[青木村] 憧れの木造宿、ますや旅館で卓球を!後編 田沢温泉 / ますや旅館

長野
後編の始まり!やっと到着、憧れのますや旅館へ!
これは後で撮った写真。建物に対しての玄関の角度も面白い!

いやぁ、ようやくここに泊まれる日が来るとは、あの日見上げた木造旅館に今日お世話になるかと思うと感慨深い。外観も雰囲気もあの時のままだ。

女将さんに「どうぞ」と促されて館内へ。余裕の貫禄というか、私の「こうあって欲しかった感」にピッタリハマっている
ご時世的に消毒薬も。これだけはちゃんとやっていきたい
左側の階段の先も気になるけど、壁に貼られているものも宿に由来するもので目を引く

このますや旅館は卓球温泉という映画の舞台になったことでも有名だけど、他に文豪である島崎藤村ゆかりの宿ということでも知られている。千曲川のスケッチという作品の中の、山の温泉という話にこの宿が登場している。もちろん私はこれを読んで今日この日を迎えていることは言うまでもない。
ちなみに後で知ったことだけど、この階段の先には、藤村の間という部屋(宿泊可)へつながる階段らしい。

そしてロビーの様子。雑多な感じがイイ!
ロビーの左にはサインやら観光パンフなんかが置かれた、これまた雑多な帳場が
そしてロビーの椅子に座れば、目の前のテレビには卓球温泉が映し出されている!

卓球温泉、名前は知っているけれど実は見たことがないので、暇になったらここに見に来るのもいいかもしれない。
しかし、このロビーの時代が降り積もったような雰囲気はたまらんすな。以前行った北温泉も素晴らしかったけど、こちらの若干生活感があるような、キレイにしすぎていない感じも私は大好きだ。ツゲも物珍しそうにキョロキョロしている。彼も気に入っているのだろう。

そんな空間の中でとりあえずソファに座りながら宿帳に記入した後、今度は宿帳を持ってきてくれた若女将(?)がすぐに部屋へと案内してくれた。

いざ部屋へ!ちなみにここはロビーの奥、ソファの裏です

他と同じく部屋に行く間に色々説明してくれる若女将。
写真左側の戸の向こうは家族風呂になっていて、どうやら朝は入れないらしいので注意とのこと。
正面ののれんの向こうが廊下で、宿泊棟につながっているようだ。

あとでこのロッキングチェアにも座らせてもらおうしかし本当にいいな、ここは
廊下は左にのびている。あの間接照明が日が暮れると効いてくるだろう
廊下には仏様も。しかしそれよりも鰍の骨酒が気になってしまう
私達の部屋は更に先らしい

建て増した結果こういう廊下で繋げてるのかわからないけど、一段一段が低い階段に、なんだか建物内部にあるにしては珍しい(気がする)手すりがちょっと異空間ぽくて好き。中にあるにしては外っぽいというか、こういうのは北温泉にもあったな。
ちなみに右側には温泉へと繋がる廊下があるようだ。

その先には更に廊下が続いていて
更に階段もあるんだけど、私達は廊下をまっすぐに進む

今はコロナが流行っているということもあって、1フロアに対して1組のお客さんを受け入れているらしく、私達はこの二階フロアの貸し切り(みたいな感じ)となっているようだ。なのでこのフロアのトイレや洗面所は私達だけしか使えないらしい。全くコロナは最悪だけれども、こういう贅沢さを味わえるのはコロナのおかげということか。

この廊下を行って洗面所をすぎたところを曲がると私達の部屋があった。もうここまででも素晴らしい建物だということは肌でわかったけれども、果たして今夜過ごす部屋とはいかなるものか、「こちらがお部屋になります」と言われて入ってみると

おお、二間続きの良いお部屋!障子の向こうも気になる!
最初から敷かれている相当にフカフカそうな布団。しかし、接近しすぎだぞこれはっ
こっちの部屋もイイ・・・というか炬燵はかなり嬉しい!

もう入った瞬間に「おお〜、いいな〜」と口から漏れてしまった。部屋は特別広いというわけでも、何か豪華そうなものが置いてあるわけでもない。しかし、この渋い建物の中にある期待通りの和室というものが既に特別なのである。この空気感だけは、どんなに豪華で最先端な宿でも絶対に醸すことはできないものなのだ。

お湯の用意もしっかりと。補充用の水が置いてあるの親切だ
また別の場所には冷水も。これもありがたい!
そしてワクワクしながら障子を開けてみると、見晴らしの良い広縁がそこに!
ツゲと「いいな〜」なんて言いながら見て回る。角部屋なのも辺りが見渡せて素晴らしい
周囲には高い建物がないから2階でも十分良い景色
更にここから見える建物の外観。なんて贅沢な眺めなんだろか
ガラス戸を開けるとこんな感じ。実に堂々としている
逆側も悪くない。向こうの山まで見える

これは宿予約時に見た部屋の様子以上に素晴らしい部屋だ。部屋をぐるりと巡るような長い広縁もそうだけど、古びた木のガラス戸から見える、山あいの温泉地を思わせるひっそりとした周囲の景色は本当に心奪われるものがある。ここは藤村が泊まった部屋ではないけど、こんなところで執筆活動したらどれほど捗ることだろうか。夜になって宿の灯りがついた頃にはどんな風情が立ち現れるのか、楽しみでしょうがない。

大満足の私はツゲに「良い部屋だねぇ〜」と話しかけると「ウン、イイ」と彼も言葉少なに満足げだ。やはりこういうところは価値観の似た者同士で来るのが一番いい。
そして彼はあの密着した布団を見て「オレタチ、ゲイダトオモワレタンジャ」となぜかニヤリとするのだった。

若女将が去り際に青木村会員申込書を置いていってくれたので後で書いておこう
部屋にはちゃんとテレビもあります
アメニティは当然全てあるし、足袋の用意も忘れない。あとで履こう

よし、これで大体一通り見終わったか。
ここはやっぱり、憧れていた通りの宿みたいだ。古い木造の宿そのままに変にオシャレに気を配ったところもなく、清潔だけれども隅々まで完璧にキレイということもない(これ褒めてます)、とてもハイレベルなリラックス空間。辺りはいたって静かだし、この空間にじっくりと溶け込むことができそうでワクワクする。あの広縁と景色も、朝な夕なにその色を変えることだろう。全く楽しみである!

そんなわけで興奮していると、ツゲは早々に炬燵に入ってリラックスムードに入っていた。「ウ~」とか言いながら温まって、電池残量が少なくなったスマホの充電を既に初めている。
私なんかはいつも割とすぐに館内散策に出かけてしまうけど、今日はしばらく一緒に炬燵で休んでから行くことにしようか。

そんなわけで30分くらい雑談をしてから散策へ。部屋を出るとすぐに洗面所があるんだけど、そこには共用の冷蔵庫があった
壁にはwifiの案内が。これもありがたい

そういえば以前の旅でますや旅館をチラッと見た時に外国人の宿泊客がいたのを覚えている。こういう宿が好きな外国人も多いみたいだからwifiもちゃんと設置してあるんだろう。高い宿と外国人利用者の多い宿はwifi設置率が高いもんだ。高い宿に関してはほぼ100%だろうけど。

反対側から見るさっきの廊下もイイ
早く暗くなってほしいな
この暖簾の向こう側が食堂らしい。ますや旅館は部屋食ではなく食堂での食事となる
サインもいたるところに。全国的に有名な人というよりかは、地元のテレビ番組とかローカルなタレントのものが多いような気がする
廊下にある洗面所より。なんか気にいったので撮ってみた。
自販機の飲み物は良心的な値段だった。多分私はカルピスを買うことになるだろう
洗面所の横からは広いベランダに出られる。ここは喫煙所になっているみたいだ

狭いながらも色々ある廊下で楽しい。
このべランダに出られる戸はなぜか一段高くなっていて、その分出入り口が低いので頭を打たないようにする必要がある。

そのベランダからの景色。ここも気持ちよくて好きだな!
反対側に行けば向こうの部屋が覗けてしまう。あそこに泊まると障子を開けっ放しにするのは難しいかも
正面からはこの景色。風呂上がりとか朝にはここに来るのがよさそうだ

私は屋上とかベランダに出られる宿が結構好きなんだけど、このベランダは広いし眺めも良くて気に入ちゃったな。朝とかにじんわり霧がかってたりすると尚よさそうだし、夏の朝とかも冷たいコーヒーを飲みながら座ってたら最高だろうなぁ。うん、夏だ、やっぱり夏がいい。

でも寒くなったからもう部屋に戻ろうかな!温泉は後にして
しかし本当にイイ建物だ
部屋前にて。私達の部屋は左。右にはもちろん誰もいない

部屋に戻るとツゲはまだダラダラ中。すぐに温泉に行くかとおもいきや、私が思っていた以上に彼は足に疲れが来ていたらしい。とはいえ私もまだ温泉に入りに行く気はなく、これからちょっとばかり外を散策してからゆっくり田沢の湯を楽しもうと思っている。
あまり期待せず「散歩してくるけど来るかい?」と聞いてみたら「イヤ」とだけ答えたので、1人で行ってくることにした。かなり小さい温泉街だし、前回行ってなかったところだけ行こうと思っているのですぐに戻ってくることにだるだろう。

というわけで出発。ますや旅館の門を出て右を見ると、向こうに共同浴場がある
もう営業していないたまりや旅館。以前来た時はどうだったか記憶にないけど、ここにもう泊まる事ができないのは本当に惜しいある時までは日帰り入浴ができたようだけど
共同浴場を抜けるとすぐに温泉街は終わるけど、そのまままっすぐ行けば登山道になり、曲がれば薬師堂があるみたい
登山道にはさすがに行けないので薬師堂へ。温泉地といえば薬師如来です
ここからの眺めもいい。薬師堂は小さな社があるのみで挨拶だけ済ませて写真は撮り忘れてしまった
薬師堂を降りるとまた温泉街に出る。右側にあるのは共同浴場だ
そして共同浴場の裏手には和泉屋旅館が。ここが多分田沢温泉で一番新しい感じ・・・かな?
そして以前と変わらぬ足湯前ポストを通り抜け
共同浴場有乳湯(うちゆ)前に到着!

裏手を通った時に中から楽しそうな声が聞こえて来たけど、やっぱり駐車場にはいくつかの車+観光客っぽい人の姿も。
私が初めてここに入ったのは5、6年前の夏の朝一の時間帯だったけど、既に地元の人が何人かいる中、あまりの泡付きの良さ気持ちよさに驚いたのを覚えてる。色のある温泉でもないし、匂いも硫黄がふわっと香るくらいだったと思うけど、派手さのないところに逆に実力を感じるような湯だった記憶。今回ここに入るかはわからないけど、ますや旅館の湯はどんなもんかすんごい楽しみだ。

で、共同浴場から下ってきて温泉街入り口にある富士屋旅館がここ。ここの寝湯は凄くイイ
昔撮ったのと同じくらいの位置から。寂しげで鄙びている。これ最高である
じゃ、宿に戻ろうか、と思ったらますや旅館のすぐ脇にこんな道があったので気になって行ってみた
と思ったらここか。あの二階部分が私達が泊まってる部屋で、下には石碑?があった
じゃ、部屋に戻るかい。張り紙のdistanceだけが英語なのがイイ
相変わらず卓球温泉が流れ続けるロビー。静かで落ち着く空間

部屋に戻ってみるとドアが開かず、鍵がかかってるようだった。どうやらツゲもいい加減ダラダラするのはやめてどこかへ散策にでかけたらしい。外に出ていった・・・・可能性は低いから多分館内のどっかだろう。そう思って引き返すと、ちょうど例の間接照明が置かれた階段あたりでかちあったので、「じゃあ卓球しようぜ!」ということになり卓球場を探しに行くことに。ツゲによると浴場に行く途中にあるっぽいとのことだがどうだろか。

この昔っぽさ、廊下もいい味だしてます
ここにもサインがあるものの、濡れたような感じでもはや判別不能
なんか蔵っぽいけど・・・、もともと蔵があったところに廊下を通したのかしら?
分岐点に差し掛かる。浴場は右だけど、どうやらあの暗がりの先に卓球場があるようだ
温泉は卓球の後にだね
暗がりの先に階段があったので降りてみると、写真右の戸の向こうが卓球場だった!

建物全体が古いけど、この卓球場があるフロアはさらに古びた、というか昭和っぽい古さが広がるエリアとなっていた。かなりひっそりとしていて、肝試しなんかしたらかなり怖そうだ。

では、いざ卓球場へ!

入ると仄暗く怪しい雰囲気だった卓球場も、明かりをつけたらこの通り、古色蒼然とした正統派な卓球場だった。いやぁこんな感じの卓球場だったとは良い意味で予想を裏切られた!一番奥の卓球台なんてもう塗装もされてないただの木だもんね。どんだけ年季入ってるのよここは。

地元の子供が描いたポスターだろうか?こういうの好きです。でも今は卓球だ!

壁際に置かれている長椅子の上にラケットやらピンポン玉が置いてあるので好きなものを選んでいざ勝負!
私は小さい頃卓球をよくやっていたので多少は腕に覚えがある。そんな私が素人同然のツゲを右へ左へ翻弄するのが以前は楽しかったんだけど、彼も多少腕をあげたのかはたまた私が下手になったのか、特に圧倒することもできず私も良い運動をするハメになってしまった。
でもこれはこれでやっぱり楽しいなっ。ドタバタする度にガラス戸がビリビリと音を立てて振動してるのもボロい感じがして楽しい。
結局ハァハァ言いながら20分くらい卓球をして、お互い良い汗をかいたところで終了。「夕食食べたらまたやろうぜ!」「ヤンナイヨ..」なんて言いながら部屋を後にしたのだった。

温泉に行く前に広縁にて小休止。こんな休憩タイムすらも趣があってイイ。ツゲは「アツイアツイ」と言いながら浴衣に着替えていた

中と外の散策を経て卓球、そしてそこから満を持しての温泉だ。今日も一杯歩いたし、それにこの歴史ある宿での第一湯はさぞ気持ちがいいことでしょう!
そこでツゲに「俺は家族風呂に行くけどどうする?」と聞いてみたら「ジャアオレモ」とのことだったのでまずは家族風呂に決定。
しかしゲイだと思われるとか言いながら家族風呂についてくるとは、実はそう思われたいんじゃないのかこいつは。さっきもなんかニヤっとしてたし、怪しいやつだ。

というわけで二人共着替えなどを持って家族風呂へ。ロビーの家族風呂へ続く戸を開けるといきなり階段が現れた
下まで降りると脱衣所へのドアがすぐそこに

写真には写ってないんだけど実は左側にも家族風呂への入口があって、一度に二家族分入れるようになっている。
しかしこのフロア、上階の重厚な木造建築とは打って変わって古い民家のような親近感有る造りとなってるのがギャップがあってイイ。
ドア前の札は表裏で「今空いてます」「今入ってます」という旨の言葉が書かれてるので入ってるかどうかはすぐわかる。今は誰も入ってないようなので、札を裏にして脱衣所へ入ろう。

脱衣所の様子。古臭くていいよコレは

家族風呂だけあって必要最低限の広さといった感じの脱衣所。中はゴミやほこりが落ちていたりはしないものの、時を経た古さからくるボロさみたいなのはある。しかしながらしっかりドライヤーがあったりするのはありがたいし、レトロなデザインの体重計も穏やかな彩りを添えている。

しかし只今冬なこともあってこの脱衣所は結構寒い。これは今でこそまだ大丈夫だけど、温泉に入ってからはかなりキツそうだな。。こればかりはしょうがないけど、出る頃には意を決しないといかんだろう。

服を脱いだらすぐさま浴室へ!これはいいタイル風呂!

階段を下ったから地下かと思いきや実は地下じゃなかった家族風呂。
時間的に薄暗いのでライトをつけようと思ったら、故障しているのか全く点く気配がないので仕方なくこのまま入ることに。こんな環境でおっさん2人が狭めの浴室に入るとは、いよいよ本当に怪しい雰囲気になってきてしまった。

しかしこのフワッと香る硫黄臭はかつての記憶を思い起こさせる。ツゲも温泉らしい匂いを嗅いで「フムゥ」と嬉しそうだ。私はというと、あの有乳湯のように泡がたくさんつくつくのかどうか、期待を抱いて入ってみた。

かけ湯をしてみると案外ぬるく、入ってみるとちょっと温度が高めのぬる湯(わかりづらくてすいません)で、いい感じに長湯ができそうだ。
今日はそれなりに沢山歩いたから、二人して気持ちよさが「ウゥ〜」という唸り声となって表れた。ぬる湯だからじわじわと疲れが取れていく感じが中々にイイ!そしてそれを第三者的な目線で見ると、おっさんが横並びに体育座りっぽい入り方をして味わってるというのも味わいがあってイイ。友達とこうして入ることができるのはいいもんだ。

家族風呂なだけあって入れるのは頑張っても大人三人くらいだろうか。子供用のゾウさんジョーロがあるのも和む

こりゃあ天国ですな。。ただ私が期待していた有乳湯のような泡付きがほとんどないのは残念ではあったけど。でもこんだけ浴感がいいんだから細かいことはいいっこなし。
そんな中ツゲが「ナンカウイテルナァ…」なんて言うもんだから「そりゃゴミじゃないのかい?」なんて上の空で答えたけど、よくよく湯を見てみると結構な量の湯の花が舞っているのが見て取れた。薄暗いから全く見えてなかったけど、泡がつかない代わりに湯の花がその穴を埋めていてくれたようだ。有乳湯でもこんなに湯の花が舞ってたっけ?これはさすがの田沢温泉でござりますなッ。

その後スースーするシャンプーで頭を洗って寒くなったり、なぜかいきなり浴槽に熱い湯が流れ込んできたりして色々あったものの、ある程度満足したところで意を決してあがることにした(ぬる湯が気持ちよすぎて出たくない気持ちもあったけど)。

脱衣所に行くとやはり死ぬほど寒く、「ツゲ!これはイカンぞ!」と、まだぬる湯を楽しんでるツゲに警告だけはしておいて、私は拭く→着るの行程を過去一番の猛スピードで行わざるおえなかった。こりゃ自律神経にはあるいは良いかもしれんけど、なかなか辛いもんがありますよ。
その後出てきたツゲにいたっても、「キャッ」とか「ヒャッ」とか言いながら同じく高速で着替えてたし、やはり相当寒かったんだろう。でも友人と一緒ということで、辛さも笑いに変えられるのはありがたいことだ。

その後は部屋にて夕食待ち

夕食は女将さんによると18時半ごろで、只今の時間は17時半ごろ。入ろうと思えば大浴場の方にも行けるんだけど、部屋に戻ってきたらなんだかダラっとしちゃったのでそのまま夕食を待つことになった。ツゲは適当にスマホを操ったあと寝転び、私は地元のテレビを見始めて穏やかな良い時間が流れている。

ツゲが幸せそうに寝ている。道中酒を飲んで温泉に入ったらそりゃこうなる

夕食の時間になると電話が来るという話だったんだけど18時半になっても電話がなることはなく、「腹減った」と思いながら待っていると10分後にやっと報せのベルが鳴り、それが同時にツゲの目覚ましにもなった。
ツゲは寝ぼけ眼だが腹は十分に減っているようで、食堂に着く頃には眠気の残滓すら見て取ることができないくらい目がパチリとしていた。彼も夕食が楽しみだったんだろう。

食堂は案外狭く、それぞれのテーブルの間には屏風が立てられて互いが見えないようになっていて、私達は窓側の席だった。私達が一番最初に到着したみたいだけど、室内を見てみると1人でのお客さんもいるようだった。

室内はこんな感じ。この屏風の向こうには大学生くらいの若者四人組がやってきた。渋いチョイスをする若者たちだ

写真にもある通りツゲは何を見るでもなく真っ先にビールを注文し、私のコップにも一杯注いでくれてまずは乾杯。私はビールはそこまで好きというわけではないけど、キンキンに冷えたビールの一口二口目は確かにウマイと思う。

そしてそうこうしているうちに最初の品が到着。持ってきてくれた仲居さんはとても愛想がよくて、さらりと説明して去っていくので好印象だ。

コース形式ということはこれが前菜ということか。美味そうッ!

とりあえず写真ど真ん中下のうねっとしてる黒いものはドジョウのようで、私も相当久しぶりに食べる。さらにその左にあるすり鉢状の小鉢に入っているのは氷頭なます。氷頭とは鮭の鼻の軟骨のことだそうで、私も以前から気になっていたのでここで初めて口にできるのは嬉しいことである!
食べてみるとドジョウは甘露煮のようでやわうま、氷頭なますはさっぱりコリコリかつ旨味がしっかりしていてどちらも非常に良いお味。というか出てきているもの全てがウマイぞ。。ますや旅館の料理長、かなりの手練かと思われる。

そして次にきたのは茶碗蒸し。何やら色が濃いような気がするけど

「コレハ、カボチャ?」「ううむ」と濃い色味に一瞬考えを巡らせる私達だったけれども、考えてもしょうがないのですぐにぱくりといただくと、なんだかとっても濃厚な口当たり。これはカボチャにあらず、例えていうならもちのようなチーズが入った(?)ウマウマ茶碗蒸しだ。茶碗蒸しは時々あっと思うようなレシピのものを供されることがあるけどこれもまたその1つのようで、あっさりした前菜を食した後の胃に対して「これからメインを流し込んでいくぞ」というインパクトを与えるものとなっている(ように思う)。

ツゲもこれが相当気に入ったらしく、夢中で頬張っている

しかしこれからどんなウマイものがいつどれだけ出てくるのかわからないからコース形式というのは難しい。私なんかは好きなものは腹の調整をしつつなるべく最後の方に食べる人なので、次の料理が出てくるまでの待ち時間というのも厄介だ。どうせなら万全を期してメインの料理に挑みたい。だってメインの料理は

こんな美味そうな肉なんだから!ちなみにまだ火はついていない

そう、私はこの日をより良い日にしようと、信州産和牛のステーキを加えたプランで予約していたのだ!しかも正直「そんなおいしそうなプランだけど、肉はちょっとだけなんでしょ?」なんて思っていただけにこの量を見て驚いた。一瞬で「この肉はヤバい」と直感させる塊がゴロゴロと入っているではないか。これを腹6分7分くらいの頃合いで食べるのはマジで避けたい事態である。まぁ時間がたつことによってツゲの腹が満たされて、「コレアゲル」と肉を差し出されるというような素敵なストーリーも予想できなくもないが・・・、今はそんな卑しさは捨てて現実に美味しくいただく方法を考えるべきだろう。あと、この肉の下には「まぁーず」という味噌やら酒粕やらを混ぜた新開発の調味料が敷いてあるとのこと。余計に楽しみだぞこれは。

と、1人考えていると次の品がやってきた。コレは!?

仲居さんによるとこれは信州サーモン・馬刺し・鯉の三点盛りだという。偶然とはいえなんと素晴らしい、私の好きなものが揃った三点盛りが出てきたじゃないの!魚の刺身の中に馬刺しが入れ込まれているそのセンスがありがたいッ。鯉も川魚ではあるものの、海魚に負けない旨味噛みごたえでとても好きな品だ。ツゲはほとんど初めて鯉を口にしたようだけど、「ウメ!」と喜んでいるくらいにウマイの魚なのだ。私もさっきあれだけ肉を食べるタイミングについて考えていたのに、あまりに美味くてすぐになくなってしまった。

そうしている中ようやく信州牛の陶板焼に火がつけられ、次第に良い色になっていく

腹はまだまだ大丈夫。今なら肉を美味しくいただける。でもここで全部一気に食べるのは勿体ない。後に何切れか残すかどうするか・・・、と貧乏くさいことを考えている間にも肉に火が通っていってしまっているのに耐えきれず、レア好きな私は満を持して最高の状態の肉にかぶりつく。
その旨い肉汁と例のまぁーずの相性たるや抜群で、肉を味噌で食うにおいてこれ以上ウマイものがあるのかと思うくらいに深い味!噛むと大トロのように柔らかく、しかしサクンと切り離れる食感も肉の質の良さを物語っている。ツゲはもはや無言となっているくらいだ。この味わい、半端ではないッ。

そうした肉との語らいの合間にやっとご飯が登場!

ツゲに「これはすぐさまご飯が欲しくなる味ですね」なんて言っていると、その願いを神が聞き届けたかのようなタイミングでご飯が運ばれてきた。
御飯の上に乗ってるのは味噌のようだけど、あのまぁーずとは違うもんだろか。早速肉とともにご飯をくらいたいのをこらえてこの味噌とともにご飯を食べてみると、この味噌がまた非常に良い味でご飯と合うことこの上なし。あまりにウマイので「これかなり美味しいですね」と仲居さんに感想を言うと「ありがとうございます。このお味噌は自家製で〜〜」と色々説明してくれたけど、要するにますや旅館特製の美味しいお味噌だとのこと。もしこれがどこかで売ってるやつだったら確実に買ってたな。

そして次の品もやってくる。ここで焼き魚がくるかっ

ツゲが陶板焼に残ったまぁーずで「コレイイ!」とご飯を食べ始め、これも美味そうだと私も真似をして、ご飯を全て飲み込んだところでこのイワナの塩焼きが登場した(肉は最後までとっておくのは不可能だと判断して全部たいらげました)。

うん、これも美味い。美味いけどなんだか今までのものと比べると普通な感じに思える。でもここでちょっと落ち着いた味わいのものが出てくるのも全体の流れを考えての計算だろうか。インパクトが無い分落ち着いて食べられるのがなんかイイかも。骨も頭も食べられるように焼いてあるのも良いところです。
ちなみにツゲも全て丸々食べてたけど、普段釣りとかをしない人がこうして丸ごと食べてるのを見るとなんだか嬉しくなる私がいる。

その次にやってきたのはなんと鯉こくと味噌汁!もう終盤だろうに濃そうなものをもってくるとは

さすがにもうそろそろしたらお腹も一杯になるかもしれんと思っていたところでこの鯉こくがやってきた。もう見た感じでわかるくらい濃そうな一品なだけに、ご飯との相性に期待して少しだけおかわりをしてから戦いに挑む。ここで私は満腹を迎えるだろう。

持ってきてくれた仲居さんによるとこの鯉こくは鱗まで食べられるそうで、確かによく見なくても思いっきり鱗が入っている。鱗付きの鯉こくって初めてだ。
いや、鯉のうろこを揚げて食べる料理があるのは知ってるし食べたこともあるけど、煮ただけでも食べられるようになるもんなのか?まぁ見たところ相当煮込んであるっぽいし仲居さんも食べられるって言ってるからいけるんだろうけど、ツゲがちょっと眉をひそめてるその理由も少しわかる。

というわけで「でも美味そうだし」とパクっと一口いってみると、うろこは簡単に噛み切ることができて、その食感もなんだかちょっと独特な感じで面白ししかも美味い!身ももちろん良い味だし、しかも見た目ほど濃い味ではないのも良かった。これはご飯をおかわりして正解だった。
だがしかし難点が1つ。この鯉こくには山椒がかかってるんだけど、それがもう本格的な山椒なのでめっちゃくちゃ唇がピリピリする!でも美味いから食べる→またピリピリの繰り返しという罠になっているのが憎い。。こりゃ子供だったら結構苦しむかもしれませんな。

あと味噌汁はというとなんだかアラ汁のような出汁の効いた汁でこれも相当に美味い。なんとなく鯉のアラから出汁をとったものなんじゃないかと勝手に想像したけどどうだろうか。しかし何気ない味噌汁1つとってもこの美味さとは驚いた。

さて、それではラストを飾るのはこのデザートでございました!

鯉こくを食べ終わって「いや相当食べたね、じゃあ部屋に戻るかい」と席を立とうとしたところで仲居さんに呼び止められた。どうやら(というか当然か)これからデザートが出てきて本当のラストということで、これから持ってきますと言って出てきたのがこれだった。

うん、もちろん美味しい。美味しいけど、さすがにもう満腹で少々苦しいかなッ。まぁ全部食べたけど、これを食べたことによってもう夜食はいらないくらいに満腹になってしまった。これにてコース終了。全く、本当に美味しい夕食でございました。

そして休息へ。灯りがついた楼閣、風情に溢れております

部屋に戻ってツゲは炬燵、私は窓際。時間が経つにつれてどんどん腹が苦しくなってくる。
やぱりコースというのは慣れないせいか腹具合をどうにか調整するのが難しいな。待ち時間が一番の問題だ。最後時間を確認したらなんと2時間もたってたし、今はもう20時50分よ。これは個人的にはかなり長い食事時間だったと言える。もし1人旅で泊まってたら結構辛かったかもしれない。

とはいえあの料理群はかなり上質なものだった。以前泊まった山ばともかなり腕の立つ料理人が腕をふるったと思わせる出来だったけど、このますや旅館も負けず劣らずの品々だった。料理自体の満足度は非常に高いだけに、個人的には一長一短といった感じの夕食だった。ただツゲはというと「ナガイネ」と待ち時間に対して感想を漏らしていてはいたものの、酒をぐいぐい飲んでいて実際あんまり気にしてなさそうだったので・・・・、「まぁそれならそれでイイかっ」と結論づけた私だった。

腹が落ち着いたらメインイベントの大浴場へ。右に曲がると女風呂だ
ドライヤーやらなんやら沢山。扇風機があるのもありがたい
脱衣所には特にカゴとかはなくそのままぶちこむスタイル。そんなに広い脱衣所ではないけど清潔でいい感じ

夕食が終わってからそんなに時間がたってないから誰もいないかと思いきや既に先客がいるようだった(この後2回くらい入ったけど毎回同じ人が入っていて撮影できなかったので、後で翌日入った時のことを書くときに朝に撮った写真を載せます)。

大浴場に入ると、まぁ確かに大浴場ではあるんだけどそこまで広いというわけではなく、しかし内湯の向こうがガラス越しに露天になっているので一度にはそれなりの人数が入れそうかも。
浴場に入ると家族風呂と同様に硫黄の香りがぷ〜んと漂ってきて気分も上がるけど、湯の花はあまりみられないのは少し残念。でも浴槽が広いというだけで気持ち良いし、何よりここは源泉かけ流しだから湯の鮮度が悪いというわけじゃないので全く問題ない。
しかも露天は多少ぬる湯で風もあり相当に気持ちよく、さらに垣根ごしに見える木々が少しだけライトアップされているので風情もある。ただ露天にはいつも裸の大将っぽい見た目のお客さんが陣取っていたのでその風景を撮影できなかったのは残念だった。ただ私もツゲもまた、その見事な温泉と風景を目と肌で感じながら、何十分もそこを動けずにいるのだった。

部屋への帰り道に冷水が置いてあるサービスは個人的に大好き。もちろんおいしかった
そしてまた休息へ。結構汗をかいたっぽくて腹も落ち着いてきた
なんか部屋にあったメニュー表を発見した

ツゲとテレビを見ながら今日の思い出を語り合っていたところこんなメニュー表を発見。もしこれをもっと早く見つけていたら色々注文したかもしれないな。蜂の子やらいなごやら長野らしいものが並ぶ中で竹酒は個人的にかなり飲んでみたかった。ものの話によるとかなり美味しいらしいしあまり店とかでもみたことがないので経験してみたかったけど残念だ。食べ物に関しては・・・、今はもう食べたいと思う気持ちはないかな、腹具合的に。

しかし食事と温泉を楽しんだ後のこのなんでもない時間は、特に今回は友人がいるだけに話しに花が咲きつつダラっとしていて、なんとも居心地が良い時間だ。
千曲川のスケッチでは「夜に障子を明るくして浴客が議論している声が聞こえた」とか「川の音が聞こえて眠れない」とかそんなことを書いていたけど、それから100年以上たった今では明かりこそ漏れているものの、音は部屋にこもってテレビや会話、あるいはスマホからの音が広がっているといった感じか。
かつては自然の音とにぎやかな宿泊客の会話なんかが夜の宿を彩っていたんだろうか。私もそんな時代の肉感のある空気を味わってみたいもんだけどもうそれはかなわない。今は代わりに、そんな宿の記憶を想像して楽しむしかできないけど、ただそれもそれで今の時代での楽しみ方でもあり、ここで今こうして友人となんとなく喋っている時間も、宿の歴史にほんのちょっとでも加わることができたようで結構楽しい私なのである。特に酒が入って気持ちよさそうにしてる友人となら尚更だ。ただダラダラ話していても、それはそれで風情を感じることができるのがこういう宿の良さなのだと思う。

その後しばらくしたら入っていなかった家族風呂へ。今日はこれで最後の入浴かな

ツゲを誘ったらさすがにもう入る気はなかったようで1人で家族風呂に行くことに。さっきと同様誰も入ってなかったので貸し切り状態だ。

おお、こっちはちょっと広いのか

最初に入った方よりもちょっと広くて設備もちょっとグレードアップ。洗面所とヒーターもあって、さらに子供を意識したマットもプラス!

ドライヤーもある。盗難予防かコンセントがガムテープで固定されてるけどこれはこれで危ない気が
こっちにはこんな注意書きも

こっちの温泉は一番古い源泉一号で成分が強いから必ずドアを閉めて、と書いてある。
たしかに硫黄泉は電化製品やら金属やら色々とだめにすると各地で実感してきたけど、田沢温泉の湯もそんなに強い成分を含んでいるとはちょっと意外だ。結構優しい印象だったけど、文字通りあくまで源泉一号だけだと成分が強いって事なんだろな。

なのでそこらへん十分注意しながらいざ浴場へ!

おお、ここもまた中に入れば硫黄の香り。浴槽は向こうと同じくらいだけど、浴場の広さはこっちが少し広いか。何より明かりが点くのがイイね!

湯ももちろんいい温度のぬる湯に沢山の湯の花。やはり気分的には大浴場よりもこちらのほうがなんだかいい湯な気がする(貸し切りだし浴槽小さいし)。家族連れが多く泊まってたりする時は私のように1人で長時間入るのは気がひけるけど、今のように宿泊客を抑えてるような時ならあまり気にしないで入れるからいいね。なんだかんだ30分以上は浸かりっぱなしでした。

そして戻ってきたら1人晩酌の時間!

戻ってくるとツゲはもうすっかりだらけきっていて酒すら飲まないような状態でテレビを見ていたので1人で晩酌!
とりあえず写真にあるのは左からお土産屋さんで買ったりんごチューハイのシナノリップと、酒造で買った綺麗なぐい呑、そして味噌屋で買った寒仕込みだ。さすがに今ぐい呑は使わないけど、家で少しだけ酒を飲むような時は結構使えそうだ。水色もキレイで気に入ってます。

では、シナノリップとモツ煮をいただく!

正直モツ煮なんて食べなくても全く問題ない腹具合なんだけど、買ってしまったからには食べないとイカン。少しでも温めようと炬燵の中に入れといたけど、全く温まらなかったのでぬるいままいただく!

さてまずシナノリップはというと、飲んだら確かにふんわりとりんごの風味で口当たりも軽く飲みやすい。十分にぬる湯に浸かっていたおかげか、一口はなかなかに美味いッ。
モツ煮もぬるいけど普通に美味しい。こっちも薄味で今の腹具合には丁度いいかも。別所温泉に泊まることがあったらあの商店はまあ利用するだろうなこれは。

そうしてパクパク食べているとあっという間に酒もモツ煮もなくなり再び満腹状態へ。ツゲはそんな私を見るでもなく「オイシイ?」と聞いてくるくらいだったけど、奴は自分が買ったワカサギの唐揚げを食べる余裕はもはや無いらしい。家まで持って返って食べるとか言ってたけど、本気なんだかどうなんだか。
しかし、寝る前にこんなに腹が膨れてはすぐには寝られないかもなぁ。

晩酌後2人でちょっとばかしテレビを見たら「モウネル」と布団に入っていくツゲ

ツゲは久しぶりに沢山歩いたせいか足が痛くなってきていたようで、それを癒やすためにももう寝ることにしたらしい(というか普通に眠かったからだと思うけど)。私はというとまだそんなに眠くないけど明かりをつけるのもかわいそうなので、1人炬燵で動画でも見てから寝ようかな。

ほいじゃ、良い夢を


そしてすぐに翌日!

結局動画を見てたら炬燵で眠ってしまい、途中起きてから布団で眠った私(布団はむちゃくちゃフカフカだった)。起きてみたら時刻は6時半だった。

朝は山裾まで広がる霧が周囲を覆う、これぞ山あいの温泉街といったような風雅な眺め。旅館もまた情緒的だ。寝ぼけ眼にはこの曖昧な美しさが目に優しい。これは、1人贅沢に楽しませてもらおうかッ。

なんだかんだ7時頃まで広縁に座ってた。霧も徐々に上がっていっている

う〜む、朝からいきなり良い時間で寝起きにボーッとするには丁度いい。景色を見ながら温かいお茶を飲むのも穏やかな時間にマッチしていて素敵である。世の中にはこんな時間も存在してるんだよなぁ。

なんて思っているとここでようやくツゲがガサゴソと起きてきた。鬼熊とかは目覚めてもすぐには起きてこないけど、ツゲは意外とスッと起きてくる。
「ン~ム」とか言いながらフラリと歩いてくるツゲにお茶を入れてやり、外は良い景色になってるよと教えてやると、「オ~」と覇気のない声で感嘆しているようだった。

私は朝食前にもうそろそろ温泉に行こうと思っていたのでツゲを誘ってみると意外にもついてくるようだったので、二人して朝の湯浴みに出かけたのだった。

というわけで朝一(?)の大浴場!ちなみに写真は後になって撮ったものです

大浴場に入ると温かい湯気がモアっと体を包んでくれる。部屋も廊下も寒かったから朝の湯が相当に楽しみだ。
本当なら体なんて洗わずに、冷たい体のままいきなり温泉に飛び込みたいところだけども、それもよろしくないのでささっと体を洗って、ゆったり洗っているツゲを残していざ露天風呂へと向かう。

これがますや旅館の露天風呂!竹垣に岩風呂、良い組み合わせです
昨夜はあの木々がライトアップされていました

もうぬるいことはわかっているので歩く勢いそのままにザンブと露天に浸かる私。
ああイイ温度。。寝てダレきった肌と体が徐々にうるおいを得てシャキっとしてくるのがわかる。朝風呂はこれが気持ちいから大好きだ。寒い風さえも肌によさそうな気がしてくる。できれば夜中も入りたかったけど、どこに泊まってもそれだけはなかなか出来ないんだよね。

そうしていると体を洗い終えたツゲが露天にやってきた。
私の横に来ると彼も「オウ~」と気持ち良さげな顔をしていたけど、同時に何やらほんのりと香る良い匂い。私が「なんか匂いがするな」と言うと、彼はハッとした顔をして「リンスオトスノ、ワスレテタ。。」と言って再びいそいそと内湯に戻っていった。そんなミスをする奴を初めて見たが・・・、まだ頭が半分眠ってたんだろう。なんだかツゲっぽくて笑ってしまった。

体も十分温まったところで部屋に戻ろう。めちゃくちゃイイ湯でした
部屋に戻ると眠くなるな〜

私は朝とか夕の薄暗さが好きなのでそのまま電気をつけずに朝食を待つ。朝食は8時過ぎくらいにまた電話がくる予定なのであと20分くらいかな。それまではゆっくりするか。

しかし甘い飲み物を飲みたくなったので自販機でカルピスを買い
ベランダでいただく!

温泉に入ったばっかだから外の寒さがむしろ気持ち良い。更にベランダからの景色もやんわり霧がかっていて心にしみる趣アリ。朝はやっぱ色んな意味で早く起きるべきだねッ。毎朝こんな暮らしがしたいもんです。

その後ロビーのロッキングチェアーでゆっくりしたりして
8時過ぎに電話がなったので食堂へ!

ツゲはもう一眠りしそうだったけど、その前に電話がなったので朝食へ向かうことに。
食堂に行くと今度は私達が一番最後だったものの、朝なので皆比較的静かに食事をとっていた。
席につくと料理長だと思われるおじさんがメニューについてちょこっと説明してくれた。ど真ん中の小鉢にぽつんと入っているのはしょうゆ豆で、他に小鮎の佃煮やめかぶなど。更に後でもう一品出てくるとのこと。全く、朝から美味そうなものをだしてくるぜ!

まずしょうゆ豆をいただく。多分初めて食べるけど・・・この味はまさに醤油そのものッ。もうしょうゆの塊と言ってもいいくらいだけどしょっぱかったりすることもなく食べやすい。でもあんまり沢山は食べられそうにないからこの小鉢の量は正解かも。
次にめかぶを食べてみると、これにはわさびが入っているようで辛さは多少あるけども、シンプルながらかなりの旨味が感じられる一品。これはかなりウマイぞ!朝にもご飯にもぴったりで、こっちは逆にもっと欲しいくらいだ。ツゲも「コレイイ!」と言いながらすぐさま食べきってしまった。やはりますや旅館、朝食もぬかり無しですね。

そうしているとさっき言っていたもう一品がやってきた!

こういうのは陶板鍋とでも言うんだろうか。色んなところで出てくる品だけど、ますや旅館のはきのこや野菜がたっぷり入ってこれもまた朝に良さそうだ。
一口食べると味こそ薄味なものの、物足りなさを感じることのない醤油ベースの汁(多分)でどんどん箸が進む。ご飯ももう残りわずかだけど、さきほどから何度も仲居さんが「おかわりはいかがですか?」と聞いてくれるので足りなくなったらいただこう。ツゲはもう2杯目を食べてるけど。

こういうのもあるので結局少しだけおかわりした

こういうその宿の名前とかが書かれてる海苔とかふりかけに弱い私。こういうところでこだわりが見えてくるからなんか嬉しい存在だ。このふりかけもまた美味いし、ツゲと喋ったりしながらゆっくり食べてもちろん完食いたしました。ツゲは結局ご飯3杯食べてご満悦。全体的に平和な味で、大変美味しゅうございました。

部屋に戻るとツゲは真っ先に布団に飛び込んだし、チェックアウトギリギリまで各々自由に過ごそうか

時間は9時前で、寝るにしては短い時間だから今横になると確実に辛くなるとふんだ私はテレビを見たり色々して過ごそうと決めた。前もどっかで書いたけど、チェックアウトが11時とかだったらもっと幸せだろうにといつも思う。特にこういう次の宿に向かう必要がない旅行の時は尚更だ。

日差しが気持ち良いのでベランダへ。久々にパノラマ写真撮ってみた

霧もすっかり晴れての眺望も素晴らしい。ここにロビーにあったロッキングチェアーがあったら最高だろうなぁ。しかし、都会と違って今の時間でも車の音がほとんど無いっていうのは、本当に生活環境の違いが違っていて妙に癒やされる。でももう少しでおさらばかと思うと寂しいぜ。

なんとなくトイレを。58号室とは私達の部屋のことです
部屋に戻って一枚。この角がなんか好き
コーヒーを頼んだりできるようだけど結局頼むことはなかった。それは次回かな
部屋からでも向こうの山が良く見える。良い温泉地だよここは

そんなことをしているともうチェックアウトギリギリの時間。結局私も最後は炬燵に入って眠くなってしまったけど、仕方ないからツゲを起こして荷物をまとめはじめる。昨日は色々見て回ったりしたけど、こうして片付けをしていると本当に時間が経つのは早い。以前私の友人が「一泊二日は旅行とはいえない」と言っていたけど、その気持もわかる。色んなことを見て感じるには一泊じゃ短すぎるぜ。
ここはまた泊まりたいけど、例のごとく次はいつになるのか全くわからないから名残惜しいぜ。

まだ荷物の整理は終わってないけど、とりあえず一晩お世話になりました!

あらかた片付け終わったところで、チェックアウト時刻丁度くらいにロビーに行くと精算中のお客さんが一組。これまで見たことがないカップルだったけど、どうやら藤村の間に泊まっていたようだ。となると、そこに泊まったら食事は部屋食になるのかしら。私達が泊まっていたのとは別棟にあるみたいだから、次来るなら藤村の間に泊まりたいな。

待っている間もすっかりだらけきっているツゲ。しっかりワカサギも持ってきている

カップルが帰っていくとすぐに私達の番。精算はすぐに終わり、しっかりクーポン券をいただいている間に若旦那風の人が車を用意してくれるとのこと。実は昨日迎えに来てもらった車内で、明日も必要であれば送ってくれるということだったのでお願いしておいたのだ。なんとも親切なますや旅館である。

精算後、女将さん(おばあちゃんの方)と話していると、ここいらでは大法寺という古刹が有名だから行ってみるといいと言われて、またまた親切なことにパンフレットをいただいてしまった。どうやら三重塔が有名みたいで、なんとなく「昔別所温泉で見たあれか?」と思ったけど場所的に違うらしい。これは行ってみるのが良さそうだ。

よし、じゃあ出発するか!
最後に玄関とおばあちゃん。一晩どうもありがとう!

おばあちゃんは車が出るまで外で見送ってくれた。素朴で愛想の良いおばあちゃんやおじいちゃんに見送られるのは、昔田舎から帰るときのことを思い出してなんだか嬉しいような寂しいような複雑な感じ。だからこういう宿はまた来たくなるんだろうな。いくら建物や歴史が素晴らしくても、人が悪くてはまた行こうとは思わないしね。

そんなおばあちゃんにしっかり別れを告げ車は発進した。
送りはあの青木バスターミナルまでと思ってたんだけど、車内で若旦那と話していて「これからどこかに寄られるんですか?」と聞かれたので、「おばあちゃんに教えてもらった大法寺っていうお寺に行ってみようと思います」と返すと、なんと若旦那のご厚意でそこまで送ってくれることになった。大して遠くないとはいえそこまで親切にしてくれるとは、本当に良い宿ですなますや旅館は。ありがたくご厚意に甘えさせていただきます。

そんなわけで田沢温泉を後にして、青木村、上田市でいくつか寄り道をしてから新幹線に乗り込み、無事に自宅に到着して今回の旅行はおしまいとなったのだった。新幹線に乗り、ローカル線を使って現地を歩いて見て回る、スローな楽しさを発見した良い旅行となりました。
(田沢温泉を後にしてからの話は、この記事でまとめようとするとまたものすごく長くなりそうなので、おまけとして後日投稿しようと思います。興味がある方はそちらもどうぞ。)


 

※ 憧れのますや旅館、その建築や宿の方々の雰囲気、そして料理や温泉、どれをとっても満足度の高い宿でした。田沢温泉自体が山裾にポツンとある非常に小さな温泉街なだけに喧騒もなくゆったりと過ごすことができ、それに加えて木造の歴史ある温泉宿で卓球もできるもんだから風情は抜群でした。記事内でも書きましたが、変に現代的なリノベーションや家具類の統一がされてなかったところも個人的に好きなところです。
ただし温泉街に商店は一切ないので、必要なものは事前に買っていったほうがいいと思います。まぁ車とかで行く場合はちょっと行ったところに道の駅や商店もあるので大して不便では無いと思いますが。
というわけでこんかいのますや旅館、有名所なだけある素敵な宿でございました。長野旅行の際はぜひ一泊されると良い思い出になると思います。

田沢温泉 ますや旅館 : 一泊二食付き (GoToトラベル利用で約)13000円(税込) 通常(約)19500円
公式サイト

タイトルとURLをコピーしました