[長野] ただただ静かな木造温泉旅館 崖の湯温泉 / 山上旅館 [松本]

長野

7泊8日夏休みの旅2日目です。 [1日目] [3日目]

宿に着いたところから読みたい方はこちら

芦安温泉に別れをつげ、今日は長野へ入っていくルートだ。ここから長野に入るためには甲州街道を通らなければならないけど、原付で甲州街道を走って長野へ行くのは久しぶりなのでワクワクしていた。天気も良いし、山道は好きなのでいいんだけど、トラックがあまりいないことだけは切に願いながら走って行った。

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台風がきてるらしいけど、天気がよくてヨイ!

しかし、芦安温泉から市街地に出てちょっとした脇道を行くと天気はちょっと危なそう。山の方がわずかに雲ってるのが気になるけど、天気予報は雨ではなかったのでそれを信じて突き進む。やっぱり大通りより脇道の方が面白いし眺めもいいし、ストレスがなくて良いね。

そうして走っていると、あらかじめ寄ろうと思っていた直売所に到着した。

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案外小さめな直売所だ

全然知らなかったけど、どうやらこの武川という土地でとれた米は武川米と呼ばれて幻の米とか呼ばれてるらしい。まぁどんな米だろうと原付旅の私にはそんな重くてかさばる物は買えないんだけどね。それだけは残念。

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店内はとれたて野菜がたんまり売っていた

案外家族連れの観光客(キャンプのための買い出しっぽい)が多くて近くにキャンプ場とかあるんだろうかとか思ったりしたけど、こういうとこでバーベキューの食材を調達できるのは安いし旅行感がでるし楽しいよね。私はというと、特に買う物(買える物)がなかったので一回りしたら店を出たけど、今度来ることがあったら是非武川米は買って食べてみたい。

直売所を出て、次に向かったのは尾白川渓谷。ここは非常に水が綺麗なことで有名で、昔アド街(私はアド街が大好きなのだ)で見た時から一度は行ってみたいと思っていたところだ。まぁ結構有名なところだから混んでるだろうけど、別に泳いだり釣りをするわけじゃないからただの観光なら問題ないだろう。ただ、尾白川渓谷に行く前に、その手前にある道の駅白州で湧き水を汲みたいので、休憩がてら寄るつもりだ。
というわけで、それなりにトラックが走っている甲州街道を、ガーネットクロウの「千以上の言葉を並べても」を歌いながら走って行った。

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すると割とすぐ到着。久しぶりに来たけど、ここはやっぱり混んでるね

前に来たのは4年前くらいに長野の南側を旅した帰りだったと思う。その時にはここで赤しそと納豆を買ったのを覚えてるけど、今回は何かイイモンがあるだろか。

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やっぱり家族連れが多いかな

中もやっぱり大盛況だけど品物は結構残っている。でも一回りしたみた結果、やっぱりというか特にめぼしいものはなく、これからの行楽を前に楽しそうに買い物をしている家族たちを横目に店を出ることになった。

それでまぁ店を出て水を汲む前にコーヒーを買って一休憩していると、横に座っていた若いイケメンが声をかけてきて思いがけぬ雑談が始まった。こういうとこで声をかけられることはあんまりないので、ちょっと嬉しい。

私「今旅行中なの?」
イケ「はい、友達と原付で旅行中なんですけど、神奈川から出発して京都まで行く予定なんです」

こんなところで原付旅の同志に会えるとは思ってなかったので、ちょっとテンションがあがって「え、俺も原付で旅してるんだよ〜」と満面の笑みになってしまった。今まで原付で旅してる人に会ったことがなかったので、まさかこんなところで、しかも自分より若そうなイケメンの同志に会えるとは、嬉しいと同時にちょっと驚いた。やっぱりいるところにはいるんだね。
それで話していると、どうやら彼等は野宿しながら京都を目指しているらしく、イケメン曰く「できれば今日中に京都に着きたいんですけど」と言っていたけど、これから長野を経由して行くらしいので「いや、それは無理だと思うけどナ〜」と笑いながら返しておいた(まぁどこを経由しても厳しいだろうけど)。ナビは友達にまかせてるらしいから、イケメン君はよく距離感がわかってないみたいだったのでしょうがない。でもそれよりも何よりも、友達と野宿しながら目的地を目指すなんてなんて楽しそうなことをしてる子達なんだろう。なんだか喋りながら楽しくなってしまったけど、彼も出発の時間になったようなので私は「じゃ、気をつけてね」と言い、彼はイケメンによく似合う笑顔を返してくれてお別れとなった。今更ながら、無事に京都に着けていたらいいけど。

そんな思わぬ出会いにホクホクしながら水汲み場へ向かう私。人も多いだけに水を汲み人も多いけど、無事に水筒を満タンにすることができた。ここの水は冷たくて美味しいんだよね。

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ここの奥にも水汲み場があるけど、おっちゃんたちが延々顔を洗っていたのでこっちで汲みました

さて、ここから尾白川渓谷はかなり近い場所にあって、この道の駅の脇の道をただまっすぐ走っていくと到着する。

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こんな道をまっすぐ山へ入っていく

山に入ると渓谷らしい涼しさがあたりを包んでいて、今までの暑さを忘れさせてくれる。噂に聞く尾白川渓谷とはどれほどの美渓なのか、期待は高まるばかりだ。
そんな山道をしばらく走ると、渓谷に入る手前にかなり広めの駐車場が現れた。今日は平日だけど、夏なだけあってそれなりに人は来ている模様。でも混みすぎているほどではなさそうなので、早速原付を駐めて向かった。

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駐車場には小さな店もあった。渓谷で汗をかいたら、ここでアイスを食べるのもいいかも

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ここから渓谷へ入っていく。登山者じゃなくても登山届は出したほうがいいみたいなので一応書いておいた

皆いたって軽装なので、私のようにちょっと渓谷を楽しもうという人たちらしい。これが週末だったら、どれだけの人出なんだろうか。少なくともゆっくり楽しむというわけにはいかなそうだ。

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少し行くと売店があって、そのすぐ横にキャンプ場があった。利用者もちらほら

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そこから更に行くと神社が。駒ヶ岳神社というらしい

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この先に尾白川が流れているようだ

この神社では4月20日に神楽が奉納されるらしいんだけど、こんな雰囲気の良い境内で舞われる神楽は是非見てみたい。まぁ、4月なんかにここに来ることはまずないだろうけど。。

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これからの旅の安全を願ってとりあえず参拝

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御朱印、いただきました

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境内を散策しているとこんな場所も。この水も飲めるようだ

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その小屋にあった張り紙。ここは修験の山なんだね

神社なのに境内に仏像が沢山あるなぁと思っていたら、どうやらここは修験道が生きている信仰の場らしいということで納得した。小屋の感じからして本当に行者の人が来て修行をしていくんだろう。しかしこんなに一般人が往来するところでどういう修行をしていくんだろう。ちょっと興味ある。

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境内には尾白川にかかる橋が存在感たっぷりにそびえていて、ここから渓谷の本領を見られる

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ちょっと揺れる吊り橋。吊り橋好きとしては、怖さ指数は5段階評価でレベル1(私的評価)なので誰でも安心して渡れるだろう

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そして待望の尾白川。人もそれなりだけど、やっぱ水が凄く綺麗

かつて私が感動した長野の阿寺渓谷と柿其渓谷ほどではないにせよ、それでも目を見張る美しさを誇る尾白川。こりゃあ有名になるのも納得だ。しかし皆それぞれ思い思いに泳いだり涼んだりしてるけど冷たくないんだろうか。こういう川はめちゃくちゃ冷たいはずだけど。

橋を渡って川に降りるための坂を下ればそこはまさに最高の避暑地!これだけ涼しくて、しかも澄んだ川が流れてるんだからいつか私もあのキャンプ場を利用してみたいな。夜とか最高に楽しそう。アクセスも良い・・・・んだけど明らかに山には向いてない靴を履いてる女の人が目立って見た目に危なっかしいので、ここに来る時は山や川を舐めないでちゃんとした靴を履いてきましょう。

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吊り橋が良い感じ。曇ってるように見えるけど晴れです

川に降りてすぐのところは人も多いので奥の方はどうかと思って歩いて行くと、案外すぐに淵に突き当たってそれ以上は進めない様子だった。これ以上川を遡ろうと思ったらどうやら本格的な登山道になっていくらしく今の私には到底無理なので、この淵が実質的に観光客が行ける尾白川の最奥だろう。それでも

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この神秘的な雰囲気は素晴らしいよ

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すんごいエメラルドグリーン

もはや綺麗すぎて(そして人が多すぎて)魚もいなさそう。それほどここの水の澄み具合は半端じゃない。この淵で泳いでる人を心底羨ましいと思った・・・・と同時に、釣り人としてこの先の渓相がどれほどのものなのか物凄く気になった。何人か登山者っぽい人を見かけたけど、沢登りとか釣竿を持った人は見かけない。釣りのフィールドとしての尾白川はどういう位置づけなんだろう。美しい魚が釣れるんだろうな。

そんな事を思いながらしばらくボーッと淵を眺めていたら腹が減ってきたので、ちょっと名残惜しいけど渓谷を後にする事に。

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なんか面白そうな道があったのでここから戻って行く事に。ちょっとスリリングでした

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でも最後にちょっと散策をかねて水の中へ。思った通りしばらく足をつけていたら痛くなってくるほど水は冷たかった。あの人たちはよく泳いでられるな

涼しいけど帰り道を変えたおかげでちょっとした登山になったので、それなりに汗をかいてしまった。そんな中川に入ったんだけど冷たくて長居できなかったのでそのまま汗をかきながら駐車場まで帰る事に。かわいそうに、我が愛車は日光に照らされてアツアツになっていて、私も汗だくだったけどしょうがないからそのまま原付に乗って出発した。しかしバイクの場合、沢山汗をかくほど乗った時の爽快感が増すので嫌いじゃない。しかもここは山道でヒンヤリしているので尚更だ。というわけですぐに汗もひき、再び甲州街道の流れに乗って長野を目指した。

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その途中、道の駅信州蔦木宿の寄り道

この道の駅はあまり私好みのものがないのは知ってるんだけど、道の駅好きなのでそうとわかっていても寄ってしまう。もちろん目ぼしいものはなかったけど、ここで少し考える。
実はこの近くにちょっとだけ気になってる宿があるんだけど、距離がいまいちわからないので調べてみる。その結果大して離れていないことはわかったけど、ちょっと時間が厳しいか。腹も減ってるし、ここで時間をかけると後々危なくなるかもしれない。とそんなことを考えた結果、その宿を見にいくのは諦めてそのまま出発することにした。次のポイントはもうすぐそこの諏訪にあるので、その辺りで昼食をとってポイントへと向かおう。

何度も何度もトラックに道を譲りながら走っていくと、段々と辺りに建物が増えてきて諏訪の街中に入った事を知らせてくれた。ここに来るのは去年鬼熊と長野に来た時以来だけど、私が次のポイントに決めていた場所とはその時に発見できなかった大和温泉という公衆浴場だ。ここ諏訪は温泉が有名なだけに公衆浴場がいくつかあるわけだけど、そんな中でも一際異彩を放っている空間にある温泉が大和温泉だということで、前々から行ってみたかったのだ。
しかしその前にどこかで食事をしなければ参ってしまう。。ということで大通りからちょっと小道に入ってやってきたのは

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ここ。まといという食堂でした

店内の写真はどうも撮りづらかったのでないけれど、頼んだ煮カツ定食はボリュームもあって味付けもよく美味しかった。店員のおばちゃんもにいちゃんも愛想がよくってイイ感じ。一応調べてここに来たけど、ここは来て良かった。大体1000円くらいだったと思う。ごちそうさま。

ということで腹もいっぱいになってじゃあ温泉へ・・・ということにはならず、実はもう一つここ諏訪で行きたい場所があったんだけど、どうやらそこに行ってから温泉のほうがルート的に良さそうだったので温泉は後回しにした。ここから近い場所なので助かった。

またまた小道を走り小高いことを登る事数分、目的の場所はすぐに見つかった。眺めの良い場所にあるそのポイントとは

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ここ、手長神社です

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鬱蒼としていて雰囲気のある神社

妙な名前の神社だけど、他に足長神社というのもあるらしい。妖怪好きの私としては「足長手長」と呼ばれる妖怪がいるのを知っているのでこの神社が気になったわけだけど、それと何か関係があるんだろうか。あるいはその「足長手長」が神に近い存在なのかもしれないけど、もしかしたらその謎がとけるかもと思って来てみた次第です。

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いやぁ立派な社殿だ。ちなみに参拝客は私一人

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あまり見ない造りになっている

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左右の社殿と繋がった造りが面白い。ここで何が行われるのか気になる

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樽酒が積まれた神楽殿。シンプルな造りだけど、歴史が感じられる

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大祓えの人形という形代もありました

とりあえずこれからの旅をより楽しめるように祈って参拝。ここは小高いところにあるので眺めも良いし涼しい風も吹き抜けるし、とても居心地の良い神社だ。妖怪との繋がりは多分なさそうな感じだったけど、ここは来て良かった。
更にここは御朱印集めを趣味とする人達にはそれなりに人気のある神社らしいので、私も例に漏れず御朱印をもらいに行く事に(別に趣味ってほどでもないけど)。

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社務所はこちら。時間がゆっくりしてる感じで良いです

御朱印をもらおうと社務所に行くと、中には宮司さんと私服のおじいちゃんが一人。「御朱印をいただきたいんですが」と声をかけると、宮司さんが対応してくれた。
最初に宮司さんが「私は三社の宮司を兼務しているので、お参りに行かれるのであればここで三つ書きますが」と言っていただいたけれど、他の神社には行けそうにないので「他は参拝できそうもないので、こちらのだけでお願いします」とお願いした。参拝もしないで御朱印だけ貰うわけにはいかないしね。

ということで300円を払って待つ。御朱印帳には字を宮司さんが書いて判を私服のおじいさんが押した後で渡してくれたんだけど、その時そのおじいさんが「今日はどちらからいらしたんですか?」と声をかけてくれたので少し雑談させてもらった。

私「東京を出て昨日山梨で一泊して、今日は松本まで行く予定です」
おじ「お車で?」
私「いえ、原付で。今夏休みなんです。」

というと、そのおじいさんと後ろで何か書物をしていた宮司さんが笑ってくれたのが嬉しかった。続いて

おじ「はぁ〜、楽しそうでいいですねぇ」
私「疲れますけど、結構楽しいです」

などと、その他色々話をさせてもらった。このおじいさん、ニコニコしていて凄く穏やかな顔をしているので話していて安心する。口調も柔らかで、優しさが全身から滲み出てるような人だ。
そんなおじいさんとの雑談の後、ほっこりした気持ちで「じゃ、ありがとうございました」と最後に挨拶したら、おじいさんは「はい、お幸せに」という予想外の言葉を返してくれてちょっと驚いてしまった。

宿の人とかお店の人と別れる時に「お気をつけて」はよく言われるけど、「お幸せに」と言われたのは初めてだった。なんてことはないありふれた言葉だけど、その言葉の温かさ、柔らかさに心がジ〜ンとしたのを今でもよく覚えている。あんな風に心が動いたことはしばらくなかった。同じ言葉でも、発する人やその状況によって、こうも響き方が違うものかと驚いた。この出会いも含めて、手長神社に来て良かったと改めて思った。

では、参拝を終えれば次に行くのは温泉だ。大和温泉はここからそう遠くないので、特に急ぐでもなくのんびり向かった。

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手長神社付近の眺め。そしてこの裏には

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学校がある。こんな景色が教室から見れたら、授業なんか聞かないでずっと外を見ちゃうだろう

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途中にあった小道。雰囲気たっぷりの素晴らしい道

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そしてやってきました。大和温泉付近(のはず)

上の画像の奥へ行けば地元民専用の温泉があり、前回鬼熊と「あれ、ここじゃないのか」とか言って無念にも引き返すハメになった場所だ。大和温泉は、その地元民専用温泉よりも奥にあるらしいので、その道の奥に原付を駐めて捜索に向かった。

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側溝には温泉が出る蛇口が無造作に設置されていた。どんだけ豊富な湯量なのよ。羨ましい。。

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そしていきなり発見!そして大和温泉のフォントがレトロで可愛くて良い

ちょっと歩いたらあっけなく大和温泉は現れた。もう去年引き返したのが馬鹿らしくなるくらいあっけなく見つかった。あそこからちょっと奥に行けばあったんだなぁ・・・とは思いつつも、なんと控えめというか慎ましいというか、ひっそりした入り口なんだろうか。これは目の前に来るまで分からないほどの目立たなさだけど、しかし大和温泉を目の前にして思うのは「なんて素敵な入り口なんだ」ということだけだった。

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この狭い通路が異世界へ繋がる道のようじゃないか

この狭き道を行けば念願の温泉が待っている。そしてその手前には、大和温泉を調べている時に画像で見た少しばかりの中庭が広がっているはず。期待に弾む心に身を任せて奥へと進むと

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中庭にでた!そう、ここが画像で見た中庭だ!(ちなみに写真は後で撮ったものです)

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そして温泉側から見た写真がこちら

中庭に出て「おお!ここだよここ!」と思ったのもつかの間、どこかにセンサーでもあったのか横の建物からすぐに「入浴ですか〜」と、これまた意外にも長髪のおじさん(とおじいさんの間くらいの見た目)が出てきた。私はささっと入湯料の300円を払うと、おじさんは注意事項を軽く教えてくれて(なんて言われたかは忘れた)、その後部屋の奥へ引っ込んでいった。
奥からはテレビの音が聞こえる。そして目の前に広がるのは民家に囲まれた不思議で素敵な四角い空間。文才のない私にはうまくその時の感覚を伝えることはできないけど、この異空間には(私にとって)色んな感情を呼び起こす何かがあった。まぁともかく、最高であるということだ(適当)。

というわけで早速風呂場へと向かう。嬉しいことに客は私だけなのでのびのび入れそうだ。まぁ地元民は専用の温泉があるからここには来ないんだろうけど。いつか何か奇跡が起きてそこも入れたら嬉しいのにな。

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入ってすぐのところ。椅子には自由に書き込めるノートが置いてあった

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脱衣所。うなぎの寝床のような造りだ

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ロッカーにはフィギュアやテルマエロマエの写真が

中はレトロかつ必要以上のものはない渋い造りだった。まぁさっきのおじさんの趣味なのか、各所に昔の特撮やらのフィギュアなんかが置かれてたりはしたけど、それを含めてこの脱衣所は良い味だしてると思う。
そしてなぜテルマエロマエかというと、ロケ地としてこのすぐ近くにある地元民専用の平温泉が使われたからだろう。

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そして浴室。よし、入ろ!

ここでウダウダやって他の客が来てもアレなので、さっさと服を脱いで浴室へと向かった。注意書きにある通り源泉が熱いらしいのでゆったり入れるかはわからないけど、とにかく3度目の正直でやっと見つけた温泉を楽しみたい!そんな思いでガラガラっと戸を開けると、うっすらと硫黄の匂いが香ってきた。これは期待できそうだ。

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グリーンのタイルが敷き詰められた浴室と浴槽。なので湯は緑色だけどそれがイイ

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浴槽横の水と源泉の蛇口

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かわいい風呂椅子。これすんごい欲しい

と周りの撮影もほどほどに、掛け湯をしてからさっそく入湯(共同浴場なので当然石鹸などはなし)。

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おや?

熱い源泉+人が入っていない=熱いという図式は今までの経験から明らかなんだけど、入ってみたら予想外に適温だったのでちょっと意外だった。まぁ考えれば源泉がかけ流されているわけじゃないから熱湯風呂じゃないのは当たり前か。
しかしこれがまた私にとってはぴったりの温度だったので気持ちいいのなんの。入ると硫黄の匂いがよりはっきり感じられるし、湯もさらっとしていて肌触りが良い。しかも貸切状態でのびのび入れるし、心がだらけて後のことなんてどうでもよくなりそうだった。ここは温泉も立地も、色々含めて満点間違いなし。場所も分かったし今度鬼熊と長野に来ることがあったら絶対また入りに来よう。絶対喜ぶはずだ。

そんな最高の温泉なんだけど残念ながらそんなに時間もなく、後のことがどうでもよくなっては困るので15分ほど入ってあがることにした。全く時間がないというのは悲しい。今度は時間がたっぷりある時に訪れよう。ここは何度も来る価値のある温泉だ。

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扇風機で体を程よく冷やす

風呂上がりに扇風機をあびるのを至福の喜びの1つとしている私だけど、この扇風機は業務用なのか物凄い風を生み出す子だったので湯上りとしては人生初の風圧だった(そしてそれが最高に気持ちよかった)。なのでこれはちょうどいいといつも旅の時に持ち歩いているバスタオルを乾かそうとソファにタオルをかけて風をあて、その間に入り口にあったノートを読んでから感想を書いておいた。結構この温泉が好きな人が多いようで、今日からは私もその仲間に入れさせてもらおう。

そうして少しばかり休憩した後出発。後は一箇所だけ寄るところがあるものの、そこは特に時間をくうようなところでもないので実質的には宿へ向かうだけだ。今の時間は大体15時くらいだけど、果たして何時に宿に着くだろか。

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諏訪湖の周りを走っていく。やっぱ広いね

諏訪湖をぐるりと周るようにして岡谷市を通過するんだけど、ここがまた混んでいてなかなか進まないので余計な時間をくってしまった。それでもなんとか大通りを抜けて20号線に乗れたので、次の目的地に急いだ。

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そして到着。ここがその目的地である道の駅小坂田公園だ

実は私のブログを読んでくださっている方から長野の美味しい酒を色々教えてもらって(他にも色々教えてもらいましたが)、その酒の一部がここで買えるということでやってきたのだった。買うものも既に決まっていて、チロルの森というところで作られている地ビールの塩嶺麦酒、バイツェンを買おうと思っている。私は普段あまり酒は飲まないけどヴァイツェンは結構好きなのでこれに決めていた。

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というわけでさっそく中へ

ここは去年鬼熊と来ていて、妙に酒の品揃えがいいと思ったのを覚えている。この時も品揃えは相変わらず充実していて、それだけに目的のビールもすぐに見つけることができた。他にも美味しそうなのが色々あったんだけど、そんなに飲むこともなかろうと目的のものだけにしておいた。

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さて出発。と思ったら敷地内にはゴーカートがあることに気づいた。場内は童謡が流れてるし、店内の酒の充実度とは裏腹に子供も強く意識した道の駅らしい

買うものも買ったので後は宿へ行くだけだ。道もそんなに複雑じゃない。夕食までには確実に着けるけど、ちょっと天気が心配かな。

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こんな感じだし

今までの大通りとは打って変わって田舎道を走っていくと天気が悪くなってきたので少し急ぐことに。しかもガソリンも少なくなってちょっと危ない感じになってきているので、ちょっと離れたとこにあるらしいガソリンスタンドまで行こうか悩んだけど、一か八かで「大丈夫だろう」という判断にかけて宿へと向かった。途中からは坂なのでちょっと怖いけど・・・頑張れ!と愛車を励ましながら宿へと向かっていった。

それなりの坂を登ることしばし、思ったほど長い道のりではなかったので無事に崖の湯温泉に到着することができた。空は曇ってるけどまだ雨は降っていない。ギリギリ間に合ったみたいだ。

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よっしゃ着いた!しかし寂れてるな!

誰もいない温泉街(と言っていいのかわからないけど)の一番奥に宿はあるのでそのまままっすぐ奥へと向かうと

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本日のお宿、山上旅館到着!!

宿の手前に広めの空き地があるのでそこに原付を駐めた。そのすぐ裏手には

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廃旅館が。ここがもし営業してたら是非泊まってみたかった。素晴らしい建物。でも

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この山上旅館も負けず劣らず魅力的だ

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外壁は少し新しそうなものの、良い宿の匂いがプンプンしている

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玄関の造りも立派で、鬼瓦にも山上の屋号紋が

この落ち着いてどっしりとした佇まいは「ああ、今日はここに泊まれるんだなぁ」という嬉しさと安心を与えてくれるようだ。ここはいかなる一晩を提供してくれるのか、楽しみでならん!早速中へ入ることにした。

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入ってすぐのところ。外にたばこの看板が出ていた通り、正面のケースには品数こそごく少ないもののタバコが売られていた

入って「すいませ〜ん」と声をかけると、写真左の部屋からご主人と女将さんが出てきてくれた。このお二人、一目で「良い人なんだろうな〜」というのがわかるくらい柔和な雰囲気を持ってるお二人で、いかにもおしどり夫婦のような感じ。そして実際喋ってみると、女将さんは昨日の電話の印象の通り可愛らしい人で、ご主人は優しい人だった。
ご主人は私が原付で来たことを知ると「雨が降るかもしれないから、こっちの屋根の下にとめてもらっても大丈夫ですよ」と言ってくれたので、とりあえず部屋まで案内してもらってその後移動させてもらうことにした。

色々と説明してもらいながら部屋へ向かうわけだけど、この宿も今まで泊まった他の古い木造旅館と同じく中々入り組んだ造りになっていて、下手したら何度か道を間違いそうだ。どうしてもこういう宿は入り組んだ造りが多いんだろうか。それがまた良いんだけど、ここはまた今までのところとは一味違っていて凄く魅力的だ。そんな宿の中の写真はまた後で。

部屋は3階にあって、ギシギシなる階段を登ったら到着した。部屋に入ると女将さんが「お布団はお先に敷かせてもらいました。」と言って色々説明してくれたけど、その部屋の風情のよろしいこと。広さはそんなでもないけど、清潔でゆったりした時間がそこには流れていた。

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イイ

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座布団が二重になってるのも嬉しい

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ここでの一晩は最高の一晩になるだろう

疲れた体をふかふかの座布団に預けて女将さんに夕食の時間を聞いてみると「普通は18:30~19:00くらいですけど」ということだったので「じゃあ19時でお願いします。中途半端な時間に昼を食べちゃったもんで」とお願いさせてもらった。夕食は「じゃあ19時にお部屋にお持ちしますね」とのことで部屋食らしい。ここまで食事を持ってくるのも少し大変そうだけど、嬉しい限りだ。

その後女将さんが部屋を出て行く時「風を通すために少し開けておきますね」「何かありましたらお部屋の電話をお使いください。辛抱強く待ってもらえれば必ず出ますので(笑)」と可愛らしく笑って去っていった。ここは戸がドアではなくカギもないのでそこらへんも昔ながらだけど、戸をあけておくのは他にお客さんもいないからだろう。今のところ、泊まるのは私だけのようだった。

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机の上

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窓の手前には浴衣・フェイスタオル・歯ブラシが置かれていた。バスタオルは無いらしい

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窓からの眺め

女将さんが去って、この宿の静かさに気づいた。辺りは山なので虫の声や鳥の鳴き声が時折聞こえるものの、この静寂は他ではあまり味わったことがないかもしれない、下界とは明らかに違う環境。静養にはもってこいじゃないか。窓から眺めは建物が見えて眺望よしとは言えないけど、ここは紅葉のシーズンに来たらものすごく綺麗だろうな。ただし、ちょっと蒸し暑い。
ということで冷房のスイッチ(冷房は地面に置くタイプのものだった)を入れると、電源は着くんだけど肝心の風がでてこない。私のやり方が間違っていたのかなんなのかよくわからないけど、まぁ女将さんをわざわざ呼ぶほどつけたかったわけでもないのでそのままにして恒例の探検に出かけた。

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廊下からの様子

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ここは多分、部屋をでて廊下の写真だと思う。そして階段を降りて二階へ行くと

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そこはちょっとした休憩スペースのようになっている

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通路には自由に使える冷蔵庫や電子レンジなんかもあった。これは嬉しい

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可愛い冷蔵庫も。飲んだら精算はチェックアウトの時に

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廊下の奥にはトイレ。渋くて良いね

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トイレの様子。洋式のもちゃんとありました

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廊下と洗面所。この裏の奥にトイレがあります

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ここで桶はどういうことに使うんだろう。でも心遣いが感じられてイイ

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本や雑誌もたくさん。というかこのノスタルジックでありながらどこかおしゃれな感じもする雰囲気、実に天晴れです

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夜はそこのソファで雑誌でも読もう

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その奥からの一枚

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じゃあ階段を降りて外に行きましょうか

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この変わった造りも面白い

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ということで外へ。空き地には廃屋なのか廃倉庫なのか、とにかくそういうものもあった

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たくさんの看板が良い味だしてます

外はまだ雨が降っていなかったので散歩をするなら今のうちだろう。さっきは興奮してあまり気に留めてなかったけど、外に出てみてもやっぱり静かだった。
ということで散歩・・・の前に原付を屋根の下に移動してから出かけた。

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宿のすぐ脇には綺麗な水が流れている水路があって、そこには水瓶があった。湧き水好きにはたまらないけど、一応後で飲めるか聞いてみよう

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空き地の廃屋。何に使われてたんだろか

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坂を降りていったところ。この奥に山上旅館がある。右の建物(おそらくお土産屋だった)のドアが風でキィキィ揺れていた

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ちょっと登ったところの分岐にある商店。もちろんやってないけど、住んではいそう

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その正面にはもう営業していない山二旅館が

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誘惑に負けて行ってみたらドアが少し開いていた。誰かいたようだ。ここも良い宿だったんだろうな

戻ってさっきの商店の奥に行ってみると、そこには宿があってちゃんと営業してるようだった。
ここは来た時にも思ったけどやっぱり寂れまくっていて営業してる店もなく、ましてや人影もない。まぁ外に出たところで何をすることもないので住んでる人もわざわざ出てこないだけだろうけど、ともかくこの半分廃墟化したような温泉地はそれはそれで私のような人間を惹きつける価値を持っている。寂しいとも表現できるけど、外部から来た人間としてはこの静寂が心地よく感じられた。

ということで特に観光するようなところもなく狭い温泉地なので、少し散策してから宿へ戻った。

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そしたら猫がお迎えしてくれた。山上旅館ではこの他にも後1匹猫を飼ってるようだ

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入ってふと横を見たら素敵な下駄箱とボテ箱が。この牛乳石鹸のボテ箱、最高じゃないすか

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入って左側。奥の階段から二階へあがるのだ

一通り外の散策も終わったので、後はお待ちかねの温泉タイムだ。このまま他のお客さんが来なければ今日も貸切状態で楽しめるかと思うと嬉しくてたまらないな。ということで少し道を間違えたりしながら部屋に戻って、温泉へ向かった。温泉は1階にあるので、またも「こっちだったっけか?」と迷い気味となった。

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途中こんな場所もあった。洗濯とかに使ってるんだろうけど、ここが自由に使えたらまた楽しそうだ

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二階の休憩スペースから廊下を渡って降りるとこんな感じになっていて、左に行くと温泉、右に行くと

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客室になっていた

こうやって宿の中を歩いていると、ところどころにソファが置かれていることに気がつく。くつろぎスペースを多く作って気持ちよく過ごしてもらおうということもあるんだろうけど、上り下りが多くなる宿だから老人のための休憩所という意味合いもあるかもしれない。どちらにしても、こういう気配りはほっこりする。
あと、宿の外観からは想像するにはちょっと意外なほど客室があるということも驚いた。全室使っているのかはわからないけど、もし使っているんだとしたら一度に結構な人数が泊まれるだろう。お盆なんかにはどれくらいの人数が泊まりに来るんだろうか。

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では、行きがてら色々見たので温泉へ向かいましょう

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脱衣所の様子。簡素な造りだけどそれがいかにも湯治場らしい。ちなみに扇風機はなかったと思う

さて、崖の湯とは一体どれほどの湯なのか、さっさと服を脱いで浴室へ向かう。

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お、木の浴槽がイイ感じ。思ったより古さを感じさせないけど、期待できそうだ

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シャワーの側ではなく、窓側にソープ類などが置かれている

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澄んだお湯。気持ち良さそう

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奥からみるとこんな感じ

浴槽の周りの木板はよくわからないけど多分横になるための場所だろう。ここは湯治宿なので、ゆっくり湯に疲れるようにとの配慮なのかもしれない。
私はいつも通りさっさと体を洗って入浴することにした。足をゆっくり入れてみると、これが適温で入りやすい。そのままスルーっと全身湯に浸かってみるとこの浴槽が案外深くて、底に座るとやっと首から上が出るくらいだった。この深さは去年泊まった微温湯温泉二階堂の浴槽を彷彿とさせる。これがまた、全身すっぽり温まれるので結構好きなのだ。
湯は適温なので最高だし、どうやらここも昨日の温泉と同じく硫酸塩泉らしく、肌触りも良くて若干とろみがあるようにも感じられる。まぁ細かいことは置いといて、全身から疲れが抜けていくのがわかるようでとても気持ち良い温泉だ。良い宿に良い温泉、もう言うことなしじゃないか、ここは。

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飲泉もできるようなので飲んでみると冷たくておいしかった。よく味わって飲むとちょっと薬っぽい味がしないでもない・・・?

夕食も19時からだし別に急ぐものもないのでゆったり40分ぐらい崖の湯を味わってから、脱衣所には扇風機がないので窓を開けて浴槽横の木板で横になって少し体を冷やしてからあがった。貸切というのはなんもかんも自由だから大好き。

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そして部屋へ。まだ雨は降ってきておらず、雲の流れも早いので時折太陽も顔をのぞかせる

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風呂上がりには部屋はまだちょっと蒸し暑かったので夕涼みに外へ。風にあたりながら猫と遊ばせてもらった

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原付もここなら大丈夫だろう

そんな感じでまた外をフラフラしたりしてたら水路に生えてる植物に目がいって、よく見てみたらわさびっぽい感じだった。そうだとしたらよほど綺麗な水なんだろう。これも後で女将さんに聞いてみよう。
そんな感じで夕方の素敵なひと時を過ごしたら、あとやるべきことは宿の予約。ということで部屋に戻って電話をしたらあっさりOKだったので、安心して夕食までのんびりすることができた(目的の宿の予約ができないと案外色々と面倒だったりする)。

少しだけ眠った後、19時を少しすぎたくらいに階段を上ってくる音が聞こえて女将さんがやってきた。さすがに一番高いコースで予約したので夕食も豪華そうだ。これは期待が高まるぞ!

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うまそうな夕食!

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てんぷらも種類豊富でおいしそう!

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鮎の飾り包丁の入れ方も涼やかで美しい。勉強になる

鮎は子持ちの鮎だそうで腹がでっぷりと膨れている。小皿は野菜が多めだけど一品一品しっかり作られているのがわかるのでとてもおいしそうだ。正直腹が減ってるというほどではなかったけど、食べてみるとどれもこれも美味しくて問題なく完食することができた。中でも鮎の塩焼きは焼き加減も味も最高で、鮎好きの私は幸せいっぱい。てんぷらもあったかくてサクサクしていたし、大満足の夕食だった。夕食もこれほどなら、私にとってこの宿には悪い点がひとつも見当たらない最高の宿と言わざるおえない。ありがてぇ話です。

食事は食べ終わったら廊下にだしておく形式なのでその通りにして、食後の一休憩にまたまた外へ行こうとしたら、女将さんがトトトッと階段を下りてきたので少し雑談させてもらった。

私 「どうもごちそうさまでした」
女将 「いえいえ、お粗末様です。それで朝食は8時ごろで大丈夫ですか?」
私 「はい、その時間でお願いします。それでちょっと聞きたいことがあるんですけど、外のパイプから出てる水は飲めるんですか?」
女将 「はい飲めますよ。あと上の洗面所の水も同じ水なんですけど、管が違うと味もちょっと変わってくるので一番右の蛇口の水がよろしいかと思います(一番右のは昔から使ってる管らしい)。あと、お風呂のホースの蛇口は源泉になってますので。」
私 「そうなんですか、わかりました。それともう一つ、あの水路に生えてるのはワサビですか?」
女将「あ、そうです。春頃には花が咲くんで、それをとってお食事に出したりしますよ」
私「へぇ〜、そうなんですか。ワサビの花を食べるって珍しいんですかね?」
女将 「ここらへんでは普通ですけど」
私 「いやぁ初めて知りました。そうなんですか〜」

浅学な私はワサビの花が食べられるということを知らなかったのでちょっと驚いてしまった。一体どんな味なんだろう。あのワサビは自生してるものだからやっぱり美味しいんだろうな。ともあれ、また一つ賢くなった。あとさらに女将さんが豆知識として「あの川の向こうは塩尻でこっち側は松本なんですよ。川が境になってるんです。」と教えてくれた。あんな細い流れが市境になってるとは、こういう面白い話が聞けるから宿の人との雑談は面白くて好きだ。

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雑談後の外。あたりはもう真っ暗で更に静寂が増したように感じる。ちなみにもう雨は降り出していた

こういう宿での外で過ごすひと時が大好きなので、またまた猫と戯れつつゆったりとした時間を過ごす。ここではどんな過ごし方をしようと、強制的にのんびりと過ごさざるおえなくなるような何かがあるようにさえ感じられる。それほど静かだし、体感時間がとてもゆっくりしているのだ。

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その後部屋に戻るときに見つけた温度計。こういう一つ一つが味わい深い

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女将さんが言ってた一番右の蛇口。後で水筒にためて冷蔵庫にいれとくことにしよう。ちなみに普通に飲んでも美味しかった

その後また長いこと風呂に入って部屋に戻ったら、ちょっと楽しみにしていた晩酌の時間。買ったビールも冷やしておいたのできっと美味しいはず。正直ビールはそんなに好きではないけど、風呂上がりの一杯は確かにうまいと思う。

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その買ってきたビールがこれだ!

このビールのために風呂上がりに体を冷まさずに来たのでちょっと汗をかいているけど、これが計算通り。この状態で飲むビールはさぞうまいに違いない。というわけで広縁の窓を全開(網戸は締めてます)にして椅子に座ってグイっと飲んでみると、爽やかで苦味の少ないその味がなんとも喉越し良く感じられて非常に美味しかった。実に、実に良い夜じゃないか。そんなうまいビールを、ただ外を見ながらゆっくり飲む時間は最高だった。これを教えてくれた○○さん、どうもありがとうございました。

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ちなみに突然だけど今日もらってきた御朱印たち。今回の旅であといくつくらい増えるだろうか。というか、字が上手いというのはいいもんですね

その後ビールも飲み終わってすっかり顔が赤くなった私は(すぐ顔に出るけど、別に酔ってはいない)、せっかく二階の休憩スペースに雑誌があることだし明日寄る観光スポットでも探そうと、ソファに座って雑誌を読んだ。ここの居心地もとても良くて凄く気に入ったけど、あまりに静かなのでもし他に客がいてここを通りがかっていたら私を見てギョッとしていたことだろう。そんな夜の休憩スペースの様子を撮っていればよかったんだけど撮り忘れていたことだけは残念だった。

その後しばらく色々雑誌を読んだけど、参考になったようなならなかったような感じで終わり、部屋に戻る前にトイレに行こうと戸をあけて入ったら上から何やら降ってきて肩にぶつかって落下した。なんだと思って見てみるとそれなりに大きなカマドウマだったけど、そのカマドウマよりも、そんなもんが上から降ってきて肩にぶつかったのに全く動じなかった自分に少しビックリした。どうやらこういう宿に泊まってるうちに、いつの間にかそのくらいじゃ驚かない体になっていたらしい。こんなところで自分の成長を感じたのだった。まぁどうでもいい話だけど。

それからはまた温泉に入ったりして、23時過ぎくらいに就寝。めちゃくちゃ静かなので、ぐっすり眠ることができた。

翌朝「おはようございます〜。〜〜(何を言ってるのか聞き取れず)」という声がしてハっと目が覚めて「しまった、朝食の時間か」と思ってあわてて戸に向かうと、廊下にはポットとお茶の替え、そして新聞が置いてあった。時間をみるとまだ7時40分ごろで起きる時間としてはちょうどいい。替えを持ってきてくれたその心に感謝した。

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しかし今日は昨日の雨が嘘だったかのような晴天だ。気持ち良い朝!

温泉に入るには時間がないので、朝食がくるまで外を見ながらくつろいだ。今日は風もそこそこあって涼しく部屋を吹き抜けていく。更にこの天気だから、朝から最高じゃないか。
そんな風に待っていると女将さんが朝食を運んできてくれた。

女将「昨晩は暑くなかったですか?」
私「いえ、涼しくてよく眠れましたよ。」
女将「それはよかったです。この前は朝12℃なんていう日もあって、半袖の時代は終わったのかと思いました。」
私「時代(笑)」

やっぱりこの女将さんは面白い。そうやって少し雑談した後、嬉しい朝食の時間となった。

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こいつぁうまそうだぜ!

やっぱり朝食もうまい!ナスもよく味がしみてるし、トロロは普段私が食べてるものよりもサラッとしていてそれでいてうまい。とにかく全部うまい!ということで無事完食。珍しくご飯を二杯分も食べてしまったのだった。

満腹になったらいざ朝風呂へ!ということで昨日と同じく膳を廊下にだして風呂場に向かう途中、二階の洗面所でおばあちゃんが顔を洗っていたので挨拶した。なんか宿泊客っぽい感じでもないし、昨日見かけなかっただけでご夫婦と一緒に暮らしてるんだろうか。愛想の良い人だった。

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朝の様子。女将さんもパタパタと行ったり来たりしていた

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朝の温泉。相変わらず気持ち良い

「今日は源泉を入れてぬる湯を楽しもう」と思ってドバドバ入れていると、浴槽の下の方から熱い湯が出てくるので結局そんなにぬるくならなかった。もしかしたら自動で温度は調節してるのかもしれない(よくわからないけど)。というわけでぬる湯は楽しめなかったけど、それでもやっぱり適温なので朝から最高の湯を楽しんだ。

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風呂上がりに戻る途中の様子。奥を曲がると休憩スペースだ

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昨日はここで雑誌を読んでました

実は昨日から「明日風呂に入った後はもものジュースを飲もう」と思っていたので、休憩スペースにある冷蔵庫からジュースをとって宿の外で風をあびながら飲むことにした。やっぱりこういうのは外でなくちゃいかん。

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今日は晴れてるから眺めもイイっす

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昨日とはまた違った表情を見せる宿。いやぁ今日も暑くなりそうだ

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これが先に書いたワサビ。こんなのが水路に沿って沢山生えている。いいねぇ

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玄関には自分の畑でとったものか貰ったものか、トマトが沢山置かれていた。なんかいいんだよね、こういうのが

そうして部屋に戻ると、チェックアウトの時間まで最後のリラックスタイムを全力で楽しむことにした。正直、行き先も何も決まってない旅だったら絶対もう一泊していたに違いない。それくらいこの宿が気に入っていた。この宿を去るのは相当名残惜しいけど、また休みを取ってここに来ることにしよう。今度は連泊で。そう思いながら、だらしなく寝そべって地元のテレビを見て過ごした(地方のテレビ番組は大好きです)。

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さて、じゃあ行きましょうか!最高の一晩をありがとう!

玄関で「お世話になりました〜」と声をかけると、来た時と同様ご夫婦揃って出てきてくれた。しっかり清算した後「今日はどちらまで行かれるんですか?」という話から雑談が始まって、道中の観光スポットを聞いてみると、地図まで出してくれてあ〜でもないこ〜でもないと楽しく話しながら色々教えてくれた。やっぱり見ていて微笑ましいご夫婦だし、とても親切な姿に嬉しくなってしまった。

それで話によると、黒部ダムは人が多くて(特に外国人)ぎゅうぎゅう詰めでしかもそれなりに時間もかかるとか、居谷里湿原は静かで凄くいいところだったとか、その他この道はこうだからこの道を行った方がいいとか、ご夫婦も色々思い出しながら楽しそうに教えてくれた。更に別の話としては、長野ではもう子供達は夏休みが終わってるらしく、こんな早いのは長野と北海道(の一部?)くらいらしい。でもご主人が子供の頃は、夏休みが短い分「田植え休み」と「稲刈り休み」があったようでそれでバランスが取れていたんだとか。ちなみに今はどうかというと「わからない」らしい。

とそんな具合で玄関先で2~30分楽しく話をさせて貰ってから宿を出た。ご夫婦は外まで見送りに出てきてくれたので「必ずまた来させてもらいます」と一声かけて気持ちよく出発したのだった。


※今回泊まった山上旅館は私の心をがっちり鷲掴みにしてしまいました。古びた宿でも清潔さや過ごしやすさの工夫も怠らず、おまけに冷蔵庫もあれば電子レンジもあるという充実ぶり。宿のご夫婦が、自分たちの宿を大事にしているのがよくわかります。お二人の人柄もとても良いので、今度ここに泊まりに来た際にはもっとお二人と色んな話をさせてもらいたいと思いました。こういう宿が好きな方は是非行ってみてください。素敵な一晩が過ごせますから。

崖の湯温泉 山上旅館 : 一泊二食付き 11450円(桃ジュース代含む)

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