[長野] 新しいオーナーで再出発を果たした完全な湯治宿 松川渓谷温泉/滝の湯 [高山村]

長野

二日目にまず最初に向かうは木曽福島という宿場町。私も奈良井宿や妻籠宿などの有名どころは行った事があるものの、ここはいつも通過しているだけだったのでどうせなら時間もあるし散策してみようということで行ってみることにした。

[1日目]

宿に着いたところから読みたい方はこちら

宿からは程近いので10分くらいで到着。駅には無料駐車場があるのでとても助かるけど、それまでの町並みは奈良井宿などとは違ってある程度近代的で、古民家が並ぶような宿場町ではなかった。それでもなんとなく惹かれるものがあったのでとりあえず徒歩で散策に向かう。

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これはこれで良い個人的には好きな感じの町並み

駅から見下ろす方向に町が広がっているので、とりあえず徒歩で向かう。と、その前に妙に新しい社殿の神社があったので寄ってみる。

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右の手水舎は水が湧いていなかった

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とりあえず、今日の宿が無事取れるように祈った

参拝後は市街地へ向かい坂を下りていく。町はやっぱり田舎の鄙びた感じがするものの、宿場町といった雰囲気はあまりかんじられない。

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眺めは良いね

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大通りをから一本道を曲がるとすぐに木曽川。歩道が変わってて面白い

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雨の後ということもあって少し濁ってるけど、綺麗な川沿いに建つ家っていうのは本当に羨ましい

木曽川を渡って川向こうの住宅街を歩く。ここらへんは観光客も全くいないけど(まぁ時間的に早いのもあるけど)、古びていながらも味わい深い家が点在しているこの道は歩いていて面白かった。散歩するには絶好の道だと思う。

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鬼熊も結構気に入ってるようです

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素晴らしい家

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向こうが気になる魔性の路地

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今でも頻繁に使われているであろう水場。飲んでみればよかった

鬼熊と「いいとこだねぇ〜」なんて言い合いながらも言葉少なに歩いていると再び橋があったので大通り側に戻ろうとしたら、素晴らしい家並みが私たちの足を止めた。

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河原に突き出た建造物群!素晴らしい!

鬼熊が「ゲットバッカーズの不夜城」と称した(私にはよくわからなかった)この素晴らしい家並みは、この地域特有の崖家造りというらしく、狭い土地を有効活用するためにこうして飛び出た形になっているらしかった。しかしこの時の私はそんなことは知る由もなく、かの有名な九龍城の一部を切り取ったようなこの無造作な建造物群の佇まいに見惚れてしまった。ここに住んでる人がすんごい羨ましい…。

橋を渡った後、この崖家造りを間近で見るために「河原に降りよう」と鬼熊に提案したところ「行こう」と即答されたのは、やはり鬼熊も同じ気持ちだったからだろう。とりあえず私たちは河原に降りられそうなポイントへ向かった。

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河原に降りられる階段の手前に足湯付き親水公園があった

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ツアーで来たらしい老人たちも楽しそうだ

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蓋つきの足湯も珍しい。手書きのポスターも非常に良い感じ

足湯があったものの、ある程度歩いて体もポカポカしていたので手で触れる程度にとどめ(適温でした)、まっすぐ河原に降りた。そこにはやはり素晴らしい景色が待っていた。

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このカオス感たまんねっす。この建物のどれかが宿だったら間違いなく泊まっていただろう

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どんどん建て増しして変な形になっていった感がとんでもなく魅力的

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川沿いってのがまた良い

この建物の中はどんな風になっているのか、家主はどんな暮らしをしているのか、もう気になって気になってしょうがない。川沿いの部屋は何の部屋なのか考えるだけでもどんどん羨ましくなってくる。もう私の好みにドストライクだし、鬼熊も相当気に入っているようだった。こんなところに数日だけでも過ごすことができたらどんなに幸せだろうか。。釣りができる時期に、写真にあるハシゴから河原に降りて釣りをしたりして過ごせたらもうそれはまぎれもないパラダイスだろう。建物は古びていて危なっかしい感じはあるけど、いつまでもこういう建物は残って欲しいと心から願うばかりだ。ただ、都会の空気をそのまま持ってきたようなカフェなんかにはならないで欲しいけど。

満足いくまで崖家造りを見た後さっきの親水公園に戻ると、道路向かいに昔の宿場町の町並みが並ぶエリアへの道があったのでそちらへ行ってみることにした。

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階段を少し登ったところにあるらしい

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良い感じの路地を行く

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馬印の灯篭。団体のガイドが何か説明していたけど忘れてしまった

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路地を抜けると、木曽の宿場町の風景が広がっていた

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食事処

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可愛い水車

「これは車で通っただけじゃわからんな〜」と鬼熊と話す私。もし最初に来た時の「ここは宿場町っぽくないな」という印象のまま通り過ぎていたらこんな風景がちゃんと残っているなんてわからなかった。散策した甲斐があったというものだ。ただ、奈良井宿なんかみたいに店が建ち並んでるってわけではなく、普通に家として暮らしてるっぽい家の方が多かったみたいだけど。でも雰囲気の良い光景だ。

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まつり会館は無料だったけどなんとなくスルーしてしまった

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なまこ壁の情緒的な路地。たまりばが何か気になったけど、結局よくわからなかった

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なんか高そうなビストロ

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年季の入った杉玉があるけど、かつては酒蔵か何かだったんだろうか

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上の写真の水は飲めないと書いてあったけど、ここの水は飲めるらしい。飲んでみたけど普通に美味しかった

中々良い感じの町並みなんだけど観光客はほとんどいない。皆やっぱり車で通り過ぎてしまうのか、人が来るにはまだ時間が早いのか、でもまぁゆっくり散策するにはそれがちょうどよかった。やはり散策はしてみるもんだ。

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こういうところでは多分住民が消火活動ができるように訓練してるんだろう

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底が見えない深い井戸だった。さすがに使われてはいないようだったけど

井戸やら消火ホース入れやら、どれもが時代がかっていて面白い。なまこ壁なんかも木曽では今のところここでしか見たことがなかったし、木曽福島の散策は結構色んなものがあって古いものが好きな人にはオススメできる場所だとわかった。宿場町の風景はそんなに長く続くわけではないけど、商売っ気が全くないところが良い感じだ。

上の井戸を見た後に「ちょっと雑貨屋見ていい?」ということで井戸の近くにあったお店に行くことに。しかし立て看板は店内に入っていてドアも開いていないので「やってないんじゃないの?」と言ったその時、中から犬がでてくるのが見えた。さらに中には人もいたようで、鬼熊は軽くドアを開けて「入ってもいいですか?」と聞くと「いいですよ〜、どうぞどうぞ」という返事が返ってきたので、開店前の店に入らせてもらった。

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キソキソというお店だった

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お犬様

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店内

店の商品スペースは狭めで、ほとんど住居兼仕事場という感じだった。しかしこれが中々良い建物で、構造がまた面白い。そんな風に商品と店内を見回していると、自然と店主の女の人と雑談が始まり、色々と話を聞くことができた。
店主はもともと東京でデザイナーを仕事にしていた人だったんだけど、ふとしたきっかけでここに移り住んで、店で仕入れた商品を売りつつ本業はやっぱりデザインということらしかった。この家も空いていた物件(この宿場町は空き物件が多いそうな)を買い取って息子さんと住んでいるようで、八ヶ岳の畑でイベントなんかもしているそうな。たまに東京で用事がある時なんかに帰ってくると、灯籠が町をぼんやりと照らしていてとても綺麗なんだそうで、色々と不便はあるかもしれないけどなんとも羨ましい気持ちになった。

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広告のデザインがメイン?っぽかった

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商品スペースのすぐ横が作業場兼居間らしい

「僕もこういうとこに住んでみたいとおもってるんですよ〜」と言うと「よかったらあがって見て行ってください、面白いですよ」とのご提案があったので、少しだけ鬼熊とあがらせてもらった。作業場の上にも部屋があるらしく、古民家らしいむき出しの階段でつながっているので上の部屋に行ってみた。

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上は畳部屋の寝室だった

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いや〜いいなぁこういうの

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椀などを運ぶおかもちのようなものだろうか

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下の階を撮る鬼熊

話によると、ここは友達なんかが来た時に泊まってもらうスペースのようで「また来た時には泊まってっていいですよ」というなんとも嬉しいお言葉をいただいた。こんなとこなら是が非でも泊まってみたい。全く店主は素晴らしい物件をゲットしたものだ。

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下の階の様子。この写り具合にそろそろイライラしてきたので近々カメラ買い換えます

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二階の小さな障子がたまらん

その後いも色々話しているうちに「すぐそこに晴明神社があって、晴明の墓もある」という耳寄り情報をいただいた。最初は「安倍晴明の墓は京都では?」と思ったけど、後々調べてみたところ最期を木曽の山中で過ごしたという説があるようで、実際に清博士という場所に晴明の墓があるんだとか。
「晴明神社まであっくん(犬)の散歩がてら案内しますよ」ということで、とりあえずお店に置いてあって気に入った小皿2枚を購入してから短い散歩へでかけた。途中あっくんのリードを持たせてもらったけど、犬の散歩の経験は初めてだったので結構面白かった。

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鬼熊は散歩慣れしていた。しかし宿場町で犬の散歩ができるとは面白い思い出になった

「ここが晴明神社です」ということで来た場所は、さっきスルーしたまつり会館の敷地内にあった。どうやらすっかり見落としていたようで、よく見てみると格子戸で塞がれているものの確かに晴明社と書かれた社があるのだった。

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がっつり守られている晴明社

と、ここで「じゃあ、あっくんと散歩してくれてありがとうございました」と言う店主にお礼を言って別れ、鬼熊はトイレに行ったので私はとりあえず偶然出会うことができた晴明さんに挨拶をしてから車のある場所まで戻ることにした。

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こんな素敵なホテルもあった

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残念ながら多分もう泊まることはできないんだろうけど、壁の色といい非常に素晴らしい

車に乗り込んで次に行くはすぐ近くにある道の駅、木曽福島だ。まぁとくに用があるわけでもないんだけど、何かお土産になるものがあればと思って寄ってみた。

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2年ぶりに戻ってきました

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ここらへんからかんかん照りになってきた

天気もよく晴れてきたので気持ちよく道の駅へ。さすがに観光客が多かったけど、まだまだ野菜なんかも沢山売っていた。でも特にきになるものもなかったので早々に店を出て、もう時間も昼頃だったので今日泊まるための宿の予約をすることにした。連休の初日だから当日予約でいけるか微妙だったけど、とりあえず電話。

私「もしもし、宿泊の予約をしたんですけど、今日で二人は泊まれますか?」
おじさん「あ〜すいません、今日は満室なんです〜。」
私「あ、そうなんですか〜、わかりました」
おじさん「ん?空いてる?あ、お客さん、今日大丈夫みたいです、泊まれますよ」

ということで当日にも関わらず無事予約が完了した。最初断られた時はかなり残念感が押し寄せてきたけど、どうやら他のスタッフ?か誰かが近くにいたようで、その人の空いてるの一言で私たちの命はつながったのだった。

私「ちなみに、食事付きってできますか?」
おじさん「はい、大丈夫ですよ〜。食事付きで2名様ね」

なんと食事もOKだった。今までの経験上当日予約で飯付きが可能なのは当日のかなり早い時間に電話した場合か、食堂も運営している宿の場合なことが多いので、多分ここも食堂があるのだろう、なんとなく思った。しかしとにかくよかったよかった。
鬼熊に無事予約ができたことを告げると「よし、じゃあ向かおう」と既に宿でゆっくりしたい様子だったんだけど、あと少し寄りたいところがあったので、ここからちょっとだけ御嶽山方面に進んでもらった。

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それがここ、道の駅三岳と鬼熊

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横には食品加工所

この道の駅は小さいながらも沢山の野菜が安めに売られていた。私はしいたけが欲しかったんだけどなかったので、なぜか長芋と、秘伝の焼肉のタレ、チキンカツサンドを購入。鬼熊も山菜おこわやら赤飯やら購入して「あんま腹減ってないから昼飯はこれでいいわ」という鬼熊とともに簡単な昼食をその場で食べた。

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道の駅の野菜販売はとても魅力的

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他にコケとかも売ってた

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山栗、買っておけばよかった

休憩所に一人で小さな機械を使った謎の作業をしているおばちゃんに釘付けになりつつも、美味しくチキンカツサンドを完食。ちなみに後日談だけど、ここで買った焼肉のタレが凄く美味しかったのでオススメ。

そしてその後、寄りたかった最後のスポットである釜沼温泉大喜泉へ。ここで温泉水を頂戴して行こうというのが今日の私の最大の目的だった。ここは道の駅からほど近いところにあるので、川沿いの道をスイスイ進むとすぐについた。

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晴れてて気持ちよい車内

しかし、着いてみるとどうにも館内が暗く、鬼熊も「やってないんじゃない?」というほどだったので「マジかよ…」と思いつつもドアの前まで行くと

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時間外でした…….。。こういうのはHPに書いておいてくれよ。。

ということで、私の最大の目的はあっさりと潰れてしまったのだった。結構楽しみにしていただけに非常に残念な結果に終わってしまった。なのでもうこれは潔く諦めて、ここからはまっすぐに宿へ向かうことにした。
しかし宿へは150kmくらい離れているので、寄れたら安曇野のわさびなんかを食べたりしながら向かおうということに決定し、まずは塩尻へと向かう。

それまでの道のりは、昨日鬼熊が言っていた通りに「代わり映えしなくて眠なる道」を戻るので、案の定鬼熊に眠気が襲ってきて、さらに塩尻からは渋滞にはまってしまったので、もうこれはしょうがないということでどこにも寄らず高速に乗って宿を目指すことになった。それでも途中長野に展開するツルヤというスーパーチェーンで、オリジナルブランドとして有名なジャムをいくつか土産に購入したりして、4時前くらいには宿に到着した。通り道、雨が降って薄暗い中、思った以上に山の中にあるので結構ワクワクしての到着となった。

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今日の宿、滝の湯に到着!

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駐車場にある露天風呂に続く道。そう、ここは混浴露天風呂なのだ

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なんか日帰り入浴施設っぽい滝の湯(写真は翌日のもの)

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でもやっぱり立派だ

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色んな注意書き。当日宿泊も歓迎っぽいから予約もOKだったのか

ドアの前の張り紙にインターホンを押してねと書いてあったので押そうとすると、中からおじさんが出てきたので「予約していた〜〜です」と言うと中へ入れてくれた。
声からすると電話にでたおじさんじゃないっぽかったけど、とにかく普通な感じのおじさんだった。ここは完全に湯治宿なので、とくに旅館とかみたいにする必要もにのだろう。特に雑談なんかをすることもなく、宿帳に記載してから色々と説明が始まった。

ここはどうやら鍵が非常に重要らしく、宿泊者以外が入ってこないように宿から出たら鍵をかけ、さらに宿泊棟から露天風呂へ続く道の途中にあるドアにも鍵をかけなければならず、部屋のドアの鍵も合わせて計三つの鍵がついている札を渡された。外来入浴は駐車場から行ける露天のみに入れるので、宿泊棟にある内湯も含め、ここは完全に宿泊者専用の建物なのだった。

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帳場。文字がなんか可愛いのはなぜなのか

説明が終わるとそのまま部屋へ。宿の中はあっさりしているというか殺風景で、事前情報でテレビも何もない宿という情報があったけどそれもうなずける風景だった。ただ漫画が大量にあるのは凄く高評価だったけど。ちなみに、湯治場だから当然だけど綺麗な炊事場もあった。

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古いのから新しいのまで、更には少女漫画なんかもあった。私たちの部屋はこの開いてるドアの部屋だ

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将棋と囲碁もあった

私も鬼熊も、というか特に鬼熊が結構疲れていたのでドッカリと腰を下ろす私たち。塩尻からの渋滞が私たちに与えたダメージは大きかったのだ。「早く温泉に入りたい」と私は思ったけど、きっと鬼熊もそう思っていたことだろう。

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疲れ果てている鬼熊

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外は道路が見える

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いやしかし・・・

この予想を上回る何もなさにはちょっと驚いてしまった。テレビが無いのは知ってたけど、床の色と物の少なさも相まって物凄く殺風景な部屋が出来上がっていた。正に寝て起きるためだけの部屋のようで、ここはやっぱり純粋に湯を楽しんだり、療養するための宿なんだと実感した。しかしそれに劣らぬほど私たちを驚かせたのは露天風呂に入れる時間だった。なんと露天風呂の入浴時間は19時までという、今までに経験したことがないほどの早さで閉まってしまうということだった。これはちょっと残念だったけど、残念がっていても仕方ないので鬼熊と共に急いで露天風呂へと向かった。ちなみに、夕食の時間は18時だ。

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アメニティ。浴衣とフェイスタオルはあるけど、バスタオルや歯ブラシなんかはなかった

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案内。やっぱり字がちょっと可愛いし、案内が新しい

帳場前に階段がるのでそこを降りると、私たちが泊まっているフロアとほとんど同じ構造になっていた。しかしその突き当たりは内湯と露天に続く連絡ドアがあるので入っていく。

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こんなドアの向こうは

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こうなっている。無骨な感じが湯治宿っぽい。左の暗くなってるところが露天へのドアだ。そこを抜けると

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こんな感じになっている。このドアは鍵をかけなくてはならないけど、結構やりづらいドアだった。

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向こうが駐車場。外来入浴者はこの道を通る

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しばらく少し下って行くと何やら建物が見えてきて

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こんな建物があるところに出る。もうブレブレですいません

この建物は食堂で、食事希望の宿泊者や外来入浴者はここで食べるようだ。周りは自然に囲まれていて凄く良い環境で、ベンチなんかも沢山あるので気持ち良く休憩することができそう。酒の自販機なんかもあった。
露天風呂へはこの建物を通り過ぎてほんのちょっと行くと入口があった。鬼熊もさっきの疲れ顔とはうってかわって何やらワクワクしていそうな感じになってきている。

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ここで男湯と女湯に分かれるけど、脱衣所が違うだけで露天風呂は混浴だ

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バスタオル着用オケイらしい

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そこを抜けると脱衣所。なぜか笠が置いてある

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脱衣所

脱衣所の先はすぐに露天かと思いきや、その手前に大きめな内湯があった。この内湯は岩を抉ったような荒々しい湯船で、温泉も含めて浸かりがいがありそうだ。
先に入浴している人はおじさん一人だったようで、その人ももうあがるところだったので露天風呂は私たちだけの貸切だった。鬼熊に「満室って言ってた割には人が少ないな。宿泊棟もあんまり人の気配がしなかったし」と言うと「まだ客が来てないか、宿泊客の数を制限してるんじゃない?うちでもたまにあるよ」と某有名旅館に勤務している鬼熊が言っていた。「なるほど、人数を制限ということもあるのか」とフムフムしつつも、まぁ客がまだ来てないからだろうと適当に納得して、さっさと服を脱ぎ鬼熊と共に目の前のパラダイスへと向かった。

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分析書。夏休みの旅行から硫酸塩泉に浸かる機会が最近多い

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鬼熊のヌードと内湯

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脱衣所からのドアの目の前にある湧き水と源泉。湧き水は確かに美味しく、源泉はめちゃくちゃ熱かった

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広々とした内湯

内湯の屋根は掘立小屋風なのであまり風情はないけど、この湯船は中々豪快で良い。湯も最初の掛け湯の時点では多少熱いと感じたものの、中に入ってしまえば適温だった。湯の中には水で濡れてグズグズになって散ったティッシュのような(例えが悪くてすいません)湯の花が舞っていて、オーバーフローこそしないものの掛け流し状態なのでさすが自家源泉だと思わせられる温泉だった。もう鬼熊の表情もさっきとあきらかに違うし、私も疲れて少し沈み気味だった心が回復していくのを確かに感じていた。温泉の力は凄まじい。

ある程度使ったら鬼熊が露天に向かったので私もそれに続く。外は雨だけど、それはそれで良い感じかもしれない。

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翌日の写真だけど、露天の様子

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素晴らしいとしか言いようがない

露天は奥に長く伸びた、とても広く開放感のある風呂だった。すぐ横には川が流れて、立ち上る湯煙が辺りの緑を覆ってこれこそ温泉という感じがする。湯船としてくり抜かれているきりたった岩もまた内湯以上に豪快で、その岩肌から源泉が流れ落ちていた。
湯船は奥に行くほど深くて、でも源泉の流れ落ちポイントはいくつかあるので流れ落ちている真下以外はどこでも同じくらいの温度でぬるいという事もなく快適だった。しかし最も注目すべきはその湯の花の量で、内湯とは比べものにならないくらいの湯の花が露天一杯に広がっていて、また強く硫黄の匂いも感じる。湯自体は無色透明だけど、さすが湯治宿を構えるだけのことはある素晴らしい温泉だと思う。私たちは少々早く来てしまったけど、紅葉の時期に来ればとんでもなく素晴らしい景色を最高の温泉に入りながら見られるだろう。紅葉していなくてもこれほどまでに綺麗で気持ち良いんだから。夜に向けて徐々に暗くなっていく露天風呂も最高に綺麗だった。

鬼熊もここが相当気に入ったようで、もうお互い疲れなんて吹っ飛んでしまっている顔だ。気持ちい温泉に浸かりながら楽しく雑談して、結局1時間近く入っていた。しかしそれでも夕食まではまだちょっと時間があったので一旦部屋に戻り、また食堂へと向かった。

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夜の食堂

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温泉たまごも売っている

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休憩所

食堂へ入ると凄く愛想の良いおじさんが配膳をしていた。「いらっしゃい〜」と明るく声をかけてくれたおじさんは満面の笑みで、その声から電話に出たのはこの人だとすぐにわかった。

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食堂。暖房が効いていて暖かい

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露天の休憩所らしく、本もいくつか置いてある

席に着いてからちょこちょこと夕食の品を出しにくるおじさんと雑談をしていると、驚きの話をしてくれた。
実はこの宿は8月で営業を終了するところだったらしいんだけど、それを残念に思ったこのおじさんが5000万ほどで譲り受けて営業を続けることにしたんだそうな。おじさんはもともと(確か)他県で居酒屋をしていた人で、まだその居酒屋は営業してるみたいだけど今後は誰かに居酒屋の営業をまかせてこちらに専念しようとも考えているらしい。このおじさんの愛想の良さはそのおかげなんだろう。
そういうわけでおじさんがこの宿を継いでくれたおかげで私たちはここに泊まって最高の露天に浸かることができたというわけだ。真にありがたい話だし、おじさんの思い切りの良さにも感服してしまった。

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そして夕食がこれ!

この他にもエビの塩焼き、炊き込みご飯や味噌汁なども時間差ででてきた。その都度おじさんは厨房に向かって「ママ〜、何々お願い」と声をかけて品を持ってきてくれたので、鬼熊が「奥さんですか?」と聞くと「そ、20歳以上年下だけどね」と笑みをこぼしていた。さっきから厨房の女の人は見えていて、ただここで働いている人かと思ってたけどまさか年の差の奥さんだとはこれまた驚きだった。結構やり手のおじさんのようだ。

そんなこんなでビールを注文していい感じの鬼熊と共に夕食をいただく。見た目に派手さはないけどどれも十分に美味しく、出来立ての天婦羅も炊き込みご飯も、その他小鉢の品も濃すぎず薄すぎずの味付けでとても好みの味だった。ちなみに天婦羅がでてきたけど天つゆが出てないみたいなミスがよくあったけど、それはそれでご愛嬌だ。「ごめんね〜、天つゆがなきゃ食べられないよね」なんて言いながら笑顔で謝るおじさんを前にしたら、私たちもついつい笑ってしまうのだった。

そんな楽しい夕食をゆっくり楽しみ、もう品も出てこなくなったので「じゃ、そろそろ戻ろうか」と席を立って玄関に向かおうとしたら、おじさんが笑顔で「ソバ」と一言言ったので「ん?そば?」と一瞬考えていたら「まだソバがあるよ」ということだったので「あ、そうなんですか」と言って席に戻ってソバをいただいた。

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これが〆のソバだ

ここでも蕎麦とつゆがでているのに薬味がないという事態になっていたので、鬼熊が「薬味ってあります?」と聞くと「あれ、出してなかったか。ごめんね〜」とすぐに持ってきてくれた。しかしもうこの短時間で私たちもすっかり慣れてしまっていたのでモウマンタイ。うまい蕎麦をすぐに食べ尽くしてしまった。

食べている間、他のお客さん(夕食中、他の宿泊客がそれなりに入ってきていた)が「朝は何時から露天に入れますか?」とおじさんに聞くと「案内には7時からって書いてあるけど、6時からでも大丈夫ですよ」と言っていたのが耳に入ってきた。「お、それはありがたい」と一瞬思ったけど「多分皆に聞こえただろうから明日の朝は混みそうだ」とも同時に思ったけど、とりあえず鬼熊と「明日は朝一で入ろう」とふんわり約束した。

と、そんなところで夕食を食べ終えたのでおじさんと少し雑談(この近くにある雷滝は絶対見た方が良いと教えてくれた)して食堂を後にし、食堂前のベンチで夜風にあたりながらひと休憩。これがまた気持ち良かった。

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雨の割には特に寒くもなく居心地がよかった

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ベンチの裏にはこんなものも

ここで鬼熊と話していると「朝飯って何時だっけ?」と聞かれ、もう私も忘れてしまっていたので鬼熊がおじさんに聞きに行った。そのついでに、自分用の歯ブラシを珍しく持ってきてなかった私は「歯ブラシ貰えるか聞いてみて」とお願いしたところ、どうやら100円で歯ブラシを売っているらしいのでその場で購入。アメニティにはついてなかったけど、買えたのでとりあえず一安心だ。鬼熊が戻ってきたら、休憩も終えてまっすぐ部屋へ戻った(朝食は確か7:30くらいだったと思う)。

部屋に戻って布団を敷いたら、横になれたあまりの気持ち良さに唸る私たち。これからはもう自由時間なので鬼熊が何やらスマホをいじっていると「お、wifi使えるじゃん」と嬉しそうに声をあげていた。ここは電波こそ弱いもののwifiがしっかり通っているようで、私も無事にネットができたもけども何時の間にか眠っていて、起きたのは一時間後くらい。鬼熊が「気持ちよさそうに寝てたな」と言っていたけど、彼はずっと面白動画かなんかを見ていたようだ。私はそんな鬼熊を尻目に、宿泊者専用の内湯に入るため一階へ向かった。

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男湯。露天へ向かうドアの横にある

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脱衣所はすっきりしていた

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湯治場らしく洗濯機もあった。ドライヤーがあるのも嬉しいけど、扇風機はなかった

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分析書

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脱衣所にも浴場にも人がいなかったので貸切状態で楽しめそうだ。脱衣所の規模とガラス越しに見えてる内湯の感じからして内湯はあまり大きくなさそうなので、貸切じゃないと相手によってはちょっと気まずい思いをするかもしれない。そんなことを思いながらもすぐさま浴場へ飛び込んだ私だった。

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おお、これはいい感じだ

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贅沢な源泉が出る蛇口

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浴槽へは常に細く源泉が流れ込むようにしているようだ

内湯は予想どおり小さかったものの、湯治場感たっぷりの木造の浴室と浴槽はたまらないものがあった。さらにソープ類もちゃんと置いてあるし、何より源泉が出てくる蛇口が最高に嬉しい造りになっている。水も、オーナーのおじさんが「ここは沢の水をろ過して使ってるから水道代はタダ」と言っていたのでこれも沢の水だろう。その沢の水で桶に貯めた源泉の温度を調節しながら(注意書きにある通り、最初はぬるいけどすぐに熱い湯がでてきた。マジで熱いので注意)体を流すのは凄く贅沢な気分になる。当然湯が新鮮なので、滑らかなで硫黄臭のする湯が肌をスベスベにする感覚が味わえた。

浴槽に入ってみるとこれまた適温の湯になっていて、決して熱すぎないのでそれなりに長湯ができそうだ。浴槽内をよく見てみると、露天ほどではないけどしっかり湯の花が舞っていて入り心地もとても良い。そんな中で窓を少し開けて外の音を聞きながらまったりすると、まさに極楽気分に浸れるのだった。

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これは最高ですわ…

もっと新鮮なお湯を!と思って源泉の蛇口を捻って勢いよく湯をだしていたらグングン温度があがって、沢の水で埋めようにも時間がかかりそうだったのでここらで湯からあがることにした。こんな素敵な湯にいつでも入ることができると思うと嬉しくなってしまう。部屋に戻ったらすぐに鬼熊を内湯に向かわせようと思いながら部屋へ向かった。

その後二人でできるオンラインゲームを探したり雑談したりした後に鬼熊が内湯に向かい、中々戻ってこない彼を待ってる間にポットのお湯が無くなったので炊事場に湯を沸かしに行った。

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注意書き

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結構綺麗にされている

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中には少量ながら宿泊者のものがあった

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食器も豊富

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これはわかる

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沸騰待ち

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こんなのもあった

宿で炊事場というものを使ったことがなかったので、宿で夜に一人で湯を沸かしてるという状況が結構新鮮で面白かった。どこかコインランドリーで洗濯物がが洗い終わるのを待っている時のような寂しさというか哀愁のようなものも感じられる。それがなんだか居心地良く感じるのだった。

そんな風に炊事場で一人待っていると、オーナーのおじさんが冷蔵庫に食べかけのアイスをしまいに来たので挨拶すると「明日はゆっくりされてから出発ですか?」とさっきと変わらない笑顔で話しかけてきた。

私「いえ、連れが夜から仕事だというので、朝食を食べたら出発しようと思ってます」
おじ「あら、そりゃあ大変だ。じゃあ朝ごはんはちゃんと時間通りに作っておくから(笑)」
私「おねがいします(笑)。あと、露天風呂って何時から入れますか?(一応確認する私)」
おじ「僕は毎朝5:30に温泉の温度をはかりに行くから、5:30から入ってもらってもかまいませんよ」

と、嬉しいことにどんどん露天の入浴時間が早まっていく。案内に書いてあるのは(仮)と言ってもいいくらいの基準なのかもしれない。夜は遅くまで入れない分、早朝に入れるんだったらそれはそれでありがたい。そんな感じでおじさんいお礼を言うと、おじさんは笑顔で部屋へと戻っていったのだった。これは鬼熊も喜ぶだろう。ただ、そんな早くに起きられる自信はあまりないけども。

その後、お湯をポットに入れて戻った後も中々鬼熊が戻ってこなかったので「酒も結構飲んでたしぶっ倒れてるのか?」と思っていると無事戻って来た。

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なんとなく部屋のドア

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暇だったので荒れた部屋の様子を撮っておいた

その後、色々ゲームをしたり雑談したりして、明日は6時から雷滝を見に行って露天に入って飯食べて出発、ということに決まったので11時すぎくらいに就寝した。5:30からの露天は「起きれたら」という鬼熊であった。

翌日はアラームに設定していた通り5:20に起きたものの、朝一で露天へ行くという欲望よりも布団から出たくないという欲望の方が勝ってしまい、結局6時まで眠ってしまった。その後鬼熊を起こしてさっさと雷滝へ向かうことにしたんだけど、案外すんなり起きた鬼熊にちょっと感心してしまった。

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朝の駐車場。天気も晴れ模様だ

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オーナー曰く近いということだったけど、どれだけ近いかわからなかったので車で行くことに

車で行ってみたら本当に近くて3分くらい走ったら着いてしまった。さすがに朝が早いので人は誰もいなさそうだったので、足取り軽く雷滝へと向かった。

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ここから下っていく

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案内板

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散策路は歩きやすくなっていた。そんな既に滝の音が聞こえている道を歩いて行くと

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おお、すごい!

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これは絶景だ!

二人して「おお〜スゲェ!」と朝から大興奮してしまった。オーナーのおじさんも「滝が裏側から見れるから絶対行った方が良い」と言っていた意味がわかった。これは確かに楽しいしなんだか冒険してる気分になれる素晴らしい絶景だ。

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名前の通りゴウゴウと落ちる滝の音がダイレクトに感じられる

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すんごい迫力

滝の裏側を見たのなんてディズニーランドのジャングルクルーズ以来かもしれない。でもここはそんなアトラクションの比ではなく、本物の自然の迫力を味わえるスポットなのだった。私も鬼熊ももはや「スゲー」としか感想がでてこない。オーナーのおじさんありがとうという感じだった。

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写真を撮りまくる鬼熊。その気持ちもわかる

写真ではわからないけど川の周りの石は赤茶けた色に変色していたのでこの川は鉄分を多く含んでいる川なのかもしれない。赤滝鉱泉脇の川も同じような色になっていたので多分そうなんだろう。そんなことを思いながら、迫力の滝を眺めながら大満足の中宿へと戻っていった。鬼熊も「すっかり目が覚めちゃった」と相当楽しんでいたようだったのでよかったよかった。

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なんか妙な写真が撮れてしまった

宿へ戻ったらすぐに露天へ。天気も良いので温泉も最高だろうとウキウキしながら鬼熊とともに道を下りていく。

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朝の食堂。辺りは川の音と鳥の囀りのみが聞こえていて最高の環境だ

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昨日は気にもとめなかったけど池のようなものや温泉卵を作るための釜のような場所もあった

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こんな機械も

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昨日は全く気づかなかった注意看板。野生の狸は結局みられなかった

さて、露天についてみると案外入っている人は少なく、一組の親子が入っているくらいでほとんど貸切状態だった。もう温泉については上の方で書いたのでもう詳しくは書かないけど、やっぱり朝の露天も最高でいれたての温泉の肌触りもとても良かった。結局露天に女の人が来なかったのはちょっと残念だけど、正直そんなことはどうでもよくなるくらいの温泉力を改めて感じたのだった。あまりに気持ち良かったので少し泳いだりもしちゃいました。

温泉から上がって食堂前で休憩してからまだ朝食までは時間があったので部屋へと戻り、私だけ最後に内湯に浸かった後に部屋で時間ギリギリまでだらだらしてから(この時間が最高)食堂へ向かった。

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振り返る鬼熊

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朝はより硫黄臭が強まっていた。朝の内湯ももちろん最高だ

昨日から散々温泉に入っていたのでツルツルした肌で食堂内へと侵入した。おじさんはまたもや朝から笑顔で「朝の露天はどうでした?」と親しげに話しかけてくれた。そこからまた少し話したりしながら朝食を食べ始めた。

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朝食

朝からホイル焼きというのは初めての経験(かも)だ。朝食も全てしっかりおいしく、ちゃんと味噌汁とご飯も運ばれてきたのでお腹は満腹。大好きな温泉卵もあったので大満足だった。

食事を終えると鬼熊が「あれ?鳥がいる」と、昨日は全く気づかなかった鳥が厨房横で飼われていることに気づいた。どうやらハトみたいだけど…

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鳥を見に行く鬼熊聞いてみると、何十年も前から飼ってる山鳩らしい。でも全く懐かないと言っていた。

そんな風にハトを見たり、本棚にあった野草の本を読んでどれが一番食べたいかなどを話し合った後、食堂を後にした。食堂を出る前に、おじさんが鬼熊に「今日の夜から仕事なんだって?頑張ってね」と話しかけてきて
鬼熊「はい、頑張ります〜」
おじさん「また来週待ってるから!」
と陽気に送り出してくれたのが嬉しかった。

その後、食堂の前でまたも休憩。ここはやっぱり良いところだとすっかり落ち着いてしまった。

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自然が一杯でいいわぁ

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のんびりしてから部屋へ戻る前に、おじさんから土産用の温泉卵を購入するとまたも少し雑談になった。話によると

・ここは一ヶ月の電気代が20万以上かかる
・最近はお客さんもつくようになってきて、なんとかやっていけそうだ
・冬はスキー客なんかがよく泊まりに来る
・結構若い人も泊まりに来る

などなどその他色んな話をしたけれども、やっぱり宿の経営は一筋縄ではいかないようでおじさんも色々頑張ってるようだった。そんなおじさんに「絶対また来るから、頑張ってください」と応援の言葉をかけてから、色んな話を聞けた事への満足感を胸に部屋へと戻った。

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また来ますっ

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そして支度をしている鬼熊

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なんとなく窓の外

部屋に戻ってダラダラする時間もなく、すぐに帰り支度をして宿を出た。最後鬼熊が部屋の鍵を失くすというトラブルを起こしつつも無事発見し、ささっと車に乗り込んで宿を後にした。
(ちなみにここは前払い制なので、宿を出るときは玄関に鍵をかけてから玄関横のポストに鍵を入れてそのまま帰るスタイル)

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次はもっとゆっくりしにこよう

車に乗ってから後は帰るだけなんだけど、滝の湯からほど近い山田温泉で土産を購入するために少し立ち寄る。

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ここもなかなかよさそうな温泉街だ

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野菜などが沢山うっていたけど

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結局何も買う事なく

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街の酒屋に寄って

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店主に「美味しいから飲み過ぎ注意ね」と注意されたどむろく(どぶろく)という酒を購入した

それからは高速に乗って、一路家路へと急ぐ私たちなのだった。


※今回泊まった滝の湯のような湯治がメインの宿というのは初めて泊まったと思います。予約する前は確かに友達連れということもあってテレビも何もないことに少し躊躇した自分もいたのですが、いざ行ってみれば漫画もあるし、何より素晴らしい温泉が待っていたのでそんな躊躇は全くの杞憂だということがわかりました。オーナーも物凄く良い人だし、何より純粋に温泉だけを楽しめる環境というのは療養にはもってこいなんだと湯治のよさというものを知ることができる良い宿だと思いました。
しかし欠点もあり、一人でくるならいいものの複数人でくると、鍵が1セットしかないので誰かが露天に行くと帰ってくるまで待たなければならないし、一緒に入りに行くと鍵を持ってる人に合わせなければならないしで不都合な部分もありました(途中のドアは必ず施錠しなければならないので)。なので、その部分と露天に入れる時間をなんとかもう少し長くしてもらえたら、個人的には文句なしの宿だと思いました。でもまた絶対行きます。良い宿でした。

松川渓谷温泉滝の湯 : 一泊二食付き 9700円