[長野] 美しい渓谷と温かい古民家宿 民宿ほていや [柿其]

長野

夏休み長野の旅4日目。 [3日目] [5日目]

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翌朝は釣りのために朝5時に起床。まだ薄暗い中、原付で松本市内を流れる梓川の波田駅近くの橋へと向かいました。さすがに時間的に誰もおらず早速河原へ降ります。最初流れのあるポイントで第1投を投げましたが何の反応もなく、橋の下のテトラポットが沢山あるポイントで何投かするとようやくアタリがっ。しかし掛かりが浅かったのか一瞬翻った魚を見た瞬間に逃げられ、その後は何も釣れなかったので宿に戻って一眠りしました。

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早朝の梓川。

起きて少し経つと(時間は忘れましたが)朝食の準備ができたとのことで、早速昨日と同じ部屋へ。

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朝食。なかなかしっかりしています。

朝食に川魚の塩焼き(アマゴか?)が出たのは初めての経験だったので少々驚きでしたが、魚好きの私としては嬉しい内容です。それぞれとても美味しかった。ごちそうさま。

部屋へ戻って少しゆっくりした後、支度を整え宿代を払いに玄関まで向かいます。「すいませ〜ん」と声をかけると台所から昨日の息子さんがでてきました。なにやら分厚い宿帳に記帳をお願いされたので宿帳を見ると、中々宿泊客がいるようです、ネット上にほとんど情報のない宿だったので少々意外でしたが、いる所にはいるものです。ささっと書いて宿代を支払って出発しました。

この日の天気予報は雨で、外に出ると既にポツポツと降ってきています。多少残念な気持ちを覚えつつも雨具を着て出発。山形村、朝日村を抜けて中山道にでました。ここから飯田方面に下っていき、この日の宿のある柿其渓谷を目指します。
ところでこの中山道は別名トラック街道と呼ばれ、トラックが大量に猛スピードで飛ばしていく危険な道です。特に私のような原付乗りは十分気をつけながら行かなければなりません。トラック以外の車にも気をつけながら小雨の振る中走ります。

走ってすぐに奈良井宿があります。ここには昔一度友人と原付の旅で訪れたこともあって思い出深い場所なのですが、今回は寄りませんでした(奈良井宿の伊勢屋という宿がおすすめです)。

さて、中山道には道の駅が沢山あるのですがその全てに寄りながらお土産を買いつつ走ります。雨が降っているので道の駅で休憩しつつ、次は藪原宿にある大つたやという店で友人の誕生日プレゼントに櫛を買いたかったのですが(ここいらはお六櫛という木櫛が有名)、もうなくなってしまったのかどこにも見当たらず残念な気持ちで次の目的地へ。
しばらく走って上松宿に到着、ここらで雨も止んできました。ここからしばらく行ったところに灰沢温泉という温泉があって、多少山の中を進んでいくのですが宿の前まで着いてみると「今日は日帰り入浴ありません」と悲しい内容の看板が。どうも今日はついてないです。とても楽しみにしていた温泉だったので残念でしたが、空は若干晴れ模様となってきていたので気分を切り替えて次の目的地である須原宿へ向かいます。

須原宿には名物土産として桜の花漬けというものがあり、今はもう駅前の大和屋さんという店を営んでいるおばあちゃんしか作っていないということで是非購入しておきたいと思っていました。
須原宿に到着して駅前のベンチで休憩をした後、その目の前にある大和屋さんで桜の花漬けを購入。お店の中には番組のロケで来たらしいキャイーンのウドちゃんのサインがありました。
原付旅行なので、暑い気温の中数日間置いておいても大丈夫かと思い聞いてみたところ、「多めの塩で漬けてあるので大丈夫ですよ」とおばあちゃん。ひとまず安心のようです。「このおばあちゃんが亡くなってしまったらもう桜の花漬けは買えなくなってしまうのだろうか」などと感傷的になりつつ出発しました。

道中にあった道の駅大桑で牛すじうどん(結構美味しかった)を昼飯にし、阿寺渓谷へと向かいます。野尻宿を少し行ったところから木曽川を渡り阿寺渓谷へ。

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なんと美しい川なのでしょうか、川の水が恐ろしい程に透き通っていてテンションが跳ね上がります。今まで和歌山で泊まったとある民宿の近くを流れる川が私の中で最も綺麗な川だったのですが、この記録が塗り替えられてしまいました。こんな美しい水は今まで見たことがありません。事前にネットの画像などでこの川の綺麗さは知っていたのですが、実際に見てみるとその清浄さ眩さは画像などとは比ぶべくもありませんでした。
阿寺渓谷の入り口には河原があって、何箇所か焚き火の跡がありました。渓谷をあがっていったところにキャンプ場があるのでそこの利用客が焚き火でもしたのでしょうか。こんなところで友人達と焚き火をしながら川遊びをしたり釣りをしたり語り合ったりしたら最高の思い出になるでしょう。いつか友人達と絶対にここを訪れようと思ったのでした。

さて、少し時間も押してきたので(この段階で15時くらいだったはず)阿寺渓谷に別れをつげて、この日の宿泊地である柿其渓谷へ。といってもすぐそこなのであまり急がず行きます。
十二兼駅をちょっと行ったところから柿其渓谷へ入り、山沿いにある集落をトコトコ登っていくと、この日の宿のほていやさんに到着です。原付を適当な所に留めて宿手前の階段を登ります。

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階段を登ってすぐのところに布袋様が。この宿を象徴しています。

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玄関であるくぐり戸。

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玄関を上がってからくぐり戸側を撮影。行灯の光が淡く玄関を照らします。

古民家好きの私にはまさにドンピシャな造りです。「この宿にしてよかった」とこの時既に思ってました。身をかがめてくぐり戸を抜けて「すいませ〜ん」と声をかけると奥からおばあちゃんが。「今日予約していた〜〜ですが」というと「あ〜はいはい、どうもいらっしゃい」と優しく応じてくれました。「何で来たん?」「原付できました」「そりゃ大変だったろ?バイクはどこ留めたん?」などと会話しながら原付を倉庫前の屋根のある所に留めさせてくれました。
宿に戻ったらおばちゃんが麦茶とお菓子を用意してくれたので、眺めの良い縁側でしばらく休憩です。

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囲炉裏の部屋。

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泊まる部屋から撮影。左の暗い空間が上の囲炉裏の部屋です。

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縁側から。眺めがとても良い。

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ミーちゃんという名前らしい。ほていやさんの飼い猫です。

玄関を上がってすぐ右に正方形を四当分した形で四部屋と縁側があります。部屋と部屋の境は襖仕切りで、他のお客さんがいる時はあまりプライベートは確保されないかもしれませんがこの日の客は私だけなので部屋は使い放題です。部屋には特にテレビなどはなくただの畳部屋で、浴衣もありません。まぁこのおばあちゃん家に帰ってきたような雰囲気の宿で浴衣で歩くのも少し変な気もするのでこれはこれでOKです。

縁側で休んでいたらおばちゃんがきたのでしばらく雑談です。ここに来るまでに置いてあった地図看板を見ると、ここいらにはこのほていやさんの他にも何軒が宿があって、さらにここより上の方にやきやまの湯という温泉が書いてあって気になったので聞いてみると、そこは日帰り入浴ができる宿だがうちも同じ水を引いて沸かしているということだったので「じゃあ特に行く必要もないか」と思いながら色々話していました。

その後おばちゃんが柿其渓谷のパンフレットを持ってきてくれて、そこに宿のおじちゃんも加わって色々観光スポットを教えてくれました。どうやらここからほど近い所に恋路の吊り橋というのがあって、橋を渡って左に行くと黒渕という渕があってよく若いのがそこで泳いでるとのこと。更にそこから進むと牛ヶ滝という滝があるみたいでした。なんだかワクワクしてきて「誰もいなかったら僕も泳いでこよう」と言うと、おじちゃんが「冷たいんだからやめとけ」と笑っていました。しかし「最近の雨で黒渕に行く道の手前に立ち入り禁止の看板がでてたけど」というおばちゃんに対し、「こんくらいの雨じゃどうにもなるわけねぇんだからどかして行ってきたらいいや」とおじちゃんが言うのでしばらく雑談を楽しんだ後吊り橋に向かいました。
教えてくれた道通り進むと吊り橋に続く道が現れました。ここからは原付ではキツそうなので徒歩で向かいます。

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吊り橋到着。横の看板に「つり橋は揺らすのではなく揺れるものです」と書いてありました。

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橋の上から。

つり橋は大きいものではありませんでしたが中々良い感じに揺れます。川は非常に綺麗で、下流を見ると釣り人二人が退屈そうに糸を垂らしていました。
吊り橋に満足したところで黒渕方向の道へ行くと、確かに看板がありましたが横にどけてありました。観光客がやったのか工事の人がやったのかわかりませんが宿のおじちゃんの言葉を信じて先に進みます。

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気持ちの良い遊歩道を渡りながら黒渕を過ぎて牛ヶ滝を目指します。途中に急な階段があったりして結構汗をかきましたがそこを抜けると牛ヶ滝が見えました。

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牛ヶ滝。

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滝壺。

階段の先には滝を見る場所がちゃんと設置してあり、そこから滝を堪能できました。ここに来る途中もそうだったのですが、柿其渓谷も阿寺渓谷と同じくらい綺麗で清々しく、上の写真の通り美しいエメラルドグリーンに映ります。ゴウゴウと流れ落ちる滝の下にもやはりエメラルドグリーンの滝壺が。こんなところで釣りをしたり泳いだりできたらどれだけ気持ちよいでしょうか。そんなことを考えながらしばらく滝に見入った後、遊歩道を引き返し黒渕へ向かいました。

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黒渕から撮った写真。

黒渕の全体を写すのを忘れてしまいましたが、ここは泳ぐのにうってつけの場所で多少浅く流れもゆるやかになっていました(危険なので川に入らないでくださいと書いてありましたが)。川辺の砂利になっているところで少し休憩しながら少しだけ川に入ってみましたが、おじちゃんの言う通り非常に冷たくて泳ぐことなど到底無理そうです。誰もいなかったので頑張って入ってみるかと思ったのですがショック死は避けたいので諦めて宿に戻りました。

宿に戻って玄関をくぐったらおばちゃんが風呂を勧めてくれたので、着替えを持って風呂場に向かいます。

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この廊下の突き当たりが脱衣所。

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脱衣所の様子。

おばちゃんが案内してくれました。脱衣所にはタオルが用意してあります。今日は道すがら温泉に入れなかったので非常に楽しみにしていました。おばちゃん達との話によると温泉としての何がしかの成分は含まれていそうなのですが面倒なので別に調べたりしていないとのこと。しかし仮に温泉でなくとも柿其の綺麗な水を沸かしているというだけでなんだか温泉気分です。早速服を脱いで風呂場へ向かいました。

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風呂の様子。

もっと家庭的な風呂を想像していたのですが良い意味で裏切られました。風呂場はとても綺麗で、しかも風呂は木造りでジェットバスです。いつも通りさっさと体を洗って長いこと風呂に浸かっていました。なんだか肌もつるっとした感じになったような気がしました。

風呂を出たら本来泊まる予定だった隣の部屋に布団が敷いてありました。「今日は他に誰もいないから広く使わなきゃね」だそうです。嬉しい心遣いに感謝しつつ色々作業をしていたらもう結構暗くなっていて、すぐに夕食となりました。夕食はテレビのある広間でとるので早速向かいます。

広間について左に私の夕食が用意してある机が、少し離れて右側、広間に入ってすぐのところにおばちゃん達の机があります。そちらの机にも私の夕食と同じメニューが置いてあって、私と一緒に食事をとりました。

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夕食のメニュー。これに更にきゅうりの漬物ともう一品くらいきました。
夕食は画像の通り野菜をふんだんに使った健康的なメニュー。普段肉ばっかり食べてる私には嬉しい内容です。意外に洋風なものも多く、それぞれ大変美味しい。横でおばちゃん達も同じメニューを食べています。
腹が減っていたのでバクバク食べていると、おじちゃんの「兄ちゃんはどこから来たんら?」という質問から始まって長いこと延々と色んな話をしました。なんでもおじちゃんはここからすぐ下にある仕事場で働いていた宮大工さんで、天理市にある天理教の施設の西の館(だったか?)を作るための木材や靖国神社の鳥居を作る木材を調達、加工していた人らしいく、その木材は秩父にある三峰神社からとってきてここまで運んで、最後靖国神社へ持っていったりしたみたいです。その後もおじちゃんの仕事に関する話や地元の話を聞いた後ここらへんでの釣りについて聞いてみたところ、地元の人でここらで釣りする人はおらず、釣り人はほとんど他県から釣りをしにきている人達とのこと。「ここらじゃ大きいのは釣れねぇな。沢に入ったら少しくらいでかいのもいるかもしれんが」と言ってました。まぁそんなこんなで非常に楽しい夕食となり、本当に田舎へ帰ってきたみたいな感覚になりました。しかも信州弁というのか、語尾に「〜ら」とつけるしゃべり方がなんとも人懐っこく聞こえてきます。「この宿にしてよかった」と再び思ったのでした。

さて、夕食を食べた後は再び風呂に入ってゆっくりしました。風呂から出た後食事をした広間の前を通るとおばちゃん達がテレビをみていて、私に気づいたおばちゃんが「一緒にお茶でもどうだい」と言って団欒に誘ってくれました。コーヒーもあるらしくそっちをお願いして、おじちゃんおばちゃん、それに私で机を囲んでテレビを見ながら再び雑談。宿に泊まってこんなに温かくて楽しい時間を過ごしたのはかつてなかったのではないか、と思うほどのんびりした楽しい時間でした。まるでおばちゃん達の家族の一員になったかのような感じです。
テレビを見ながらここら辺で取れる岩茸のことやその料理の仕方、長野名物の鯉料理のことや次の私の目的地である遠山郷のことなどを話したあと、私がこの宿の事を聞いたのがきっかけでおじちゃんが宿の中を案内しながら、その造りに関して色々と教えてくれました。全部書くと相当長くなるので多少省略しますが、例えばくぐり戸が嵌められている戸はちゃんと開けることができて、昔はその戸を開けて農耕馬を玄関に入れていたようで、だから玄関から床までの高さが割と高くとってあるのだとか、さらに玄関からみて左横の部屋は本来厩で、改築した時に柱やらはそのままの形で移動させて部屋に作り変えたとのことです。

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行灯の横の柱。

その移動させた柱が上の画像で、行灯の横にあります。これはどうやら「マセ(漢字不明)」というらしく、この穴に柱を通して馬を外にでないようにしていたみたいです。何故穴が沢山あるのかというと、馬を入れておくと藁や堆肥(?)などが積まれていって床が高くなっていくので、それにあわせて棒の位置を変えていくためらしい。他にも色んな話を聞けましたが、民俗学が好きな私はとても興味津々で聞いていました。夕食の時におじちゃんが「うちがここいらでは一番古い建物で、120年くらい前からある」と言っていたのも納得でした。

そんなこんなで話した後は、部屋に戻ってちょっと作業をしてから布団の敷いてある部屋へ行くと

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先に私の布団でミーちゃんが気持ちよさそうに寝ていました。可愛かったんですがどいてもらわなければ私も寝ることができないので、とりあえずおばちゃんに「ミーちゃんが僕の布団で寝てるんですが」と言いに行くと「ミーちゃんダメでしょ」と言って笑いながらもっていってくれました。
面白いハプニングでほんわかしながら布団に潜るとすぐに寝てしまいました。

次回へ続く三日目の宿

民宿かねもと(リンク有り)


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