夏休み「毎日違う温泉で湯治旅」6日目です。 [5日目] [7日目]
遠ざかるカモシカを見送った後、これから山道に入っていくためまずはガソリンスタンドに寄った。そこでカモシカについて聞いてみると、街中をうろついてるのはごく日常的な光景らしく、地元民にとっては当たり前の風景だと言うことだった。ということはクマもいるのか、と思ったけどクマはもうちょっと下の方に行かないと出ないらしい。これからの道はそういう意味では安全なようだ。
ガソリンを満タンに入れたらいざエコーラインへ。宿の女将の話によると、ここからまたクネクネした坂道を登っていくらしく、それが非常に心配だ。さすがに昨日原付が止まってしまったので、次に止まってしまったらさすがにもうエンジンがかからないかもしれない。けれどこれからの予定を考えた時他に道の選択肢はなく、原付にはなんとか頑張ってもらうしかない。私は不安を胸に蔵王温泉を後にしたのだった。
エコーラインに入ってからは「なんだ、坂とは言ってもなんだかんだで大丈夫そうだな」とか思っていたんだけど、進むにつれて坂の勾配が少しづつキツくなってきて、しまいには霧が立ち込めてくる始末。これは色んな意味でヤバイ。。。
以前伊豆のやまびこ荘に泊まった帰りに遭遇した霧よりも濃い霧が目の前を覆い尽くしている。坂もキツイから原付のスピードも出ない中「ここで一度でも停車したらもう動かないかもしれない」と思い休憩もせずにそのまま進んでいった。
しかしそんな恐ろしい濃霧の中でも、装備もなしに半袖短パンで走ってる人やチャリダーの集団がいたのには驚きだった。というか目の前5mぐらいからいきなりチャリダーが霧の中から現れた時は本気でビックリした。霧の中走っていて今更だけど、こんなに目の前のものが見えなくなるのかよと思いつつ、でも生身の人間に出会えた事で少し安心もしたのだった。
そんなこんなでドキドキしながら走り続けると道の左に大きな駐車場が見え、どうやら蔵王名物の御釜に到着したらしいことがわかった。濃霧のせいで全体は見えないけどそれなりの数の車が停まっているようで、その一角にはさっき遭遇したチャリダーの仲間と思われる集団が円になって座り込んでいたりもした。皆霧の中でうつむいて座っていたので凄く危ない集会のように見えたけどただ単に疲れていただけだろう。
そのチャリダー集団の脇を通過して、少し高いところに佇んでいる建物の近くに原付を止めようと停車すると、昨日に引き続きまたもや原付がエンストしてしまった。やはりこのなかなかの坂道を走り続けるのはやっぱりこたえるらしい。「マジかよ・・・」と少し焦りつつエンジンをかけようとするも当然かからない。「もしここで完全にこいつが壊れたら俺はどうすればいいんだ・・」と冷や汗ものだったけど、私には昨日と同じように時間をあけてまたエンジンをかけてみることぐらいしか術はないのでとりあえず目の前に見えている建物に入ったりして時間を潰すことにした。
建物はロープウェイ乗り場だった。ここらへんが最も霧が濃い感じで風も強い
中に入ってみるとおばちゃん3人がいて、なにやら相談中の模様。中にはお土産もあって暖かく、人がいたことと建物内の暖かさに心底ほっとした。
御釜は有名だけど私は特にここを観光しようとは思ってはいなかった。だけどまぁ原付のこともあるし、せっかくだから御釜が見えるようなら見てみたいと思って「まぁこの霧だから見えんだろう」と思いながらも受付の人に聞いてみると「今日は霧が濃いから無理ですね」と案の定な答えをきっぱり言われたのでそのまま店内で少し温まってから外へ。
まだ原付を休ませる必要があるだろうと適当に判断し、辺りを散策してみる。霧は一瞬薄くなったりもするんだけどすぐにまた濃くなるので、ここでずっと待っててもこれから霧が晴れてくるなんてことはなさそうだった。ここからあとどれくらい登り続けなきゃならないのかもわからない。これ以上霧が濃くなるとマジで命に関わりそうだけど、しかしここに居続けてもしょうがない。原付が動くようなら出発するしかなさそうだった。
そんな感じで大体15分くらい休憩したところで出発する決意をし「頼むぞ、俺の愛車!」と神に祈る思いでエンジンをかけると、まるで何事もなかったかのようにいつものごとく普通にエンジンがかかった!昨日のことといい、どうやら私の愛車は素晴らしい根性と気概を兼ね備えていることに間違いはなさそうだ。なんと頼もしいことだろう、私は「ヨシ!」とリアルに発してなるべくスピードを落とさないようにしながら出発した。
不安が残るまま出発し、更に濃くなっていく霧の中を進む。「一体どこまでこの霧が続くんだ・・・」とちょっと嫌になってきていたころ登りっぱなしだった道が下りになり始め、これでとりあえずエンストの恐れは大分減ったなと安心していたら、さっきまで前方3mくらいまでしか見えなかったような霧が一瞬で晴れていった。
もっと段々薄くなって最後には晴れるみたいなのを想像していたけど、一瞬とは言わないまでも本当にすぐに霧が晴れて目の前には青空が広がっていた。日差しがある分気温も大分夏らしさを感じるぐらいにまで回復して、無事に霧の迷宮を抜け出すことに成功したのだった。
そうすると、すぐ目の前になにやら店があるのを発見したので反射的に寄ることに。今度は原付はエンストしなかった。
駐車場にはそれなりに車が停まっていて店内やテラス席にも人がいるんだけど、どうやら大半は店の裏側にあるらしい観光スポットに寄っているようだったので、私もまっすぐにそこへ向かった。
舗装されていない道には高山植物が生えていて、その見たことのない直物を観察しながら進むと展望台があった。結構な強風が吹く中そこに立ってみるとこれまた雄大な眺めが目の前に広がる。正直蔵王温泉にいくまでにはそこまで山を登った感はなかったんだけど、この景色を見たら「いつの間にかこんなに上の方まで来てたんだなぁ」となんだかしみじみしてしまった。
周りにはカップルやら熟年夫婦やらが「凄いな〜」なんて言いながら楽しそうにしている。これからあの霧の中に突っ込んでいく人たちもいるだろうけど、私のようにあの霧の中を越えてきた人たちならここではしゃぐのも無理からぬこと。私もここに友達と来ていたならはしゃいでいたに違いない。それほどここは開放感に溢れていた。
しばらく景色を眺めていたらすっかり気力も回復したので先に進もうと原付の元へ。今回は無事にエンジンもついたので、さっきとは真逆の景色の中、相対性理論の気になるあの娘を歌いながら気持ち良く原付を走らせた。
その後しばらく快適に山を下りていくと、この日の最初の目的地である遠刈田温泉に到着した。
やった到着!と思ったら遠刈田温泉はこの鳥居を右に少し行ったところにあるようだったのでそのまま温泉街へ向かった。時間も昼頃なので中々良い時間に到着できた。
蔵王温泉でもこけしの専門店があったけどここでもこけしは有名なのか、こけしの大型看板が私を出迎えてくれた。周りにはオシャレなハンバーガー屋やらがあったりしてそれなりに遠刈田温泉は栄えている様子で、思っていた感じとは違ったけどそれが逆に良い感じだった。
普通ならここで駐車して街を散策するんだけどちょっと離れたとこに有名らしいラーメン屋があったのでそこへ行ってみるも休みだったので、また温泉街へ戻ってさっきのこけし看板の裏にある公園の端に原付を駐めて散策に向かうことにした。
公園より。目の前の建物は線路も無いのに勝手に駅だと思っていたけど、後々共同浴場であることがわかった
空は晴れ間が覗いてるものの曇りが優勢のようだったのでヘルメットを持っていくか悩んだけど、持って行くのもわずらわしいので持っていかないことにした。とりあえず右に見える道を進む。
こういう道は割と好き。右の店にはちょっと怪しげな文言が掲げられているけど店内は普通だった
大きな天狗面が飾られているヤマザキショップはおそらくここだけだろう
店を流し見しながらちょっと歩くとすぐに店もなくなってきたので引き返して広場付近へ。広場前の共同浴場からはちょこちょこ人が出てきている。その大半が観光客のようだった。
堂々とした佇まい。しかし入ることはなく、今となってはあの時なぜ入らなかったのかはわからない。。。
神の湯脇の道を行くとすぐに神社があった。やはり旅に神社はかかせない
その横には源泉が流れている溝が。ここは鉄分が多く含まれる温泉が湧いているようだ
境内。すぐそばに恐らく宮司さんの家があってなんだかのんびりした空間に感じる
どうやら修験道系の神社らしい。芳名簿にはちゃんと書いておいた
木が多い分若干涼しい境内にて、神様に無事ここまで来られたことへの感謝を述べて少し休憩。気休めと言われればそれまでだけど、こういうことが原付の事故を遠ざけていると思ってしっかり参拝するのはやはり効果があるように思う。そういうものを感じるというのは(個人的に)大事なことなのだ。ここも中々良い神社だった。
神社を後にして、さっきの小さな商店街の反対側に行ってみると特に気になるものもなかったので、そろそろ昼食を食べようと商店街の方に戻った。店はさっき密かに決めておいたのでまっすぐ向かおうとしたけど、何やら雨が降り出しそうになってきたので面倒だけどヘルメットを持って店に向かった。
北岡商店と書いてあるけど店はハンバーガー屋だった。ちょっと住んでみたい建物かも
このハンバーガー屋も美味そうだったけど、こういう店は東京にはいくらでもあるので入らなかった。基本私は旅先(特に地方)にある都会っぽいオシャレな店には入らないのだ。
ということで
喫茶店好きなので一目でここで食べることに決定した。看板が素晴らしい
田舎の喫茶店ほどそそるものも少ない。ここはご飯も美味しそうだったので迷わず入店した。外観からは小さな建物に見えたけど店内もやっぱり小さくて、エル字型に奥に少し長い作りだった。入って右側の席には地元の人らしき家族連れがいたので、私は一番奥の席に座ることに。なんだか温厚そうなマスターが笑顔で迎え入れてくれた。
突き当たりの壁には漫画がたくさん置かれていて喫茶店としての嗜みをしっかり備えていることに大満足の私。中でも刃牙シリーズが充実していたのが素晴らしかった。そうやってキョロキョロしてるとマスターが水を持ってきてくれて、私のヘルメットに気づいたマスターが「バイクで来られたんですか?だったら少しお安くできますので。うちはバイカー割りやってるんです」とニコニコと言ってくれてありがたさの極み。霧雨のような雨だったけどヘルメットを持ってきて正解だった。
メニューを見てみるとあまり目立たない感じでピロシキがあって、それがどうやら中々ウマイらしいのでピロシキと田舎ラーメンを注文。今まで昼にラーメンばっか食べてたから他のにすればいいものを、隠れ人気という一言に惹かれて注文してしまった。次回はハンバーグ定食を注文しよう。
本当は刃牙でも見ながら喫茶店を満喫したかったんだけど、宿に行くまでの道のりやらなんやらを調べていたらすぐに注文の品が運ばれてきた。客も少ないので品がくるのも早かった。
田舎ラーメンはあんかけっぽく見えるけど、具材にのみ餡がまとわりついてる感じの醤油ベースのラーメンで、ピロシキは可愛らしいサイズのアツアツピロシキだった。これはどちらもウマそう。
早速食べてみると、思った通りあっさりとしたラーメンに味の付いた餡が絡んでしっかり美味しい。まぁ正直これ以上何か言えるほど覚えてはいないんだけど、とにかく美味しかったことだけは憶えている。ピロシキもサクっとしていてこれまた良い味。この店を選んで正解だったようだ。
食後、時間もまだまだ余裕があるので少しのんびりしてからお会計をした。最初にマスターが言っていた通り、バイク割りで少し安くしてもらってお金を払っていたら、マスターから「どこからいらっしゃったんですか?」と聞かれ、そこから少し雑談が始まった。
マスターに「今日はこの先にある鎌倉温泉ってとこに泊まるんです」と言うと「渋いですね(笑)私も一回泊まったことがありますけど、自分を見つめ直すには良いとこですよ」と笑っていた。まさかの返答だったので、続いて道のりを聞いてみたら地図を見ながら途中の見どころなんかも交えて親切に行き方を教えてくれた。どうやら私の心配の一つだった急な上り坂なんかはないらしく、宿も温泉も良いので楽しんでくださいとのこと。やはり地元の人との触れ合いは素晴らしい。私はひとしきり礼を言って店を後にした。雨はまだ淡く降っていた。
まだ時間に余裕はあるものの、なんとなく宿へと向かう。と、その前に
時間があるんだから入っていけばいいものを、何故か遠刈田温泉の湯を味わうことなく出発した。しばらく行くとコンビニ(セブンイレブンだったと思う)があるからそこを曲がれと言われていたので、無事に発見したコンビニで夜食用のパンを購入してコンビニを左折する。
そこからどんどん里の様相が濃くなっていき、店も全くと言っていいほどなくなってきた。どうやら宿は私の思っていたような山の中という感じではなく、里の中という感じらしい。
ちょくちょくこういう小さな手作り看板があるから道はまぁわかりやすかった
周りは畑ばかり。たまに自販機なんかもあったりするけど、宿に近づくにつれ民家もあまりなくなってくる。どうやらコンビニで夜食を買ったのは正解だったみたいだ。
ほんのちょっと迷ったけどどうやらこの先が鎌倉温泉のようだ。もう建物も見えている
舗装はされているものの細い道を少し行くと右側に砂利の駐車場が見え、その先に赤い屋根の鎌倉温泉が見えた。事前に少し調べて知っていた通り、やっぱり建物の感じが素晴らしそう。私はさっさと原付を駐めて、荷物を持って宿へ向かった。
駐車場からはちょっとキツめな坂があり、そこを下るとまた駐車場があった。結構訪れる人が多いのだろうか。まぁそれはともかく宿へ。ワクワクが止まらない!
この鎌倉温泉、夏休みの旅を計画中に初めて知って一目惚れでこの宿に泊まることを即断したくらい気になっていた宿だったので、実物を目の当たりにして大感激だった。どうやら右の建物は新しく建てたのか改装したのかで新しかったけど、どちらにせよこの宿の空気感は私を満足させるのに十分なオーラを放っていた。特に左の宿泊棟、更に言えば二階部分が特に素晴らしい。
でもそんな素晴らしい宿の撮影は後にして、とりあえず中へ。入り口前の休憩所には若者が二人休憩していて、玄関にはご老人のお客さんが一人帰ろうと靴を履いていた。「平日の昼間なのに客が多いんだな」なんて思いながらフロントに行って名前を言うと、親切そうな女将さんが部屋まで案内してくれた。部屋は宿泊棟に繋がる渡り廊下を渡って右に二つ目くらいの部屋で、二階に泊まれないことが少し残念だったけどそれでも良い感じの部屋だった。
部屋は一人客にとっては十分な広さだ。掃除もちゃんとされているようで室内も綺麗だし、とてもゆっくりできそうで大満足な私。ただ、部屋はドアで入るのではなく襖で鍵もないので、気になる人は嫌かもしれない。私は全く気にしないけど。
襖に四角い窓(?)が嵌められているので「こんなんじゃ外から丸見えじゃないか!」と思われるかもしれないが、外からはほとんど見えないようになっているガラスなので大丈夫
調度品の囲炉裏?じゃなくて火鉢か。冬に実際に使ったりするのだろうか
アメニティは浴衣・歯ブラシ・フェイスタオルのみ。最低限中の最低限な感じ
部屋にエアコンはないものの、そこまで暑くはないので扇風機で十分だ。こういう部屋はやはり扇風機でなくてはならない。風情は大切にすべきなのだ。
ただ、アメニティにバスタオルがなかったのは少し残念。温泉を売りにしている宿では(私は)何回も温泉に入るからバスタオルはちゃんとあってほしいと思っているけど、でもそれは今回に限っては贅沢な注文なのはわかっている。なんせここの宿代はとても安いのだから・・・。それに私は自前でバスタオルを持っているので別に大した問題でもなかった。
そんなこんなで部屋やアメニティをじっくり観察しながら休憩した後、宿とその周辺散策に向かった。なんてったって被写体として申し分ない素敵宿なので、宿散策もとても楽しみだ。
部屋前の廊下の奥。今日は私の他に泊まりの客はいなさそうだ。しかし良い
上の写真の反対側。左側に渡り廊下があって本館(?)とつながっている。
面白い感じで二階への階段がある。この長い廊下に古めかしい床や壁が何故か懐かしく感じる
漫画もたくさんで、これなら退屈しなさそうだ。公衆電話があるのもなんとなくありがたい
左を見ると渡り廊下で右にはトイレがある。渡り廊下って好きです。その渡り廊下を渡ると
フロントの左側にでる。飲み物やお菓子、自家栽培の野菜なんかも売っている
その左側は温泉へと続く廊下。新しい建物だけあって宿泊棟よりも新しさが際立つ感じ
玄関から入ってすぐの休憩所。地元の老人たちが風呂上がりを楽しんでいた
外より。この真ん中の道をご主人が農機に乗って往復していた。奥に畑なんかがあるんだろう
二階は洗濯物が沢山干してあって女将さんが行ったり来たりしていたから、やはり居住スペースなんだろうと思う。この二階に泊まれたならどんなに良かったことだろうと思うし、二階がどんな感じの構造になっているのかも凄く興味があっただけにそこは残念。でもこの横に長い廊下に開け放たれた窓、それに年季の入った廊下や朴訥な二階への階段なんて、この空間にいられるだけでノスタルジックな気持ちになってくる素晴らしい空気を演出している。おまけにこんな山にかこまれているのに虫がほとんどいないのが意外というかありがたいというか、過ごしやすさに拍車がかかっている。私は京大の吉田寮とか大好きなので、木造の建物での下宿生活に憧れを持っていたりする故に、こんなところで下宿生活なんてしたらきっと凄く楽しかったに違いないとなんとなく思った。まぁ吉田寮よりもこの鎌倉温泉の方がはるかに綺麗だけど。そういえば吉田寮も一泊二百円で泊まれるらしいから一度は行ってみたい。
と、そんな感じで一通り建物を探索したら、さっきからひっきりなしに客が入りに来ている温泉の前に、宿の裏にあるという川を見に行くことにした。良い感じの川だったら釣りでもしようと思ってみたものの、ちょっとぬかるんだ道を進んでいくとちゃんと川はあるものの、川底は滑らかで魚が着きそうなポイントもなく、実際魚は一匹も見かけなかった。一応散策路らしく途中に休憩のための椅子なんかはあるものの、奥に行っても川の状況は変わらず(途中小さな滝はあったけど)、中型の堰堤に行き当たったその先は藪地獄で道もなかったので、結局写真を一枚も撮ることもなく、ただ汗だけをかいて宿に戻ったのだった。
宿へ戻ってからは汗だくだったので温泉へ直行。客がいたので写真はこの時撮らなかったけど、とりあえず湯が熱く、さらに入浴客が多くてあまりゆっくりできなかったので汗だけを流す感じですぐに風呂からあがった。
その後部屋に戻ってなんとなくグーグルマップで周囲を見てみたところ、まぁ近いところに道の駅があったので行ってみることにした。時間もまだ余裕があるしとりあえず行って何か買うことにしよう。
ちなみにこの宿は電波が弱いながらもwifiが通っているので一応ネットはし放題でありがたい。
道はやっぱり車通りも少なかったので原付をスイスイ数十分走らせて道の駅村田に到着。近くに昔の街並みが残る村田という町があったんだけど、ちょっと疲れ気味だったので今回はパスして道の駅のみにしておいた。
中には新鮮な野菜が沢山売られていたけど興味があっても私には縁のない品なのでとりあえず土産を探す。でもそんなに気になるものもなかったので偶然発見した温泉卵を購入して道の駅を後にして、隣にあったコンビニでリンゴジュースを購入して宿へ戻った。宿にはトイレの前に宿泊者専用の小さな冷蔵庫があったのでそこで冷やしておける。wifiといい、良心的な宿だ。
部屋にて。この温泉卵は小野川温泉で買ったものよりも数が少ないのに割高で、小野川温泉の温泉卵が結構良心的な値段だったことを実感したのを覚えている
なんとなく時間があったのでまた散策。建物は古いけどトイレは綺麗だった。
さっきは開いていたのに道の駅から帰って来たら戸がしまっていた。しかしこの戸の控えめな意匠がまた良い
その横の二階に上がる階段。上に行きたい欲望に駆られたけどなんとか我慢した。やっぱり良いよなぁこういうの
タクシーの連絡先や駅の時刻表なんか貼ってあって良心的。この宿に車以外で来るとしたらやはりタクシーが一番楽なんだろうと思う。バスも一応来るんだろうけど
という感じでちょっとした二階目の散策も終えたところで部屋に戻ってのんびりタイムを過ごす。襖の窓の向こうでは頭にタオルを巻いて農機に乗って移動しているご主人や入浴客の老人達の姿、それに廊下を行ったり来たりしている女将さんの姿になんともまったりさせられた。まぁ正直農機の音は多少うるさかったけど、それでものどk外を見ながらこの建物の空気を吸うのはとても居心地の良いものだった。こういう木造の宿にはやはり夏がよく似合うから、これから夜にかけても存分に楽しませてもらおう。
で、wifiの電波が弱いので布団を廊下側の方に移動してスマホで調べ物をしたりしていたらすぐに時間は6時近くになりもう夕食の時間。なので本館の食事処へ向かった。
食事処は本館休憩所の真横で、休憩所とは簾で分けられている綺麗な広間だった。用意されている席に座ったら女将さんが扇風機とテレビをつけてくれて、客は私一人だけなのでなんだかとても贅沢な気分だ。床もピカピカで天井も高いので尚更だった。
ご飯は量も十分にあって、自家栽培の野菜もふんだんに使われていてとても美味しくいただけた。夏らしくスイカがあるのも嬉しいし、白米も言えばおかわりを持ってきてくれるので満腹になることができた。正直値段的に食事はあまり期待していなかったけどこれなら十分しぎるほどだろう。せっかくなのでテレビを見ながらいつもよりゆっくりと食事を楽しんだ。そしてその最中にも入浴客はひっきりなしなのだった。
夕食後は玄関前にある休憩所でひと休憩。薄暗くなっていく景色の中に溶けていく宿がとても風情があって長いこと座っていた。いやぁ良い夜になりそうだ。
しばらくヒグラシの声を聞きながら無心で座っていた。あの遠刈田温泉の喫茶店のマスターのいう通り、自分を見つめ直すには確かに絶好の場所かもしれない。こんなに静かで虫の声くらいしかしないような環境なんだから、もうゆっくりする以外に選択肢は無いと思える。更には他に宿泊客がいないときたもんだから、今夜は存分に物思いにふけさせてもらおうと思った。でもこんなに夕暮れが良いだけに、二階に行けないのはやっぱり残念だけど。。
薄暗い廊下。明かりがついてても不思議なことにほとんど虫がいなかった
温泉は20時から2時間だけ宿泊者専用となるのでその時間まで本を読んだりしてから温泉に向かった。日帰り客がいる間は混雑していただけに、今度は貸切状態で楽しませてもらおう。
脱衣所はそれなりの広さでドライヤーもあるのでありがたい。ただこのカゴの分だけの人数は絶対に浴場には入れないと思う。
22時までの間に計2回入ったんだけど、最後の一回は脱衣所で風呂上りのご主人と一緒になった。すごく良い人そうな感じで、実際愛想の良い話しやすい人だった。ほんの少しだけ話をしたんだけど、旦那さん曰く温泉は薪で焚いてるから温度調節ができないんだそうで「のぼせないように」「熱かったら無理せずうめて」とのことだった。
というわけで少しの雑談の後誰もいなくなった浴場に直行した。
ここの温泉は弱アルカリ泉で、皮膚病や肌荒れなんかによく効くことで評判らしい。その湯も循環ろ過と掛け流しを併用しているみたいだけど不純物が一切無いのか凄く透き通った湯だった。すぐに体を洗って入ってみると、ご主人がちょっとうめていたのか最初入った時よりかは入りやすい温度になっていた。けど浴槽が小さいのでほっとくとじわじわと熱くなってくるのでホースで水を入れながらの入浴となった。
外は真っ暗でなんにも見え無いけど窓を開けると風が気持ちよくて、さらに蛙の鳴き声が温泉の雰囲気を増してくれる。お湯は正直に言えばほとんど特徴はない感じで、なんとなく群馬の大塚温泉に似ている。結構な厚さだけどうめれば入り心地はなかなかだ。ちょうど良い温度にキープするのに時間がかかったけど、結局結構な時間のんびりと楽しませてもらった。
温泉から上がった後は再び外の休憩所でしばらく体を冷ましてから部屋に戻り、買って来た温泉卵を食べながら宿の夜を満喫して就寝。とてもよく眠ることができた。
朝は6時30ごろに起きた。朝食までにはまだ30分あるので温泉に入りに行ったらおじいさんが一人。まだ日帰り入浴は受け付けてない時間だから恐らく宿の人だろう。とりあえず一緒に朝一の湯を楽しませてもらった。
温泉からあがったらすぐに食事処へ。女将さんに挨拶をして席に着き、相変わらず一人で広々と使える広間を他のしみつつテレビを見ながらゆっくり食事をした。しかし、日帰り入浴は朝は7時からなんだけど、7時になったらいきなり何人も客が来ているのには驚いた。やっぱり人気があるらしい。
反対側は眺めの良い庭になっている。この日は眩しいほどの晴天だったので食事の時間も気持ちが良い
朝食は野菜中心のメニューだけど、どれも味が良いので美味しく食べられた。中でも右の海苔に巻かれたやつが美味かった記憶がある。白米も十分に用意してくれてるので、普段東京では見られないローカルなテレビ番組を見ながら(私は地方のCMや番組が好きだ)腹一杯になるまでゆっくりのんびりと朝食をとったのだった。
食後はこれまたのんびりタイム。今日の宿も距離的に近いところにあるのでそんなに急いで出発する必要もないから、チェックアウトギリギリまでこの宿を楽しもうとダラダラすることにした。日差しが廊下に斜めに差し、蝉がミンミンと夏らしく鳴いてる中で女将さんが廊下の拭き掃除なんかやってるのは最高のシチュエーションだった。
朝の廊下。青いバスタオルを干している前の部屋が私が泊まっている部屋だ
しばらくすると廊下の仕切りも空いていた。なんか言葉にできない良い雰囲気を感じた覚えがある
こんな感じで朝の時間を過ごし、最後は子供科学電話相談を聞いていたらチェックアウトの時間になったので出発。最後の最後までこの宿の夏を楽しませてもらった。
荷物をまとめてフロントでお金を払い、少しの雑談の後出発。晴天がこのままお供してくれたら嬉しいんだけど不安定な天気が続いてるからどうなることか。
ともあれ、素敵な宿に後ろ髪を引かれながらも今日の目的地に向けて鎌倉温泉を後にしたのだった。
書き忘れてたけど女将さんが雨の心配をして原付を屋根のあるところにおかせてくれていたのでした。お世話になりました。
※この鎌倉温泉、どストライクで私が好きな雰囲気だったので泊まることができて本当によかったです。わがままを言えばもうちょっと山の中にあってほしかったとか入浴の時間のことだとかあるんだけど、それでもこの宿を選んだことは正解だったと思いました。女将さんもご主人も優しく、どこかノスタルジックなこの宿は是非また訪れたいと思います。値段もかなりリーズナブルなところもおすすめです。
これまでの肌スベスベ度(通常時★1つ)
★★★★☆ ←前回と変わらないけどスベスベは維持できていた
鎌倉温泉 : 一泊二食付き 5400円