある雰囲気がほほえましい。おばちゃんも凄く優しそうな人だし、これはちょっと応援したくなる。





いや〜軽く流し見してなにかちょっとしたものでも買おうかくらいに思ってたけど、いざ来てみると色々見どころがあって面白いな。街全体としてはなつまちを推してるような感じは今のところあんまり受けないけど、すくなくともこのお店ではちゃんとなつまちを推していこうという姿勢が見えて好印象だ。あるいは、ファンのためにこういう場所をちゃんと残しておこうという意気込みなのかもしれない。
そうしてレジ前まで来たところで、常連(?)さんとの会話も終わった店長さんに話かけてみた。
私「あの、店内の写真撮らせてもらっても大丈夫ですか?」
店長「はい、お好きなようにどうぞ〜」(↑の写真はその後撮影したもの)
これをきっかけに店長さんとの雑談がスタート。
とても愛想が良く可愛らしい印象の方で、さらにおしゃべり好きらしく色々なことを話してくれた。私も色々質問させてもらい雑談に花が咲く。
雑談の内容の一部をまとめてみると
・レジ横のグッズが沢山並んでる棚はファンの人達が持ってきてくれた各地のアニメ関連グッズらしく、なつまちに関係ないものも結構あるらしい。
・店長さんの娘さんいわく「小諸は聖地巡りに疲れた人がやってくる場所」とのこと
・小諸はあまり聖地として強く押し出さず、安定して地味に続いているらしい
・このお店はファンの人がまったり集まる場所
・小諸は20年前くらいまではスナックが多い街だったけど、コロナでどんどん減ってしまったらしい
・静かでいいところだと、若い人の移住者が多い様子
・このお店の店内になつまちのキャラが集まってるポスターがある。お願いして書いてもらったらしい。
・イベントもやるときはやる。イベントの実行委員もあるらしいけど、みんな年を取ったのでそこまでガッツリ活動してるわけではないそうな
・小諸レトロに力を入れている街(確かにレトロなお店が多い)
他にも色々なことを聞かせてもらったけど簡単にまとめるとこんな感じ。
街やお店の雰囲気からも分かる通り、ここではアニメの聖地として賑わいを見せているというよりかは、なつまちが街に溶け込んで、落ち着いた雰囲気の中でファンが楽しめるような場所になっているんだと思う。私はあまり詳しくないけど、こういう場所はなかなか珍しいんじゃないだろうか。
この明るくて優しい店長さんの人柄もまた、十分にファンが立ち寄る理由になっていそうだ。


その後小諸のことを色々聞いているとさすがに時間も厳しくなってきたので店を出ることに。
私「小諸って見どころが多そうで楽しそうですね。もう時間がないからそんなに見れないですけど」
店長「ぜひまたいらしてくださいね。いいところが沢山ありますから」
私「もちろんす!」
というわけで、最後になつまちのタンブラーを購入して、店長さんに挨拶してから次のスポットに向かうことに。次のところはあまり長居はできなそうだけど、ぜっかくだから行っておきたい!
レトロな建物と喫茶キャンディライト



このツタに巻かれまくったレトロなお店は、外観からは一見想像できないけどFLORO CAFEという花や植物がテーマのオシャレカフェらしい。
ツタの葉の茂みに隠れた看板にある通りもともとは夕子というスナックだったみたいだけど、数年前におしゃれカフェとして生まれ変わったんだそうな。ちなみにみやさかの店長さんによると、2階はスナック当時のまま残されていて見せてもらうこともできるらしい。


こうして間近でみてみると凄くオシャレで一度は来店の価値あり!って感じなんだけど私のお目当ては残念ながら別のお店。
でも場所もお店の雰囲気もよくわかったから、次はスナック夕子時代の店内目当てにまた立ち寄りたいな。



こういう古くて壁にシミがあるような薄暗いビル、なんかアジト感があって凄くイイな!外観はきれいなビルだったけど中は歴史が香る昭和ビルだ。そんな中でいかにも古くからやってますといった佇まいのお店、それがキャンディライトらしい。
早速お店に入ってみると中にお客さんの姿はなく、老夫婦が座って仲良くテレビを眺めていた。私が店に入るとおばあちゃんがスッと立ち上がり、「お好きな席にどうぞ〜」と中に促してくれた。


お昼を食べたぽえむとはまた違ったすごく庶民的な温かさのある店内は、たがみよしひさの漫画に出てきそうな昭和感が漂っている。お店自体は綺麗だけど、漫画や観葉植物や幟など、生活感があって若干雑然としてるところが個人的に凄く刺さる。
さらにメニューを見てると全てのメニューがとてもリーズナブルで、ソフトドリンクでは500円を超えるものはなく、オムライスやパスタなんかは600円台で食べられるものがほとんど。こりゃこのご時世にとんでもなくありがたいお店だ。。
そんなわけで色々目移りした結果、ぜひともパフェをいただきたいと思ったもの、お楽しみの夕食に差し障りが出る可能性大なので、ここはおとなしくブルーハワイフロート(400円)をいただくことに。アイスが入ってるから少しはパフェ欲も満たせることだろう。いや、しかし安いなここは。

うん、シュワシュワで甘くてウマい!ぽえむと同じで特別に美味しいってことはないけど、まさに「この味!」って感じで、懐かしさも一緒に味わえる喜びがある。都内だったらこれで倍くらい取られそうだ。

さて、本来ならここで漫画でも呼んで素敵な時間を過ごしたいところだけど、もう行かなくちゃ
ここも次に小諸に来たときはまた立ち寄りたいな〜。その時はぜひ定食を食べてみたい。良い店を知ることができて来た甲斐があったわ。
というわけで少しばかりルートの確認をしてから、おばあちゃんにお金を払ってお店を後にしたのだった。
湧き水汲みに弁天の清水へ

これから向かうのは本日初の湧き水ポイント。運が良いことに、中心地から少し外れたところに評判の良さそうな湧き水を発見していたのでそこに向かっている。
ここから宿までには湧き水ポイントは無さそうだし、風呂上がりにグイっといくための清水の確保はとても大切なのであるっ。


やってきたのは弁天の清水という湧き水スポット。広い駐車場(?)の隅で澄んだ水が流れ落ちていて、何も知らずに通ったらここで湧き水が汲めるなんて思わずに通り過ぎてしまいそうだ。場所的に、きっと今でも近隣住民に愛用されている湧き水なんだろうな〜って雰囲気がある。





なるほど、これがあそこの水路に繋がってるのか!石垣も立派だし、いかにも古くからの由来がありそうな湧き水には期待が高まるばかり!

事前に見た口コミによると念の為煮沸した方が良いということだったけど、今まで色んな湧き水を散々生で飲んできた私の腹は壊せないだろうとそのままがぶ飲み。期待通りのおいしい水でございますっ。この水量だったらポリタンクでもすぐに満杯になるだろうな〜。

望月宿のレトロな宿、青木荘にチェックイン
ここからは宿に向けて、上田と佐久平の間にある御牧ケ原という小高い丘のようになっている台地を突っ切っていくようなルートになっている。私は一度も行ったことがないけど、御牧ケ原は北海道みたいな広々とした牧歌的な風景が広がっているところのようで、見たところ美味しそうなパン屋さんやカフェ、その他面白そうなお店があったけど、今回は残念ながら寄ることはできなさそうだ。




今日のお宿である青木荘まではもうすぐ近く。そして、青木荘があるこの場所は望月宿と呼ばれる宿場町だ。
この道にはいかにも歴史有りげな日本家屋が立ち並んでいて、その中でも数年前に泊まれなくなってしまった存在感抜群の宿がここにある。宿にチェックインしたら、夕食までの間ここらへん一体を散策するつもりだ!



口コミでは結構年季が入った宿ということだったけど、実際に見てみるとたしかにその通りの、良い感じに古びた建物の青木荘。ベランダもある2階建てっていうところも個人的に好みだ。これは期待大!




めっちゃ静かだから宿の人いないかもと思ったけど、フロントのベルを押したらすぐに「は〜い、いらっしゃいませ〜」と女将さんが出てきてくれた。そして促されるまま宿帳に記入する私。
女将「中山道を歩いてこられたんですか?」
私「いえ、東京から原付で来ました」
女将「え〜原付?!それはそれはまぁ」
原付で来る人は珍しいのか、結構驚いてくれる女将さん。私としては中山道を歩いてやってくる人のほうがすごいと思うんだけど、というかこうして聞かれるってことはそういう人が多いんだろうな。そういう旅も味わい深くてイイ。
そんな雑談をしつつ、宿の説明をしながら部屋まで案内してくれる女将さん。
客室は2階にあるようで、薄暗い階段を上っていい感じに古びた廊下を歩いていく。見たところ、他のお客さんはいなさそうな雰囲気だ。静かな2階をスタスタ歩いていく。

年季の入った建物ではあるものの、館内はもちろん客室もとっても綺麗に掃除されていて素晴らしい!広さも一人の私には十分だ。ただ部屋がある方角ゆえなのか、部屋の中がなんか暑い!女将さんもそれは承知の上なのか、真っ先に「こちら冷風機になってるので使ってください」と目の前にある縦長の機械の説明をしてくれた。見たところ部屋にはクーラーはなさそうだし、暑さはこの冷風機で凌ぐしかなさそうだ。



ちなみに夕食の時間は18時半にしてもらった




でも仕切りがないから隣の人とばったり会うこともありそう

まぁ暑い暑い言ってるけど結構私の好きな感じのレトロ宿だからすでに満足度は高し!女将さんもおしゃべり好きの愛想の良い人だし、今日は素敵な一晩になりそうだ。
というわけで恒例の部屋チェックも終わったので、館内散策がてらお楽しみの温泉に向かおうか。これから町の散策もしたいし、あまりゆっくりはしていられない!














やっぱり先客はおらず、最初の一湯は私一人で温泉を楽しめそうだ。
ちなみにここの温泉は、調べてみるとナトリウム塩化物泉とかアルカリ性単純泉とか色々書かれててよくわからないけど、とりあえず温泉であることは間違いないらしい。まぁ私としては温泉であればなんでもいいから問題なし!いざ浴室へ!


いや、浴室もシンプルながら綺麗に年季が入ってる様子でとってもいいすね。
この宿の設備も壁も廊下の絨毯も、なにもかも古めかしいけどしっかり管理されていて、言い方は変だけど古いままちゃんと綺麗に維持されているのが個人的に凄く好印象だ。古かったものを新しくするというのもいいけど、私はこういう古いものを古いまま綺麗に使っているというのがすごく好き。今夜もイイ夜になりだよこれは。
と、そんなことは置いておいて、まずは体を素早くかつしっかり洗ってから、お楽しみの温泉で体の疲れを癒やそうじゃないでしょうか。

テンションが上がっているため一気に肩まで湯に浸かると、温度は私からしたら少し熱めだけど、逆にそれが体の力と疲れを一気に奪っていくようでめちゃくちゃ気持ちが良い。広々と足を伸ばせるから、このリラックス度たるや凄まじい!
肌に触れると若干ぬるっとした感じもあるし、優しく効いてきそうな泉質もこのリラックス効果に一役かっていそうだ。

窓の向こうには一面の緑が広がってて目にも優しいし、ゆっくりできて良い温泉だ。ひとつ残念なことがあるとすれば窓が開けられなくて風が入ってこないから、長湯はできなさそうなところくらいかな。それでもこの青木荘の温泉、とっても気に入りました。
望月宿の町並みと石仏群散策





こちらは昔、かの有名な日本ボロ宿紀行さんで知ってから、いつか行きたいとチェックしていた旅館だ。
何度か泊まろうとしたことはあるものの、その時の色んな事情で泊まる機会を作ることができず、2年ほど前に井出野屋旅館が売りに出されたということをニュースで知って、かなり残念に思ったことを覚えている。であればせめて外観だけでも拝見できればと、こうしてやってきた次第であります。
いつごろの創業なのかはわからないけど、立派な3階建ての木造建築は、若干大正モダンっぽい雰囲気もあって重厚な格式が伝わってくる。歴史が詰まっているのが外観だけでもよく分かるけど、館内にはそれはそれは由緒ある品々や調度品が置かれていたようで、ここにもう泊まれない現実を思うと、改めて残念このうえない。











ここらへんは散策すればするほど面白いものが見つかりそうだ。でもある程度の散策を終えた今、次に私がしたいことは石仏の捜索!
事前に調べたところによると、この望月宿は3000基以上の道祖神や石仏が各所で祀られていることから「石仏の里」と言われているらしい。結構面白そうなところに沢山の石仏があったりするようで、それならば私もぜひ拝ませてもらおうというこで、これから石仏を見に行こうと思っている。
大体の場所は調べていたから、そう迷うこともなくすぐ見つけられることでしょう。



ここは長坂の石仏群ということば紹介されていたので、長坂という集落なんだと思う。坂の両側に昔ながらの家々が建ち並んでいる一見なんということもないこの道が、どうやら旧中山道とのことだ。



坂の途中にあるとは知っていたけど、その坂というのが道の両側に崖が迫る切通しのようなところで、しかも結構な勾配であるという環境がちょっと面白い。全然観光地な感じはしないけど、散歩して訪れる価値のある小さな面白みが感じられるスポットだ。

馬頭観音があるところを見ると、やっぱりここはかつての主要な街道として往来が激しかったんだろうなって感じる



こうして来てみると石仏たちが寄り集まってのんびりやっているようでちょっと面白い光景だ。今でこそあまり通る人も多くなさそうな寂しい感じの坂だけど、これまでこの石仏たちは数多くの旅人を見守ってきたのかと思うとなんとなくしみじみする気持ちもある。これはわざわざやってきて良かったなッ。








この直売所、なんか初めて見る品が結構あって面白いな!時間が早かったら野菜ももっと売ってるんだろうし、これは寄ってよかった直売所。ただ、ちょっとつまんだりとかできそうなもので気になるものがなかったから、ひとしきり楽しんで店を出ることに。冷蔵庫があったら飲み物とか買いたかったけどな〜。
青木荘の夕食・温泉・晩酌、そして就寝へ

相変わらず静かなロビーを抜けて部屋の前まで来ると、向かいの客室でおじさんが何も気にせずドア全開で爆睡していた。最初「おっ」と思ったけど、このおじさんがなぜドア全開で寝てるのか今の私なら分かる。それは暑いからだ!
おじさんも「このままでは眠れん」と思って、苦肉の策でドア全開にして眠りについたんだろう。私もこれから部屋に入るけど、その温度によっては同じことをせざるおえなくなるでしょう。。

その後冷風機を直で浴びながら、寝っ転がって明日のルートなどを確認。
明日は今回の旅の核となるお祭り見物の日だけど、私には珍しく100kmぐらい移動しなきゃいけないからしっかり予定を立てなければ。ちょこちょこ寄りたいところもあるし、祭りがいつごろから始まるのかもあんまり分かってないから、なるべく早めにチェックインしたいところだ。久しぶりの野沢温泉だから町の散策もしたいし。
と、そんなことをあれこれ考えてる間ずっと冷風機を浴びていたわけだけど、冷風機と言いつつ別に冷たい風が出てくるわけでもない悲しい仕様だから、止めた瞬間一気に元通りになってしまう。これは厳しい戦いになりそうだ。


颯爽と食堂へ乗り込むと、私のテーブルの横には既に夕食にありついているおじさんが一人。軽く挨拶をして着席したけど、、、しかしこの食堂もまた若干暑いな!私が温泉あがりでまだ体がポカポカしてるのも相まって、食べてさらに体が温まったら汗が出てきそうだ。
なので一発目から女将さんに冷水をお願いして、準備が整ったところでようやくいただきますだ!

女将さんの説明によると、塩焼きはニジマスで、刺し身は信州サーモンということらしい。こういう宿ではどういった飯が出てくるのかとワクワクしていたけど、野菜・魚・肉・果物と網羅されていて、どれも凄く美味しそうじゃないかッ。
まずニジマスからいただくと、彼らしいさっぱりした味だけど、ホクホクで身も柔らかく良い焼き加減でウマい。信州サーモンは噛むととろけるようで、さらに甘みもあって素晴らしい味だ。小鉢のブロッコリーのツナ和えは、ブロッコリーがあまり好きじゃない私でも「美味しいやん」と思うくらいの出来栄え。どれも凄くちゃんと作られた美味しい料理たちだ。
しかし中でもいちばん気に入ったのは角煮入り肉じゃがだ。このホロッホロに柔らかい角煮とコクのある煮汁さえあればご飯何杯でもいけそうだっ。マジでおかわりしたいくらいだけどそうも出来ないのが辛いところ。総じて、青木荘の夕食はとてもイイ夕食でございます。
そんな感じでガツガツ食べていると、当初の予想通り暑さで汗がだらだら流れ出す。でも逆に、この状態で冷水を飲みながらの食事も案外悪くないかも。なんか「俺は今食事をしている!」って感じがしてそこまで悪い気分じゃない。これで部屋が涼しかったらさらに良いんだけどな!

部屋に戻って少しばかりダラダラした後は、夕食前に入ったばっかだけどまた汗を流しに温泉へ。22時までだから、これから入ってさらにもう1回くらいは楽しみたいな。


夕食でがっつり汗をかいたから、連続して入ってもさっきより気持ちイイぜ。広めの浴槽でのびのびできるこの喜びを十分に噛み締めなければ。明日は多分こんな貸切状態で入ることはできないだろうし(それはそれで楽しみだけど)、真逆の環境を今は楽しむのみ!

ちなみに向かいのおじさんはもうドアを開けていませんでした
ここからはもう完全な自由時間なのでとにかく部屋でゴロゴロへ。明日の寄るとこも固まったしルートも単純だし、後は気兼ねなくだらだらするのみだ。ただ相変わらず部屋は暑いから、浴衣をほとんど脱いでるような状態で暑さを紛らわすしかない。網戸にしててもちっちゃい虫がやってくるけどそれももはや気にしない。どうにかちゃんと寝られればいいんだけどな!




みやさかさんで買ったなつまちタンブラーを見ながら、楽しみにしていたシャインマスカットをいただく!
まず一粒食べてみると、うん、これは確かにシャインマスカットではあるが、やっぱりちょっと甘みに欠けるところがあるな。別にすっぱいわけではないけど、今まで食べてきたものと比べると多少甘さが足りないって感じる。でも500円で一房買えるならこれでも十分だと思うから、これはこれでイイ買い物だったのかもしれないな。なんやかんやで次々に食べちゃったし、なかなか素敵な晩酌でございました。


朝食と朝風呂を楽しんで出発へ!

一度も起きずにぐっすり眠れることを祈って床についたけど、やっぱり例の暑さに途中で起きてしまい、結局ドアを開けっ放しにして朝を迎えました。おかげで頭だけはやや涼しくなったからこうして朝まで寝ることができたけど、たぶん誰かに見られたことだろう。でもその人も理解してくれたはず。「君も暑いんだね」って。

本来なら朝起きてすぐ温泉に行きたいところだけど、もう朝食の時間なのでアツアツのお茶をグイっと飲んでから食堂へ。起きたてだからあんまり量が多くないといいな、楽しみだけど。



この焼き魚はなんだろう。鮭じゃないのはあきらかだけど、見たところなんとなく赤魚の粕漬けっぽい。
珍しいな〜と思いながら食べてみると、やっぱりこれは粕漬けっぽいな。もともと好きだし焼き立てだからとっても美味しい。
他にも私の好きな温泉卵もあるし、定番の納豆や漬物も優しい味でのんびり平和な朝にぴったり。風呂上がりじゃないから食堂の温度も気にならないし、ゆっくり味わわせていただきますッ。





今日は久々の長距離移動だからちゃんと時間をチェックしながらいかないとな。道すがら前から気になってたところに寄る計画があるけど、今日のメインはあくまでお祭り。しかもできるなら最初から最後まで見物したいからね。ちゃんとルート確認もしておかなくちゃ。

昨日からず〜っと静かなままのロビーに降りて、女将さんにひと声かけて精算へ。
その間、昨日から気になっていた「目の前の川は何が釣れるのか」「川沿いの釣り堀はなんのか」を聞いてみると、あの川では鮎を放流してるけどヤマメとかも釣れるかもしれないということらしく、釣り堀はもう閉店してしまった近くのお店がやっていた釣り堀とのことだった。
なるほど、一見ヤマメが釣れそうには見えないけど、一応いるにはいるくらいの感じか。穏やかで釣りがしやすそうだし、次に来た時はのんびり糸を垂らしてみるのもいいかもしれない。


そして可能な限りの日焼け装備を整えた後、野沢温泉に向けて走り出したのだった。
3日目につづく…
今回泊まった青木荘さん、数十年前から時が止まったようなレトロな雰囲気がとても良い宿でした。
建物や設備は古びているかもしれませんが掃除は行き届いていて、レトロ好きにはとても刺さる宿ではないでしょうか。個人的に太陽光頼りの薄暗い館内は好きだし、2階休憩所も居心地が良くて結構好きでした。
ただ記事内で何度も言っている通り部屋は暑いので、真夏は多少覚悟を決めて泊まったほうがいいかもしれません。暑すぎてツライという程ではないですが、暑さに弱い人は注意です。
ですが総合的に見て私としてはとても満足できました。周囲も散歩しがいのある町並みが広がっていて楽しいので、ぜひ一度宿泊を考えてみてください。
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