[長野] 江戸時代創業の風格ある老舗温泉旅館 角間温泉/ようだや旅館 [山ノ内町]

長野

夏休み佐渡の旅7日目です。 [6日目] [8日目]

宿に着いたところから読みたい方はこちら

この日も天気は晴れ。末広荘を出発後、まだ出港まで時間があるので最後にもう一度たらい舟に乗ろうと乗り場まで向かいました。乗り場には平日にも関わらず観光客が数組と、遠足で来たと思われる子供達の集団がいたので元気良く挨拶した後たらい舟乗り場へ。

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入江に続くこの短い道がとても良い。

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中央の島が矢島

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次はいつここに来ることができるのかと思うと寂しくなったのを覚えています

受付に行くと「あら、今日はお一人なんですか?」と私の事を覚えていてくれたようです。お金を払って外に出るとやはりスピーカーから民謡が流れてきたので、まっすぐ桟橋へ。すぐに漕ぎ手のおばちゃんが来て乗船しました。

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乗り場側

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昨日とは違うおばちゃんでした

晴れていたのでこの日も最高のたらい舟日和。観光客がガンガンこっちを見てきますが気にせず楽しみます。この時は前回のように色々と解説してくれるおばちゃんではありませんでしたが、雑談していた流れから「昨日はすぐそこの末広荘ってとこに泊まったんですよ」というと「ああ、誰か泊まってるなーと思ってたけど、兄ちゃんが泊まってたんだね。」「ここらへんの人は皆家族みたいなもんだからね、誰か泊まってたらすぐわかるよ」と言っていましたが、さすが小さい集落ということもあって情報は筒抜けのようです。まぁ客室に灯りがついていたらすぐわかるよね、なんて思いながらたらい舟を楽しみました。

佐渡最後のたらい舟に乗った後、少々名残惜しく感じながらも矢島を出発し、その辺をフラフラと散策した後小木港へ。結構いい感じの時間になってしまったので急いで券を買って、お土産に佐渡バター飴を買ってから乗船しました。

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フェリー乗り場にはお土産屋もあるので、ここでもある程度は買えます

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乗船待ち。前には一人旅らしい若者がいました

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原付を降りて船内へ

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船内

行きとは違って帰りのフェリーは全席イス席。雑魚寝スペースやイベント広場、更には甲板に出られる場所もないので少々退屈でしたが、船内から遠ざかっていく佐渡を見るのはなんとも言えない気持ちでした。友人と過ごした佐渡の旅を思い出しながら少々感傷的になりながらも、とても楽しかった初の佐渡は最高の思い出の一つとなりました。また絶対に来たい場所が一つ増えました。

そんな事を考えながらこの日の目的地である渋温泉までのルートを確認したり寝てたりしたら割とすぐに本土に到着。原付にまたがり、到着した直江津港に降り立つと外は曇りでした。天気予報で曇りだということはわかっていたので特に気にもせず調べた通りのルートで行こうとしたところ、ここで問題発生。渋温泉まで行くのに最短で行けるルートのはずであった道が自動車道であったため、当然のことながら原付は進入禁止。佐渡に行く時に悩まされた自動車道問題に再びぶつかってしまいました。

少々苛立ちながらグーグルマップで別の道を探そうと試みるも、今度はアプリの調子が悪いのかマップが立ち上がらず苛立ちに加え焦りも出てきてしまいました。時間も午後2時すぎだったのでのんびりしていると宿の夕食の時間に間に合いません。
とりあえず標識を見ながら渋温泉に向かっているであろうルートを走るのですが、どうにもよくわからず近くにあったコンビニで道を聞いたりしてもやっぱりわかりません。時間が経ってもマップは表示されないので、これならどだと再起動してみたところやっとマップが表示されたので、ここでようやくルートを確認して渋温泉へと向かうことができました。

マップの有り難さを噛み締めながら見つけ出したルートを行きましたが、このルートは謎の山を越えなければならないルートだったので急がねば宿に到着するのがかなり遅れてしまいそうでした。とにかく休みなく走っていたら雪だるま高原なる場所に来たので、少し休憩です。

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雪だるまが町のあちこちにいました

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物産館

物産館の中を散策するも、特にめぼしいものがなかったので外にあったテーブル席で休憩した後出発。中々景観もよく、綺麗で釣りがしやすそうな川もあったので夏に来たらそれなりに楽しめそうでしたが、この時は急いでいたので寄り道もせずに進みます。

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リフト

時期外れのためか全然人がいない雪だるま高原。温泉などもあって時間があれば入りたかったのですが、残念ながらそうも言ってられません。ただただ渋温泉に一刻も早く着くことだけを願いながら進むとリフト乗り場があり、ここから先が本格的な山道への入り口でした。
リフト乗り場を少し進むとすぐに道は細くなり、カーブも多く坂も急になってきたのでちょっとドキドキし始める私。こういった車通りもほとんどない寂しい山を越えなければならない時はいつもかなり不安な気持ちになります。これが排気量の大きなバイクならいいのでしょうが、私が乗っているのは力の弱い原付。今まで山道でエンストしたりパンクしたりしたことはないものの、やはり「ここで原付がぶっ壊れたらヤバイぞ・・・」と不安な気持ちのまま走らざる終えません。しかも天気が悪かったため途中から濃い霧が辺りに充満しだし、さらに路面も濡れてきていたので不安感も加速する一方。それでも走る他道はないので、自動車道の存在を憎みながら走り続けました。

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山道の入り口らへん

結構な時間走るとようやく道も坂道になったので「ヨッシャーー!」と一人叫びながら山を降り続け、無事に市街地にでることができました。あとはとにかく渋温泉を目指すのみ。途中またもや自動車道に出くわしイラつきながらも、なんとか6時前に温泉に到着しました。

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ようやく到着。この時の安堵感たるや計り知れないものがありました

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川沿いに並ぶ温泉街

少々道に迷いながらも、目的地である角間温泉に向かいます。渋温泉の温泉街の川向こう、山に向かう道の途中にある住宅街の中に、ポツンと時がとまったかのように角間温泉は存在していました。

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ほぼこの一角のみと言っていい角間温泉の温泉街(?)です

普通の田舎道を登っていくと急に風格ある木造の宿が現れるのですぐにわかりました。以前はもっと宿があったりしたのかはわかりませんが、この日常の中に溶け込んだ非日常のような光景は中々面白い。この日泊まるようだや旅館の見事な建築に嬉しさがこみ上げましたが、とりあえず時間もないので原付を旅館の専用駐車場に止めて宿へ向かいました。

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この密度がたまらない

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ようだや旅館と越後屋旅館

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ようだや旅館の目の前にある共同浴場「大湯」

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立派な三階建です

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ちょっと薄暗いロビー

旅館に入ると節電でもしているのか、館内はちょっと暗め。誰もいないのかしらんと思いながら声をかけると、奥から品のある女将さんが出てきてくれました。到着が遅くなってしまったことを謝ると逆に労いの言葉をかけてくれたりして優しい女将さんは、すぐに部屋へと案内してくれました。

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部屋!

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やっぱり和室は良い!

部屋に案内してくれた後は、浴場への行き方や夕食の時間を教えてくれた後「では温泉に入られてからお食事にいたしましょう」という提案により、夕食の時間を少し遅らせて温泉に入らせて貰えることになりました。

女将さんが去ってからは小休憩。あの厳しい山越えを思い出したりしながら完全に一息ついた後、恒例のアメニティチェックもしました。

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アメニティ。この他浴衣やバスタオルもちゃんとあり、部屋には小さな冷蔵庫もありました。ちなみに部屋にはクーラーはありませんが扇風機はあります

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窓の外には

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共同浴場が見下ろせます

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眺めもよし!

こういった趣ある木造旅館の窓から外を眺めるというのはなんとも気持ちが良いものです。しかも窓の下には共同浴場があって、そこから入浴している人の声や桶の音なんかも聞こえてくる。小さな小さな温泉地ですが、その風情は本物です。

そうした後、少し急ぎ気味に着替えと浴衣を持って浴場へ。ようだや館内はちょっと入り組んだ作りになっていて、館内のそこここに凝った意匠が施されているのを見ることができました。歴史ある旅館はやはり一味違います。

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私が泊まった部屋から廊下の様子

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ちょっとした料亭のような雰囲気

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その壁の反対側の階段。ここを降りるとロビーです

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少し歩くとこんな場所に出て

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中庭もありました。ちょっと工事中っぽい所もありますが、立派です

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中庭に面した廊下を行くと階段があります。ちなみに右の引き戸は開きませんでした

この廊下を下ると浴場へ続く廊下があるので、すぐに到着しました。

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この薄暗さ、良いですね

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注意事項

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温泉分析表。読めませんが

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脱衣所

何度も言ってる通り館内は薄暗いですが、ちゃんと清掃は行き届いてるようで綺麗にしてあります。脱衣所ももちろん綺麗で、扇風機やドライヤーもちゃんとあるのでなんの問題もありません。早々に「ここは良い宿である」と結論をだしながら、疲れた体をさっさと癒したいのですぐに風呂場へ向かいました。

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これがようだやの温泉!

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浴槽の規模の割にシャワーは一つ!

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飲泉も可!

浴槽は湯宿温泉に泊まった時のように円形の浴槽で、さらに湯かき棒も同じように置いてありました。更には水投入用のホースもあるので、湯本館の姉妹旅館のような雰囲気の浴場です。しかしシャワーは一つしかないので、宿泊客が複数入っている時なんかは少し不便かもしれません。ソープ類はちゃんと揃っていました。

この日宿泊しているのは私の他は1名のみっぽかったので当然のごとく貸切風呂状態で入れました。この旅行中ほとんどの温泉を貸切状態で入れているので本当に嬉しい限り。そんな中ワクワクしながら入ってみると、風呂の様子は湯本館のようではあるのですが温泉自体の温度は入りやすい温度だったので、湯かき棒も特に使うこともなくはいることができました。入った瞬間体に悪寒にも似たブルブルっとした感覚を覚えた後、あまりの気持ちよさに「フイ〜ィ」と声が出るのはもう止めようがありません。辛い山道を越えてわざわざやってきた甲斐を全身に受けながらの入浴です。
温泉自体は全くの無臭ですが、飲んでみると若干何かの味がするような。しかし角間温泉の湯は皮膚病などに特に効果があるということもあってか、いかにも肌によさそうな染み込むような浴感にすっかり満足してしまいました。窓を開けると涼しい風が入ってくるので、温まった体を風で冷やしたりしながら何度も湯に浸かって疲れを癒しました。

温泉からあがって部屋から道を見下ろすと、住民の人たちが着替えなんかを持って大湯に入っていくのが見えました。中からは楽しそうな話し声や湯をかける音。まさに住民の生活に密着した温泉は、皆の憩いの場になっているようでそれがとても羨ましくもあり、心和む光景でもありました。そんな中こういう所で育った人たちに色んな話を聞いてみたいと思いながら少し涼んでいると、仲居さんが夕食を運んできてくれました。やはり食事は旅館ということで部屋食です。

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夕食

全体的に十分な量の夕食ですが、この日はちゃんとした昼食もとらずにここまで来たので少し足りない感じ。味はそれぞれ美味しいのですが、特に「これはうまい!」という程のもものはなかったです。でも温かいものはちゃんと温かいまま出てきていたので、腹が減っていた私としては特に問題ありませんでした。

食後は腹ごなしもかねて渋温泉の温泉街散策へ。原付で行けばすぐに到着するのでそこは問題ないのですが、できれば浴衣姿で行きたかった。なんてことを考えながら山を越え川を越えて到着です。

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温泉街到着。いきなり温泉街の風情全開です

川沿いにあった観光案内所らしき建物の前あたりに駐車していざ温泉街へ。温泉街は川沿いの道から一歩中に入ると素晴らしい風情と共に存在していました。
まず最初に、というか一軒だけ行きたいと思っていたお店があったのでマップを頼りに歩きます。お店は路地に入ったらすぐにありました。

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それはここ、小古井菓子店

事前の調べでこのお店で売っている「うずまきパン」なる菓子パンがやたら美味いという情報を得ていたのでそれを買いに来たのです。閉店間際っぽい感じでしたが、ちゃんとうずまきパンが売っていたのでひとまず安心。他にも美味しそうなパンやらお菓子やらが売っていたのですが、沢山は買えないのでうずまきパン2つを購入。1つはその場で、もう一つは夜食用です。

レジに持っていくと、色々と説明してくれた後「レンジで温めると美味しいですよ」ということだったのでレンジで温めてもらい、片方は温めずに持ち帰り。店を出て石畳を歩きながらホカホカのうずまきパンを食べましたが、確かに評判通りかなり美味しい菓子パンです。中に入っているバターと、うずを巻いているカスタードクリームがトロトロに温まっているので、口の中で適度に甘く柔らかいパンの味が優しく広がります。これは美味い。評判に偽りなしの絶品菓子パンでした。

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部屋に戻ってから撮ったうずまきパン

パンがあまりにも美味かったためすぐにたいらげてしまった私は、そのまま渋温泉散策を続けました。温泉街は素敵な路地が多く、建物も木造のどっしりとした造りのものが立ち並んでいるので浴衣姿で歩いている宿泊客の姿がとても絵になります。こんなところに友達や彼女なんかと来たら凄く良い思い出になるだろうな、なんて思ったりもしましたが、一人というのもそれはそれでしっかりと街の空気を全身で感じることができるので良いものです。

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街中にいくつもある共同浴場。渋温泉に泊まっている人のみが入ることができますが、大湯だけは外来者も入ることができるようです。

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共同浴場もそれぞれ違った姿で建造されています

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中にはどんな温泉が待っているのか

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男のフォントがなんかオシャレ

共同浴場の温泉はそれぞれ源泉や効能が違うようです。そんなに沢山の種類の湯が湧いてる渋温泉、ひいては長野県というものはやはり温泉大国の名にふさわしい土地のようです。

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こんな建物の窓際から一日中道を眺めていたいものです

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何か物語が始まりそうな路地がそこかしこにあります

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温泉街を歩いていると足湯がいくつかあり、それぞれちゃんと足拭き用のタオルがかけてあったりするところに渋温泉という観光地の意気込みを感じます。おじさんが酒を飲みながら足湯に浸かってたりするのがそこはかとなく風情を醸し出していました。
そんな足湯にも(人が結構いたため)浸かることはなく、そのままフラフラと石畳を歩きます。

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昭和レトロな看板も似合う温泉街

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温泉街にある神社の参道から。下には足湯アリ

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射的があるのが正しい温泉街の姿。帰りにはちゃんと人がいました

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渋い旅館が立ち並んでいる姿は壮観です。そんな中でも

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この金具屋斉月楼だけは格が違いました

金具屋は千と千尋の湯屋のモデルになったのでは、と言われている4階建ての木造旅館。金具屋前にあった看板によると、全国各地の名建築を参考にして作り上げた非常に独創的な建造物とありましたが、これは確かに素晴らしい木造建築でした。周りにある旅館群も歴史がありそうな立派な建物ですが、金具屋の重厚かつ風流な外観は、周りとは一線を画しているのがすぐにわかります。宿泊料もやはりそれに見合った値段なわけですが、中から結構人が出てくるのを見るとそれでも宿泊客は引っ切り無しなんでしょうね。私もここぞと言う時はぜひ金具屋に泊まってみたいです。できれば4階に。

金具屋にひとしきり感心した後しばらく散歩を続けているとラーメン屋を発見。腹も満腹ではなかったので温泉街のラーメンを食べてみようと入店しました。

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ラーメン徳味

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店内

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店長のおじさんはとても愛想が良く、後から来た地元の青年たちともとても中が良さそうでビールも勝手に注がせたりしていました。ワイワイと青年たちが盛り上がる中、私は普通のラーメンを注文。味はあっさりとした醤油味で、客観的に見たら特に美味いということもないのですが、温泉街で食べているという雰囲気補正が加わってそれなりに美味しかったです。確か600円ちょっとくらいだったかな。ラーメンを食べてからは満腹になったので宿の方へと戻りました。

宿へ戻ると後は共同浴場巡りが残るのみ。それには浴場に入るための鍵が必要なので、女将さんに使い方を教えてもらって浴衣姿で向かいました。

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かわいい鍵。この木鍵を鍵穴に入れるとロックが外れて入れるというシステムでした

角間温泉の共同浴場は「大湯」「滝の湯」「新田の湯」の3つからなり、角間温泉に宿泊していればそれぞれの旅館で鍵を貸してもらって無料で入ることができます。外来の場合は、大湯の前にある黒島商店というお店で鍵を借りれば(300円)それぞれの湯に入ることができるようです。

私はまずようだや前の大湯から少し下ったところにある滝の湯へ向かいました。ちなみに暗かったため浴場の外観は撮っていません。

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湯宿温泉と同じく、脱衣所と浴場が一体となった造り

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棚もなかなか綺麗です

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ドア側。細かく仕切られた窓がなんかイイ

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結構な高さから落ちてきている打たせ湯もあります

滝の湯はその名の通り細い滝のような打たせ湯のある造りで、中々凝った造り。湯も適温でとても入りやすかったのですが、打たせ湯の温度はそれなりに熱いのであまり打たれることができませんでした。温泉自体はやはりようだやのものと同じく無味無臭ですが、肌によく馴染むような浴感はやはり良かったです。内部はせまいですが、天井は高いので開放感があって気持ち良く浸かれました。

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全く気持ちがヨイ。地元の人たちはここで雑談したりしながらのんびりと温泉を楽しむのでしょうね

10分ほど滝の湯を楽しんだらお次は滝の湯から更に下の方にある新田の湯へ。ここは外観こそ古い木造といった感じだが、あまり浴場といった感じではないので油断していたら通り過ぎてしまうかもしれません。
ここも木鍵でロックを開けて中へ。

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脱衣所。なんとなく好き

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無骨な造りがまた非常によろしい

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高い天井。そして古い木製の分析表。この分析表はそれぞれの浴場にありました。

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浴槽の色合いが綺麗です

ここもまた立派な造りなので温泉の風情を存分に感じることができました。時間も時間なので滝の湯に続いてここも貸切状態での入浴だったのが嬉しいような残念なような。でも夜にこの共同浴場の湯に存分に浸かれるというのはやはり宿泊者冥利なので嬉しいです。
肝心の湯ですが、ここの湯に前に入った人は大分前の時間に入ったのかわかりませんがとにかく熱く、全くもってまともに入ることができませんでした。湯宿温泉の時みたいに火傷こそしなかったものの、肩まで入ることすらできないほど熱かったのでうめようと思ったのですが、全然ぬるくならなかったのでちょびっと足だけ入って新田の湯を後にしました。温泉街から一番離れた湯なので利用者も少なめなのでしょうか。本当に熱かったです。

新田の湯では熱すぎるから逆に全く温まれなかったという、これだけ聞くと妙な話ではあるのですが事実だから仕方がない。最後に残った大湯に望みをかけて、いざ向かいます。

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大湯に到着

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脱衣所もやはり一体型

大湯はやはりメインの浴場ということもあって一番綺麗、というか新しい感じの造りでした。外観は昔からそのままという感じですが、内部は板の張替えなんかをしたりしているのでしょう。その分他の浴場と比べると個人的には風情に欠けるところがあると感じますが、それでもやはり立派で趣ある建物です。
湯は滝の湯と同じく適温で入りやすい。夕方に大湯を利用する人も割と見たので、やはり利用者が多ければ自然と湯温は適温に調節されるようです。ここではしっかり体が温まるまで気分良く入りましたが、少し湯船の底に黄色いカスのようなものが沈んでいたのが気になりました。湯の華ではないと思うのですが。

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角間組とはなかなかカッコイイ。ちなみに真ん中のは白いケロリン桶ですが、この白ケロリンは中々レアな桶のようです。

体も十分にポカポカになって喉も渇いたので、外にあった自販機でジュースを買い部屋に戻りました。

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自販機で謎のジュースを発見したので買ってみたら、横にあるアロエ白ぶどうジュースが出てきました。どうやらランダムでジュースがでてくるようでした。

部屋に戻ってからはもう一度温泉に入ったり本を読んだりして就寝。翌朝はまた一番風呂に入りに行ってから朝食となりました。

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朝食

朝食は量も十分で結構美味しかった。中でも温かい温泉卵がついていたのはとても良かったです。ここは源泉の温度が高いみたいなので、温泉卵をどこかで作れたりしたら楽しそうです。

食後はしばしのんびりと外の風景を眺めていました。この日も平日だったので、学校に向かう女子高生や散歩しているおじいちゃんなどが見えてとても長閑な田舎の風景が広がります。私がここで育っていたら朝から温泉に浸かってから学校に行ったり仕事に向かったりできたのに、ととても羨ましく思いました。というか角間温泉は湯量が豊富そうなんですが、温泉は各家庭に引かれていたりするんでしょうか。気になります。

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朝の角間温泉

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休憩後再び温泉に入ってから支度を整えて出発することに。会計は女将さんではなく(多分)息子さんがしてくれて、少しの雑談の後ようだやを後にしました。

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私が止まった羽衣の間

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トイレ

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奥の方にあった洗面所。館内は入り組んでいるので散策のし甲斐がありました

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ロビー

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フロント

宿を出て少し辺りを散策。坂を登るとモクモクと湯気がたっている小屋があり、ここから源泉が噴き出しているようでした。側溝にはその溢れた源泉が流れていたので、豊富な湯量を持て余し気味な印象。全く贅沢です。

そんな散策もすぐに終わり、またしても少し後ろ髪を引かれながら角間温泉を出発しました。


※ようだや旅館はとても古風で立派な造りの旅館でした。館内もしっかりキレイにしてあったし女将さんや仲居さんもとても愛想がよく居心地がよかったです。更に角間温泉は超がつくほど小規模なので、周りの環境も落ち着いていてゆっくり静養するにはもってこいの環境だと思いました。正直言うと当初ようだやの隣にある越後屋旅館に泊まろうと思っていたところ、休みということで断られたのでようだや旅館にしたのですが、それでも大満足の旅館でした。角間温泉共々、かなり気に入りました。

ようだや旅館:一泊二食付き 9160円