秋旅行1日目後編です。 [前編]
途中有名だという肉屋やバームクーヘン屋、奥利根最後のコンビニなんかもあったけど今回はスルーして宿へ一直線。もう湯檜曾方面に向かう車よりも、そっち方面から帰ってくる車の方が多くなってきた。
時代を感じさせる橋脚と線路の向こうに、川沿いに並ぶ湯檜曾温泉街の建物が見えた!まるで線路を潜るとそこから温泉街ですよと言わんばかりのロケーション!川沿いの温泉街は大好きだからテンションも更に上がっていく!かなり寒いけど!
旅館が何軒か街道沿いにあって確かに温泉街なんだろうけど、歓楽的なお店は何もなく、あるのは個人商店くらい。後はほとんど民家という感じで一般的な温泉街的風情のイメージは当てはまらないけど、このひっそりとした雰囲気、平和で好きです。
この廃ホテルの目の前に今日の宿があったんだけど、なぜかギリギリになって「ちょっと温かいコーヒーでも飲んでから行こうかな」と急にそんな気分になったので、急遽自販機と休憩ポイント探しをすることにした。外は結構寒いけど、もうなんだか慣れてきている自分がいる。
さっきの看板にあったホテル湯の陣まで来たところで、ちょうど川に出られそうな場所があったので河原へ向かう。さてどんな川なのかしら。
お〜、やっぱり川の水はスンゴイ透き通っていて痛いくらい冷たい!魚の姿は見えないけど、ここらは釣りがしやすそうでいいなぁ。湯檜曾とかその先あたりは夏に行きたいと思ってた場所だったけど、こうして下見できたのはよかった。
私は最近いつもよりコーヒーを飲むようになったので宿に行く前に一杯くらいは補給しとかないとな。こうして寒さを我慢しつつ飲む温かいコーヒーはうまい!河原で1人しみじみと飲んだ。
どうやら大正11年創業の老舗温泉宿らしく、HPではかつての宿の佇まいを見ることができる。
そこに写っている木造の建築はかなり素晴らしいものだけど、現在は時を経てリニューアルされているこちらもなかなか期待できそうじゃないか!平和な田舎の温泉宿、楽しませてもらおう!
土産バッグ含め荷物をせっせと運んで館内に入ると、中は暖かくてうっすら正月のような和のBGMが流れている素敵な空間が広がっていた。
荷物を一旦置いているとすぐに帳場の奥から若女将が「寒かったですよね〜、おつかれ様です」と笑顔で出迎えてくれたのが嬉しい。凄く人当たりの良さそうな女将さんだ。
ブーツを脱ぎながらそんな女将さんと雑談しつつ上がらせてもらうと、まずは「こちら書いてもらってよろしいですか?なんか病院みたいで申し訳ないですけど。。」と体調に関する項目が並ぶ用紙を書くように促されたのも今の時期らしい。手ももちろん消毒したけど、今更ながら朝に負った切り傷に沁みるから今回の旅はなかなか辛いぜ。。
記入後に赤外線温度計でおでこの温度を測ったら、いよいよ部屋への案内だ。いつも通り部屋までの間に色々と説明してくれるんだけど、温泉に関しては「時間で男女の浴室が入れ替わるようになってるので、とりあえず青い暖簾の方に入っていただければ大丈夫ですから(ニッコリ)」ということらしく、今の時間は男は小さい方の浴室のようだった。
しかし女将さん、営業スマイルな感じじゃなく自然とにこやかに話してくれて良い人感がにじみ出てる。それだけでもここが良い宿だとわかるなッ。
旅行においてまず一番の安堵ポイントの1つが宿の部屋に入った時。その部屋で自分の家のようにくつろげる安心感と楽しみは、宿までの距離が長ければ長いほど増大する。
今回もそれなりに長い距離を走ってきたわけだけど、その末に通されたこの部屋を見た瞬間、「来てよかった〜」としみじみ思った。部屋は特別豪華だとか広いというわけじゃないけど、窓の向こうに広がる紅葉の景色と至って清潔な部屋、そして窓を閉めていても聞こえてくる川の音に私は既に大満足だった。
私の好きな広縁が無いのは残念と言えば残念だけど、でも窓際にはそれを意識してかちゃんと椅子も用意されているし全く問題ない。思わず女将さんに「いいじゃないですか〜」と言ってしまったのは本心からだった。
その後女将さんが食事のことや温泉のこと、更にその他諸々を説明してくれた後、ここまで来る間に気になっていた事を聞いてみた。
私「紅葉はもうちょっと後ですか?」
女将「いえ・・・、ここいらの紅葉のピークはもう過ぎてまして、もう葉っぱもなくなってきちゃってて色もそんなにで、今年はあんまりなんです」
とのことで、なんとここは標高も高いから既に紅葉の見頃は過ぎてしまっているらしい。確かに窓から見える木々ももういくらかさびしくなってきているのもあるけど、ここら辺の紅葉の見頃というのはそんなに早いもんなのか。色づきが良い年の見頃の時期に是非ここから景色を見てみたいもんだけど、今でも十分綺麗だからこれはこれで楽しめるぜ!
机の上にはドリップコーヒーと夜食用のカップ麺にお菓子。そういうプランで予約したのでカップ麺なんかがあるわけだけど、なんだか新鮮な気分。りんごとともにいただこう。
やはり田舎の温泉宿はイイ。朝にあのコーヒーで一杯やりながらこの景色を眺めてぼーっとしようと早くもプランを立ててしまった。今は今で早めにチェックインできたおかげで時間に余裕があるし、真夜中に雨に濡れながら走ってきた甲斐があったぜ。。
部屋にトイレと洗面所があって冷蔵庫もあり、更にアメニティも全て揃って全体的にとっても清潔となればもうなんの文句もあるはずもなし。それに加えて温泉もあるんだから・・・・私は今日、思う存分楽しませてもらうゾッ!!
私の部屋は2階で、温泉は一階のロビーからすぐにアクセスできる場所にある。後で確認したらなぜかロビー全体を撮った写真がなかったのでそこは申し訳ないです。
女将さんに部屋に案内してもらう時、「今は人数制限をしているので温泉が人で一杯になることはないと思うので、ゆっくり温まってください」と言っていたけど、その言葉通り今入ってる人はいないようだ(というかチェックインしてる人が今んとこ私だけっぽいけど)。
湯檜曽に湧く温泉はアルカリ性単純泉。もちろんこの宿の温泉も同じで、源泉掛け流しの24時間入れる温泉というところが最高だ。早速貸切状態でいただきます!
白っぽい浴室に映える濃いブルー系の浴槽、綺麗じゃない!そこに贅沢に注がれる源泉の勢いもまた良いので常にオーバーフローしている。湯量が豊富なんだなぁ!
温度は私にはちょっとだけ熱めに感じるけどすぐにのぼせるような温度じゃない。
湯は全くの無臭だけど、入ってみると体のすみずみまで染み入るような優しいお湯でかなり気持ち良い!お湯も新鮮そのもので、体の力がスーッと抜けていくような柔らかな感覚が心地いいぜ。。窓から入ってくる冷風もこの時ばかりは安らぎの一助になってくれているようだ。部屋と同じように川の音も聞こえるし、これは環境も合わさった非常に良いお湯ではありませんか。。
風呂から上がった後は体が温まってるうちに宿を出て谷川岳方面へ向かう。
そちら方面は道路としてはどん詰まりになってるんだけど、その手前にはドライブインや有名な土合駅があるので、観光と買い物がてら向かうことにする。
今から谷川岳方面に向かってるのは私くらいのもので、すれ違う対向車は帰りの観光客だろう。ドライブインが閉まる時間は後1時間くらいだろうか。なんとか今日行けそうで良かったぜ。
なんだかわからないけどこのドライブインに到着した時に最果ての地に来たような気持ちになった。この先もうちょい道を行けば行き止まりということで果ては果てなのかもしれないけど、観光客も去ったこのうら寂しい感じがそういう気持ちにさせるのだろうか。
しかしともあれ営業中に到着できたのは良かった。りんごジュースが帰ることを祈る!
中に入ってみたらお客さんは2人だけ。この売店の右にある食堂には1組だけという状況だった。
お土産を色々物色してみると漬物や製造直売のお菓子、他に谷川岳グッズなど案外幅広い品揃えで出迎えてくれたけど、色々見て回った結果なんだか平べったくて持ち運びしやすそうなゆずと大根の漬物をまず手に取った。
りんごジュースはというと何かの受付っぽいところに1瓶だけ置かれていて買えるのか疑問に思ったので「あのりんごジュース欲しいんですけど、買えますか?」と聞いてみたところ見た通り最後の1瓶らしく、「タイミングが合わないと全然入ってこないから、お兄ちゃん運が良かったね」とのことで無事購入することができた(後で見てみたら宿に来る途中に寄った鈴木りんご園さんの商品でした)。
店員のおばちゃんもにこやかで目当てのものも買えて良かった良かった。
もう体からはすっかり温泉のぬくもりは消えていたけど、やっぱりこの寒さに体が慣れてしまったようで冷たいジュースを飲んでも全然平気。夏にハマったピーチネクターが飲めてありがたい。しかしこの静まり返ったさみしい感じ、そこはかとなく体に馴染むな。この感じは旅行でしか味わえない、1つの醍醐味だ。
駅前の駐車場(?)は舗装もされておらず砂利。その無骨さがなんだかノスタルジックな雰囲気に満ちていて期待が高まる。車も思ったより駐まっていて、見学に来ている人も多そうだ。
ここは無人駅なので営業もなにもないけど、どうやら最近出来たらしいカフェは既に閉まっていた(多分あの切符売り場の中だろう)。
中には数組の観光客がいるだけだったけど、時間的なものもあってかなんだか物寂しい雰囲気だ。家族連れで来ていた女の子のはしゃぐ声だけが唯一の活気という感じで、個人的になかなか居心地が良い。
通路の途中にドアがあり、そこを開けて入ると吸い込まれる風に勢いよく体を押され、驚きながら先を見るとついにあの有名な階段に到着したようだった。中には久しぶりに人の声が響いていて、すでに目の前には何人かの人が。よし、早く行こう!
ここは有名だから過去何回か画像は見たことがあった。でもいつだってそうだけど、こうして肉眼で見てみるとその迫力たるや比にならないほどだ!階段はまっすぐ延びてるはずなのに底がまったく見えない!これは凄いなっ。
ず〜っと下の方から人の喋り声が聞こえてくるからちゃんと下まで降りた人たちがいるんだろう。私も一番下がどうなってるのか知りたいけど・・・・でも往復何分くらいかかるのかも分からないし、相当モモにきそうだから情けないけれども思い出に10段くらい降りただけで終わりにしておいた。いつか一番下を確認できる日が来るんだろうか。でもここは来て良かった!
と有名な大階段を見て大満足な私だったけど、更に私を満足させるものがもうひとつあって、それが
ここまで歩いてきてその美しさに感動してしまった(というのは言い過ぎだけど)。時代を経て痛み曇りがかった窓とそこに伸びる細いツル植物。同じく痛みと染みが露わになった冷たいコンクリート造の構内。それに加えて更にこの薄暗さときたら、さながら崩壊した世界にかろうじて残存する遺構のようじゃないか。もう素晴らしいの一言に尽きるッ。まさか、あの階段に向かう途中がこんな素敵な通路になっていたとは、本当に来て良かったよ。
ここはかつて民宿だったみたいだけど、現在はご覧の有様。
ちなみに土合駅裏手には土合山の家という宿もあって少し泊まってみたかったけど、朝風呂に入れないということでやめておいた。
ここらで時間はちょうど17時くらいだった。夕食は18時なのでまだ時間があるから、ちょっとばかり辺りを散策してから戻ろうかな。
旅行中にはこんな(個人的に)素敵な物件に出会うことも多い。大体は廃墟廃屋だけど、もしこれが自分のものだったらなぁなんて想像すると楽しくなってくる私がいる。有り余るほどのお金を持っていたならこれを買い取ってちょっとばかり手を加えて疲れたら温泉・・・なんて妄想が止まらない!私の旅行の楽しみの1つである。
さて、ここからもうちょい先に行くと足湯なんかもあったりするんだけど、のんびりと足湯でリラックスしている人たちがいたので手前で折り返して宿に戻ると、玄関前の喫煙所でさっきはいなかったおじいちゃん(宿のご主人。大旦那?)がタバコを吸っていた。いい機会なので挨拶がてら声をかけると、ほがらかで優しそうなおじいちゃんとの雑談が始まった・・・けども、あんまり長いこと喋ってたんでその一部だけ書き留めてみると
・ここらへんには普通にクマが出て、この前はそこの道を横断してた。奥さんといつもの散歩道を歩いてたら子グマに会った。
小さい頃も良くクマに出会った。ある時友達と遊んでたら川の向こうに1匹のクマが寝転んでいて、川を挟んでるから大丈夫だろうと思って石を投げたら命中したけれどもクマはピクリともしない。皆で見に行ってみるとクマは気絶していた。「数日前に大水が出たからそれに流されて脳震盪でも起こしていたんでしょうね」とのこと。よくやるよおじいちゃん。
・宿向かいの廃墟は20年前くらいに廃墟になってそのままだという。バブルの頃団体客を当て込んで作られたホテルで、建設時地元の人たちは「こんな田舎にそんな大きいのを建ててもしょうがない」と止めたが聞かなかったという。所有者はもうホテル業を続ける気はないらしい
・風呂のタイルは職人さんにお願いして昭和17年くらいに貼り始めたが、後は天井に貼ったら最後というところで戦争が始まって職人さんも出兵することになり中断されてしまった。しかし無事戦争を生き抜き、その後「まだ仕事が残ってる」と言って途中になっていた天井を手がけたという。
以前とある建設会社の社長さんから「あんなタイルを貼れる人はもう少ない」と褒められたことがあると嬉しそうに語っていた。
とそんな感じで他にも色々お話をさせてもらったけど、何か聞くとニコニコしながら色んなことを聞かせてくれて聞いてるこっちも凄く楽しくてありがたい。おじいちゃんも昔を思い出すのが楽しそうに見えた。
そうして話をしていると宿泊客の老夫婦もタバコを吸いにきて、自然と話に加わることに。
「お兄さんはどっから来たの?」から始まってこれまた色々話を聞かせてもらったけど、その中で1つ個人的にかなり気になることを聞かせてもらった。
おば「お兄さんは登山で来たの?(←これ結構間違われるんだけど場所柄なのかそう見えるのか)」
私「いや、ただの観光ですよ。夏とかだったらそこの川で渓流釣りとかしてたと思いますけど」
おば「へ〜、私たち今日は山菜採りしてきたんだけど、そこに小さな沢があってね、今日も沢山イワナが泳いでたよ〜」
私「え?今日もって、いつもそんなにイワナがいるんですか?」
おば「あそこだったらイワナを手で捕まえられるよ、ねぇ?(おじいちゃん頷く)毎年そんな感じでね、今日もクレソン採ってたらピュ〜って」
私「へぇすごい!じゃあ釣り人が全然来ないとこなんですね」
おじ「あそこで見たことないね〜、なんせ場所が〇〇だからさぁ」
とのことで、釣り好きの私としては非常に興味深い話を聞かせてもらった。おまけに「内緒だよ(笑)」とその場所まで教えてもらったけど、まぁ私にはいつでも気軽に行けるような場所じゃなかったのでチャンスがあったら行ってみようかなという感じだ。
いやしかし、宿のご主人にお客の老夫婦と凄く楽しい話を聞かせてもらって濃い時間を過ごすことができた。私はこうしてその土地のこととか昔の話とかを聞くのが好きだから、今日はより実りある日になったな!これぞ旅行の醍醐味の1つである!
その後いよいよ寒くなってきたので皆で宿に戻り、夕食の時間ももう少しということで部屋でお茶を飲んでいると、時間ちょうどに夕食が運ばれてきた。もうかなり腹も減ってるので楽しみな瞬間。一体どんな料理が運ばれて来るんだろう。
ノックの後部屋に上がってきた女将さん(と言っても最初に会った人ではなく、おそらくそのお母さん?)が「使わなので向こうに動かしますね」と机を窓の方に動かしてから夕食を運んでくれた。ここは食膳での提供らしい。そんな夕食とは
これだけでも量があるけど更にこの後天ぷらと汁物が来るらしい。(大?)女将さんは非常に丁寧な態度で出て行った。
私にしてはビールなんて珍しいけどこれはプランに含まれてるサービス品。別にどのタイミングでも貰えるんだけど私は夕食の時に頼んだ。そしてその横の牛肉の陶板焼きは上州牛のもの。これが夕食のメインと書いてあった記憶があるけど、それなのに2枚しかのってないのは少し寂しい気もするが・・・、でも美味しそうだからよし!早速いただきますッ。
まずは鯉のあらいから。これは食べるのは初めてじゃないけど、やぱり歯ごたえあり旨味ありで私は好きだな。川魚は淡白なものが多いけど、酢味噌で食べて旨味も感じられる鯉はやはりウマい!
鮎は残念ながら頭まで食べることはできなそうだったから腹から下だけ食べたけど、これも焼き加減が良くてご飯がやたらすすむ。
とまぁそんな感じで色々美味しく食べていったんだけど、中でも
なめこ+きゅうり+大根おろし+ゆずの酢の物だけど、これが個人的におかわりしたくなるくらい気に入った。別に他の味が濃いからとかそういう理由ではなくて単純にかなりウマい!
旅行時の夕食で高級肉にありついたのなんて以前行った四万温泉の時以来だろうか。やはりイイ肉は柔らかくてとろけてオイシイ以外の言葉が見つからないぜ。。鮎だの鯉だのも一緒に食べられるんだから、今私は幸せの真っ只中にいると言っても過言ではないッ。
今やってきただけあってもちろんサクサクのほくほく。多分キスの天ぷらだろうけど、あまり目立たず海のものも食べられるのは嬉しいな。
というわけで一品一品感想は書かないけどどれもこれも丁寧に作られていてかなり美味しかった。私には珍しくご飯いっぱいのを2杯も食べちゃったし、おかず達も沢山、種類多くあるから食べ終わったころには相当お腹が一杯になっていた。結構お腹が空いてる状態での夕食だったけどここまでになるとはかなり満足度の高い夕食ですねこれは。ごちそうさま!
食後はフロント指定された番号に電話すると膳を取りにきてくれる。とりあえず待ってる間膳をドア付近まで移動させて待っていると、ノックと共にやってきた女将さんがあるものを持ってきてやってきた。それが
甘党の私としてはこれは非常にありがたい!けど、かなりの満腹状態だからキツイ戦いを強いられそうだ。時間がたてばたつほどお腹は膨れていくからこれはもうすぐにいただくしかない!
満腹にもかかわらず餓鬼のごとき形相で甘き強敵に食らいつき、頭のどこかで「うまい」「キツイ」という二語が響く中素早く完食に成功した私。多分あの夜食のカップ麺やりんごは食べられないかもしれないな。それくらい、本当に腹一杯になった夕食でございました。
夕食後、そんなお腹パンパンの状態で風呂に行くのも辛いので、1時間ほどテレビを見たりして体を休ませてからお楽しみの大浴場へ向かうことに。今回の旅は事前に全ての宿の予約を済ませているので(何気に初めてのことだ)、そこに時間と気を取られることなくゆっくりできるのがこんなに楽だとは、今更ながら知った。
脱衣所前まで行くと暖簾がしっかり入れ替わっていて、先客も今はいないようだ。楽しむなら今のうちとばかりに高速で脱衣所へ!
そして弾む心のまま服を脱いだらすぐさま浴室へ。生で見るあのタイル張りの浴室はどんなもんなんだろかとガラっと扉を開けると
実際温度差で湯気が凄すぎてこの写真を撮るのに結構時間がかかったわけだけど(綺麗な写真は宿のHPにて見られます)、これはちゃんと写真で撮りたくなる魅力があるな。
天井の細かくびっしり貼られたタイルは仕事の細かさ丁寧さを思わせるけど、浴槽の底や床の不規則にデザインされたタイルは職人の遊び心が表れているようで、一周回って今でも通用するセンスに思える。そんな中部屋に飾られた絵画のように浴室でも一際目をひくタイル画は、まるで古い時代のゲームのドット絵のようで、懐かしくレトロな雰囲気を室内に提供している。温かい温泉に寒いスキーの画とは気が利いてるじゃないの。これが見たかったんだ私は!
そんなレトロに包まれながら至福の入湯!
お湯は向こうの小さい方より少し熱めだろうか。それに加えて浴槽もしっかり深さがあるので首元まで浸かってかなり温まることができる。お湯の良さは夕食前に体感済みだからあとは何も考えず、目の前にある古い時代の名画を見ながらぼーっと時を凄そうじゃないか。そうしてるうちにお腹も減ってくるだろうし!
なんだかんだ出たり入ったりしながら40分くらい楽しんだだろうか、その間誰が来ることもなく終始貸切状態だった。窓を開けて風を浴びたりしていたものの、それでもさすがにのぼせそうになってきたのであがることにした。泊まってる間はいつでも入れるんだから無理をする必要もないからね。
長いこと温泉に入ったおかげですっかりカロリーを消費したのか、少しだけ何か食べられそうな感じになってきた。これならただダラダラしてるだけでそのうちお腹も減ってくるだろう。後は明日のルートを確認したり群馬のテレビ番組でも見て、誰はばかることのない自由なリラックスタイムを楽しむとしようかッ。
今回の旅行は本を持ってきてないので窓際でぼーっとしたりまた地元のテレビ番組を見た後、もう一度温泉に入りに行ったりしてイイ感じにお腹もすいてきたので晩酌の時間に突入。あんなに腹一杯食べたのにもう胃袋に余裕が生まれるとは、温泉の力は凄い。
王冠つきの瓶を開けるために栓抜きを買ったにも関わらず忘れてきてしまった私だけど部屋に置いてあってよかった。冷蔵庫もあるからよく冷えたりんごジュースを飲めるのも嬉しい。これもやっぱり美味しいけど、今まで飲んだりんごジュースと同じくらいかな。同じような値段で他よりも美味しいジュースを作るのはやはり難しいのか。十分美味しいけどね!
リアカゴの保冷バッグにりんごを入れてるから開けた時のりんごの香りが凄くいい。早く噂の幻りんごを食べてみたいところだけど、まずは無事に家まで持って帰らないといけないからかなり気をつかって運んでおります。蜜入りだといいな。
これは何というりんごかわからないけど、りんごらしくシャリッと甘くていい味だ。中にはなんというか粉っぽい食感のやつ(伝わるだろうか)もあるけど、あれは苦手なのでそうじゃなくてよかった。
1日一個のりんごは医者を遠ざけるとか言うけど、今回の旅行中毎日最低一個は食べることになりそうだから帰る頃にはより健康になってそうだ。
おお、こんな小さいけど味も食感もまさしくりんご!食感はそんなに好きじゃないけど、酸味は抑え気味でちゃんと甘いしなかなかに美味い!加工したらさらに美味しいかもしれない。
ご当地系のカップ麺でも用意されてるのかと思ったけど普通のカップ麺。それでも宿の夜食でカップ麺を食べる経験なんて今までなかったから、あえて窓を開けて川の音を聞き、かつ冷たい風にあたりながら食べる。多分はたから見たら宿で1人カップ麺をすする絵面なんて悲しすぎるだろうけど、これはこれでひとり旅感が出ていい感じだな。案外ウマいし!いい経験させてもらいました。
というわけで1人楽しい晩酌の時間も終わりってそろそろ眠なってきたので、ふかふか布団で少しばかり動画を見た後就寝。やはり川の音は私に馴染むのか、朝までぐっすりと眠った。
と思って窓を開けたらうっすら雨が降ってました。これはまずいな。原付のフロントポケットにバイク屋さんにもらったパンク修理剤が入ってるのに・・・。雨で濡れてなきゃいいけど。あとリアカゴのカバーにも雨がたまってるだろうな。後で見に行かなければ。
温泉で温まりたいのでささっと体を洗って入湯。やはり朝風呂は最高に気持ち良いぜ。。こんな幸せを味わえるのも旅行ならでは。これからの行程にワクワクしながらゆっくり浸かる温泉は今日の力の源となる!私が毎度10時にチェックアウトするのも温泉により長く入っていたいという意味合いもあるのだ。
玄関を出るとまた宿のおじいちゃんがタバコを吸っていたので挨拶がてらまた少し雑談。気になっていた宿前のししおどしについて「その水飲めるんですか?」と聞いてみたところ、「これは温泉ですよ(笑)」と言われてしまった。こんなエクステリアにまで温泉を利用するとは、やはり湯量が豊富なようだ。でも湯気は出てないからそんなに温かくはないのかな(触らなかったけど)。
雨について聞いてみると、予報では昼頃には止む感じらしい。でも下の方は晴れみたいだから案外早く止むかもねと言っていたので、おじいちゃんの予報に期待することにしよう。
その後雑談が終わったあと傘を借りてバイクまで行ってみると、濡れてはいるものの修理キットは無事だったので(カゴカバーも)そのまま部屋戻って8時の朝食を待った。まだりんごジュースは残ってるけど、今はお茶がいいな。
品数もあって朝によく合いそうな健康的な料理の数々。舞茸のホイル焼きなんかもあって朝もまたお腹いっぱいになりそうだ。
とりあえずサラダから食べてみると、さっぱりとしたドレッシングが口の中をすっきりさせてくれる。ホイル焼きは熱々ではないものの添えられたレモンの味と合ってこちらもあっさり目でウマい。湯豆腐も小鉢の数々もこってりとしたものは一切ないので凄く食べやすい献立だ。
そんな色々ある中でもこの味噌汁はかなり好きな味で気に入った。味噌がいいのか出汁がいいのか、非常に沁みる味。その合間にかつてツゲがやっていた温泉卵飯を食べてもうパワー満タン!勿論完食して朝から大満腹でございました。ごちそうさまッ。
プランにモーニングコーヒーが入ってるのは知ってたけど、それが机に用意されてたドリップコーヒーだと思ってたので(今考えればそんなことはありえないんだけど)嬉しいサプライズだった。カップとソーザーも洒落ていて可愛い。またしても窓際で風を浴びながら飲むと、改めてコーヒーの美味しさを実感した。登山とかする人は山でコーヒーを飲んだりするけど、その良さが分かる気がする。優雅な食後となった。
そうしてコーヒーを飲み終えた後は最後の温泉タイムへ。昨日からの入浴で肌もかなりプリプリしてるけど、ここで最後のひと押しだ。
「うぁ〜」なんて言いながら入っていると、屋根付近にある排気口から一筋の光が差し込んで、それが湯面を経て、壁にキラキラと光る波模様を描き出した。外を見ると木々も光を浴びて色を取り戻している。その美しさたるや一瞬で目を奪われるほどで、そして同時に「出発前に晴れた!」と歓喜する私。大した雨じゃないけど濡れないならそれに越したことはない。これがずっと続けばいいけど。
それにしてもあの光の筋と波模様、しばらくしたら消えちゃったけど写真に残しておきたかったな。本当に綺麗だった。
でもさっきより明らかに雨は弱くなってるし、雲の流れも早くて時々晴れ間が見える。これなら大丈夫そうだな。
あれが徐々に下がってきてここらも雪が積もる時期がやってくるんだろう。さすがにそんな時期にここに来るには寒がりの私には1つの決意が必要だけど、そんな時に入る温泉もまた気持ちいいだろうな。原付では不可能な旅だけど。
最後の最後までまったり時間を楽しみ、残ったりんごジュースは水筒に詰め替えて準備は万端。もう雨はすっかり止んでるけど寒さ対策でカッパは着ていこう。さすがに朝は寒すぎる。
帳場に行くと昨日と同じ優しい笑顔で応対してくれた女将さん。「どうぞお気をつけて」と見送ってくれた女将さんの横にいたおじいちゃんは、外にまで見送りに出てきてくれた。
「色々お話できて楽しかったです」とお礼を行った後、少し離れた駐車場のバイクまで行き荷物を載っけた後道路に出ると、おじいちゃんはまだ宿の前にいてくれて両手を振って送ってくれた。
荷物を載っけるまで少しばかり時間がかかったのに・・・、両手を振るその姿に自然と頬がゆるんでうれしくなってしまった。かわいいおじいちゃん、ありがとうございました!
※ 湯檜曽温泉林屋旅館、まず宿の方の接客が温かくて気持ちよく、館内もとても清潔で、BGMが流れてるのも新鮮でした。宿の周辺こそ店らしい店はないものの、来る途中に良さそうな店が沢山あったしみなかみ最後のコンビニもそんなに遠くないので特に不便はないと思います。
しかし何よりも素晴らしいのはやはり温泉。アルカリ性単純泉ではありますが源泉掛け流しのパワーを感じる泉質で、過ぎ去った時代を思わせるタイル張りの浴室も一見一浴の価値あり。
料理も美味しく、窓からの渓流の眺めも文句なし。全体的に大変満足できる宿でした。オススメです( ^ω^)
ネギさん
こんにちは
湯檜曽(ゆびそ)と聞くとどうしても
Jazzの「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」
(You’d be so nice to come home to)
略して「ユビソ」を連想してしまうのですが歳ですかね
まだわたしは湯檜曽温泉にはいったことがないです
谷川岳に登りにいったときにどうしようか迷ったのですが結局は日帰りに
それにしても温泉は行った後、写真でみるかぎりもう夕暮れにさしかかっているなか
谷川岳ドライブインとモグラ駅の土合駅(ホームがあるところは結構さむい)とはしごして
風邪ひかなかったですかw
原付きで結構寒かったのでは?
写真みていてあっとおもったのは不二家のネクター実はわたしもこの夏はまりにはまって
あれば買って飲んでました
さて、林屋旅館さん
独泉だったようですね いいなあ
どうしてもこのご時世ですと人と一緒に入るのがなんとなく憚れますね
夕食もおいしそうだし上州牛ここまで出ると幸せ感じます
さっそく行ってみたい宿リストに入れときました
PS:天狗のお面を見ると鬼滅の刃の鱗滝左近次を思い出します
ましゅさんどうもこんにちは( ^ω^)
>原付きで結構寒かったのでは?
寒かったですけど、耐えられないほどではないって感じでした。寒さに慣れたのかなんなのか、カッパで防寒しなくても大丈夫で風邪も全くひかなかったですよ。ネクターまで飲みましたし(美味しいですよね)。
その結果寒い時期に行く原付旅というのも悪くないという発見がありました。さすがにもうこれからの時期は無理でしょうけど。
しかし谷川岳というとなぜか高く険しいイメージがあるんですが、実際はどうなんでしょう。登る人は凄いと思っています。
林屋旅館さんの女将さんが「紅葉の時期はお客さんが沢山いらっしゃるんですが、今年はコロナの影響で客室を抑えているので」と言っていたので基本的に誰にも会わず(実は一度宿の人と一緒になりましたが)入れたのは気持ちよかったです。
夕食も記事にある通り美味しかったですし、でも何より気取らない宿の雰囲気が一番好きでした。記事内では触れませんでしたが宿の娘さんの友達たちが遊びに来たりしてて、アットホームな感じが微笑ましくて居心地がよかったのです( ^ω^)是非行ってみてください。
書かれているjazzの曲、気になって聴いてみたら最初からユビソと歌っていて笑ってしまいました。しかし良い曲ですね、お気に入りリストに入りました(本当に)。
どうでもいい話ですがジャズと言えば私は数年前からエレクトロスウィングというジャンルを好んで聴いてます。ジャズは雰囲気が薄暗くて好きですが、違う要素が混ざったジャズも広がりがあっていいですね。
こんにちは。
自分の記事の売り込みたいですみませんが。
モグラ駅、ホームまで往復しました。
https://funayama-shika-3.blog.ss-blog.jp/2019-08-16
https://funayama-shika-3.blog.ss-blog.jp/2019-08-17
もちろん林屋旅館さんの前を走っています。
かなり前ですが(こういう世界に入る前)林屋さんからほど近いところにある「蛍雪の宿尚文」に泊まりましたね。
返信が遅くなってしまってすいません、コメントありがとうございますッ。
なるほど、ホームはあんな感じなんですね。思ったより変わった感じはしませんでしたが、どこか不気味な退廃的雰囲気はあそこまで地下深くにある故でしょうか。
降りる時間もそんなにかからない様子ですが・・・、やはりかなり足にキそうですね。途中ベンチがあるのは助かりますが、キツさを物語っているようです。
いつかあの駅を利用したりする日が来るんだろうかと、なぜだかしんみり思ってしまいました(そう思っていると案外近いうちに行くことになったりするんですよね)。
尚文さん、私も宿を探してる時に「せっかくだから高いとこに泊まるか!」と思って見てみましたがその時には既に満室でした。オシャレな感じでしたし、とても人気のある宿のようですね。
あそこらへんはちょくちょく気になる宿があるから、きっとまた行くことになると思います。
群馬に行かれたんですねー!今年はもう更新がないかな?と思ってたので、よかったです。
湯檜曽温泉は私も気になっていたので、宿を紹介いただいて参考になりました。今、テレワークもあるので、Wi-Fiがあれば温泉で仕事出来るな!と密かに計画中です。大浴場もレトロで林屋旅館さん良さそう。
前に老神温泉に行った時、土合駅に行ったので湯檜曽温泉も通りました。鄙びていていい感じで気になってたんです。
谷川岳ドライブインにも寄ったので、懐かしくなりました。3月に行ったのですが、大きな雪のかまくらみたいのがありました。
水上の昭和温泉街も行ってみたくなりました。
2日目からの続きも楽しみにしています!
すいません、返信が遅くなってしまいました。コメントありがとうございます( ^ω^)
いいですね〜、温泉宿でテレワークなんて旅館に逗留するかつての小説家みたいで憧れます。
周りは静かだし温泉は良いしwifiはあるし、しかも林屋旅館さんは与謝野晶子も泊まった宿らしいので是非行ってみてほしいです。
ただGoTo期間中に行かないと正規の値段では少々値が張るかなとも思いますが、良い宿ですよ( ^ω^)
確かに鄙びていていいですが、私はそれを必死になんとかしようとしてないような雰囲気も好きです。
雪が降ってる頃の土合駅と谷川岳ドライブイン、凄く旅情をそそりそうで魅力的ですね。そのかまくらの中でおしるこでも食べられたら最高ですッ。
ちなみに記事中に書いた土合駅横にある巨神兵の顔のような構造物は、やっぱりグランピング施設の一部だったようです。あそこに泊まって、冬は北欧さながらのサウナ体験もできるとか。
やはり車がないと、なかなか冬の旅行は楽しめそうにないですねぇ